んでも前田が「あとから他の奴等も来る」とか言ってたような・・・
どうすんべ
同じ前田なら俺はアキヒロにもうちょっと生きていてほしかったな
スレと時間の無駄ですよ、おまいら。
>>697-700と
>>716-718は無かったことにして、
今後選手会の増員とかは無し。
これでいいんじゃないですかね?
元々伏線もへったくれもなく前田を出したことから始まったんだろ?
書き手のレスが無いなら書き逃げと一緒じゃん。
どっちつかずな意見ばっかり並べてたって何も解決しないよ。
>>740 賛成。
やっぱり前田の登場は唐突過ぎだと思う。
ドラバトから派生したアナザーストーリーとして、本編とは別の場所で展開していくとかならよさそうだけど、それも無理があるかな?
あと、やる気になっている選手が少ないっていう意見があったけど、こっちはそんなに問題ない気がする。 ひとつの出来事がきっかけでやる気モードにスイッチが切り替わりそうなキャラは結構いる感じだし…
前田無しの方向ですすめちゃってもいいんですかね・・・?
743 :
126:04/11/03 07:01:13 ID:HRbHXoM4
レス読みながら考えてたんですが、前田登場の後、
ムリヤリ話を続けたりせずに、投下してもいいものかを
ちゃんと聞けば良かったですね。すみません。
一応、
>>576-578の続きとして、古田組の移動シーン→新キャンプで
緒方・高木と合流というのを用意してあったのですが…。
前田無しで進めることで決定ならば、そこから始めてもいいでしょうか?
744 :
112:04/11/03 07:44:57 ID:3jsZm9cp
レスを読んだ限り、前田はなしにした方がよさそうですね…
>740のとおりに行きたいと思うんですが、
ここまで俺と126さんしか意見言ってないのが気になる。
ほかの書き手さんはどうでしょうか?
今日いっぱいくらいは、前田登場させた書き手さんも含めて、書き手側の意見を待ってもいいかなと思う。
745 :
358:04/11/03 12:11:44 ID:SvlCzJ2r
一書き手です。前田無し案に賛成します。
あと、某スレの話題をここで出すのは反則なんですけど
意見があったらこの場で指摘して欲しいです。
スレが荒れるの避けようとしてのことだとは思うのですが…
746 :
代打名無し@実況は実況板で :04/11/03 17:15:56 ID:QIiNVypK
前田なし案に一票
747 :
代打名無し@実況は実況板で:04/11/03 18:35:20 ID:UiBkdZTF
「ドラゴンズ」バトロワであるということ自体にはこだわらない
だけど純粋に物語として破綻しちゃうから「前田登場」はナシという意見です
前田が出てくるということよりもストーリー上の矛盾が痛い
選手会、ドラ以外の人物でも、ピーコの出し方とか違和感なかったでしょう?
正直、読者が萎えるだけだったならそのまま続けたほうが良かったんだけど
(山北対幕田、仲澤以外が唐突に死んでしまってるところなど)
今回は騒ぎが大きくなっちゃってるし、書き手さんもナシと言うならば仕方の無いことでしょう
749 :
112:04/11/04 02:07:58 ID:6MJg79e6
それでは、前田登場は無しで行きたいと思います。
次は129章からでお願いしますね<書き手の皆さん
おかしいことあったら遠慮せずに突っ込んで貰えるとありがたい。
俺も納得のいくもの書きたいので。
で、前田がらみの
>>697-700、
>>716-718は、せっかく書いて貰ったので
別バージョンという形で保管庫に入れようかと思ってます。
(巨人バトロワの保管庫みたいな感じで)
750 :
112:04/11/04 02:19:58 ID:6MJg79e6
129.疑惑
(…また、またあいつや!)
