横浜ベイスターズ バトルロワイアル

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47代打名無し
万永貴史(まんえいたかふみ)
48代打名無し:02/06/24 15:58 ID:O/cvNhi4
万永って長距離打者??
49代打名無し:02/06/24 16:05 ID:TxjxeA/Y
万永は守備要員
50代打名無し:02/06/24 19:31 ID:OsO9M3Rk
万永の打力は侮れない
51代打名無し:02/06/24 21:00 ID:5KA0Ge60
万永と嘘とビデオテープ
52代打名無し:02/06/24 21:33 ID:v6elwgDF
ここはいつの間に万永スレに?







ひとりまつりの駄文より面白いからいいか。
53代打名無し:02/06/24 21:56 ID:t7s3g1xe
マンエーマンセー
54代打名無し:02/06/24 22:12 ID:Ce3jz/dK
万永って年号っぽい名前だ。万永元年
55代打名無し:02/06/24 22:14 ID:dP//KO5M
        ムックワッショイ!!
     \\  ムックワッショイ!! //
 +   + \\ ムックワッショイ!!/+
                            +
.   +    ,,,,┯,,,,    ,,,,┯,,,,   ,,,,┯,,,,     +
       彡(・) (・)ミ 彡(・) (・)ミ 彡(・) (・)ミ
       彡 Д ,,∩,彡 Д ,,∩,彡 Д  ミ
 +  (( 彡つ   ミ 彡つ  ミ彡彡つ  つ ))  +
       彡  ミ ミ ミ  彡   彡 ミ ミ
56代打名無し:02/06/24 22:25 ID:OSRfNzMx
        ヤタ!僕のスレだ!!お前等僕にひれ伏せ!
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          /\ /\  /神\/../
          / /\  \(0´く`0)/
        ())ノ__ ○二○二⌒/../
       / /||(二ニ) (___/../ 几l
   γ ⌒ /|V||彡Vミ/⌒_ノ二二ノl0
   l| (◎).|l |((||((゚ )/⌒/||三三三・) ||  (´⌒(´
__ ゝ__ノ     ̄(___) ̄  ゝ__ノ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(´⌒(´⌒;;
57代打名無し:02/06/24 22:42 ID:vDMBDAeQ
タネタネを重要な役にしる!
58代打名無し:02/06/24 22:43 ID:k9xtiGs2
>>56
オナカポッコリン
59代打名無し:02/06/24 23:17 ID:gh/bJuW7
万永てそんなに言われる程デブかなあ?
60代打名無し:02/06/24 23:44 ID:slxI1BFT
七原秋也=万永
中川典子=義人
川田彰吾=横山
桐山和雄=タネタネ
相馬光子=オカズ

いっそこのぐらいバカバカしいキャラ設定にすればよかったのだ。
>>4の典子=オカズといった設定はヲタ女みたいでキモイ。
61代打名無し:02/06/24 23:52 ID:cFiPJ8lj
おかずのりは豊でしょ
62代打名無し:02/06/24 23:59 ID:kJPEVREa
オカズヲタが立てたんだろこのスレ
63代打名無し:02/06/25 00:54 ID:+wy5B7OL
故・ひとりまつりさんはオカズヲタ女だったのですか
64代打名無し:02/06/25 11:37 ID:pITIlFfx
今日、初めてここの存在を知ったのだが
読む限り、モーネタで作った妄想小説(?)を
単に横浜の選手の名前に書き換えただけなんじゃないのか。

でもそれも失礼な話だなあ…。
65代打名無し:02/06/25 17:56 ID:cAKJUrHF
>>64
自分は見てないけどモー板でもバトロワはやってたらしいのでそのコピペと思われ。

ますます失礼な話だ。
66代打名無し:02/06/25 19:31 ID:jDYPaVcM
おかずちゃんをヒロインにして
バトロワを書きたい
   ↓
でも文章を組み立てる能力がない
   ↓
バトロワネタをインターネット検索
   ↓
モームスのやつハケーン
   ↓
野球板の人はモームス小説の事なんて
気付きもしないだろう
   ↓
職人ヅラしてコピペ
   ↓
あっさりばれる
   ↓
   マズー
67代打名無し:02/06/25 20:26 ID:rbpU39Eo
age
68代打名無し:02/06/25 23:27 ID:ft+AM059
こんな失礼なひとりまつりに頃されてしまった
金城とカツヲと中根のために、(-人-)ナムナム・・・
69代打名無し:02/06/25 23:48 ID:gDn5cXz6
新たな職人キボンヌ
ひとりまつりみたいなドキュソじゃなく、
ちゃんと球団・野球ネタちりばめてくれる職人様の降臨を待つ。
70代打名無し:02/06/25 23:56 ID:+0YQEijj
温和っぽい空気が流れつつある今日びの2chの中で
こんな祭りらしい祭りは久しぶりに見た

>>1はモー板パクリ同人ヲタ女
71代打名無し:02/06/26 00:31 ID:pTNtrIs/
>>69
腕に自信のある職人なら、いまさらバトロワはやらんだろ。
十分過ぎるほど手垢のついた題材だし、
他球団バトロワもほとんど終局で、ブームも過ぎてるし。
72代打名無し:02/06/26 00:42 ID:8s2vuSDT
他はこんな感じだと思う。

読売:終わりそうなところ?でスレdat落ち
中日:スレdat落ちも乗り越えもうすぐ終わりを迎えそう
広島:まだ話の途中だがスレはない(作らないのか?)

ただ他のネタスレ見てると野球板ではこういうネタがやりづらくなったと思うよ。
いい作品にもミーハー感想がどっさりついてあっさり面白くなくなる。
不○城がいい例だと思うんだけど(本編はいいが他が…)。
73代打名無し:02/06/26 00:50 ID:nZAYjmB2
>>72
かぷのバトロワは保存サイトで続いてるよ。

誰かGのバトロワスレ立ててくださひ・・・
7472:02/06/26 01:05 ID:8s2vuSDT
>>73
そういうつもりで書いたんだけど全然伝わってなかった。
書き方悪くてスマソ。
もうスレなしで続けていくのかね?
7573:02/06/26 01:14 ID:nZAYjmB2
>>74
こっちこそ勘違いスマソ。
もう2chではやらないみたいっすよ。
76代打名無し:02/06/26 14:20 ID:U1N38ULa
何回読んでも
ヲタ女臭くてキモイ
77代打名無し:02/06/26 23:32 ID:K4g6wk2o
中日バトロワ完結age
78代打名無し:02/06/26 23:58 ID:42hEoncc
>>76
それはもともと、1がオカズちゃんをヒロインにしたくて立てたスレだから。
必死でスレ継続希望してるのも、オカズちゃんヒロイン小説を
読みたくてたまらない、ひとりまつりの仕業かも(w
79代打名無し:02/06/27 00:44 ID:4q2Mh79l
>>73
いっそここでGバトロワの続きやるのはどう?

ヒソーリ再降臨があるかもしれんしなあ(w
80代打名無し:02/06/27 00:47 ID:R5Qh9Z7k
再利用は賛成だけど職人さんが気付いてくれるかだな。
せっかくラストに向かっていい所だったのになあ・・・
81代打名無し:02/06/27 00:51 ID:kaOTpIlb
横浜ファソとしては、「横浜」とスレタイトルのついてるとこで
巨人ネタやられるのは不愉快。
新スレぐらい、巨人本スレで誰かに頼んで立ててもらえ。
それとも、その程度のこともやってくれないほど
巨人ファソというのは冷たいヤシばかりなのか?
8279:02/06/27 01:01 ID:4q2Mh79l
ごめんネタつーか煽りでした。ギリギリの線を狙いすぎた模様。

ひとりまつりさんのあとを追いに逝ってきます。
83代打名無し:02/06/27 01:01 ID:mHEHM18b
>>81
全くもって同意
84代打名無し:02/06/27 01:03 ID:OKEpfuzT
>>79-80

