魁! 男塾に入学させて鍛え直すべき選手

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450代打名無し@実況は実況板で
備栗塀(びくりべい)

かつて益州では作物が根付かぬ固い土地ばかりであった。
そこで村人達は保存食を得るために、こぞって栗の木を植え秋の収穫を待って飢えを凌ごうとした。
しかし、せっかく育った栗が盗まれることも多く、
村人達は自衛のために栗の木の周りを藁と薪で囲い、高い塀を築いたのである。
これらは備栗塀(びくりべい)と呼ばれており、村人達の生命線に他ならなかった。
しかし、収穫も差し迫ろうという時期に村で大火が起こり、
あわれ、藁と薪で囲んだ塀は燃え盛り、栗の木をも焼き焦がし、
村のあちこちで焼けた栗を拾い集める村人達の哀れな姿が溢れかえったという。
ぱつぱつと跳ねた栗はあと少しというところで村人の手をすり抜けて谷底へ転がったり、
また「死なない程度には食えるだろう」と計算していた村人は
茫然自失として焼け落ちた栗の木を眺めるしかなかったのである。
この逸話から、当然手に入るだろう、大丈夫だろうと思っていたものが、
一瞬にして無為と帰す状況を「備栗塀」と呼び、
「備栗塀」は不吉な予感を表すものとして、歴史から長く姿を消したのである。
近頃、横浜ベイスターズの拙攻拙守を「びっくりするほどベイスターズ」と呼ぶファンが
増えているが、これは当時の村人の怨挫の声が現代によみがえったものだと云えるのかもしれない。

(民明書房刊 『中国農業奇譚』より)