阪神タイガースの藪と井川は新旧エースと新旧エースと言われる間柄だった。
ある日、鳴尾浜から帰る途中の寺の境内で、藪がけった空き缶に驚いた井川が石段から落ちそうになる。
それを助けようとした藪は、井川と一緒に高い石段から下まで転げ落ちてしまった。
どうやらこれが、2人の体が入れ替わる「原因」となったようだった。
目が覚めると、藪と井川の心と体はそっくり入れ替わっていた。
仕方なく2人はお互いの家と家族、友達を取り替えて暮らし始めるのだが、
藪になった井川はこれぞ20勝投手と言われる活躍をし、防御率一位となり、
反対に井川になった藪は元祖藪病の炎上を繰り返す。
当然、藪病のはちゃねらーたちのからかい、晒しの対象になる。
そして2004年シーズンが終わり、藪になった井川がFAで大リーグに行くことになる。
絶望の淵に立たされた井川になった藪は家でしてしまう。
義理で藪になった井川は井川になった藪を追いかけ、気がつくとすべての始まりの寺に辿り着いた。
神様のいたずらか、あの時と同じ出来事がまた起きた。
滑って空き缶をけってしまった井川に驚いて藪が階段から落ちそうになり、
井川がそれを助けようとして2人一緒にまた石段から転げ落ちてしまったのだ。
目が覚めると2人の体は元に戻っていた。
藪の大リーグの引っ越し当日がやってきた。
去って行くトラックに乗り込んだ藪に、井川が手を振って走りながら何度も叫ぶ。「さよなら俺」。
8ミリカメラを回し、井川を撮りながら藪も何度も叫び返す。「さよなら俺」。
だんだんと小さくなっていく井川の姿に、再び藪の言葉がかぶさる。「さよなら俺」…。