視線の先には青い姿が、二つ。かなり離れている上、間には茂みがあり、はっきりとは見えない。
それが誰であるかは、何故かすぐにわかった。
英智だ。見間違えるはずもない。
「ここで会うたが百年目…こんどこそ殺ったる…」
ぶつぶつ呟きながらライフルを構える桧山の手を、今岡が押さえた。
「桧山さん。やめましょ」
「なんで止めるんや!」
思わず大きな声を出してしまい、はっとする。
距離があることが幸いしたのか、相手には気づかれずにすんだようだ。
「…二回もあいつを逃がしとるんやで。『三度目の正直』言うやろ?」
幾分か声を潜めて今岡を振り返る。
「『三度目の正直』ですか。でもそれは、あっちにとってもですよね?」
「まあ、確かにそうやけど…」
確かに、自分は英智を二度とり逃している。だが逆に、英智も自分を二度殺り損ねているのだ。
今決着がつくとして、どちらにとって『三度目の正直』になるのだろうか?
「桧山さんが勝つんならいいんですけど。向こうも今度は本気でくるかも知れませんよ」
「……」
桧山の瞳をのぞき込んでくる今岡の表情が、いつもの様子とどこか違うことに気づいた。
「今、最優先されるのは、『無事に新しいキャンプ地まで行く』ことですよね。
あの人らは俺らに気づいてない。わざわざ危険を増やす必要はないと思います」
今岡の言っていることは正論だ。いつもの行動からは信じられないことだが、今言っていることは間違いなく正しい。
それはわかっている。…わかってはいるのだ。
こわばったように銃を構えたまま動かない桧山に、今岡はため息をついた。
「気持ちはわかります。でもね、…桧山さんには死んでほしくないんですよ。
桧山さんは信用できると思ってますから」
751 :
112:04/11/04 02:22:26 ID:6MJg79e6
「…は?」
思わぬ言葉に、間抜けな返事が出てしまった。
「片岡さんも死んでもうたし。桧山さんは一応うちの看板選手ですし」
「…一応ってなんやねん」
「連絡がなかっただけで、チームからは信頼されとるし、ファンからは愛されとるし…」
「アイツの前にお前撃ったろか」
冗談とも本気ともつかない口調で言いながら銃を下げる。
「あー、わかったわかった。お前の言うとおりにしたる。ほな、行こうか」
今岡に続いて歩き出す前に、桧山は一度だけ振り向いた。
青いユニフォームは、まださっきと同じ位置から動いていなかった。
(英智、今回は見逃してやる。けど次また俺の前に出てきたら…知らんで?)
そう心の中で呟くと、早足に今岡の後を追った。
(しかし、コイツも、意外に殊勝なところがあるんやな)
さっきの科白を思い出してなんだか笑いがこみ上げてきた。
(「桧山さんには死んでほしくない」「桧山さんは信用できると思う」なんて………?)
今岡の言葉の中、何かが引っかかった。
「桧山さん『は』信用できる」……『は』?
普通は、「桧山さんを信用している」という言い回しにならないか?