虚 ヲ タ の 身 勝 手 さ が 全 開 で す (ワラ


8580:02/06/27 01:08 ID:R5Qh9Z7k
ごめんなさい。軽率でした。
俺も82さんの後を追います・・・
86代打名無し:02/06/27 01:24 ID:TDUWsqQC
めずらしく盛り上がってると思ったらこんなことでか。
まともに書ける職人いないもんかね?
全球団あったら面白い。(阪神は昔中継ぎスレでちょっとだけ書かれた気がする)
87代打名無し:02/06/27 01:31 ID:PQdIRHjp
>>86
>>10でもがいしゅつだが、夜ベの前スレでネタでやってる。
http://sports.2ch.net/base/kako/1001/10016/1001698449.html
ここの149〜158でも読んどけ。
88代打名無し:02/06/27 05:52 ID:c9nCL8/H
ベイスターズファソは野球板での人口はあまり多くないのに
ヲタ率が高いので、ネタスレやるのは難しい。
職人降臨でネタが始まったとしても
すぐにヲタが大量に食いついてきて、滅茶苦茶になると思われ。
ここの1のひとりまつりがどうやらオカズヲタ女だったのが
いい(悪い?)証拠だ。
89代打名無し:02/06/27 08:46 ID:2jqU2NNB
なんだー浜ファンだったから結構期待してたのに・・・。
誰かやって欲しいな。続きを。(俺はやらん)
90おい、降臨してやったぞ。:02/06/27 12:22 ID:nYAfG1HQ
日航機のチャーター便、ボーイング777は現在どのあたりを飛んでいるのか
皆目見当はつかなかった。航空機運航の支障になる、という理由で
窓のブラインドは全て閉じられてしまったのだ。
「選手のみなさま、表情が固いですねえ。オールスター中のミニキャンプとはいえ
せっかく海外に出られるんですから、もう少し明るい表情しましょうよ。
オールスターにチームから誰も選ばれなかったとか、そういうことは忘れましょう。
え、着いてからの地獄の特訓が心配? いや、はははは」
世界のナントカ、と自称するTBSのアナウンサーが、添乗員よろしくキャビンの最前部で
マイクを握ってクソ面白くもない話を延々と続けている。
そしてキャビン内にはいわゆる「2カメ」が入った状態で、レンズが選手の表情を狙っている。
「なあ、何でわざわざミニキャンプで海外に出るんだと思う?」
鈴木尚典(7)は、小声で隣席の三浦大輔(18)に声をかけた。
「え? それは雑音が入らない状態で、チームを立て直しする、という意味じゃあ・・・」
三浦は視線を宙に泳がせながら言った。三浦もなぜ海外に行かなければならないのか
分からないのだな、と尚典は思った。「海外」というだけで、場所が知らされていないというのも異常だ。
そして、故障者を含めて支配下選手全員参加、というのも輪をかけて異常だった。
故障者はミニキャンプなどに参加せず、治療に専念したほうがいいに決まっている。
いや、厳密に言えば、2人の選手の姿が欠けていた。故障者も全員参加、という話を聞いて
そのうちのひとりに、尚典は昨夜電話を入れたのだ。
「え? 何、それ。聞いてない」
電話の向こうで、故障療養中の投手は呆気にとられたような声をあげたのだった。
それで尚典は、故障者も参加という話はガセだったのか、と思っていたのだが
今朝集合場所の羽田空港に着いてみると、野村弘樹(21)も木塚敦志(20)も井上純(32)もおり、
どういうことか判別つかず、そこで思考を止めた。
「お飲物でございます」
キャビンアテンダントが飲み物のワゴンを運んできた。
「えーと、コーヒーください」
コーヒーを飲んで頭をはっきりさせようと思った。しかし一口飲むと、尚典の意識は
遠のいてしまった。
91おい、降臨してやったぞ。:02/06/27 12:23 ID:nYAfG1HQ
「どういうことなんですか」
横浜・関内の球団事務所で、川村丈夫(16)は困惑していた。
「何度も説明させないでくれよ。川村くん、君は頭がいいのが取り柄じゃないか」
川村の正面のソファでは球団取締役・野口善男がふんぞり返って、しかし困ったような表情をしている。
「君はTBSの社員になるんだ。出向とかじゃない、正社員だ。砂原会長の特別のご厚意だ。
いやー、杉本くんも筑波出てるからねじ込めるかと思ったんだが、
砂原会長のお眼鏡にかなわなくてねえ。君は本当にラッキーなんだよ、ラッキー」
野口は、ラッキー、を強調するように言った。
「そんなことを言われても、僕は野球選手ですから。クビだというなら、自由契約にしてください。
日本の球団で獲ってくれるところがないなら、アメリカでも台湾でも行きますから」
「だから、クビじゃないっつーのっ!」
野口が声を荒げた。
そのとき、ドアが開いた。
「あ、大堀社長」
球団社長・大堀隆が部屋に入ってきた。野口の隣に腰を下ろした。
「野口さん、ちゃんと始めから説明したほうがいいんじゃないですか。
川村くん、この話は現段階では決して口外しないように。
口外すると、君の身の安全は保障されないからね」
大堀の言葉に、川村は唾を飲み込んだ。
「先日の臨時オーナー会議で、球団数削減が可決された。横浜は削減対象となった」
「・・・どういうことですか」
「君がクビなのではなく、君以外の選手が全員解雇だ。
横浜ベイスターズは、本日付けで消滅する」
92おい、降臨してやったぞ。:02/06/27 12:28 ID:nYAfG1HQ
ドシン、と車輪が地面に着く衝撃があって、尚典は目を覚ました。
「あ?」
首にひんやりする感触を覚えて、尚典は自分の首を押さえてみた。金属の輪のようなものが
巻き付けられているのが分かった。
隣の席の三浦を見ると、鈍く光る金属の首輪のようなものをはめられて、眠っている。
キャビンの中を見渡すと、何割かの選手は着陸の衝撃で目を覚ましたばかりのようで
落ち着きなく辺りを見回しており、残りの選手は眠ったままで、
そして一様に全員の首に、金属の首輪のようなものが巻かれていた。
「あ、目を覚ました選手のみなさん、その首輪は取ろうとしないでくださいね。
無理やり外そうとすると爆発して危険ですから、気をつけてください」
アナウンサーの世界のナントカがマイクを持ってそう言って、尚典は首輪を剥がそうとした手を止めた。
「まだ眠ったままの選手の方もいっらっしゃるようですが、ただ今無事キャンプ地に
到着しました。あ、まだ立ち上がらないでくださいね」
「爆発って、どういうことだ!」
尚典の3列ばかり前の席に座っていた中根仁(6)が、怒ったように言った。
「まあまあ、中根さん、落ちついてください。いまからルールを説明します。
今回のミニキャンプでは、球団サイドおよび森監督はじめ首脳陣の方は
ちょっと変わった趣向でやっていきたい、ということですので
私が代わりまして説明させていただきます。
みなさん、プロレスのバトルロイヤルはご存じですよね」
アナウンサーが、ニヤリと笑って言った。
93おい、降臨してやったぞ。:02/06/27 12:29 ID:nYAfG1HQ
「今回のミニキャンプは、極限の精神力を身につけることを目的にしており、
選手のみなさんにも生死をかけて臨んでいただきます」
アナウンサーの言葉に、キャビン内はざわめいた。
「一定時間内に、最も精神的・肉体的に弱かった方に1人ずつ、消えていただきます。
厳密に言うと、死んでいただくのですが。
最後まで勝ち残ったおひとりには、年俸8年契約100億円を保証いたします。
選手のみなさん同士で倒し合いをしていただくのが原則なんですが、
一定時間内に誰も死ななかった場合は、こちらで任意の選手を間引かせていただきますので」
「死んでいただくだと! ふざけるな!」
中根が立ち上がって、世界のナントカにつかみかかった。
「中根さんに加勢するぞっ!」
後ろのほうの座席から、内川聖一(2)、小池正晃(56)、七野智秀(77)ら、若手野手が飛び出してきた。
「中根さん、落ちついてください!」
尚典も思わず飛び出した。キャビンの前のほうでは、もみ合いになっている。
中根とアナウンサーの間に、割って入ろうとした。
「何が死んでいただくだ! てめーが死ね!」
「うぐっ、ぐふっ・・・」
中根がアナウンサーの首を締め上げる。そのとき。
パン、と乾いた音がした。
「う、内川・・・?」
小池が顔の左半分を血に染めて、呆気に取られた表情をしている。
その少し向かって右にいた、内川の首から上がなかった。
首から下だけになってしまった内川の体が、血を吹きながらゆっくりと沈んだ。
94おい、降臨してやったぞ。:02/06/27 12:30 ID:nYAfG1HQ
キーン、という金属音がして、キャビン内のスピーカーのスイッチが入ったようだった。
その音に尚典は我に返った。
「死んでしまったのは内川だったか。言っておくが俺は、中根、おまえを狙ったんだがな。
内川が死んだのは、中根、おまえのせいだ」
スピーカーから、森繁和コーチの声が聞こえてきた。中根は音の方向を睨みつけた。
「これで俺たちが本気だということが分かっただろう。こっちが本気なんだから
おまえらにも生死を賭けて臨んでもらう。
俺たちはコンピュータによる遠隔操作で、おまえらの首についている首輪を爆発させることができる。
まあ、中根を殺ろうとして間違えて内川を殺ってしまうとかという具合に、
プログラムのバグも出るんだが。まあ、このバグは近日中に直る予定だ」
「ゴホンゴホン、では、おひとりずつ外に出ていただきます。
あ、この航空機は、みなさんが退去後1時間ののちに爆破させていただきますので
お忘れ物等ないように気をつけてくださいね」
アナウンサーが首を押さえながら言う。
「当面の必要な食糧等は、こちらにナップザックで用意させていただきましたので
おひとつずつ持って行っていただきます。
背番号順で、まず0番、万永貴司さん」
「えっ、はい!」
名前を呼ばれた小太りの万永が、びっくりしたように立ち上がった。ドア口に積まれてあった
ナップザックをつかみ、逃げるように飛び出していく。
「1番、金城龍彦さん、は、寝てらっしゃるようですね。もし爆破予定時刻までに
起きない方がいた場合でもこのまま航空機は爆破しますので、ご了承ください。
2番、内川聖一さんは、既に亡くなられていますね」
中根がアナウンサーを睨みつけた。
95おい、降臨してやったぞ。:02/06/27 12:32 ID:nYAfG1HQ
「6番、中根仁さん」
名前を呼ばれた中根は、首から下だけになってしまった内川の両手を胸の前で
手早く組ませると、無言で立ち上がった。
アナウンサーの前で仁王立ちになり、またつかみ合いになるようなら止めなければ、と尚典は思ったが、
「フン!」
怒ったようにそう言うと、ナップザックをつかんで外に出てしまった。
「7番、鈴木尚典さん」
「あ、はい」
尚典は立ち上がると、ナップザックを手にあわてて外に出た。
タラップを走って下りると、外は既に暗かった。街の灯りどころか空港の建物や管制塔らしきものもなく、
長い滑走路が続いているだけだった。季節は夏でも風は冷たく、北の国のようだった。
滑走路の先に、中根らしき人影があった。
「中根さん!」
尚典は人影に駆け寄った。中根はナップザックを肩に掛け、腕組みをして怒ったような表情だった。
「何だ、尚典」
「えーと」
何だ、と言われると、何を言っていいのか分からなくなった。
「尚典、俺は内川の弔い合戦をやる。俺ひとりでやるから、お前は俺のことは気にするな。
お前は自分がこのばかげたゲームからどう逃げるかだけを考えろ、いいな」
中根はそれだけ言うと、大股で歩いて闇の中に消えた。
「尚典さん、いたんですか!」
呆然としていると、背後から声をかけられた。小柄な田中一徳(9)が立っていた。
「ねえ尚典さん、こういうときは何人かで一緒にいたほうがいいですよ。
尚典さんと一緒にいていいでしょう?」
一徳は小狡そうな目で、上目遣いで尚典を見た。
「あ、ああ」
尚典は上の空で答えた。
96おい、降臨してやったぞ。:02/06/27 12:33 ID:nYAfG1HQ
陽の傾きかけた関内の街は、賑わっていた。
川村は疲労感を感じながら、駅への道を歩いていた。駅前に人だかりができていた。
「あー、号外、号外。大変なことになったよ!」
神奈川新聞の号外が配られているようだった。横目で見て通り過ぎようとして、
「横浜」「墜落」「絶望」という大見出しの文字が目に入った。
「あ、1枚もらえますか」
川村は思わず、人だかりの中に手を伸ばした。
「あ、順番に並んで並んで。って、あれ、川村投手ですよね。全員絶望じゃなかったの」
号外を配っていた男は、怪訝そうな顔をした。
「どういうことですか」
「いや、選手全員絶望で、球団消滅って書いてるから」
川村は男の手から、ひったくるように号外をむしり取った。
『横浜球団チャーター機墜落! 選手全員絶望!』
横浜ベイスターズがミニキャンプのためにチャーターした日航機が、太平洋に墜落。
支配下選手全員を含む、乗客乗員全員絶望。
そして。
横浜球団消滅確実、球界再編成へ拍車。
川村は号外を持ったまま、その場にしゃがみ込んだ。しゃがみ込んで、頭を抱えた。
先ほどの大堀の言葉が、脳裏によみがえった。

