1 :
代打名無し@実況は実況板で:
無いので立ててみた。
選手2006年版で職人求む
2 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 00:13:02 ID:kv739znA0
3
3
3
黒幕候補がいっぱいいて面白そうだけど…。
虐殺シーンとかあったらなんか生々しくて可哀想だな。
途中で切れた前作がネ申だったからなw
>>6 ちょい遅だが
前作切れてしまったし続きスレ立てるのもなんなので
正直紀藤さんとか引退選手はもうムリさせたくないorz
8 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 01:56:35 ID:F/Wk8fIuO
前作は凄かったwなんかある意味ステキな世界だったわw
前作読んでない(´・ω・`)
どこかに残ってないかな
10 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 01:57:39 ID:eNd3OgaX0
>>11 登場した端からみんな死んで行く…・゚・(つД`)・゚・
13 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 11:40:56 ID:giSOT3A80
職人さんいないの?
個人的には中日の2002年版(初期のやつ)は面白かった
あんな感じで職人さんいたらヨロ
15 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 01:11:52 ID:NG9fuvi4O
誰も書かないなら書くかも
中日2002年版のまとめサイトが見れない…
2001年版は見れたが雰囲気は同じようなもんと考えていいのか?
>>15 ネ申職人さんハケーン
是非ともお願いします
主人公は誰になるのかな
(沖シ)か?
俺も下手でよければ書くぞ。ってか
>>1はどこいった?
ロッテBRとか見たけどああいうのいいよな。リレーなら漏れも参加したい。
2005年11月 東京六本木
「社長、お電話です。」
東京六本木ヒルズの楽天本社1本の電話がすべての発端だった・・・。
「はい。三木谷です。」
社長と呼ばれた男――――三木谷が電話に出る
「もしもし、私だ。渡辺だ少し話があるちょっといいかね?」
2005年に出来た新球団
球界再編の嵐の中誕生し、新参者として戦った1年
結果は97敗という惨敗
1年目だから仕方が無い自分は野球はあくまでも宣伝戦略の一つだ
しかし球界の黒幕とも言える彼が自分に何のようだろうと。
三木谷は秘書に「今日これからの予定は全てキャンセルだ。」
そういい残し、会社を後にした。
時は過ぎ2006年1月
「よし、全員集まったな。それではキャンプ地へ移動する。全員バスに乗れ。」
ぞろぞろとバスに乗る50人はゆうに越える人――東北楽天ゴールデンイーグルスの選手達
「今年もこの季節がきたな〜。」
「ああ昨年のようなことはしたくはないな。」
なんていうことを聞きながら、佐竹学は隣の席になった吉田豊彦に話し掛けた。
「何読んでるんですか?」
髭をそった吉田は佐竹には若返ったように見えた。
吉田はすこし眠そうに佐竹を見て答えた。
「ただの小説だ、ただの暇つぶしだ。」
大ベテランであり大先輩の吉田のもう一つ向こうの席ではチームリーダーの礒部が気持ちよさそうに寝ている。
気づけば隣でほんを読んでいた吉田も本をしまい、いつのまにか船をこぎ始めている。
(なんだ、吉田さんも寝ちゃった。俺もなんか眠たいな・・・・・。)
佐竹もそのまま深い眠りについた・・・。
作品投下開始キタ━━━━━━(゚(゚∀(゚∀゚(゚∀゚)゚∀゚)∀゚)゚)━━━━━━ !!
佐竹キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
深夜の薫り漂うBRになるのかw
26 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/09(日) 02:11:53 ID:nOUeSPI0O
イ左ケケ イイ!!
27 :
プロローグ;1:2006/04/09(日) 04:46:39 ID:eowvTxnGO
「おい、起きろ!何時まで寝てるんだ!もう球場に着いたぞ」
松本匡史(82)ヘッドコーチの声だ。
バスは止まっている。もう着いたのか…。結構寝てたみたいだなぁ、平石洋介(33)は眠い目を擦った。
どのくらい寝たのかわからないが移動の疲れは全く無い。周りを見渡すとみんなも寝ていたようだ。
「これからまずミーティングを行う。更衣室で着替えたら11時にグラウンドに集合すること!」
「ホテルに行くんじゃ無いんだな」と隣の席の鷹野史寿(9)が平石に聞くでも呟くでもないような口調で言った。
「そうですね、まあ監督も変わったしキャンプ前に何か話があるんじゃないですかね」
「話ならホテルででもできるだろうにな、御苦労なことだよ」
「ええ」
一つ、伸びをして座席から立ち上がる。去年のキャンプはルーキーだったこともあり、精神、肉体両面で余裕が無かった。だが今年はその余裕があった。去年の不甲斐ない成績を挽回しようと言う気持ちもあったし、モチベーションは頗る上がっていた。
バスからゾロゾロと選手達が降りてくる。
「ふっふっふ…」
球場内の窓から彼らを眺める人物が目を細めてほくそ笑んでいる。
「さぁ、これからや。ふっふっふ…」
平石もみんなに続いてバスから降り、荷物を受け取った。去年は確か、一旦ホテルに全ての荷物を送ったが今年はユニフォーム等は手荷物で持参しろと言われていた。
自分の荷物を受け取り平石は駐車場から球場へ歩き出す。
やはり沖縄は暖かい。一月だが、上着がいらないくらいに思われた。
「平石、なんか球場が去年と違うみたいやな」
藤井彰人(31)が近寄り話しかけてきた。
「そうですか?外はよく覚えてないですよ」
「なんか塗装が新しいやん。白いやろ?」
「そう言われればそんな気もしますね。やっぱり綺麗な方が気持良いですよね」
各々が話しながら球場に入っていく。
28 :
プロローグ;2:2006/04/09(日) 04:50:24 ID:eowvTxnGO
更衣室に入ると平石はロッカーにカバンを置いた。
藤井さんが言ってたけど確かになんか違う気がするな、とは思った。ロッカーが新しかったからそう感じたのだが、でも気持ちは良かった。
カバンを開け、ユニフォームを取り出す。
上下とも着替えてスパイクをはこうとした時、更衣室のドアが開いた。
「みんな揃っているか?」
黒い顔の人物が入ってきた。去年は居なかった顔だが何処かで見たことはあった気がする。
「今年からコンディショニングを担当する立花だ。グラウンドに行く前にちょっと用があるんだ」
ああ、と平石は合点がいった。コンディショニングコーチとして有名な立花龍司さんだ。
「今からこのカプセルを飲んでくれ。ケガ防止の成分が入っている」
それぞれにカプセルが手渡された。風邪薬よりは若干大きかったが飲み込むには支障無い大きさだ。平石も受け取り、ペットボトルの水で飲み込んだ。
「みんなのんだな?用はこれだけだ、じゃあ後でな」
立花が部屋から出ていこうとした時、すれ違いに矢野英司(29)が入ってきた。
「あれ?何処へ行ってたんだ」
「何処ってトイレです」
「ああ危ない所だった、これを飲んでくれ」と立花は矢野の手にカプセルを渡した。
「何ですかこれ?」
「ケガ防止のカプセルだってよ」と離れた所から愛敬尚史(22)が言った。
「お前にはうってつけのもんだな」
更衣室の中に軽い笑いが起こる。
「へぇそうなんですか。それじゃ」
と矢野は無造作に口の中に放り込んだ。
「もうこれで全員に渡したな、それじゃあな」
と立花は部屋を出ていった。
「少し危なかったな」と立花はドアの外で小さく呟いた。
29 :
プロローグ;3:2006/04/09(日) 04:54:17 ID:eowvTxnGO
スパイクをはき終えた平石はグラウンドへ向かった。
廊下の壁も塗装が新しいようだ。ペンキの臭いが強かった。
グラウンドへ向かって歩いていた平石だが、突然尿意を催した。
「トイレはどこだろう?」
立ち止まってキョロキョロ見渡す。
「平石、どうした?」矢野だった。
「ああ矢野さん、トイレどこですかね?」
「更衣室の反対側だったぞ、みんなもうそろそろ集まってるから早くしろよ〜」
「そうですか、わかりました」
小走りで引き返す。廊下にカチャカチャとスパイクの足音が鳴った。
トイレをすませて平石が出てくると、グラウンド方向とは反対側の部屋に、誰かが入っていったのが視界の隅に入った。振り向くが誰も居ない。
黒い服だったけど…警備員かな?ともかく急がないと遅れるな。平石はグラウンドへ向かって走った。
平石が見かけた、黒い服の男は部屋に入ると、椅子に縛られている人物に話しかけた。
「すまないがこれも命令なのです」
黒い服の男はホルダーから拳銃を取り出し、縛られている人物のコメカミにつきつけた。うーうーと何か言っているが口にタオルをかまされていて喋れない。
「悪く思わないで下さい」
引き金をひいた。ドンと低い音がして、縛られている人物の頭が衝撃で強く揺れた。そして動かなくなった。
「…俺が悪い訳ではないんだ」と黒い服の男は自分に言い聞かせるように呟いた。
30 :
プロローグ;4:2006/04/09(日) 05:01:39 ID:eowvTxnGO
平石がグラウンドに着くと、既に多くの選手達がいた。
腕のストレッチをしながら談笑する者。
プロレス技をかけてふざけている者。
穏やかな雰囲気だった。
11時に集合だな、とスコアボードを見上げて平石はふと違和感を覚えた。スコアボードの形が去年と違う。
あれ?と思いグラウンドを歩いている藤井に話しかけた。
「藤井さん、やっぱりなんか違う気がしますね。スコアボードとか去年と違います」
「そやろ?全くリニューアルしたんかもな。一年たったら変わってもうたみたいやな」
「よし、みんな揃ったな!集合だ」
と松本コーチがベンチの方から登場してきた。
散らばっていた選手達が集まってきた。
「まず俺から話をする。
去年のオリックス、近鉄の合併問題から勃発した球界再編問題によってこの楽天イーグルスが出来た。
諸君らは新規加盟の全く新しいチームとしてファンの期待を受けて、去年一年間戦った訳だが…。
見るも無惨な成績だった訳だな。最下位。それもぶっちぎりだ。明らかにリーグのお荷物だった。
確かに戦力不足は試合が始まる前から目に見えていた。しかしあまりにもひどかったな」
新しい年への希望を持っていた選手たちだったが、いきなりのきつい話に表情が暗くなった。
「去年の球界再編問題のイザコザの中、1リーグ制推進の動きがあったのを知っているだろう?
まぁ去年の成績がもう少し見られたものだったら無かったんだろうがな、この1リーグ推進の運動が再燃したんだ」
「…!」選手たちがざわつく。
31 :
プロローグ;5:2006/04/09(日) 05:07:25 ID:eowvTxnGO
「まぁ無理もない話なんだがな。
しかしこれから1リーグ制にするとしても色々難しいんだ。
1リーグ制で10球団にするなら球団を減らすしかない。が、ゴタゴタからまだ間がないし、このイーグルスも出来てから一年だ。
ただ潰すにしても世論がやかましい。野球人気にも関わるしな。」
松本コーチが続ける。
「去年の暮れに臨時オーナー会議が召集されて極秘に行われた。
イーグルスについて1リーグ派と2リーグ派のが対立した訳だが、そこで登場した或る意見が討議された。その結果、この意見が通り、実行されることとなった」
「まず、イーグルスの中で一軍として20人を決める。
そしてオーナー会議で新しく球界でレンタル移籍制度を導入することになった。これはサッカーでも導入されているな。選手を借りうける球団は貸し出す球団に補償金を払うこととなる。まぁそれで一軍戦力を集める訳だ。
球団結成の時はゴミでもポンコツでもとにかくかきあつめたが、ここでもう一度ふるいにかけようと言うことだ」
「あの、それでは20人の他はどうなるんですか?」
と礒部公一(8)が不満な顔で聞いた。
「良いところに気付いたな。まぁ聞け。
一軍20人とレンタル移籍を見込んでも二軍が足りなくなるが、さらに今年度のみドラフト外を特別措置として認めてもらった。
これで社会人や四国リーグを中心に若い選手を集める。これで何人か確保する訳だ。二軍はあまり重要ではないがこれで足りるだろう」
「それはわかりました、けどどうやって一軍枠20人を選ぶんですか?」
礒部が強い口調で尋ねる。
ザワザワと選手たちが揺れる。不安な者や自分は大丈夫だろうと思う者など表情は様々。
「そこだがな。選出するに当たっては、勝利への執念や忍耐力といった強い精神やプロ野球選手としての強運を持った者を選びたいわけだ。そこで…」
「BR…Battle-Royaleを行う。」
「つまり、みんなには殺し合いをしてもらうってことだ」
「…!」
ダラダラ長文スマソ(´・ω・`)
職人様乙です!
これからどうなるのかワクテカ
黒服の男と、殺されたのは誰なんだ…。
「で、とりあえずあっちを見ろ。」
驚きのあまり閉口する選手達を前に無表情にしゃべりつづける
松本がホームベースの方を指差した。
黒服の男達がマネキンを運んでくる・・・。
「あ〜先に言っとくが逃げようとしたり反抗しようとしたりしても無駄だぞ。」
黒服の男がガムテープで”何か”をマネキンに取り付ける。
「さっきおまえ等にカプセル飲ませただろ?今あのマネキンにそれを取り付けた。」
選手達はまだ誰も一言も発さない。
今の状況をただ見守るだけだった。
「で、1回からやらないからよく見てろよ。」
松本がリモコンのようなものをマネキンに向ける
選手達が見守る中マネキンは見事粉々に砕け散った。
「見ててわかると思うがおまえ等に飲ませたのは薬じゃなくて爆弾だ。吐き出そうとしても無駄だぞ
腹にとどまるタイプだからな。」
長い台詞を言い終えた。とでも言うように松本は大きくため息をついた。
「監督は、野村監督は知っているんですか?」
納得できないというような顔で新里が問う。
「ご老体には少々きつい仕事だと判断し伏せてある。まぁ20人ぐらいに選手が減るとは伝えてあるが。」
「本気・・・ですか?」
沖原も新里に続く。
「本気だよ。なんなら証拠を見せてあげよう。おい!」
黒服の男達が何かを運んできた。――――ビニールシートがかぶせられた1mぐらいのもの
バッ―――――
ビニールシートが勢いよく剥ぎ取られると
そこには変わり果てた姿になったマーティー・キーナート元GMがいた、いやあった。
「・・・・!」
選手全員が驚いてまた黙る。
その沈黙を破るように松本は続いた。
「我々の計画に勘付いて色々と邪魔なので、見せしめにこうなっった。それじゃあ背番号順に名前を呼ぶ。」
選手たちは勢いに飲まれて誰も一言も発さない。
「背番号0酒井忠治!」
チームメイト同士の壮絶な殺し合いがはじまる・・・・。
酒井忠晴
>>37 orz
とりあえず前書いた職人様死んだ人間が想定外だったらごめんなさいorz
職人さん乙です
どんな感じになっていくのかワクテカ
>>38 乙です。
いや、構わない。去年クビになった高村の予定だったし。よく考えるとそっちの方が良かったな。今まさに書いてたけどw
あと、スタートは00の森谷からじゃないか?
>>40 ん〜どうなんだろう?関係ない話だけど
2004年に近鉄大阪D最終戦やったとき0−63やったときは
益田からだったからね・・・。
>>41 でも00、0だと思う。
ロッテの名鑑で00代田、0諸積ってなってるから…。
>>42 いまYAHOOの名鑑みたら00から始まってたorz
許してやってくださいorz
>>43 大丈夫だよ。
あと、詳しいルール説明の入った話、今から投下するよ〜
45 :
希望を手に:1:2006/04/10(月) 00:20:31 ID:mv0W+cAvO
次々と選手の名前が呼ばれていった。
一体どういうことなんだ…。片山博視(28)は考えていた。
松本コーチの説明、マネキン爆発、そしてマーティ・キーナート元GMの死体。
全く信じられない。冗談だよな?夢だよな?嘘だよな?誰か何とか言ってくれ!