いやな予感がした。
「なあ、今岡。俺『は』信用できる、っていったよな。…信用できん奴が、おるってことなんか?」
今岡が立ち止まって、振り向く。
…その困惑した表情が、桧山の予感を肯定していた。
【残り18人・選手会12人】
こんなスレ立ちました。
各球団の「バトルロワイアル」スレを見守るスレ
ttp://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1099509309/ 1 代打名無し@実況は実況板で sage 04/11/04 04:15:09 ID:3DOQ/pE+
神職人の名作、凡職人の凡作、名無しがなんか自治議論してる、批評はどこまでアリか、その他。
現行のバトロワスレの情報を集めつつ
内容や運営に関する感想や批判や情報交換や議論まで。
本スレの進行の妨げになりそうな話はここで。
でも陰口はほどほどに。基本的には神職人さんへ感謝の精神を忘れない。
753 :
126:04/11/04 17:20:30 ID:2uLggJpS
131. 背後に吹く風
多分、自分がまだ幼かった頃。小学校の遠足の時だったか。
班長に選ばれ、クラスメイトの先頭に立って歩いていた記憶がある。
── 喋んなやおまえらー、ほらちゃんと前見て歩けよ ──
時折後ろを振り返っては、級友たちに声をかける。もっとも、自分とてマジメに歩いていた
わけではないので、その辺は形だけのものだが。
担任に小言をくらいつつ、そうやって和気あいあいと歩きながら、しかし自分は心にひとつの
不安を抱えていた。
もし ── もし、次に後ろを振り向いたとき、誰もそこにいなかったらどうしよう ──
背後では、尽きることない級友たちのお喋りが続いている。どうしてその声が、そして彼らが
いきなり消えてしまうなどという想像を抱いたのだろうか。そんなこと、あるわけがないのに。
それはあまりにも漠然とした恐怖だった。
幼心に自分は何を恐れたというのか。年月を経た今も、その答えは分からずじまいなのだが。
(……何なんやろな)
微風が頬をなでていく。辺りを包む葉擦れの音を聞きながら、古田はなぜ今そんなことを
思い出すのだろうと、己の思考をいぶかしんだ。
一時的な、ただの杞憂ならばいいが……。
古田は小さく吐息した。出発から一時間近くそ知らぬふりをしていたが、そろそろ限界だ。
「キーヨー。自分いつまで拗ねてるつもりやねん」
首を後ろに傾けて、二メートルほど離れて歩く清原に呼びかける。
清原はこちらに目を向けただけで、何も言おうとはしない。
感情を顔に出すまいとしているが、瞳の奥には抑えがたい怒りがあるのがわかる。
隣を歩く中村が、物言いたげにこちらを見ていることに気づいた古田は、彼と目を合わせて
軽く肩をすくめた。
「放っとき。しばらく腹の虫おさまりそうにないで、あれは」
小声で言ったつもりだったが、清原には聞こえていたようだ。低く怒気を含んだ声が背後から返る。
「わざわざ三人固まる意味が解りませんわ。無線機あるんやから単独行動でええやないですか」
「無線機があってもなくても、お前は一人で行動したがるやろが」
古田も負けじと、トゲのある口調で返す。そやから俺と中村で見張っとるんやないか、と付け足して。
754 :
126:04/11/04 17:22:17 ID:2uLggJpS
「お前にはお前の腹積りがあるんやろ。それは解っとるよ」
溜め息をひとつはさみ、続ける。
「とりあえず、次のキャンプ地まではこらえてくれや。そこで俺の意見聞いてからでも遅くないやろ」
「……」
清原の表情は変わらない。が、古田から外した視線を落としたということは、ある程度の了承の合図
なのだろう。都合良く解釈することにして、古田は前を向く。
目的地までもうわずかの所まで来ていた。何の障害も無かったおかげで、順調に道程を消化している。
だがそれが逆に不気味でもあった。
他の役員たちは、すでに何人かのドラゴンズの選手と接触 ── あるいは交戦 ── したようだが、
明け方に山本昌が旧キャンプを訪れたことを除けば、古田自身はまだ『敵』に遭遇していない。
偶然と言ってしまえばそれまでなのだろうが ── どうも引っかかる。
(会わへんに越したことはない……んやけど、な)
それだけ向こうの数が目減りしているということか。行動を把握できていない役員たちの手によって?