――――横浜ベイスターズは、本日付けで消滅する!
97代打名無し:02/06/27 12:35 ID:nYAfG1HQ
ちなみに、ひとりまつりの駄文は全部無視して、最初から書いた。
あんなアフォな設定じゃ、続ける気にはなれんからな。
98代打名無し:02/06/27 13:31 ID:Xk1WqsKg
>>97
グッジョブ
99代打名無し:02/06/27 14:55 ID:4yBA2gFu
>>97
ナイス
100当て馬名無し:02/06/27 16:44 ID:DP0PNPF4
>>97
ひとりまつりのよりずっと(・∀・)イイ!!
101当て馬名無し:02/06/27 16:46 ID:DP0PNPF4
何気に100get。しかもIDがポップンもどき(P"0"PNなのが惜しい)。
102当て馬名無し:02/06/27 16:48 ID:DP0PNPF4
おっと、ここはアーケード板じゃなくてプロ野球板だから
単にポプもどき(IDがPOPじゃなくてP"0"P)の方がいいか。
103代打名無し:02/06/27 17:35 ID:F5OzxelW
>>97
(・(・∀(・∀(・∀・)∀・)∀・)・)イイ!!
続きも期待してますよー。
104代打名無し:02/06/27 17:50 ID:pN4/F0My
ところで、選手の顔ぶれは今年の陣容なのかな?
ヴォケ志さんはどうします?中日編でお亡くなりになりましたが、
それは関係なしで登場するのかな?
>>97
楽しみにしてる!!愛読するよ!
105代打名無し:02/06/27 18:49 ID:tOCWnMDf
今度は川村ヲタ女降臨
106代打名無し:02/06/27 23:04 ID:GojGVBYO
>>105はひとりまつりの再降臨か?
オカズちゃんがヒロインになれそうにないので、機嫌が悪いのかな。
107代打名無し:02/06/27 23:50 ID:26nrdO+X
よし、ageるぞ!
10897:02/06/28 02:07 ID:N/EeT7o4
概ね好評のようで、うれしいぞ。

>ヴォケ志さんはどうします?中日編でお亡くなりになりましたが
ここの人の何割ぐらいがチュニチバトロワ読んでたのかな。
あまり多いようなら、外したほうがいいのか?
なるべくなら他所のネタは気にせず進めたほうが、すっきりするんだけど。
109代打名無し:02/06/28 09:22 ID:3W9aW497
俺は特に他のバトロワは気にしないで良いと思うけど・・・
他球団のバトロワとリンクする部分が多いなら別ですが。
110 ◆xYQkNOZE :02/06/28 10:23 ID:aOvoz1aW
ROMのつもりでしたがお邪魔します
中日編とのリンクを考え始めると、ラストでバトロワ主催者が死んで球界からのバトロワはなくなる…ということになってしまっておりそもそも横浜のバトロワが成り立たないので気にしなくてよいのではと
タケシにはせめて新天地では幸せになってほすぃ…