俺はまだ一年目だぞ?ドライチの期待のルーキーだ。
なのに何で殺し合いなんかに巻き込まれるんだ?
いやだ。死にたくない。
今まで味わったことのない深い絶望と恐怖に包まれて行く気がした。
暖かい沖縄なのに鳥肌までたってきた。
死にたくない、死にたくない、死にたくない…。
夢だったプロ野球選手になれたのに。まだ何もしてないのにこんな所で死にたくない!
唇をきつく噛み締めた。
生きたい。生きて一軍のマウンドに立ちたい。
俺は生きたいんだ!
どうする?どうすればいい?
片山は自問してみる。
一軍枠20人に入ることだ。そうすれば死なずにすむ。
そうだ、そうすれば生き残れるんだ。何でも良いから最後まで生き残るんだ。そうだ!
全くの暗闇の中に、小さく希望のろうそくのあかりが灯った気がした。
片山の心に新たな希望がわいてきた。プロ入りの時にもあったものだ。
46 :
希望を手に:2:2006/04/10(月) 00:22:30 ID:mv0W+cAvO
片山は気をとりなおす為に、頬をパンパンと叩いてみた。
再び考える。
…確か、松本コーチが言ってたよな。
「12:00からスタートして一人ずつ出ていく。後は三分ごとって訳だ」
「みんなにはそれぞれ武器と水、地図、食料を支給する。ただし武器はランダムだ。まぁ運次第という訳だ」
「この球場は島の真ん中だ。なおこの島の人は全て退去させてある。家などは自由に使って構わん」
「BRの期限は3日間だ。6時間ごとに定時放送をする。死亡者、禁止区域を伝えるから耳かっぽじってよく聞いておけ!」
「禁止区域に入ると即アウトだからな。気を付けろ」
「24時間以上死亡者がいない時、ランダムに3人が選ばれて消される。死にたくないなら誰かを殺せって訳だ」
…大体こんな所だったよな。
「次…背番号28。片山博視!」
自分の名前が呼ばれた。
とにかく生き残ることだ。改めて自覚する。
歩いていき、黒服の男から持ち物を受け取る。何だかズシリと重かった。銃か何かだろうか。ならば当たりかも知れない。
これなら生き残れるかもな、と思うとさらに希望がわいてきた。
緊張と希望に頬を紅潮させながら、片山博視は一歩ずつ歩を進めた。
生き残るために。
そして、一軍のマウンドに立つために。
ルール大体あってると思うんが…。
初心者だから不安だ。
間違いなら指摘頼む
「え〜っと、次で最後だな。背番号91林英傑!」
最後の英傑が返事もなく、ただ荷物を受け取ったところで。
松本の仕事はひとまず終わった。
「とりあえず終わったな。4時間もまぁ・・・。これで当面の長い仕事は終わったな。
上の決定とはいえ、選手達に殺し合いをさせるなど。あまりいい仕事ではない。」
松本が椅子に深く座り帽子をかぶりなおした。そこに黒服の男が一人近づいてくる。
ほかの男達とは違い、その仕草やスーツの襟元にあるバッチからしてこの男が黒服達のチーフ
ということを松本は疲れを覚えつつも思った。
「お疲れ様です松本コーチ、どうぞ。」
男は言葉と同時に椅子に腰掛けた松本に紙コップ入りのコーヒーを差し出した。
「ああ、すまんね流石に年はとりたくないもんだ。これだけのことで疲れる。」
そういいながら松本はコーヒーをすする。
「これからのことだが、私の次の仕事は何ですか?何もきいてないんだが。」
松本が黒服のチーフらしき者に問う。
「いえ、松本コーチの仕事はコレで終わりです。」
「どういうことだ!?」
「つまり貴方はもう用済みということですよ。」
黒服の男の口元が緩む。サングラスに隠されて目は見えないが口元は確かに笑っていた。
「何だと!・・・ぐっ・・・貴様ぁ!謀ったな・・・!」
松本の手から紙コップが落ち口から大量の血が吹き出る。
「貴方はよくやってくれました。これからはほかのコーチを操るみせしめになってもらいますから。」
松本は薄れ行く意識の中で、何故なんだという問いを繰り返していた。
「ああ、死ぬ前に教えといてあげますね。貴方の家族の命・生活はこちらの方で保障させていただきますんで。」
男の声は苦しみもがく松本に届いたのかはわからない。
コーチ【松本匡史 】死亡 【死因】青酸カリ中毒
「お疲れ様です。チーフ。」
「現状はどうなっている?」
部下に答えるまでもなく現在の状況を問う。
時間は遡る――――
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。いったい何なんだよ!クソッ!」
山崎武司(7)はこの状況がまだ信じられないでいた。
中日からトレードに出され、オリックスで干され一時は引退も考えた。
昨年も二軍スタート今年こそはと思っていた矢先の出来事である。
「こんなことになるんだったら、星野さんみたいにおれも引退しとけばよかった。」
――――――ガサガサ・・・・ガサガサ。
「だっ、誰だ!?」
物音に反応した山崎が武器の日本刀を構える。―――――――この武器は比較的あたりの武器といってもいいだろう。
「山崎さん!僕です!佐竹です!危害を加えるつもりはありません武器を直して下さい!」
草むらから出てきた佐竹が両手を上げて近づいてくる。
どうやら本当にこちらに危害を加える気は無いらしい。
「佐竹!おまえ一人か?」
山崎が草むらの方に叫んだ。
「いえ、僕のほかに吉田さんがいます。とりあえず今からそっちに行きますから待っててください。」
山崎は安堵の表情を見せた。とにかくこの状況を整理するには一人では不可能な状態だったからだ。
片山はグラウンドを出た後海岸線沿いにずっと歩いていた。
「おれは・・・・絶対1軍になってやる。絶対・・・・生き残る。」
決意を胸にずっと海岸線をひたすら歩く。
すると片山の目に一人の人影が映ってきた。
永池恭男(37)である。
「あ!永池さん!」
永池に片山から話し掛ける、皆尋常な精神状態ではない。
「えっと、君は片山くんだったな?災難だねこんな入ってきて早々に。」
片岡は永池の意外なまでに冷静な反応に驚き、少々困惑した。
「そうですね、まさかこんなことが現実にあるなんて。しかも映画そのまんまじゃないですか。」
片岡はなるたけ平静を装い取り繕って永池と話す。
永池も見た目は冷静に見えるがはたから見ればそうとう動揺していたのであろう。
昨季の対日ハム戦でのサヨナラエラーなどもあり今年こそとリベンジに賭ける男の情熱は行き場を失っていた。
「そういえば永池さん、武器はなにだったんですか?」
唐突な片山の質問に少し困惑したように永池は
「ん?ああコレだよ。こんなんでどうしろっていうんだよ。なぁ?」
永池はそういって。自動車整備用のツールキットを見せた。
気まずそうに鼻をかいている永池に
「僕なんてこのタオルですよ?タオルならほかにも何枚か持ってるのに・・・。」
かばんからタオルを取り出して永池に見せる。
「そりゃあ災難だな、コーチが本気な以上やるしかなさそうだしな・・・。ところでお前
何でわざわざタオルを手に巻いてるんだ?」
「え?いやぁそのですね、こういうことです。」
ズドン・・・。花火のような音が海岸線に鳴り響きそして消えた。
「か・・・・片山・・・・てめぇ・・・。」
ずるずると倒れる永池をよそに片山はそっちのけでつぶやいていた。
「やっやっちゃった・・・・・。どうしよう・・・・。」
背番号37【永池恭男】死亡 死因【射殺】
ウホッ【】つける場所間違った。
死因のところに【】つけてると脳内変換してくださいorz
乙!
>>45、
>>46とプロローグ書いた者です。
死因も書くのか、了解。
って松本コーチ死んだよ!
展開が読めないなぁ…。
うは途中で切れた。
展開読めないようにしてすいませうんorz
とりあえず自分としては人に読んでもらうものなので
出来る限り見れるものを書いたつもりなんですが。
それに展開読めないほうが面白い感じになると思ったんでやってしまいました。
職人様としてはやりにくいですか?
ほかのロワとか見ると本部の息のかかったのが出てきて裏切られたりとかあったので
一応本部側殺しとかなとおもってやったんですけど。
ほんともうスイマセンOTTL
展開が読めない方が書く甲斐があると思うんで良いと思いますよ〜
今回もかなり予想外だったしw
腕時計はそろそろ12時を指そうとしていた。
「そろそろ…か」
会議室の窓から球場の入口をながめながら、男は独りごちた。
12時をまわった頃、球場入口から一人の選手が走りさっていった。
「ふっふっふ…始まったな」
目を細めて男は呟いた。
よく見るとその眼光は穏やかで、見る者を威圧するような光はさほど無い。
しかしその分頭はピカッと光り、見る者の視線をはねかえしていた。
「ちょっと山下さんさっきからピカピカ眩しいですよ。帽子でもかぶって下さい」
と杉山賢人(76)が、机の上に置いてあった山下の帽子をかぶせた。
「うるさいな杉山。帽子をかぶってばかりだと頭皮が蒸れるんだよ」
と山下大輔は強い口調で言った。
「今更蒸れの心配しても仕方ないでしょう」
と杉山、冷静につっこむ。
「う…うるさいな!まだ諦めるのは早いだろうが!」
「いっそ高木豊さんみたいにしたらどうです?
CMにも出られてギャラももらえます」
「それは何だか降参したみたいで嫌だな、最後まで戦うぞ俺は」
と、力を込めて言ったが
「もうどうにもならんでしょう」
とバッサリ斬られた。
ううっとたじろぐ山下。
だが現場指揮担当という立場上、あまり舐められるのもいけないと思い直した。
「それよりも杉山、監視システムとかはどうなっている?」
と山下は何だかおかしくなった雰囲気を、真面目な方向に戻そうとした。
「それなら万全です。流石に親会社が親会社ですからこういった対応は行き届いてます」
「そうか…」
山下は頷いた。
「しかしこれから何をすればいいんだろうな、杉山?」
「そうですね、このマニュアルによると山下さんの具体的な仕事は…
えーと、次の定時放送くらいですかね」
パラパラとマニュアルをめくりながら杉山が言った。
「そっかぁ…何だかヒマで悪いなぁ。モニターの監視とかしなくて良いのか?」
「それは運営本部が行うと書いてありますよ」
「運営本部?本部はこの会議室じゃないのか?」
山下は驚いて聞き返す。
「ええ。モニターとかの必要な物は全て監督室にあるみたいですよ」
「何?えっ、じゃあここは一体何なんだ?」
「会議室です」
「それは分かってるよ!そうじゃなくて、それなら現場指揮の俺は一体何なんだって事だよ」
「うーん…。
現場指揮の上に現場総指揮とか総督とかいうそういう役割があるんじゃないですかね。
何も聞いてないんですか?」
「そんなの全然聞いてないぞ。
ただ三木谷社長から『山下くんには現場の指揮を頼む』と聞いただけだ」
「そうですか、それならあれですよ。
山下さんはほら…えーと、あの〜…、
あっ優しいし責任感のある人ですから、
あまり負担をかけたくないという社長の意向では」
「そうかなぁ…」
山下は納得いかないようすで、首をかしげた。
(信頼できないからとは流石に言えないよなぁ)
杉山は笑いながら思った。
「杉山?何で笑ってるんだ」
「えっいやあのー…お茶でも飲みますか?」
「そうだな、することもないしな。頼むよ、あっ緑茶な」
「ではいれてきます」
会議室を出て、杉山はふぅとため息をついた。
そして、ちょっと危なかったが…しかしこの調子なら何とかなるだろう、と思った。
超乙です!
大ちゃんキター!!!
大ちゃんの後光の差した頭を
さりげなくネタにする職人さん(*^ー゚)b グッジョブ!!
バトロア自体殺伐してるから、ちょっとした小話は癒されるよ
サブタイ見た時、目立つ選手の話かなと思ったら…確かに光る男ですねw
笑わせて頂きましたw
「背番号21、岩隈久志!」
楽天のエース、岩隈久志の名が呼ばれた。
だが、岩隈は選手たちの後ろの方で呆然としていた。
目の前で人が殺されたのもショックだったし、自分たちが殺し合いという非常な事をさせられるというのも信じられなかった。
「岩隈選手、早くしてください」
黒服が冷たい声を放った。
ハッと我にかえった。条件反射のように慌てて歩き出す。
「クマ、大丈夫か?顔が青いぞ」
と最年長の吉田豊彦が声をかけたが、岩隈はただコクリと頷くだけだった。
まだ茫然自失から完全に抜けきっていなかった。
黒服からバッグを2つ受け取った。
水などの入ったバッグを肩にかけ、武器の入ったバッグを受け取る。
ズシリとした手応えが腕に伝わる。重いな、と思った。
岩隈はまた歩き出す。
何でこんなことに?
それしか考えられなかった。ただそれだけだった。
近鉄がなくなったときもそうだった。
優勝してからたった3年で近鉄はなくなった。
自分を育ててくれたバファローズがなくなってしまった。
バファローズが好きだったのに。
あんなことになってしまった。
梨田監督がいて、ノリさんがいて、タフィがいたバファローズは消えてしまった。
バファローズじゃないバファローズになってしまった。
そんなバファローズでプレイする気にはなれなかった。
だから楽天に来た。
礒部さんや吉岡さん達がいたし、またやる気になれた。
なのに…こんなことになってしまった。
どうしてだろう。
岩隈にはわからなかった。
岩隈は真新しい廊下をぼんやりと歩いていた。
角を曲がり、出口の扉が見えた時、不意に前のドアが開いた。
「ちょっと、こっちに来てくれ」
ドアから姿をあらわしたのは広橋公寿(85)コーチだった。
岩隈は広橋に導かれるままに、部屋に入った。
用具室のようだった。灰色のロッカーが3、4台並び、その脇にバケツやトンボが立掛けてある。
少し埃臭く、中の空気は冷たかった。
「君に頼みがある」
広橋はパイプ椅子を岩隈にすすめた。
「何ですか、広橋…コーチ」
岩隈は椅子にかけながら、ちょっと口籠って答える。
「つまり、君には生き残ってもらいたい。
運営側について欲しい」
広橋は岩隈の顔をしっかり見ながら言う。
「ちょっとお義父…広橋コーチ、どういうことですか?」
「…岩隈君、君はエースだ。新チームで投げてもらいたいという、社長の意向をきいてもらいたい」
「それはつまり…他の選手達を裏切れということですか?」
岩隈は尋ねた。
「そういうことになる…かもしれないな」
語尾をごまかしながら、広橋は苦い顔で言った。
「これは…礒部さんや吉岡さんたちにも同じように言ったんですか?」岩隈は広橋の目を見ながらきいた。
「いや…礒部君は熱血しやすい性質だし、吉岡君は年をくっている。だから言ってない」
岩隈の視線を外して、広橋は言った。
「…そうですか。だったら、それはできません」
岩隈は目をつむり、ややうつ向いて言った。
「久志君、どうしても駄目なのか?」
広橋の口調が変わる。
「チームメイトを後目に、自分だけ、安全をはかる、というのは、できません。もう、うしないたくないんです…」
一語ずつ確かめるように、岩隈は言った。
「これは脅しみたいで言いたくないんだが…。
まどか達には運営側の監視がついているんだ」
「!」岩隈は思わず顔を上げた。
「この島の選手達の家族は、全てマークされているんだよ。
もし逃亡したりしたら家族にも害が及ぶことになる…」
「お義父さん!」
岩隈は立ち上がると、やにわに広橋の肩を掴んだ。
パイプ椅子がガチャンと倒れた。
「仕方ないんだ…久志くん。私如きではどうにもならないんだ。
今回のこの仕掛けには楽天だけでなく、もっと大きな力がはたらいているようなんだ。
君がうんと言ってくれないと、私も娘をうしなうことになる」
「…」
岩隈は広橋の肩から手をはなし、たちつくした。
「だから、久志君。どうか我々の側についてくれないだろうか?君が生き残れるように便宜をはかる。どうか、頼む!」
広橋は立ち上がって頭を下げた。
「…」
岩隈は何も答えなかった。
もう何もなくしたくなかった。
2004年9月24日、大阪ドーム。
大阪近鉄バファローズ、最後の試合だった。
試合は近鉄が、近鉄らしい劇的なサヨナラ勝利をおさめた。
試合後、選手みんなでグラウンドを一周した。
スタンドに一杯に別れを惜しむ観客。
応援旗が舞い、惜別の声が飛んでいた。
みんな、泣いていた。
ノリさんも目を真っ赤にして、泣いていた。
観客もスタッフもみんな、近鉄が好きだったみんなが、泣いていた。
もう、何もなくしたくなかった。
もし自分がここで断わると、家族をなくしてしまうことになる。
しかし諾と言っても、チームメイトをなくしてしまうことになるだろう。
自分でなくさなくとも、誰かがなくしてしまうだろう。
「久志君!どうか、どうか、まどかと羽音の為にも…頼む!」
広橋が再び頭を下げた。
どうする?どうすればいい?