あるいは、もっと別の要因で? ──
「古田さん」
思考の海に沈もうとしていたところを、中村の呼び声にすくい上げられた。ふと我に返る。
「…ああ、スマン。何?」
「途中参加の俺が、こんなこと聞くのもなんですけど。ちょっと気になったもんで」
遠慮がちに言葉を濁す中村を、「ええよ。言うて」と促す。
ためらいがちに伏せていた顔を上げ、彼は切り出した。
「── 古田さんたちは、なんでこの島に来たんですか?」
古田は足を止めた。全く予期せぬ質問に、目を瞠る。
同じくして、後方では清原も開いた距離はそのままに、歩くのをやめていた。
自分たちが急に立ち止まったことを怪訝に思っているのだろう。こちらに向けられる彼の視線を
感じながら、古田は眉をひそめて中村を見た。
「どういうことや?」
「いえ、俺の思い過ごしならいいんです。ただ、こんな危険だって分かりきっている場所に、
どうして古田さんたちは来たのかって…」
「……」
眉間の皺が深くなる。自分が愕然と立ちつくしていることを、古田は自覚した。
中村が何を言わんとしているのかは分かった気がした。── だが。
755 :
126:04/11/04 17:23:27 ID:2uLggJpS
危険? 難攻不落? そんなことは百も承知だ。『オーナーを倒す』という一心で、自分たちは
この島に来たのだ。罠と知っていて………罠?
そう、これは罠だ ──
思いつきでも何でもない。古田は今まさにそう理解した。
……いや、待て。では罠があると分かっている場所に、自分たちはわざわざ来たというのか。
確信はなかったのか。この島にオーナーがいるという確信は……。
記憶の底を探ろうとすればするほど、それは己の手から遠ざかっていく。
まるで厳重な鍵でもかけられているかのように、その先へ続く思考の扉を開けられない。何故だ?
「……古田さん?」
気遣わしげな中村の声が耳に届き、ぴくりと肩が動いた。
息苦しさに、古田は肺に詰めていた空気を吐き出した。
「中村、悪い。それちょっと長話になりそうやから、着いてからでええかな?」
動揺を悟られていないわけはないだろうが、平静を装って古田はそう言った。
中村もそこで話を混ぜかえすほど愚かではなかった。ただ、「はい」と頷く。
その時、自分の傍らを不意に影が横切った。清原が突然こちらを追い越し、大股に前進していくのが見えた。
なかなか動こうとしない自分たちにしびれを切らしたのだろう。それに倣うように中村も歩き出す。
目的地は目と鼻の先だ。地図を見てようやくそのことに気づく。
続いて古田がそちらに目を向けようとしたとき、背後を冷たい風が通り抜けた。
背筋を襲った急激な寒気に、なすすべなくその場に立ちつくす。
── そして彼らの声は消え、振り向いた先には誰の姿もなく ──
目的地が見えたことで、清原と中村が足早に先行する。
こわばりかけた足をむりやりに動かし、古田は彼らを追った。
その後ろ姿の向こうには、すでに新しいキャンプ地にたどり着いていた二人の姿があった。
緒方と、そして高木の姿が。
【残り18人・選手会12人】
756 :
126:04/11/04 17:26:21 ID:2uLggJpS
いきなり章番号間違えました。すいませんorz
×131→○130です。
次は131からお願いします。
757 :
代打名無し@実況は実況板で :04/11/04 21:31:45 ID:IOX8f4+O
758 :
代打名無し@実況は実況板で :04/11/05 05:50:52 ID:Z2VjNXuj
捕手
760 :
126:04/11/05 23:36:24 ID:4WqsFHfG
131. ゼロじゃない限り
「嘘だ……、こんなのって……」
小笠原が呆然と呟いた。見開いた眼を探知機の画面に釘付けたまま。
何度画面を見直してみても、『11』の数字はどこにも無かった。
英智は探知機を握りしめ、無言で唇をかむ。
「……」
自分たちを含めて、番号の数は17個 ── いや、今ちょうど数字がひとつ消えた。
残りは16。生き残っている仲間は十六人ということになる。
── 冗談だろ? まだあれから一日しか経っていないのに。
(……関川さんまで)
『23』が消失するのを目の当たりにし、英智の表情が否応なくゆがむ。
「川上さん……」
二度目に小笠原が押し出した声はか細く、今にも消え入りそうだった。
英智は彼を見た。その顔は血の気を失くし、表情すらも失っている。
「オガサ ──」
かける言葉を見つけられないまま、ただ親友の名を呼ぶ。
「なあ、英智、こんなの……おかしくないか?」
小笠原はすがるような目で英智を見上げた。
「こんな、画面の中の数字が消えたってだけで、死んだなんて……。
何かの間違いだ。こんなの信じられるわけねえよ……」
台詞の途中で小笠原の頭がうなだれる。頬に一筋、こらえきれない涙が流れていた。
(俺だって、信じたくない)
背番号11、川上は小笠原の大学時代の先輩だ。誰よりも川上を慕っていた小笠原に
とって、無機的ともいえる死の通達は、あまりに残酷なことだった。
胸中に、理不尽な何かに対する怒りがこみあげてくるのを英智は感じた。
── そうだ。ただの機械に、何で俺たちの生き死にを決められなきゃいけないんだ。
761 :
126:04/11/05 23:37:19 ID:4WqsFHfG
「…オガサ、あきらめるのはまだ早い。確かめに行こう」
「確かめるって、何を……?」
ユニフォームの袖で涙を拭いながら、驚いたような顔で小笠原が問いかける。
英智は首輪を指さして、言った。
「この機械が読み取ってるのは、首輪の電波か何かだろ?