>>97
すばらしい!!
ハマは中日関係者が多いので彼らの活躍期待してまふ
11197:02/06/29 02:31 ID:P6SidiH9
コトリ、と音がして、自分を除く最後のひとりが機外に出たようだった。
石井琢朗(5)は薄目を開けて、周囲を確認した。航空機のキャビン内に自分以外誰もいないことを
把握してから、目を開けて立ち上がった。キャビンの後部に向かって歩き出した。
指定の座席番号は、82-B。この座席番号を指定したのはヘッドコーチの黒江透修で、
本人の背番号の82はいいとして、Bというのは今年は最後までペナントレースを闘っても
結局Bクラスにしかなれない、という洒落のつもりか。
どのみち、この球団がこの先ペナントレースを闘うことは、二度とない。
琢朗は82-Bの座席シートをゆっくりと持ち上げた。
シートの裏側に、黒いアタッシュケースがはめ込まれていた。
琢朗は慎重にシートからアタッシュケースを外した。そして取り出したアタッシュケースを
隣のシートの上に置き、開けて中身を確認した。
組立式のライフル銃と銃弾、暗視スコープが入っていた。琢朗は慣れた手つきでライフルを組み立てる。
琢朗の身分は、既に横浜ベイスターズの登録選手ではなかった。昨日、野村弘樹(21)と共に
球団事務所で捺印して、正式の手続きを済ませた。
横浜ベイスターズ球団精算事業団。まるで国鉄を潰したときのような冴えない名称で、
もう少し何とかならないものかと思う。
野村はまるで踏ん切りのついていない表情をしていたが、ライフルを手に出発したのだろうか。
「俺は既に割り切ったぞ」
琢朗は口に出して言ってみる。そう、俺は割り切ったのだ。こういう事態になってしまった以上、
しょうがないではないか。
アタッシュケースをどうするか一瞬迷って、持っていくことにした。
ここは無人島ではない。日中はライフルを隠して歩かなければならない事態も起きるはずだ。
琢朗は、自分の首に巻き付いていた金属の首輪を引き剥がした。そのまま放り投げた。
自分と野村の首に巻かれていたのは、爆発する可能性のある他の選手のものと違ってダミーだが、
首に巻き付いていて気持ちのいいものではない。
11297:02/06/29 02:32 ID:P6SidiH9
琢朗がライフルを肩に掛けてアタッシュケースを手にタラップを下りたとき、
早くもスーツの胸ポケットに入れた探知機が反応した。携帯電話に模したそれを取り出し、確認する。
航空機の尾翼のあたりに、赤の光と黄色の光が点滅している。赤の光は今年のFA取得選手を示すものだ。
FAの4人、鈴木尚典(7)、佐伯貴弘(10)、斎藤隆(11)、三浦大輔(18)は全員消せ。
それが琢朗と野村に与えられた、最低限の任務だ。それ以外の選手は、適当に殺し合いを
させておいてもいい。異常事態といえるこの島で、爆撃を受けたり流れ弾に当たって
勝手に死ぬ選手も出るだろう。
どうするか一瞬迷って、琢朗は銃撃を見送ることにした。そろそろ航空機の爆破の時刻が近く、
自分が爆発に巻き込まれたのではバカらしい。それに、時間はいくらでもある。
それにしても、ここは予想以上に寒い。途中で衣類の調達を受ける必要がある。
琢朗は探知機を胸ポケットに入れ、長い滑走路を歩き始めた。
11397:02/06/29 02:33 ID:P6SidiH9
「あー、ダメだあ。尚典さーん、ここケータイずっと圏外っすよ」
田中一徳(9)はさっきからずっと携帯電話をいじっている。航空機の貨物室のドアをこじ開けて
荷物を出そうとしている鈴木尚典は、軽く舌打ちをした。
「なあ一徳、荷物出すの手伝ってくれよ。俺は自分のバットはどうしても出したいし、
他の人のバットやグラブも、出しておいたほうがいいと思うし」
「あ、いま手伝いますから、ちょっと待ってくださいよう」
荷物はいくつかのカートに分けられて積まれていた。二人ががりでカートを下ろし、
それを押して移動させることにした。100メートルを目安にカートをデポし、
全部の荷物を少しずつ航空機から遠ざけていく。
一徳は「重いじゃないですかー」と、文句が多い。
と、背後に強い光が上がった。
「伏せろっ!」
尚典と一徳は滑走路につっ伏した。頬が地面に擦られて熱を帯びた。背を爆風が通り抜け、
カートが倒れて荷物がまき散らされた。
爆風がぬるい塵を帯びた風に変わったことを確認して、尚典は体を起こした。
数百メートル先で、航空機が炎上していた。
一徳は、擦りむいたとか血が出たとか言っていたが、尚典はそれを無視してカートを起こし、
まき散らされた荷物を積み直した。
荷物の中から自分のバットを1本だけ取り出した。どう考えても野球をする状況ではないが、
お守り代わりに、とナップザックの中に突っ込んだ。
11497:02/06/29 02:34 ID:P6SidiH9
辺りは薄青くなってきて、夜明けのようだった。
滑走路の先は草の生えた荒れ地になっていた。空気はいっそう冷え、風が丈の高い草を揺らした。
「尚典さん、歩きにくいじゃないですか」
長身の尚典の顎のあたりまであるような背丈の高い草で、小柄な一徳の姿は完全に埋もれてしまっていた。
「あ、向こうに線路が見える。線路の上なら、歩きやすいだろ」
少し小高くつくられた土手が向こうに見え、その上には昇りかけたばかりの陽に反射する
金属の線が見えた。線路に沿って歩いていけば、街に出られるだろう。
尚典は少し元気が出て、大きく草をかき分けて大股で前に進んだ。
土手は傾斜がきつかったが、これで人のいるところに出られる、と思い、
尚典は一気に駆け上がった。駆け上がってから、大きく息をついた。
線路は単線で、昇ったばかりの太陽を受けて鈍く光っていた。周囲は一面草ばかりの荒れ地で、
山は遠くに低く見え、高校の修学旅行で行った北海道の原野に似ているように思えた。
しばらくすると、一徳が息を切らせて登ってきた。
「ここ、どこっすかね。何か北海道っぽいですよねー」
一徳も同じことを考えているようだった。
11597:02/06/29 02:35 ID:P6SidiH9
しばらく歩くと、線路の周囲は針葉樹の林になった。線路の脇にコンクリートの小さな柱があり、
文字が書かれてあるようだった。文字は浅く読みとり難かったが、かろうじて
「敷香 30km」と読めた。
「これは地名なのかな。しきか、とか、しきこう、とか読むのかな。
30キロ歩いたら、その街に出られるってことだから、がんばって歩こう」
尚典がそう言い終わらないうちに、重低音が上空から襲いかかった。
「あ、あれは・・・ゼロ戦・・・?」
一徳が指をさした。針葉樹林のすぐ上に、小型の攻撃機の機影があった。
「バカ! どこがどうやったらあれがゼロ戦に見えるんだっ! あれは、あれは・・・」
一徳に対していらついていたこともあって、尚典は思わず怒鳴ってしまった。
一徳はなぜ怒鳴られたのか分かっていないようで、きょとんとした表情をした。
「あれはイリューシンだっ! イリューシンIl−4攻撃機だっ!」
動体視力には自信がある。だてに2度も首位打者を取ったわけではないのだ。見間違いと思いたいが、
見間違えるわけなどないのだ。古びた形式の、木でできたような第二次世界大戦中の攻撃機。
ミグでもスホーイでもなく。何でそんなものが上空を飛んでいる!
一体ここはどこなのだ。俺はどこに来てしまったのだ。
尚典は天を仰いだ。その視界を横切って、イリューシンは南の空へと消えた。
116代打名無し:02/06/29 02:42 ID:P6SidiH9
というわけで、第2回。
他球団ものとのリンクは基本的に考えないことにした。
つか、舞台は既にリンク可能な場所ではないような
(将来的には横浜に戻したいものだが)。
タコノリは案の定漢字が読めなかったが、「敷香」は「しすか」だね。
117代打名無し:02/06/29 11:02 ID:WMmSQZ/k
>>97
禿しくイイ!!
118代打名無し:02/06/30 00:16 ID:SfkwJWzo
ageイー
11997:02/07/01 02:25 ID:rc6q+iuq
「・・・さん、川村さん!」
肩を激しく揺すられて、川村丈夫(16)は我に返った。関内駅前の雑踏の中で、川村は
頭を抱えて座り込んでいたのだ。
目の前に福盛一夫(37)の顔があった。立ち上がろうとしたがまるで体に力が入らず、
川村はそのままの体勢で大きくため息をついた。
「福盛・・・何でここにいるんだ。ミニキャンプには参加しなかったのか」
「いやその、ちょっと寝過ごして集合時間に遅れちゃって」
福盛は軽く頭をかいて、川村の前に落ちていた神奈川新聞の号外を拾い上げた。
『横浜球団チャーター機墜落! 選手全員絶望!』の見出しが、不吉に踊っている。
「大変なことになっちゃいましたね。いま球団事務所に行ってみたら、
ビルのドア閉じられて誰もいないみたいだし」
「え? 誰もいないって?」
自分はその球団事務所を先ほど後にしたばかりではないか、と川村は訝しんだ。
「こんな事態になった以上、記者会見する必要があるんじゃないの。新聞社やテレビ局も
押しかけてきてると思うし」
「いや、それが報道陣とか全然来てないんですよ。事務所の前、ガランとしちゃって
薄気味悪かったですよ。行ってみます?」
神奈川新聞の号外は既に配り終えられたようで、関内駅前の人の流れはスムーズで
何ごともなかったかのようだ。川村はようやく立ち上がった。
福盛はクルマで来ていた。市役所の横に路上駐車してあった福盛のボルボに乗り込み、
右手に横浜スタジアムのどっしりとした外観を見ながら球団事務所へと向かう。
球団事務所の前にはすぐに着いたのだが、既に薄暗くなった路上には報道陣などひとりもおらず、
建物の窓には灯りは見えず、クルマから下りてドアを押したり引いたりしてみたが
開く気配はなかった。
「長浦の合宿所に行ってみよう。選手の家族とか友人が来てるかも知れないし」
「そうですね」
福盛がうなずいた。
12097:02/07/01 02:26 ID:rc6q+iuq
高速狩場線から横浜横須賀道路を通って長浦に着いたときには、辺りはすっかり暗くなっていた。
合宿所の周囲は街灯も点いておらず、こんなに薄暗いところだっただろうか? と川村は不審に思う。
合宿所の壁面に描かれている、ベイスターズのロゴがかろうじて月明かりに読み取れる。
クルマはグラウンド脇に路上駐車した。合宿所にも人の気配はなく、ドアも固く閉じられていた。
