>742
亀だが受験頑張れ保守。
北野はどうなったんだ?
844 :
843:05/02/14 11:28:11 ID:uDlgzTStO
違った…>842だ。
845 :
代打名無し@実況は実況板で:05/02/14 14:38:02 ID:AAPyIaYZ0
捕手あげ
こんばんわほしゅ
職人さん、乙です。
的場、独自の道を歩き出したねえ。
残業疲れたよ保守
テスト前の一夜漬け保守
深夜ラジオ聴き終わって保守
会社説明会行ってくる保守。
853 :
代打名無し@実況は実況板で:05/02/15 11:00:27 ID:JxK3w1lz0
午後の保守
855 :
1/4:05/02/15 15:00:40 ID:/EyZ6g9W0
80.白い花
北野は目を覚ました。
その場所には夜が明ける前の薄い闇が広がっていた。
狭い。
自分の身に何がおきているのか、よくわからない。
(ここはどこだっけ?)
起き上がろうと身じろぎをする。
「−−!」
途端に腰が悲鳴を上げた。そろりと腰の辺りへ手を当ててみると、打ち身になっているであろ
うことがわかった。
(ああ、そうだ。俺、あそこから落ちたんだ)
見上げた先には、天井−−上から見れば床に当たる部分−−があった。
手を滑らせて落ちてしまった自分を思い出す。あの高さから落ちれば、痛めるに決まってる。
「とりあえずここから出よう」
口に出して呟いてみる。
壁を伝いながら、そろりそろりと立ち上がった。腰からずきずきとした痛みが広がるが、無理
をすれば何とか動けない事もない。
梯子を上がりフタを開く。それはほんとど重みを感じさせず、実にあっさりと開いた。
彼はその部屋へと這い出し、立ち上がって辺りを見回す。
昨日見た通りの殺風景な部屋だ。粗雑な作りのトタン屋根に、あちこちささくれだった板張り
の床。ベニヤの壁には窓があるが、今は雨戸が半分ばかり閉っている。
そして誰もいない。
856 :
2/4:05/02/15 15:03:13 ID:/EyZ6g9W0
「修司さーん?」
そこにいるはずの人間の名前を呼んだ。だが返事はない。そういえば上に置いたままだったは
ずの、自分の荷物もなかった。
「おかしいな……どこに行っちゃったんだろう?」
呟いて、座り込んだ。やはり何もせずにぼーっと立っているには腰が痛い。
床の上にうつ伏せに寝転ぶ。この体勢が一番楽だ。床はひんやりとしていた。
「修司さん一体どこ行っちゃったんだろう?」
もう一度口に出して考えてみるが、どうしてもわからなかった。
何か胸の奥がざわざわする。
何だろう? 彼は首を傾げた。
しばらくして、自分は泣き出してしまいたいのだ、ということに気付く。
ざわざわは大きくなって行くばかりだ。
しまいに彼は泣き出した。
「うっ……うっ……」
自分が何故泣いているのかはわからなかったが、止めようという気は起きなかった。
会いたい。誰かに会いたい。
修司さんに会いたい。
857 :
3/4:05/02/15 15:04:52 ID:/EyZ6g9W0
一体自分はいつまで泣くのだろう? 内心自分へ対して呆れてしまうほど、涙は止まら
ない。
とにかく会いたい。修司さんに会いたい。
どうしたら会えるだろう?
必死に考えた。
このゲームの勝者は、各ポジションに一人と言っていなかっただろうか?
逆に言えば、最後の一人になれば必ずゲームの勝者になれることになる。
……吉田が投手の中で最後の一人になれば、その時自然と会えるのではないか?
