【幕田来期残留&年棒UP記念】により復活、不定期連載 18話までのあらすじはPART2のスレ参照
カイコスターズ・オブ・ドリームス・セカンド 第19話 幕田が戻るまで、奮い立て!カイコスターズ
トルネード打法を完成させ、大活躍だった幕田の勢いも長くは続かず相手に弱点を突かれまくり無惨に三振と凡打を繰り返す幕田
その惨状にいてもたってもいられなくなった師匠の藤王は幕田を鍛えるべく嫌がる幕田を再び無理やり修行させるのだったが・・・
「やってられるかボケー!」 ある朝の日、ついに幕田がキレた、前回を上回るハードな修行、気の短い幕田がキレるのは当然だった
バットを投げ出し、手足につけられた全部で20キロぐらいはありそうなオモリを外すと藤王の顔に砂をかけその辺に放置されていた
ママチャリに乗って幕田は逃走したのだった。
「あ・・あのガキめぇ〜」藤王が怒り心頭で走り去る幕田を睨みつける、「この程度で逃げ出すとは根性のない野朗だ!もう知らん!」
藤王はそう言ってバットを叩き付けた、その周りには幕田を鍛えるべく揃えたダンベルやら鉄バットやら妙なギブスまで・・・
なんか野球と関係なさそうなものまであらゆるものがちらばっていた、どのような修行だったかは知らないがこれは幕田でなくともキレて
しまうような修行だったことが想像できるというものだ。
一方そのころ、幕田が抜けてから一週間ほどたったカイコスターズは苦戦していたダイエーに3連敗、ロッテに負け越したあともオリックス
に3タテを喰らい苦しい状態が続いていた、幕田が抜けて上昇のキッカケ?になるかと思いきや、やっぱりなんだかんだいっても幕田の存在
は大きかったらしい、幕田の野次が、威圧感が、チームに奇妙ないいムードをだだ漂わせていたのだ、今日からナゴヤ球場で好調西武との
3連戦、試合前、沈みがちなベンチに清原の怒声が響きわたった。
「おまえらええ加減にせえよ!なんや昨日までのふぬけっぷりは!そんなやと幕田が帰ってきた時いいたいこと言われるで!」
清原が激怒して叫ぶ、その激でナインは幕田の顔を思い浮かべるとなぜか気合が入ったのであった。
「よーし!あの野朗が帰って来た時馬鹿にされんように今日から連勝するぜ!飛ぼうぜ・・・じゃなくてやろうぜ!みんな!」
なぜか福井が興奮を抑えきれず叫んだ、「やるダス、連敗止めるダス、走者もボールも体で止めるダス!」小田が元気よく
叫んだ、しかしこの小田、本当は体じゅうがボロボロだった、無理もない、いままで一シーズンこれほどスタメンマスクを
かぶることなどなかった小田だ、ある時は体を張りボールを止め、ある時は走者にふっ飛ばされながらもホームを守り
ある時は河原などのチキン投手をうまくなだめたりリードしたり、さらに清原のプロレスごっこ要員として扱われ続けた小田
の体は悲鳴をあげていたのである、しかし小田は辛い素振りも見せずにチームを支えてきたのだ、傷ついた体ながらも今日
もスタメンマスクをかぶる、そしていよいよ試合が始まった、カイコスターズが平本、西武が西口の先発で試合は白熱した投手戦
となった、スコアボードに0がならぶ、しかし7回裏、好投する平本についに援護が、ショーゴーだ!幕田離脱後はレフトで7番
スタメンを続けておりなかなか結果が出なかったがついにホームランを放ったのだ!1−0、待望の援護点に平本がさらに冴える!
8回表も0に抑えここまで西武を2安打無四球に抑える完璧な投球だ、西口もがんばり試合は1−0のまま9回の表西武の攻撃を
迎えた、この回先頭の2番、小関を三球三振に打ち取り完封へ気合充分の平本、しかし疲れからか、3番フェルナンデスを四球で
歩かせる、1死1塁で4番カブレラを迎えた、「ここまで来たら完封せんかい平本!」清原が平本に激を飛ばす、コクリとうなずき平本
が笑顔を見せるが限界は近そうだ、それでも最後の力を振り絞りカブレラにまっ向勝負を挑む、しかし・・・・カキーン!!!!
疲れの見える平本の速球をカブレラが捕らえた!打球はあっという間に右中間を抜けた!1塁走者のフェルナンデスが3塁も蹴る!
同点か、しかし堀田から酒井と中継されたボールが小田のかまえるミットに狂いなくおさまる、タイミングは余裕でアウト、しかし
フェルナンデスはかまわず巨体で小田に体当たりをかました! グシャ!!!! 鈍い音がして小田が数メートル飛ばされた!