「あ、一番奥の窓は鍵かけてないはずだから、中に入れますよ」
「不用心じゃないか」
「用心よりも、門限破りの方法のほうが大事なんですよ、若い連中は」
福盛はそう言って、外壁に沿って走って一番奥の窓を開け、スルリと中に飛び込んだ。
川村がドアの前で立っていると、福盛は中から回り込んで来て内側からドアの鍵を開けた。
合宿所は久しぶりでなつかしいな、と川村は言おうとしたが、一歩中に踏み込むと
冷えた空気が襲いかかってきた。
こころざし半ばで夢を絶たれた若者たちの霊が、戻ってきているのだろうか。
落ちつかないものを感じながら、川村はロビーの灯りを点け、テレビのスイッチを入れた。
航空機事故、それも1球団がほぼ全滅なのだから当然トップニュースだと思っていたが、
ニュース番組は事件や事故など何もない平和な一日を伝えるだけだった。
明日に控えたオールスターゲームの抱負を、他球団の選手が語っている。
「何でテレビのニュースで言わないんですかね。さっきクルマの中で聞いたラジオでは
大騒ぎしてたのに」
福盛がそう言いながら、厨房から缶ビールを6本ばかり持って戻ってきた。
「誤報・・・だった可能性もあるよね。そう思いたい」
ロビーのソファに座って、川村は缶ビールのリングプルを引いた。
誤報であればいい。しかし背中に落ちつかないものを感じる。
12197:02/07/01 02:27 ID:rc6q+iuq
大勢の人間がドタバタと動き回る気配で、川村は目を覚ました。
合宿所のロビーのソファで、寝てしまったようだった。顔を上げると、
作業着を着た10人ばかりの男がテレビや棚といった荷物を運び出していた。
入口脇で、福盛が呆然とした様子で突っ立っている。
「あ、そのソファも出しますんで、どいてもらえます?」
男のひとりが川村に声をかけた。
「どいてもらえますって、あなた方は何をしてるんですか」
川村は抗議するように言ったが、男の答えは予想外のものだった。
「この合宿所の建物と隣のグラウンドは、日産自動車が購入したんですよ。
だから、いま中に入ってる荷物、今日中に全部出さなきゃいかんのです」
「全部出すって・・・ちょっと待ってください。横浜ベイスターズのチャーター機が
墜落したことはご存じでしょう。選手の家族にとっては、荷物は遺品でしょう。
家族が着くまでそのままにしておくのが常識じゃないですか」
「墜落? あー、そんなこともありましたねえ」
男は、航空機墜落など何でもない、といった口調で言った。話が通じない!
「川村さん、この人たち話が通じないみたいです。出ましょう」
福盛が川村のシャツの袖を引いた。
外に出ると、快晴の朝だった。夏の朝の陽射しと蝉時雨が同時に降り注いだ。
合宿所の外壁の周りには足場が組まれていた。ペンキを手にした男が、外壁に描かれた
ベイスターズのロゴを塗りつぶしていた。
横浜ベイスターズが消されていく!
12297:02/07/01 02:32 ID:rc6q+iuq
草原を渡る風が葉を擦り、そのざわめく音に古木克明(33)は飛び上がった。飛び上がってから
ゆっくりと振り返って、後方を確認する。
夜が明けてから辺りには霧が立ちこめてきて、本当に自分の背後に誰もいないのかどうか
判別つかなかった。
俺は臆病に過ぎるのだ。臆病だから、2軍で打ちまくっても1軍では結果を出せないのだ。
それは自分が一番よく分かってる。
「俺は臆病者じゃないぞ」
古木は自分を鼓舞するように、口に出して言ってみた。と、その瞬間。
ナップザックの中で発信音がした。古木はまた飛び上がり、あわててナップザックの
中身を探った。
ナップザックの中身は、文庫本程度の大きさのモバイル機器、銀色の極薄の
エマージェンシーブランケット、乾パン、ペットボトルの水、そしてブレードに迷彩色のスプレーが
施された薄型の大ぶりのストライダーのナイフだった。モバイルがメールの着信を知らせているのだ。
古木はモバイルを手に取り、メールを確認する。この機械には最低限のスイッチ類しか
ついておらず、メールの受信以外の機能はないようだ。
『おまえの背後から敵が忍び寄っている。お前を殺そうとしている。殺られる前に殺れ!』
先ほどからこのモバイルには、変なメールばかりが届くのだ。『そろそろ誰かに死んで
いただきましょう。選手のみなさん、殺し合いしてますか〜。殺し合わないと、
任意の人の首の首輪が爆発しちゃいますよ〜』とか。
選手同士で殺し合うなど考えたくもないが、古木も航空機の機内で内川の首輪が
爆発するところを、見てしまったのだ。自分があのような目に遭うことだけは嫌だ!
そのとき、背後で霧が動いた。
「そこにいるのは古木か? 古木だな」
古木はストライダーを強く両手で握り直して、振り返った。手が激しく震えているのが
自分でも分かった。
右手に大きな鎌を持った男が立っていた。
123代打名無し:02/07/01 02:33 ID:rc6q+iuq
「やはり古木だったか。さっき遠くから見かけて、探していたんだ」
「うああああ・・・」
鎌を右手に立っていたのは、神田大介(47)だった。神田は俺を殺そうとしているのだ!
古木は声にならない声をあげた。
「古木? どうしたんだ」
神田が近づいてくる。そうだ、神田は俺を殺すことにしたんだ。俺がヘタレだから、
簡単に殺せると思ってるんだ。
「おっ、俺は臆病者じゃないーっ!」
古木は腹の前にストライダーを構えた。そのまま神田に向かって体当たりした。
「ふ、古木・・・?」
ぐにゃりとした感触があって、ブレードが神田の腹に突き刺さっていくのが分かった。
古木が一歩後退すると、神田は腹にナイフを突き立てたまま、あお向けに倒れた。
神田の体は痙攣したように小刻みに動いている。古木は神田の脇腹を片足で抑え、
ストライダーを引き抜いた。まるで鯨が潮を噴くように返り血が勢いよく飛び出して、
古木の顔やTシャツを赤く染めた。
「神田さーん、古木見つかりましたー? あ・・・」
古木は顔を上げた。谷口邦幸(46)が立っていた。谷口は古木を認めると、驚愕の表情を浮かべた。
「ふふふふ古木おまえ・・・!」
「いやそのこれは、あの・・・」
「ぎゃああーーー!」
谷口は踵を返すと、大声をあげながらものすごい勢いでもと来た方向へと走り去った。
神田と谷口が来た方向は窪地になっていて、クマザサを鎌で刈り取った跡があった。
神田が鎌を持っていたのは俺を襲うためではなく、クマザサを刈って道をつくるためで・・・。
そのことに思い当たって、古木は改めて倒れている神田を見た。
神田はもはや動いていなかった。
「うわわあああああーーー!!!」
古木はナイフを放り投げ、頭を抱えて絶叫した。
12497:02/07/01 02:34 ID:rc6q+iuq
野村弘樹(21)はその一部始終を、300メートルばかり離れた小高い丘から双眼鏡で見ていた。
霧が出ており一部確認しづらい部分もあったが、古木が神田を殺したこと、古木本人と
それを目撃した谷口がパニックを起こしていることはよく分かった。
ひとたびパニックが起これば、放っておいても殺戮は始まる。
野村の服装は、Tシャツにジーンズだったりスーツ姿だったりする他の選手とは
大きく異なっていた。背にはミレーの登山用リュック。その中には組み立て式のライフル銃が
収められている。野村はどうもそれを組み立てる気にはなれない。
足元はつくりのしっかりした登山靴で、北国の気候に合わせてフィールドコートも
身につけている。
右手のデジタルの腕時計に目を落とす。この地の日付と時刻に合わせられてあった。
8月9日の、午前7時になるところだった。間もなく長崎に原爆が投下される。
広島出身の野村には、被爆者本人や被爆二世三世の知り合いなど、いくらでもいた。
祖母から嫌になるまで聞かされた原爆で死んだ親戚の話を思い出し、陰鬱な気分に陥った。
双眼鏡で追うと、パニックを起こした古木は走り出し、神田の死体のある場所には
稲嶺茂夫(38)が歩いていくところだった。このあと稲嶺もパニックに陥るだろう。
野村は自分自身が選手に手をかけるのは嫌だったが、自分が殺らないということは
他人に手を汚させるということだというのは、よく分かっていた。
古木の走り出した先には、鉄道の線路があるはずだった。線路に沿って歩けば、街に出る。
そしてこのタイミングで街に出るということは、死を意味することだった。
パニックを起こしながらでも、このキリング・フィールドに身をひそめているほうが
まだ生き延びる確率は高いのだ。そう古木に教えてやりたかった。
遥か上空には、轟音を響かせて高速爆撃機が飛んでいた。ツポレフSB-2のようだった。
先ほどはイリューシンIl−4が飛んでいた。
そして24時間後にこの島は、「ソ連」による侵攻を受ける。
125代打名無し:02/07/01 02:50 ID:rc6q+iuq
てなわけで、第3回。
そろそろ舞台設定がどこかということがはっきりしてきたね。
第1回書いたときには、こんな場所を舞台にするとは
全然考えてなかったんだが。つか、変な場所を舞台にしたために
既に原作から大きく離れてるけど(w
現在野球板は600over→500圧縮なので、定期あげよろしく。
126代打名無し:02/07/01 10:06 ID:5HQyLdPZ
良いですage。
今更普通のバトロワだと飽きてくるので、こういうのも良いね。
127代打名無し:02/07/01 11:03 ID:IbQqcXjO
ベイならではネタの濃度が低い
128代打名無し:02/07/01 21:28 ID:TzaUNQtN
まぁまぁ、そういわずに
君も一緒に楽しもうぜ
129当て馬名無し:02/07/02 00:54 ID:po5GJyEM
>>127
まだ序盤なのでこれでいいと思われ。
話が進むにつれてベイネタが次第に出てくるはず。
今からベイネタ満載だと終盤ネタ切れしそう。
130代打名無し:02/07/02 15:37 ID:zYR2ZxW0
ageておこう。
131広島ファン:02/07/02 21:03 ID:akHXTkst
カープ戦なると強くなるな!
132代打名無し:02/07/03 06:34 ID:9BdmFER8
朝の保全ageでもするか。
133代打名無し:02/07/03 19:47 ID:uOelqEGM
夜の保全ageでもするか。
134 :02/07/03 20:05 ID:50BLfTfc
 