小さな部屋にただ沈黙が流れた。
岩隈は目を開き、広橋を見た。
広橋は頭を深々と下げたままだ。
…ん?
岩隈は広橋の足元を見た。
ポタッポタッと何かが落ちていた。
泣いていた。
広橋が泣いていた。
「お義父さん…?」
「久志君、頼む!」
広橋の声が涙声になっている。
岩隈は目をつむると、深呼吸を一回した。
なくすのは、もういやだと思った。
「…お義父さん、いえ、広橋コーチ。わかりました」
岩隈は強く、ゆっくりと頷きながら言った。
「そうか!久志君、いや岩隈君。」
広橋は頭を上げると眼鏡を外し、目を拭った。
そして岩隈の手を握った。
…これでいいんだ。
割りきれない思いを掻き消すように、岩隈は思った。
否、思おうとした。
ちょっと長すぎたかも…。スマソorz
職人さん乙です!
不意に泣きそうになってしまった…(つД`)゜。
乙っす〜
ちょい細かいですが近鉄の最終試合は27日(あんまりよくおぼえてない26だったかな?)
のヤフーBBだったような。
本拠地最終はその日であってるはずだけど。
>>72 指摘ありがとう
最終は27日のヤフーBBでした。ミスったな…orz
代打で吉岡が出てきてたからそう思ってたんだが…
74 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 01:21:28 ID:JF5KjH2j0
n
斉藤秀光(5)はただあてもなく、細い道を走っていた。
突然、殺し合いをしてもらうって言われても、はいそうですかと言える訳がない。
名前を呼ばれ、装備一式を渡されても、実感がなかった。
とりあえず球場から離れて、少し考えてみようと思い、二股の道を左に進んだ。
歩いていくと、舗装されていない道の向こうに、海が広がっていた。
青い海は彼方まで広がっていた。
さて…どうするか。
ふぅっとため息をついた。
斉藤は走るのを止め、歩き始めた。
道はだんだんと左にカーブしていた。
一軍枠20人を決めるということは、50人近くが減らされるということだ。
つまり、この島で50人が死ぬということだ。
そんな馬鹿な。こんなことを考えた奴らは狂っている!
と舌打ちする。
だが実際に、キーナート元GMが殺されている以上、本気なのだろう。
とはいえ、こんな馬鹿げた企みで死ぬのはもっと馬鹿げている。
何とか生き残らないといけない。
とにかく、生き残れるのは20人だけだ。
その為にはどうするか。
道を歩く斉藤の前に、小さなバス停と待合所がみえた。
斉藤は歩いていき、バス停の時刻表を見た。端の方などはペンキが剥げて、錆びていた。
「うわ、1日2本かよ。」と独り言。
少ないなぁ。
でも、いくら待っていても今日はバスは来ねえやな。
と、何となく思った。
肩にかけたバッグを外しながら、待合所のベンチに腰かける。古びた木製のベンチがギシッと軋んだ。
持ち物をチェックしてみようと思い、斉藤は脇に置いたバッグを開いた。
しかし、何も入っていなかった。
あれ?と思い、中をまさぐると小さな金属製の箱が出てきた。
よく見るとポータブルテレビのような形をしている。
「何だろうなこれ?」
ためつすがめつながめてみる。
画面があり、横にスイッチがついている。
画面には白線で四分割され、さらに円が2つ、ダーツの的みたいに入っている。
「テレビではないな?」
とりあえず電源を入れてみる。
…ぽちっとな。
ぶーんと小さな音がしたが、しかし何も映らない。
「おかしいな」と首をひねって、テレビらしきものを振ってみた。
その時、隅の方に赤い点滅が見えた。
ゆっくりと瞬きながら画面の中心に近づいていくようだ。
ふと斉藤が顔を上げると、誰か近づいてくるのが見えた。とりあえず待合所の裏にまわりこんで隠れる。
画面の赤い光は、中心に近づくかと思うとそれていった。
斉藤がそっと様子を伺うと、背番号9の後ろ姿が見えた。
「鷹野さんだ」
と呟く。
鷹野は何事もなく、スタスタと歩いていった。
これはそうか、レーダーか。なるほどな。
感心した。
武器と言えるかどうかはわからないが、これはかなり使えるだろう。
鷹野が行き過ぎたのを確認して、斉藤は再びベンチにかけた。
そして、これからどうするか、もう少し考えてみることにした。
「背番号6、西谷尚徳!」
「は、はい!」
西谷は上擦った声で、慌てて答えた。
まだ、心の準備が出来てなかった。
本当にみんなと殺しあわないといけないのか?
と思いながら、荷物を受け取る。
ちらりとチームメイトを振り返ってみた。
選手達の中に、明大でともにプレイした、一場靖弘の顔を見つけた。
目があうと一場は軽く頷き、少し笑ってくれた。
西谷も軽く頷き返す。
他に同期の塩川と大廣はいないか、目だけ動かして探してみた。
選手たちの端の方で大廣を見つけたので、強い視線を送る。
だが大廣は西谷の視線を婉曲に外して、関係ないというそぶりを見せた。
おかしいな、と少し戸惑った。
塩川を探すが、アイツは1番だったなと思い出した。
そうか、もう出発してるなぁ。大丈夫かなアイツ、と塩川の顔を考える。
黒服がさっさと行けと合図したので、仕方なく西谷は出口へ歩き出した。
一場は笑ってくれた、大廣は何だかよそよそしかった…。
歩きながら思い出す。
やはり誰かと一緒に行動した方がいいな。
まず入口付近で一場を待とうか…。
あいつはあとどれくらいで出てくるだろう、と西谷は頭の中で数えた。
俺が6番であいつは11番だから…あと4人で12分か。
どうしようか。
考えていると出口についてしまった。
そういえば…出口で待ち伏せ。
いきなりドン、てのもよくあるパターンだよな、とドアに手をかけた時にふと思った。
武器は何だっけ。
心配になってカバンのジッパーを下ろす。
中には黒光りする金属の棒があった。
銃かな?
取り出すと意外と重かった。
銃身はあまり長くない。
ショットガンかな?
銃についての知識は素人だが、何となくそんな感じだった。
ドガンと小さな弾が飛び出す奴だなとイメージした。
他には何もないか、カバンを探ると、紙の箱が出てきた。横に何か書いてあるが英語であまりわからない。
とりあえずshotgunという文字があったのでショットガンという事はわかった。開けると中身は銃弾で、全部で10発あった。
やっぱ本物かなぁと思ったらワクワクしてきた。
こうやって撃つんだな、と構えてみると意外と重かった。
西谷は縁日の射的を思い出した。
あれはコルク銃だけどこいつは本物だぞ、と思うと何故か笑えてきた。
すると何となく心も落ち着いてきた。
さあて行きますか。
とりあえずこれを見たら、仕掛けてくる奴はいないでしょ。
少し気分も上がってきた感じだった。
銃を構えて用心しながら、ゆっくりとドアを開ける。
とりあえずは誰もいないようだ。
ぱぁっと太陽が差した。
目をしかめる。
そして誰もいないか見渡した。
塩川は居ないみたいだった。
もう既に遠くへ行ってしまったのかもしれない。
一場を待とう、と西谷は考えた。しかし出口の真ん前で待っている訳にも行かないだろう。
どこかに隠れていよう。
西谷は手頃な場所を探した。
ハチ公なんかないよなー、と軽くジョークを思いついて一人で笑った。
球場入口前には駐車場があり、乗ってきたバスが少し遠くに見えた。
とりあえずあの後ろに隠れておこう。出口が見えるしすぐに声をかけられるだろう、と考えた。
使ったことのない銃を構えながら、映画で見た刑事のそぶりをしつつ、バスに近づいていった。
誰もいない…な。
確認して、西谷はふふっと笑った。
何だか自分は映画の中にいるような気分がした。
バスの脇から出口を見つめて一場を待つことにする。
あと12分か。アイツ、どんな顔して出てくるだろうな。びびって出てくるのかな。ふふっ、楽しみだ。
腕の中にある銃の重さが、西谷に余裕を与えてくれる気がした。
82 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 09:29:50 ID:HR/L8XTg0
一場はどうでるのだろうか・・・
捕手
「何じゃこりゃ」
吉岡雄二は眉を下げた。
武器の入っているバッグから出てきたものは、赤色の巻物だった。
武器って…銃とか刃物とかだろう、普通。
何で巻物なんだよ。
俺は忍者かよ。
忍者だったらこう…、と巻物を口にくわえながら落ちている葉っぱを頭に乗せてみた。
目をつむり、精神を落ち着ける。
…よしっ!
「ひーほー、はほーほひゅふ!(忍法、火遁の術!)」
…勿論何も起こらない。
何の反応もないので、やってて空しくなってきた。
あかんなぁ。
ドサッと地面に寝転がって空を見上げた。
雲が流れていく。
空は平和だ。
でもこの島は殺し合いの舞台になっちゃうんだよな…。
徒々なるままに考えた。
どないしょっかなぁ…。
チームメイトを殺す訳にもいかんよなぁ、でも相手が仕掛けてきたら応戦するしかないかな…、でもなー。
と脇に置いた巻物を手にとる。こんなんでどうせぇっちうねん。
このままでは仕方ないので巻物の紐をといてみる。
パラリと紐が外れた。吉岡はクルクルと開いてみた。
何か書いてあるか少しワクワクする。
だが、巻物には何も書いていない。真っ白だった。
「嘘やん」軽く呟いた。
チッと舌打ち。
一体何だよ、これは。ムスッとした顔をする。
全く…、主催者は本当に殺し合いなんかさせる気があるのか?
巻物を投げ出した。
はああっ、深くため息をつく。
銃とか持ってる奴はやっぱやる気になってんのかなぁ。
空を見ながら思う。
今日は真っ青に晴れてんなぁ。あったかいし。
東北なんかまだ雪が降ってて大変何だよなぁ。寒いしなぁ。あれは野球する環境じゃないっての。
ベンチにコタツでもおいといて欲しいよ、全く。球団ももう少し気をきかせ…
「……あっ」
吉岡はガバッと起き上がって声を上げた。
そっかぁ、なるほど…。自分の思いつきに、顔がニヤニヤしてきた。
そうだよ、そうだよー、その手があるじゃん。驚き桃の木21世紀だよ。
すぐさまもうひとつのカバンをひっくり返した。が、「あれっ?入ってない?」
おかしいなぁ。サバイバルさせるなら入れとけっての。
くそーっ、どうすればいいんだ。
吉岡は少し考えると、ひっくり返した荷物の中から地図を広げた。
こう来て今、この辺やから…こっちか。
方向を確認した吉岡は荷物を片付けて歩き出した。
吉岡さんて、関西弁じゃない気が...
>>86 確かに選手名鑑では東京出身みたいですが、近鉄にしばらくいたので所々、関西弁を混ぜてみたんです。関西弁の方がノリが伝わるかと思ったし。失敗かな?
どっちかっつーとあれだけ関西にいて関西弁うつらないって珍しいなーというタイプだったように思うんだが
まあ吉岡を見てのrGsyzf.Kp2 氏の判断なら別に文句は言わん
礒部公一(8)はサバイバルナイフを片手に、憤怒の表情で歩いていた。
全く…上の連中は何を考えてるやがるんだよ。
道に落ちていた小石を蹴飛ばした。小石は道を外れて飛んでいった。
戦力強化の為に殺し合い?ふざけんな!
強く舌打ち。
楽天のリーダー、礒部の心の中はまさに煮えくりかえっていた。
「あいたっ」
急に人の声がした。
「誰だ!?」
礒部はナイフを構え、声を上げた相手に呼びかけた。
「礒部さんですか…?ひどいですよー。急に石が飛んでくるんだもん」
前の道の脇からガサッと顔を出したのは憲史(60)だった。
額を左手で抑えながら歩いてきた。
「あっ川口か、すまん」
「すまんじゃないですよー。何か恨みでもあるんですか?いったぁ…」
うらみ顔で礒部を見ながら、石が当たった所をさすっている。
「本当にすまん。ところでお前何してたんだ?」礒部は尋ねた。
「いやー、ただ用を足してただけです。そしたら急に石が飛んできて。手元が狂っちゃったじゃないですかー」
「…そうか、ところでお前、荷物は?」
「荷物っすか、置いてありますよ、取ってきますねー」
憲史は荷物を取りに走った。
偶然とはいえ、近鉄時代にともにプレイし、優勝も経験した憲史に会えたことで、礒部は安心した。
アイツもこんな馬鹿げたことに納得してないだろう。
「お待たせしましたー、んで礒部さんはこれからどうしますか?」
どうするって、と礒部は一瞬戸惑った。
とくに、具体的には何も考えてはいない。
「お前はどうするつもりだ?」
と聞き返してみる。
「そうですねー、何も考えてませんでした」
「おいおい…」
お前もか、と思う。
「でも礒部さんにあえましたから。何かやるんならつきあいますよ」
礒部の目を見ながら憲史が言った。
「そうか」
礒部は少し考えた。
つきあう、と言ってくれている以上、憲史はついてきてくれるはずだ。結構真面目な奴だし。
それならなんとかなるかも知れない。
「とりあえずな、こんな馬鹿な仕掛けに乗る必要はないと思うんだ」と礒部は思いつくままに言った。
ええ、と憲史は頷く。「だからな、こんなのはぶち壊してやろうや。けどどうやったらぶち壊せるか、は俺達だけじゃわからん。」
「そうですね」
「野球と同じでまず、相手の情報がいる。そして他にも人数を集めよう。早くしないと馬鹿な奴がこの馬鹿げた仕掛けに乗ってしまう」
そこまで言った時、パーンと銃声が聞こえた。
距離があるようで音は小さい。
「!」
二人とも顔を見あわせた。
「礒部さん、誰かが…」
「みたいだな。乗っちまった奴がいるみたいだな。…行くぞ川口!」
礒部は銃声の方へ走り出した。
「はい!」と川口も続く。
走りながら礒部はふと思いだした。
「川口、手は洗ったか?」
「いえ…」
「後でちゃんと洗えよ?」
とにかく、礒部と川口は走り続けた。
片山が永池を殺し、礒部と川口が走っていたころ反対側の海岸ではまた選手が出会っていた。
林英傑(91)と関川浩一(23)である。
「あ!えーと・・・・。誰だっけ?」
関川は一瞬思い出せなかった。
「そうだ!リンウェイツだっけ?」
期待通りの大ボケをかました関川に英傑は
「否!我林英傑」
無表情に中国語で返す。
台湾からきた新外国人選手の英傑はあまり理解できていないだろう。
まさかさっきのカプセルに翻訳機なんてついているわけなく。
「我何故現此処?我不明」
中国語(台湾語)で話されても心得の無い関川には理解できない。
関川はタイムを取る仕草をして少し考えた。
「あ〜キャンユースピークイングリッシュ?」
英傑は関川の発音が少し変わった英語に頭を傾げるだけ。
「どうする?あ〜そしたらこれでどうだ?」
そうすると関川は地面に漢字を書き始めた。
多分意味だけは通じるはずだ。
私関川浩一 私不敵
なんとか通じてくれることを願って。
しかし英傑はまだ首をかしげている。痺れを切らした関川は字を「私」と自分を指差し。
「セキカワコーイチ。俺は敵じゃない。」
ソレとともに握手を求める。英傑は
「好(ハオ)」
と笑顔で一言うなずいて握手をした。
関さんとインチェとは、意表をつく組み合わせw
なんか和みますね〜。
乙です。
インチェを関川と組み合わせたのか。意外です(o^-’)b
中国語の心得なんて俺無いんで変な感じになってますけどorz
リアルで球場いって疲れた〜。
あと憲氏は背番号61ですよ。
ユニフォームどっちだっけ?KENSHIなのかKAWAGUCHIなのか。
登録名いつ変えたっけ?
