1 :
ウグイス嬢:
2 :
代打名無し@実況は実況板で:2005/10/04(火) 01:24:05 ID:M8eAnK1nO
2ゲッツ
参加選手一覧
・セントラルリーグ
読売ジャイアンツ
順位 氏名 年俸(万)背番号
4 清原和博 38000 5
5 上原浩治 35000 19
6 高橋由伸 34000 24
9 工藤公康 29000 47
17 小久保裕紀 24000 6
27 桑田真澄 21200 18
28 仁志敏久 20000 8
32 清水隆行 18000 9
41 江藤智 15500 33
47 二岡智宏 14000 7
55 阿部慎之助 12000 10
59 前田幸長 11000 29
62 岡島秀樹 10600 28
64 元木大介 10000 2
計14名 合計年俸 29億2300万
横浜ベイスターズ
順位 氏名 年俸(万)背番号
1 佐々木主浩 65000 22
17 斎藤隆 24000 11
25 三浦大輔 22000 18
25 鈴木尚典 22000 7
28 石井琢朗 20000 5
50 佐伯貴弘 13000 10
59 若田部健一 11000 14
計7名 合計年俸 17億7000万
中日ドラゴンズ
順位 氏名 年俸(万)背番号
12 立浪和義 25000 3
12 谷繁元信 25000 27
19 川上憲伸 23000 11
19 岩瀬仁紀 23000 13
19 山本昌 23000 34
28 福留孝介 20000 1
47 井端弘和 14000 6
59 落合英二 11000 26
63 野口茂樹 10080 47
計9名 合計年俸 17億4080万
阪神タイガース
順位 氏名 年俸(万)背番号
11 金本知憲 26000 6
12 今岡誠 25000 7
19 井川慶 23000 29
32 片岡篤史 18000 8
38 矢野輝弘 17000 39
46 下柳剛 14300 42
50 赤星憲広 13000 53
55 桧山進次郎 12000 24
計8名 合計年俸 14億8300万
人生初の3
ヤクルトスワローズ
順位 氏名 年俸(万)背番号
8 古田敦也 30000 27
32 宮本慎也 18000 6
37 岩村明憲 17400 1
39 五十嵐亮太 16400 53
計4名 合計年俸 8億1800万
広島東洋カープ
順位 氏名 年俸(万)背番号
41 前田智徳 15500 1
45 緒方孝市 14500 9
50 佐々岡真司 13000 18
58 黒田博樹 11500 15
64 野村謙二郎 10000 7
計5名 合計年俸 6億4500万
・パシフィックリーグ
ソフトバンクホークス
順位 氏名 年俸(万)背番号
2 城島健司 50000 2
7 松中信彦 32000 3
43 柴原洋 15000 1
43 斉藤和巳 15000 66
57 大村直之 11600 7
計5名 合計年俸 12億3600万
西武ライオンズ
順位 氏名 年俸(万)背番号
12 和田一浩 25000 5
12 松坂大輔 25000 18
19 豊田清 23000 20
28 西口文也 20000 13
54 森慎二 12500 11
計5名 合計年俸 10億5500万
北海道日本ハムファイターズ
順位 氏名 年俸(万)背番号
3 小笠原道大 40000 2
40 金村暁 16000 16
計2名 合計年俸 5億6000万
千葉ロッテマリーンズ
順位 氏名 年俸(万)背番号
19 小林雅英 23000 30
32 福浦和也 18000 9
47 清水直行 14000 18
計3名 合計年俸 5億5000万
オリックスバファローズ
順位 氏名 年俸(万)背番号
9 谷佳知 29000 10
64 村松有人 10000 3
計2名 合計年俸 3億9000万
東北楽天ゴールデンイーグルス
順位 氏名 年俸(万)背番号
32 岩隈久志 18000 21
50 礒部公一 13000 8
計2名 合計年俸 3億1000万
