1 :
1:
なかったから立てた。
仕事から帰ってくる。
扉を開け、台所では大ちゃんがシウマイを蒸している。
「大ちゃんも今日はお疲れ様!」
いつもの光景、そして同じ言葉。
残業のせいで野球中継もろくすっぽ見る事が今はできないけどハマが勝っても負けても
大ちゃんは大ちゃん。
なんで連戦中も(今は甲子園)からここまで帰ってきてるかは知らないけど
ほこほこと立ち上る蒸気が大ちゃんを包んでいる。
今日のシウマイもおいしいのだろう、いい加減、飽きてきたけど。
そんだけ。
2 :
代打名無し:04/05/27 02:03 ID:bogkyz2H
げふ
3 :
代打名無し:04/05/27 02:07 ID:k1P5XE7I
3だな
4 :
代打名無し:04/05/27 02:09 ID:hvm0PqsM
どう広げればいいのだろう…。
5 :
代打名無し:04/05/27 02:14 ID:PZbe9+oA
つーか仮に広がってもそれは
>>1のおかげじゃなく大ちゃんのおかげ。
どんな糞スレも安心して広げれる。それが大ちゃんブランド。
6 :
代打名無し:04/05/27 09:43 ID:dtP7+TDr
乙
7 :
代打名無し :04/05/28 02:14 ID:ox9Tzyvp
俺は大ちゃんの為に、とりあえず即死防止カキコをした。
そんだけ。
8 :
代打名無し:04/05/28 02:58 ID:psn2+NeG
自転車は海岸沿いの道をひたすら走っていた。
青い空から降り注ぐ日光が海をきらめかせ、その照り返しが俺達の顔を輝かせていた。
全てがただ眩しかった。
「大ちゃん。…もし優勝したらどうする」
「もし、じゃない。優勝するんだよ」
背中越しに大ちゃんの怒った声が聞こえてきた。
「そうか…。ごめん」
「いやいや。僕は怒ってないよ。ただ、
真剣に優勝したいという気持ちを分かって欲しかっただけなんだ」
大ちゃんは少しあわてて言った。
「優勝した時には、ハマの星たちが輝いて海を照らすはずだよ。今のこの海と同じくらいにね」
ベイスターズか…。
俺は横目で海を見た。
海は相変わらず日盛りの太陽を受けて輝いている。
初夏の潮風が眠気を誘う。
急に背中に受ける圧力が大きくなった。
「大ちゃん。大ちゃん!? …寝たか」
フェンス越しの線路を電車が駆け抜けていった。
俺はその電車に負けないよう、立ち漕ぎにかえた。
そんだけ。
9 :
代打名無し:04/05/28 09:27 ID:Ksm11P1j
10 :
傑作選:04/05/28 09:30 ID:Ksm11P1j
寒い夜、こたつでくつろいでいたらピンポンが鳴った。
ドアを開けてみるとそこには土鍋を持った大ちゃんがいた。
どうやら今晩は漏れと鍋をしたかったようだ。
もう晩飯を食べたと告げると大量の食材と鍋を持ったまま
大ちゃんはとぼとぼと帰ってしまった。
先に連絡ぐらいよこせよと思いながらも
冷たい夜風に耐えながら帰る後姿を見ていられなかった。
そんだけ。
11 :
傑作選:04/05/28 09:32 ID:Ksm11P1j
今日も大チャンと一緒に日本シリーズを見ていた。
大チャンは本当に野球が好きなんだな。
俺がどっちを応援してるのかと聞くと、
「どっちも応援してるよ。頑張ってる姿が好きなんだ」
と少し照れながら言った。
俺は黙ってシュウマイを食べた。
川?アと秀太が激突したシーンでは、
「大丈夫かな、大きな怪我じゃないといいね。みんな元気で野球してほしいね」
と大チャンはちょっと悲しそうな顔で呟いた。
「秀太の走塁が悪いんじゃないか?」
そう俺が言うと、大チャンはぷるぷると首を振った。
「みんな一生懸命やってるんだ、誰も悪くないよ。僕はみんなを応援してるんだ」
大チャンの目は綺麗だった。シュウマイを食う俺が写っていた。
それだけ
12 :
傑作選:04/05/28 09:35 ID:Ksm11P1j
夜、いつものようにゴミを出しに行ったら、電柱の下に大ちゃんがいた。
「寒くないの?」俺がそう言うと
「反省してるんだ、今季のこと…だからそっとしておいてよ。」と大ちゃんは言った。
しかし、そう言いながらも大ちゃんの肩は震えている。
やはり秋とはいえ相当寒いのだろう。
だからといってここで甘やかしてはいけない。
「そうか。頑張れよ。」
「うん。」
大ちゃんの頭を軽くぽんと叩いて、俺は再び家への帰路を歩く。
帰る途中、何度も「くしゅん!」と大ちゃんのくしゃみを聴いた気がした。
そんだけ。
13 :
傑作選:04/05/28 09:38 ID:Ksm11P1j
今日も大ちゃんと日本シリーズを見た。
「来年はあの舞台に立てたらいいな。」と俺が言うと
「うん、でもどこのチームも日本一目指してるんだ、全部のチームが優勝できたらいいのにな・・・。」
と大ちゃんは言った。
俺は「大ちゃんは優しすぎるよ。」と言おうと思ったが大ちゃんの目を見ると何もいえなくなった。
しばらく黙り込んでいると急にテレビが切れた。
びっくりして前を見るとリモコンを握り締めたまま大ちゃんが泣いてた。
今にも消えそうな声でなんども「ごめんね・・・みんなごめんね・・・。」と謝っていた。
俺はそんな大ちゃんを正視できずに上を見上げた。
少しするとテレビがつく音が聞こえて、大ちゃんはすこし寂しそうに微笑むと
「シウマイ作るね。」と言った。
そんだけ。
14 :
傑作選:04/05/28 09:43 ID:Ksm11P1j
昨夜、布団に入ろうとした俺に、先に横になっていた大ちゃんが、
「にゃんこがそっち側にいるからそっと入ってね。」と言った。
寝相の悪い俺の側にはいつも潜ってくれず、大ちゃんとばかり寝て
いる愛猫と今夜は一緒だぜ!!!と喜びつつそ〜っと入って、手を
伸ばした…いない。
大ちゃんが「嘘だよ〜。だまされたね。」とにやにやした。
やはり今夜も猫は大ちゃん側に入っていたんだ。
無性に悲しくなった俺は、「大ちゃん、そうやって期待をさせて
おいて裏切るなんて最低だ! ファンのこともそうやって裏切って
きたんだろう!」と叫んでしまった。
大ちゃんは、「ごめん、ちょっとした冗談だったんだ…僕って最低
だね。」と小さな声で謝ってきた。暗い中でも大ちゃんの目が潤んで
いるのがわかった。
「いいよ、怒ってないよ。そんなに謝らなくても大丈夫だよ…」と
言ったけど、大ちゃんは布団の隅に小さくなって眠り込んでしまった。
いつも大ちゃんの頭が邪魔で、狭かった布団が、ものすごく広くなってしまった。
そんだけ。
15 :
傑作選:04/05/28 09:45 ID:Ksm11P1j
子供のころから苦手な自宅への帰り道がある。
その道は河原の土手沿いの狭い道で、もちろん車が通れる幅ではなく、
昼間は子供が遊んでたり、老人達が散歩してたり結構にぎわっているくせに
夜になると全く人気もなく、500m程にわたって外灯がなくて寂しい道なんだ。
終電ぎりぎりで帰宅するはめになってしまった俺はその道を歩いているうちに、
自分の足音と川の音とは別に背後から奇妙な音が聞こえてくるのに気が付いた。
立ち止まって耳を澄ますと、その音もピタッと止まる・・・。
歩き出すと、またその音が聞こえてくる。自分の足音に混じって微かに聞こえてくる・・キュムキュムって音・・。
思い切って後ろを振り返ると大ちゃんが立っていた。
「びっくりした?帰りが遅いから迎えにきたんだよ。」
薄い月の光が川面と大ちゃんの頭を青白く照らしている。
ニコニコしている大ちゃんを見て腹が立った俺は、つい怒ってしまった。
「おいコラ、禿。人に迷惑かけんのもいい加減にしろよ。
そんなんだから、みんなから馬鹿にされんだよ。これじゃ来年も最下位だろうな。」
びくびくしていた臆病な自分を見られた恥ずかしさが手伝い、つい余計な一言を口走ってしまった。
大ちゃんは黙ってうつむいた・・・そして何も言わず走り去って行ってしまった。
(どうせ、すぐに帰ってくるだろ。あとで、ちゃんと仲直りしよう。)
嫌な気持ちを引きずったまま、家まで辿り着いた俺は食卓を見て愕然としてしまった。
食卓にはケーキとシュマイが綺麗に並べられていた。今日は俺の誕生日・・・。
その夜をさかいに俺の前に大ちゃんが姿をみせることはなくなった。
そして、俺はその道を通るたびに耳を澄ますようになった。キュムキュムって音が聞こえてこないだろうか・・。
そんだけ
16 :
傑作選:04/05/28 09:53 ID:Ksm11P1j
17 :
代打名無し:04/05/28 09:56 ID:Ksm11P1j
大ちゃんと俺の関係2 があったはずだが見つからず
そんだけ
18 :
代打名無し:04/05/28 13:16 ID:qRgFa/ac
>>17 大ちゃんと俺の関係2はすぐにdat落ちした。
それだけ
おぉ3つめが立ちましたか・・・(つд`)
>>1乙!