指摘サンクスorz
修正がきかないのがツラいorz
去年の契約更改で発表してたみたいでつ
97 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/17(月) 05:43:06 ID:jnsNpmZ60
age
捕手カツノリ
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・クソッ一体なんだっていうんだよ。」
悪態をつきながらも山の中をひたすら走る人影があった。
野村カツノリ(52)である。
親の七光りだとか何打とか言われつづけ、イマイチ成績もパっとしないカツノリ
トライアウトで得た多分最後といってもいいチャンス昨年もパっとはしない成績だったものの
父親とは違う魅力があり人望も厚いカツノリはただ一人山の中をさまよっていた。
「あ〜なんでこんなことに?親父にも知らされていないなんて。」
今期監督は自分の師であり、そして父の野村克也だった。
孝行したいとき親はなしというし今年こそと思っていた矢先である。
ソレは皆思っていることであろうが。
などと考えているうちに山の頂まできてしまった。
「あ〜あこんなきれいなところなのになぁ〜。みんなどうしてるんだろ?」
寂しさのあまり泣き出しそうになるカツノリ
そこにガサガサという音を立てて狸が顔を出した。
「な、なんだ?・・・・・狸かよ。」
カツノリは半泣きになった眼をこすり山道をまた歩き出した。
自分はどんなことをしても生き残る。
しかし、一人では無理だということもわかっている。
チームメイトとまだ会うこともないカツノリは
一人たださびしく山を下り始めた。
乙です〜
他には職人さんいないかな?
海岸から離れた山中を、片山は無我夢中で走っていた。
撃ってしまった。
永池さんを…
片山の頭の中で、それだけが何度もぐるぐる回っていた。
「はぁっはぁっ…」
山道を走り続けて流石に息がきれてきた。
片山は一本の木の下に座る。
おもむろにバッグからペットボトルの水を取り出し、一気にグビグビと飲んだ。
一本をすっかり飲み干した所で、ぷはっと息を吐き出した。
息はまだ荒い。
本当に殺してしまったんだ…、片山は片手に持ちっぱなしの銃を眺める。
顔に近づけると、少し硝煙の香りが残っているような気がした。
記憶をたぐりよせてみる。
永池の姿。
とっさの小細工。
ひきがねを引く。
銃撃の冷たい感触。
大きな銃声。
永池の体に銃弾。
まるで吸い込まれていくように。
撃ち込まれた弾丸。
流れ出す赤い血。
倒れる永池。
片山を睨みながら倒れる永池の、あの顔。
そこまでははっきりと思い出せたが、その後どうやってここまで来たのかははっきり覚えていなかった。
ただ、その場から離れた方がいいと、何となく思ったから走り出した。
思ったかどうかすら、微妙だった。本能がそう命令した感じだった。
急に何か物音がして、前方に何かが見えた。
人か?
片山は慌てて荷物を引き寄せ、木の後ろにまわりこんだ。
様子を伺おうと頭をおさえたとき、帽子がないことに気づいた。
海岸に落としたのか、山道で落としたのかはわからない。
仕方ない、と思い、そのまま様子を窺う。
誰かが山道を歩いてくる。
まず、赤いクリムゾンレッドの帽子が目に入った。
楽天の選手だ。間違いない。
誰だろうか、と考えたが、片山は選手の顔をまだよく知らない。
永池の顔は覚えたが、彼はもう居ない。
楽天の選手はまっすぐこっちの方へ向かってくる。
他には誰もいない。一人のようだ。
片手に何かを持っている。黒くて細長い銃のような―――
ふと気がつくと、片山は立ちつくしていた。
左手に残る感触に気づく。
さっきと同じ感触。
何だか心地よいものですらあった。
また、撃ってしまった。
片山は思った。
今度は意外に興奮していない。さっきと違って、意外と冷静だ。
足元を見た。何かが横たわっている。赤い液体を流して、倒れている。背番号51。
SATOH…さ・と・う、と読めた。
記憶を呼び返す。
佐藤の手の銃。
それを見た途端、体が勝手に動く。
佐藤に近づく。
驚く佐藤。
俺の武器、タオルだったんですよ。
笑いながら言う。
佐藤は言った。
さっきと同じ様に。
「何でタオルを巻いてるんだ?」
同じ様に、
「こうするためだ」
ひきがねを引く。
あの心地よい感触。
真っ直ぐに飛び出していく銃弾。
頭に赤い穴。
不思議そうな顔のまま倒れる、佐藤の顔。
片山はふっと、眠りから覚めるような感覚を覚えた。
2mほど離れた所に佐藤が持っていた銃が落ちていた。自分の拳銃とは違い、大きかった。バットくらいの長さのそれはライフルだろうか。
片手で拾い上げようとしたが、意外に重いので両手で拾った。
3〜4kgはあるようだった。
改めて地面にあるモノを見つめた。
別段、何も思わなかった。
片山は佐藤のバッグから水と食料を取り出すと、自分のバッグに入れて歩き出した。
今度は誰の顔を覚えられるかな、と思った。
背番号51【佐藤和宏】死亡【銃殺】
>>102-104 冷酷なヒットマン片山 (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
ホシュ
t
寿司
2319
111 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 04:51:01 ID:kqjunM1/0
age
112 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 17:42:44 ID:GOl12gda0
保守
そういえば肝心の残り人数書いてなかったな〜
えっと2人死んでいま残り79人?だっけ?
>>113 選手は全部で67人(現在、永池と佐藤除いて65人)。
残り人数に、コーチは含むの?
あーコーチ入ってたんかその人数w
サンクス
人数をカウントするのは選手だけだよね?
コーチ陣含むなら
ノムさんをどうするか難しい。
おまけに大ちゃんも登場してるしな
過去ロワの例からすると文章以外をスレに投下するのはどうかと
藤井
119 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/24(月) 04:42:53 ID:3UyQQkIV0
近澤
カツノリ
121 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 01:16:43 ID:Q4dmrznIO
新里
122 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 05:34:12 ID:tnfs8xFe0
長坂
123 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 07:37:04 ID:+V8ZPP+b0
朝井
朝井はいつ捕手に転向したんだ
礒部
関川
先生
西谷が出ていった後、一場靖弘(11)は腕組みをして考えていた。
後ろを振り返りながら自分にアイサインを送る西谷に、あの時は確かに同意の意思を示した。
大学時代、ともにプレイし、さらにプロ野球の世界に飛び込んでからも、同じチームでやっているチームメイトだ。
しかし、と今は違うことを考えている。
本当にそれでいいのか、と。
野球はチームプレイだが、こと投手に限ればその限りではない。
誰が言ったのかは知らないが、『投手は一度マウンドに上がれば孤独だ』という台詞がある。実際にプロ野球で一年だけだがやってみて確かにそれは実感した。
だから、ということはないが一人を恐れることはなかった。
しかし、と一場は考える。
はじめての見知らぬ場所、しかもいきなり殺し合いをしろ、だなんて訳のわからない状況では話は別だ。
こんな所に三日間も一人でいるのは精神的にも肉体的にも、キツイものがあるだろう。一般人は尚更、たとい、プロ野球選手であっても無理だ。
確か、一軍枠は20人。1人だけという訳ではない。これだけ生き残れるのだから、一人でいるよりも誰かと組むのは上策だ。
よしんば戦うにしても、複数の方が断然有利である。
一対一だと負けるはずはないが、下手すれば相撃ちということにもなりかねない。
やはり誰かといるべきである。それも信頼してくれる人なら言うことはない。
複数で動く時のデメリットは裏切りと、それに対する疑心暗鬼。
が、西谷ならとりあえず問題ないだろう。あの時の視線に狂気の色は見えなかったし、自分を信頼している様子だった。何よりも気心の知れた仲間だ。
仮に裏切るようなことがあっても、嘘や隠し事が苦手な素直な奴だ。その前に何かしらのそぶりを見せるはず。
…いざとなれば裏切られる前に裏切ってやればいいさ。
生き残るのはお前じゃない、このオレだ。
一場の口元に軽く、冷たい笑みが浮かんだ。
「背番号11、一場靖弘!」
自分の名前がコールされた。いよいよ来たな、と覚悟を決めてゆっくりと歩きだす。歩きながら目だけ動かして、選手たちの表情を見渡す。
真っ青な顔をして震えている選手がいた。山村宏樹(16)だ。一場は彼を見てフン、バカだなと薄笑いした。これじゃ生き残れまい。
視線を移すと朝井秀樹(36)の姿が目についた。まわりの選手たちの暗い顔とは対照的に、何故かご機嫌な顔をしている。
何だ、コイツと怪訝に思う一場。恐怖のあまり、どこか理性が狂ってしまったのだろうか。もしそうなら、次に会ったとき、なにをしでかすかわからない。ああいう奴は他にもいるかもしれない。充分注意すべきだ。
所定の荷物ふたつをうけとり、一場は出口に向かってあるく。廊下を少し進み、誰も居ないのを確認して、バッグを床に置いた。
ひとつのジッパーを下ろす。中には水、食料、地図。地図を取り出して後はしまう。
そしてもうひとつのバッグを開けると、白木の棒が入っていた。片端に布が幾重にも巻かれている他に、装飾などは一切無い。
銃やナイフなんかを予想していたので少しガッカリした。
とりあえず取り出してみると意外に重い。ちょっと考えるとふと思いついた。両端を持ちて左右に引っ張ってみる。
するとスラリと抜けて、銀色の刀身があらわれた。蛍光灯にかざすと、キラリと光を反射する。一点のくもりもない。切味はかなりよさそうだ。
仕込み杖か、と思いながらある映画を思い出した。
刀をしまい、再び出口に向かった。
ただの杖と見せかけて、相手が油断したらスパッと斬るイメージを思い浮かべる。
ドアの前でゆっくりと深呼吸をし、思い切ってバッと開いた。
周りを見渡すが待ち伏せなどはないようだ。
一歩ずつ、用心しながら歩いていく。
駐車場を真っ直ぐ横断していき、半ばまで来たとき。
「よぉ、ヤス!」と声をかけながら、西谷がバスの影からヒョイと姿をあらわした。
右手に何かを持っている。黒いそれは、何か銃のようだ。
「待ってたぜ、ヤス♪」
普段と違う、明るい声だ。
「あ…あぁ」
頷きながらも一場は違和感を隠しきれない。
「おい、なんか暗いなあ♪しっかりしろよ〜♪一人じゃ心細いからさぁ、待ってたんだよ。一緒に行こうぜ♪」
と言って西谷は一場の肩をポンと叩いた。
口調とは裏腹の台詞に、一場はかなり戸惑いを感じていた。こんなヤツだったか…?
妙に明るく調子が軽い。
思わず一場は西谷の顔をまじまじと眺めた。まるで遠足に来た小学生の顔だ。
「何だよ〜なんかゴミでも付いてるのか?」
「いや、別に…」
視線を手元の地図に落とした。
「あっそうだ♪どうせならさぁ、海辺に行こうぜ、せっかく海があるんだしさ♪」と西谷が地図の海岸を指差した。
「ってお前、遠足じゃないんだから」
「いいんだよ、やることねーんだしさ♪行こうぜ〜」
西谷はそう言うと肩を銃で叩きながら先に歩いていった。
遅れないようについていく。
いつもは一場が提案して西谷がついてくる構図なのに、逆になっている。おかしい。西谷は恐怖心やら何やらで気が触れたのだろうか。
普段は西谷はもっと冷静なはずだが、それともこれが本性なのだろうか。
一場は先を行く西谷の背中を、不審の目で見つめた。
不安だがともかく西谷は銃を持っている。誰かが仕掛けてきても対応できる。
あれくらいの方が、怖くてガタガタ震えているような奴より役に立つだろう。ここはとりあえず一緒にいよう、と考えた。
それに、と一場の口元に微かな笑み。
…いざとなれば裏切られる前に裏切ってやればいいさ。生き残るのはお前じゃない。このオレだ。
「何してんだよ〜。置いてくぞ〜」
もう西谷は百mほど先にいた。
「すまん、今行くから」
一場はそう答えて走り出した。
133 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/04/28(金) 14:16:15 ID:1FQFN4vzO
ここに一人、狂喜に目覚めてしまった男がいる。
背番号00:森谷昭仁
恐怖や混乱の中、仲間達を背に飛び出して来た彼は草むらにいた。
ガサガサッ…
音のする方を向くと雀のような小さな鳥がいた。
彼は、大きくバットを振りかぶり雀の脳天を叩き割った!そう、彼に与えられた武器は金属バットだった!