総参加人数 66名 年俸総額 134億8080万
※年俸は名簿の額を正しい数値とする。
※参加メンバーの年俸総額が10億を切ればゲーム終了。
年俸額順位表
順位 氏名 年俸 球団背番号
1 佐々木主浩 65000 YB22
2 城島健司 50000 H2
3 小笠原道大 40000 F2
4 清原和博 38000 G5
5 上原浩治 35000 G19
6 高橋由伸 34000 G24
7 松中信彦 32000 H3
8 古田敦也 30000 S27
9 工藤公康 29000 G47
9 谷佳知 29000 Bs10
11 金本知憲 26000 T6
12 立浪和義 25000 D3
12 谷繁元信 25000 D27
12 今岡誠 25000 T7
12 松坂大輔 25000 L18
12 和田一浩 25000 L5
17 小久保裕紀 24000 G6
17 斎藤隆 24000 YB11
19 川上憲伸 23000 D11
19 岩瀬仁紀 23000 D13
19 山本昌 23000 D34
19 井川慶 23000 T29
19 豊田清 23000 L20
19 小林雅英 23000 M30
25 鈴木尚典 22000 YB7
25 三浦大輔 22000 YB18
27 桑田真澄 21200 G18
28 仁志敏久 20000 G8
28 福留孝介 20000 D1
28 石井琢朗 20000 YB5
28 西口文也 20000 L13
32 清水隆行 18000 G9
32 片岡篤史 18000 T8
32 宮本慎也 18000 S6
32 福浦和也 18000 M9
32 岩隈久志 18000 E21
37 岩村明憲 17400 S1
38 矢野輝弘 17000 T39
39 五十嵐亮太 16400 S53
40 金村暁 16000 F16
41 江藤智 15500 G33
41 前田智徳 15500 C1
43 柴原洋 15000 H1
43 斉藤和巳 15000 H66
45 緒方孝市 14500 C9
46 下柳剛 14300 T42
47 二岡智宏 14000 G7
47 井端弘和 14000 D6
47 清水直行 14000 M18
50 赤星憲広 13000 T53
50 佐伯貴弘 13000 YB10
50 佐々岡真司 13000 C18
50 礒部公一 13000 E8
54 森慎二 12500 L11
55 阿部慎之助 12000 G10
55 桧山進次郎 12000 T24
57 大村直之 11600 H7
58 黒田博樹 11500 C15
59 前田幸長 11000 G29
59 落合英二 11000 D26
59 若田部健一 11000 YB14
62 岡島秀樹 10600 G28
63 野口茂樹 10080 D47
64 元木大介 10000 G2
64 野村謙二郎 10000 C7
64 村松有人 10000 Bs3
前スレで出ていた退場順について
保管庫の方で修正をして頂きました、がこちらでもお知らせしておきます。
05年の順位で日本シリーズ優勝チームからセパ交互に退場
↓
04年の順位で日本シリーズ優勝チームからセパ交互に退場
に変更しました。近オリ合併や楽天の関係で下位がごちゃごちゃするのですが、
近鉄合併に伴い一応オリックスを五位に繰り上げ、楽天はパリーグ最下位の位置
付けにしました。
西武
中日
ソフトバンク
ヤクルト
日本ハム
巨人
ロッテ
阪神
オリックス
広島
楽天
横浜
『2億9000万の男』
ご親切に矢印の案内まで貼られた廊下を指示通りに進むと、一番近いゲートに数名
のスタッフの姿があった。どうやらそこが出口であるらしい。
工藤公康(G47)は早足で彼らのいるゲートに近づいた。
ゲートに立っているのは、よく球場内で客の案内をしているような、バイト然と
した風貌の男達だった。
揃いの安っぽいポロシャツ。その背中に大きく、『Billionaire Battle Royale』
