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9/10の朝日朝刊より:
王監督と個人タイトルについて話をしたことがある。ペナントレース終盤、相手チームの
ライバルを敬遠することの是非についてだ。
「タイトルというのは積み重ねなんだ。最後の1試合だけがクローズアップされたり
するけど、それまでに勝負をつけておけばいいんだよ」
三冠王を2回、首位打者5回、本塁打王15回、打点王13回を獲得した男らしい答えだった。
打者・王にはタイトル争いがもつれる前に決着をつける自信があった。敬遠され続けながら
タイトルを手にしてきた彼の誇りだ。(中略)
昨年、ローズが56号本塁打のプロ野球新記録に挑んだダイエー最終戦。ダイエーは
勝負を避けた。王監督がそれを指示したとは思わない。しかし、投手は明らかに逃げていた。
85年、阪神のバースは54本塁打を放った後の巨人戦で、やはり勝負をしてもらえなかった。
「はっきり指示はなかったです。でも、ベンチに王監督がいるんです。勝負できる
雰囲気ではなかった」。後に巨人の投手に聞いた。
恐らく王監督の胸のうちにあるのは、自分の記録のことではない。打たれた投手が
屈辱的な記録に名を残すことを避けたい、という思いがあったのだろう。だから、
「勝負しろ」とはっきり言えなかった。
ペナントレースの興味が薄れつつある季節、ファンはタイトルや記録に関心を移す。
西武−ダイエー戦はまだ6試合を残し、10月までカードが組まれている。
カブレラとの勝負を、今季こそ、最後まで見たい。