「打撃力不足なんて…もう誰にも言わせへん!生き残って一軍のマウンドに立つんわ、この韋駄天森谷昭仁や。」
ニヤリと冷たく微笑み、森谷は歩き出した…
なんだ、このくだらない日記スレは
もりたぬキタコレ
森谷は顔が怖いせいでいつもこんな役だなw
捕手
マウンドに立つのか・・・さすがアホキャラだな、森谷・・・
言われて気付いたw
ワロスwww
保守
ら
142 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 02:09:01 ID:X5fQ9rov0
l;
礒部
野村
145 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 17:09:36 ID:VYyw2ohC0
age
捕手
147 :
◆DQN.BOMcLA :2006/05/04(木) 19:40:15 ID:HcDLdZhd0
捕手
148 :
『鬼ごっこ』:2006/05/04(木) 20:46:36 ID:00bC0UDD0
潮の匂いが近付く。
辺りをぐると見渡しても、今は誰も見えない。
いや…『今は』誰も、と言ったところか。
じきに来るのは分かっている、待つだけだ。
時計を見て、時間を予測する。そして、木にもたれかかって目を閉じた。
「……さん。」
「来たか。」
ほぼ予測した時刻に背後から声がした。
答えて振り向く。
「一体何の用です? コーチになってる人まで使って呼び出すとか。」
「別に。ただお前に言いたいことがあるだけだ。」
時間を見る。あまり意味のない行動はこれから先、慎んだ方がいいことだろう。
組んでいた腕を緩め、目の前の人間を見据える。
「お前は野球がまだしたいか?」
「当たり前でしょう。」
「二塁か、遊撃でか?」
「まだ守備が衰えてるとかは思ってませんから。それは一緒でしょう?」
「そうだな。それが、問題なんだけどな。」
意味が分からないといった様子で首を傾げられた。
「…何の話です?」
「俺は、」
息を吸う。一瞬だけ目を閉じる。
149 :
『鬼ごっこ』:2006/05/04(木) 20:47:14 ID:00bC0UDD0
「このチームの中なら誰にだって内野の守備においては負けてないと思ってる。お前にもだ、もちろん。
で、今回こういうことになった。なら、俺が何したいか少しは見当がつくだろう?」
「さぁ? あんたのことなんか俺は興味ないですから。」
「珍しいな、お前がそんな口叩くなんて。」
あんた、とこの男からそんな呼ばれ方をされたのは初めてだ。
いつも笑っているようなこの男に。
「俺やって生活ありますもん。少々変わったっておかしくはないでしょう?」
「ああ、そうだ。だから俺が変わってもおかしくない、興味がない、と。」
「でしょう? ここで気にかけんといけんのは自分が生きてるか死んでるかだけ、でしょ。」
「ああそうだ。だから−−−」
「俺はお前を殺そうと思ってる。」
ふっと鼻だけで笑う。何の為か? 自嘲の為か。
普段は細い目をしている男の目が少しだけ開く。
自分が塁にいて、こいつが打席の時ぐらいだろうか。こんな目で見られるのは。
「何で? 俺が生きて帰ったら守備位置がカブるからです?」
「さっきも言ったろ。内野の守備だけなら俺はチーム一だと思ってるって。」
「じゃあ何でわざわざ俺を、殺すんです?」
鞄に手を入れて、銃を取り出す。右手に持って、前に銃口を向ける。
「野球は守備だけでも、打撃だけでも、走塁だけでも、3拍子揃ってるってだけでも、ダメだろ?」
撃鉄を下げ、引き金を引く。
乾いた音がして、目の前の男の顔に赤い線が一筋走る。
男は一瞥すると、顔の両脇に手を上げた。
150 :
『鬼ごっこ』:2006/05/04(木) 20:47:52 ID:00bC0UDD0
「鬼ごっこだ。
俺は鬼だ、お前は逃げろ。最後まで生きた方が勝ちだ。」
「…景品とかないんですの?」
「お前が生きて普通に帰ったら考えてやるよ。」
それやったら、と男が半笑いで肩をすくめる。
「意味ないですやん。不利なん俺ばっか。」
「不利でも力を出し切らなきゃ、どうせお前は生き残っても生き残れないだろうな。」
「野球できるだけマシ。そう思わんとねぇ。」
「はっ、言うな。まぁいい、ついでに会った奴殺すからそれが景品だと思っとけ。」
銃を下げ、鞄の中に入れる。
生返事を2回返し、男が屈伸を始めた。
時計を見る。秒針が1回りしたら、始まりのサイレンを鳴らす。
「…別に鬼ごっこしてもええですけど、言っときますよ。俺そんな足遅くないって。」
「奇遇だな、俺も遅くない。」
「ま、寄る年波にはかないませんけどね。」
「そこも同じか。」
目を閉じる、時計を見る。カウントダウン。
「…ゲーム、開始だ。」
酒井忠晴(0)は、そう呟く。
顔を上げると、もうすでに沖原佳典(32)の足跡だけが残っていた。
乙(・∀・)!
鬼ごっこするのね
152 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/05(金) 03:04:44 ID:lcL3ryRPO
素晴らしい!早く続きが見たい!むしろ製本にして欲しいくらい!
うわーオッキーと酒井さんがあ〜!
オッキ四国弁テラモエス(・∀・)
書き手さんの深い愛を感じます。
154 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 09:06:38 ID:fppfqmvh0
あげ
保守
生き残れ…
157 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 01:39:38 ID:nYaCuHGqO
続きを…早く…気になって仕事行けない…
ほしゅ
保守するべ
忙しい…
160 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 04:49:21 ID:OctCaX6Q0
age
礒部
162 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 17:02:42 ID:a3ZU6l5TO
山崎
飯田
164 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/11(木) 15:55:20 ID:fRr8pWemO
あげ
銃声の元と思しき場所――――海岸――――に着いた礒部は一通りあたりを見回してた。
「はぁ、はぁ。礒部さんちょっと、待ってくださいよ。俺そんなに足早くないんッスよ。」
息を切らしながらあとから走ってきた憲氏をよそに礒部は赤くしみのついたイーグルスのユニフォームを見つける。
永池恭男の死体がそこには転がっていた。
「ヤスさん・・・・・!おい!どうしたんだ返事しろよ!」
永池の亡骸を抱いてゆするがもうこと切れている彼には返事を返すことはできない。
憲氏もその礒部の方に近づいてきて。
「礒部さん、もう駄目だ。死んでるよ。」
憲氏が礒部に一言いった後、静かに永池の見開かれたままのまぶたに手を当てて閉じる。
傷口のまだ赤々とした血の色や触れたときにまだ残っているぬくもりを感じて、先ほどの銃声が
永池を殺した犯人だと確信した憲氏は
「礒部さん、いこうまだこの近くに永池さんを殺したやつがいるかもしれない。」
礒部は永池をそっと地面に降ろして
「そうだな、だがヤスさんをこのままにしててもいいのか?」
「あとからまたきて葬ってやればいいさ。」
そのときまた――パン――という乾いた音がした。
「畜生!またかよ!川口いくぞ!」
二人はまた銃声を追いかけていった。
憲”史”…
久々の投稿乙!
ほしゆ
新里
ふざい
171 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/13(土) 14:26:49 ID:pKw6pZT70
age
172 :
マジで教えて:2006/05/13(土) 14:39:38 ID:B7IZc94MO
真実の話です。元楽天イーグルスの田尾安志監督の家庭では、自分の実の子供が見ている目の前で、歌手の妻とセックスをしている所を(もちろん挿入から、射精する所まで)見せて性教育を教えたと、昔プロ野球ニュースか何かで?衝撃発言をしていましたが覚えてる人いますか?
保守
ほしゅ
ホシュ
―――「お前はもう少し打撃がなんとかなれば、もう即レギュラーなんだがなぁ…」
素振りをしている彼のとなりで、苦笑しながら打撃コーチが呟く。言われずとも自分でもわかっていた。
プロ野球に入ってからというもの、高校時代はあれだけ打てたのに、と悩むことが多くなった。
甲子園で仮にも四番を任されていたから、それなりに打撃にも自信はあった。
一軍にあげてもらえたものの、それは守備を買われての事であり、彼は全くというほど打てなかった。
少ない打席数にも関わらず、打率が一割にすらみたない年もあり、ますます守備固め専用で起用されるようになった。たまに打席に立たせてもらえても、ベンチからはバントのサインが出ていたりした。
「守備も打撃もチームで一番」というのが彼の評価だった。
守備は一番上手、でも打撃は一番下手、ということ。
こう言われはじめてから、知らない間にそれを受け入れてしまっていたのかもしれない。
いくら振りこんでも、打ち込んでも、心の何処かで自分はバッティングが下手なんだ、と考えてしまっている自分がいた。自分の打撃を完全に信じられくなってしまっていた。
そしてバッティングの評価は覆らないまま、トレードされた。最初は永年在籍した球団から離れるのが寂しかったが、このトレードは良かったかもしれない、と思ったのはファームで首位打者をとった時だった。
バットがまるでうちでのこづちと化した。ファームながら四番を打たせてもらえた。打率が一割も無かった自分が、だ。
優勝を争う一軍の戦力は厚く、なかなか上がれなかったが、バッティングに対する不信が薄れ、自信が出てきたという点では収穫多き一年となった。
しかし再びトレード。古巣へ返ってきた。複雑な心境だったが、前とは違う自分を感じていた彼は、一軍のショートに定着できた。後半息切れしたものの、非力な打撃の選手、というレッテルは完全にはがすことができた。
………ん?
彼は目を覚ました。どうやら眠りこんでいたようだった。
しかし意識はまだたゆたっていた。
ここは何処なんだっけ…寝惚けた頭にたずねる。
なんかキャンプに来たと思ったら訳のわからん…あっ!
そこまで考えて、急速に目がさめた。そうだ、寝ている場合じゃない。殺し合いをしにきてるんだった。
ふと口元を拭うと湿っていた。
口からヨダレまで垂らして熟睡していたようだ。
何だか自分が情けなかったが、しかしいまいち実感がわかなかったのも事実だった。
一つ欠伸をした。目をこすり、辺りを見回す。人の気配はない。
立ち上がり寝ていた停留所から出てみると、暖かい日光が降り注いでいた。眩しさに目を細める。ああ、現実なんだ。改めて感じる。
という事は殺し合いも現実なのか…?未だに信じられなかった。
元GMの死体を見たなぁと思い出すが、やはりまだ信じられない。のどかな日の光が射すような所では、殺し合いなんていう言葉は色褪せて聞こえる。
それに、殺人なんかできそうになかった。殺人をするための武器といって支給されたのは、と振り返る。レーダー。ベンチの上に置いてある黒い機械だけ。
これで一体どうしろと言うんだろう。そしてもうひとつ欠伸。両腕を上げて伸びも行う。
さて、何もやる事がない。
ため息をつく。暇だ。
彼はベンチに腰掛けて地図を取り出してみた。島を一周する道があるようだ。それを見て、散歩でもしてみるか、となんとなく考えた。
この島を一周してみるのも悪くない。どうするべきか全くわからないし、歩いているうちにやりたいことも見つかるかもしれない。
特に大した理由はなく、彼―――斉藤秀光は荷物をまとめて、再び歩き出した。
180 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/15(月) 02:21:47 ID:UJ24ssYN0
キター
保守
会議室の長い机に頬杖をつき、山下大輔は暇を持て余していた。
「暇だなあ」
何度となく呟かれたその台詞は、ため息とともに虚空にむなしく消えていった。
三木谷オーナーが自分を心配してくれているというのは嬉しかったが、何も仕事がないというのは何だか申し訳ない気分だった。
球場に着いた時、
「実施は我々にお任せ下さい。山下さんはこちらへ」と、黒い服にサングラスの男に案内されるまま会議室に入った。
だがこのまま、知らない黒い服のスタッフ達に任せきりで、現場担当たる自分がただ座っているというのは、やはり山下の強い責任感では耐えられなかった。
(とりあえずモニターとかは監督室にあるらしいしな。いってみようか)
そう考え、山下が立ち上がった時、会議室のドアが開いた。
「遅くなりました、山下さん。お茶持ってきましたよ」と、杉山がお盆に湯飲み2つと急須、煎餅を持って入ってきた。
「ああ、ありがとう」
立ち上がった山下は、また腰掛けた。せっかくお茶をいれてくれたのだ。好意を無駄にするのは良くない、これを飲んでからにしよう、と思いながら湯飲みを受け取った。湯気がたつ湯飲みから一口すする。
すると、ん?と山下の顔に不審な表情が浮かんだ。
「杉山、これは白湯じゃないか?」
「いえ、ちゃんと急須に茶葉をいれてつくりましたよ」
そうだろうか。味が無い気がするのは気のせいだろうか。
しかし、せっかくいれてくれたのに責めるのは悪いと思い、
「ま、まぁこれはこれで飲みやすいよね」と言いつつ、さらに口の中へ入れた。
だが熱いお茶だったせいか、むせてしまった。
「ゲホッゲホッ」
「だ、大丈夫ですか!」慌てて杉山が山下の背中をさする。
「やっぱり水があれだったんだ!大丈夫ですか山下さん」
「ゲホゲホッ…水って?」涙目になりながら山下は杉山の顔を見た。
「水がどうしたって?ただむせただけだよ」
「えっ?あ、ああ、そうなんですか。いえね、むせたから水を持ってこようかと」微笑みながら杉山が言った。
(この島の水が心配で先に飲ませて確かめてみたなんて言えないよなぁ)と杉山は思いながら、自分の茶に口をつけた。
「ところでさぁ杉山」と山下は、杉山が持ってきてくれた煎餅をかじりながら言う。
「他の首脳陣はどうしてるんだ?」
「松本ヘッドは選手に説明してますし、他の方々も色々ですよ」と杉山がお茶をすすりながら言った。
「そうか…。でもな、やっぱり何もしないっていうのは悪いと思うし、俺も何か手伝おうと思うんだけどな」山下は湯飲みを見つめながら申し訳なさそうな表情で言った。
(やっぱりね、あなたならそう来ますよね。でも余計なことをされては困るんですよね)
「いえいえ、大丈夫ですよ、山下さん。今のところ、特にトラブルも起きていませんし」
「でもさぁ」と山下がいいかけたところを遮って杉山は、
「大丈夫ですよ。ほら、あれですよ。船頭多くして船、山に上るというやつですよ。大将はどんと構えて、皆が困った時にだけ登場していただければいいんですよ」
と山下をなだめた。
「そういうもんかなぁ…」
まだ納得行かない表情を浮かべている山下だが、一応、引き留めには成功したようだ。
「そういうもんですよ、何なら何か聞いてきましょうか?」
「うん、頼んだよ」
山下は暗かった顔を明るくして言った。頭は元々明るかったが。
「わかりました」と言うと杉山は立ち上がり、部屋を出た。
(全く、何でオーナーは山下さんをこんなところへ寄越したんだろうな)
思いながら息を吐き出し、苦い顔をつくった。
そのまま廊下を歩いていく。
(山下さんは優しすぎてリーダーには向いてないし、ましてやこんなところには向いてる訳がないだろうに)
杉山にはオーナーの意図が全くわからなかった。
監督室の前に立ち、ドアをノックする。
「杉山ですが」
中からどうぞ、と返答があり、杉山は中へ入った。
部屋に入ると、まず黒服がドア近くに二人立っているが、眼に入るのは向かって前面、壁一面に配された大きなモニター。
そこには島の輪郭と、その中に赤く光る点がうつしだされていた。赤い点は真ん中あたりに集まっているが、いくつかは周囲に散らばっていて、杉山が見た瞬間に、さらに真ん中に固まっている光が一つ、飛び出していった。
「どうした?杉山」と机の前に座り、パソコンを見つめる黒服が視線をそのままにして言った。
「山下さんがむずがっています。自分だけ何もしないのは悪いと言って」
「そうか、やっぱりな。けど、それをなだめるのがきみの役目のはずやで、杉山」
「ええ、まぁそうなんですが…」
「しっかりしてもらわんと困るわ。各自が役目を果たしてもらわんとこの計画の遂行にも障るやろ?」冷たい声で黒服が言い放った。
「はい…」杉山はうなだれる。
「まあしゃあないわ、あれを渡そか」と言い、黒服は顔を上げてパチッと指を鳴らした。
すると入口のそばにたつ黒服の一人がアタッシェケースを持ってきて机の上に置いた。
「このなかの物を山下さんに渡したらええわ」
「わかりました」と言い、杉山は銀色のケースを受け取ると、一礼して部屋を出ていった。
「まだ殆ど進展無いなぁ」とパソコンの前の黒服が呟く。
(始まったとこやからしゃあないんかな。せやけどこのままやったらあかん。あの人は、同じ失敗を繰り返したらあかんのや)
黒服は机の上のトランシーバーを取り出した。
「あんなぁ、あいつに連絡とって欲しいんやけど。えっ?うん、そう、T。プランTや」そう言い、トランシーバーを置く。
「これで様子見てみよか」
誰に言うでもなく言いながら、黒服はサングラスを外し、布で拭いた。
サングラスの下に隠していたその素顔は、かつて神宮の森を大いに沸かせた、愛敬のあるあの顔。池山隆寛(77)の顔だった。
187 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/16(火) 17:31:19 ID:dFVWctLQ0
age
銀次
189 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/17(水) 17:08:57 ID:937FlszSO
しんざと
有銘
有銘は捕手じゃねえよ
兼久
愛敬
サチヨ
キヌガサ
鉄腕
実松欲しい
保守
捕手。将海とか取れないか〜
保守age
捕手
続きまだカナー
203 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/22(月) 02:15:00 ID:41LTCxib0
期待あげ
捕手がてら感想でも
まだ序盤なせいか波がない。あと心理描写が浅いと思う。虎ロワとかのドロドロ感を期待。
ほしゅ
206 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/23(火) 01:09:36 ID:5U01Je7lO
大ちゃんてそんなキャラなんか
これは何時間かきこみなかったら落ちるんだ?
age
209 :
何もわかってないくせに:2006/05/24(水) 01:14:55 ID:TEoWTLoN0
カツノリオールスターへ
野村はいつ更迭されんの?
