1 :
ワタナベ・ノボル:
「雨の日には野球選手はいったい何をしているのかしら?」と緑が質問した。
「知らない」と僕は言った。「素振りとかシャドウピッチングなんかやってるんじゃないかな。野球選手ってよく練習するからさ」
「そんなに練習するのにどうして福井はフルジャンプなんてするの?」
「知らないな。でももともとが野球に向いてないんじゃないかな。つまり二岡なんかに比べてさ」
「あなた意外にいろんなこと知らないのね」と緑は言った。「ワタナベ君って、世の中のことはたいてい知ってるのかと思ってたわ」
「世界は広い」と僕は言った。
2 :
代打名無し:04/01/26 17:46 ID:1jW3WL1y
く
3 :
ワタナベ・ノボル:04/01/26 17:47 ID:f1nFcqXS
「ね、ここにいる人たちがみんなマスターベーションしてるわけ?シコシコって?」と緑はナゴヤドームを見上げながら言った。
「たぶんね」
「男の子って女の子のことを考えながらあれやるわけ?」
「まあそうだろうね」と僕は言った。
「パスボールとかロジンバッグとか種田のフォームのことを考えながらマスターベーションする男はまあいないだろうね。まあだいたいは女の子のことを考えてやるんじゃないかな」
「種田のフォーム?」
「たとえば、だよ」
4 :
代打名無し:04/01/26 17:47 ID:1jW3WL1y
そ
5 :
代打名無し:04/01/26 17:48 ID:1jW3WL1y
ス
6 :
代打名無し:04/01/26 17:48 ID:1jW3WL1y
レ
7 :
代打名無し:04/01/26 17:48 ID:dq9KTKQy
c
8 :
ワタナベ・ノボル:04/01/26 17:49 ID:f1nFcqXS
ピース。
橘高はそう言った。
9 :
代打名無し:04/01/26 17:51 ID:9Rc9LA55
オレは小さい頃、家の事情でばあちゃんに預けられていた。
当初、見知らぬ土地に来て間もなく当然友達もいない。
いつしかオレはノートに、自分が考えたすごろくを書くのに夢中になっていた。
それをばあちゃんに見せては
「ここでモンスターが出るんだよ」
「ここに止まったら三回休み〜」
ばあちゃんはニコニコしながら、「ほうそうかい、そいつはすごいねぇ」と相づちを打ってくれる。
それが何故かすごく嬉しくて、何冊も何冊も書いていた。
やがてオレにも友達が出き、そんなこともせず友達と遊びまくってたころ
家の事情も解消され、自分の家に戻った。ばあちゃんは別れる時もニコニコしていて、
「おとうさん、おかあさんと一緒に暮らせるようになってよかったねぇ」と喜んでくれた。
先日、そのばあちゃんが死んだ。89歳の大往生だった。
遺品を整理していた母から、「あんたに」と一冊のノートをもらった。
開いてみると、そこにはばあちゃんが作ったすごろくが書かれてあった。
モンスターの絵らしき物が書かれていたり、何故かぬらりひょんとか
妖怪も混じっていたり。「ばあちゃん、よく作ったな」とちょっと苦笑していた。
最後のあがりのページを見た。「あがり」と達筆な字で書かれていた、その下に
「義弘(オレ)くんに友達がいっぱいできますように」
人前で、親の前で号泣したのはあれが初めてでした。
ばあちゃん、死に目に会えなくてごめんよ。そしてありがとう。
10 :
代打名無し:04/01/26 17:52 ID:f8Ed9sEU
11 :
代打名無し:04/01/26 18:10 ID:6xrCDiAi
「やれやれ。またひとつクソスレができたのか。」僕はそうつぶやいた。
「いいじゃない、どこかで誰かが意味のない事をしたって。」と緑が言った。
「そうだね。だが、くだらない。意味なんかまるでない。
それは赤星に本塁打王を取って欲しいとお祈りしたり、沖原にショートのスタメン
を勝ち取るようにお祈りするぐらいぐらないバカげている。」
「それね。」そう言い残すと、緑は夏のセミが木から離れ、飛び去るように、行ってしまった。
彼女は沖原ファンだったのを思い出したのはその時だった。
12 :
代打名無し:04/01/26 18:29 ID:lnEY6vSW
そして僕は木田を聴く
13 :
代打名無し:04/01/26 21:57 ID:2mN2igXE
やれやれ
14 :
代打名無し:04/01/26 22:26 ID:eLEHx487
さげてみようと思う。
15 :
代打名無し:04/01/26 22:38 ID:Ht3B4Bg5
16 :
代打名無し:04/01/27 00:12 ID:OfmlgLsK
セ界の終わりとハードボイルドワンダーランド
17 :
代打名無し:04/01/27 00:29 ID:PCUpO3Bh
オーケー。これからはパ・リーグにお違いない。
18 :
代打名無し:04/01/27 13:16 ID:Emka2lWY
上げるしかなかったんだと思う。好むと好まざるにかかわらず。
19 :
代打名無し:04/01/27 13:52 ID:Kz0PjIzc
食事のあいだ僕は突撃隊が新しいユニフォームを買った話をした。彼はそれまで
一枚しかユニフォームを持っていなかったのだが、やっとそれが二枚になったのだ。
新しいのはCDのロゴが入った青と白のユニフォームで、ユニフォーム自体は
素敵なのだが、彼がそれを着て歩くとみんなが思わず吹きだした。しかし彼には
どうしてみんなが笑うのか全く理解できなかった。
「ワタナベ君、な、何かおかしいところあるのかな?」と彼は食堂で僕のとなりに
座ってそう質問した。「顔に何かついてるとか」
「何もついてないし、おかしくないよ」と僕は表情を抑えて言った。「でも良い
ユニフォームだね、それ」
「ありがとう」と突撃隊はとても嬉しそうににっこりと笑った。
20 :
代打名無し:04/01/27 23:23 ID:lQl/ULud
「あなたは本当に勝つ気があるの?」
彼女が真剣な目で僕を見ていた。
「どうだろう、よく分からないな。正直なところ、僕にはさしあたって勝たなければならない理由が無いんだ」
途端に彼女の表情が険しくなった。
「どうして?」
「貯金があるからさ。半年間何もしなくても優勝できる」
「半年が過ぎて貯金が無くなったらどうするの?半年後にはシーズンは終わってるわ。
それに、一日中パソコンの前で座っているようなあなたに一体何が出来るっていうのよ?」
彼女の言うとおりだった。僕は彼女と目を合わさないようにビールを一口飲んだ。
「やれやれ」
「今度『やれやれ』なんて言ったら殺すわよ」
・・・・・・やれやれ。
21 :
代打名無し:04/01/28 00:16 ID:V4U93iSw
大洋穂エールズは現実に存在した球団だ。
セリーグであまりぱっとしない成績のまま消滅した。
僕は何年か前にこのチームを応援したことがある。いや、きちんと思い出そう。
はっきりとさせておこう。あれは何年前だ?
30年前。いや、正確に言うと35年前だ。僕はその時まだ二十代だった。
僕はある女の子と二人でハマスタに行った。彼女がハマスタを選んだのだ。
大洋ホエールズを応援しようと彼女が言ったのだ。
大洋ホエールズを応援しなくては、と彼女は言ったのだ。もし彼女が要求しなかったら、
僕は大洋ホエールズの試合なんてまず見なかっただろうと思う。
それはろくにアウトも取れない、塁に出られない、守れないチームで、
僕らのほかには客の姿はほとんど見あたらなかった。
僕が2時間半の観戦中に三塁側で見掛けた客は二人か三人かそれくらいだったし、
それだって大洋ホエールズのファンなのかどうかわかったものではない。
でも外野席の方やバックネットから選手へのヤジが聞こえてきたのだから、
僕らのほかに観客はいたはずだと思う。
22 :
代打名無し:04/01/29 16:50 ID:c2OPdhqp
意外と良スレ
23 :
代打名無し:04/01/29 16:57 ID:mrJyia3v
川崎球場ですが何か?
24 :
代打名無し:04/01/29 20:55 ID:CeavOU5A
ひとことで言えば、大洋ホエールズは救いがたいローカルエコノミー球団であり、
頑迷でシニカルで、よく表現して勝ち知らずだった。
いったん一本出るときりなく連打していたが、相性の悪い投手からは
(つまりセリーグを構成する大多数の球団の投手からは)ろくに点もとれなかった。
投手を酷使しすぎたし、連勝するときまって怪我人が出た。
言葉で説明するよりも、ビデオが手もとにあればいいのだが、残念ながら僕には一本もない。
もし当時のビデオがあれば、それはきっと弱小球団の持ちうるある種の雰囲気についての
得難い記録になったはずだと思うのだけれど。
25 :
代打名無し:04/01/30 15:46 ID:PrciMy2+
_, ,_
( ´_ゝ`)やれやれ...
26 :
『浜ベの種田』:04/01/30 20:57 ID:Pk31V4OE
彼女は、このスレを読んで、「種田のフォーム」と、遠くを見つめるような表情で言った。
そして、「『種田のフォーム』って『亀田のあられ』みたいな響きね」と、僕を振り返った。
その顔は笑ってはいたけれど、僕は、彼女の瞳のなかに、川崎球場のレフトフェンスの前で倒れている佐野を見たような気がした。
「大ちゃんス打線」、そう言って励まそうとしたのに、僕の口から出た言葉は、「おまえんとこのエース、はよ契約更改させえや」だった。
「彼は『いばらき大使』なの! 間違って『いばらぎ』って言ったら、茨木観光CMディレクターにチェンジアップが投げつけられるのよ!」と、彼女は泣き崩れた。
僕は、なんと言ってあげたらいいのかわからないまま、「『シピン』ちゅうたら誰かて『溲瓶』か思たもんやったなあ」とつぶやいていた。〈了〉
27 :
代打名無し:04/01/31 19:24 ID:riOrVFtb
オーケー、終了だ。
_、_
.∩( ,_>`)
(ヨ )
また来いよ、待ってるぜ!