というロゴが入っていた。
こんなものまでわざわざ作ったのか、ふざけている。まるでオールスターか何か
のイベントのように楽しんでいる主催者側に、吐き気がした。
デイバッグを奪い取り、早足でゲートから出ようとしたとき、工藤はスタッフの
一人に呼び止められた。
「年俸額第9位の工藤選手ですね?」
自分が年俸何位かなんて別に知りたくもないが、放送で名前を呼ばれたときに、
確かそう言われたはずだ。
工藤は頷かなかったが、スタッフは工藤と確信している様子だった。確認と言う
よりは、単に自分を引き止めるためのかけ声だったのだろう。
小笠原の時も思ったが、わざわざ年俸で順位を付けて呼ばれるのは、酷く卑しい
感じがした。
不自然な呼び方だが、バイト然とした(そんなわけはないと思うが)この年若い
スタッフは、上からそう呼ぶように教育されてるのかもしれない。
選手の評価は年俸、という言い方はよく選手自身がするもので、工藤自身もそう
思っている。が、こういった使い方をされると気持ちが悪い。
あるいは、こんな複雑な気分にさせるのが、経営者側の狙いの一つなのかもしれ
ない。それは酷く嫌味で、狡猾だった。
「上位10名の方は、別のゲートをご案内することになっております」
デイバックだけ渡され、スタッフに半ば強制的に別のゲートへと案内される。
聞くと、年俸順位上位10名に関してはそれ以外の選手とは違うゲートから出て
もらうことにしているらしい。
よく考えれば分かることだが、上限が10億という厳しい制約の中で、横浜の
佐々木のようにその大半を占める選手――先程名簿を見たところ、6億5000万
とあった――が狙い打ちされるのは目に見えている。
先に出た人間に待ち伏せされて、球場を一歩出た瞬間殺される可能性も否定でき
ない。そういった危険性を考えての対策らしい。
これくらいアドバンテージ(という程のものでもないが)がなければ、上位の人間
は辛すぎる。
高額年俸者ほどリスクが高い、これはそういうゲームだ。ここにも、経営者側の
皮肉が見え隠れする。このゲーム自体、最大限の――というか限度を超えている――
経営者達の嫌がらせとしか思えないが。
「こちらです」
締め切っていたゲートを開け、スタッフがそう言った瞬間、工藤は走り出していた。
彼の言ったことが本当ならば、まだ近くには他の選手はそれほどいないはずだ。
今のうちに、出来るだけ遠くに逃げる必要がある。安全な場所など何処にもないが、
人が少ないところが、工藤にとってより安全な場所であることは確かだ。
2億9000万。
それが今回、工藤に課せられた足枷だ。
(取り合えず逃げて――隠れて――)
誰かと組むというのは難しい気がする。年俸額が下位の人間から見れば一人で2人分
以上の枠を使う工藤は疎ましい存在だし、上位の人間は余裕がない。
工藤は孤独だった。
とにかく遠くへ逃げて、そこが禁止エリアとやらに指定されるまでは息を潜めて
いよう。それが最善の策だ。
そう工藤は心に決めた。
ブゥン――!
唐突に聞こえた、何かが空を切る音。
それはスピンの効いたボールが空を切り裂く時に聞こえる、羽虫の羽ばたきのような
音に酷似していた。
トシュ! と、小気味が良いとすら形容出来る音と共に、工藤の右肩に矢が刺さった。
その衝撃によろめきながら、工藤は首をねじり己の右半身から生えるソレを確認した。
(ボウ……ガン……?)
トシュッ! トシュッ――!
半身を右側に捻った状態で、胸に、腹に、同じようにボウガンの矢が突き刺さる。
(何だ――?)
状況が理解できないまま、工藤はステップを踏むようにその場で半回転し、ゆっくりと
地面に向かって傾いた。
矢の刺さった部分から滲む血がユニフォームを染める。
ああ、まるであの時の原のようだ。
そう思い、ようやく工藤は痛みという感覚を自覚した。
「……っぁ――!?」
――それは声を上げることすら出来ない程の激痛だったが。
倒れる瞬間に、工藤は矢が射られた方角に目を泳がした。誰だ? 誰がやった?