そんだけ
20 :
代打名無し:04/05/29 10:39 ID:2nEC42/h
台所に行くと大ちゃんはシウマイを蒸していた
「なあ、そろそろ火を止めたほうがいいんじゃないのか?」
俺は心配で大ちゃんに声をかけた
「うん。でも大丈夫だよ。もう少し蒸しても」
「そうか?」
俺の心配した通りシウマイは蒸し過ぎてしまってとても食べれなかった
翌日
今日も大ちゃんはシウマイを蒸していた
「なあ、そろそろ火を止めたほうがいいんじゃないのか?」
俺は心配で大ちゃんに声をかけた
「うん。でも大丈夫だよ。もう少し蒸しても」
「そうか?」
やっぱりシウマイは蒸し過ぎてしまい食べることができなかった
……そして
今日も大ちゃんは台所でシウマイを蒸している
俺はそんな大ちゃんの後姿を見つめていた
そんだけ
21 :
代打名無し:04/05/29 21:45 ID:qxBJjABi
俺のそばにはもう大ちゃんはいない。
それでも野球中継でチラッと映る大ちゃんの表情はあの日と変わらない。
チャンスでウッズがホームランを打って喜ぶ顔も、自慢の中継ぎ陣が炎上した時の涙目になった悲しい顔も。
今、5割を行ったり来たりしているベイスターズを、応援している俺がいる。
ただ、俺には何か物足りなく感じる。何だろうかと考えてみる。
「デニーが出ていないじゃないか!」
俺がそれに気づいた時、テレビから川村が打たれたという実況が聞こえた。まるで、ざまあみろと言わんばかりに。
やがて大ちゃんが審判に選手交代を告げているのが映されると、ウグイス嬢のアナウンスがこう言った。
「…9番 ピッチャー デニー友利 背番号41」
球場のどよめきの中、デニーが久しぶりにマウンドに上がる。
心の片隅に不安を感じながらも、俺はデニーの登板を喜んでいる。
それだけ。
22 :
代打名無し:04/05/29 22:56 ID:Acmf9NCK
「やーれーばできーるはーーーー」
最近、大ちゃんの一番お気に入りの歌だ。
やってもできないことなんて7たくさんあるのに。
課長の眉を頭に浮かべながら大ちゃんをじっと見る
小さい背中が震えている
大ちゃんもきっと今、俺と同じ気持ちなのだろう
そんだけ
23 :
代打名無し:04/05/30 17:21 ID:KD5crlqP
オゾン
24 :
代打名無し:04/05/30 20:19 ID:j8UUrIvy
今日も保守
それだけ
25 :
天才ハンシンドローム:04/05/30 20:27 ID:PKz2XwEH
こんなにいやらしいヤオイスレははじめて見た
いい加減にしろ
そんだけ
26 :
代打名無し:04/05/30 20:35 ID:AdcDc9ER
何かあったかいね、このスレ
そんだけ
27 :
代打名無し:04/05/30 20:46 ID:xGTB7C9o
待ってた。
そんだけ
28 :
代打名無し:04/05/30 20:53 ID:kySshjOM
なんか、イイ
29 :
代打名無し:04/05/30 21:28 ID:j8UUrIvy
月曜日。仕事が始まると思うと鬱だ。
重い足取りで家から出ると近所のハゲたおじさんが声をかけてきた。
「おはよう!今日は負けないよ!」
「試合ねぇだろ…」
他愛もないやり取りだが、これだけで俺の足取りが軽くなった気がした。
そんだけ
30 :
代打名無し:04/05/30 23:42 ID:6TjK7vUz
そろそろ大ちゃんに笑って欲しい。
今日も大ちゃんの背中はさみしそうだった。
そんだけ
31 :
代打名無し:04/05/31 01:14 ID:0w0IhSUK
大ちゃん、もうちょっとまばたきしろよ・・・怖いよ・・・
そんだけ
32 :
代打名無し:04/05/31 13:27 ID:CbNNAggp
大ちゃんは娘さんの就職について悩んでいるらしい。
そんだけ
33 :
代打名無し:04/05/31 21:01 ID:D8qnWWbz
言い訳の出来ない敗戦だった。
勝負は序盤に決し、ただ九回までを事務的にこなすだけの試合となってしまった。
スタンドは怒りを通り越してもはや自虐的な笑いすら見られ、諦めと失望のみが支配していた。
試合後、ベイの帽子を被った小学生がゴミ箱に怒りのあまりメガホンを叩きつけていた。
その脇ではその子の祖父だろうか、白髪の老人が「そんなことをしてはいけない」とたしなめつつも
どうすることもできずじっと見つめていた。
もうあの子は二度と野球場には来ないかもしれないなあ、
そんな感想を抱いていると、突然その子の足元にボールが 軽い音を立ててはずんだ。
どこから来たのかいぶかしんだ俺も含めた周囲の人たちがあたりを目で探ると、やがて驚きともつかないような声があがった。
「大ちゃん!?」
ネットの向こうにいた大ちゃんがボールを投げたのだった。
よく見るとボールには「崎陽軒の回数券」が輪ゴムで巻きつけられており、
小学生はそれをどう受け取っていいものやら解しかねた風だったが、やがてはにかみながらも
「ありがとう」と言った。
それを見た俺はエールを贈りたくなった。
「大ちゃんー!!明日も野球はまだ続くんだよー!!」
周りの人も続いた。
「そうだー!!明日こそ頼むよ大ちゃーん!!」
「頼むぜー大ちゃーん!!」
アンツーカーのライン上にいた大ちゃんは帽子を取って頭を下げた。
頭に照明が反射して白く光った。
スタンドから期せずして拍手が沸き起こった。
そうだ。明日も野球はある。
出口へ向かう廊下へ出て並んでいると、前にさっきの小学生が立っていた。
小学生はさっきのことなど忘れた風にゲームボーイアドバンスをプレイしていた。
ボールはリュックの脇の網ポケットに無造作に突っ込まれていた。
回数券の下からわずかに覗く大ちゃんのサインが蛍光灯に照らされて鈍く光っていた。
大ちゃん…。
そんだけ。
34 :
代打名無し:04/05/31 21:36 ID:zR4Vnadn
35 :
代打名無し:04/05/31 23:41 ID:+th++vpf
36 :
代打名無し:04/06/01 01:35 ID:wS63PVth
37 :
代打名無し:04/06/01 16:37 ID:P3LCpCD4
いがいとこのスレ知らないやつが多いのかな
そんだけ。
38 :
代打名無し:04/06/01 16:44 ID:Sy5opffR
そんで映画化はいつするの?そんだけ。
39 :
代打名無し:04/06/01 17:25 ID:TluSuViJ
頑張ってほしいなぁ
そんだけ
40 :
代打名無し:04/06/01 17:42 ID:uCL15hjQ
大ちゃん。
言ってみたかっただけ。
そんだけ。
41 :
代打名無し:04/06/01 19:51 ID:A1QThaRz
このスレを見ていたら彼女が「何見ているの?」と言った。
モニタを覗き込み「ん?『大ちゃんと俺の関係3』?大ちゃんの絵ないじゃん?」と言う。
絵=AAのことだと思うが、
なるほど、大ちゃんスレなのにAAが全く出ないのも珍しいなと思った。
そんだけ。
42 :
代打名無し:04/06/01 22:02 ID:Jd6MT2Fq
今日は横浜が勝った。
文句のつけようのない素晴らしい試合内容だった。
ゲームセットと共に、僕は蒸し器にシウマイを並べ始めた。
昨シーズンが終わった直後、大ちゃんは僕の部屋を出て行った。
「…ダメ監督だよ、僕は…」悔し涙とともに、大ちゃんはそう云った。
「チームのみんなが頑張ってるのに…あれだけしか勝てなかったなんて…」
「大ちゃんだけのせいじゃないよ。」そう云ってあげたかったけれど、
今の大ちゃんには、気休めみたいなものが全然通じそうになかった。だから僕は、
ただ黙っているしかなかった。
荷物をまとめて、玄関で靴を履いた大ちゃんは、俯きながら部屋を出て行った。
「心から満足のいく試合が出来たら…きっと戻ってくるから…」そう云い残して。
今日は横浜が勝った。
文句のつけようのない素晴らしい試合内容だった。
「今日こそは、大ちゃん、帰ってきてくれるだろうか…」
今シーズンが始まってから、僕は毎日冷蔵庫にシウマイを常備している。
いつ大ちゃんが帰ってきてもいいように…。
大ちゃんの好きなシウマイで迎えられるように…。
僕はシウマイを蒸す。今日で、ひとりきりのシウマイの夕食にサヨナラできることを願いながら。
43 :
42:04/06/01 22:03 ID:Jd6MT2Fq
そんだけ。
44 :
代打名無し:04/06/01 22:23 ID:Sy5opffR
>>42 思わずうるっときちまったじゃねーか!(つД`)
こんなに感動するのはTBSのホームドラマかここくらいだな。
そんだけ。
45 :
代打名無し:04/06/02 16:33 ID:xXp6WsgC
age
そんだけ
46 :
代打名無し:04/06/02 16:50 ID:jVnC6Yew
大ちゃん、
蒸しすぎのシウマイも結構うまいよ。
そんだけ。
47 :
代打名無し:04/06/02 21:26 ID:saFmLc2H
このスレ すきなんだ........ そんだけ。
48 :
代打名無し:04/06/02 21:41 ID:ZsZ3FuKu
今日はまだかな?
そんだけ。
49 :
代打名無し:04/06/02 22:51 ID:43ZTlyFA
>>44 ホームドラマってえらく糞だって聞いていたけど、
感動という意見は初めて聞いたな。
そんだけ。
50 :
代打名無し:04/06/03 00:24 ID:lg8WEpTv
駅前の英会話教室通いも今日で三日目を迎えた。
休憩時間に階に一つしかない共有トイレに行った帰りのことだ。
「監督予備校」なるものを見つけた。
なんだこりゃ?