機械である以上は、故障の可能性がある。お前がさっき言ってた、『何かの間違い』だって
いう可能性がさ」
故障という単語は、ただの気休めに過ぎなかった。言葉どおり簡単に故障する代物なら、
こんな苦労はしていない。とっくに首輪の呪縛から解き放たれているはずなのだから。
だがそれでも ── 希望は必要だ。
「よく考えろ。川上さんはそんな簡単に死ぬような人なのか?」
英智の言葉に、小笠原はゆっくりと顔を上げた。答える。
「違う」
川上さんは死んだりしない。あの人は生きてる ──
そこには、先輩と慕う人物に対する、微塵の揺らぎもない信頼の響きがあった。
力の戻った小笠原の瞳を見つめ、英智は微笑した。
探知機のスイッチを切り、自らの荷物の中にしまい込む。
「じゃあ捜しに行こう。川上さんが無事かどうかを俺たちの目で確かめるんだ」
頷く小笠原とともに、英智は歩き出した。
自分たちは川上の死体も、関川の死体も見ていない。
後ろを振り返ればまだそこにある、平松の死体は気分を陰鬱とさせたが、今は前に進むしかない。
希望があるのなら、可能性がゼロではない限り、自分たちはそれを信じ続けてやる。
【残り18人・選手会12人】
762 :
代打名無し@実況は実況板で :04/11/06 01:34:24 ID:AglOgvgr
hosyu
132.嵐の予感
荒木と福留は林の中を走っていた。
崖の下に消えた井端(実は違うのだが、この時の2人はそれを知る由もない)を救いだす――
そのことしか、今は頭になかった。
特に、荒木などはまっすぐ空を飛んで行きたい位だっだろうが当然そういう訳にはいかず、
海沿いの道が途切れていたために、更なる回り道をも余儀なくされ、焦燥を募らせていた。
「おい待て、待てってば…荒木!」
周りを警戒する様子すら無くひたすら走り続ける荒木と、福留との距離はどんどん開いていく。
声がしたのは、その時だ…
「福留! 荒木!」
「あっ、昌さん! …って、おい荒木!!」
思わず立ち止まった福留とは対照的に、荒木は声を掛けて来た山本昌に気付く素振りも見せず、
あっという間に姿が見えなくなってしまった。
「おいおい、行っちまったぞ…追いかけなくていいのか?」
「どっちにしろ、あれじゃ追いつけませんよ…行き先はわかってますし、とりあえず選手会の連中と
バッタリ出くわさないでいてくれればいいんですけどね……」
なんとか言葉を搾り出しながらも、気の毒な位に息を切らしている福留を見かねて岩瀬が水を差し出した。
「あ、どうも……わっ!岩瀬さん、その怪我どうしたんですか!?」
荒木のことは気になるが、何も話さず後を追わせてもいいことはないと判断した山本は、
いままでの状況を正直に簡潔に説明してやることにする。息を整えつつ、山本の話に耳を傾けていた福留だが、
確認を取るかのように言葉を挟んだ。
「つまり…うちのチームにも裏切り者がいるんですね……?」
(うちのチームに『も』?)