それだけは確認したかった。工藤は血走る目で見えない敵を探した。
鬱蒼と生い茂る木々の合間。
一本の幹の影に、人影があった。
「工藤さんお疲れさまです」
その声は、聞き覚えのある声だった。
どこか、懐かしくすら感じる――
「……?」
その名を口に出そうとする。が、漏れ出でる吐息と共に、ただ少し唇が戦慄いた
だけだった。
(森。幹。人影――)
工藤の目に映る景色が、スローモーションで90度角度を変えた。――そして、
ある点を境に、それら全てが暗転する。
(お前――)
線香花火の最後の瞬きのように。
一瞬、記憶の中の姿が再生される。
それが、工藤の最後の意識だった。
どさっ……
重い音をたて工藤の身体が地面に頽れる。
「これで131億9080万――」
静かな呟きと共に、木の幹から身体を離した男。
一筋の風が通り抜ける。木の葉がざわめいた。
その顔に、一瞬、木漏れ日が差す。
――城島健司(H2)だった。
工藤公康(G47)死亡 残り65名 年俸総額131億9080万円
新スレキテター!!
新作きてたー・・・・ってえぇぇぇぇぇぇぇ!?城が?!工藤さんを!?
保守
23 :
代打名無し@実況は実況板で:2005/10/05(水) 09:20:29 ID:9ppDa9150
hosyu
ほしゅほしゅほしゅ
工藤を殺るのは清原か上原だと思ってたが・・・まさかゴリとは
ほしゅ
捕手
いきなりかよ!
hosyu
30 :
代打名無し@実況は実況板で:2005/10/07(金) 01:05:11 ID:nGFQoDASO
捕手
sage忘れたもいっちょ捕手
工藤早すぎるよ工藤
佐々木とか元木とか先に逝くべき香具師がいるだろうに(ノД`)
城島がやる気ってのがテラコワス
捕手
35 :
代打名無し@実況は実況板で:2005/10/08(土) 11:24:38 ID:bYiZ5ZNW0
神キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!
乙です!!
カコイイ!
でも退場順って年俸順ではなく背番号順では?
キタキタキターーーーーーーーーーーーーー!!!!
落ちたからどうなるかと思ってたよ。神乙乙!
初っ端から波乱だなあ
38 :
代打名無し@実況は実況板で:2005/10/08(土) 18:53:16 ID:Y2DQ9cc30
>>34 画像神マジ乙っす!
下に額書いてるとお尋ね者みたいでカコイイ!!
>>36 2氏のプロローグで
>セパ交互に、 それぞれの04年の順位、チーム内の背番号順に名前を呼んでいくので
>セリーグの選手は一塁側、パリーグの選手は三塁側のダグアウトを通って速やかに退場すること。
とあって
33氏の『目指すは故郷の地』で佐々木が「俺が最後か……」と言ってるので
背番号順の模様
37氏がちょっと間違えてる?
画像リストはそのまんまで(・∀・)イイ!と思うけど退場順名簿は職人さんに実際の順番を聞きたいな
退場順は統一しといたほうがいいだろうし
スマソageた・・・orz
>>38 すいません、勘違いしてました。
退場順は04順位背番号ですね、スイマセン・・・・orz
>>41 乙です! 大作!!
