〜アサヒ芸能9/25号デーブ大久保おもいっきり生直撃S「井川慶」編より〜
やっぱり持つべきは出来のいい後輩だよねぇ。オレの後輩の井川、水戸商出身の
あいつには先輩のオレさえも頭が下がった。8月半ばだった。プロゴルフトーナメントの
「札幌オープン」に出場した際にオレは、うっかりチャリティに出す品物を忘れて
しまった。それで慌てたオレは、気がついたらケータイで井川に助けを求めていた。
こんな調子。
大久保「井川、オレは今、札幌にいるんだ」
井川 「・・・札幌ですか?」
大久保「おお。で、申し訳ないけど、チャリティに出すものを忘れた。井川、
グラブを一個でいい。出してくれないか?頼む。」
井川 「あのう、今、遠征中で地方にいるんですが・・・」
大久保「そうか。でも、大阪に帰ってからでいいんだ。」
井川 「わかりました。じゃあ、大阪に戻ったら、すぐに送ります。」
で、その日の深夜、井川から連絡が入った。
井川 「先輩、例のグラブの件ですが、どこに送ればいいんですか?
住所を教えてください」
大久保「井川、お前ってヤツは・・・。本当にいいヤツだなあ。感謝するよ。」
井川 「いやあ、そんなことを先輩に言われても困ります。」
ホント、井川は先輩のオレの面目を保ってくれた。正直言って、投手って余分な
グラブってないんだよね。なのに井川は、いやな顔を一切せずにグラブをチャリティ
に提供してくれた。ありがたいよねぇ。
オレ、今では反省してるけど、3年ほど前までは井川を小バカにしていた。下戸の井川を
押さえ込んで酒を無理やり飲ませる一方、一流選手になるにはソープ通いをせよ、なんてね。
調子よく説教したりしていた。もちろん頭のいい井川はオレの挑発には乗らなかった。
2年ほど前に井川から直接聞いたけど、あいつは親思いの孝行息子だった。遊ばずにせっせと
貯金していたのも、親に車や家を建ててやるためだったのよ。要するに井川は、自分だけの
ために野球をやっているのではない。今どき、井川のような若者いる?
実は、水戸市の郊外、大洗町にあるオレの実家と井川の実家は、200mも離れていない。だから、
実家にいるオレのオフクロなんか言ってくるのよ。
「博元、井川の実家は新築しているけど、大久保家はいつ建て替えてくれるんだ。カアチャンは
楽しみにしてっぺ。」なんて。参ったよねぇ。
ま、それはともかく、今シーズンの活躍で井川は、セリーグを代表する左腕エースになった。
大久保「井川、お前は毎シーズン、進化しているよな。昨シーズンよりも負け試合も少ないうえ、
勝ち数が多い。」
井川 「はい。去年よりも勝ち星が上回りましたから満足しています。野手全員が援護してくれた
結果です。」
大久保「相変わらず謙虚だなぁ。その謙虚さでタイトル奪取だ。狙えよ!」
井川 「はい。ケガに気をつけて、最後まで先輩に心配をかけないように頑張ります。」
最多勝と防御率のタイトルを獲ってくれ!
頼んだぞ、井川!!(終)
お願いなんで井川の邪魔をしないでください。