冷やかしにパンフレットだけ読むつもりで中に入る。
中は旅行会社の受付のようになっていて、カウンターの向こうでは男女一人ずつが俺に
目もくれず何か事務の仕事をしていた。
入り口からすぐ横に隣の部屋へと続く扉があり、どうやらそこが教室になっているようだ。
ドアに張られた紙を見ると今日は「監督原論初級第二回講座」というものをやっているらしい。
さすがに中に入るのは憚られたので、ドアについてる窓越しに覗くと、この教室の内装は
塾や予備校にありがちな、パイプ椅子と会議用机だらけのありふれたものだった。
それらの席は八割方埋まっている。年齢層は様々だが、ゲームに応用するのか小学生の姿も見えた。
ん?いや、ちょっと待て。最前列の一番前に座っているあの人物は…。
51 :
代打名無し:04/06/03 00:26 ID:lg8WEpTv
やっぱり大ちゃんだった。
試合が終ってすぐ駆けつけたのか大ちゃんはスタジアムジャンパーも脱がず、
ずっと首を上げて熱心にメモを取っている。
プロ野球の監督がこんなところに来ていいのか?と真っ先に思ったが、大ちゃんの采配が去年に比べて向上したとは
皆の言うところだ。それはもしかしたらこの学校のおかげかもしれない。
プロ野球の監督であるというプライドもかなぐり捨てて、人知れずこんなところで勉強している大ちゃんの姿勢に
俺の胸は熱くなった。
ただこの時期でまだ初級かよという気持ちも少しはあった。ほんの少しは。
早く上級へ行ってくれ。
ところでさっきから背中を向けている講師の姿にどこか見覚えがあった。
誰だろう…?
「えーそういう訳でですね、七回八回、ノーアウトニ三塁で僅少点差なら先発ピッチャーでも代打を出す、これは試合によく出ますので
チェックしといてください」
強調のために講師がこちらを向いた。
森だ。
こんな分かりきったことを教えないといけないのかという戸惑いと、それでもプロの講師としてきっちり教えなければならないという義務感が
合わさって表情に複雑な影をつくっていた。
常勝レオ軍団を率いていたころの栄光はもはや無かった。
休み時間が尽きかけていたこともあり、なんだか俺は居た堪れなくなってその場を後にした。
がんばれ大ちゃん&森。
ところでパンフレットの「有名監督講師陣!!」のところの「全任期Aクラス監督土井氏」は
直した方が良いように思った。
それだけ
52 :
代打名無し:04/06/03 02:02 ID:xUX1H5Wq
wara
53 :
代打名無し:04/06/03 02:48 ID:83uYXg7w
ワロタ
54 :
代打名無し:04/06/03 12:18 ID:kj17pGiM
ホクショウ
55 :
代打名無し:04/06/03 14:03 ID:Vy3Kkqel
age
そんだけ
56 :
代打名無し:04/06/03 15:21 ID:GkIvlGjU
cccc
57 :
代打名無し:04/06/03 21:54 ID:KntxbeAR
昼ご飯はなんにしよう、そう考えながらさまよい歩いていた。
そうだ、ミスドで飲茶セットを食べよう。
もちろんシューマイセットで。
さあ食べようと思ったら、誰かに腕をつかまれた。
大ちゃんだった。
「シウマイと言えば崎陽軒だよ。」
とりあえずシューマイは大ちゃんの口に押し込んでおいた。
そんだけ。
58 :
代打名無し:04/06/03 22:10 ID:r9WmDTjX
. . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄
>>57負けると内容も陳腐なものになるんですね。
59 :
代打名無し:04/06/04 11:46 ID:SipZWJ1r
寂れた商店街の、中古レコード屋の店先で格安CDを漁っていた時のこと。
ふと気が付くと、シャッターが閉まった一軒向こうの角から続いている行列が
いつの間にか俺の側にまで来ていた。
「この占い師スゲェ当たるとか聞いたのー」
最後尾の女子高生ふたりが友達の評判として話し合っていた。
占いに興味は無いが、どうせ暇だし、どんな占い師か顔を見てやろうと思って、角を曲がって列の先頭へ向かった。
自分探し五年目突入というようなOLや、セレブ目指して勉強中といった子連れの主婦の脇を抜けていく。
どんな奴だろう。
ついに先頭にたどり着いた。
あ。
大ちゃん!?
ローブを被ってよく見えないがあれは大ちゃんだ。
一体何を占ってるんだ。俺はあわてて列に並び直した。
60 :
代打名無し:04/06/04 11:49 ID:SipZWJ1r
それから二時間後、ようやく俺の番が来た。
「はい。何を占って欲しいですか。モグモグ」
普通なら水晶玉を置く場所に硬式ボールがあった。
さて何を占ってやろうか。
「今年の横浜ベイスターズの運勢をお願いします」
「恋愛運ですね。モグモグ」
そんなの聞いてねぇ。
俺の思惑をよそに、占い師はボールを手に取ると、様々な変化球の握りを試した。
「だーいそーうだーいだー……。あなたの恋愛運はこれです!!モグモグ」
フォークの握りだった。
「ストレートのつもりで受け止めようとするとストンと落ちてどこかいっちゃうよ。
よく見極めようね。モグモグ」
何だかよく分かったような分からないような例えだ。
「はい。見料は三千円です。モグモグ」
高ぇ。
61 :
代打名無し:04/06/04 11:53 ID:SipZWJ1r
「ふざけるな!お前は…」
俺は立ち上がって占い師のお面を剥いだ。
「マムウェィだろう!!」
正体を暴かれたマムウェイは代走でタッチアウトになった時のようにオロオロしていた。
「大ちゃんは今静岡に居るはずだ!それにその…」
俺は台上の黒いテーブルクロスを指差した。
「白いお菓子のくず!俺の目はごまかせないぞ!!」
俺は一体何をそんなに怒っているのかよく分からなかったが、
とにかく推理小説の探偵のようにひとつひとつ証拠をあげてマムウェイを追い詰めていった。
その間マムウェイは顔を覆いながら、使ってくれない監督が監督がとうめき声のようにつぶやいていた。
さらに俺が追求しようとすると、奥から小川がやってきて、その場から連れ去られてしまった。
くそ。
もう一度言ってやる。そう決心して列の方へ戻ると、最後尾に
包帯をぐるぐる巻きにした杉内がいた。
そんだけ
62 :
代打名無し:04/06/04 16:44 ID:fuwIaGNV
面白いのでageてみる
それだけ
63 :
代打名無し:04/06/05 09:37 ID:NbSZt5dz
ネタぎれ
そんだけ
64 :
代打名無し:04/06/05 21:03 ID:TdV0bJwi
hosyu
65 :
代打名無し:04/06/06 00:21 ID:VBAVqLV7
きょうは、打撃不振に苦しんでいた鈴木尚典が
9回裏にサヨナラ3ランを打ってくれた。
リードしていた試合なのに吉見を引っ張って同点にされた
大ちゃんの起用を責めるファンも、この時はそんなことも忘れて喜んだ。
もちろん、俺だってうれしかった。
そして何より、鈴木尚を迎える大ちゃんが、
一番嬉しそうに見えた。
それだけ
66 :
代打名無し:04/06/06 00:26 ID:MLJXsEGP
・゚・(つД`)・゚・
そんだけ
67 :
代打名無し:04/06/06 17:26 ID:ABUPc6tW
age
そんだけ
68 :
sage:04/06/06 17:28 ID:+gscrqRk
なんだこりゃ
69 :
代打名無し:04/06/06 17:33 ID:xVrbKbmO
尻に夕陽の熱を受けてぼんやり起きた。
午後四時だ。
大変だ。大ちゃんを起こさないと…。
いくら野球選手が起きるのが遅いといっても昼前には起こさないといけない。
まして今日はデーゲームだ。もう試合は始まっているかもしれない…。
腹にタオルケットをかけてぐっすり眠っている大ちゃんの肩をゆする。
「大変だ。試合に遅れちゃうよ。大ちゃん起きてよ」
「ううん…。今日は雨で中止だったんだ…。ムニャムニャ…」
そうか。中止だったのか。頭がぼうっとしてたので、確かめるのを忘れていた。
大ちゃん。ごめんね。
俺は大ちゃんのタオルケットをかけなおして、顔を洗いに洗面所へ向かった。
そんだけ
70 :
代打名無し:04/06/07 14:10 ID:kqbpUrNz
捕手
71 :
代打名無し:04/06/07 16:38 ID:Uft8VrwD
保守
そんだけ
72 :
代打名無し:04/06/07 17:00 ID:afIfZ9O9
新ネタキボーン
それだけ
73 :
代打名無し:04/06/07 17:47 ID:YXYm1s/z
大ちゃんは部屋にいない。なのに俺は中継画面の中の大ちゃんを見ながらシウマイを蒸している。
そんな生活が俺の何かに少しずつおかしくしていたのかもしれない。
8回裏、横浜が5点のビハインドをひっくり返したのを見た瞬間、俺はガス代の火を止めていた。
大ちゃんに会いたい。今すぐ会いたい。
最寄り駅の改札を走りぬけ、電車に飛び込んだものの、
呼吸を整えながら流れていく街の灯を見ているうちに次第に不安が込み上げてきた。
自分から出て行った大ちゃんに、ちょっとチームが上向いたからって俺が会いにいっていいのか?
大ちゃんに会ったら、最初になんて言おう?
てゆーか、大ちゃんは俺に会ってくれるのかな?
関内駅のホームから階段を下りながら迷いかけていた俺の横を
横浜の帽子をかぶってメガホンをもった子供たちが駆け抜けていった。
今日の劇的な勝利と逆転を呼んだ大ちゃんの采配を讃える人たちが改札を抜けてこちらに向かってくる。
ゲーム、終わったんだ。
俺はさみしいようなホッとしたような気持ちで人並みに逆らってスタジアムに向かった。
大ちゃんに会えなくてもいい。大ちゃんが熱くしたスタジアムの空気を吸えればいい。
球場職員の目を盗み客席への階段を上っていくと、照明はまだスタジアムを照らしている。
ところが、俺が通路に一歩でた瞬間、グラウンドから打球音が聞こえた。
俺は咄嗟に椅子の背に隠れるようにかがむと、音の方向を盗み見た。
大ちゃんだった。
74 :
代打名無し:04/06/07 17:53 ID:YXYm1s/z
今日の大量リードのきっかけとなったエラーをした村田相手にノックをする姿があった。
「そうじゃなくて、その打球への対処はこう」
身振り手振りで真剣に指導をする大ちゃんは、かつて名内野手と言われた勝負師の顔をしていた。
俺はそっと通路の入り口に戻ると、グラウンドからは決して見えない位置で深く息を吸った。
人のいないスタジアムの夜気はかすかに潮の香りがした。
俺はそのまままわれ右をしてスタジアムの階段を下りた。
「明日は楽に勝たせてくれよ」と村田を励ます大ちゃんの声に、
「大ちゃん、明日は試合ないよ」と心の中でツッコミを入れながら。
そんだけ。
75 :
代打名無し:04/06/07 17:57 ID:YXYm1s/z
あ、誤植だらけですんまそん。
×何かに→○何かが
×人並み→人波
76 :
代打名無し:04/06/07 21:35 ID:VJo/Pubz
>73-75
情感あふれる素晴らしいストーリー! オチも決まって最高! >15の続きなのかな?