長坂
捕手あげ
外野で鉄平と憲史に投票しといたお
214 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/05/26(金) 02:31:47 ID:etcvrZtC0
_,r:::::::::::::::.ヽ、
r:::.:.::_:::(:::::::::::::::... ::::.ヽ..
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(.::;r' ' ヽ:::::::::::::::-=
j:;} ..,,_ヾ::::::;;:;;z::|
1::|,;r'".._ _ _. ‐_ "''._ヾ.,;:::}
{(i'' ,.⌒、_'.`'ン' ̄ ::';`_ミ
`;:{` ´.; :, .:: ::';{_,;リ`
{l:. ;、,_:.) ..: ;;';._,イ`
ヘ ;',_,,,_ 、 , j" |:::{
ヽ: `゙-‐` :'; ,ソ /ヾ、
ヾ、,_,,,/// / \
l'|:~'' ;/ / /`\
: ヽ/ / .:'
/l⌒>'゙
「衰えたなノム・・ 」
ノムおまえもまた野球人だった
さらばID野球伝承者
ほしゅほしゅ
ふ
じ
い
イ
ケ
メ
ン
ブ
タ
キ
ラ
227 :
『死と無』:2006/05/29(月) 18:53:06 ID:XAH6tQ7c0
沈んでいく、世界が回転して落ちていく。
暗い世界に落ちる。何か−−−何か掴むものは−−−
手を伸ばす、白い何かが見える、目を凝らす。
あれは−−−?
228 :
『死と無』:2006/05/29(月) 18:53:47 ID:XAH6tQ7c0
「4…」
自分が呟いた言葉で目が覚める。起き上がると、背筋に脂汗が流れた。
寝てたのか、俺は。
二日酔いのような澄んでいない意識をどうにか呼び覚ましながら、辺りを見渡す。
「…あれ?」
日焼けした薄茶色なシミだらけの壁が周りを囲み、何だか狭苦しい。
自分が眠っていたベッドと対するようにある右手側の窓からは暑苦しいとも暖かいとも言いにくい日差しが差し込んでいる。
寝床を確認してみると今時木で組んだベッドの上に布団とシーツ、そしてタオルケットを乗せているだけだ。
タオルケットを体の上から退け、床に両足をつく。
ぎしりと床が軋んだ音に何故か驚いた。何で?
疑問に思いながら、まだ痛む頭をさすりながら立ち上がる。一瞬ぐらっと眩暈がした。
寝すぎたか、そう考えながら部屋の真ん中まで進み出る。
「…どこだ、ここ…。」
本格的に見覚えが無い。
自分を中心に、右手に窓、左手にベッド、正面にドアが位置した狭い部屋。
しかもよく見てみると窓のある壁のドア側には小さな柵のようなものがあった。
ますます分からない。大体、何で自分はこんな場所で眠っていたのだろうか。
記憶を呼び覚まそうとしても何も出てこない。
とりあえず座ろうとベッドに向かいなおす。
ガチャン。
「目ー覚めたー…って覚めてるな。」
「…え?」
突然部屋に一つしかない扉が開いた。
座ろうと腰をかがめた状態のまま思わず固まる。
部屋に入ってきた人はエンジ色のアンダーシャツに白いユニフォームズボンを履いていた。
あぁ、楽天の人だ。
229 :
『死と無』:2006/05/29(月) 18:54:40 ID:XAH6tQ7c0
「ら…楽天?」
「お前もだろ、土谷。」
「え…何で…」
俺の名前知ってるんですか? との言葉が出てこなかった。
鉄平は目の前でドア枠にすがる背の低い男を見たまま、体を硬直させていた。
何で? 何で俺の名前を? って俺が楽天? え?
はたと自分の服装を見た。
エンジ色のアンダーシャツに、白いユニフォームズボン。目の前の人と何も変わらない。
いや変わるといえば自分がぴったりとした長袖のシャツなのに対して、目の前の人物は袖にゴムが入っている長袖シャツだ。
どちらにせよ、この色は間違いなく東北楽天ゴールデンイーグルスのチームカラーだ。
ああ、思い出した。俺は移籍したんだっけ、中日から楽天に。つい最近。そうじゃんそうじゃん。
それで、何でこの人と一緒にここに? っていうかこの人誰?
謎が終われば、また次の謎が出てくる。
「…面白い顔になってるぞ。」
「え、えだって…」
「お前入ってきたばっかだったよな。中日だっけ?」
「は、はい。」
「なら俺の顔知らなくて当然だろうな。地味だし。」
「い、いやいやいやそんなことは…」
「高須だ。高須洋介。一応お前よりちっちゃいけど年上な。」
高須洋介。復唱して思い出してみる。
…やっぱり無理だ。何も出てこない。
そうこうしていると高須が背後から椅子を取り出し、ベッドの近くに置いた。
「座れば。お前倒れてたんだし無茶しちゃまずいだろ。」
「たおれたぁ?」
230 :
『死と無』:2006/05/29(月) 18:54:59 ID:XAH6tQ7c0
ばっと思わず口をふさぐ。無意識とは言え、年上の人に対して喧嘩を売るような発音で話してしまった。
鉄平は高須の顔を見た。
しかしその表情には怒っているというよりかはクエスチョンマークが頭の上に乗っているようなものだった。
「え、もしかしてお前打ち所悪かった?」
「…かも知れません。」
「何があったか覚えてない?」
「…はい。」
「じゃあ何が起こってるかは?」
「え、だって俺来たばっかで…。」
「本気で言ってる?」
「はい…。」
高須が鼻を撫でた。この人の癖だろうか。
っていうかそんなことどうでもいいから、一体何があったんだ?
持ってきた椅子に高須が何か考えながら座ったのを見て、ベッドに腰掛ける。
困ったように右の口の端をさすりながら考える高須。
「…記憶飛んだっぽいな。」
「え?」
数秒後に鉄平は高須にそう告げられた。
記憶? どこが飛んでるんだ? だって俺さっきまで寝てて。寝てて……あれ?
…寝てる前、何してたっけ?
鉄平は額に手を当てて、目を見開いた。本当に、寝ていた前のことが思い出せない。
おかしい。例え疲れきって寝たとしても歯を磨いたぐらいは記憶が残っているはずなのに。
それにこんな見知らぬ部屋に来たら尚更覚えているはずなのに、全然、全く、これっぽっちも。
記憶がない。
231 :
『死と無』:2006/05/29(月) 18:55:44 ID:XAH6tQ7c0
「その顔だと、ビンゴみたいだな。」
高須が鉄平の顔を覗きこみながら話す。
「まぁ…まだ痛みとか残ってるかも知れないし、休んどけ。ここには俺しか居ないから。」
「あ、あの。」
がたがたと椅子を片付け始めた高須に鉄平は勇気を出して尋ねた。
「ここ…どこなんですか? それと俺なんでここで寝てたんですか?」
瞬間、高須の目の温度が一気に下がったのを鉄平は感じた。
何で…何でそんな目するんですか? 俺変なこと聞きました? 何で? 何で?
小さな混乱が鉄平の中で広がり、波打つ。
手元のタオルケットを意味もなく握り締め、呼吸が速くなっているのが自分でも分かった。
「……別に? 大した事じゃない。」
高須の目が元に戻ったのも束の間、また椅子へ視線を戻し扉を開けた。
鉄平はゆっくり呼吸をするように心がけ、強く握り締めていた右手を開いた。
何で、何で俺はここに居て、この人はここに居て…何で…
呼吸がまた速くなる。運動した訳でもないのに何で、呼吸が速くなるんだ?
左手を胸に当て、心拍を聞く。平常の時ではありえないほど脈が強く打っている。
何で、何で俺が、何でこんなところに…。
ガタン、と音がして、思わず鉄平が扉の方を向く。
見ると高須が扉の側に椅子を戻していた。
些細な物音に反応してしまう自分を諌めながらも、鉄平は高須から何かを聞き出そうと立ち上がった。
「−−−そうそう、お前の背番号ってさ。」
扉の向こうは昼の可能性が高いにも関わらず薄暗い部屋が続いていた。
振り返った高須の顔には斜め上からしか光が当たらずあまり表情が浮かんでこない。
しかし、その見えない高須の表情とその向こう側に見えたものが鉄平の動きを止まらせるには充分過ぎた。
232 :
『死と無』:2006/05/29(月) 18:55:59 ID:XAH6tQ7c0
「不吉、だよな。」
にやりと笑ったように見えた高須。
そしてその向こう側には、『4』のついたユニフォームが吊るしてあった。
鉄平はぐらりと世界が歪んだのを覚えた。
乙だす。
久々の新作だ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
鉄平カワユス!
高須カクイー!
捕手
_____
/:::::::::::::::::::::::\
/::::::::::::::::::::::::::::::::::\
__|::::::::::::::YS:::::::::::::::::::ヽ
| (●), 、 (●)゚u:|川
| 。 ,,ノ(、_, )ヽ、,, 。 ::|川 ここなら…
彡|゚。 u ト-=-イ`゚u :::|リリ
彡彡\ 。゚ `ニニ´。 u :/ (((
/ヽ、ニ__ ーーノ゙\_
>>236 _,、 _,, -、,、
,,r'^::::⌒゙'::::´::::::´゙~ヽ
,r'":::::::::::::ミヾ::ヽ::::ノノ::シ
/:::::::彡;;;:);;;;;ミ;》;;))(;;彡ソノ
l:::彡::::;l::´ノ 、, l::)
l::_:::::イ:::,r'==.、 ,r='}´
((ヽ::l::::.. <○テ ゙i:'○テ{ ……
ほす
239 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/02(金) 06:18:16 ID:637Xk+Yw0
age
干す
ヤ
ク
ル
ト
ス
246 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/03(土) 22:06:08 ID:V60RjqAzO
ワ
ン
ボ
コ
ボ
コ
ラ
ン
ド
255 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/08(木) 03:34:12 ID:ooMcuILU0
リ
256 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/08(木) 06:11:01 ID:dsA0Vtv+0
カ
257 :
マイク:2006/06/08(木) 08:14:48 ID:CcA36P/l0
なぜカツノリを使い続けるのかがわからない
258 :
マイク:2006/06/08(木) 08:16:35 ID:3UWEPcu70
なぜカツノリを使い続けるのかがわからない
ほしゅ
☆
261 :
無形の力:2006/06/09(金) 23:57:07 ID:LBUFxxeg0
カツノリが使われる理由
@一場専用捕手だから
A楽天のムードメーカー
B親の権力
な
し
だ
は
267 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/12(月) 16:06:26 ID:n4NYfFbjO
み
んななしだ
269 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/14(水) 17:24:10 ID:wbMAPrYgO
駄
念の為捕手
保守しますよ、っと。
272 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/16(金) 23:52:03 ID:0oVZAErtO
こんな場で死んでたまるか
と、河田寿司は誓った
(そうだ、俺はまだ今年入ったばっかりじゃないか。何で俺が殺し合いなんかに参加させられた?)
いつの間にか握り締めた右手に息を吹きかけ、河田寿司(27)は近くの木の根に座り込む。
説明を聞くところによると、今後のプロ野球界の行く末を決める為に俺達をゲームの駒にするらしい。
1リーグか2リーグか。
多分このゲームが無事に終わって、イーグルスがプレーオフ参加圏内の3位以上になれば、2リーグ制維持。
もしそれ以下、4位以下なら1リーグ制になるのだろう。その場合は10球団にならなければならない。
だとするとパ・リーグで消えるのは−−−筆頭はイーグルス。
オリックス・バファローズはわざわざ去年建前であろうと強くなろうとして合併したぐらいだ。オーナーは野球好きだと聞いているし、まず無いだろう。
ホークスは親会社の社長が確かジャイアンツのあのオーナーと面識があって、それなりな仲だ。年俸が軒並み上がったのもある、かなり大切にしていると見ていいな。
マリーンズは去年優勝したばっかりで、生きのいい若手が大勢いる。世間体を気にすれば、解散させるにしにくいだろう。今回はないな。
ファイターズ、はどうだろう。去年はプレーオフに入れなかったが、北海道に根付いたばっかりのところで潰すか? かなり難しいだろう。
残るライオンズは他のパ・リーグ球団に比べれば潰す材料が揃っている。親会社の不祥事、主観だが人気の無さ−−−黄金時代は昔になりけり、だしな。
一応2004年の日本王者だが、多分無視される。力の無い人間にはほとほと興味ないみたいだしな、読売のあの人。
セ・リーグは近鉄とオリックスの合併で棄権したカープが一番危ないだろう。12球団で一番真面目な経営してるのにな。経営者の集まりが経理課の人達に負けるとかヤバいだろ・・・。
おっと、話がズレた。カープに次いで危ないのは・・・スワローズ辺りか。去年の観客動員数が12球団中最低だったというのを聞いたことがある。
ならもしかすれば、この殺し合いが無事に終わってそしてイーグルスが4位以下だとすると−−−。
「その3球団で殺し合いをさせられる可能性がある、訳かよ・・・・。」
思わず呟く。またそれが今現在起こっていることと照らし合わせると何の矛盾がない辺りが薄寒さを感じさせる。
殺し合いという最悪なアイデアは多分、数年前に社会現象になったあの映画が元だろ。っていうかそのまんま。
孤島である基準で集められた人間達が、椅子取りゲームの要領で目標数に達するまで殺しあう−−−。
何と陳腐な考えしか出来ないだろうか、『プロ野球球団のオーナー』という人種達は。まぁ、一部の人除いて・・・・。
「−−−待てよ。意見を出したのは・・・。」
河田は突然台詞を口にし、黙り込んだ。出発前のある発言が頭の中にフラッシュバックする。
『去年の暮れに臨時オーナー会議が召集されて極秘に行われた。
イーグルスについて1リーグ派と2リーグ派のが対立した訳だが、そこで登場した或る意見が討議された。』
(『或る意見』、登場した経緯は一切説明なし。そしてイーグルスから臨時オーナー会議に出席するのは−−−!)