28 :
代打名無し:04/01/31 19:44 ID:r7PBI1Ar
「金属バットで打てばいいんだ」とソーサが言った。その方が簡単だし、はやい。
29 :
代打名無し:04/01/31 21:15 ID:wdw9ANJ4
「まだ続ける気なの? コルクバットで打つわよ!」と緑が言った。
僕はつい、「ピッチャーデニー!」と助けを求めてしまった。
30 :
1/4:04/01/31 22:12 ID:YtlkNVC3
絶望的な下位低迷が続く96年の夏、一部の阪神ファンがストに入った。
彼らは「球団解体」を叫んでいた。そして甲子園で応援を続けるファンに対して
「お前たちは阪神電鉄を増長させ、かつ選手を甘やかし貶めるだけのアンチタイガースだ」と非難した。
結構、解体するならしてくれよ、と僕は思った。
解体して選手をバラバラにしてパリーグやセリーグの他のチームでチャンスを与えてやってくれ。
全然かまわない。そうすれば僕だってさっぱりするし、
あとのことはプロ野球から離れるなり広島カープを応援するなりなんとでもする。
手助けが必要なら手伝ったっていい。さっさとやってくれ。
応援が禁止されて外野の鳴り物がなくなったので、
僕は珍しもの見たさに甲子園のガラガラのライトスタンドに座って観戦してみた。
まるで川崎球場でするかのようになんとなく野球を見るのだ。
球場は思っていたより閑散としていて、最初のうちはあまりの景観に寂しさを感じるほどだったが
その分静かだったし、和田の右打ちを見ている間は自分の中の空洞を意識せずにすんだ。
僕は週に2日、甲子園でナイターを見て、4日は飲食店で夜番をやった。
そして仕事のない夜は部屋でウイスキーを飲みながら試合を見た。
31 :
2/4:04/01/31 22:13 ID:YtlkNVC3
シーズンが終わると彼らは甲子園でストを始めた。
タイガースはペナントレースを最下位で終え、藤田平は解任され、後任はまだ決まっていなかった。
契約更改のあいだに電鉄が機動隊の出動を要請し機動隊は球場にこもっていたファンを全員逮捕した。
その昔、安保闘争が激しい大学でも同じようなことをやっていたし
とくに珍しい出来事ではなかった。コミッショナーは球団解体なんてしなかった。
球団には大量の資本が投下されているし、そんなものがファンが暴れたくらいで
「はい、そうですか」とおとなしく解体するわけがないのだ。
そして電鉄本社や甲子園周辺をバリケード封鎖した連中も
本当にタイガースを解体したいなんて思っていたわけではなかった。
彼らは球団のイニシアチブの変更を求めていただけだったし、
僕にとってはイニシアチブがどうなるかなんてまったくどうでもいいことだった。
だからストが叩き潰されたところで、とくに何の感慨も持たなかった。
32 :
3/4:04/01/31 22:15 ID:YtlkNVC3
僕はストが終わり甲子園がほとんど廃墟と化していることを
期待して行ってみたのだが、甲子園はまったくの無傷だった。
入り口の選手グッズも略奪されることはなく、コンドーム風船も破壊しつくされることはなく、
外野の天然芝も焼け落ちてはいなかった。あいつらいったい何してたんだと僕は愕然として思った。
ストが解除され機動隊の占領下でシーズンが再開されると、いちばん最初に応援に来たのは
ストを指導した立場にある連中だった。彼らは何事もなかったように外野スタンドに出てきて
メガホンを振り、選手がヒットを打つとそれを打ち鳴らした。これはどうも変な話だった。
何故ならスト決議はまだ有効だったのだし、誰もスト終結を宣言していなかったからだ。
電鉄が機動隊を導入してバリケードを破壊しただけのことで、原理的にはストはまだ機能していたのだ。
そして彼らはひとたびキャンプが始まると言いたいだけ元気なことを言って、
グリーンウェルの獲得に反対する(あるいは戦力の疑念を表明する)同じ阪神ファンを罵倒し、あるいは吊るし上げたのだ。
僕は彼らのところに行って、どうしてストをつづけないで甲子園に応援に来るのか、と訊いてみた。
彼らには答えられなかった。答えられるわけがないのだ。
彼らは自分の応援しているチームに対してあれこれ言えなくなるのが怖いのだ。
そんな連中が球団解体を叫んでいたのかと思うとおかしくて仕方なかった。
そんな下劣な連中が桧山の4打数3三振1併殺で大声を出したり小さくなったりするのだ。
おい村山実さん、ここはひどい世界だよ、と僕は思った。
こういうやつらが自分こそ阪神を愛するファンとして自慢気にふるまい、
何も知らない新しいファンをにわかと貶し、せっせと下劣な社会をつくるんだ。
33 :
4/4:04/01/31 22:16 ID:YtlkNVC3
僕はしばらくのあいだライトスタンドへ行っても音頭を取る時には返事をしないことにした。
そんなことをしたって何の意味もないことはよく分かっていたけれど、
そうでもしないことには気分が悪くて仕方がなかったのだ。
しかしそのおかげでファンの中での僕の立場はもっと孤立したものになった。
応援を強制されても僕が黙っていると、周りの席に居心地の悪い空気が流れた。
誰も僕に話しかけなかったし、僕も誰にも話しかけなかった。
97年オフの関川のトレードをもって、僕はプロ野球の応援というのはまったく無意味だという結論に到達した。
そして僕は応援歌を純粋にノスタルジックなメロディとして――、あるいは詩的表現として捉えることに決めた。
今ここでプロ野球を見なくなったところで何か特にやりたいことがあるわけではないのだ。
僕はほとんど毎試合阪神戦を見てゆったりとプロ野球を楽しみ、
あいた時間には野球を知らない彼女とデートしたりバイトをしたりしていた。
「うん」と僕は言った。そして埋め立てられてしまった海のことを思い出した。
「そしてそこで虎博士の話を聞いたんだ。手袋に赤い星のしるしのついた選手の話さ。そのとこは知ってるよね?」
「知ってるよ」
「その後のことを話すのはとても辛い」とPL学園出身の三塁手は言った。
「この辛さはどんな風にしゃべっても君にわかってもらえないんじゃないかと思う」
35 :
1/3:04/02/01 02:24 ID:+QwX79/8
99年初秋の土曜日の「阪神×広島戦」の甲子園にも彼女の姿は見当たらなかった。
待ち合わせの時間はとっくに過ぎていた。もう中で待っているのかもしれない。
僕は球場に入り内野席を見渡して彼女がいないことを確かめてから
友人からもらったチケットに書かれたいつもの指定席に座り、試合が始まるまでじっと待つことにした。
やがて赤ら顔の小柄な男性が横に座って僕に挨拶をし、ハンカチで額の汗をぬぐった。
年間予約席に座る彼とはたまに顔を合わせているのだが、彼は口が悪くいつも選手の悪口を言っていた。
その中の「藪はなぜ突然炎上するのか」は楽しいとは言えないまでも
一応聴く価値のあるきちんとした理論だった。あいかわらず暑いですねえと言ってから
彼は藪の終盤における初球ストライクの割合について話はじめた。
7回裏における藪のピッチングが、キーオや野田のそれとどう違うかについて彼は語った。
15分ほど経ったところで入り口からドリンクを抱えて彼女が入って来るのが見えた。
彼女は僕に気づいたらしく少し怒った風に目で合図しこちらへ向かってきた。
近くまでたどりつくと僕に話かけている男に気づき
「いったいこの人は誰なのかしら」的な微笑を浮かべて僕のとなりに座った。
そしてショルダーバッグから双眼鏡を取り出して、僕に渡した。
彼女は双眼鏡で藪を眺めている僕に「ねえ、調子がいい時の藪って怖いのよね」
と自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
36 :
2/3:04/02/01 02:25 ID:+QwX79/8
試合が6回ほど進み、3−2でリードしたまま伊藤が43試合目の登板で緒方を迎えているところに、
後ろからタイガースのヘルメットを被った男性が2人走ってきた。
まるでプロレスのタッグみたいな2人組だった。1人は筋骨隆々として丸顔でへルメットを深くかぶっており、
もう1人はひょろりとした白人で背が高く、ゲイのような髭を生やしていた。
白人の方がビラを抱えていた。ヘルメットを深くかぶった方が応援団のところへ行って、
チームの応援を討論に当てたいので了承していただきたい。
目先の1勝よりもっと深刻な問題が現在のチームを覆っているのだと言った。
それは要求ではなく、単なる通告だった。8連敗中の今日の勝敗より深刻な問題が
現在のチームに存在するとは思えないが、それよりもあなた大豊さんではないですか?
と応援団長は言った。そして応援旗の根元をぎゅっとつかんで旗を下に降ろし、
2人組の写真を撮ってからやや緊張した様子でその場に座り込んだ。
37 :
3/3:04/02/01 02:33 ID:+QwX79/8
背の高い白人がビラを配っているあいだ、ヘルメットを深く被った大男が
フェンス際に立って演説をした。ビラにはあのあらゆる事象を単純化する独特の簡潔な書体で
「欺瞞的野村采配を粉砕し」「あらたなるペナント奪回に向けて戦力を結集し」
「サチヨ=カツヤ=ダンケニーカツノリ路線に鉄槌を加える」と書いてあった。
説は立派だったし、内容に特に異論はなかったが、文章に説得力がなかった。
信頼性もなければ人の心を駆りたてる力もなかった。ヘルメットの演説も似たりよったりだった。
いつもの癇癪にしか聞こえなかった。特に内容は変わらず一本足か二本足かが違うだけだった。
この連中の真の敵は野村克也ではなくチーム全てに対する信頼の欠如だろうと僕は思った。
「出ましょうよ」と彼女は言った。僕は肯いて立ち上がり、2人で球場を出た。
出るときに白人の方が僕に何か言ったが、何を言っているのかよく分からなかった。
彼女は「See you. Yokohama killer」と言って彼にひらひらと手を振った。
「ねえ、私たち野村信者なのかしら?」と球場を出てから彼女が僕に言った。
「野村監督が解任されたら私たち道頓堀の橋の上から並んで突き落とされるのかしら?」
「突き落とされる前にできたら優勝を見ておきたいな」と僕は言った。
38 :
代打名無し:04/02/01 13:57 ID:Olc2kQHW
「バスボールとかロジンバックとかTDNのビデオのことを考えながらマスターベーションする男はまあいないだろうね。まあだいたいは女の子
のことを考えてやるんじゃないかな?」
「TDNのビデオ?」
「たとえば、だよ」
39 :
代打名無し:04/02/01 22:26 ID:+QwX79/8
鼠の好きな選手は横浜の駒田徳弘である。
僕が初めて鼠の家を訪れた時、彼は5月の柔らかな日差しの下に
16インチのカラーテレビを持ち出して巨人×横浜を食い入って眺めている最中だった。
「駒田徳弘の優れた点は、」と鼠は僕に言った。「勝負強さと併殺打が同居していることだ」
観客席がまばらな横浜スタジアムで試合は3対3のまま膠着状態に入り、
1アウト1塁2塁のチャンスを迎えた駒田は
外角いっぱいに投げられたスライダーを懸命にひっかけて併殺打を打った。
「ビールの良いところはね、全部小便になって出ちまうことだね。
ワン・アウト一塁ダブル・プレー、何も残りゃしない」
鼠はそう言って、ビールを飲み干した。「駒田だといっしょだよ」
「そりゃ良かった」
41 :
代打名無し:04/02/02 00:55 ID:Ktysp5My
僕が10月19日の22時50分ぴったりに『ジェイズ・バー』の前に車をつけた時、
鼠はガードレールに腰掛けてフラン・レボウィッツの『嫌いなものは嫌い』を読んでいた。
「何かあったのか?」僕はそう訊ねてみた。
「終わった」
「終わった?」
「終わったんだ」
僕は溜息をついてネクタイをゆるめ、上着を後ろの座席に放り投げてから煙草に火を点けた。
「さて、何処かに行きますか?」
「お菓子工場。」
「いいね。」
と僕は言った。
42 :
代打名無し:04/02/03 18:38 ID:bbz0cMU6
「ワタナベ君、お金もう一億持ってきてくれない?」
「いいですよ。でも何するんですか?」
「これから二人でダイエーのお葬式するのよ」
ナカウチさんは言った。「淋しくないやつを」
ナカウチさんはまずキャッチャーの「ヨシナガ」をとても綺麗に静かに弾き出した。
「さて、買い手が見つかる前に何人売れるかな。
ねえ、こういうお葬式だと淋しくなくていいでしょう?」
ナカウチさんはオーナー席に移り、「ハヤシ」を売り、「ハマナ」を売り、
「ムラマツ」を売り、「コクボ」を売り、「サクモト」を笑いながら売り、
「イグチ」を売った。僕はマッチ棒を七本並べた。
「七人」とナカウチさんは言って涙をすすり、煙草をふかした。
「この人たちはたしかに人生の哀しみとか優しさというものをよく知っているわね」
43 :
代打名無し:04/02/03 19:10 ID:bbz0cMU6
「ねぇ、プロ野球選手になりたい?」
「もちろん。」
「広島カープに入団したい?」
「今、すぐに?」
「いつか・・・・・もっと先によ。」
「もちろん入団したい。」
「でも私が訊ねるまでそんなこと一言だって言わなかったわ。」
「言い忘れてたんだ。」
「・・・・ポジションは何処を守りたい?」
「ショート。」
「打率は?ホームランは?」
「.280に25本、そして70打点。」
彼女はコーヒーを口の中でパンを噛み下してからじっと僕の顔を見た。
「 嘘 つ き ! 」
と広島ファンの彼女は言った。
しかし彼女は間違っている。
僕はひとつしか嘘をつかなかった。
44 :
代打名無し:04/02/03 19:18 ID:CP4WocmY
「ねえ、どこのチームを応援したらいいの?」
と彼女は言った。
僕はゆっくりとそれを考えた。煙草2本が煙になっていった。
「今年はロッテじゃないかな」僕は言った。
「ボビー・バレンタインの魅力。これは12球団中でも飛び抜けてる。
例年言われてるけど、ピッチング・スタッフも清水ミンチー俊介、加藤コパマサ。
隙がないよ。ジョニーも小宮山もきっと立派にカムバックするさ。
バッティング・オーダーだって。福浦フランコアグバヤニ、それに李が加入した。
立川も諸積も小坂も喜多もサブローもとっても魅力的だ」
「初芝は?」
僕は一瞬考え込んでしまった。
「初芝だって魅力的だ。今年こそうまくやってくれるさ」
「ふうん」
彼女は言った。僕の言葉を疑っているのがわかった。
45 :
代打名無し:04/02/03 19:44 ID:bbz0cMU6
目を覚ました時、両脇に双子の中年男性がいた。
今までに何度も体験したことではあったが、
両脇に双子の中年男性というのはさすがに初めてだった。
「名前は?」と僕は二人に訊ねてみた。二日酔いで頭は割れそうだった。
「名乗るほどの成績じゃないな。」と右側にいるほうが言った。
「実際、たいした成績じゃない。」と左が言った。「わかるだろ?」
「わかるよ。」と僕は言った。
「名前がないと困るか?」と一人が訊ねた。
「どうかな?」
二人はしばらく考え込んだ。
「もしどうしても名前が欲しいのなら、適当につけてくれればいい。」
ともう一人が提案した。
「きみの好きなように呼べばいい。」
彼らはいつも交互にしゃべった。まるでABCラジオの福本と門田みたいに。
おかげで頭は余計に痛んだ。
「例えば?」と僕は訊ねてみた。
「金村と鈴木健」と一人が言った。
「和田と衣笠」ともう一人が言った。
「松中と大豊」
「今岡と東出」
「杉内と高橋尚成」
「平塚と吉田浩」僕は負けないように辛うじてそう付け加えた。
二人は顔を見合わせて満足そうに笑った。
46 :
1/3:04/02/03 22:26 ID:bbz0cMU6
〜横浜−阪神7回戦〜
http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200305/bt2003051008.html 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、
「横浜なんて・みんな・糞喰らえさ。」
鼠はシーズンシートに両手をついたまま僕に向かって憂鬱そうにそうどなった。
あるいは鼠のどなった相手は僕の後ろにいる阪神ファンなのかもしれなかった。
僕と鼠は横浜スタジアムの内野席に隣り合って腰かけていたのだし、
わざわざ僕に向かってどなる必要なんて何もなかったからだ。
しかし何れにせよ、大声を出してしまうと鼠はいつものように満足した面持でビール美味そうに飲んだ。
もっとも、周りには鼠の大声を気にするものなど誰ひとりいなかった。
球場は阪神ファンで溢れんばかりだったし、誰も彼もが同じように大声で応援していたからだ。
それはまるで陥落寸前の古城と言った光景だった。
47 :
2/3:04/02/03 22:28 ID:bbz0cMU6
「ダニさ。」鼠はそう言っておぞましそうに首を振った。
「奴らになんて何もできやしない。プロ面をしてる奴らを見るとね、虫唾が走る。」
僕は薄いビールカップの縁に唇をつけたまま黙って肯いた。
鼠はそれっきり口をつぐむと、シーズンシートに載せた手の細い指を
たき火にでもあたるような具合にひっくり返しながら何度も丹念に眺めた。
僕は諦めて既に終わってしまった試合を見た。
10本の指を使って横浜の勝利数をきちんと点検してしまわないうちは次の話は始まらない。
いつものことだ。
「虫唾が走る。」
鼠はひととおり指を数え終わるとそう繰り返した。
鼠が横浜ベイスターズの悪口を言うのは今に始まったことではないし、また実際にひどく憎んでもいた。
鼠の家にしたところで相当な横浜ファンだったのだけれど、僕がそれを指摘するたびに鼠は決まって
「俺のせいじゃないさ。」と言った。時折(大抵は贔屓選手が散々だったような場合なのだが)、
「いや、お前のせいさ。」と僕は言って、そして言ってしまったあとで必ず嫌な気分になった。
鼠の言い分にも一理あったからだ。
48 :
3/3:04/02/03 22:32 ID:bbz0cMU6
「何故横浜が嫌いだと思う?」
その夜、鼠はそう続けた。そこまで話が進んだのは初めてだった。
わからない、と言った風に僕は首を振った。
「はっきり言ってね、横浜なんて何も考えないからさ。
佐々木と三浦がいなきゃシーズン50勝もできやしない」
はっきり言って、というのが鼠の口癖だった。
「そう?」
「うん、奴らはチームの勝利なんて何も考えない。
考えてるフリをしてるだけさ。・・・・・・何故だと思う?」
「さあね?」
「必要がないからさ。もちろん生き残るには少しばかり頭がいるけどね。
セリーグの球団であり続けるためには何も要らない。六大学野球の東京大学と一緒さ。
グルグルと同じ試合を繰り返してりゃいいんだよ。でもね、俺はそうじゃないし、あんただって違う。
応援するためには考え続けなくちゃならない。
明日の先発から、ルーキーのバットのサイズまでね。そうだろ?」
「ああ。」と僕は言った。
「そういうことさ。」
「でもどんなチームだっていつかは優勝する」
僕は試しにそう言ってみた。
「そりゃそうさ。どんなチームだっていつか優勝する。
でもね、それまでに38年も応援しなきゃならんし、
いろんなことを考えながら38年応援するのは、
はっきり言って何も考えずに5000年巨人を応援するよりずっと疲れる。
そうだろ?」
そのとおりだった。
49 :
その後:04/02/03 22:46 ID:bbz0cMU6
「大ちゃんが間違ってたと思う?」女がそう訊ねた。
鼠はビールを一口飲み、ゆっくりと首を振った。
「はっきり言ってね、みんな間違ってるのさ。」
「何故そう思うの?」
「うーん。」鼠はそう唸ってから上唇を舌でなめた。答えなど無かった。
「私は腕がもぎとれるくらい一生懸命にメガホンを振ったのよ。
とても苦しくて死ぬかと思ったわ。それでね、何度も何度もこんな風に考えたわ。
私が間違っててあなたが正しいのかもしれないって。私がこんなに応援してるのに
何故横浜ベイスターズは同じように最下位でずっと負け続けているんだろうってね。」
女はそう言うと軽く笑って、しばらく憂鬱そうに目の縁を押さえた。
鼠はモジモジしながらあてもなくポケットを探った。三年振りに無性に煙草が吸いたかった。
「デニーが死ねばいいと思った?」
「少しね。」
「本当に少し?」
「…忘れたわ。」
二人はしばらく黙った。鼠はまた何かをしゃべらなければならないような気がした。
「ねえ、打てない日は歯を綺麗に磨いてすっきりすれば打てるかもしれない。」
「誰の言葉?」
「駒田徳広。」
50 :
代打名無し:04/02/04 02:54 ID:cELCL/Ka
>45
ワラタ!!