15は可哀相であまり好きじゃない話なのだけど、今回の話でちょっと救われた。
ところで、
×俺の何かに → ○俺の何かを ×ガス代の火 → ○ガス台の火
だよね。
77 :
76:04/06/07 21:37 ID:VJo/Pubz
あ、「そんだけ。」つけるの忘れてた。
そんだけ。
78 :
代打名無し:04/06/08 02:35 ID:SUjSMZ2d
ここ初めて見たけどウケた!
大ちゃん関連って良スレが多いよね〜
それだけ
79 :
73-74:04/06/08 12:15 ID:PPF36Pan
>75
訂正ありがと。
そんだけ
80 :
代打名無し:04/06/08 23:53 ID:xnQxRmoP
今日の試合は序盤からリードされ、追いついたもののまた突き放され、
最終回には1点差まで追い上げたが力及ばず、という展開で、
まるで今年のベイスターズを象徴するかのようなものだった。
TVのスポーツニュースを観ながらそんなことを考えている俺の横で、
大ちゃんはいつものようにシウマイをうまそうに食べている。
「う〜ん、そうだね・・・あ!ということは明日は五割復帰するってことだね!
明日は勝つよ!ピッチャーデニー!」
力強く答える大ちゃんに、「じゃあ、明後日は負けるのかよ」と心の中で
ツッコミを入れたが、大ちゃんがあまりに嬉しそうだったので言わないことにした。
そんだけ。
81 :
代打名無し:04/06/09 00:35 ID:wuaXYvjR
大ちゃんと俺の爛れた関係
そんだけ。
82 :
代打名無し:04/06/09 00:47 ID:g+Bch8lq
大ちゃんには子供をひきつける何かがある。
陽盛りの午後、食後の散歩をするために、近所の公園へ大ちゃんとぶらり出かけた。
たちまちまっくろに灼けた小学生たちに囲まれた。
「うわーかんとくだー」
「やーましたーさいんくれー」
一番おさない女の子などは、どこか心の琴線によほど触れたらしく、奇声をあげながら大ちゃんの周りを走り回っていた。
これだけ細かいのにウロウロされても、大ちゃんはいやがる素振りなど一つも見せず、笑顔で応対していた。
「はいはい。サインだね。じゃ、誰かサインペンかマジック持ってないかい?
え?誰も持ってない?そうか、それじゃ買いに行くか。ちょっと待ってて」
大ちゃんは、この近所で何か筆記用具を置いてる店はないか、と俺に尋ねた。
表通りのコンビニならあるだろう、と俺がこたえると、そこまで買いに行くことにした。
大ちゃんと俺がコンビニに向かうと、小学生たちはぞろぞろ後をついてきた。
先ほどの女の子などはうれしそうに、
「はげーはげー」と言いながら大ちゃんの体をべたべた触りまくっていた。
大ちゃんは、ただ温厚に笑っていた。
83 :
代打名無し:04/06/09 00:48 ID:g+Bch8lq
「いらっしゃー…うおお!?」
子供の集団を引き連れた大ちゃんを見て、コンビニの店員は明らかに動揺した様子だったが、
大ちゃんはそんなのは意に介さず、さっさとサインペンとルーズリーフを購入し、店を出た。
再び公園に戻ると、大ちゃんは子供たちを一列に並ばせ、ルーズリーフにサインをし、何故かいつも持ち歩いている
横スタの割引券を付け、頭をなでなでしてやった。
最後の一人が終ったころには、陽が橙色にかわり始めていた。
「…よし!!終った。また横浜の野球を観に来てくれよな」最後の一人と握手をしながら大ちゃんが言った。
公園を後にする時、子供達が横一列に並んで
「山下かんとくありがとうございましたー!!ワー!!」
と元気なお礼をしてくれた。
さっきの女の子はぴょんぴょん飛び跳ねていた。
大ちゃんは帽子を取り、手を上げてその歓声に応えた。
その時、陽の光が頭に反射し、子供達はどっと笑った。
大ちゃんは静かに帽子を被りなおした。
そして俺達はすっかり長くなった自分の影を追いながら家路についた。
そんだけ。
84 :
代打名無し:04/06/09 01:13 ID:IHfVsWcl
>>83 和んだ。
後文章の書き方上手いな。
そんだけ。
85 :
代打名無し:04/06/09 11:38 ID:dLyBnVUz
保守age
それだけ
86 :
代打名無し:04/06/09 12:48 ID:kcOx5bee
87 :
代打名無し:04/06/10 00:03 ID:6qApBcO0
>>82-83 明日もお願いします。
荒れた野球板にオアシスを・・・・・・
それだけ
88 :
代打名無し:04/06/10 11:54 ID:JR8yyqKL
大ちゃん、昨日の雨大丈夫だったかな・・・
風邪ひかないでね。
そんだけ
89 :
代打名無し:04/06/10 12:20 ID:TjN2GmGN
大ちゃんと俺のぁゃιぃ関係
90 :
代打名無し:04/06/10 15:28 ID:ebEN5DSH
明け方、梅雨の涼しい朝の独特の寒さで目を覚ました。
気がつけば、大ちゃんがいない。
また、早朝のジョギングかな?
俺はカーテンの隙間からブルーグレーの空を見て、気にも止めずに再びベッドに入り、
うとうとしながら鍵の開く音をまった。
しかし、いつまで経ってもそれは聞こえてこない。
おかしいな。いつもなら出てから20分もすれば戻ってくるのに。
枕もとの時計を見ると、さっき目を覚ましたときから軽く40分ぐらい経っている。
窓の外はすっかりと白っぽくなって、夜明けというより完全に朝の色だ。
昨日の雨中の戦いのあと、少しダルそうにしていた大ちゃん。
どこかで倒れてしまっているのだろうか?
俺はベッドを抜けるとジャージに着替え、大ちゃんのジョギングコースを走った。
やはり大ちゃんの姿はなかった。
本気で心配になってきた俺は、思い切って大ちゃんの携帯に電話してみた。
しかし、携帯は呼び出し音を何度か繰り返した後でメッセージセンターへと繋がった。
俺はこの留守電を聞いたら、俺の携帯に電話するように言って電話を切った。
もしかしたら、道端に倒れていた大ちゃんは、すでにどこかの病院にかつぎこまれた後なのだろうか?
そうなっても、俺の携帯には知らせが来ることはないだろう。
たぶん、どこからも。
リダイヤルしてかけてみたが、大ちゃんの携帯は呼び出し音を繰り返すだけだ。
俺はその場で携帯を握り締めてしゃがみこんだ。
頼む。大ちゃん。教えてくれよ。今、大ちゃんはどこにいるんだよ。
91 :
代打名無し:04/06/10 15:29 ID:ebEN5DSH
その時、俺の携帯から「熱き星たちよ」のメロディが流れた。大ちゃんだ。
俺は自分が名乗るもの忘れ、相手を確認もしないで電話に出た。
「ばかやろー。今、どこなんだよ!」
電話の向こうから一瞬絶句した大ちゃんが息を飲む音が聞こえた。
俺の横を配達を終えた新聞屋のバイクが通り過ぎていく。
「どうしたの? 今、うちじゃないの?」
俺は自分が今どこにいるかだけを言って電話を切った。
自分が大ちゃんと追いかけて走り出てきたことは、しゃくだから言いたくなかった。
すると、「熱き星たちよ」がもう一度鳴った。
「何だよ」と俺。「ドライブしようよ」と大ちゃん。
「ドライブ?」
「うん。迎えに行くから国道のとこまで出て待っててよ。もうすぐ着くと思うんだ」
国道のガードレール近くにたたずんで、大ちゃんを待っていると、
大きなダンプがガタイ並みの大音量でクラクションを鳴らしてきた。
イラついた俺が運転席を睨みつけると、そこには見慣れた顔が朝日を受けて光っている。
大ちゃん??
光る額にはトラック野郎を気取ったようなタオルをねじった鉢巻。
しかし、大ちゃんがつけると、それは縁日のたこ風船のようにも見える。
92 :
代打名無し:04/06/10 15:30 ID:ebEN5DSH
ダンプはプシュとブレーキ音を立てて、俺のすぐ横に止まり、
大ちゃんは助手席のドアを開けて「乗りなよ!」と元気な声をかけてきた。
「なんだよ。なんで、大ちゃんがダンプに乗ってるんだよ」
大ちゃんは俺の質問に直接応えず、
球場の土がそこいらの土と違ってどんなに特別なものかを話し始めた。
それと大ちゃんにどんな関係が……と俺が言おうとした瞬間、大ちゃんは
「もう、昨日みたいなみっともない試合はしたくないんだよ!」と大きな声を上げた。
ハンドルを握る手の指と指の間の皮膚が赤くなるくらい、その手には力がこもっていた。
「でも……」力ない声で俺は反論を試みた。「監督の大ちゃん自らこんなことしなくても……」
大ちゃんは深呼吸すると、いつも通りの落ち着いた声で言った。
「いつもやらない人がわざわざやるから意味があるのさ。
僕が望むのはひとつだけ。選手が力いっぱい勝負できるフェアーなゲームだけだよ」
大ちゃんは赤信号で車が止まるのを見計らい、鉢巻のタオルをはずして目のまわりを拭いた。
ごめん、と心の中だけで謝った俺はそのまま黙り込んだ。
しばらく沈黙が続いたあと、突然、大ちゃんは「あ、そうだ!」と素っ頓狂な声を上げた。
「さっきのを正確に言うと、
ミットも「ない」試合じゃなくて、土の「ない」試合はしたくないが正解かな?
