【マリア様がみてる】IN プロ野球板

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【開幕前】

「最下位争いなんてバカげているわ。いい?やるからには、狙うのは優勝。ダイエーなんて目じゃないわ」
高慢で、高飛車で、そしてまばゆいばかりの美しさ。やっぱり、道大さまは格好いい。
ビシッと命令されると、電気が走ったみたいに全身がブルッとする。
「はいっ!」
元気よく返事をすると、道大さまは満足そうにうなずいた。
「それでこそ、私のスールよ。がんばりましょう」
3512/3:04/04/13 16:52 ID:9mCvdhBc
「・・・・・なんということでしょう」
順位表を見ながら、道大さまが怒りに震えた。それを見て、チームの面々が恐怖に震える。
麗しのロサ・ガッツが、わなわなとお怒りになっている。この怒りを、どう鎮めたらいいものか。
岩本さんなんて「いつものこと」といった感じで、のんびりネタ帳をチェックしていたりするけれど、
道大さまの表に出ている部分しか知らない人たちは、何かが起きるのではないかとハラハラしている。
「さ、實松さんっ。お願いします」
なんて、新入団選手たちに無理やり前に押し出されても。一度使った「エチェバリア復帰で挽回」は、
さすがにもう効かないだろうし。それに、次は8番の打席だから、そろそろ一成はネクストサークルに
向かわないといけないのだ。チラリと横目でお兄さまの様子を探ると、まだしばらくはお怒りは収まりそうもない。
そりゃそうだ。優勝を狙うと豪語していたのに、今の時点で無念の最下位。今日もまたリードされている、
負けず嫌いの道大さまが、この事態を許せるわけがないのだった。
こうなったら。
「お兄さま、これを」
一成は、応援用メガホンを差し出した。
「何なの」
「どうぞ遠慮なく叩いてください。これは、叩かれるためにある道具です。では私は打席に行ってきますので、これにて」
ペコリを頭を下げ、バットを抱えて立ち去った。
少なくともこれで、新品の帽子が裂けたり、アンダーシャツの袖が破けたり、ヘルメットにひびが入ったり、バットが
折れたりという事態だけは避けられるはずだ。今はなだめている時間もないから、取りあえずの応急処置って感じで
ある。戻ったら、ちゃんとフォローしないといけないだろう。
3523/3:04/04/13 16:54 ID:9mCvdhBc
攻撃が終わって真っ先に戻ると、サードの守備位置に向かう道大さまと鉢合わせした。
「一成」
お兄さまが笑みを浮かべていたので、ストレス発散して機嫌が直ったのかな、と一成は思った。
「メガホン、叩かれましたか?」
何だかうれしくて尋ねると、道大さまは「ばかね」と言って一成の帽子の角度を少しだけ直した。
「応援歌が始まる前に、初球を打ったんじゃ、叩きたくても叩けないじゃないの」
「あっ」
「気がついて、つい笑ってしまったのよね。そうしたら、何だかイライラしているのがばかばかしくなって」
「はあ」
つまりメガホンは間接的に効いたわけだ。道大さまのお怒りを鎮めるための薬として。
「不思議な子よね、あなたは」
しみじみとつぶやくお兄さまに、弟は複雑な気分である。
「えっと、それはお褒めの言葉と受け取っても・・・・・」
「もちろん、そうよ」
道大さまは大きくうなずき、それから内野手たちに急かされて守備位置に急いだ。途中「あ、そうだわ」と
一度だけ振り返って、もう一つ、正真正銘のお褒めの言葉をくれた。
「さっきのヒット、よかったわ。とてもよく振れていてよ、一成」
「あ、ありがとうございますっ」
褒められたのがうれしくて、でもその気持ちをどうしていいかわからなくて、一成は声を枯らして野手に指示を送った。
353代打名無し:04/04/13 17:10 ID:pP3lU93h
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わらたよ、最高だよ!