51 :
代打名無し:04/02/04 12:38 ID:SAiZ+EaU
>>50 同じくバカウケ。
原作のシーンが頭によぎって余計おかしかった
52 :
代打名無し:04/02/04 12:49 ID:cmvIfY1p
やっぱ、デビュー三部作が人気あんのな
53 :
代打名無し:04/02/04 13:03 ID:bFj2A/Zn
三部作
『風の歌を聴け』>39>40>41>43>46-49>50
『1973年のピンボール』>45
『羊をめぐる冒険』>34
『ノルウェイの森』>1>3>19>30-33>35-37>42
『風の歌を聴け』の鼠は偏屈な横浜ファンっぽい部分あるな
設定は巨人が嫌いな巨人ファンだけど(金持ちが嫌いな金持ち)
逆に『ノルウェイの森』の僕は周りの阪神ファンに
馴染めない阪神ファンっぽい 読んでて違和感ないし
54 :
代打名無し:04/02/04 13:34 ID:bFj2A/Zn
カークランド日和/しもやなぎと眠る桜庭
ロッテ襲撃/ロッテ再襲撃
近鉄行きのスロウボート/南海の消滅
ファミリー・ノムラ/双子と沈んだアトムズ
抗議1019/デニー友利
デビィデントンの幽霊 /今は亡き高野のための
西武帝国の崩壊/ねじまき鳥と火曜日の工藤たち
55 :
代打名無し:04/02/04 14:32 ID:bFj2A/Zn
僕はプロ野球についての多くを監督の近藤昭仁に学んだ。
殆んど全部、というべきかもしれない。
不幸なことに近藤さんは全ての意味で不毛な監督であった。
見ればわかる。発言は理解し難く、投手交代は出鱈目であり、采配はスクイズだった。
しかしそれにもかかわらず、近藤さんは育成能力を武器として
名監督とわたりあうことのできる数少ない非凡な監督のひとりでもあった。
仰木彰、上田利治、野村克也、そういった同時代の監督に伍しても、
近藤昭仁のその戦闘的な姿勢は決して劣るものではないだろう、と僕は思う。
ただ残念なことに、近藤さんには最後まで自分の闘う相手の姿を明確に捉えることはできなかった。
結局のところ、不毛であるということはそういうものなのだ。
56 :
代打名無し:04/02/05 15:13 ID:ObUDbq7i
ああ
57 :
代打名無し:04/02/07 01:49 ID:eMLo26m9
58 :
代打名無し:04/02/07 09:39 ID:bzruZZzl
近藤昭仁が良いスクイズについてこんな風に書いている。
「スクイズという作業は、とりもなおさず自分と
自分をとりまく内野手との距離を確認することである。
必要なものは奇襲ではなく、ものさしだ。」(「4番がスクイズして何が悪い?」1995年)
59 :
代打名無し:04/02/07 10:18 ID:bzruZZzl
「渡辺オーナー、あなたはジャイアンツファンにもべつに理解されなくったっていいと思ってるんですか?」
と原さんが訊いた。
「君はどうもよくわかってないようだが、人が誰かを理解するのはしかるべき時期が来たからであって、
その誰かが相手に理解してほしいと望んだからではない」
「じゃあ私が誰かにきちんと『ジャイアンツ愛』を理解してほしいと望むのは間違ったことなんですか?
たとえばあなたに?」
「いや、べつに間違っていないよ」と渡辺オーナーは答えた。
「まともな人間はそれを『球団と現場の意見交換』と呼ぶ。
もし君がファームからの叩き上げを使いたいと思うのならな。
巨人のシステムは他のチームのシステムとはずいぶん違うんだよ」
「でも選手を育てる気はないんですね?」
「だから君は巨人のシステムを――」
「システムなんてどうでもいいよ!」と原さんがどなった。
彼がどなったのを見たのはあとにも先にもこの一度きりだった。
60 :
代打名無し:04/02/07 16:04 ID:YFtgh2gT
61 :
代打名無し:04/02/07 20:06 ID:bzruZZzl
「ところでお前、原に巨人を出ろって忠告したんだって?」
「あたり前でしょう」
「そうだな、まぁ」
「あの人ストイックな人ですよ」と僕は味噌汁を飲みながら言った。
「知ってるよ」とワナナベオーナーはため息をついて言った。
「巨人にはいささかストイックすぎる」
62 :
代打名無し:04/02/07 21:03 ID:bzruZZzl
原さんが僕を揺り動かしたのは巨人の中に長いあいだ眠っていた
<選手やファンに対する敬意や誇りや愛の一部>であったのだ。
そしてそれに気づいたとき、僕は殆ど泣きだしてしまいそうな哀しみを覚えた。
原さんは本当に本当に特別な存在だったのだ。誰かがなんとしてでも原さんを続投させるべきだったのだ。
でも渡辺オーナーもファンも原さんを救うことはできなかった。
原さんは――多くの僕の知る名将と呼ばれた監督がそうしたように――
ペナントのある段階が来ると、ふと思いついたみたいに自らの地位を捨てた。
原さんは日本一を成し遂げた翌年に投手陣を立て直せず、
その年の後半戦で短い監督生命を終えた。
原さんの辞任を僕に知らせてくれたのはもちろん渡辺オーナだった。
彼は薄っぺらいスポーツ新聞でこう語っていた。
「原の失敗によって何かが消えてしまったし、それはたまらなく哀しく辛いことだ。この私にとってさえも」
僕はそのスポーツ新聞を破り捨て、もう二度と彼に関する記事を読まなかった。
63 :
代打名無し:04/02/07 21:26 ID:MQfjHDi+
64 :
代打名無し:04/02/07 23:12 ID:vZpex9Za
渡辺=巨人ファンかな?それにしてもうまいね
65 :
代打名無し:04/02/07 23:18 ID:aZ1VQ3V+
懐かしいな、ノルウェイの森
66 :
代打名無し:04/02/08 18:15 ID:bihWQ7Sx
原がハツミさんか・・・
67 :
1/3:04/02/09 04:34 ID:0cU/JGpt
小さい頃、僕はひどく横浜を応援した子供だった。
両親は心配して、僕を知り合いの精神科医の家に連れて行った。
医者の家は東京ドームの見える高台にあり、僕が日当たりのいい応接室のソファーに座ると、
品の良い中年の婦人が冷たいオロナミンCと二個のナボナを出してくれた。
僕は膝にクリームをこぼさぬように注意してナボナを半分食べ、オロナミンCを飲み干した。
「もっと飲むかい?」と医者が訊ね、僕は首を振った。僕たちは二人きりで向かいあっていた。
正面の壁からは王貞治の肖像画が江川を見る時のようにうらめしく僕を睨んでいた。
「昔ね、あるところにとても人の良い鯨がいたんだ。」
素敵な出だしだった。僕は目を閉じて人の良い鯨を想像してみた。
「鯨はいつも重い金時計を首からぶらさげて、ふうふう言いながら歩き回ってたんだ。
ところがその時計はやたら重い上に壊れて動かなかった。そこに友達の兎がやってきてこう言った。
<ねえ鯨さん、なぜ君は動きもしない時計をいつもぶら下げてるの?重そうだし、役にも立たないじゃないか>ってさ。
<そりゃ重いさ。>って鯨が言った。<でもね、慣れちゃったんだ。時計が重いのにも、動かないのにもね。>」
医者はそう言うと自分のオロナミンCを飲み干し、ニコニコしながら僕を見た。
僕は黙って話の続きを待った。
「ある日、鯨さんの誕生日に兎は綺麗なリボンのかかった小さな箱をプレゼントした。
それはキラキラ輝いて、とても軽く、しかも正確に動く新しい時計だったんだね。
鯨さんはとっても喜んでそれを首にかけ、みんなに見せて回ったのさ。」
そこで話は突然に終わった。
「君が鯨、僕は兎、重い時計は横浜ベイスターズさ。」
僕はだまされたような気分のまま、仕方なく肯づいた。
68 :
2/3:04/02/09 04:36 ID:0cU/JGpt
プロ野球とは期待である、と彼は言った。
もし何かを期待できないのなら、その選手は存在しないのも同じだ。
いいかい、ゼロだ。もしバッターボックスに古木が入ったとするね。
古木がここでホームランを打てればいい。君は古木に期待する。見ていいよ。
(医者はビデオを再生し、古木のホームランを見せた。)
古木が打たないと期待もない。
(医者は意地悪そうにテープを巻き戻し、古木が今季喫した131回の三振を全て見せた。)
ゼロだ。わかるね?横浜はめったに勝てない。しかし君は横浜を応援したい。
そこで君は言葉を使わずにそれを表現したい。ゼスチュア・ゲームだ。やってごらん。
僕は頭をかかえて苦しそうな顔をした。医者は笑った。それじゃ精神不良だ。
精神不良・・・・・・。
69 :
3/3:04/02/09 04:37 ID:0cU/JGpt
次に僕たちのやったことはフリー・トーキングだった。
「大ちゃんについて何でもいいからしゃべってごらん。」
僕は考える振りをして首をグルグルと回した。
「思いつくことなら何だっていいさ。」
「禿げてます。」
「和田だってそうだよ。」
「ずっと髪がない。」
「それから?」
「横浜の監督をしていて、気が向くとライトとレフトを入れ替える。」
「横浜の何がだめ?」
「監督。」
「選手は?」
「選手も。」
そんな具合だ。
医者の言ったことは正しい。プロ野球とは期待である。
期待し、期待すべきことが失くなった時、プロ野球は終る。
パチン・・・・・・OFF。
70 :
代打名無し:04/02/09 05:10 ID:0cU/JGpt
家に帰る途中、ずっと口笛を吹いていた。
それは何処かで聴いたことのあるメロディーだったが、
題名はなかなか浮かんではこなかった。
ずっと昔の唄だ。
僕は海岸通りに車を停め、
暗い夜の海を眺めながらなんとか曲名を思い出そうとしてみた。
それはウォーレン・クロマティの応援歌だった。こんな歌詞だったと思う。
「楽をしても、クロウ、クロウ。
苦労しても、クロウ、クロウ。
お前が打たなきゃ、明日は雨。
クロマティ。」
確かに良い時代だったのかもしれない。
71 :
代打名無し:04/02/09 05:11 ID:ZfbtkcN3
やれやれ
72 :
代打名無し:04/02/09 06:21 ID:FZlJFYNZ
かつて誰もがクールに生きたいと考える時代があった。
去年の初め頃、大ちゃんは心に思うことの半分しか勝つまいと決心した。理由は忘れたがその思いつ
きを、半年間にわたって彼は実行した。そしてある日、彼は自分が思っていることの半分しか勝つこ
とのできないチームになっていることを発見した。
それがクールさとどう関係しているのかは僕にはわからない。しかし年じゅうメガホン拾いをしな
ければならないオリックスをクールと呼び得るのなら、彼だってそうだ。
そんなわけで、僕は時の淀みの中ですぐに眠りこもうとする意識をビールと煙草で蹴とばしながら
この文章を書き続けている。ギャラード劇場に何度も入り、一日に二回髪を剃り、ピッチャーデニー
を何度も何度も聞く。今、僕の後ろではあの時代遅れなジャッキー&パビリオンズが唄っている。
「もう何も考えるな。終ったことじゃないか。」
73 :
1/3:04/02/09 08:02 ID:0cU/JGpt
「完璧なチームなどといったものは存在しない。完璧な最下位が存在しないようにね。」
僕が大洋ファンのころ偶然にも知り合った西武ファンは僕に向ってそう言った。
僕がその本当の意味を理解できたのは
西武がブライアントの4連発でリーグ優勝を逃したあとのことだったが、
少くともそれをある種の慰めとしてとることも可能であった。
完璧なチームなんて存在しない、と。
しかし、それでもやはり大洋ホエールズを応援するという段になると、
いつも絶望的な気分に襲われることになった。
大洋が優勝争いできる期間はあまりにも限られたものだったからだ。
例えば屋鋪要がゴールデングラブ賞を獲ったとしても、
ペナントレースでは何もいいところがないかもしれない。そういうことだ。
74 :
2/3:04/02/09 08:04 ID:0cU/JGpt
32年間、1960年に大洋が優勝してから、僕はそうしたジレンマを抱き続けた。
――32年間。長い歳月だ。
もちろん、あらゆるものから喜びを得ようとする姿勢を持ち続ける限り、
大洋を応援することはそれほどの苦痛ではない。これは一般論だ。
二十歳を少し過ぎたばかりの頃からずっと、僕はそういった応援姿勢を取ろうと努めてきた。
おかげでやくみつるから何度となく手痛い打撃を受け、
古葉監督に欺かれ、村上龍に罵られ、また同時に多くの貴重な体験もした。
様々な選手がやってきて大洋でプレーし、
まるで橋を渡るように緩やかにユニフォームを脱ぎ、
そして二度と戻ってはこなかった。
僕はその間じっと口を閉ざし、何も語らなかった。
そんな風にして大洋は川崎球場の最後の年を迎えた。
75 :
3/3:04/02/09 08:07 ID:0cU/JGpt
今、僕は語ろうと思う。
もちろん問題は何ひとつ解決してはいないし、
移転を終えた時点でもあるいは事態は全く同じということになるかもしれない。
結局のところ、プロ野球チームを応援することは自己療養の手段ではなく、
自己療養へのささやかな試みにしか過ぎないからだ。
しかし、正直に状況を語ることはひどくむずかしい。
僕が正直に語ろうとすればするほど、
正確な大洋ホエールズは闇の奥深くへと沈み込んでいく。
弁解するつもりはない。少くともここで語られていることは現在の僕におけるベストだ。
つけ加えることは何もない。それでも僕はこんな風にも考えている。
うまくいけばずっと先に、何年か何十年か先に、
優勝した横浜を発見することができるかもしれない、と。
そしてその時、鯨は海底で眠り、
横浜ベイスターズはより美しいプレイでベースボールを語り始めるだろう。
76 :
代打名無し:04/02/09 09:11 ID:0cU/JGpt
<ON>
やあ、みんな今晩は。元気かい?僕は最高にご機嫌に元気だよ。みんなにも半分分けてやりたいくらいだ。
こちらはヤマシタダイスケH・A・G・E、おなじみ「横浜キャンプ速報」の時間だよ。
これから開幕までの待ち遠しい数週間、他球団のイカした離脱情報をガンガン流し込む。
違和感、肉離れ、不整脈、インフルエンザ、ソバアレルギー、道路交通法違反、なんでもいいぜ、どんどん離脱してくれ。
二軍キャンプ地は知ってるね。いいかい、間違えずに送還してくれよ。
伊良部秀輝、キャンプ初日で、111キロ(体重)、少し字余り、なんてね。
ところで1日のキャンプ開始から一週間、室内練習場の10台のピッチングマシーンは
休む暇もなく鳴りっぱなしだ。ねえ、ちょっと打球の音でも聞いてみるかい?