さすがの僕もミットは作れないからね。はははは……」
いつもなら笑えない大ちゃんの寒いギャグに、俺は思い切り笑って見せた。
そして、大ちゃんには見えないように目尻にたまった涙を拭いた。
そんだけ。
93 :
代打名無し:04/06/10 17:54 ID:D1Od2XZQ
>>92 大ちゃん・゚・(つД`)・゚・
そんだけ
94 :
代打名無し:04/06/10 20:11 ID:217rrHal
キャンプのある日のこと。
またもや内川が分裂してしまったのだ。
分裂してしまうと、内川本人に備わった力も分割されてしまうので、本来の実力を出すことはできないのだ。
そして生命力も弱っているため、俗に言う「スペランカー体質」になってしまう。
分裂は本人の意思にかかわらず、突如起こるため、中々レギュラーとして出るのは難しい。
これらの事情を外野からは伺い知ることはできない。故にしばしば厳しい野次などが飛ぶ。
「そういう訳なんだ」と大ちゃんは俺に事情を教えてくれた。
「なのに、アホだのバカだの言われて俺は悔しいッスよ…」
内川Bはさめざめと涙を流した。その横から内川Aと内川Cが泣くな、泣くなと慰めていた。
大ちゃんも慰めた。
「内川君、そんなに泣くことはないよ。世の中にはそんなキツイ事を言う人ばかりじゃ…」
「オラオラァ、道塞いでんじゃねーよ。どけ。バーカアーホターコ」
ササキ様は俺達の脇を傲然と通り過ぎた。
内川ABCは一斉に泣き始めた。
「そーだぁ、監督の言う通りだぞ、内川ABC。もっと自信を持って」
と、自分のことを棚上げして、谷口(98年ドラフト一位)も慰めた。
分裂している時の内川は、コンビニで売っている白いビニール傘くらいの半透明になるのだが、
谷口の方は、日差しのキツイ時に金魚鉢に映える自分の影くらい薄くなっている。
「そうだぞ、内川。俺はドラフト一位なんだという自覚を持ってだな…」
いきなり、何もない所から声がしたと思ったら、河原(94年ドラフト一位)だった。
河原は二次元の存在になってしまっている為、横を向くと消えてしまうのだ。
それでも内川はめそめそと泣くばかりだ。
どうも横浜のドラ1達は影が薄い。
いや、待て。全然薄くないのもいるぞ…。
俺はその事を大ちゃんに話してみた。
大ちゃんは目を輝かせた。何か思いついたようだ。
95 :
代打名無し:04/06/10 20:14 ID:217rrHal
その晩、大ちゃんは内川ABCを伴って、ホテルの外に出た。
そのまま俺と内川ABCを車に乗せると、大ちゃんは自らハンドルを握った。
「監督。どこへ行くんですか。この道は…。あっ!!」
内川ABCが同時に声を発した。
ここはキャンプ地の練習場だ。
車から降りて中に入ると、屋内練習場から灯が漏れている。
大ちゃんが唇に指を当てて、窓を指差した。
俺と内川ABCは、そうっと中を覗いた。
中ではササキ様がブルペンキャッチャーを座らせて、投球練習を行っていた。
昼間に見せる表情とは違い、その顔はホームベース以外の何物をも見てはいなかった。
シャツにしみこんだ汗の量から見て、相当な時間練習しているようだ。
内川ABCはあっけに取られたような表情をして見つめている。
それからさらに三十分ほど練習を行ったササキ様は、タオルで汗を拭いていた。
その途中、こちらを向いた。こちらに気付いたようだ。
怒られる。その思いが一瞬頭をよぎった。
が、案に相違して、俺達を無視するかのように、ササキ様はペットボトルを取りにいった。
「なーんだ。内川、来てたのかよ。テメー打てないんだから、さっさと練習して打って打点稼いで
オレが出られる状況つくれるようになれよ。
待ってんだからよ」
そう言うと、またササキ様はスポーツドリンクを飲み始めた。
内川の瞳がまたもや潤んでいた。しかしその輝きは昼間のものとは違うようだ。
いつの間にか、分裂していた内川がまた一人に戻っていた。
「ホテルに戻ろうか」大ちゃんが声をかけた。
お二人で先に戻っておいてください、そう内川はこたえた。
それからの内川の活躍は皆の知るとおりだ。
そんだけ。
96 :
代打名無し:04/06/11 13:32 ID:IU9ubmZm
大ちゃん、横浜が勝つには
ダンプじゃなくて放水車だよ・・・。
そんだけ。
97 :
代打名無し:04/06/11 18:09 ID:B1GEPX0/
>>94-95 ササキ様。。。・゚・(つД`)・゚・
うっちー。。。・゚・(つД`)・゚・
そんだけ
98 :
代打名無し:04/06/12 04:00 ID:yTGOdMfw
ベイスターズのナインは、試合で打てなかったり、エラーを
してしまった日には遅くまで球場に残って自主的に練習をする。
そんな彼らを責めもせず、「おなかすいたら食べてもらいた
いから」とシウマイを置いて帰るのが大ちゃんの日課だ。
去り際「明日もがんばってね。」と言い残して帰る大ちゃんに、
次の日試合があろうがなかろうが、今年は大ちゃんの笑顔を
いっぱい増やしたいな、と思う燃える星たちだった。
そんだけ
99 :
代打名無し:04/06/12 04:18 ID:yTGOdMfw
ベイのように次の人につないでつないで守護神(1000)まで
絶対スレを守りきるよ! 98下手ですません。
そんだけ
100 :
代打名無し:04/06/12 12:52 ID:uQ2BgOSC
定期的にageないとシーズン中は落ちてしまうからね
そんだけ
じゃあ、荒しがこない内にsageとくね。
そんだけ。
>>101のレスを見た大ちゃんが
「台風はもう過ぎたから荒らしは来ないね」と言った。
そんだけ。
103 :
1/2:04/06/13 00:53 ID:9mdiK1bi
今日も2ちゃん三昧な俺。
久しぶりに2ちゃん以外の所に行ったら、3次元の女の子が久々に
いたので、クリックしてみた。
行ってみた先は、発毛の会社だった。
行った先を見ていたんだけど、ちょっと若禿が気になっていたので、
電話してみた。そんで、お店に行ってみることにした。
店に行ってみると、たくさんのお客さんがいた。
相談用にブースがいくつか区切られていて、
俺は女の子というにはほど遠いおばちゃんと話をした。
発毛の相場を聞いてみて、無職ヒッキーな自分には、
続けるにはお金が高すぎるので帰ろうと思ったそのとき、
「使用前」「使用後」のポスターを見た。
そこには、使用前はつるっぱげな男が、使用後にはふっさふさな
男がいた。モデルらしく、美男子だ。
これを見て、効果があるのなら・・・と考え直して、とりあえず
パンフをもらって家に帰った。
なんか疲れたので、また2ちゃんを見て回った。悪い癖だ。
そしたら、見覚えのあるAAがあった。
あまりにもおもしろいので、読みふけった。
そして、スレの最後まで読んだから、パンフを見返してみたら、
そこには今読んでいた大ちゃんがいた。そしてもう一度見てみると、
ヨシノブもいる。
おっかしーなと思って見返してみると、この業者は、使用前が大ちゃん、
使用後がヨシノブとしてパンフを作っていたみたいだ。
これが単なる間違いなのか、わざとやっているのかわからない。
でも、今はまった大ちゃんの写真だと思って、パンフを抱えて寝た。
こころなしか、丸みがあった。
104 :
2/2:04/06/13 00:57 ID:9mdiK1bi
翌日、昨日みたスレをリロードした。
リンクが張られていたので行ってみると、「大ちゃんと一緒」というスレらしい。
実況なんて行ったことなかったけど、あまりにもおもしろいので、そこで試合を見ることにした。
デニー デニー書かれているのに、監督が出さない。
そして、ガニマタとか書かれていてAAも張られているけど、
まさかこんな構えするプロがいるはずがない。
わけのわからないエラーが出ると、だれもが頭を抱える。
あまりにも訳わからなくて、久しぶりにテレビをつけた。
そこで、横4−3巨とか書いてある。
どうやら、大ちゃんの横浜は1点勝っているらしい。
8回裏、ピッチャーデニーが告げられると、実況スレが落ちてしまった。
これをコールした大ちゃん、とってもかわいい。
いつのまにか、テレビを見ながら2ちゃんのリロードを繰り返した。
8回裏に、デニーが2アウトをとってから、フォア、エラー、フォアで満塁にしてしまった。
テレビは、大ちゃんの顔を映す。
その顔は非常に苦しそうな顔で、実況では大ちゃんキターとか書かれているが、
とてもそんな気分にはなれない。
不意に風が吹いた。帽子が取れ、カクテル光線が照らす。
なんとかデニーがしのぎきり、9回には佐々木とかいうピッチャーが出てきた。
なぜ大魔神といわれるのかどうでもいいが、なんとか抑えてくれ。
いつの間にかそう祈っていた。
実況スレには荒らしがきたが、皆でスルーしていた。
佐々木様は最後のヨシノブを抑え、横浜が勝利した。
その瞬間の大ちゃんとヨシノブの対比が、あのパンフをおもいださせた。
これが、俺の初大ちゃん。そんだけ。
保守。
(●´ー`●)
ほしゅ
大ちゃん、うちの猫タン迷子になっちゃった・・・。
そっち行ってない?