「そうだよ」
北野は大きく頷いた。涙はいつの間にか止まっている。
吉田がこのゲームの勝者となればいいのだ。
そのためには、自分も手助けした方が早いだろう。
指針が決まり、北野は微笑みを浮かべた。
一気に気が楽になった。
「よし、今にでも行動開始だ!」
一刻でも早く会いたい。だとしたら、一刻も早く行動を開始するに限る。
どことなくうきうきした気分で、立ち上がる。気のせいか、先ほどよりも腰の調子が良く
なった気がする。
そう、この喜びは、試合の先発が決まってる時のうきうきに似ている。
今からやってやるぞ、という高揚感。
858 :
4/4:05/02/15 15:12:17 ID:/EyZ6g9W0
ふと彼は自分のユニフォームを眺めた。なんだか、がびがびして気持ちが悪いのだ。
「……何もついてないのにな……何だろな?」
ユニフォームを点検して首を捻るが、何なのかはわからない。
気持ち悪いが、何も付いていないなら仕方がない。髪の毛や頬なども同様に気持ち悪いが、
窓に写した自分の顔にはやはり何か付いてるようには見えなかった。
彼は全ての荷物(上に置いていたはずの彼自身の荷物はなくなっていたので、彼が今持っ
ているのは吉田の荷物だ)を整えると外へ出た。そろそろ夜が明けそうだ。
外に出て、小屋の傍らに盛り上がった土があることに気が付いた。結構な大きさがある。
「こんなもの前からあったっけ?」
その土の上に何か乗っているのに気がつき、顔を寄せてまじまじと見る。
それは花だった。バラの花だ。
「何だこれ……白いバラ?」
北野の目に映るそれは白い色をしていた。すぐにバラだと気付けなかったのは、その色の
せいだ。
「珍しいの」
呟いて彼はそれを手にとった。少し考え、花弁を一枚千切ってポケットにしまった。花は
元の場所へ戻す。
「どこに向かおうかな?」
北野は気合いを入れると歩き始めた。
その後ろ姿を紅いバラの花が見送っていた。
花弁についた朝露は、見る人によっては涙を流しているように見えたかもしれない。
【残り45人】(残り9人でゲーム終了)
頑張れ北野保守
ヴァーチャルの世界ってスゴいな保守
今日は早く寝るよ保守
北野はこれからどうなってしまうんだ保守
◆UKNMK1fJ2Y氏版に漏れの好きな
コードウェイナー・スミスが出てきてちょっと嬉しい保守
おはよう保守
キャンプ見に行ったけど人多すぎで死にそうになったよ
ナギにチョコ渡せなかったじゃないかホシュ
カラオケよりいざゆけ若鷹軍団歌いながら保守
867 :
81-1:05/02/16 16:26:44 ID:4Mk6PDcL0
81.二つの心
ズキン…ズキン…ズキン…
自分の脈拍に合わせて、鈍い痛みが走る。
和田が目覚めたのは、今だ闇が抜けきらない夜明け前だった。
夢うつつの中、痛む左手を天井にかざし、握り締める。
しかし、拳に上手く力を込めることはできなかった。
「…痛い」
そうつぶやくと同時に不安が襲ってきた。
手を切られてから、まだ一日あまり。最初は怪我の痛みに紛れて気付かなかったが、
一晩休んだ今、和田の手の違和感は決定的なものになった。
(左を傷つけられた…。俺の利き手を…俺のこれからの人生が、傷ついた…)
投手の利き手は野球人生の命だ。その不能は死と同等にも思えた。
絶望感の後に、激しい怒りが込み上げてくる。
(俺がこれまでに傾けてきた努力を、一瞬で無にされた)
木陰から飛んできた刃物はメスだった。あれは誰ものだ?