これだけ0が並んでると壮観ですね
さすがビリオネア軍団
退場順ややこくてすいません
セパで人数差があって後ろの方がセリーグの選手ばかりになるので
そのへんの並びは他の職人さんに考えてもらってもいいかなと思って決めていなかったのですが、
返ってややこしくなってしまいましたね。すみません。
>>41氏が作ってくれた順番で決定してしまいましょうか。
43 :
代打名無し@実況は実況板で:2005/10/09(日) 19:38:21 ID:ve+jYL4b0
hosyu
『同級生』
下柳と矢野は、疑似東京ドームから北西に向かった倉庫に身を潜めていた。
潜めると言っても、扉もないコンクリートの四角い箱の上に、薄っぺらい屋根を
載せただけのような簡素な作りの倉庫だ。放り込まれた肥料や農耕機具に混じって
地面に座り込んでいるだけ。いつ誰に見付かってもおかしくはない。
下柳と矢野は背番号が続いていたのが幸いだった。向かう方向さえ打ち合わせて
おけば、あっさり再会を果たせた。
2人はとりあえず目に付いたこの倉庫に仮に身を隠し、今後の方針を決めてから
本格的に隠れ家を探すことにした。
まだゲームが開始して間もない。だがすでに疲労を感じ、矢野はため息をついた。
狭いスペースで下柳と向かい合い、剥き出しの茶色い地面にあぐらをかく。二人
の間に広げられた数枚の紙。一番上にあるのはこの島の地図だった。
「今俺たちがいるのが、多分、ここ。C−3」
下柳も解っているだろうが、確認を含めて指をさす。
真ん中の疑似東京ドームから北西に上がった正方形の1区域。東京ドームは森に
囲まれていたので、その森を出てすぐの場所である。
「ドーム自体は北側がバックネット裏になるよう建ってるんやな。俺たちが出たの
は一塁側、北西に口の開いたゲートや。ってことはおそらく、パリーグの選手は反対
の、三塁側のゲートから出る」
地図の表面をなぞる指先が、北東を指した。
矢野は下柳を見た。プロ入りの時からずっとセリーグだった矢野とは違い、下柳
は十年以上パリーグに籍を置いていた。ホークス、ファイターズ。当然懇意な人間
も多いだろう。
だが下柳はさほど表情を変えずに、無精髭の生えた顎を撫でた。デイバッグに
入っていたボールペンで、ドームの北西と北東に印を入れる。
「じゃあしばらくはこっち側はセの選手がごちゃごちゃいるわけか。どうする?
隠れるつもりなら、東側に移動した方が人口密度は少ない」
「出来たら、みんなに会いたいねんけどな……」
「偶然会えるもんかねぇ。難しいな」
下柳が後ろ毛の長い後頭部を掻いた。確かに難しい。大勢で動くのは危険だろう。
行動を別にするにしても、早めに一度は会って自分の思うところを伝えたかった。
思い詰めてしまう人間が、いるかもしれないから――
「みんな大丈夫やろか…」
甘いかもしれない。現実を前に、改めて矢野はそう思った。ゲーム開始直後、心
に決めた目標はあまりにもハードルの高いもののように思えた。
「かねもっちゃんや、ひーやん……」
矢野の呟きに、下柳は答えない。答えを求めての言葉ではなかったから、矢野は
気にせず続けた。
「マコ、あっちゃん、井川、赤星」
それはタイガースから選ばれた全員の選手の名前だ。
全部で8名。真っ先に合計年俸を確認したところ、14億8300万円とあった。
10億を超えることは覚悟していたはずだが、それでも実際に見ると衝撃は大きかった。
絶望的な数字だ。
誰かが死ななければ生き残れないなんて。
矢野は天井を仰いだ。薄汚れた天井を仰ぎ見ても、救いの手はどこからも伸びない。
すぐに視線を落とす。目に入った島の地図は、現実へ強制的に引き戻すには十分だった。
(落ち着け。冷静になれ)
自分に言い聞かせる。
自棄になったって始まらない。誰も救えない。自分の命すらも。
すぐには解決策は見付からない。だがどこかに綻びはあるはずだ。考えることが
必要だった。考える時間と、考えられる精神力が。
ゲームには仕掛けがある。
ゲームには流れがある。
ゲームには勝敗がある。
『見極め』なければ。
「大丈夫だろ」
大分遅れて、下柳がそう返す。
「遅」
突っ込んで、矢野は少し笑った。
恐らくは矢野よりは現実的な下柳の言葉は、ただの気休めかもしれない。それでも、
この状況で少しでも笑える精神状態になれたことが有り難かった。
下柳がいてくれてよかった。
おそらく、ひとりならこんなに冷静ではいられなかっただろう。ときに熱くなり
過ぎて、周りが見えなくなる自分の性格は百も承知だ。
『3秒考えてから行動しなさい』
それは、矢野が幼い頃母親によく言われた言葉だった。
そう、考えなければいけない。今は3秒では足りない。もう少し時間が欲しかった。
「なぁ、シモ」
唐突に声を掛ける。地図に目を落として黙り込んでいた下柳が顔を上げた。
「たまには首、振ってもええねんで」
この男は首を振らない。
投球術を売りとされるこの男は、『術は全部こっち(矢野)だから』と言う。
全幅の信頼を寄せられていることを嬉しく思う。だがこのゲームに限っては、矢野
も正しい選択が出来ている自信がなかった。人の命がかかっている。ミスリードは
許されないのだ。
「何言ってんの」
下柳が呆れたように答えた。クルクルと暇な大学生のように指先で回していた
ボールペンを止める。
「俺は別に、ただ何も考えず投げてるわけじゃなくて」
ボールペンの先を矢野の顔に向け、虚空に丸を書くようにペン先を回した。
「お前を信じてるから、お前が言うとおりに投げてるの」
「そうやったな……」
下柳はいつだって自分で考えている。考えた上で、矢野の考えを理解し、その通
りに投げる。そして打ち取る。
『バッテリー』という共同作業とはそういうものだと。
下柳と組むとき、矢野はいつもその理想を実現できる喜びを感じていた。
「心配しなくても、アホなサイン出したらちゃんと言ってやるから」
にっ、と人の悪い笑みを浮かべ、下柳が右手を差し出した。
「だからそれまでは、ちゃんと迷わずリードしてくれよ。司令塔」
「……まかせとけって」
その手を握り返し、矢野も笑った。
――パァン!