・・・どうだい、すごいだろ?よーし、その調子だ。腕が折れるまでどんどん練習してくれ。
ところで昨シーズンは中継ぎ陣が打たれすぎてゲームが飛んじまってみんなに迷惑かけたね。
でももう大丈夫。先週シアトルマリナーズの佐々木主浩を獲得した。
コックスの年俸くらいある高いやつだ。広島投手陣、ペタの年俸より、少し安い、かなり字余り。
だから安心して気が狂うくらいゲーム見てくれよ。
、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、、
たとえ先発全員が気が狂うくらい打たれたとしても、中継ぎは絶対に崩壊しない。いいね?
よーし。去年もうんざりするようなシーズンだったがそんなものは御機嫌な書き込みを読んで吹き飛ばそう。
いいかい。素晴らしい掲示板ってのはそういうためにあるんだぜ。
可愛い女の子と同じだ。オーケー。1スレッド目。これをただ黙って読んでくれ。
本当に良いスレだ。去年の成績なんて忘れちまう。
――「山下大輔監督とともに苦難を乗り越えてゆくスレ74」――
http://sports5.2ch.net/test/read.cgi/base/1076257553/l50 <OFF>
77 :
代打名無し:04/02/09 10:49 ID:06U/cyHZ
犬の漫才師に悲哀を感じるぞ(w
78 :
代打名無し:04/02/09 14:00 ID:FNQhq+h1
彼はその日の午後、三十分ばかり、一種のパニック状態におちいった。
彼がそんな風になったのは試合が開始してからはじめてのことだった。
最初はほんの小さな手違いだったのだが、それが彼の頭の中で少しずつ
大きくなり、やがてとりかえしのつかない巨大な混乱へと姿を変えた。
そのあいだじゅう彼は一言も口をきかずに、その場にじっと立ちすくんでいた。
僕は作業の一切をストップし、彼を椅子に座らせ、握りしめた指を一本ずつ
ほどき、熱いコーヒーを飲ませた。それから何もまずいことはないんだと
説明した。根本的な間違いではないし、間違ったところを最初からもう一度
やり直しても、それでたいして影響がでるわけではないのだ。
コーヒーを飲んでしまうと、彼は少しおちついたようだった。
彼は主審のところまで歩いていき、「ピッチャー、デニー」と言った。
彼の姿は僕に、夜の海にゆっくりと沈んでいく船を思わせた。
79 :
代打名無し:04/02/09 15:41 ID:yOFdWcyQ
スロウボートがデニーに、、、(ry
80 :
代打名無し:04/02/09 16:31 ID:CBIL7gJs
>70 (・∀・)イイ!
81 :
代打名無し:04/02/09 22:03 ID:jf7PdNa+
このまま
□■村上春樹的横浜ベイスターズ(or大洋ホエールズ)■□
で行ってほしい
82 :
海辺の過負荷:04/02/09 22:47 ID:5eAH0TKP
「実にそういうことだ。でもね、渡辺恒雄くん、これだけは覚えて
おいたほうがいい。結局のところ、プロ野球の面白さを殺してしまったのも、
そういう連中なんだ。ストライクゾーンの狭量さ、ジャンパイヤの非寛容さ。
一人歩きする長嶋神話、空疎な監督解任、簒奪された他球団のエース、膠着した
6月5日。僕にとって本当に怖いのはそういうものだ。僕はそういうものを
心から恐れ憎む。なにが正しいか正しくないか―もちろんそれもとても重要な
問題だ。しかしそのような個別的な判断の過ちは、多くの場合、あとになって
訂正できなくは無い。過ちを進んで認める勇気さえあれば、だいたいの場合
取り返しはつく。しかし想像力を欠いた狭量さや非寛容さは寄生虫と同じなんだ。
宿主を変え、かたちを変えてどこまでもつづく。そこに救いはない。
僕としては、その手のものにここには入ってきてもらいたくない」
大島さんは鉛筆の先でマウンドを指す。もちろん彼はプロ野球全体のことを
言っているのだ。
「僕はそういうものを適当に笑い飛ばしてやりすごしてしまうことができない」
83 :
代打名無し:04/02/10 01:36 ID:OBlJNYlN
「悪いけどさ、ピッチャーデニーは草野球かなんかでやってくれないかな」と僕は
きっぱりと言った。
「それやられると試合に負けちゃうんだ」
「でももう8回裏だよ」と彼は信じられないという顔をして言った。
「知ってるよ、それは。8回裏だろ? 8回裏は僕にとってはまだ戦っている時間
なんだ。どうしてかは説明できないけどとにかくそうなってるんだよ」
「駄目だよ。草野球でやるとチームの人から文句がくるんだ。ここならいつも最下位
だし、誰からも文句はこないし」
「じゃあ野球盤でやりなよ。畳の上で」
「それも駄目なんだよ。ぼ、ぼ、僕のデニーはアメリカ人とのハーフで畳が苦手だし、
し、神経質でつらい環境だとすぐ動揺しちゃうし、ぼくもデニーがいないと采配って
できないんだよ」
確かに彼のデニーはひどく神経質ですぐに動揺してしまうし、一方彼の采配もデニーが
いないと成り立たないし、もう監督を変えるしかなかった。やれやれ、と僕は思った。
「じゃあ歩み寄ろう」と僕は言った。「ピッチャーデニーはやってもかまわない。その
かわり大事な場面で使うのはやめてくれよ。あれ、かならず逆転されるから。それで
いいだろ?」
「ぎゃ、逆転?」と彼はびっくりしたように訊きかえした。「逆転ってなんだい、それ?」
「逆転といえば逆転だよ。押し出し死球だったり走者一掃タイムリーだったりサヨナラ
負けだったりするやつだよ」
「そんなのないよ。ぼ、僕のデニーはいつも抑えてるよ」
僕の頭は痛みはじめた。
84 :
代打名無し:04/02/10 08:31 ID:ur44IY65
<OFF>
ふう・・・・・・なんてキャンプだい、まったく・・・
・・・ねえ、もう外国人補強しないのかな?・・・・・・先発足りないよ・・・これじゃ・・・
・・・おい、よしてくれよ・・・まだ監督やめたくないよ・・・・・・
・・・そう、そんなもんだ・・・・・・隆・・・・・・
・・・ねえ、多村が怪我しちゃったよ、誰かどうやって外野組んだらいいか教えてよ・・・
・・・・・・大丈夫か・・・佐伯使えばいいし・・・・・・打つだけならまだ大丈夫・・・うん・・・大丈夫
・・・いいね吉見・・・素敵だよ・・・・・・今年はもっと勝てるさ・・・
・・・ねえ、ギャラードがいないよ・・・
・・・・・・馬鹿言うなよ!・・・・・・ギャラードいなくなったら去年と変わらないじゃないか・・・
・・・おい、なんだって・・・複数年・・・?中継ぎいないんだ・・・・・・悪ふざけはよせよ・・・・・・ねえ、ギャラード!
・・・・・・畜生・・・・・・
<ON>
85 :
代打名無し:04/02/10 08:58 ID:ur44IY65
<ON>
素晴らしいね。これがプロ野球だ。
――「山下大輔監督とともに苦難を乗り越えてゆくスレ74」――
少しは元気でたかい?ところで去年の横浜最終成績何勝だと思う?