まだ生きているか?もう死んだか?もしまだ生きているなら…
(奴に同じ痛みを味あわせる…)
和田は何度も拳を強く握り、最後には腕を横倒しに投げ出した。
868 :
81-2:05/02/16 16:28:50 ID:4Mk6PDcL0
「起きたか?」
ドアの軋む音と共に、低い声が話しかけた。
「鳥越さん…」
昨夜の記憶がおぼろげながら蘇って来る。
やみくもに走り、ここへ辿り着いた。今にしてみれば、あまりに無用心すぎたと思う。
小屋にいたのがやる気の人間であれば、即座に殺されていただろう。
しかし鳥越は傷の処置をした上、一晩中休ませてくれたのだ。
「傷が開いとるやないか、巻きなおさんとな」
「…え」
無理に力を込めたせいか、包帯に血がにじんでいた。
その赤色を見ていると、また先の憎しみが込み上げてくる。
しかしそれを遮るように鳥越が話し続けた。
「…が、先にメシ食わせてくれ。さすがに徹夜はキツイわ」
「あ!すいません。俺途中で代わろうと思ってたんですけど、すぐ寝てしまって」
「いやええよ。しかしお前寝たわりには顔色が冴えんな。動けるか?」
「もちろん、大丈夫です」
「じゃあ、とりあえず出発地点に戻ってみよう。あの小屋がどうなってるか、何か残っているかもしれない。
その後は…ここだな」
鳥越は地図を開き、一点を指差した。J-7に印刷の汚れかと見まごう程の、小さなマークが印されている。
これが、この世界から逃げるヒントとなるのだろうか。早くこの悪夢が覚めて欲しい。
傷を意識するたびに湧き上がる憎悪。
方や、鳥越と話していると、別の自分がそれを制しようとする。
和田は葛藤する心の只中にいた。
【残り45人】(残り9人でゲーム終了)
確かメスって…
和巳の武器だったよな保守。
そして今は川崎が持ってるはず保守
ほーしゅー
夢を見ていた。
福岡ドームの外野席。いつもホークスの熱狂的ファンが陣取るその席。
なぜかそこに川崎宗則【52】は立っていた。
そういえば、外野席に入った事なんてあまりないよなぁ。こうやって見ると
フェンス高いなぁ。ここ。
そんなのんびりした事を思った。
声が聞こえる。
「ムネ!」
通路を走ってくる男が一人、まーくんだった。
まーくん!ようやく会えた。ずっと探してたんだよ。ゲームが始まってから、ずっと、ずっと。
まーくん。そう叫ぼうとした。そこで鳴り響く音。ターン
倒れるまーくん。動かない、広がる血、死…?
うわああああああああああああああああ
川崎はがばっとベットから飛び起きた。
手がぐっしょりと濡れている。シーツもだった。気持ちが悪い。
はぁ、はぁ…なんだよ…今の夢。縁起でもない。
川崎宗則は大きくあくびをすると、一回のびをした。それから少し乱れた髪を左手でかきあげた。
その際左手につけられた時計を確認する。
04:40
ずいぶん寝た気がするが、それでもベッドに入ってから3時間も経っていなかった。
川崎はベッドから出ると、指をポキポキと鳴らしながら、自分のバッグが置いてある棚
に行き、そこから水の入ったペットボトルを取り出すと、こくりと一口飲んだ。
乾燥しきった口の中が満たされ、目が覚める。
そんな時、このベッドしかない小さな部屋の扉が開いた。
「あ、起きましたか。今なにか叫びませんでした?」
扉を半分ほどまで開けて立ち止まったまま、井手正太郎【69】は川崎に声をかけた。
「うん。ちょっと夢を見てて」
「そうですか…いやな夢かなにかで?」
あまり人に話したくない内容の夢だったので、川崎はその質問には答えず、
「外の様子はどう?」
と聞いた。
「今、明石が見てます。静かなもんですよ。銃声どころか物音ひとつ聞こえない」
「そっかぁ。あ、ごめん。疲れてるよな?交代するよ。ちょっと眠りな」
「いや、俺は大丈夫です。それなら明石と代わってやってください。
あいつだいぶ疲れてます」
井手はそう言った。たしかに高校を卒業したばかりの明石にはこの状況はきつすぎるだろう。
このメンバーの中では俺が一番先輩なんだ。しっかりしないとな…。
「わかった。ありがとう。明石のところに行ってくるよ」
川崎は明るくそう言った。
「じゃぁ俺は病室に行って来ます」
そう言って井手は扉を閉め、走っていった。
今川崎、井手、明石の3人はD-6。診療所にいる。
もともとは0時の放送直後、川崎と明石がここにたどり着いた。
そこで、川崎のわき腹の傷の治療や、軽い食事を取ったりしていた。
そんな中、井口を背負った井手が外を歩いているのを
3階の病室の中から見つけたのが1時すぎだった。
川崎と明石は井手がやる気なのかどうかなどまったく考えず。
瀕死の姿の井口を見て診療所から飛び出した。
(あとあと考えたらこれは危険な行動だった。もっと慎重にならないと…)
川崎は正直井口はもう助からないと思った。なにしろ、出血の量が尋常じゃなかったのだ。
それはずっと背負ってきた井手の体まで血まみれだったことからもわかる。
井手もよく見ると擦り傷のようなものが体中についていた。
井口を運ぶ途中、夜の森をつっきってきたので何度もこけたようだ。
