球界任侠小説 「不眠城」 Part3

<<緋鯉会長･山本浩二宅>>
会長宅に続々運び込まれる御歳暮。
｢さて､今年も全員分集まったし､開けてくか。｣お歳暮の山を眺める山本。
｢まずはタクからだな。えーと､銃弾１０ダース詰め合わせ。なるほど。手堅いな。｣
膨大な数の御歳暮が続々開けられていく。
｢前田…新型銃の自作設計図。東出…新井中華飯店秘伝のスープ。町田…釣竿､リール､針等釣り道具セット一式。｣
品目を呟きながら物凄い速度で処理していく山本。
｢さて､問題はこいつだな…。｣
苦い顔をする山本の前に横たわる『会員番号14』と『会員番号4１』の札が付いた包み。
｢澤崎…今年はトラック一杯じゃ無いようだが…。何々？『ガンダムDVD全集』。今年もガンダムグッズか…。｣
ちなみに去年はガンプラ特別1００選。
｢森笠…特選ギャルゲー１００本…これを…どうしろと？。｣愕然とする山本。
｢仕方あるまい。次だ。佐々岡…世界の名銃セットvol.3。横山…巨乳モノAV１０本（泣）。新井…新井中華飯店秘伝の麺。
　西山…日本各地のアンパン詰め合わせ。栗原…焼肉用の肉詰め合わせ。｣
勢い任せに現会員の御歳暮を全て処理する山本。
｢今年で退会した香具師のもあるな。えーと､ディアス…牛肉ステーキ用(サーロイン)１０枚。…これは金本のか。｣
瓶詰の見覚えのある茶色い粉末を手にとる山本。
｢手紙が添えてあるな。｣
〜山本浩二殿〜
この度は自由会員宣言権を行使しまして猛虎会への移籍となったわけではありますが､
今まで緋鯉会にお世話になった気持ちを込めまして､特製腐肉骨粉１キログラムを送りたいと思います。
移籍金のつもりで受け取ってください。なお､この品は私の実体験を元にして創られておりますので、
従来の腐肉骨粉(東出が創ったモノ)より強力な毒性を持ちます。十分注意して扱ってください。
〜追伸〜
この粉末の製造はもう致しません。猛虎会員にも製造法は極秘にしています。最後の恩返しだと思ってください。
移籍しても､私は広島人です。

｢……金本…。｣
豪快に泣く山本。