15.千葉ロッテマリーンズ
「・・・は以上です。何かご質問は?」
スーツ姿の男が静かに言う。
「あるわけねぇだろ!早く行けよ!糞!」
福浦さん(福浦和也9)が黒服の男たちに吐き捨てる。
福浦さんに促され、黒服の男たちは何も言わずにその場を立ち去る。
何でこんなことに・・・理屈は今の説明でわかった。
ただ、何故こんな方法で選抜する必要があるというんだ・・・
「何だよくそ!殺し合いだぁ?誰が乗るかそんな話に!なぁ宏之!?」
「殺し合い・・・」
「宏之?」
「嫌だ、冗談じゃない・・・俺は新婚なんすよ。」
そう、宏之(小林宏之41)は今年の夏に結婚したばかりだ。相手の新妻は・・・
「リサちん(仮)はね、すげぇカワイイんすよ。制服とか着てもまだ全然違和感なくて・・・」
18才だ・・・
「リサちん(仮)はね、弾くんすよ・・・」
「弾く?」
「えぇ、一緒にシャワー浴びるじゃないすか。するとね、水をパチパチ弾くんすよ。」
「・・・」
「ぷるんぷるんしてるんすよ。ほら、俺らと同い年くらいの女ってもう下降線じゃないすか。
でもリサちん(仮)は違うんすよ。」
「・・・」
「嫌だぁ!まだ色々したいのに死にたくねぇよ!リサちん(仮)!リサちーん(仮)!!」
じたばたし出す宏之。少しムカついてきた。
「うるせぇなテメェ!少し黙れよ!」
福浦さんがキレた。さっきの話から、相当怒り心頭なようだ。
ぶすっとした顔で動きを止めた宏之。一瞬、この狭い空間が気まずい空気に包まれる。
しかし福浦さんの怒りも、宏之の気持ちもわかる。
俺、渡辺俊介(31)も念願の子供が生まれたばかりだ。こんな所で死ぬわけにはいかない。
だが、生き残るには・・・生き残るためには・・・
「他球団の人たちも来てるんだよな・・・?」
「そうでしょうね・・・」
そう、これからその人たちとの戦いに生き残らなければならない・・・
(出来るのだろうか・・・俺に・・・・・・人殺しが)
まだこの状況にいまいち実感の沸かない俺たち。
その冷たい現実を突きつけられるまで、そう時間はいらなかった。