結局、川崎と井手が診療所に置いてあった本を見ながら、井口を治療し、輸血を行った。
依然意識は戻らないー
かけた右腕、さらにお腹にも銃弾をくらった跡がある。治療には困難を極めた。
みようみまねでなんとか治療し、血もだいぶ止めたが、生きるか死ぬかはわからなかった。
今、井口は診療所の2階の病室に寝かされている。井手が病室に行くと言っていたので
おそらく井口のところという事だろう。
「ごめんごめん。今起きたよ。見張り、代わるね」
屋上に上がり、川崎は明石健志【36】に声をかけた。
明石は外に向け構えていたショットガンをおろすと、疲弊しきった顔で出迎えた。
「あ、わかりました。後お願いします…」
「大丈夫?顔色悪いよ?」
「ちょっと疲れがたまってるみたいで…すいません、仮眠とらしてもらいます」
「ああ、ゆっくり寝ろよ」
そう言うと、明石は扉を開け、階段を降りていった。
川崎は白い息を吐きながら、遠くに目を向けた。富士山が見える。
もう夜明けは近いな。和巳さんは無事だろうか。そしてまーくんは。
さきほど見た夢を思い出す。嫌な気分になる。
このVR世界は俺たちの思考を元に作られてるって言ってたよな。
と言うことは、その中で見る夢にも、なんらかの意味があるのか?
…まさかね。川崎はまた一つのびをした。
【残り45人】(残り9人でゲーム終了)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
82,診療所
職人さん達、来てた!!
北野、軽い記憶喪失なのか?
診療所、瑞季と稲嶺に狙われそうな豪華キャストだな。
スポーツニュース前の保守。
新作乙です。
バーチャル世界には鏡がないってのが
気になる保守
保管庫管理人さんいつも乙です的保守
現状を踏まえて更新されてく選手紹介の的確さが凄い。よく読み込んでるよな〜。
明日も仕事だよ保守
保守
保守!
今から博多へ遊びに行くよ保守
いってらっしゃい保守
1000近づいてきたよ保守
ここが更新されてるとちょっと幸せ保守
888を取りたかったぜ!的な保守
83「猿の手」
生きるとはどういう事だ?
VR世界に生きる事は現実に生きている事につながるのか?
生きるために、どうすればいい?
生きるために必要な物は?
水田章雄【44】は考える。まるでそれが仕事だというように。
この世界を抜けるには、たった一人の投手になる事。それが条件だ。
たった一人の投手。自分以外に居る投手を蹴落として、生き残らなければいけない。
他の人間を蹴落とすにはどうすればいい?
……武器。武器がいる。しかし、どこに武器がある?
「!そうだ、鞄!」
慌てて鞄の中を探る。出発するときに渡されたデイバッグには武器が入っているはずだ。
はやる心を抑えてペットボトルやパンを取り出した。
「何だ?これ……」
鞄の奥底に入っていたものは、干からびた手のようなものだった。
恐る恐る"それ"を取り出すと、ご丁寧に手紙のようなものがついていた。
『この武器を手にした貴方、おめでとうございます!大当たりです!本来なら成績による武器支給で
すがそれでは面白くない!という事でこの武器の登場と相成りました。貴方はW.W.ジェイコブズの猿
の手という話を知っていますか?このアイテムはまさにそれ!何でも願い事が三つかなってしまうと
いう優れものです。あ、この世界から抜け出したいっていうのは最後の9人に残らないと叶わない願
いですよ。死んだ人が生き返るのもこのゲームの趣旨に反しますので無理な願いですからね……』
願いがかなう?そんな馬鹿な。いやしかしこの世界はVR世界だ。(多分。)藤井さんが居るような世界
だ。また混乱しそうになったが、とりあえず手紙を読み進める。
『……使い方は至って簡単。貴方の願いを察知して、猿の手が自動的に発動します!ただ、強い願い
にしか発動しません。それと一度発動した願い事はキャンセルできません。その2点だけはお気を付
け下さい。それでは貴方の健闘をお祈りします。』
強い願い……か。一番強い願いの"この世界から抜け出したい"が叶わないというのが腹立たしい。
思わず頭を抱え込んでため息をつこうとしたその瞬間、草むらを誰かが歩いてくる音がした。
「誰だ!」
顔を上げ、思わず叫んでしまっていた。叫ぶと言う事はこちらの存在をアピールする事に繋がる。後
悔したがもう遅い。
声を聞きつけたのか、足音がどんどん近くなってくる。まずい。やる気になっている奴が居るのは死
人が増えている事からも分かっている。
どうすればいい?考えろ、考えるんだ……。
水田が考えている間にも足音は近づいている。とうとう足音の主がはっきり誰か分かるほどに相手は
近づいていた。近づいている人物は一人。山田秋親【17】だった。山田はまっすぐに水田に近づいて
くる。まるで獲物を見つけた肉食獣のように。そう水田には思えた。
何の迷いも無く俺めがけて走ってくるのは俺を殺そうとしているからだ。山田は確実に俺を殺す気だ。
そうに違いない。来るな!止まれ!止まってくれ!!