そんだけ
捕手
捕手
111
112 :
代打名無し:04/06/14 22:01 ID:qF6voIKG
救済
ほしゅ
hosyu
ある日の晩、勝利を祝して何処かで呑もうということになった。
大ちゃんが「知ってる店がある」というので、其処に行くことにした。
「ここだよ」
繁華街から少し外れたところにあるマンションの一階に、テナントとして入っている店だった。
看板には「郷土料理の店 ばる」とある。
外観はよくある小料理屋の体裁だ。最近開いたのか、店の前に花輪がいくつか飾られていた。
早速、中に入る。
「ごめーん」
「あ、監督。オハヨーゴザイマース」
カウンターの奥からバルタン星人が挨拶をした。
「いやー蒸し暑いねー」
「ほんとに、雨ばっかりですねー。こうも蒸し蒸ししてると嫌になります。
とりあえず、ビールでよろしいですか?そちらの方も?」
俺はしばらく呆然としていたので、バルタン星人に聞かれて、「あ、うん」と応えるのが精一杯だった。
横にいる大ちゃんは手馴れたもので、顔と頭をおしぼりでふきふきしながら、すっかりくつろいだ態度を
見せている。
「で、ご注文の方は?おまかせ?」
「ん。頼むよ」
はい、かしこまりましたーと言いながらカウンターの向こうのバルタン星人は、何やら手(はさみ)を動かしている。
手の先はカウンターに隠れて見えないので、一体どうやって料理をつくっているのか、わからない。
どうにかビールを口にして、店内を見渡した。
今座っている白木造のカウンターの他に、テーブル席が少し、壁には筆で短冊に書いたメニューが張ってある。
内装は、そこらの寿司屋とかわらない平凡なものだ。板前を除いて。
「そこの国道を上がったところにある店は弟さんの店?」
「いえ、あれはアニキの店です。弟の店は五反田の方です。
アニキの店から二つ目の交差点右折したところにレッドキングの店があります。
一時期BSEなんかで大変だったようですけど、頑固に国産使ってたんで、また客足戻ってるらしいスね。
また監督も何かあったら、そちらの方もお願いしまス」
俺は、「赤王」と赤地に荒い書体の、下品な看板の焼肉屋を思い出した。
国道沿いの店にありがちな、ファミレスタイプの焼肉屋だが、あの店の店員は皆赤いエプロンをかけていた。
奥の厨房では赤いエプロンをつけたレッドキングが、肉をさばいているのだろうか。
「はい。まず、手始めにドゾ」
カウンターの奥からはさみが伸びて、俺たちの前に、シウマイがどんと置かれた。
「うわーシウマイだね」大ちゃんは声を抑えながらも、早速かぶりついた。
恐る恐る口にしてみると、えびを淡くしたような上品な味だった。なんだこれは。
「えー、それツインテールの肉使ってるンですけどね。えびに似てるっしょ?
たくさん取れるから一時期、アフリカの方で使えないかと研究されたらしいですけど、
冷凍施設かなんかの問題でダメになったらしいスね。もったいないスね」
そういう問題か?
この後他にも白身の(けして魚ではない)刺身とか、あんかけをかけた何かの肉とか、様々な意匠を凝らした料理が出た。
俺はもうそれらの正体が何かいちいち気にするのをやめた。
聞けば気がめいるだろうし、何より料理そのものは美味だったからだ。
食ってる間中、バルタン星人は話芸の名手でもあるらしく、色んな話をしてくれた。
「えー、やっぱり撮影終ると、ニ、三ンチ体動きませんからね。
それに撮影だけだと収入不安定なんで、みんな(怪獣)店やってますね」
「ちわー。ビール置いときマース」
と、そこに酒のケースを持ったメフィラス星人が入ってきた。
「あ、ども、監督、おはようございます」
メフィラス星人はやけに腰が低くて愛想がいい。
酒が入って、顔全体が朱色に染まった大ちゃんは、まさに地蔵様みたいな笑顔で黙して礼を返した。
「えー。今のメフィなんかそうですね。え?ウルトラマンさん?ウルトラさんはスターさんですから違いますよ。
我々みたいな脇役と違って。
初代さんは生まれながらのスターさんですから、我々とは感覚が違いますね。やっぱり。
今奥多摩の方で、自分で地馴らしされて、なんていうんですか…あの丸太小屋。あれ建てられて住んでおられますね」
俺はウルトラマンが自らロードローラーを操り、地馴らししてログハウスを建てている光景を想像しようとした。
上手くいかなかった。
「セブンさんは芸の鬼ですね。撮影中にお前らの飛び方はなってない。今から俺がやる飛び方よく見て勉強しろ、と言って
そのまま飛んだのはよかったんですけど、飛びすぎて月までいっちゃって、帰れないからって公衆(電話)から電話してきて
我々迎えにいったことありましたね。それだけ芸に熱心な方で」
すでに酔いが廻っている大ちゃんは、何でも熱心なのはいいことだね、とだけ言った。
それから「起き上がりこぼし」が元に戻る直前のように体をゆすりはじめた。
「新マンさんは叩き上げの方ですから、我々の気持ちがよくわかってくれる方ですけど、
タロウさんは二世の方ですから…何ていうんですかね、奔放な方でしたね」
最後の方はなぜか言葉を濁した。あまり言いたくないらしい。
「撮影よりもショーは大変ですね。生ですからね。主役さんを立てないといけませんし。
その後のサイン会だと子供さんが本気で蹴ってきますからね。我々悪役はつらいですよ」
バルタン星人は、しばし手を止めて空を見つめた。
酔いつぶれた大ちゃんがカウンターにつっぷして寝ていた。
「大ちゃん、大ちゃん」
俺は大ちゃんの肩を揺り動かして起こした。
「ん…。代打吉見……」少し寝ぼけているようだ。
それから少し呑んでお愛想することにした。
席を立つ時、「誠に厚かましいのですが…」とバルタン星人が恐縮して大ちゃんに色紙を渡した。
大ちゃんは快く色紙に何かを書いた。俺はその色紙に書かれた文句を見てびっくりしたが、
バルタン星人は恭しく押し頂いた。
他に誰もいないので当然バルタン星人がレジをした。
「ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉっ」
バルタン星人は、はさみを持ち上げていつもの笑い方をした。
誰にでもやってるサービスのようだが、芸能人のグッズが百円ショップで売られてるのを
見た時のような、何か安っぽい哀しい感じがした。
それから俺たちは店を出た。
その店にいけば今でも「ピッチャー石井」と書かれた大ちゃんのサイン入り色紙を
見ることが出来るはずだ。
そんだけ。
120 :
特オタ:04/06/15 21:52 ID:vFDHd2RB
>115-119
あんた最高だ
そんだけ保守
職人さんたちいつもいつもGJ!
そんだけ保守
捕手
>>119 ピッチャー石井ってまさか・・・・・・
そんだけ
124 :
代打名無し:04/06/16 17:59 ID:sWjnDDWH
試合前に保守ageしてみた。
そんだけ
大ちゃんは俺の中では
そんだけ
「山下様がお戻りになったぞーッ」
先触れの人が、導火線上を走る火花のように叫びながら駆けてゆく。
それを契機として、道路の両側から次々と、親しみと敬愛をこめた歓呼の声があがる。
大ちゃんは、車内からそれらの声に応え、にこやかに手を振っている。
歓迎セレモニーを受けた駅からずっと、こんな調子だ。
巨人の原が夏の甲子園を終え地元に帰ると、駅から学校まで道の両側にぎっしり人が並んでいたのを見たことがあるが、それ以上だ。
有名なマラソン大会でも沿道にこれだけ人が集まることはないだろう。
さすが大ちゃんの故郷だ。
ホテルのロビーで再び歓迎セレモニーを受け、それぞれの部屋に上がった時、俺まで興奮してそんな無邪気な感想を
大ちゃんに漏らした。
「そう・・・」
こわばった大ちゃんの顔には、閉められたカーテンがもたらす以上に強い影が射していた。
翌日、大ちゃんはいつもより二時間早く起き、「今日は勝たなければならない…」とらしくない断定口調でつぶやくいた。
ブラックコーヒーを飲んだ後はずっと無口だった。
試合には、勝った。
帰りは、来た時と同じ、いやそれ以上の歓迎を受け、新幹線に乗り込んだ。
電車が動き出して十分ほど後、深呼吸をしたかのように体の力を抜いた大ちゃんは
「やっぱりふるさとはいいね」
とほっとしたような、さみしいような笑顔をみせてそう言った。
そんだけ
>126
いいよ、いいよー。
そんだけ。
ホッシーが急にえさを食べなくなった。
大ちゃんが拾ってきて、俺がストローを使ってミルクを飲ませた猫だ。
大ちゃんは心配のあまりおろおろしながら遠征に出かけていった。
獣医に見せたら、ホッシーの腸にポリープが出来ているとのことだった。
「早く手術した方がいいですよ。今度の水曜日夜なら私自ら執刀できます」
その夜の試合後に大急ぎで電話を寄越した大ちゃんに、俺は院長先生の説明をそのまま伝えた。
「そうか。とにかく治るんならよかったよ。それに16日の夜なら、僕もそっちで……あっ!」
突然、驚いたように声を上げた大ちゃんは「手術って何時から?」と慌てて聞いてきた。
どうやら手術室の前で待つつもりらしい。
「7時半くらいからだって。俺たちが直接手伝うわけでもなし。
大ちゃん試合だろ? 俺が立ち会うよ」
水曜日の夜、俺はホッシーの手術の無事を祈りながら動物病院の待合室にいた。
30分……1時間……。
時計を見上げた俺は、今朝の大ちゃんとの会話を思い出した。
「試合が終わり次第かけつけるよ。投手戦なら8時半には終わるかもしれないし」
「巨人相手に投手戦なわけないだろ? 無理しなくていいよ」
ありもしない後ろ髪を引かれるような顔で大ちゃんはスタジアムに出かけていった。
壁一枚外で待っている俺がこれだけ気を揉んでいるんだ。
俺以上にホッシーを可愛がっていた大ちゃんはどれだけつらいだろう。
俺は大ちゃんに投げた無神経な言葉を悔いた。
そのとき、俺はあることに気づいた。
巨人戦……ってことは地上波中継がある!