45勝だぜ、45勝。みんながんばったにしても少なすぎる。これじゃ最下位だ。
45って言えば素敵な女の子を抱きかかえてベッドへ運ぶのにちょうどいいくらいのウェイトだ。
信じられるかい?オーケー、おしゃべりはこれくらいにしよう。どんどんスレを張る。
−とらとかぷのとほほ漫談36 鬼は外とほほはウチ−、乗ってくれよ、ベイビー。
http://sports5.2ch.net/test/read.cgi/base/1075523240/l50 <OFF>
・・・おいおい、もういいよ・・・・・・峰岸さんがなんとかしてくれるって・・・・・・
・・・ふう、よかった・・・・・・
・・・大丈夫だよ、去年より負けやしないさ・・・・・・心配性だね、あなたも・・・
・・・・・・ねえ、巨人はどうなってる?・・・・・・他の局で中継やってんだろ・・・・・・
・・・おい、ちょっと待ってくれ、何故巨人に小久保とローズがいるんだ?・・・・・・・犯罪だよ・・・そりゃ・・・
・・・・・・わかったよ、もういいよ・・・・・・それはそうと、今度はシウマイが食べたいね・・・・・・あったかい・・・・・・
・・・おい、参ったね、ギャラードが出そうだよ・・・
・・・えぐっ(涙)・・・
86 :
代打名無し:04/02/10 09:51 ID:ur44IY65
「ベースボール・ガールズ」
甲子園の娘はイカしてる。
ファッションだってご機嫌さ。
広島市民の女の子のスクワット、黄色い歓声、
うん、ノックダウンだね。
ナゴドの優しいショーガール、
ハートにぐっときちゃうのさ。
神宮のかわいいお姉さん、
君をうっとり暖めてくれる。
素敵な女の子がみんな、
ベースボール・ガールならね・・・・・・。
87 :
代打名無し:04/02/10 14:41 ID:HRH2KtZT
やれやれ
88 :
代打名無し:04/02/10 15:12 ID:RVOdwvvr
「本当は私あの球団に行きたくなかったの」とペタジーニは言って小さく首を振った。
「私はごく普通のセリーグの球団に入りたかったの。ごく普通の選手が行くごく普通
の球団に。そして楽しくのんびりとしたシーズンを過ごしたかったの。でも球団の方
針で年俸倍増認めてくれなかったのよ。ほら前シーズンのとき成績が良いと年俸上
がるでしょ?代理人がこの子の成績なら複数年もらえますよ、ってね。で、虚人選ん
だわけ。入団したけどどうしても好きになれなかったわ。一日も早くここを出て行きた
い、一日も早くここを出て行きたいって、そればかり考えて球場に通っていたの。ね
え、私って3割30本で外野までさせられたのよ。40試合も休んだのに。どうしてだかわかる?」
「わからない」と僕は言った。
89 :
代打名無し:04/02/10 17:53 ID:rfIsb0bk
みどり
90 :
代打名無し:04/02/10 17:57 ID:ur44IY65
7時15分に電話のベルが鳴った。
僕は居間の籐椅子に横になって、缶ビールを飲みながら
ひっきりなしにチーズ・クラッカーをつまんでいる最中だった。
「やあ、こんばんは。こちらヤマシタダイスケH・A・G・Eの『横浜キャンプ速報』
去年は横浜応援してくれてたかい?」
「ヤマシタダイスケ!?」
「そう、大ちゃん。プロ野球が産んだ・・・・・・えぐっ・・・・・・最良の監督さ。
堀内恒夫よりずっと明るいし、若松勉よりずっと大きく、星野仙一よりずっと安い。君は何してた?」
「TBSを見てました。」
「チッチッチッ、駄目だよ、そりゃ。スカパー入らなきゃ駄目さ。TBSを見たって腹が立つだけさ。そうだろ?」
「ええ。」
「TBSなんて局は僕たちがヤクルトと戦ってる間でも巨人戦流してるんだ。わかったかい?」
「ええ。」
「よーし、・・・・・・えぐっ・・・・・・これで話ができそうだね。
ねえ、涙の止まらなくなったプロ野球の監督と話したことがあるかい?」
「いいえ。」
「じゃあ、これが最初だ。ラジオ聴いてるみんなも初めてだよな。
ところで何故僕が放送中に君に電話してるか分かるかい?」
「いいえ。」
「実はね、君にサインをプレゼントした横浜の選手が・・・・・・えぐっ・・・・・・いるわけなんだ。
誰だか分かるかい?」
「いいえ。」
「テーマ曲はBOOWYの<B・BLUE>、なつかしい曲だね。どうだい、これで見当はついた?」
僕はしばらく考えてから、全然わからないと言った。
「ん・・・・・・、困ったね。もし当たれば君に特製のTシャツが送られることになってるんだ。思い出してくれよ。」
僕はもう一度考えてみた。今度はほんの少しであるけれど記憶の片隅に何かがひっかかっているのが感じられた。
91 :
代打名無し:04/02/10 18:00 ID:ur44IY65
「駆け抜ける・・・・・・スタジアム・・・・・・、どう思い出した?」
「そう言えば15年ばかり前に宣之湾の二軍選手にサインをもらったことがあるな。」
「どんな選手?」
「つきそいの母がナンパされて、そのついでにサインを書いてくれたんだ。」
「お母さんねえ、・・・・・・、ところでサインはちゃんと持ってる?」
「いや、失くしちゃったんです。」
「そりゃ不味いよ、もう一度もらってでも持ってた方がいい。
谷繁にサインねだっても・・・・・・えぐっ・・・・・・返ってくるのは舌打ちってね。分かるだろ?」
「はい。」
「よーし、15年前に宣之湾で彼のお母さんをナンパした選手、もちろん家の選手だね。
えーと、それで彼の名前は?」
僕はやっと思い出した名前を言った。
92 :
代打名無し:04/02/10 18:00 ID:ur44IY65
「正解。ねえ、彼がサインをもう一度書いてくれるそうだ。よかったね。・・・・・・ところで君は幾つ?」
「21です。」
「素敵な年だ。横浜ファン?」
「はい。」
「・・・・・・えぐっ・・・・・・」
「え?」
「パリーグはどこを応援してる?」
「日ハムです。」
「ほう・・・・・・小笠原は好き?」
「ええ。」
「どんなところが?」
「・・・・・・笑わないところかな。」
「ほう、小笠原は笑わない?」
「前田や伊良部は少しは笑います。」
「ほほう?どんな時に?」
「楽しい時。」
僕は何年かぶりに突然腹が立ち始めた。
「じゃあ・・・・・・えぐっ・・・・・・漫才野球なんてのがあってもいいわけだ。」
「あなたがそうかもしれない。」
「はっはっはっはっは。(涙)」
93 :
代打名無し:04/02/10 18:03 ID:ur44IY65
Tシャツは三日目の午後に郵便で送られてきた。こんなシャツだ。
――――――――――――――――――
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―――――― \
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No more \
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/| / ヽ |\ /
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| |:::::::::: (●) (●) | |
| |::::::::::::::::: \___/ | |
| ヽ:::::::::::::::::::. \/ ノ |
| |
| baseball |
| |
94 :
代打名無し:04/02/11 10:13 ID:9Djdawd9
大ちゃんTシャツage
95 :
代打名無し:04/02/11 10:48 ID:9Djdawd9
>>86 球場にいそうなイメージ
『男』
キズキ(ノルウェイの森)→甲子園
岡田亨(ねじまき鳥クロニクル)→ナゴヤドーム
永沢さん(ノルウェイの森)→東京ドーム
僕(三部作)→神宮
五反田君(ダンスダンスダンス)→広島市民
鼠(三部作)→横浜スタジアム
『女』
緑(ノルウェイの森)→甲子園
レイコさん(ノルウェイの森)→ナゴヤドーム
ハツミさん(ノルウェイの森)→東京ドーム
ミュウ(スプートニクの恋人)→神宮
ユキ(ダンスダンスダンス)→広島市民
キキ(羊をめぐる冒険、ダンスダンスダンス)→横浜スタジアム
96 :
代打名無し:04/02/11 11:39 ID:Bzm1S57Q
97 :
代打名無し:04/02/11 13:30 ID:9Djdawd9
−04年秋−
やあ、元気かい? こちらはヤマシタダイスケH・A・G・E、横浜ベイスターズアワー。
また土曜日の夜がやってきた。これからの2時間、素敵なスレをたっぷり紹介する。
ところでシーズンもそろそろおしまいだね。どうだい、良いシーズンだったかい?
今日はスレを張る前に、君たちからもらった一通の手紙を紹介する。読んでみる。こんな手紙だ。
「お元気ですか?毎週楽しみにこの番組を聴いています。
早いもので、この秋で入院生活ももう三年目ということになります。時の経つのは本当に早いもんです。
もちろんエア・コンディショナーのきいた病室の窓から賑やかな外の横浜スタジアムを眺めている私にとって
ペナントレースが終わることなんて何の意味もないのだけれど、それでもひとつのシーズンが去り、
野球のない季節が訪れるということは私にとってやはり寂しいものなのです。
私は17歳で、この三年間本も読めず、テレビを見ることもできず、散歩もできず、
・・・それどころかべッドに起き上がることも、寝返りを打つことさえできずに過ごしてきました。
この手紙は私にずっと付き添ってくれているお姉さんに書いてもらっています。
彼女は私を看病するために大学を止めました。もちろん私は彼女には本当に感謝しています。
私がこの三年間にベッドの上で学んだことは、どんなに惨めなことからでも人は何かを学べるし、
だからこそ少しずつでも生き続けることができるのだということです。
私の病気は脊椎の神経の病気なのだそうです。ひどく厄介な病気なのですが、
もちろん回復の可能性はあります。3%ばかりだけど・・・。
これはお医者様(素敵な人です)が教えてくれた同じような病気の回復例の数字です。
彼の説によると、この数字は横浜の投手がジャイアンツを相手に完封をやるよりは簡単だけど、
完投するよりは少しむずかしい程度のものなのだそうです。
98 :
代打名無し:04/02/11 13:31 ID:9Djdawd9
時々、もし駄目だったらと思うととても怖い。叫び出したくなるくらい怖いんです。
一生こんな風に石みたいにべッドに横になったまま天井を眺め、試合も見れず、球場に行くこともできず、
誰にも愛されることもなく、何十年もかけてここで年老いて、
そしてひっそりと死んでいくのかと思うと我慢できないほど悲しいのです。
夜中の3時頃に目が覚めると、時々自分の背骨が少しずつ溶けていく音が聞こえるような気がします。
そして実際そのとおりなのかもしれません。
嫌な話はもうやめます。そしてお姉さんが一日に何百回となく私に言いきかせてくれるように、
良いことだけを考えるよう努力してみます。それから夜はきちんと寝るようにします。
嫌なことは大抵真夜中に思いつくからです。
病院の窓からは横浜スタジアムが見えます。毎朝私はべッドから起き上って横浜スタジアムまで歩き、
横浜ベイスターズを元気いっぱいに応援できたら・・・と想像します。もし、たった一度でもいいから
そうすることができたとしたら、世の中が何故こんな風に成り立っているのかわかるかもしれない。
そんな気がします。そしてほんの少しでもそれが理解できたとしたら、
ベッドの上で一生を終えたとしても耐えることができるかもしれない。
さよなら。お元気で」
99 :
代打名無し:04/02/11 13:32 ID:9Djdawd9
名前は書いてない。
僕がこの手紙を受けとったのは昨日の3時過ぎだった。
僕は球場の控え室でコーヒーを飲みながらこれを読んで、
夕方試合が終ると観客席まで歩き、山の方を眺めてみたんだ。
君の病室から横浜スタジアムが見えるんなら、
観客席から君の病室も見える筈だものね。山の方には実にたくさんの灯りが見えた。
もちろんどの灯りが君の病室のものかはわからない。あるものは貧しい家の灯りだし、
あるものは大きな屋敷の灯りだ。あるものはホテルのだし、学校のもあれば、会社のもある。
実にいろんな人が横浜スタジアムを見ているんだ、と僕は思った。そんな風に感じたのは初めてだった。
そう思うとね、急に涙が出てきた。泣いたのは本当に久し振りだった。
でもね、いいかい、君に同情して泣いたわけじゃないんだ。
僕の言いたいのはこういうことなんだ。一度しか言わないからよく聞いておいてくれよ。
僕は・君たちが・好きだ。
あと10年も経って、横浜ベイスターズや横浜のスレや、
そして僕のことをまだ覚えていてくれたら、僕のいま言ったことも思い出してくれ。
彼女のリクエストを張る。
−横浜は名前で外国人を獲っている−
http://sports5.2ch.net/test/read.cgi/base/1067908471/l50 このスレが終ったらあと5試合、またいつもみたいな野球漫才師に戻る。
御清聴ありがとう。
先日ある編集者と会って話をしていたら、彼が横浜市内で見かけた奇妙な貼り紙のことを
教えてくれた。その貼り紙には「デニー求む」という文字と電話番号だけが書かれていたと
いうことである。
「なんですか、それ?」
「なんでしょうね?」
と彼も首をひねって言う。
「要するにデニーを求めてるから電話をくれってことなんだろうけど……わかんないですねえ」
「犬探しじゃないよね」
「ええ、犬なら種類とか特徴とか書いてあるもんです。やっぱり投手のデニーさんでしょう」
「それは横浜・ベイスターズのデニーなんだろうか、それともAAやメキシカン・リーグあ
たりで投げていそうな、友利ではない方のデニーなんだろうか?」
「さあ、わかんないなあ。まあ、とにかく、今度見かけたら電話番号メモしときますから、
直接連絡してみたらどうですか。何か良いことあるかもしれないし」
「良いことって、たとえばどんな?」
「いや、想像もつかないですけどねえ」
ということころで話が終わったきり彼とは会ってないし、電話番号もまだ教えてもらって
はいない。だからもちろん、いったい横浜市の誰がどんな目的で「デニー」を求めているの
かも依然として謎のままである。
いちばんイージーな推測は「デニー」という名を耳にしただけで体の芯がとろりと溶けた
ようになってしまう性欲過多の監督が横浜市にいて、夜な夜な「デニー」を求めて……とい
うものだけど、名前と性欲が本当にそれほど強固に結びつくものなのかどうか、僕には今ひ
とつ確信が持てない。
もうひとつの希望的推測は金持ちの某球団が、破格の交換条件と共にデニーを自軍に引き
取ろうとしているというものだが、現実にはそういうことはまずないだろう。アガサ・クリ
スティーの世界をべつにすれば、金持ちの某球団というのはあまり突飛なことはしないので
はないかという気がするからである。それよりはまだカート・ヴォガネットの『スラップス
ティック』風に、誰かが「デニー」拡大家族を求めているという可能性の方が大きいだろう。
全国のデニーさんが集まって花火を打ち上げたり、放火しまくったり、大量リードを逆転さ
れたりして親交を深めるわけである。しかしそういう集まりがはたしてどれほど楽しいもの
なのか、僕にはよくわからない。無類に楽しいか、どうしようもなく腹立たしいか、どちら
かだろう。
あるいは──と想像力がどんどん膨らんでいっちゃうのだけれど──これは重大な犯罪に
関係したことなのかもしれない。横浜市に住むある犯罪者がコナン・ドイルの『赤毛同盟』
を読んで『デニー同盟』というのを思いついたのかもしれない。横浜市内のデニーを一カ所
に集めてキャッチボールをさせ、そのあいだにトンネルを掘って山下監督を誘拐するつもり
なのだ。犯罪の方はともかく、ブルペンに横浜市内の「デニー」が何十人と集まって、みん
なでせっせと肩を作っている情景はほほえましくてなかなか悪くない。そういうところに前
述の性欲過多の監督が入ってきたりしたら、もう無茶苦茶なことになってしまいそうである。
こんな風に考え始めると、だんだん横浜市というところがアナーキーな場所に思えてくる。
クソスレになっちまったな
103 :
代打名無し:04/02/11 15:44 ID:O3/Hnicb
104 :
代打名無し:04/02/11 20:49 ID:B3cWb+AQ
今、僕は連覇を目指す阪神の2004ベストオーダーを語ろうと思う。
14今岡
28赤星
39濱中
47金本
55キンケード
63アリアス
76鳥谷
82矢野
91井川
やれやれ。。
いくらベストオーダーを並べてみたとしても、いくら鳥谷に期待を寄せてもはみても
巨人軍に本当に勝てるのか?という問題は何ひとつ解決してはいないし、
益々状況はひどくなるばかりだ。
結局のところ、阪神やあるいは鳥谷を応援することは自己療養の手段ではなく、
自己療養へのささやかな試みにしか過ぎないからだ。
これが巨人の2004のオーダーだ。
16二岡
24仁志
39高橋
48ローズ
57ペタジーニ
63清原
75小久保
82阿部
91上原
やれやれ。。もはや反則じゃないか、、
(\___/)
( ̄l▼  ̄)
/ ● ● |
| l ___\l
l▲ ( 。--。 )`\ 最後の一杯終わりました!