「・・・・オーナーの、三木谷さん。ありえないことは100%無い。」
テレビに出ずっぱりの時に聞いた記憶がある。『1ヶ月の仕事は3週間でやれ』と。
この言葉は短い期間で集中して、仕事をやりぬけば1年間の仕事量が増え、結果的には利益が倍になる。という意味だった。
河田はそこまで突拍子の無い考えが出来る自分に驚きながらも、右手を再び強く握り締めた。
野球における新チームは普通、どんなに優秀な監督やコーチや選手を連れてこようとも1年で最下位からAクラスになることなど到底不可能に近い。
確かに優秀な選手で固めて、小学生でもやらないようなドリームチームを作れば優勝は可能だが、そんなチームはむしろファンより圧倒的にアンチの方が多くなるだろう。
しかし最低でも4、5年かけてじっくりとチームの色や個性、そして選手を育てなければ優勝どころか目先の1勝さえ危うい。
だが、あの人はやる気でいたのかも知れない。
『常勝』のチームを『1年』で作ろうと、もしかすればイーグルスを作ったその日から−−−。
「短気だ、短気過ぎる。」
あまりにもの想像に思わず河田は天を仰ぐ。これもこの殺し合いの中の醍醐味だろうか、『疑心暗鬼』。
もしこの想像力が他の選手について向けられていたら。ぞっと背筋に冷たいものが走る。
「とにかく、俺はこんな場所で死にたくない。死にたくない・・・。」
河田はもう一度心に誓う。やり残したことだらけの世界で、まだ自分は死ぬ訳には行かない。
捕手として色んな投手のボールを受けたい、打者として色んな投手のボールを打ちたい、そして野球選手として−−−輝きたい。
死にたくない、死にたくない。俺はまだ、死ねない。
深呼吸をすると、ともかく移動しようと河田が立ち上がった。
その時だった。河田の視線と茂みの向こうから覗き込んでいた森谷明仁(00)の目が交錯したのは。
「森谷!」
「誰やっけぇ、自分・・・・。」
気だるげな森谷の返事に河田は一瞬たじろいだ。気だるげな返事とは裏腹の、森谷を包む空気に触れて。
ゆっくりと歩を進める森谷を見ながら、さっきみた名簿を思い出しつつ河田は口の中の唾を飲み込んだ。
「・・・河田、寿司。お前と一緒の年で、79年生まれだ。」
「そうなん・・・知らんけど。」
意外と普通かも知れない、河田は緊張感を少しだけ解くと自分も一歩前へ踏み出した。
「だろうな、俺は今年入った−−−」
ガサリと河田の手元の葉が揺れ、白いユニフォームを纏った森谷の姿が現れた。
くすんだ黄金色をしたバットのヘッドがふらふらと所在無さ気に地面の少し上で動いている。
「なぁ自分、守備位置どこ?」
河田の言葉を聞いていなかったかのように、森谷は話しかけた。
バットのヘッドが膝を過ぎ、胸の前に置かれる。河田はそれをじっと見つめていた。
何かが頭の中で鳴り響いているような−−−いやまさかそんなはずは−−−。
あまり話したことはことはないが、まさか同じ年で、まさかチームメイトで、まさか・・・・。
そんな河田の様子を不思議に思っているような表情で森谷は鞄を開けて、名簿を取り出した。
「河田ー・・・あった。ふーん、自分キャッチャーなぁ・・・・。」
丁寧に名簿をたたむと、森谷は一歩河田に近付いた。
無意識の内に河田も一歩下がる。森谷はまた不思議そうな表情を浮かべた後、もう一歩前へ出た。
河田も後退しかけたが、先ほどまで座っていた木にぶつかる。
「なぁ、自分キャッチャー?」
森谷が不敵に笑う。その瞬間、河田の理性は本能に奪い取られた。
ガツッと乾いた鈍い音が河田の頭上を通り過ぎる。森谷が無表情でバットを振るう。
空気中に舞った木屑は重力に負けて落ちる。
一瞬、河田は乱れた呼吸を治す事に神経を取られた。むしろ、それ以外考えたくなかった。
(死にたくない、死にたくないと決意したから−−−死にたくない!!)
魂の叫びが自分の耳に届いた頃と同じくして、叫ぶ声が聞こえた。
「盗塁刺すってこんな気分やろ?! 走者殺すってこんな気分やろ!? 俺は、お前の気持ちになってんねん!!」
インコース低めのボールを打つように、森谷が腰を捻る。河田がこけそうになりながら、ゾーンから体を外す。
またもや空振り、2ストライクノーボール。そろそろサインが変わって−−−。
「誰か!」
今度は河田が叫ぶ。ようやく理性が脳内の主導権を取り返す。
しかし異常にしか見えない森谷の行動に、河田の理性は次にするべき行動が出てこなかった。
逃げなければ、河田がそう思った時にはもうすでに森谷が第3スイング目の体勢に入っていた。
今度こそ絶体絶命、決意した直後に死亡ってそれって何てシナリオなんだ−−−。
スローモーションで森谷のスイングが見えてきた、過去の思い出が続々出てきた、どう考えても−−−死ぬ。
だが、河田はそこで目を見開いた。
暗くなってきた世界に飛び込んだ光が見えてきたからだ。
スローモーションの森谷の向こうに見えたのは同級でキャッチャーで、そして今年一緒にイーグルスに入団した−−−。
「中谷!!」
転がりながら叫ぶ。3球3振−−−森谷のバットが空を切る。
無表情だった森谷の顔から怒りが生まれ、恐れおののいていた河田の顔から悲しみが取り除かれる。
森谷が現れた茂みの奥にある中谷の顔を河田は認識した。
「中谷! 中谷っ、助けてくれ!!」
這いずり中谷の下へ移動しようとする河田を森谷が眺める。
それはさも虫の死骸を見るような、突如地面に開いた深い穴を見るような、完全に意識が別の場所へ飛んでいる瞳だった。
「なぁ・・・・」
「中谷! こっちだ中谷!」
「なぁ・・・・・自分・・・・」
「中谷!」
何とか立ち上がり、河田は森谷に背を向けたまま走り出した。呼びかけに中谷が反応を示す。
足が震えて、考えたより巧く走れない。自分はこんなに弱い人間だったのか。
そんな少しどうでもいいことに頭が働き出したことに気付き、河田はようやく本来の自分に戻れた気がした。
(とにかく、とにかく、この場、いやまずはこの男から離れなければ−−−)
ようやく実感したこの世界の恐ろしさ。
殺さなければ死ぬ、殺されなければ殺さなければならない、自由も権利も何も無い、この世界は、一体−−−!
「殺される奴の気持ち分からんやろ。」
ドスンと鈍い音がした。河田の視線が木屑のように落ちる。
「俺が殺すから、分かればええんとちゃう。ほら、な?」
ガスン、ガスンと続けて布団を叩くような音が河田の中にこだました。何故か、体が動かない。
しかも世界が段々と狭まっていく。木が見えなくなった、草が見えなくなった、光が一つだけ残る。
それに向かって手を伸ばす。文字通り必死に、手を伸ばす。そしてまた森谷の叫ぶ声が聞こえる。もう頭の中で言葉にするほど河田には余裕が無かった。
中谷仁(44)は尚も執拗に河田の頭を金属バットで殴りつける森谷の姿に昔のことを思い出していた。
どんな高貴な考えがあろうとも、強大な力の前には成り立たない。そう思い知った昔のことを。
ああ、と溜息がこぼれた。
どうせ世界は変わらない。不幸にもこの新人は、そのことを知らなかったのだろう。他人の不幸は蜜の味だ。中谷は笑う。
そしてあらかた森谷のユニフォームが赤に塗りつぶされたところで踵を返した。殺される前に逃げよう。
ゆっくり呼吸をすると、微笑を浮かべ、中谷は歩み始めた。
中谷が立ち去って5分後、森谷がふらりと立ち上がる。
河田の頭蓋骨は最早陥没の域を超え、完全に破壊されおり、脳漿や骨の破片がそこら中の草むらに飛び散っていた。
焦点の合わない目つきのまま、森谷は河田だったようなものを、また豚の脂肪のような、脳を組織していた細胞を5個ほど踏み潰してその場から二歩離れる。
手にした金属バットは生きていた人間を組織していたもので覆われていたものの折れてはおらず、2回森谷が空中で振るとその汚れがほとんど落ちた。
ふっ、と森谷の目の焦点が合い、空を見た。1月にしてはさほど肌寒くなく、陽気に晴れた空。
「・・・親父・・・・俺ね・・・野球選手なんよ・・・・・」
幸せそうに森谷が笑う。首を伸ばし、こうやってゆっくり空を見るなんていつ振りだろうとまた笑った。
森谷は金属バットを引きずりながら、河田の鞄をたすきがけのように自分の右肩にかけると中谷が歩いた方向とは逆に進みだした。
自分ほどに野球を愛して、自分ほどに野球しか考えていないのはこの世界に存在しない。
ヒットを打ちたい、盗塁がしたい、ホームベースを踏みたい、ボールを捕りたい、広いグラウンドを走り回りたい、栄光と歓声を浴びたい、何もかもを手に入れたい。
俺は今、野球の神様に愛されてる。俺は今に、イーグルスにとって生き残るべき存在になる。
夢心地のまま、森谷は歩き出す。
鳴り響く銃声が、ホームグラウンドを染めるクリムゾンレッドの声援に聴こえ、思わず振り返って左手を上げた。
英雄を褒め称える歓声に応えるように。
281 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/18(日) 23:47:16 ID:JBA+NAtKO
中谷仁は考えていた。さっきの惨劇を思いだしながら…
誰を憎めばいい?
誰を怨めばいい?
皆、『生き残りたい生き物』であり『生き残りたい選手』であるこの場で。
死にたくないだけの者もいれば、選手として生き残りたい者もいるだろう。だってそうだ、皆野球が大好きで、野球に人生を捧げた男達なのだから。
だからこそ、綺麗事は通用しない。必要ない。死にたくない。帰って野球がしたい。
そう思いながら、歩いていた。
すると、突然目の前に男が現れた。名前を覚えていないその相手は、不適に笑った。
そう、それはまさに不適な笑顔で、こんな狂気の島では全くそぐわない、遊園地にでも来た子供の満面の笑顔だった。
「こんにちは」
その笑顔から声が、ある意味適っていてある意味適っていない台詞が、中谷に向けて発せられる。罪の無い、無垢な声で。
その声に、中谷は思わず体を痙攣させた。なんなんだ、この声は…?
「あのー、中谷さん?どうかしたんですか?」
笑顔は崩れないそのまま、首を傾げた。その視線は、中谷の瞳の奥を見通すように、眼光を強くする。中谷は思わず俯く。
「見てましたよ、さっきのこと、大体ね」
思わず、また、顔を上げる。
中谷の心に、冷たい悪寒、背に氷を入れられたような、不快な感触がよぎる。
一言一句が、刺さっていく、言葉が、鋭く、中谷の心に。矢のように、抉るように、衝き抜くように。
笑顔がさらに言葉を連ねる。
「なぜ、助けてあげなかったんですか?」
糾弾されているのだろうか、と言えば、しかし口調には鋭利さはなかった。
純粋な子供が「なぜ?」と尋ねるような、淡く溶けるような軽い口調。
「人が困っているんだから助けてあげないといけませんよ」
再び中谷は微かに震えた。頭の中で錠の開く音を聞いた気がした。
助ける?オレが?あいつを?それこそ「なぜ?」だ。
あの時だって俺たちを助けてくれた人はいたか?なあ?なあ?お前は知らんかもしれんけどよ!!!
「だめですね、中谷さん」
だめ?なにがだめなんだ?殺し合いをさせられてるんだぞ?誰かを助ける余裕なんて無いだろうが。
こんな時に「弱いものは助ける」なんて正義のヒーローがいるか?普段の世界にだっていないだろうが。そうだ、あの時だってそうだった。
中谷の拳が強く握られる。
「見てみぬフリなんて悪い人ですね」
悪い?悪いのはどっちだ?人間誰しもわが身が大事に決まってる。なおさらこんな所じゃそうだろうが。どんな横暴な正義でも力がある限り、逆らうのは愚かなことじゃないか。
お前だって、見てたって言ってたじゃないか。傍観してたんじゃねーか。オレが悪いんなら、なあ?お前も同じじゃねーか?何笑ってんだよ?何がおかしい?
握った拳の強さで手のひらから、血が滴る。
「悪いことをしたら、罰を受けないといけませんね」
罰?何でオレが罰を受けないといけない?お前だって同罪だろうが。何が罰だ、ふざけんな。あいつは罰を受けたのか?
なのに何でオレが罰を受けないといけない?
理不尽さにはもう耐えられない、と思うと怒りはさらに増した。視界が赤く染まる。
中谷は叫びながら拳を振り上げ、笑顔に飛びかかった。
向かってくる中谷を見て、仕方ないな、と笑顔を苦笑にかえて彼はいった。
「罰を受けないといけませんね、中谷さん」
ベルトにぶちこんだニューナンブの撃鉄を起こしながら構える。
そして撃つ。撃つ。撃つ。至近距離も至近距離。弾丸は外れることなく中谷の腹部に埋まっていく。
「がああああっ」
痛みは三回、正確に瞬時に脳に達し、形相が憤怒から苦痛に歪み変わる。振り上げた拳が力なく虚空を舞う。中谷は彼の間際で倒れこんだ。
焼け付いて取れない激痛にもだえる中谷の顔を彼が覗き込む。
「仕方ないよね、自業自得っていうの?」
そう言いながら彼は再び笑顔になった。耐えられない痛みの中でその笑顔を見た中谷には、その顔はあのときの顔とフラッシュバックした。
くそっ、何で…、くそっ!
口から出てくる血液にまぎれて声にはならない。激しく咳き込むたびに、鉄の苦い味が口中に広がっていく。
ただ笑顔を睨むだけだった。
「おお、こわい。それじゃ、お元気で」
彼はやはり、笑いながらそう言うと、くるりと翻り、歩いていった。
追いかける力はもう無く、中谷は後ろ姿を見つめるしかなかった。
だんだん遠ざかっていく意識。主格を失って眠りに、闇に、落ちていく意識。
静寂に回帰するために沈んでいくその中で、明るく残った最期のイメージは、小さくなっていく背番号36の後ろ姿だった。
職人様乙です!
森谷怖eeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!
ちょ、中谷、朝井、おま・・・・・orz
楽天の79年回が早くも森谷1人になってしまった・・・・orz
新作乙です!
そろそろドロドロか?
287 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/20(火) 18:22:51 ID:uKcJypl/O
背番号00:森谷昭仁
今、彼は、立ち止まっていた。目の前に現れたのは、愛らしい笑顔で銃を構えた背番号36:朝井だった。
「あなたも罰を、受けなければ」
そう言って、無邪気に笑う朝井を見ても森谷は、邪気いっぱいの瞳を、無表情のままむけるだけだった。
「今度はピッチャーか…」
銃を持ったピッチャー、目の前の朝井に、森谷は冷たく笑ってバットをかまえた。
「おもろいやないか。」
しかし!その時二人の間の空気を叫び声が割った。
「やめろ、お前ら!」
でも、駆け寄る選手会長と憲史の叫びに一瞬は止まった空気は、再び息を吹き返し、もはや叫びは彼等には聞こえなかった。
「さぁ、受けるんです。罰を。」
「望む所や。来い!」
バン!バン!バン!