突然響いたその音に、2人は握手をしたまま身体を強ばらせた。
「何や!?」
「銃声だ」
手を離し、下柳が立ち上がる。入り口から顔だけを覗かし、用心深く周りを確認した。
――パァン!
もう一度、銃声。2人は同時に首を竦めた。
「近いぞ」
下柳が言う。矢野は手早く地面に広げられた地図やペンを片付けた。
「行くか。ここは安全じゃない」
「ああ」
銃声の方角を確認した下柳に手を引かれるように、矢野は駆け足に倉庫を後にした。
「相変わらず――」
その背中を追うように聞こえた小さな呟きは、当然、矢野の耳に届くことはない。
「甘っちょろいやつじゃのぅ……」
倉庫を去る42と39の背番号を見下ろしながら、金本知憲(T6)は小さく呟いた。
残り65名 年俸総額131億9080万円
『ある日森の中』
「‥‥もしかしてついてないのかな…」
緑生い茂る森の中で、西口文也(L13)はそう呟いた。
遡ること数分前、疑似東京ドームから出てきた西口は辺りを見回していた。
―――どこか隠れる場所探さなきゃ。
出口が見えて、すぐに会いにいける場所。とりあえずライオンズのメンバーで集まりたい―――
すぐ前に出て行ったはずの和田と森の姿は見えなかった。
「会えるといいけど」
とりあえず今目の前にある森の中に入ろうと、一歩足を踏み出した瞬間だった。
パァンとキャッチャーミットに剛速球が投げ込まれたような小気味いい音とともに西口は一瞬後ろに引っ張られた。
引っ張る―――というべきか押されたと考えるべきだろうか。
頭が真っ白になり、左手で持っていたデイバックがずるりと手から離れた感覚に気付いたのがまず最初だった。
次に感じたのは痛み、それも筋肉痛やその他の今まで感じたことのある痛みとは一線違ったもの。
そして最後は目にした白いユニフォームにじんわりと広がる赤。
…その後は覚えていない。
「ついてないんだろうな‥‥」
いつもするように苦笑いを浮かべながら、西口は溜息を一つついた。
あの後きっと自分でも考えないうちに走り回ったんだろう。で、ここかどこかは未だに分かっていない。
しかも誰があそこから出てきたのかも分からない、最後の豊田さんはもう出て行ってしまっただろうか?
戻ろうにもどっちの方向へ動けばいいのか分からない。血は止まったがまだ左肩が痛む。
八方塞がりの展開にもはやこぼれるのは自虐的な独り言と溜息だけ。
(みんな、殺す気なんだろうか。)
木の根に座り込み、秋風にさらさらと流れる木の葉を見上げながらふとそんな疑問が頭をよぎった。
こんなこと考えたくないが、実際自分は殺されかけた。この左肩がその証拠だ。
みんな、誰かを殺す気なんだろうか。みんな、だったら俺も入るのか?