/■___ (( ̄))´> )
(___)  ̄/ (_/
|■ ▼/
| /\ \
| / )▼
∪ ( \
\_)
小久保がダイエーを去ったのにはもちろん幾つかの理由があった。その幾つかの
理由が複雑に絡み合ったままある程度に達した時、音をたててヒューズが飛んだ。
そしてあるものは残り、あるものははじき飛ばされ、あるものは死んだ。
ダイエーを去った理由は誰にも説明しなかった。きちんと説明するには五時間は
かかるだろう。それに、もし誰か一人に説明すれば他のみんなも聞きたがるかも
しれない。そのうちに世界中に向かって説明する羽目になるかもしれない、そう
考えただけで小久保は心の底からうんざりした。
「中内の髪型が気に入らなかったんだ。」どうしても何かしらの説明を加えない
わけにいかぬ折にはそう言った。実際に中内の髪型を確かめに行ったファンの
女の子までいた。それほど悪くはなかったわ、と彼女は言った。少しばかり禿げ
散らかってはいたけど・・・。好みの問題さ、と小久保は答えた。
「お互い好きになれなかったんだ。俺の方も中内の方もね。」幾らか気分の良い
時にはそうも言った。そしてそれだけを言ってしまうと彼は黙り込んだ。
「横浜で守備走塁を教えています」と彼は言った。「砂漠に水を撒くような仕事です」
巨人はなぜ今も補強をしつづけるのか
横浜はなぜ負けつづけるのか
彼らは知らないのだろうか
セ界がもう終ってしまったことを
"The End of the Central League"
>106 yoi
110 :
代打名無し:04/02/12 17:37 ID:mfQ074eq
112 :
代打名無し:04/02/14 12:57 ID:eKmPuHDu
hosyu
age
114 :
代打名無し:04/02/18 10:54 ID:AQUVzOO9
age
やれやれ
116 :
代打名無し:04/02/18 16:55 ID:75Ub8TXS
117 :
代打名無し:04/02/18 18:32 ID:sWO4gVp9
やれやれだぜ
118 :
代打名無し:04/02/18 18:37 ID:/8ul38x9
このスレを楽しむために春樹の小説全部読もうと
決意した今日この頃
もしあなたが最強を求めているのならば巨人の試合を観ればいい。
真の最強が生み出されるためには自由枠とFA制度が不可欠だからだ。
選手がクラブに通い、女子アナと結婚し、そしてその間にナベツネは自由枠で有望新人を
かき集め、FAの目玉を買い漁る。最強とはそういったものだ。
ドラフト下位で指名漏れ選手をあさるような監督には、それだけのチームしかつくることはできない。
そして、それが僕だ。
122 :
代打名無し:04/02/22 16:32 ID:AUlmTvMy
hosyu
良スレ。
何もやることがなかった.やるべきこともなければ,やりたいこともなかった.
僕は「ピッチャーデニー」と主審に告げるべくわざわざここまでやって来たのだ.
その根本命題のデニーが故障でいなくなってしまったわけだから,どうしようもなかった.
お手上げだ.
とにかく不思議な球団だった.
それは僕に生物進化の行き止まりのようなものを連想させた.
遺伝子的後退.間違えた方向に進んだまま後戻りできなくなった奇形生物.
進化のベクトルが消滅して,歴史の薄明の中にあてもなく立ちすくんでいる
孤児的生物.時の溺れ谷.
それは誰のせいでもない.誰が悪いというわけでもないし,
誰にそれが救えるというものでもない.
まずだいいちに彼らは山下を監督にすえるべきではなかったのだ.
あやまちはまずそこから始まっていた.第一歩から,すべてが間違っていた.
最初のボタンがかけ違えられ,それにあわせて全てが致命的に混乱していた.
混乱を正そうとする試みはあらたな細かい――洗練されているとは言えない,
ただ細かいだけだ――混乱を生み出した.
そしてその結果,何もかもが少しずつ歪んだように見えた.
そこにある何かをじっと見ようとすると,ごく自然に首が何度か傾いてしまうのだ.
そのような歪み.傾けるといってもほんの僅かの角度だから特に実害はないし,
べつに不自然さを感じるほどでもないし,ずっとそこにいればそれに馴れて
しまうのかもしれないが,やはりいささか気になる歪み(それにそんなものに馴れて
しまったら,今度はまともな世界を見る時に首を傾けることにもなりかねない).
横浜ベイスターズというのはそういう球団だった.
そしてそれがまともじゃないということは――その球団が混乱に混乱を重ねた末に
飽和点に達して,やがて遠からぬ将来にネタの供給源としての地位を
確立していくであろういうことは――誰が見たって一目瞭然だった.
哀しげな球団だった.
敵にリードを許した最終回の裏の攻撃,ランナーの盗塁死でゲームセットを
迎えてしまい,打席上で固まっていた種田みたいに悲しげだった.
もちろん哀しげな球団なんて世界には他にもいっぱいあるだろうが,
横浜ベイスターズはそういうのともまた少し違う.
横浜ベイスターズはもっと概念的に哀しげなのだ.だから余計に哀しい.
126 :
代打名無し:04/02/25 05:45 ID:rbuDeo78
いつもベンチにいる監督は哀しげな目をした中年の男で,髪が一本もなかった.
この男は見るからに,何をやってもまずうまく行かないというタイプだった.
そういうタイプのまさに標本みたいな男だった.
まるで,淡い青インクの溶液に一日漬けておいてから引っ張り上げたみたいに,
彼の存在の隅から隅までに失敗と敗退と挫折の影が染みついていた.
127 :
代打名無し:04/02/26 05:31 ID:rM3GDIf6
「もしよかったら,その,君の言った炎上にあって,
引退を決意したとかいう投手の話をしないか,そろそろ?」
「デニー」と僕はワイパーの向こう側を睨みながら言った。
「彼が炎上したんだ。バックスクリーンに3連打された。イースタンの巨人戦で,
カツノリをはじめとする下位打線にジャストミートされた。もう引退すると言っていた」
山下君はしばらくぼんやりとした目で僕を見ていた。
話を理解するのに三秒か四秒かかった。そして理解すると顔が歪んだ。
大きな地震で窓枠が歪むような歪み方だった。僕は彼の表情を何度かちらっと横目で眺めた。
彼は本当にショックを受けているようだった。
「その試合はいつ?」と彼は訊いた。僕は正確な日にちを教えた。
山下君は気持ちを整理するようにまたしばらく黙り込んだ。
「ひどい」と彼は言った。そして何度か首をふった。
「それはちょっとひどすぎる。デニーが打たれるイメージなんて僕には何も考えれない。
本当に良い救援投手だった。それに――」彼はまた何度か頭を振った。
「良い救援投手だったよ」と僕は言った。「お伽噺みたいに」
128 :
代打名無し:04/02/29 21:49 ID:4oHeySvI
yareyare
ユミナガさん!ユミナガさん!
「デニーをめぐる冒険」から半年経た2004年の春、激しく罵声の降りしきる
横浜の街から「僕」の新しい冒険が始まる。奇妙で複雑なダンス・ステップを
踏みながら、「僕」はその暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。現実と幻想、
生と死、沈黙と響き、虚無と豊饒。繋がれたものと、断ち切られたもの。それは
いったいどこに向かい、何を希求しているのか?
「禿の歌を聴け」「2003年のビーンボール」「デニーをめぐる冒険」の三部作で
2003年の横浜の遍歴を辿った村上春樹が、2004年を舞台に、その新たな価値を求めて、
闇と光の交錯を鮮やかに書き上げる最新作、書き下ろし。
読みたいよw
132 :
代打名無し:04/03/03 11:28 ID:dOAsfIYw
でも本人ってヤクルトファンじゃなかったっけ?
初優勝の時にそれを記念して詩集を出すほどのヤクルトファン
>133 ほんと?ねじめじゃなくて?
知らなかった。読んでみたい。
本人の野球小説きぼん
135 :
代打名無し:04/03/04 03:34 ID:WxJZyt+2
確か、所有PCの2台の名前をヤタロー、リョウタと命名してたw
エッセイ集かなんかに、一つだけ載ってたのは読んだ事がある。
『遠い昔、宇宙の彼方で
ヤクルトスワローズが優勝したっけ・・・。』
こんなやつだった。
(双眼鏡でグラウンドを眺めながら)
村上「でも、ヤクルトの土橋ってなんだか信用金庫の外回りみたいな顔してるじゃない。
あんな顔して野球やってるのって変だよ」
吉本「ムッ(土橋のファンなので悪口を言われるとムッとする)。
ふん、土橋くんはあんな顔でも人気あるんだよ。
私なんかもう、ずうっと昔から彼に目をつけてたんだから」
水丸「それはそうと、考えてみたら最近の巨人の選手ってあんまりいい顔したのいないよね。
たとえばさ・・・・・・(以下巨人ファンの逆鱗に触れそうなので略)」
村上「でも古田ってさ、なんか過疎地の村役場の戸籍係みたいじゃない。
あれスターって顔じゃないよな(まったく他人のことは何とでも言える)」
吉本「ムッ(吉本さんはもちろん古田のファンでもある)。そんなこと言ったってね、
古田くんだってちゃんと立派な綺麗な恋人がいるんだから」
水丸「そうそうあの子いい子だよね。彼女は僕の個展にも来てくれたことあるんだよ。
古田と婚約してからは来なくなったけど」
村上「水丸さんが変なことしたからじゃないですよね?」
水丸「するわけないじゃないか、そんなの」
とかなんとかしょうもないことを言っているうちに、九回の土壇場に
オリックスの小川に同点ホームランを打たれ、
十二回にはD・Jに決勝ホームランを浴びて、ヤクルトは負けてしまった。
(中略)
だいたい日本シリーズをこんな夜中にやるなんてとんでもない話である。
日本シリーズは誰がなんと言おうと、ぜったいに昼間やるものだ。おまけに試合は負けちゃうし。
吉本「ムッ。いいんだよ。明日はちゃんとしっかりブロスで勝つんだから、ふん」
村上「まあまあまあ。そうムキにならないで」
吉本「ムキになんかなってないわよ。ちゃんと普通よ(でも目がすわっているぜ)」
(中略)
でも今考えても、あの十七年前の日本シリーズは本当にスリリングで面白かったよな。
阪急のピッチャーも足立、山田、今井と相手に不足はなかった。
癪だけれど、松岡、安田、鈴木よりも格は上だった。チャック・マニエルが鉈を打ち込むみたいに、
外野席(後楽園球場だった)最上段にライナーで叩き込んだホームランも忘れられない一発だった。
そういえば、大杉のレフト線のホームランの判定を巡って、上田監督が涙の抗議一時間やった。
あれはたしかにファールだったかもしれない。
(中略)
なにはともあれ、やっぱり日本シリーズは昼間やるものですよね。
「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」ですね。
ほんとだよ、日本シリーズは昼間やるもんだよ。
>>139 学生?
村上みたいな自由業と違って、おいそれと仕事を休めない人間には
単なるノスタルジーにしか受け取れない。
社会人で日本シリーズはデーゲーム派だが。
仕事サボってまで見る価値のある日本シリーズって最近ないなと思う恭子のゴロ
142 :
139:04/03/05 20:02 ID:xWGKM/8l
社会人ですよ。
確かにノスタルジーかも知れないね。
教室にラジオ持ち込んで、途中経過をメモで廻してた世代なんで。
去年、寒空の中、震えながらシリーズ観戦して、
こんなの間違ってる!と思ったのも事実。
まあ、ドームだったら、どっちでもいいのだが。
かっこう
144 :
代打名無し:04/03/08 02:03 ID:yWbemGRM
保守age
145 :
代打名無し:04/03/10 21:49 ID:xwVMmNIi
age
146 :
代打名無し:04/03/10 22:35 ID:xfo/uV8+
ピース
147 :
代打名無し:04/03/12 01:14 ID:rhSziBTB
「どんな猫?」
「大柄な雄猫だよ。茶色の縞で、尻尾の先が少し曲がって折れている」
「名前は?」
「ダイスケ」と僕は答えた。「ヤマシタ・ダイスケ」
148 :
代打名無し:04/03/13 22:26 ID:iB6VsYou
「つまりね、平本と高井のちがいってなあに?」
「もう一度質問を繰り返してくれないか」
彼女は繰り返した。平本と高井の違いとはなにか?