135代打名無し:02/07/04 09:36 ID:mND3JqQJ
保全だす。
136代打名無し:02/07/04 10:12 ID:jhI7QR1V
どうしちゃったのかしら神。
137代打名無し:02/07/04 10:46 ID:PVmSt/fV
神にも仕事の都合とかあるだろう。
マターリ待つよ。
138代打名無し:02/07/04 17:14 ID:j05vJvR/
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/kyozin/1025770207/l50

【横浜ベイスターズ選手別応援歌】はクソ!

139代打名無し:02/07/05 15:37 ID:M7fNuIX9
保守age
140代打名無し:02/07/05 21:07 ID:79I4osJp
待ってます、がんばれ神
14197:02/07/05 23:11 ID:BF9mhSJW
朝方発生した霧は、昼前には消えた。
鉄道の線路をたどって着いたのは、それほど大きな街というわけではないようだった。
土道の両側に木造の建物が建ち並び、歩いている人の多くはモンペ姿で、
ゲートルを巻いた昔の軍人のような服装の男も目についた。
「ここは一体どこだろう」
鈴木尚典はそうひとりごとを言って、後方を歩いていた田中一徳に声をかけようとした。
一徳は、30メートルばかり後方にいた。横の食堂らしい建物を指さして、大声で言った。
「尚典さーん、佐伯さんたちがいますよー」
尚典は食堂の前まで歩いて戻った。藍色ののれんをくぐる。セメントで固められた床の上に
テーブルと椅子が置かれているだけの質素な食堂で、佐伯貴弘(10)と中村武志(39)が
コップ酒を飲んで、煮物を食べていた。
佐伯は尚典の姿を認めると、軽く右手を挙げた。
「よー、尚典。この煮物旨いわ。おまえも食え」
尚典は佐伯の、一徳は中村の隣に腰を下ろした。
「佐伯さん、ここはどこなんですか」
「どこなんですか、の前に、いまは何年の何月何日ですか、と訊くもんや。ほれ」
佐伯は箸を持ったまま、食堂の壁に貼られている日めくりを指した。
昭和二十年八月九日、庚戌日。
尚典は鼻の頭に皺を寄せて、佐伯の顔を見た。
「タイムスリップとか言わないでくださいよ。
これは映画かテレビドラマのセットとか、テーマパークじゃないんですか」
「俺らはこの街の端から端まで歩いてみたけど、結構広いで。こんな貧乏くさい街のセットを
金かけて広範囲で作る意味なんかない。セットなら通り1本分も作れば十分や。
でかいセット作っても、太秦の映画村みたいなんやったら客も来るか知らんけど、
戦時中の貧乏体験しに来る客なんかいるわけないやん」
言われてみればもっともなのだが、尚典は得心いかなかった。一徳が口を開いた。
「それで、ここはどこなんですか」
「どこや思う?」
「えー、北海道とか」
「ブーッ、外れ」
佐伯は立ち上がった。日めくりの横の壁には地図が貼られていた。あまりなじみのない形の、
縦に細長い島が描かれていた。佐伯はその地図を指して言った。
「この下のほうにちょっと飛び出てるのが、北海道の稚内。俺らがいるのはこの細長い島や。
昔風に言うなら樺太、いま風に言うならサハリンや」
14297:02/07/05 23:13 ID:BF9mhSJW
樺太? サハリン? 思いもよらない地名を出されて、尚典は呆気にとられた。
「佐伯さん、待ってくださいよ。何で戦時中のサハリンにタイムスリップするんですか。
ベイスターズとサハリンなんか、何の関係もないですよ」
「オホーツク海で捕鯨でもするんちゃうか。って、親会社は代わったんやったな。
何でかと言われても、俺も知らん。まあ何か理由はあるんやろ」
「で、この街はその島の真ん中あたりの、敷香(しすか)という街だ。敷くに香るで、しすかちゃん。
ドラえもんののび太のガールフレンドの、いっつも風呂入ってる女の子とちゃうで」
中村が煮物を食べながらそう言った。敷香という地名は地図の中ほど、島の東海岸の
大きく湾になった部分に読み取れた。
佐伯と中村は、ここが昭和20年の樺太であることに疑いを持っていないようだった。
尚典は全く納得できず、しかしこう言った。
「もしここが昭和20年8月9日のサハリンというか樺太だったら、あと1週間我慢してれば終戦ですよね」
「それが違うのだ」
中村が言って、こう続けた。
「8月8日にソ連が日本に突然宣戦布告した。いまはこの街はまだのんびりした雰囲気だが、
明日いうのか10日から樺太への攻撃が開始される。明日からこの街はめちゃくちゃになる。
で、ポツダム宣言出されたあとも、ソ連は延々と攻撃続けるのや。
ソ連が樺太を占拠するまで、この島では戦争はずっと続くぞ」
14397:02/07/05 23:14 ID:BF9mhSJW
「ねーちゃん、酒もう1本追加して。あとグラス2つ」
佐伯がモンペ姿の若い給仕の女に、夏目漱石の図柄の千円札を押しつけた。
女が戸惑った様子を見せると、
「これは新しい軍票や。知らんのか。不敬罪やで!」
そう言って強引に納得させてしまい、尚典は変に感心した。
佐伯が席に戻った。酒が運ばれてくると、佐伯は尚典と一徳の前に置かれたコップに酒を注いだ。
「佐伯さん、俺が酒飲まないことは知ってるでしょう」
「まあそう言わずにたまには飲め。酒飲んだり風呂入ったりできるのは、今日が最後や。
もう偵察機とかが、上空飛び始めてるみたいやし」
佐伯が視線を上げた。重低音が上の方からのしかかってきた。風が吹いて食堂ののれんがめくれて、
遥か上空に旧式の攻撃機の機影が見えた。朝方飛んでいたイリューシンだろうか。
「それで、佐伯さんと中村さんはどうするんですか。このままこの街にいても、
明日には空襲とか始まるんでしょう」
尚典がそう言うと佐伯は、
「明日の朝に島の南部に向かう列車が出るいうから、それに乗って逃げる」
「逃げたって、その爆発する首輪みたいなのは剥がれないですよ」
「あほ。首輪の爆発装置みたいなのがどっかにあって電波か何か出してるとして、
その電波がどこまで届く思てる。この街から離れてしまえば、爆発することはないやろ」
14497:02/07/05 23:15 ID:BF9mhSJW
この街から離れて南のほうに行けば、首輪がいつ爆発するかという恐怖からは逃れられる。
しかしこの街から離れると、元の世界には二度と戻れない気がする。
まだここが本当に昭和20年の樺太だと納得したわけではなかったが、尚典は元の世界に戻りたい。
「・・・で、武器は何が入ってた?」
「え?」
中村にいきなりそう訊かれて、尚典は何のことやらよく分からなかった。
「ナップザックの中に、武器入ってただろ? 俺のはナガンや」
中村は椅子の下に置いてあったナップザックから、リボルバー拳銃を取り出した。
「帝政ロシアの制式拳銃だ。リボルバーで7発装填できるのが珍しいやろ」
シリンダーを倒して、七つの穴を見せて自慢げにそう言う。
「で、俺のは第二次大戦時のイタリアの拳銃や。ベレッタM1935」
佐伯も、ナップザックの中からオートマチック拳銃を出してそう言った。
「尚典、おまえの武器は何や?」
「いや、それが」
尚典は自分のナップザックの中から、赤い柄のアーミーナイフを取り出した。
ビクトリーノックスのキャンパーだ。
「何やこれ。栓抜きとかワインオープナーとかのついてる折り畳み式の多機能ナイフやん。
ブレードも小さいし鍔もないし、こんなもん武器として使えんぞ」
「・・・別にいいじゃないですか」
「別にええけど、ワインオープナーなんかついててもじゃまなだけやろ。おまえ、酒飲まんし」
「ワインを飲むことがあるかも知れないじゃないですか」
尚典はむっとして、コップを手に取ると酒を一気に飲んだ。むせて少し咳き込んだ。
「尚典さんのなんかまだいいですよ。俺のなんか、ただのハサミですよ」
一徳がナップザックから、小学生の文房具のような小型のハサミを取り出した。
佐伯と中村が、それを見て指をさして笑っている。
14597:02/07/05 23:16 ID:BF9mhSJW
食堂の前の路上で、5人の子供が相撲を取って遊んでいた。
「ガキの相撲でも見るか」
佐伯がそう言って立ち上がったので、尚典も続いた。
子供はいずれも幼稚園児から小学低学年ぐらいで、ひときわ骨格のしっかりした子供が
圧勝を収めているようだった。
「おー、そこのガキ強いなー。おっちゃんと相撲取るか」
「なんだ、おれとすもうを取りたいのか」
子供はそう言って佐伯に果敢に向かって来たが、簡単に倒されていた。
「佐伯さん、大人げないことしないでくださいよ。こういうときは突っ張りを受けてやるもんでしょう」
尚典はそう言って、子供の突っ張りを受けてやることにした。腹を掌手で突かれて、
先ほど飲み慣れない酒を飲んだのが胃の中で逆流しそうになって、気分が悪くなり
その場に座り込んでしまった。
「何や尚典、子供に負けてるやん。よし、そこの子供、尚典に勝った記念に名前を聞いてやろう」
「おれの名前は納谷幸喜だ。5歳だ」
「へー、5歳には見えんな」