その言葉尻を捕らえ、今度は山本が顔を顰める番だった。
「どういう意味だ…?」
「おそらく…選手会側にも、裏切り者がいます……」
更に言葉を紡ごうとした福留だが、まるでそれを妨げるように大きな雷鳴がひとつ轟く。
「…こんなに、いい天気なのに――」
それまで黙っていた岩瀬が、空を見上げてつぶやく。
それに倣うかのように、山本と福留も押し黙って空を見上げた。
「……いまのこの状況は、嵐の前の静けさなのかな。」
山本が沈黙を引き裂こうと無意識に発した言霊は、不吉な響きを宿し……
そして、どことも知れぬ場所に消えていった。
【残り18人・選手会12人】
488KBか…
そろそろ新スレ建てないとまずいかもしれませんね。
767 :
代打名無し@実況は実況板で :04/11/07 00:47:27 ID:tAbU0Ds1
スレって誰でも立てられるの?
768 :
112:04/11/07 12:50:54 ID:tGybuiw1
769 :
代打名無し@実況は実況板で :04/11/07 15:13:50 ID:wRmC3pxb
乙。応援してる。そして楽しみにしてる。頑張ってくれ
771 :
112:04/11/07 23:48:36 ID:n0iXtC4e
133.知らされた事実
「お待ちしておりました」
車から降りた砂原を、黒服の男二人が出迎える。
(これは出迎えと言うより…監視だな)
ぴったりと並んで歩き出した男達をちらりと見て、砂原はそう思った。
そんなそぶりを見せないように、平常の口調で話しかける。
「頼んでおいたものは用意して貰えているかね?」
「ええ、ここに」
黒服の一人が大きな茶封筒を手渡す。
「解説をしろというのなら、事前にある程度の資料は送ってもらわないと。
今はファックスやインターネットもあるのに、現地まで来なければ情報も手に入らないというのでは困る」
申し訳ありません、と形だけ頭を下げた黒服に言葉を返さず、砂原は手の中の封筒を見やる。
選手会とドラゴンズの殺し合いの進行状況がまとめられた資料が、その中には入っているはずだ。
砂原は、出発前に本部へ電話を掛けた。
「解説のための資料を送ってほしい」と。
さすがにその要求は通らなかったが、最低限の資料を用意して貰い、到着後に目を通してから「解説」を行うことで話は付いた。
その交渉が長引いたため、到着が遅れてしまったのだが。
772 :
112:04/11/07 23:48:54 ID:n0iXtC4e
「どうぞ」
ホテル内の一室に案内される。
「資料を把握したらご連絡ください。すぐに迎えに参ります」
そういって黒服達は出て行った。どうせ部屋の前で見張っているのだろうが。
ため息をついて茶封筒をあける。紙の束がずっしりと重たい。
目を通す前からうんざりしながら、資料をぱらぱらとめくっていった。
会場となる島の概況、参加している選手の名簿、ゲームの進行状況。
(あまり気分のいいものではないな)
こんなものを楽しんで見ている奴らの、「あの人」の気が知れないと、そう考えていた砂原の手が、止まった。
「…どういうことだ」
砂原が見とがめたのは、二日目の朝の状況を書いた資料。
「何故、佐伯が…石井を、デニーを…」
ばさりと音を立てて資料が床に落ちる。
床に散らばった紙には、赤字でこう書かれていた。
『横浜ベイスターズ・佐伯貴弘、石井琢朗、デニー友利を殺害』
【残り18人・選手会12人】
773 :
126:04/11/08 00:58:08 ID:U07jXCCH
134. 契機
「誰のことやねん。信用できん奴いうのは」