「つまり君は、平本と高井の違いについて知りたくて、
電話をかけてきたんだ。日曜日の朝の、夜明け前の、うむ・・・」
「4時15分」と彼女はいった「気になってしかたなかったの。
さあこれから寝ようと服を脱いでいる時に。そして眠れなくなっちゃった。
あなたにはわかる?平本と高井のちがいが」
「たとえば」と僕は言って、天井を眺めた。すみれにものごとを論理的に説明するのは、
意識がまともなときにだって困難な作業なのだ。
「平本は大卒ドラフト1位の選手だ。それはわかるね?」
「なんとか」と彼女は言った。
「なんとかじゃない。ドラフトでそう選択されているんだ」
と、ぼくはできるだけ冷静な声で言った。
「異論や疑問はあるかもしれないけれど、それをひとつの事実として
受け入れてくれないと、話が前に進まない」
「わかった。受け入れればいいのね」
149 :
代打名無し:04/03/13 22:26 ID:iB6VsYou
「ありがとう。もう一度繰り返すけど、平本は大卒ドラフト1位の選手だ。
しかしそれは平本と大卒ドラフト1位とが等価であることを意味するのではない。わかる?」
「わからない」
「いいかい、つまり価値は一方通行なんだ、平本はヤクルトの大卒ドラフト1位であるけれど、
大卒ドラフト1位の価値はヤクルトの平本ではない。それはわかるね?」
「わかると思う」
「しかし、たとえばこれが、【平本は高校生のドラフト1位である】と
書いてあったとすれば、その二つは等価であるということになる。
つまり、我々が高井というとき、それはすなわち高校生のドラフト1位を意味するんだ。
さらにいえば、高井は成長可能ということになる。高井=高卒ドラフト1位ということは、
その年の大卒ドラフト1位<4年後の高井であると期待するのと同じなんだ。簡単にいえば、それが高井だ」
「ふうむ、なんとなくわかった。田中総司と吉本亮の違いね」
「ちがう」
それから僕は電話をガチャンと降ろし、平本と高井の行く末を考えた。
「ねえお客さん」と突然運転手が言った。『やくやくスポーツランド』っておもしろいと思います?」
「やくやくスポーツランド?」僕は呆然としてバックミラーの中の運転手の顔を眺めた。
運転手もバックミラーの中の僕の顔を眺めていた。
「やくやくスポーツランドって、あの横浜ファンの・・・?」
「そうです。おもしろいと思いますか?」
「やくみつる的なおもしろさとか、メタファーとしての大洋ホエールズとか、そういうんじゃなくて純粋なおもしろさ?」
「もちろん」と運転手は言ってから五十センチばかり車を前進させた。
「わからないな」と僕は言った。「わからないよ」
「わからないじゃこまるんですよ。おもしろいかおもしろくないか、どちらかにして下さいよ」
「おもしろくない」と僕は言った。
「やくやくスポーツランドはおもしろくないんですね」
「おもしろくない」
僕はポケットからタバコをひっぱり出して口にくわえ、火をつけないまま唇の上で転がした。
「がんばれタブチくんはどうです?おもしろい?」
「がんばれタブチくんはおもしろいような気がするな」
「気がするじゃなくて、イエスかノーで答えてくれませんか」
「イエス」と仕方なく僕は言った。「おもしろいよ」
「がんばれタブチくんはおもしろいんですね?」
「イエス」
「しかしやくやくスポーツランドはおもしろくない」
「おもしろくない」
「それではやくやくスポーツランドとがんばれタブチくんの違いとは一体なんですか?」
「がんばれタブチくんというのはつまり応援態度の勝敗執着に対するアンチ・テーゼだな」
と僕は口からでまかせを言った。そういうのはとても得意なのだ。
「ふうん」
「しかしやくやくスポーツランドというのは、四コマを軸にした選手批判だ」
「つまりアンチ・テーゼは認めるが、選手批判は認めない、と」
「ファンの愚痴を聞いてると、もうキリがないからさ」
「お客さん、インテリですね」
「ははは、大学に七年も通ったから」
運転手は前方に延々と続く車の列を眺めながら細い煙草を口にくわえてライターに火をつけた。
ハッカの匂いが車内に漂った。
「でもね、やくやくスポーツランドがおもしろかったらどうします?」
「参っちゃうだろうね」
「それだけですか?」
「いけないかな?」
「いけないですよ。四コマというのはもっと崇高なもんです。
東出はエラーすると思えばする。しないと思えばしない。」
なんだか大下剛史の解説みたいだ。
152 :
代打名無し:04/03/13 23:30 ID:2u5wQ1WE
永沢「一つ忠告していいかな?」
僕「いいですよ」
永沢「味噌を味噌と見抜ける人でないと野球板を使うのは難しい」
僕「覚えておきます」
153 :
代打名無し:04/03/13 23:34 ID:2u5wQ1WE
永沢「一つ忠告していいかな?」
僕「いいですよ」
永沢「味噌には何があっても同情するな。味噌に同情するのは下劣な奴がすることだ」
僕「覚えておきます」
僕は日本ハムの試合を見ながら眠りはじめていた。
それは一過性の、しかし非常に強固な眠りだった。
僕は眠気を追い払うためにTVを観ながら頭の中で「実松三振」とつづってみた。
SANEMATSU STRIKE OUT
簡単すぎて効果は無かった。
「日本ハムのベテラン選手(=experienced player)の名前をひとつ言ってみてくれないかな」
と僕は彼女の方を向いてそっと言った。彼女は日本ハムをこよなく愛していた。
「芝草宇宙」と彼女はTVから目を離さずに小さな声で言った。
SHIBAKUSA SORA と僕は頭の中でつづってみた。考えてみると奇妙な名前だ。
「他には」
「黙って観なさい」と彼女は言った。
「すごく眠いんだ」と僕は言った。
「あなたは岩本がロクに成績も残せないくせにくだらない冗談を垂れ流す
三流コメディアンだと思っているかもしれないけど」
と彼女は小さな声で話しはじめた。「昔はエースピッチャーだったのよ」
僕は彼女と日本ハムの試合を5回か6回観た事がある。そのうち2回は東京ドームまで観に行ったこともある。
でも僕は岩本のピッチングをろくに覚えていなかった。ただ単に長いイニングを投げていなかっただけのことなのだ。
「ふうん」と僕は言った。
彼女はそこではじめてTVから目を離しじっと僕の顔をみつめた。
「本当よ。あなたは信じないかもしれないけど」
「信じてるよ」と僕は言った。「ただ今は眠いだけなんだって」
「本当のことをいうと、日本ハムの試合を観るたびに眠くなるんだよ」と僕は正直に告白した。
「いつもいつも、きまってそうなんだ」
「それって何かの条件反射かしら?」「見当もつかないな」「きっと条件反射よ」
「そう言えばいつも変な夢を見るんだ」と僕は冗談を言ってみた。
「近鉄と一緒に消化試合をする夢なんだ。僕のチームはピッチャーが悪いんだ。
投手陣がヒゲ面の日本人と馬鹿でかい外国人で奪ったリードを無理やり食い尽くしていくんだ。
試合が終わってから三塁手はベンチ裏で・・・」
「黙りなさい」と彼女はぴしゃりと言った。僕は黙った。
YB以外のネタ(・∀・)イイ!
古田はコーヒーを一口飲んで顔をしかめた。それから記者の顔を見た。
「そうですか。いや、話せというならそれはもちろんお話しますけどね.。
そんなに格別面白い話でもないですよ、これは。
実を言いますと、野村監督に一蓮托生でどこまでもついていこう
というような気持ちはですね、私にはそもそもの最初からなかったんです。
前にも言いましたように、89年のドラフトはいろいろありますが
結局はドラフト指名会議なんてのは、レギュラーのポストと裏金つきでの選手獲得ですから、
わたしもそれの「込み」で阪神からヤクルトへ乗り移りました。
それは悪い選択じゃありませんでしたね。客観的に見れば負け犬根性が染み付いた
阪神にいくよりはヤクルトにいくほうがよっぽど将来性があるように見えました。
わたしはヤクルトって言う球団はこのままうまく行けばセリーグの中で優勝争いできる
くらいにはなれるだろうと思ってましたよ。
でもね。それにもかかわらず、「野村監督とならばどこまでも」っていう気持ちは――
まぁ忠誠心といってもいいんでしょうかね――何故かわたしにはまるで持てなかったんですね。
このわたしにだってですね。変な話かもしれませんが、忠誠心というようのものはなくなないんです。
わたしはプロに入る前は、大学で指名が来なかったり、
阪神の入団テストでメガネをかけているという理由で落とされたり、
もうへそのゴミ、耳クソ同然に扱われてきました。
それに比べたら前の野村政権なんかすでに万年Bクラスを経験しているチームの
育成政策もあってずいぶん親切だったんですよ。
でもね、記者さん。世の中というのは変なもので、わたしは若松にはいちおう黙って
へいへいとどこまでもついていってるし、野村にはそれがちょいとできなかった。
どうしてだかわかりますかね?」
記者は首を振った。
「それは結局のところ、こういっちゃミもフタもありませんが、この捕手の
わたしと野村監督が、ポジションということでは根本で似ているからだと思うんです。
それがわたしには一目みたときから、ひなたで雨傘広げるみたいにぱっとわかりました。
おいおい、この男は一応インテリの人格者面はしているけど、
本当はとんでもないくわせものだぞ、ろくでもない野郎だぞって。」
いやね、なにもくわせものだからいけないっていうんじゃないですよ。
プロ野球の世界っていうのはね、あなた、一種の錬金術です。
わたしはあられもない露骨なポジション確保への下品な欲望が
実に立派な成績を生み出す例をいくつも見てきました。
またその逆の例をいくつも見てきました。
つまり高潔な精神――正々堂々――みたいなものが競争意識を甘くし
『一軍出場なしで戦力外通告』といったような腐り果てた結果を生み出すのも見てきました。
正直に言ってだからどっちがいいというようなものでもないんです。
プロ野球の世界というのはですね、ああだこうだという理屈じゃなくて出てきた結果がすべてなんです。
大型ルーキーといいながら、新人王どころか入団してみれば名前まで抹殺されてしまった、
慶応大森・九共山村・かっての甲子園スター川口でさえ、結果で判断されるもんなんです。
しかし、この野村監督って人は、こう言ってはなんだがわたしの目から見てさえ
とびっきりのとんでもない方でしてね。あの人の前に出ると、
私の下司なビーンボールリードなんてものはちっぽけな猿みたいに見えた。
ルーキーへの「野球=人生論」ミーティングの嫌らしさ、
「エリートだから苦労させなあかん」「打たれたのは捕手の責任」
といった学歴コンプレックスと責任回避の姿勢。これは勝てっこないと思いましたね。
そういうのは同類には一目でわかるんです。下品な言い方ですみませんがね、
ちんぽの大きさと同じです。大きい奴は大きいんです。わかりますか?」
160 :
代打名無し:04/03/15 20:48 ID:UGYxU0Mf
「最近のパリーグの選手はみんな礼儀正しくなったんだ」と
東尾は島本さんに説明した。
「僕が選手の頃はこんなじゃなかった。パリーグの選手といえば、
外国人はクスリをやっていて、選手の半分くらいが性格破綻者だった。
でもときどきひっくりかえるくらい凄いプレーが見れた。
僕は大阪の藤井寺に行って近鉄戦で投げていた。
そのひっくりかえるような経験を求めてだよ」
「そういう選手たちが好きなのね、東尾くんは」
「たぶんね」と東尾は言った。
「まずまずの素晴らしいものを求めてパリーグにのめり込む人間はいない。
九の外れがあっても、一の至高体験を求めてファンはパリーグに向かって行くんだ。
そしてそれがパリーグを動かしていくんだ。それが芸術というものじゃないかと僕は思う」
東尾は膝の上にある自分の両手をまたじっと眺めた。
それから顔を上げて島本さんを見た。島本さんは東尾の話の続きを待っていた。
「でも今は少し違う。今ではパリーグは経営重視だからね。
球団がやっているのは資本を投下して回収することだよ。
職員は芸術家でもないし、何かを創り出しているわけでもない。
そして球団社長はここでべつに芸術を支援しているわけではないんだ。
好むと好まざるとにかかわらず、この場所ではそういうものは求められていないんだ。
経営している方にとっては礼儀正しくてこぎれいな連中の方がずっと扱いやすい。
それもそれでまた仕方ないだろう。
世界じゅうが江夏豊で満ちていなくてはならないというわけじゃないんだ」
こんなスレがあったのか。
大ちゃんの風の歌を聴けシリーズハゲわろた。
>160は地味に名作。。
「・・・岩本勉について、私が何を調べればいいの?」
「ぜんぶ」と私は言った。
「とても急いでるし、とても大事な事なんだ」
「ふうん」と彼女は言った。「どの程度大事な事なの?」
「優勝にかかわることなんだ」と私は言った。
「ゆうしょう?」と彼女は繰りかえした。さすがに少しは驚いたみたいだった。
たぶん私のことを純粋な岩本ファンか
岩本ファンに見える純粋な人間のどちらかだと思っているのだろうと私は推測した。
私はどちらかと言えば後の方を選んでくれることを祈った。
そうすれば少しは私に対して人間的な興味を抱いてくれるかもしれない。
しばらく無音の振子のような沈黙が続いた。
「ゆうしょうって、23年も前にしたあの優勝のことでしょう?」
「23年かかる優勝もあるし、2年しかかからない優勝もあるんだよ。
でも信じてほしいんだけど、これは日本ハムにとって大事な事なんだ。」
「ねえ、私があなたのことをどう考えているかわかる?」
「優勝を諦めて現実逃避へ移行した末期的ファンか
『まいど!』が聴きたいだけの岩本のギャグフェチ、
どちらか決めかねているんじゃないかな?」
「だいたいあたっているわね」と彼女は言った。
「自分で言うのもなんだけど、優勝を諦めてはないよ」と私は言った。
「岩本のギャグフェチでもないし、ギャグですらない。
岩本に関しては、期待を裏切りつづけられて、諦めを通り越して憎くさえあった。」
「ふうん」と彼女は言った。
164 :
代打名無し:04/03/18 23:00 ID:zj2AEgun
age
165 :
代打名無し:04/03/18 23:22 ID:HZ2L/N6i
永沢先輩「ときどき俺はアンチ巨人を見回して本当にうんざりするんだ。どうしてこいつら努力という
ことをしないんだろう。努力もせずに巨人の悪口・不平ばかり言うんだろうってね」
僕はあきれて永沢さんの顔をながめた「僕の目から見れば2chのアンチ巨人ファンはずいぶんあくせく身を
粉にして巨人叩きをしているような印象を受けるのですが僕の見方は間違っているのでしょうか」
永沢先輩「あれは努力じゃなくてただのひがみだ」と永沢さんは簡単に言った。
休載
167 :
代打名無し:04/03/24 20:23 ID:ksti4ohT
春樹あげ
しかしなかなか名スレだな。
169 :
代打名無し:04/03/25 12:45 ID:FCQOUyo/
本人降臨きぼんぬ。
本人はヤクルトのファンなんだよな。
小説を書くきっかけも神宮球場で野球見てたらぼんやりと「小説を書こう」って思ったからだとか。
不正確&うろ覚えスマソ
捕手
でもセ開幕後は糞スレ乱立で
守れ無そうだなこのスレ
173 :
代打名無し:04/03/30 14:26 ID:+w/6B5lD
キキ!
174 :
代打名無し:04/03/30 14:29 ID:+w/6B5lD
存亡の
175 :
代打名無し:04/03/30 14:30 ID:+w/6B5lD
キキ!