俺は待合室のTVをつけると野球中継にチャンネルを合わせた。
大ちゃん、そこからホッシーを見守ってくれよ。
試合は横浜の一方的なリードだったが、点数の分だけ試合時間は延びているようだった。
まさか早く帰りたいから打つなとも言えないだろうしな。
画面の中の大ちゃんは自軍の楽勝試合に大ちゃんスマイル全開だ。
本当は心配で心配でたまらないくせに、みんなのために笑顔でいるなんて。
俺は指揮官として振舞う大ちゃんに目頭が熱くなった。
ホッシー頑張れ! 大ちゃんも違う場所で頑張ってるぞ!
そのとき、動物病院のドアが開いて、
「ホッシーは??」という聞きなれた声が飛び込んできた。
大ちゃん?!
俺はTV画面を振り返ったがそこにも確かに大ちゃんがいる。
「大ちゃん。どうして? しかも、その顔のアザどうしたの?」
画面の中の大ちゃんと違って、俺の目の前の大ちゃんの顔には右目のまわりに紫のアザがあった。
「ちょっとウッズくんの手元が狂ってね。
この顔でベンチに座っているのもまずいからって理由で、こっそり早退させてもらったんだ。
結構、点差もついていたし……」
というと大ちゃんはTVに映ったスコアボードに視線を移した。
「あ、リードが広がってる! まったく僕がいないときのチームは強いなあ」
大ちゃんがそうつぶやいた時、手術室のドアが開いて院長先生が姿を見せた。
「ホッシーちゃんの手術、無事成功しましたよ」
「ありがとうございます」
大ちゃんは右手で帽子を取り、甲子園球児のような90度のおじぎをした。
下げた頭が待合室のライトを映して輝いている。
院長はホッシーの退院予定を告げ診察室へと戻っていった。
後ろのTV中継には気づかなかったらしい。
「ねえ、大ちゃん」
俺は、うれしそうな顔で帽子をかぶりなおした大ちゃんに気になっていることを聞いた。
「あのTVの中に座っている大ちゃんは?」
「ああ、あれ?」というと大ちゃんは悪戯がばれた少年のような目をして言った。
「ベンチ裏で煙草吸ってた村田くんに僕のお面をかぶって座っててもらったんだ。
大量リードなら采配の必要もないし、
出番のない村田くんもただベンチにいるのも退屈だろうと思ってね。
煙草のことは佐々木くんに内緒にしとくよって言ったら、すぐに引き受けてくれたよ」
そう言って笑った大ちゃんは「いてて……」と右目の痛みに顔を歪ませたけれど、
それでもホッシーの無事とチームの勝利に愉快そうに笑っていた。
そんだけ。
∧ ∧
/ ヽ _/ .∧
/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
(_ / \
/::::/ ヽ
/:::::::l:::::::::. \,, ,,/ |
ヽ==|:::::::::: (●) (●) | 代打おr・・・・・村田!
ヽ::|::::::::::::::::: \___/ |
ヽ:::::::::::::::::::. \/ ノ
そんだけ。
☆ほしゅ☆
hosyu
今日も頑張ってな。
そんだけ。
hosi
うちにも大ちゃんがほしいと思った。
それだけ
バイトが終わり、一人暮しのアパートへ二人分のシウマイを買って帰る。
スポーツニュースで横浜の結果に一喜一憂しながら、シウマイを一人で食べる。
結局、半分は今日も手付かずで残っている。
いつものように、バイト先で飼っているネコの餌になるんだろう。
そんな普通のことばかりな、僕の日常。
今日も寝る前にネット上の掲示板を巡回する。
最後に見るようにしているのが、大ちゃんのスレだ。
そこでは、みんなが大ちゃんとの思い出を綴っている。
そう。大ちゃんはみんなに愛されている。
でも、大ちゃんは誰のところにも来ているわけではないようだ。
優しい大ちゃんのことだから、きっと一人一人のところを
順番に周っているんだろう。
そんなわけで、あの入り口から「ただいま!」って大ちゃんが入ってくるのを、
僕はただあても無く待っている。
いつ来てもいいように、シウマイを二人分用意して。
ふと時計を見ると、もう寝る時間だ。明日のバイトも朝早い。
僕にもいつか、大ちゃんとの思い出を書ける日がくるんだろうか。
そんなことを考えながら、
保 守
とだけ書いたレスをつけて、回線を切った。
そんだけ。
hosyu.
Only it.
「やっと着いた〜」
ドサッと買い物袋を投げ出して、僕は玄関に座り込んだ。大ちゃんも肩で息をしている。
この暴風雨の中、僕らはスーパーから傘もささずに走ってきたのだ。
家を出るときも雨は降っていたから、もちろん傘は持って出かけたんだけど、
スーパーで傘が壊れて困っていた子供に大ちゃんが傘を貸してしまったのだ。
普段しない運動をしたから身体はへとへとだし、服なんかパンツまでべしょべしょだし、
せっかく買ったシウマイの箱にも雨がしみて変形してしまっていた。
僕は大ちゃんに文句の一つも云ってやろうかと思ったけど、うずくまってヘタっている
大ちゃんの頭に、どこかから飛んできたのか葉っぱが1枚張り付いているのを見て
思わず笑ってしまった。正月のお供えのミカンみたいだったからだ。
「なんで笑ってるのさ?」大ちゃんが不思議そうに見上げる。
僕は笑いを押し殺すと、「いや、べつに…」と云ったが、今日はこれからミカン星人と夕食か…
と考えて吹き出してしまった。けげんな顔になった大ちゃんに、
「そんなことよりもさ、早く夕食にしようよ。」と云うと、「うん、そうだね。」と笑顔になって応えた。
騙されやすいなぁ…。まぁ、そこが大ちゃんの良いところなんだけどね。
とりあえず、本人が気づくまで葉っぱはそのままにしておこうと思った。それだけ。
>142
葉っぱ大ちゃん、かわいすぎる。
そんだけ。
シウマイを蒸す湯気で頬を紅潮させた大ちゃんミカン・・・かわいい。
そんだけ。
ついでにホシュ
ミカン大ちゃんのAAキボンヌ
そんだけ。
146 :
代打名無し:04/06/22 14:18 ID:CwlTstJc
大ちゃんがカツラをかぶったら
パンチョさんに違いない
そんだけ
147 :
代打名無し:04/06/22 16:30 ID:aKqEYW1D
「梅雨だね・・・」
試合が雨で中止になった午後、天を見つめながら
大ちゃんはどこか寂しげな笑みを浮かべて言った。
憂鬱な雨空に少しセンチメンタルになっているのかもしれない、
俺は深く気に留めず「ホントだね、嫌になるよ」と返した。
再び前を向いて歩き出そうとしたとき、彼はつぶやいた。
「雨で試合が中止になると心のどこかでほっとしちゃうんだ・・・僕はどうしてこう気が弱いんだろうね」
突然潤みを帯びたその声に、俺は驚いて彼を見た。
期待、誹謗、中傷・・・監督という重圧に押しつぶされそうになりながら
必死で戦っている男の、弱弱しくて優しげな瞳がそこにはあった。
「なに暗くなってるんだよ、だいじょぶだって!」
そんな大ちゃんに、俺は乾いた声ではげますことしかしてやれなかった。
少しも気の利いた言葉を言えない自分に心底嫌気が差す。
「ありがとう、いつも心の拠り所になってくれて。」
そんな俺に笑顔で大ちゃんは言った。バカなこと言うなよ・・・視界がかすんで、俺はあわててそっぽを向いた。
「さあ、帰ろう」
そう言った大ちゃんの頬と伝ったものは、雨粒だったろうか、それとも・・・
たとえ世界のみんなが背を向けようと、俺だけはずっとそばで支えてやろう。
歩き出した大ちゃんの後姿を見つめながら、深々と息を吸い込んだ。
優しさと友情と、そして気品高い紫陽花の香りが胸いっぱいに広がった。
そんだけ。
そんな大ちゃんに、今日みたいな台風一過の青空は残酷だね。
いや、こんだけ暑けりゃ、涙もすぐ乾くさ。
そんだけ。
>>40 ∧ ∧
|1/ |1/
/ ̄ ̄ ̄`ヽ、
/ ヽ
/ ⌒ ⌒ |
| (●) (●) | 大ちゃん
/ |
/ |
( _ |
(ヽ、 / )|
| ``ー――‐''"| ヽ|
ゝ ノ ヽ ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧ ∧
|1/ |1/
/ ̄ ̄ ̄`ヽ、
/ ヽ
/ ⌒ ⌒ |
| へ へ | ふふ、呼んでみただけ♪
/ |
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( _ |
(ヽ、 / )|
| ``ー――‐''"| ヽ|
ゝ ノ ヽ ノ
150 :
代打名無し:04/06/23 02:08 ID:+lg/3lR+
保守
そんだけ。
151 :
代打名無し:04/06/24 00:55 ID:k+U6wsUx
hage
ある日の早暁、玄関の前に車が止まった。
しばらくたっても、エンジンの音はやまず、なにやらただならぬ気配を感じたので、
大ちゃんを起こさないよう気をつけながら寝床を抜け、エンジンをかけたままの車に近づいてみた。
「あの〜。もしもし!?」
運転席はスモークがかかってたので、顔が見えない。
ウィーンときしむような音をたてて窓ガラスがおりる。
憔悴しきった表情のバフィーとファルルリーナが座っていた。
「すいません。かくもうてください」
運手席のバフィーが言った。
「ええ・・・。いりそうなもんは全部ドンキで買うてきたんで迷惑はかけません。
しばらくニ三日だけでええんです。お願いします!!」
そう言って手を合わされた。助手席のファルルリーナにまで拝まれると弱い。
とりあえず少し離れたコイン駐車場に車を停めてくるよう指示し、その間俺は大ちゃんを起こしにいった。
大ちゃんが顔を洗っている間、バフィーとファルルが山のような荷物を抱えてきた。