俺は―――絶対そんなこと、嫌だ。
人の命を奪う決意をしたら、それでもう後戻りできないような気がする。野球人としても人としても。
それだけは絶対に―――
「何してはりますの?」
見ていたはずの葉がさえぎられ、代わりに目の入ったのは人の顔。
いささか懐かしく感じられるような関西弁、そして一度見たら忘れられそうにない顔。
西口はその登場の仕方に声も出さずに驚いた、いや驚くしかなかった。
「うわ、怪我してますね。手当てしますよ。」
テキパキと動き、その男は自分のデイバックから水とタオルを取り出すと西口の怪我箇所の洗浄にかかった。
半ば驚きつつも西口はじっとしていた。そしてほんの少しだけ顔を緩ませ、呟くように言った。
「…‥ありがとう。」
「いやいや、怪我しとったら助けるっちゅうのが決まりでしょ。決まりちゃいますけど。」
普段は寡黙そうな男が饒舌になっていることには驚いたが、西口は更に顔を緩ませた。
―――前言撤回、とりあえずみんなじゃない。
「よっしゃー出来ましたよ。もう血止まってたみたいなんで楽でしたよ。」
「本当にありがとう。あ、水‥‥」
「ええですよそんなん。僕人に会えただけで嬉しいですから。」
手当てが終わると西口の目の前にいる男は笑った。
「人に? 会わなかったの今まで?」
「いや何かね、こう森探しとったんですけど人どころか犬にも会えんかったんですよ。」
身振り手振りを交えながら男が話す。
西口はうなずきながら聞いていた。
「へぇ…‥結構広いんだねこの森。」
「まぁ最初に会えたんがあなたでよかったですけど。」
「俺もよかったよ‥‥」
二人して静かに笑う、そしてさてと男は立ち上がった。
「もう行くのか?」
随分名残惜しそうな声だな、と西口は自分の声を聞きながら思った。
しかしもしまた一人になれば暗い考えしか思いつかない。どうせ出会ったんだし、無理矢理でも…。
そう考えていた西口は次の返答に戸惑うこととなった。
「いや、二人で行きましょう。怪我人ほっとくとか出来んですし。」
「…‥二人?」
「‥‥決まってますよ、僕とあなたですよ。苦情は聞きませんから。」
足怪我してへんから行けますよね、無理やったら肩貸しますからいつでも言いはってください。
ぽかんとしている西口に構わず、男は二人分のデイバックを背負った。
「ちょっと待て。俺怪我してるんだぞ?」
「別に関係ないですよ。足手まといになるとか思うてはるんですか? これやから投手は…‥」
「本当にいいのか?」
「後ろで守ってる僕らとしては投手の一人や二人不調でも全然構いませんもん。」
立ち上がろうとする西口を支えながら、男は続けた。
「打たれたら打ち返す。それが僕らの仕事ですから。」
大村直之(H7)はそう言い放ち、ニヤリと左の口角を上げた。
【L13西口・H7大村 C−5】
【西口、何者かによる銃撃で左肩負傷/応急処置済】
【残り65名 年俸総額131億9080万円】
うはwモー村さんテラカコヨスwww
口調から、一瞬斉藤和巳かと思ったら違った
二作もキタ!!
職人さん乙です
金本が気になる…
モー村さんw
>>1 スレ立て乙です
新作3つ全部うpしました
職人さん方乙です!
>>54 保管庫さんも乙です!
せっかくだから
>>41氏の画像リストや
前スレで2氏が作った地図もうpして欲しいなーとリクエストしていいですか
うはwwwwwwwww二つもキテタwwww
相変わらずグッジョプ職人様保管庫管理人様乙乙乙!
ほしゅほしゅ!
hosyu
ほしゅ
hosyu
モー村さん、カッコヨス
保管庫、字が小さすぎねーか?
老眼の俺には非常に読みづらいのでもう少し大きくしてほしい
>>41氏が作ってくださった退場順名簿が落とせないorz
申し訳ありませんが、どなかか再うpをお願いできないでしょうか?