最近、よく「今年のロッテは強いね。どうして急に強くなったの」と聞かれる。
自分なりに分析してみると、なんといってもケガ人がいないということに尽きる。
先発投手7人に白星がついていることも打線がつながるのも、全員がケガなく
プレーして持っている能力を存分に出せているからだと思う。例えば投手。
先発のメンバーが一人でも欠ければ、ローテンションが狂って確かにムリがいく。
今とは全然違う状況になるに違いない。抑えでももし小林雅さんがケガをしたら、
中継ぎのメンバーの誰かが抑えに回らないといけない。そうなると残ったメンバー
の負担が大きくなって、それまで発揮できた力が出せなくなる。一人も欠けずに
回っているから、この順位にいるんだと思う。そして打線では何といっても3番に
福浦がいることで安定感が増した。ロッテは日替わり打線といわれるが3番の福浦
だけは固定されてる。この3番という重要な打順を固定できるというのはチームに
とって本当に楽なことだ。これも、投手陣の件と同じだが、クリーンアップの誰かが
試合に出られなくなった時に、売出し中の西岡を中軸に据えても今のような仕事を
できるかどうか。あくまで3、4、5、番がキッチリ仕事をしてくれているからこそ、
若手もノビノビとプレーしているのだと思う。若手が伸びてきてもベテランがケガを
しても離脱中というチームはたくさんある。そういうなかで我がロッテは全員が
万全の状態で出揃っている。だから強い野球ができている。
もう一つ、今の野球界のことについて触れておきたい。いろいろなしがらみがあって、
なかなか理想のボールパークづくりは進んでいない。個人的には、野球場がスポーツ
を見るだけではなく、遊園地的な要素を持つ総合エンターテイメント施設になること
を願っている。これまでプロ野球は存在して当り前だった。それが去年、存亡の危機
に立たされた。アメリカに比べたら小さい国の野球だけど、いずれ近い将来"日本の国技"
といわれるように自分たちが頑張っていかないといけない。そのために自分自身が
できるのは何か。1試合、1試合で感動を与え、印象に残る投球をすることだ。
それが晩ごはんを食べている家族の会話を増やすことになるなら、こんなに嬉しいこと
はない。子供たちのヒーローであり、残業で疲れているお父さんの明日への活力にもなる。
そういうプレー、ゲームをする義務がプロ野球選手にはあると思う。選手だけではなくて
野球に携わるすべての人が存続と繁栄を願わなければ、プロ野球は日本一のスポーツに
なれない。そのためには日々レベルの高いプレーを見せる努力を怠らず、野球そのもの
や野球ファンへ情熱と愛情を注ぎ込まなければならない。そして、決して忘れていけない
のは今、野球ができるということへの感謝の気持ち。私はいつまでも野球が大好きだ。
(千葉ロッテマリーンズ投手)*原文のまま