「……」
続けて尋ねる桧山に、今岡はすぐに答えを返さなかった。
思わぬ失言をしてしまったことに気づき、身を硬くする。
(これ以上、この人を不安にさせたらアカンのに)
この戦いに身を投じてすぐに遭遇した中日の選手 ── 英智と言ったか ── を、
二度続けて仕留め損なっている事実が、桧山の闘争本能を刺激していることは明らかだった。
その英智に対する桧山の執着が、もはや闘争心という範囲を超えつつあることも。
桧山が『こんどこそ殺ったる』と呟いたのを、今岡は聞き逃していなかった。彼は本気だ。
何がきっかけで、彼の内に潜む“殺意”があらわになるか判らない。それだけは避けなければ。
「……信用できひん人がおるなんて、俺ひとことも言うてないですよ?」
できる限り真顔で ── いつもの無表情を装って、今岡は首をかしげた。
「そんなことより、早く次のキャンプ地に向かいましょう。俺らちょっと遅れてるっぽいですし」
「おい待て! ごまかすなや!」
話題をそらしたい一心で踵をかえした今岡の腕を、後ろから桧山がつかんだ。
驚いて振り返った今岡の目と視線が合い、彼はすぐにばつの悪そうな顔になる。
「悪い ── 」と、視線を下げた桧山の腕をやんわり振りほどき、今岡はかすかに吐息した。
「……ごまかしてないです。ここでぐずぐずしてたら危険なだけやと思って」
「いや、俺が悪かった。そやけどお前の言い方が、そういう意味に聞こえたから……」
「勘繰りすぎですよ」
口ごもる桧山に、きっぱりと今岡は言った。
「俺はホンマに桧山さんに死んでほしくないんです。それと、できれば ── 」
今岡が言葉を繋ごうとした瞬間、突然轟いた雷鳴がそれをかき消した。
轟音の余韻が耳に残る。思わず仰いだ空は青く澄んでおり、暗雲の気配はないというのに…。
「キツネの嫁入りかいな。雨ちゃうけど」
空を見上げ、眩しそうに目を細めた桧山がひとりごちる。
その時、ポケットに入れていた無線機から、通信を知らせる音がした。
『えー。業務連絡、業務連絡』
『コラお前ら! 寄り道しとらんと早よ来んかい!』
774 :
126:04/11/08 00:59:43 ID:U07jXCCH
今岡は右耳につけているイヤホンに手を触れた。聞こえてきたのは古田の声と ── その後で
割り込んできたのはおそらく清原の声だろう。
小さなノイズが絶えず鼓膜を刺激するのをわずらわしく思いながら、応答する。
「あ、そっちはもう着いたんですね」
『キヨ、八つ当たりすんな……って、今岡? お前ら今どの辺や。こっちは五人そろった。
そっちは近くまで来てるんか?』
「はい、多分…」
取り出した地図を広げ、今岡は現在地を確認した。
目的地まではあと1キロ半ほど。二十分もあれば着く距離だ。古田にそう伝える。
『そうか、無事なんやったらええ。くれぐれも気をつけろよ』
「わかりました」
通信を終え、ひとつ息をつく。
右耳にはまだノイズが聞こえつづけている。神経を逆撫でするような音に顔をしかめ、今岡は
無線機のスイッチを切ろうとした。が。
(……?)
サー…サー…という音をバックに、わずかだが人の息遣いらしきものが聞こえる。
耳を澄ませてはいけない。頭のどこかで警鐘が鳴った。だが聴覚は逆に研ぎ澄まされていく。
息遣いと思えたそれは、だんだんと収束され、一つの発音へと形を成す。
── ……ロ…セ……
「!」
ぞくりとしたものが背筋を駆け抜け、今岡は反射的に無線機の電源を切っていた。
胸に当てた手を握りこむ。早鐘を打つ鼓動音が、拳に伝わってきた。
今のはいったい……?
