G-PART338 since '06 Jan 15
どこも書かなかった 長嶋さん 控え室の出来事
開場前、選手控え室を訪ねたミスターは、他の選手たちへのあいさつもそこそこに
高橋由に素早く視線を走らせた。そして厳しい目を向けたまま「巨人の4番を取れ!」と言い
放った。突然のゲキに高橋由は「頑張ります」と答えたというが、ミスターのけんまくに顔を
かなり引きつらせていたとか。
久しぶりの再会の場、しかもほかにも選手がいるにもかかわらず一喝するとは。理由は容易に
推測できる。
現在、巨人では生え抜きの存在感がかつてないほど軽くなっているからにほかならない。4番は外様の
小久保、FAなどの大量補強・・・。生え抜きはすっかり埋没しているのが現状だ。
特に高橋由だ。長嶋氏はルーキーだった1998年から生え抜きのスターとして大きな期待をかけていた。
「ウルフ」「天才」とニックネームを無理やりつけるなど、熱の入れようはハンパではなかった。それもこれも
「4番としてチームを引っ張っていく人材」とみたからだ。
ところがケガもあって高橋由はすっかり信頼を失っている。昨年12月5日に右足首を手術した影響で開幕微妙と
なっているが、首脳陣の間では「ヨシノブは開幕に間に合ったとしてもケガの再発が怖くて使えないだろ。4番は
小久保でいった方がいい」でまとまっているという。
それだけではない。首脳陣の1人は「ケガの多いヨシノブでは計算できないというのが我々の正直な気持ち。巨
人の4番にするには信頼が足りない」とまで言う。
系列の日本テレビ上層部は「ヨシノブは今年、ケガなく高い数字を残さないと巨人の
看板選手として扱えない」との声もある。まさに高橋由はがけっ縁に追い込まれていると言えよう。
だが、これでは長嶋氏としては困る。どれだけ大量補強したとしても、生え抜きがチームの真ん中
にドッシリと座っていなければ巨人は低迷から脱出できない。そして、その役が務まるのは高橋由以外
にいない。それだけに長嶋氏が「4番を取れ!」と声を荒らげて奮起を促したのは当然だ。
これまでは松井、清原の陰に隠れて三男坊的な気楽さを漂わせていた高橋由にピンポイントでムチを
入れた長嶋氏。低迷・巨人が復活するのはここしかないというところを的確に押してみせた。このことからも
驚異的な回復がうかがえるが、今後はさらに巨人に対する鋭い指導が期待できそうだ。
BY Tスポ