敷香が生んだ最大の英雄、納谷幸喜。のちの第47代横綱・大鵬幸喜だ。幕内通算746勝の記録を打ち立て、
「巨人、大鵬、卵焼き」という当時の大洋ファンにはあまり面白くない言葉が人口に膾炙する。
14697:02/07/05 23:17 ID:BF9mhSJW
またナップザックの中で、モバイルがメールの着信音を発した。
古木克明はその音に飛び上がった。古木は顔とTシャツに返り血を浴びたまま、
荒れ地を走っていたのだ。
荒れ地には、霧はまだうっすらと残っていた。古木は丈の高い草の間に座り込んで、
ナップザックからモバイルを取り出した。
今回のメールには、画像がついていた。
『☆☆☆最新の情報をお届けするメルマガ☆☆☆
みなさん、元気に殺し合ってますか? 最新の死亡者情報をお届けしましょう。
神田大介さん(背番号47)が亡くなりました。死因は腹部刺傷による失血性のショック死の模様です。
内川聖一さん(背番号2)に続いて、2人目ですね。
それから、本日の禁止エリアをご連絡します。東部縦貫線の線路の東の、500メートル四方の範囲です。
詳しくは地図をご覧ください。いまこの範囲内にいる方は、すみやかに退去しましょう』
メールについていた地図上に赤く塗られた範囲があり、それが禁止エリアなのだろうとは思ったが、
現在地が把握できない古木にそのような説明をされてもしょうがない。
神田はやっぱり死んでしまったのだ、と思い、古木は泣きたくなった。
俺が殺した。俺はチームメイトを殺してしまった、殺人犯だ。
ジーンズのポケットには、圏外を示したままの携帯電話が入っていた。携帯電話には
恋人の女性と一緒に撮ったプリクラが貼られており、古木はそのプリクラに向かって話しかけた。
「どうしよう。俺、神田さんを殺しちゃったよう。俺、殺人犯になっちゃったよう」
プリクラの彼女は、何も答えてくれない。いや、答えてくれないほうがいい。
古木くん、人殺しになっちゃったの。嫌だ、近寄らないで、などと言われたら・・・。
古木は激しく首を振った。殺人犯の俺が、どの面下げて彼女に会おうというのだ。
そのとき、巨大な虫の羽音のような異様な音が近づいてきた。
「あ、あれは・・・」
古木はその場に固まった。うっすらとかかる霧の向こうに、羽音の正体が浮かび上がった。
14797:02/07/05 23:19 ID:BF9mhSJW
上空に羽音を響かせて、巨大な甲虫のようなものが浮かんでいた。
それが陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターAH-1S「コブラ」だ、と気づくまでに、一瞬の間があった。
「はーい、いまから禁止エリアの一斉爆撃を始めますよー。禁止エリアにいる方は、
危険ですから逃げてくださいねー」
ヘリのどこかにスピーカーがついているのか、航空機に同乗していたTBSアナウンサーの声が響いてきた。
戦闘ヘリが荒れ地に何かを落とした。火柱が上がり黒い煙が広がった。草が焦げる臭いがした。
古木は呆然とヘリを見た。ヘリは低空を飛び、その窓の中にベーカムのビデオカメラが
あるのが分かった。ビデオカメラのボディには「TBS」のロゴが浮かび上がっている。
古木の目の前に焼夷弾のようなものが落ちた。
「うわっ!」
一瞬目くらましになった。目の前に黒煙が広がっていた。古木はあわてて踵を返した。
走り出した。背後で爆弾のようなものが落ちる音がした。草の焦げる臭いが広がる。
古木は走りながら後方を見た。古木の斜め後方の上空に戦闘ヘリがおり、なぶるように
古木の近くに威嚇攻撃を続ける。火柱と黒煙。ビデオカメラのレンズが舐めるように古木の姿を狙う。
あいつら、俺が逃げまどうのを面白がってるんだ!
腹立たしくて悔しくて、泣きたかった。
目の前に土手があった。古木は土手を駆け上がった。土手の上は単線の線路になっていた。
土手の上で振り返ると、戦闘ヘリは羽音を響かせて古木のすぐ斜め上方にいた。
戦闘ヘリは攻撃の手を止めていた。
14897:02/07/05 23:20 ID:BF9mhSJW
ヘリの中のビデオカメラは、しばらく古木の姿をフォーカスに収めていた。
実際にどのぐらいの時間だったのかは分からない。古木には長い時間に思えた。
やがてヘリは針路を変えた。古木の頭上を旋回するようにして、北の方角に飛び去った。
古木は一瞬呆然として、次に自分が禁止エリアの範囲外に出たことに思い当たった。
ヘリは禁止エリアを越えては攻撃してこないのだ。
線路の上でへたりこんでいると汽笛が聞こえ、古木はあわてて立ち上がった。
北の方角から、黒い物体が線路上を突進してきていた。古木は線路から飛び退いて、
土手の斜面で伏せた。
「デコイチ・・・?」
黒い巨大な蒸気機関車がゆっくりと古木の前を横切った。古木は蒸気機関車といえば
デコイチしか思いつかなかったのでそう口走ったのだが、蒸気機関車は実際にD51-7だった。
自衛隊の最新鋭戦闘ヘリを見た直後に蒸気機関車が現れ、古木は混乱した。
徐行運転しているそれは、貨物車を何両も長々と連結していた。戦闘ヘリの爆撃を目にして
警戒のために徐行しているのだろうか。
貨物車は古木の前で、止まらんばかりのスピードになった。目の前に鉄製の足場があった。
材木を積んでいる貨車の、階段状の足場だ。
観覧車に乗るよりも簡単だった。古木はぼんやりとしながら、貨車に積まれた材木の上に乗っていた。
古木には、この先どうしようという考えがあったわけではなかった。ただ、自分は二度と
MM21のコスモワールドの観覧車に彼女と一緒に乗ることはないのだなあ、と、ぼんやりと考えていた。
汽笛が鳴った。古木を乗せたD51の牽引する貨車は、敷香の街を目指して少しスピードを上げた。
149代打名無し:02/07/05 23:25 ID:BF9mhSJW
で、第4回。今回何か状況説明ばかり多くていかんなー。
ついでに、京都出身で名古屋の生活の長かったヴォケ志さんはどーゆー言葉で
しゃべるのかよく分からなかったので、「ヴォケ志さんはこんなしゃべり方は
しない!」と思われる方もいるかと思いますがスマソ。
まああまり細かいことは気にせず、この場に及んでも彼女のことしか考えてない
ナイファでも見てマターリしてもらえればうれしい。
150代打名無し:02/07/05 23:37 ID:g87qK96j
>>97さん
スゴスギ
正直新機軸満載で「バトロワパロ」の枠を越え始めました・・・
つーか普通に文章上手い。