そう水田が心の中で叫んだ瞬間、手元にあった猿の手が動き始めた。まずは指がうごめく。まるでピ
アノを弾くように。ドレミファソラシドと音が聞こえたような気がした。
あまりの気持ちの悪さに水田は思わずあとずさった。それが合図かのように、猿の手は山田ののど元
めがけて飛び掛った。
「がふっ…ぐぅ……」
飛び掛った猿の手は見事に山田の首をつかんだ。その指がだんだんと首にくいこんでいく。じきに猿
の手を引き剥がそうともがいていた山田の手が力なく落ち、そのまま地面に倒れこんだ。
「…………………山田?おい、冗談だろ?起きろって」
そろそろと山田に近寄り、肩の辺りをゆさぶる。返事は無い。
「いい加減にしろよ、おい!」
返事をしない山田に腹がたち、思わずゆさぶる手に力が入った。結果、今までうつぶせだった山田が
あおむけに転がった。
「ひぃっ!」
力なく開いた口、瞳孔の開いた目。どう見ても死人の顔だった。
生き残るためだ。仕方がなかったんだ。俺はやる気だったじゃないか。何を今更おびえている?
だが、本当に仕方がなかったんですか?やる気だったんですか?俺の姿を目にしてびびってたじゃな
いですか。そう山田の目が訴えかけている気がした。やめろ、こっちを見るな!見るな、みるな、ミ
ルナ……。見られなければいい、それにはどうすれば?また考える。そうだ、俺が消えれば見られる
事はない。消えてしまいたい。俺が消えれば見られる事もないんだ。あの視線にさいなまれることも
ない。もうこの世界は嫌だ。消えたい。きえたい。キエタイ……。
再び猿の手が動き出した。今度は水田をこの世界から消すために。
動き出した猿の手はおもむろに水田の手首をつかみ、水田を引きずりはじめた。
「おい、何だよ。どうなってんだよこれ!」
必死に猿の手を外そうとするが、まるで自分の身体の一部であるかのようにくっついて離れない。こ
のまま引きずられてどこに行くのか?そう考えていると誰かの声が聞こえてきた。
「お〜い、勝手に先行くなよ〜………山田〜」
山田を探しにきたらしい人物が姿をあらわす。永井智浩【19】だった。
「永井!?」
「み、水田さん!?」
近寄ってくる水田に永井は思わず身構える。身構える永井の手にはハサミがあった。これは、山田の
鞄から武器になりそうなものを拝借したものだ。
「助け……」
何でもいい。藁にもすがる思いで水田が永井に助けを求めようとしたその時、猿の手が更に強い力で
水田を引いた。永井の手にあるハサミがどんどん近づいてくる。永井は驚いてしまったようで彫像の
ように動かない。ハサミの先端がギラギラと嫌な光を放っている。永井は動かない。ハサミは近づい
てくる。動かない。近づく。いや、動けないのか。そう考えた瞬間眉間に冷たい感触が生じた。
「うわあああぁぁ!!!」
どちらの叫び声か分からない声が周囲に響き渡った。
死亡:山田秋親【17】、水田章雄【44】
取得ボーナスポイント:永井智浩【19】(4p・計4p)
水田章雄【44】(4p・計4p)
【残り43人】(残り9人でゲーム終了)
ただいま博多から帰りました保守
てか猿の手怖い…
山田はとうとう最初から最後まで正気に戻らなかったな
永井に助けられてから自分で動くようになってたのは関係なかったのか