289 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/21(水) 01:49:37 ID:TDfqd/D3O
磯部は転んで倒れた。右足首を痛めた。憲史は、二人の邪念に腰を抜かした。
ここから、あの二人が誰なのかは見えない、今の叫びも、聞こえなかったかもしれない。しかし、磯部に「行け、二人を止めろ」と言われたのがひっかかり、目だけはそらさずにいた。
バンバンバンという音は、朝井の声だった。もう玉の入っていない銃を朝井は森谷に向け、バンバンといいながら、空の引き金を引いていた。
もう意識は錯乱して現実が見えなくなっていたのだろう。森谷は、そんな小さな玉がバットに当たるわけがないと、ふりかぶったバットを掲げたまま、朝井に襲いかかった。
290 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/21(水) 01:56:31 ID:TDfqd/D3O
そんな光景を磯部と憲史の反対側で見ていた竜太郎は、スタンガン片手にシゲミニ隠れていた。
「あいつは…」
微かに見えた片方の足元は、赤く、それは森谷の足元の赤いソックスだとわかった。
「あいつさえいなければ俺は…」
竜太郎は、決意し、家族のためにも野球を続けるためにも帰らなければと、スタンガンを握り締め、走った。
「森谷!お前がいなければ俺は…」
そう叫びながら走り、相手の首に、まるで突き立てるようにスタンガンを突き立てる…。「ぎぁぁぁぁ!!!」
声を上げ、相手は倒れた。
291 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/21(水) 02:10:45 ID:TDfqd/D3O
「森た…」
横にしゃがんで顔を見たら、竜太郎は、寒気がして、足元を見直した。
ザッ!ザッ!と草を踏んで歩く音に寒気が倍増し、振り返ると、その足元は、赤いソックスを掃いていた。
そう、自分が殺した相手は、中谷の返り血を浴びた朝井だった。目にうつったソックスの上を見上げると、顔が見える前に振り下ろされたバットが見えた。
そのまま後ろに竜太郎は倒れ、最後に少しだけ、森谷がいつものように笑う顔が見えた。
292 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/21(水) 02:18:59 ID:TDfqd/D3O
磯部は、憲史に囁いた。
「伏せろ」
「え?」
憲史は、視線を反らせずに答えたが、磯部は憲史のユニフォームを引っ張り、
「あいつはまだ、俺達に気付いていない。伏せろ」
と強く囁いた。
森谷は、まだ息のある竜太郎に大声で笑いながら、バットを振り下ろし続けた。
「ほんま…ほんま阿保ちゃうか?!俺と朝井間違えよって…!ユニフォームの裾か…!間違えよって…ほんま阿保や…ギャハハハハ!」
と、何度も何度も、バットを振り下ろした。
「あいつは、もうダメだ。危ない。」
そう言って磯部は、息を潜め、憲史も、黙ってその場を我慢した。
機会があれば投下したりしたいんだけど、もう遅い系?????
>>293ちゃんとした作品で、ある程度書けるんならいいんじゃない?
もはや混沌としてるけど…w
鷲バトの伝統なのかもw
バトロワSSリレーのガイドライン
第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)
リアルタイム書き投下のデメリット
1.推敲ができない
⇒表現・構成・演出を練れない(読み手への責任)
⇒誤字・誤用をする可能性がかなり上がる(読み手への責任)
⇒上記による矛盾した内容や低質な作品の発生(他書き手への責任)
2.複数レスの場合時間がかかる
⇒その間に他の書き手が投下できない(他書き手への責任)
⇒投下に遭遇した場合待つ事によってだれたり盛り上がらない危険がある。(読み手への責任)
3.バックアップがない
⇒鯖障害・ミスなどで書いた分が消えたとき全てご破算(読み手・他書き手への責任)
4.上記のデメリットに気づいていない
⇒思いついたままに書き込みするのは、考える力が弱いと取られる事も。
文章を見直す(推敲)事は考える事につながる。過去の作品を読み込まず、自分が書ければ
それでいいという人はリレー小説には向かないということを理解して欲しい。
リアルタイム書き投下のデメリット
1.推敲ができない
⇒表現・構成・演出を練れない(読み手への責任)
⇒誤字・誤用をする可能性がかなり上がる(読み手への責任)
⇒上記による矛盾した内容や低質な作品の発生(他書き手への責任)
2.複数レスの場合時間がかかる
⇒その間に他の書き手が投下できない(他書き手への責任)
⇒投下に遭遇した場合待つ事によってだれたり盛り上がらない危険がある。(読み手への責任)
3.バックアップがない
⇒鯖障害・ミスなどで書いた分が消えたとき全てご破算(読み手・他書き手への責任)
4.上記のデメリットに気づいていない
⇒思いついたままに書き込みするのは、考える力が弱いと取られる事も。
文章を見直す(推敲)事は考える事につながる。過去の作品を読み込まず、自分が書ければ
それでいいという人はリレー小説には向かないということを理解して欲しい。
一部が二重カキコ…orz
>>293 もう色々と頑張ってくれw
とりあえず死人まとめてみた。話数は仮にだけど
・マーティー=キーナート元GM(第1話)
・松本匡史コーチ(第3話)
・永池恭男(第5話)
・佐藤和宏(第13話『ひび割れた心』)
・河田寿司(第21話『抵抗者、傍観者、破壊者』)
・中谷仁(第23話『Innocent smile』)
・竜太郎(第25話)
>>303乙!
やっぱり他のスレみたく連絡用の掲示板とかを作ったりしたほうがいいだろうか?
それとも混沌と香ばしさを楽しむロワスレでいいのかな?w
☆
☆
捕手!
☆
捕手
捕手てがらにこれからの展開や、
出て欲しいセンシュについて書いてくのあり??
>>310 この選手はこう動いてほしいとか、こういう展開がいい、とかを書いちゃうと、職人さんが書きにくいと思うからやめとくべきだと思うよ。
なんか考えてる展開があったりするなら、書いてみたらどう?
書くってのはBRリレーを、ってことです。
そっか〜、じゃあ職人さん降臨するのをwktkしながら待ってます!
けど、ただ捕手してるだけだとつまらんのは事実なんだよな。
捕手
他BRスレどうなってるのか偵察してくるお!⊂二二二(毛^ω^)二⊃
>>311が言ってるのは待ってないで書けって意味じゃね?
やっぱりみんな、職人さん投下→感想→捕手の流れだった…。
画期的捕手の仕方は見つかんなかったお。(・ω・`毛) [`w´]
見守るスレで地味ロワとか23ロワとかやってるけど、ここでは流石に出来んしなぁw
おとなしく本編まってまつか…。
見守るスレ面白すぎwww 地味ロワは癒されるなぁ
321 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/29(木) 03:25:43 ID:Belwpt2VO
仙台はブスが多いのが気になる
322 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/06/29(木) 03:30:07 ID:0BfeG0Kc0
楽天はあまりにも弱いチームなので
がんばれ〜〜っと、応援してやってください!
捕手
捕手
捕手。野村マジック良かった
捕手。
藤井!
竜…。・゚・(つД`)・゚・。
何故泣いているのだ?? 名作・竜バト読んだの?
捕手。マリバトが良い感じで来てますな。
保守
332 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/07/05(水) 22:44:05 ID:BOVDCqE40
ホス・フェラナンデス
捕手がてら古今東西でもはじめてみる
テーマ;捕手出身の外野手。
(不必要なら途中で止めて構わないんで)
まずは、飯田哲也。
関川
和田(西武)
木村拓也
べっち
GGさとう
石嶺和彦
貝塚
秦
野口寿浩…は違うかな?
ジャーマン
イチロー …もあり??
そうだ、捕手なわけないわな 恥ずかしい…('д` ;)
塩谷はオケ?
五十嵐章人…
は、微妙かも…。
349 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/07/15(土) 14:26:02 ID:wtpBEF/h0
家計は内野手?
捕手。そろそろネタ切れっぽいな。
↓次の人、新たなお題どうぞ
351 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/07/16(日) 19:05:47 ID:f4cTiDWMO
変則投法のピッチャー
吉崎
上岡
村田兆治
山内泰幸
岡島
クマー
乙
中日鈴木
梶間
捕手
小池
362 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 06:11:55 ID:RnSY6CLuO
捕手
保守。職人さんいますか?
保守
保守
hosyu
やっぱり職人さんいなくなっちゃたのかなー…
368 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/07/30(日) 22:10:01 ID:S/1A3MX80
何で楽天みたいなクソ球団がプロ野球界にいるの?
369 :
代打名無し@実況は実況板で:2006/07/30(日) 22:25:42 ID:li9P1gp4O
山村死ね
「吉田さん、僕です。」
民家の玄関をノックする。声が中から返ってきた。
段々声が近くなってる。わざわざ出迎えに来てくれたのかな?
「入っても大丈夫ー。って誰かいる?」
「山崎さんも一緒です。入りますね。」
ドアノブを回して、戸を開ける。先に山崎さんを中に入れてから、自分も玄関の中に入った。
ぱたりとドアを閉めると困ったように立ち尽くしていた山崎さんに一声掛けてから上がる。
勝手知ったる他人の家ってこんな感じなんだろうかなー、と思いながら佐竹学(25)は廊下を進み、突き当たって右の和室に足を入れた。
所々に毟ったような跡が残る畳の上には吉田豊彦(48)が胡坐をかいて座っている。
佐竹が吉田の姿を認識したと同時にいささか遠慮がちな足音が聞こえ始めた。
廊下を見やると辺りを見回しながら山崎が和室へと移動している。
意外と怖がりなんだろうか、などぼんやり思いながら佐竹は軽く会釈をして山崎を先に部屋へと入れる。
別に大したことはない、年長者を敬うのは当然のこと。
と佐竹は考える訳もなく、いつもの通りに年上である山崎を部屋に入れたに過ぎない。
山崎が吉田と向かい合うように置いてあった座布団に座るのを見てから、佐竹はその2人のちょうど中間地点で扉に近い壁にすがるように座った。
二等辺三角形の頂点にそれぞれが座っているとでも表すのだろうか。
佐竹は畳の上に落ち着くと2人の様子を見つめた。
吉田は山崎と向かい合い、軽く唇を真一文字に閉じている。ただ眼光は普段と変わらず柔らかいままだ。
対する山崎はいつもよりも増して鋭い眼で吉田をじっと凝視している。
その右手には先ほど自分に対して構えられた日本刀の鞘が握られている。いつでも動けるようにか、あまり力は入っていない。
「武司、とりあえず日本刀置けば?」
山崎の眉が動く。しかし右手からはするすると力が抜けていくのが佐竹の目に入った。
(流石、伊達に選手の中で最高齢じゃないなぁ。)
妙な感銘を覚えつつ、佐竹は肩にかけていた鞄を畳の上に置いた。
ドスンと重たげな音は水の入ったペットボトルのせいだろうか。他に重いものは見当たらなかったから。
「−−−吉田さん、一体何が起こってるか・・・分かりますか?」
しばらく間を置いて山崎が困惑の問いを吉田に投げかける。
吉田はしばし逡巡した後、「さぁ?」と肩をすくめてみせた。
「さぁな。俺もよくは分かんねぇ・・・・ただとんでもないって事は分かる。」
どんだけ馬鹿な奴が考えたか知らねぇが。鼻で笑いながら吉田はひとりごちる。
山崎はその返答を一度口の中で繰り返すと、佐竹に聞こえるほど大きな溜息をついた。
「そうっすよね・・・・いきなり殺し合いだなんだ言われても、信じにくいって言うか、でも」
言葉が途切れる。横目で佐竹は山崎を見た。大分青白い顔だな、と気付いた。
それもそうだろうと佐竹は視線を正面に戻し、猫の額ほどの庭を眺める。
(だって山崎さん、優しいから。)
佐竹は考える。山崎は顔と体の割には案外優しいと。
誰かが塁に出て無事に生還した時、嬉しそうに頭をはたく。山崎自身がホームランを打った時はまた照れ隠しのようにはたく。
噂じゃ火事の時に子供を助けたこともあるらしい。基本的に優しいのは間違いないだろう。
「あんまり現実味のない現実、って奴だなこりゃ。」
吉田が返す言葉に相槌を付き、山崎がまた溜息をつく。
「何がどうなってるんだか・・・・でも佐竹と吉田さんに出会えて大分落ち着きましたよ。俺、ずっと1人だったらヤバかったかも、って感じでしたから。」
「そりゃ良かった。俺は佐竹が外出るの止めたんだけどー・・・・まぁ結果オーライ、ってこったな。」
2人の視線が佐竹に向く。佐竹は困ったように笑ってみせた。
あーと溜息のような独り言のような声を上げながら、吉田が畳の上へ大の字になる。
「あー。っとによぉ、うちの社長は何考えてんだか。」
「何も考えてないんじゃないんですか?」
佐竹の言葉に、かも知れねぇと吉田が笑う。山崎は幾分か足を崩している。
何て2人とも優しいんだろう−−−佐竹は目の前の光景を見ながら、膝を立て右腕をその上に置いた。
「殺し合いさせてどうするったってんだよ。そんな殺伐とした中じゃ人間不信の奴しか出てこねぇだろ。」
「チームはそんな作り方じゃないのに。」
ぽつりと山崎が呟く。佐竹は再び考えた。
山崎は口下手な部分はあるが完全に悪意を持って言葉を発することはまずない。
上司である監督を批判するのも、裏には自分に対するやるせなさがある。
野球にかけている熱意と魂に答えられない自分に対しての怒りがうまく発散出来ない程度の問題だ。
まぁうまく発散できないから監督と喧嘩してたんだろうな。佐竹は昔に思いを巡らす。
太陽の光に良く映えるあの芝生の上で一緒にプレーしたほんの2年前の話。
−−−ほんの、か。ほんの2年前か。
本当に2年しか経ってないのに、佐竹が右手で頬杖をつく。
何もかもが懐かしく、何もかもがもう戻ってこない『2年前』。ブルーウェーブは無くなった。
自分をプロの世界へ導いたブルーウェーブが。記録的なまでに弱くてもとにかく野球をやり続けた日々が。
果てしなく遠く感じるのは、気のせいだけではないだろう。
(野球、したいなぁ。)
佐竹は自分の左手を見た。バットを握り、グラブでボールを掴む手は皮が剥けて真新しい細胞が見え隠れしている。
この手と、この足と、この全身で味わう感触がひたすらに懐かしい。
バットの芯に当たらなかった時の手の痺れ、グラブでそのままトスを上げる時の一瞬、息を切らしながら三塁ベースを回る時の何も聞こえない空間。
『ほんの』2年前まで、『ほんの』昨日まで、感じていた全てが懐かしい。
手を握り締め、拳を作る。中途半端に塗られた爪のコート剤の白が自分の渇望を更に色濃くする。
「どうなっちまうんだろうな、俺達。」
「・・・・それも、分かりませんね。」
吉田も山崎も佐竹に釣られて左手を見た。
左手の向こうに2人は何を見てるんだろう、と佐竹は疑問に思うが口に出さないことにした。
多分、俺と同じであって欲しい。佐竹はそう願うだけに留める。
(だって俺達、野球選手ですもんね。)
窓の外に蝶を見つけ、大きく佐竹が呼吸をした。
そして先ほど思い出した感触を忘れないように、強く左手を握り締めた。
自分が野球選手であることを忘れないように、強く。
>>370-372乙。
かなーり久々の投稿ですね。
漏れも書こうかなぁ。って思ったけど、マリバトとか見てると技量が凄いから、ネタが浮かばないやw
新作キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!!! 職人さんご苦労様です!!
優しいジャーマン先生たちカワイソス…
職人さん乙です
吉田山崎佐竹の続きが読めて嬉しい(´∀`*)
背番号48・・・・りうたろうだお(´∀`;)
保守
保守
保守がてら今まで登場した選手と判明してる武器まとめてみた。
抜け漏れ間違いあったらスマソorz
投手
一場靖弘(11)【刀】
山村宏樹(16)
岩隈久志(21)
片山博視(28)【銃】
吉田豊彦(49)
×朝井秀樹(36)【ニューナンブ】
×佐藤和宏(51)【銃】
林英傑(91)
捕手
×河田寿司(27)
×中谷仁(44)
カツノリ(52)
内野手
酒井忠晴(0)
吉岡雄二(3)【巻物】
高須洋介(4)
斉藤秀光(5)【レーダー】
西谷尚徳(6)【ショットガン】
山崎武司(7)【日本刀】
沖原佳典(32)
×永池恭男(37)【自動車整備用のツールキット】
外野手
森谷昭仁(00)【金属バット】
礒部公一(8)【サバイバルナイフ】
鷹野史寿(9)
関川浩一(23)
佐竹学(25)
鉄平(42)
×竜太郎(48)【スタンガン】
憲史(61)