「ぐわあああああああああ!!!!!!!」 ふき飛ぶ小田、しかし、飛ばされながらもボールは離さない。
「アウト!!!!」 主審が小田がボールを掴んでいることを確認しアウトを宣告する、「小田あああああ!大丈夫かあああああ!」
清原が心配してまっさきに駆け寄る、いつもはもっと凄い大技を小田にをかけている清原なのだが・・・自分以外の人間が小田を痛め
つけるのはゆるせないらしい、フェルナンデスとあわや乱闘寸前にまでなった清原だったが山崎とキンケードが二人がかりで止めて
なんとかおさまった、小田が薄れゆく意識の中で清原につぶやく、「オラ・・・・・守った・・・ダスよ・・・清原さん・・・・・」そう言うと小田は
気絶して意識を失った、気絶しただけならまだよかったのだが実はこの時小田の左手は骨折していた、それは腫れ上がった手を見れば
誰の目にも明らかだった、そしてそれは正捕手である小田の長期離脱を意味していた、一応カツノリと中野が控えているがこの2人では
戦力ダウンは間違いない、二軍から誰か上げてくるのかこの2人のどちらかを使うことになりそうだ、この試合もツーアウト2塁にカブレラ
を置いている状態でまだ勝ったわけではない、あとアウト1つ取らなければならない、中野が準備を始めたその時だった!
「ワシが捕手をやる!この試合だけ・・・いやあと1つアウトを取るだけはワシにやらせてくれ!」 清原が叫んだ、唖然とする両ベンチ
中野からプロテクターを奪い取り勝手にマスクをかぶる清原、どうやら小田の熱き闘争心により清原のダンジリ魂に火がついたらしい
「さあこいや平本!あと1人やあああああああ!!!!!」もの凄い迫力の清原に石毛監督は呆然としながらも清原を捕手にするしか
なかった、しかし捕手経験のない清原ができるのか?
そして試合が再開された、5番中島に平本が1球目を投げる、147キロの速球、ズドン!!凄い音がした、清原は止めた
ミットではなく体で・・・・・ 「なんやその球は!もっと凄いのこんかい!」どうやら体で止めても全然効いてないようだ、これには両チーム
びっくり、平本もこれで気合が入る、2球目、3球目、清原の激でよみがえった平本は150キロを連発、清原もこれを体で止めなんとか
中島を三振にとってカイコスターズはなんとか勝利を収めた。
小田・・・勝ったで・・・」清原がつぶやく、小田を負傷で失ったもののなんとか勝利したカイコスターズだったが明日からどうするのか?
ここまでチームを支えて来た正捕手離脱はあまりに痛い、試合後、小田負傷の緊急事態に石毛監督が選手を集めてミーティングを
行った、「小田の離脱は痛い、しかし終わったことを悔やんでもしょうがない、ペナントレースに主力の故障はつきものだ、だから俺も
こういう事態が起きたときの備えはしてあるから心配するな」 石毛が強がりとも思える発言を選手達にした。
「でも明日から誰を捕手にするんですか?やっぱり中野かカツノリなんでしょうか・・・」酒井がもの凄く不安そうにそう答えた。
それを聞いた石毛は静かに首を横に振った、そしてこう答えた。
「2軍から鈴衛を昇格させる、そして明日から即スタメンだ!」石毛監督がニヤリと笑った
「はああああああああぁ〜?鈴衛???????????」ナイン達からいっせいに疑問の声が上がる、鈴衛とは、広島カープに10年ほど
在籍していたのだがその間1軍どころか2軍ですらまともな成績を出してなかった選手である、それでも10年ほどクビにもならず生き延びた
謎多き選手である、しかしついに04年シーズン終了後解雇されカイコスターズに拾われた、果たしてこの鈴衛に石毛は何を期待しているのか?
その鈴衛が翌日1軍に合流し選手全員にあいさつを交わした
「俺 が 鈴 衛 で す ヨ ロ シ ク」
なんか間の空いたような喋り方に選手達は頼りなさそうに感じていた、しかし石毛監督だけは自信満々、「期待してるぞ鈴衛」と鈴衛に声を
かけた石毛監督。
「ま か せ て く だ さ い」鈴衛が独特の喋り方で静かにうなずいた、果たして鈴衛の実力は?
一方、そのころ、藤王の修行から逃げ出した幕田はというと・・・
コンビ二で立ち読みをして無駄な時間を過ごしているのだった・・・・・・・・・・。
第19話 完 次回 第20話 解雇を逃れ続けた男、鈴衛の秘密