その中になぜかバーベキューセットがあった。
俺がバーベキューセットに目をやったのに気付いたバフィーは
「みなさんで食べよう思て」と、何かを打ち消すように言った。
俺はよほどこの二人が追い詰められているに違いないと思った。
なぜならバーベキューセットの中には練炭が入ってるからだ。
茶の間に通してお茶を出す。
明るい蛍光灯の下でみると、ファルルの肌がかなり荒れていた。
ずっと徹夜だったのだろう。
「ホンマにどないもこないも…。マスコミの連中俺らのことまで追っかけやがって…。
逃げ回って、しばらく地元の方でかくもうてもろてたんですぅ。せやけど俺らみたいなもんは
目立つし…。みんなええよ言うてくれはったんやけど、いつまでも甘えてられへんし、
嫁はんとどないしょかー言うて、そういえば山下さんのところやったらええんちゃうの、言うて…」
なぜそこで俺の家になるのかよくわからなかったが、切迫した事情は伺えた。
「生駒の山上で一晩中ずっと星を見てたんです…。
そしたらなんか情けのうなって涙が止まりませんでしたわ」
悔しさをにじませた表情でバフィーは言った。
あるいはこの時に練炭を使おうとしたのかもしれない。
君達は疲れている、休むといい。
目を閉じて大ちゃんがそう言った。
ホンマにすんませんと何度も謝りながら、バフィーとファルルリーナは二階に上がった。
大ちゃんは俺に、あの二人の世話をしてあげなさいという意味の話をした。
その後、大ちゃんは一人茶の間に残ってじっと茶柱を見つめていた。
「布団はここにあるから使って。あんまりいい布団じゃないけど」
俺がそう声をかけると、バフィーは
「ホンマすんません。ちゃんと汚さないようシーツは買うてきましたから」
どこまでも腰が低い。
部屋を後にして階段を下りていると、ウチの下着どこやったん、アホ聞こえるやないかという二人の会話が
丸聞こえに聞こえてきた。
会話の調子からすると普段の様子に戻りつつあるらしい。
茶の間に戻り、大ちゃんに寝ようといった。
「そうだね」
大ちゃんは立ち上がった。
茶の量は少しも減っていなかった。
俺が起きたのは昼過ぎだった。
寝すぎたな、そう思って茶の間に降りていくと、バフィーが大ちゃんに何か頼み込んでいた。
「監督。テレビ局とかよく行かはるんでしょ。そしたらばったり会う機会もあるんやないですか」
「う、うん…」
よくよく話を聞いてみると、大ちゃんを介して石川梨華に自分たちを
Jビーフのキャラとして売り込みたい、という内容だった。
大ちゃんが石川梨華に会うのもまれだろうし、もし会えたとしても石川梨華がJビーフのキャラを決めているわけではない。
それこそファンタジーだ。
どうも何でも窮地に立たされると、ロクな発想が浮かばない。
それでも大ちゃんは無碍に断る訳にもいかず、すっかり弱りきっていた。
その向こう側ではファルルリーナが熱心に求人広告を見ていた。
そっと覗いてみると、「フロアレディー 時給一万円〜」のところに、赤ペンでぐるぐる印がつけられていた。
「まだ子供産んでへんしな…」
ファルルはそう呟きながら、両手を裏返して小指のある方で、確かめるように
体の脇を上からなぞっていった。
そして部屋の隅においてある鏡を見つめ、目をぱっちり見開くようにして、顔の角度を何度も変えながら鏡を見ていたが、
やがてため息をついて、赤ペンでぐるぐる囲ってあるところに大きく「×」をつけた。
それからチラシの右端の「フロア販売員 時給700円〜」のところをカッターで丁寧に切り取り始めた。
「アンタ。わたしスーパーでコロッケ売るわ」ファルルはバフィーにそう告げた。
バフィーはファルルに目もくれず、
「そうか。ええとこ見つかったか。それで、監督は段ボールに入りながら廊下を進む訳ですよ。そしたら石川梨華の楽屋に…」
ファルルはさっきよりも大きなため息をつきながら、紙をくるくる巻いて胸のポケットにしまいこんだ。
それから一日ファルルリーナはバフィーに一言も口を聞かなかった。
その晩は蒸し暑く寝られなかった。戸を開けているせいか、隣の部屋から声が聞こえてきた。
「なあ、アンタもう大阪戻ろうや。私他のことようせんもん。
やっぱりウチらはマスコットやねんて。な、大阪戻ろ」
「アホ、大阪戻ってどないする気や。半年後には球団無くなるねんぞ。
大阪戻ったかて仕事あらへん」
バフィーの言葉が途切れ途切れなのはタバコを吸っているからだろうか。
「せやけど、マスコットはマスコットやんか。まだ半年残ってんねんで。
今度かって無断で来てもうて…」
「球団の方こそ俺らに無断で無くなるんやないか。
お前は四の五の言わんと、だまってコロッケ売っとったらええんじゃ」
それから気まずい沈黙が闇の中を覆った。
その後、すすり泣くような音が聞こえてきた。
タバコの匂いとその音は、その晩、長い間消えることはなかった。
翌朝、またも意外な来訪者があらわれた。
その人物はシックなオープンカーから颯爽と飛び降りた。
「ノ…、ノリさん!?おはようございます!!なんでここが!?」バフィーが驚いて叫んだ。
「僕が呼んだんだよ」大ちゃんが言った。
ダークスーツを見事に着こなした中村ノリは、抱えていた薔薇の花束をファルルリーナに渡した。
「朝日の中で燃えるように輝くキミには、この薔薇もいささか劣るがね。嫉妬で萎れてしまわないようイキのいい薔薇を選んだつもりさ。
さて、いきなり本題から入るのは僕の流儀じゃないし、無粋だが、時間も限られているから手短に話そう。
僕と一緒に大阪へ戻ってくれ給え」
「すんません・・・。いくらノリさんが来られても俺らは・・・」
「キミたちを待っているのは僕だけじゃないさ」
ノリは車からスーツケースを持ってくると、開いて中を見せた。
「御覧。キミたちはこの人たちも裏切るのかい?」
「!?」
中には、クレヨンや水彩絵の具で描かれたバフィーとファルルリーナの絵が入っていた。
おそらく何百枚という数だろう。
「キミたちが失踪してから、ファンクラブに何枚も寄せられてね。これはほんの一部にすぎない。
手紙もあるが、読むかね?」
バフィーとファルルリーナは、それから何枚もの手紙に目を通していた。
「おとうさんと、おかあさんと、きょうドームにいったらうしさんがいなくてかなしかったです。
ひろあきもないてました。うしさんもどってきてください。…」
「奈良から三時間かけて大阪ドームに来たのに俺のファルルリーナがおらんのはなんでやー!!
責任者でてこーい!!…クスッ」
バフィーとファルルリーナはいつしか朗読し始めた。その瞳が少し潤んでるように見えた。
157 :
ラスト:04/06/24 13:31 ID:rHb/sUQt
「休暇は終わりや。後半年仕事が残ってる」
手紙を全て読み終えた時、バフィーが言った。
かなり日が高くなっていた。
「そやな。帰ろか」ファルルもうなづいた。
荷物になるから、と言ってバフィーらは持ってきた道具の大半を置いていった。
その中にはバーベキューセットも混じっていた。
「ほとんど使てない新品ばかりやから汚ないです」
そう言い残してバフィーらは去っていった。
バフィーらを見送った後、俺は大ちゃんに訊いてみた。
「大ちゃん、なんでノリを呼んだの?」
「彼らはバファローズの一員だからね。当然のことさ」
大ちゃんの言葉に迷いはなかった。
そんだけ。
>152-157
がんばれバフィー!がんばれファルルリーナ!(ノД`)
ホッシー&ホッシーナがこんな境遇になりませんように(;人;)
そんだけ。
>>156-157 ものすごくノリがかっこいいのだが
あのAAが浮かんでしまう。
そんだけ
>>156-157 ものすごくノリがかっこいいのだが
あのAAが浮かんでしまう。
そんだけ
hosyu
フォロウ
ふぉろみ〜?
揺れるタクシーに大ちゃんは完全に身を預けきっていた。言葉はなかった。
マウンドで打たれる投手と、それをベンチで見ている監督にとって、その間に流れる時は永劫にも等しい。
しかも監督は、その後もずっとスタンドからの野次がその肉体と精神に容赦なく注ぎ込まれるのだ。
とても今摂取しているシウマイエキス10mg入り栄養ドリンクでは追いつかない。
無言の車内に、ラジオが伝える野球ニュースが流れ始めた。
俺は大ちゃんを慮って、チャンネルを変えるよう運転手に頼もうとした。
それを大ちゃんは手で制した。
残酷な過去を告げる声が、暗い車内に響き渡っていた。
「あれ?お客さん野球の山下さんじゃないですか?」
今まで沈黙を保っていた運転手が突然話し始めた。
大ちゃんは無言で頷いた。
俺は運転手の配慮の無さが腹ただしかったが、運転手はそんな事おかまいなしに話し始めた。
「わったしねー、野球だと好きなチームがあるんですよねー。
七年前に首位と14ゲーム差つけられたけど、追いついて優勝争いしたチームがねー。
あったんですよねー」
「そのチームのことは知ってる。今もありますよ」
大ちゃんは初めて口を開いた。
「ああー。ありますかー」
運転手が半分とぼけたようにこたえた。
「はい着きました。7160円になります」
大ちゃんは料金を支払った。
出るときに運転手が妙なことを言った。
「監督。私このあたりの道知らないんでね。今度別の道を教えてくださいよ」
「目指すところは一つだからね。いくらでも教えてあげますよ」
期待してます、とだけ言い残してタクシーは去った。
大ちゃんは、ポケットから二本目の栄養ドリンクを出して飲み始めた。
そんだけ
>>166 昨日の試合を思い出したら泣けてきたよ・・・・・・
そんだけ
hage