.
age
凄い良スレだと思えるんだが、なんとなくsage
179 :
代打名無し:04/04/03 17:20 ID:IGk0oD4s
hojyuu
180 :
代打名無し:04/04/03 17:25 ID:cjWUP4IR
永沢先輩もっともっと
181 :
h.:04/04/03 17:48 ID:4ml0WSHu
ごめん、開幕しちゃったからこっちにネタ書く暇がない、_| ̄|○
184 :
代打名無し:04/04/05 01:43 ID:NMFm9D4N
「予定が変更された」と聞き覚えのある声が言った。「史上最強打線の具合が急に悪く
なったんだ。だから巨人のマジック点灯も繰り下げられる」
「どれくらい」
「三ヶ月。それまでは打てない。三ヶ月たって史上最強打線が打てなければ、
巨人はおしまいだ。俺が戻るべき場所はもうどこにもない」
三ヶ月、と僕は頭の中で考えてみた。しかし僕の頭の中では時間の観念が取り返し
のつかないくらい混乱していた。三ヶ月でも四ヶ月でもたいした違いがないように思
えた。そもそも打線が好調になるのに一般的にどれくらいの時間がかかるかという
基準がないのだから仕方がない。
「よく4番バッターばかり集めましたね」と僕は言ってみた。
「我々には大抵の選手は集めれる」と堀内は言った。
「投手陣以外はね」と僕は言った。
「そういうことだ」と堀内は言った。
185 :
代打名無し:04/04/05 12:57 ID:NhkiqYaY
「史上最強打線て言うほど凄くないのね」テレビのスイッチを切りながら彼女が呟いた。
「そうかも知れない」
「何でこれを史上最強なんて呼ぶの?誇大広告だわ」
「よくあることだよ」
「例えば?」
僕は眠い目をこすりながら答えた。
「大ちゃんス打線」
「ふぅん。野球って誇大広告だらけなのね」
「やれやれ」
彼女は何も分かっていない。プロ野球なんてそんなもんだ。
捕手
188 :
代打名無し:04/04/06 23:26 ID:2UU4zvQt
スリークォーターのデニーは列のずっと後方で僕を待っていた。
彼は派手なメーキャップの仲間達にはさまれて、ひどく物静かに見えた。
森の奥で平たい石に座って僕を待っていたようだった。
僕は彼の前に立ち、その懐かしい茶髪を眺めた。
深いダーク・ブラウンの宇宙、インクをこぼしたような茶だ。
そして大きな白い手。
ストレート、スライダー、シンカー・・目前には純白の白星が待っている。
客席のファンには笑顔が灯り、その様子はまるで一家団欒のひとときのようにも見える。
フィールドも去年のままだった。同じダーク・ブラウン。ベースはほほえみからこぼれる歯のように真白だ。
星の形に積み上げられたレモン・イエローの六機のカクテル光線がゆっくりと光を照射させている。
二つのベースには清水と小久保、サードランナーは仁志・・・、すべては静寂にみちていた。
デニー、と僕は言った。・・・いや言わなかったのかもしれない。
とにかく僕は審判のプロテクターの板に手を載せた。審判は氷のように冷ややかであり、僕の手の温もりは白くくもった十本の指のあとをそこに残した。
デニーはやっと目覚めたかのように僕に微笑む。懐かしい微笑だった。僕も微笑む。
189 :
代打名無し:04/04/09 10:37 ID:xHOT0vum
mosyu
190 :
代打名無し:04/04/11 12:30 ID:PEm8Uv5E
191 :
代打名無し:04/04/13 00:58 ID:STciC4+I
あげ
村上春樹ってこんなに面白いの?
今度一冊買ってみよう。
「私、生理が近いのよ。だからイライラしてるんだと思う」
「知ってるよ」と僕は言った。
「でも気にすることはない。そういうのに作用されるのは君だけじゃない。
河原だって登板のたびにいっぱい失点するんだ」
彼女はビール瓶から手を離し、口を開けて僕の顔を見た。
「何、それ? どうしてここで急に河原の話が出てくるの?」
「このあいだ新聞で読んだんだ。ずっと君に話そうと思って、話し忘れていた。
どこかのスポーツライターが言ってたんだけどさ、河原という選手は肉体的にも精神的にも
ゲームの点差に大きく影響される選手なんだ。チームの勝利が近づくにつれて、
河原のコントロールはものすごく乱れるし、肉体的にもいろんなトラブルが出てくるんだ。
9回のセーブがつく場面になるとたくさん失点するし、非本塁打率も圧倒的に増える。
どうしてそうなるのか正確な原因は誰にもわからない。でも試合結果を見るとちゃんとそうなっているんだ。
巨人を専門にしてるスポーツライターは、河原登板の日には忙しくて眠る暇もないくらいなんだそうだよ」
「ふうん」と妻は言った。
「でも河原よりまだ悪いのがカラスコなんだ。
カラスコが出た日には近鉄の置かれた状況はもっと悲劇的なものになる。
勝利がかかった場面のカラスコがどれくらい失点するか、君にはきっと想像もつかないと思う。
とにかく、僕が言いたいのは、こうしている今もカラスコがばたばたとチームの勝ちを消しているということだよ。
それに比べたら、君が誰かに当るくらいたいしたことじゃないじゃないか。
そんなこと別に気にしなくていいんだ。逆転負けする近鉄のことを想像してごらんよ。
サヨナラ満塁弾を打たれた後に西武ドームの芝の上に立ち尽くして、口から白い泡を吹きながら、
苦悶に喘いでいる中村紀のことを考えてみなよ」
彼女は西武ドームで失点するカラスコについてしばらく考えているようだった。
「あなたには確かに不思議な説得力があるわね」と彼女はあきらめたように言った。
「それは認めざるをえないわ」
「じゃあ着替えて、外にピザを食べに行こう」と僕は言った。
「さて」と堀内はホクロを触りながら言った。「そろそろ次に獲得する選手を決めなくちゃね」
「次に獲得する選手についてはイメージができてるの」と渡辺は言った。
「どんな?」
「とにかく選手の名前を順番に読みあげてみて」
堀内は不細工な江藤に頼んで選手名鑑を持ってきてもらい、「インデックス」というページを片端から読みあげていった。
250ばかりつづけて読みあげたところで堀内がストップをかけた。
「それがいいわ」
「それ?」
「今最後に読んだ選手よ」
「カツノリ」と僕は読んだ。
「どういう意味」
、 、
「野村克則」
「それを獲ることにするわ」
「聞いたことがないな」
「でもそれ以外に獲るべき選手はないような気がするの」
、 、
僕は礼を言って名鑑を江藤に返し、野村克則に電話をかけてみた。やたらハキハキした声の男が電話に出て、
打率二割とホームラン一本くらいなら打てると言った。打率二割とホームラン一本以外にはどんな事が出来るのか、と僕は念のため訊ねてみた。
打率二割とホームラン一本以外にはもともと何も出来なかった。少し頭が混乱したがともかくそれで契約し、年俸を訊ねてみた。
年俸は堀内が予想していたのとたいして変わらなかった。
>>195
激ワロタ
デニーが打たれ出したあとも、上弦の月はいつまでも僕の頭上にあった。
デニーがカーブを待たれるごとに、ツキは消えたり現れたりした。
僕はそのツキを眺め、ツキが見えなくなると、球場の外を過ぎていく
いくつかの小さな電車の明かりを眺めた。
一人で電車に乗って山の中のぺンションに戻っていく、青い毛糸の帽子をかぶった
C.W.ニコルの姿を思い浮かべ、そしてどこかの草陰で眠ってるファンの松山千春の姿を思い浮かべた。
それから僕は、これから自分が指揮していく世界のことを考えた。
「さよなら、ヤマシタコーポレーション」と僕は言った。
さよなら、C.W.ニコル、僕は君が自然にしっかりと守られることを祈っている。
僕は眼を閉じて忘れようとした。
でも本当に忘れることができたのはずっとあとになってからだった。
どこからも誰からも遠い場所で、僕は静かに束の間眠りに落ちた。
「やました大輔クロニクル」 完
198 :
代打名無し:04/04/16 12:06 ID:Gv+Jw5m8
良スレなんだけどなあ…age
199 :
ダンス ダンス ダンス:04/04/17 12:47 ID:P6wsmY3B
「あなたいい人だったわ」とユキが言った。
ど・う・し・て・過・去・形なんだ、とカツノリは思った。
「あのペタジーニを献上することにするわ」と若松は言った。
まるで夕食のおかずを告げるときのようなあっさりとしたしゃべり方だった。
「ペタジーニは物じゃない」と古田は指摘した。
「物みたいなものよ」と若松は言って、車の中に戻った。
「献上と言うものもある場合には必要なのよ。とにかくペタジーニの所に行って」
古田はあきらめて車を二百メートル前に進め、ペタジーニの駐車場に入れた。
駐車場には赤いぴかぴかのブルーバードが一台停まってるだけだった。
若松は毛布に来るんだ現金を古田にさしだした。
「そんなもの使ったこともないし、使いたくもないよ」と古田は抗議した。
「使う必要はないわ。持っているだけでいいのよ。オルガも抵抗しやしないから」と若松は言った。
「いい?私の言うとおりにするのよ。まず二人で堂々と家の中に入っていくの。そしてオルガが『ようこそオルガ邸へ』と言ったらそれを合図にさっと『ジャイアンツ』て言うのよ。わかった?」
「それはわかったけど、でも・・・」
「そしてあなたはオルガに現金をつきつけて、全部の家族とお手伝いを1ケ所に集めさせるの。それを素早くやるの。あとは私がうまくやるから任せておいて」
「しかし・・・」
「現金はいくらくらい必要だと思う?」と若松は古田に聞いた。「二十億もあればいいかしら?」
「たぶん」と僕は言った。そしてため息をついて現金を受けとり、毛布を少しめくってみた。
現金は砂袋のように重く、新入社員のスーツようにパリッとしていた。
「本当にこうすることが必要なのかな?」と古田は言った。
それは半分は球団に向けられた質問であり、半分は野球会全体に向けられた質問だった。
「もちろんよ」と若松は言った。
age
でもとにかく、何か喋ろう。自分について何か喋ることから全てが始まる。
それがまず第一歩なのだ。正しいか正しくないかは、あとでまた判断すればいい。
僕自身が判断してもいいし、別の誰かが判断してもいい。
いずれにせよ、今は語るべき時なのだ。
そして僕も語ることを覚えなくてはいけない。
僕は今ではギャラードが好きだ。
いつからかはわからないが、いつの間にか自然に好きになった。
気に入っていたデニーは僕が歴史的最下位に経った年に兎に打たれて肺炎で死んだ。
それ以来デニーは一回も使っていない。万永は今でも好きだ。
終わり。
でも試合はそんなに簡単には終わらない。
ファンが何かを試合に求める時(求めないファンがいるのだろうか?)、
ファンはもっと多くのネタを僕に要求する。
明確なAAを描くための、より多くのネタが要求される。
そうしないことには、何のレスも出てこない。
データフソクノタメ、カイトウフカノウ。アタマヲミガイテクダサイ。
頭を磨く。反射がきつくなる。
球場中の人間が僕に物を投げはじめる。もっと喋れ。ネタをつくれ、と。
オーナーは眉をしかめている。僕は言葉を失って、フィールドの上に立ちすくんでいる。
喋ろう。
そうしないことには、何も始まらない。それもできるだけ長く。
正しいか正しくないかはあとでまた考えればいい。
203 :
代打名無し:04/04/18 00:31 ID:yasEDMHw
よく史上最強打線の夢を見る。
夢の中で僕はそこに含まれている。つまり、ある種の継続的状況として僕はそこに含まれてい
る。夢は明らかにそういう継続性を提示している。夢の中では史上最強打線の形は歪められて
いる。とても細長いのだ。あまりに細長いので、それは打線というよりは屋根のついた長い球場みた
いにみえる。その球場は太古から宇宙の終局まで細長く延びている。そして僕はそこに含まれている。
そこでは誰かが涙を流している。僕の為に涙を流しているのだ。
打線そのものが僕を含んでいる。僕はその鼓動や温もりをはっきりと感じることができる。僕は、
夢の中では、その打線の一部である。
そういう夢だ。
目が覚める。ここはどこだ?
やれやれ。ここはニューヨークだ。
204 :
1を読まずにカキコ:04/04/18 12:10 ID:kIJVPuQ+
やれやれ
僕は36歳になり、佐野は37歳になった。ちょっとした歳だ。
「近鉄バファローズ」はイメージの改革の際にドームに移り、すっかり小奇麗なチームになってしまった。
とはいっても吉井は相変わらず毎日打たれているし、吉井ファンも昔の方が良かったね
とブツブツ文句を言いながらもビールを飲み続けている。
僕は成功して、ロスで暮らしている。
僕と妻はnomoベースボールクラブの試合があるたびに日本に行き、
帰りにはフェニックス通りでビールを二本づつ飲み、鳩にポップコーンをまいてやる。
クラブの選手の中では僕は「樋口新緑」が気に入っているし、
彼女は「染谷健一」が最高だと言う。
クラブ以外の選手では、僕は「ラルフ・ブライアント」が好きだし、
彼女は「秋山幸二」が好きだ。
長く暮らしていると趣味でさえ似てくるのかもしれない。
幸せか?と聞かれれば、だろうね、と答えるしかない。
夢とは結局そういったものだからだ。
佐野はまだ嫁を探し続けている。彼はその幾つかの見合い写真を毎年クリスマスに送ってくれる。
昨年のは大阪ドームに勤めるウグイス嬢で、一昨年のは「ジュディー&マリー」
を下敷きにしたバンドガールだった。
あい変わらず彼の見合いには成功はなく、当事者は誰も傷付かない。
見合い写真の一枚目にはいつも、
「コンカイモ、フセイコウナリ
そして
オマエモ、モテナクナッタライインヤ」
と書かれている。僕には女の子のファンがいるからだ。
脳のシワが4本しかない草魂に、僕は二度と会えなかった。
僕がオフに大阪に帰った時、彼はバファローズをやめ、マンションも引き払っていた。
そして人の洪水と監督史の流れの中に跡も残さず消え去っていた。
僕は冬になって藤井寺に戻ると、いつもチームメイトと歩いた同じ道を歩き、
客席の上段に腰を下ろして一人で天王綾を眺める。
泣きたいと思う時にはきまって涙が出てこない。そういうものだ。
「16与四球の完投勝利」のビデオは、まだ僕のビデオ棚にある。
夏になるたびに僕はそれを引っ張り出して何度も観る。
そして西武球場のデイゲームことを考えながらビールを飲む。
ビデオ棚の隣には机があり、その上には乾いてミイラのようになった長谷川の髪の毛がぶらさがっている。
佐野が嫉妬から引っこ抜いた髪の毛だ。
アメリカを去った入伊良部の写真は引越に紛れて失くしてしまった。
バファローズは久し振りに新しいエースを出した。
パ・リーグの野球がもっと、
オールド・スタイルならね・・・・。
>>206、207
正直イマイチ。
春樹の風情が感じられない。