7月20日
<緋鯉会本部>
喪服姿で集結する緋鯉会一同&OB。
山本浩「今日は我が盟友、故・津田恒美の九回忌追悼式をするわけだが、式の途中は決して涙を見せるな。
あいつはどんな時でも、過去の悲しみに対して涙を流すことはなかった。
何故か。過去を悔やむというのは、過去に未練を残し、現実から逃げようとするのと同じ事だからだ。
涙を見せて死を悔やむことは、あいつを侮辱する行為と等しいと思ってくれ。さて、まずは墓参りにいくぞ。」
本部を出る山本。その後をぞろぞろとついて行く喪服の集団。
<津田の墓前>
代わる代わる線香を立て、手を合わせる緋鯉会一同&OB。
山本浩「衣笠、ヨシヒコ、大野。まだエモノは持ってるよな。」
衣笠「当然ですよ。自分の命をこれに預けてたんですからね。」45口径gV-S・Kモデルを取り出す衣笠。
大野「堅気に戻っても結局これだけは捨てきれませんでしたよ…ははは…。」左利き用40口径g]]W‐Y・Oモデルを見つめる大野。
高橋慶「こいつもかなり血を吸ってるもんで、銃刀法許可取るの大変でした。」小太刀二本を喪服の裏から抜く高橋。
衣笠「嘘つけ。誰だったかのコネで一発だったくせに。ちょっと見せてみろ。」高橋から刀を奪い取る衣笠。
衣笠「ほーう。ちゃんと砥いであるじゃないか。お前、実は今でもこの世界に戻りたいんだな?」白く光る刀身を見て言う衣笠。
高橋慶「いい加減にしてくださいよ。人前で見せる物じゃないんですから!」刀を奪い返す高橋。
大野「で、山本さん、なんですか?何か意味有ってエモノを持ってるか聞いたんでしょう?」
山本浩「まぁ、待っていろ。式の最期でわかるから。」笑う山本。
澤崎「津田さん…。あなたから引き継いだこの会員番号14、このまま燻らせてはおきません。
どうか安らかにお眠りください…。」墓の前にシャアザクのプラモデルを供える澤崎。
森笠「じゃあ俺も…。」同じく墓の前にときメモを供える森笠。
金本「――――――――」無言でラリアットをぶちかます金本。
東出「じゃあ花を供えて…と。新井さん、墓と花立てに水掛けといてください。」
新井「よし。分かった。」持ってきた桶から水(?)をかける新井。
東出「なんか…酒臭い…?」
金本「――――――――」また無言でドロップキックをくらわせる金本。
<緋鯉会本部・屋上>
屋上に銃を持って円陣を組む緋鯉会一同。
山本浩「佐々岡、あのブツを取ってきてくれ。」
佐々岡「ハイ。分かりました。」下に降りる佐々岡。
佐々岡「これですね?」大口径の拳銃を見せる佐々岡。
達川「g]Wか。津田のだな?」
山本浩「そうだ。我々の誇り、50口径g]W‐T・Tモデル。津田の愛銃だ。」一瞬、昔を思い出して遠い目をする山本。
山本浩「全員、銃構え!」空に銃口を向ける緋鯉会一同。
大野「なるほど。それで…。」一瞬で山本の言葉を理解し、自分も銃を上げる大野。
山本浩「津田、手向けだ。受け取れ!」一斉に火を噴く緋鯉会一同の銃。
<緋鯉会本部>
山本浩「それでは、式の最後として大野に一言言ってもらう。」大野にマイクを渡す山本。
大野「もう僕は堅気の人間なので言って良いのか分からないが、よければ聞いてほしい。」全員の顔を見回す大野。
大野「皆、こんな仕事をする以上、不慮の事故があるかもしれない。しかし、何があっても決して逃げるな。
津田は病という敵から逃げず、精一杯闘い抜いた。
『弱気は最大の敵』。津田の口癖だ。辛い時、苦しい時、逃げてはいけない。真っ向から立ち向かってほしい。」
新井「ハイ!!!」一人だけ大声で答え、周囲から視線を浴びる新井。