「桧山さん……」
傍らにいる彼を振り向いたのは、この気味の悪さを伝えるためだった。
しかし、視線の先にいる桧山の様子が、明らかにおかしいことに気づく。
まるで ── ではない、マネキンそのもののように瞬きも呼吸も忘れ、ただそこに立っている。
支援(・∀・)
776 :
126:04/11/08 01:01:27 ID:U07jXCCH
「桧山さん!」
今岡は彼の肩を揺すった。抵抗なく揺すられるがままだった桧山の身体が、何往復目かで
ビクンと大きく震えた。見開かれた両眼がぎこちなくこちらを向く。
── 焦点の合わない両眼が。
「……」
桧山の唇が、無音の言葉を紡いだ。 ── 殺す、と。
「ひや……」
今岡の呟きは、突如喉元へと伸びてきた指の感触にさえぎられた。躊躇なく前に踏み出した桧山の
顔が視界を埋めつくす。
首に巻きついた十本の指が乱暴に食いこみ、気道をふさぐ。
彼の腕をつかんで引きはがそうと抵抗を試みるが、それも徒労に終わる。
尋常ではない力だった。本能のすべてをそこに注ぎ込んでいるかのような。
空気を求め、今岡の口が開かれる。吸い込もうとする息は喉の途中でつかえ、外へ漏れ出た。
(人殺しに ── ならないで ── あなたは)
伝えたい、伝えなければならない様々な言葉が、今岡の脳裏に浮かんでは消えた。
間近にある、彼の瞳の闇は、底なし沼のようにただ、深く……。
777 :
126:04/11/08 01:02:26 ID:U07jXCCH
「なあ、あれ……」
小久保の呟きを聞いた松中は、彼の指差した先を見やった。
負傷した足を引きずって歩く小久保に肩を貸しながら、地面に残された足跡をたどっていた
途中でのことだ。
人影が見える。それも二つ。
松中は目を細めた。遠目にだが、二つの人影の服装はスーツらしきものに見えた。
「選手会の誰か……ですかね」
「な、俺の言ったとおり、大丈夫だっただろう」
得意気に小久保がニヤリと笑う。松中は笑みを返しつつ頷き、彼を気遣いながら ── それでも
できるだけ早く、足を進めた。
やがて、人影が誰なのか判別できる距離にまでたどりついた時、信じられない光景がそこにはあった。
そこにいたのは、今岡と桧山 ── いや、それはいい。そうではなく…。
何故、桧山が今岡の首を締め上げているのだ?
「……なっ」
小久保が絶句する。思わず立ちつくしかけ、松中は意識を振り切った。
考えている暇はない。小久保を置いて、一人駆け出し、叫んだ。
「何をやってるんだ!!」
【残り18人・選手会12人】
778 :
126:04/11/08 01:05:15 ID:U07jXCCH
497KBか…。あと一話くらいで埋まりますかね。
>>775 支援サンクス。
自分のトロさ加減にへこんだ_| ̄|○
779 :
775:04/11/08 01:07:19 ID:zTaEhXgt
>>778 乙(・∀・)!
今回と同量くらいでギリギリと思われる
危険だから、ここ埋めて次スレに行った方がいいかも
780 :
112:04/11/08 01:11:32 ID:svAWavqh
>126
乙です。
途中で切れるのも嫌だから、新スレ行った方が無難でしょうね。
しかし800行ってないのに埋まるとは思わなかった…
梅るか・・・
782 :
126:04/11/08 01:14:15 ID:U07jXCCH
自分の投下中に埋まるかとガクブルでした。
うめちゃいましょう。
職 人 さ ん 方
お つ か れ さ ま で す
次 ス レ も よ ろ し く
人☆人
. i ( ( ) ) i
i ノ゛"゛"゛"゛"゛"゛"゛ヽi
ノ~~ 八 ∧,,∧ 八 ~~ヽ
οο 川 ミ,,゚Д゚彡 川 οο
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ノ つ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⊂ ヽ
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プハー
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787 :
112:04/11/08 01:17:14 ID:svAWavqh
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