これからもがんがって下さい。
151代打名無し:02/07/05 23:48 ID:7cNOfyya
97さんおつです。
今までにないパターンのバトロワでおもしろいです。
マターリしつつ楽しみにしています。
152代打名無し:02/07/06 05:31 ID:lYFwyCqf
ナイファでマターリあげ。
153代打名無し:02/07/06 23:19 ID:MSuWDcm2
いま圧縮ありますた。500残しで478番です。って、ぎりぎりじゃん。
というような状況なので、こまめに保全推奨。
154代打名無し:02/07/06 23:28 ID:PtlZ5F5m
さっそく保全あげ
155代打名無し:02/07/07 06:50 ID:276iQP4N
朝の保全あげ。
156代打名無し:02/07/07 11:11 ID:0S9wWtQO
軍事ネタが多くて面白いなあ。
本当に「職人」が降臨したって感じ。
157代打名無し:02/07/08 07:56 ID:7Glllnnq
捕手(ヴォケ志さん)age
158代打名無し:02/07/08 09:48 ID:c8qhYRYD
あげ
159代打名無し:02/07/09 03:54 ID:Q5ZvVESy
期待アゲ
160代打名無し:02/07/09 14:51 ID:IATHgoKX
あげ
161代打名無し:02/07/09 14:51 ID:jK6xhNnG
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キタ━━━( ゚Д゚)━━( ゚Д)━━(  ゚)━━(   )━━(゚  )━━(Д゚ )━━(゚Д゚ )━━━!!!!!
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162???:02/07/09 17:14 ID:Xkuxk78x
あげ
163藁た:02/07/10 00:41 ID:k8OT4+yJ

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キタ━━━( ゚Д゚)━━( ゚Д)━(  ゚)━━(   )━━(゚  )━(Д゚ )━━(゚Д゚ )━━━!!!!!
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164代打名無し:02/07/10 16:01 ID:qq6tBsYI
ずれてるぞ(w
165代打名無し:02/07/10 17:45 ID:B+OLIH8o
しばらく見ないうちに進んでるぞ!
ヴォケさんのしゃべりはイントネーションが微妙に関西って感じかな?
97さんの書いたかんじでよいとおもうよ。
166代打名無し:02/07/10 20:30 ID:PG1hHrvN
167代打名無し:02/07/11 07:54 ID:f+x/1v1s
朝あげ
168代打名無し:02/07/11 09:11 ID:OF1mJ5T/
age
169代打名無し:02/07/11 20:30 ID:zDGxE0e5
文章内の「ナイフ」って言葉が「ナイファ」に読めて仕方ない
170代打名無し:02/07/11 20:35 ID:3SF1C3qr
age
171代打名無し:02/07/12 19:24 ID:kpGPheem
age
172代打名無し:02/07/12 23:28 ID:5WIe1LmM
あげ
173代打名無し:02/07/12 23:44 ID:XOa6p0VI
ぽn
174代打名無し:02/07/12 23:46 ID:f8EqURLk

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17597:02/07/13 09:36 ID:K1quWswL
稲嶺茂夫(38)は走っていた。
すぐ横にはキスゲの花の群落があって荒れ地を華やかに彩っているのだが、稲嶺は気づかない。
神田大介(47)が死んでいた。腹から血を吹いて。そしてその傍らには、血のこびりついた平べったいナイフが
投げ捨てられていた。
航空機の機内に誰だか分からない首のない死体があったのも、航空機が爆破されるのもこの目で見た。
しかしそのとき、稲嶺には現実感は希薄だった。
いきなり殺し合いをしろと言われて、誰が現実感を持てるものか。
しかし神田は死んでいた。違う、殺された。同じチームの誰かに。
チーム内で、あいつは気に食わない、と思うことはあっても、誰かを殺したいほど憎んでいる選手など
いないだろう。少なくとも稲嶺はそうだ。誰かを殺したいと考えたことなど一度もない。
しかし「殺し合え」と命令されて、それに従う選手がいた。少なくとも1人。
俺のようなお人好しが少数派で、みんな簡単に他人を殺すようなやつらなのか!?
そのとき、10メートル横のくさむらが、ゴソリ、と動いた。稲嶺は反射的にしゃがんだ。
しゃがみ込んだときに、キスゲの黄色い花が初めて視界に入った。
17697:02/07/13 09:37 ID:K1quWswL
10メートル脇のくさむらは稲嶺のほうをうかがうように、ごそごそと動き続けている。
稲嶺は肩にかけてあったナップザックを抑えた。固い感触があった。動き続けるキスゲの群落をうかがいながら
片手で取り出す。
ルガーP08。それが稲嶺に与えられた武器だった。スライド部分からバレルが長く突き出し、
その部分とグリップの角度が120度ぐらいありそうな、独特のフォルムを持つオートマチック銃。
脳裏に血を吹いて倒れている神田の死体がよみがえった。
稲嶺は無意識のうちにセフティを解除していた。
拳銃を持った左手を前に突き出し、右手を添える。
殺らなきゃ殺られるのだ! トリガーにかかる指が震えているのが、自分でも分かった。
稲嶺は目を閉じて、思い切りトリガーを引いた。
乾いた音がした。同時に強烈な反動がきて、いいかげんなしゃがみ方をしていた稲嶺は
尻もちをついてしまった。弾丸はあさっての方向に飛んだようだ。
一瞬呆然としかけた稲嶺の弛緩を、破裂音が壊した。相手が撃ち返してきのだ。
弾丸が自分の頭上を飛んだ、その事実に稲嶺は頭に血が上った。
相手は俺を殺そうとしている。だったら俺はそいつを殺してもいいはずだ。これは正当防衛だ!
「うりゃあああ!!」
稲嶺は脇のくさむらに飛びかかった。
17797:02/07/13 09:38 ID:K1quWswL
脇のくさむらはいくらか低地になっていた。上から飛びかかっていった稲嶺のほうが有利だった。
相手がびっくりした表情で稲嶺を見上げた。村西哲幸(36)だった。稲嶺は村西にのしかかり、拳銃のグリップで
相手の額を思い切り叩いた。村西は小型のポケットピストル、ベレッタM20を手にしたまま額を抑える。
稲嶺は容赦なく、拳銃のグリップで相手の手ごと打ちつける。村西の手からポケットピストルが落ちた。
「俺を、俺を殺そうとしたなっ!」
稲嶺は相手の顔や頭を打ち続けた。村西の咽が、ひえっ、ひえっ、と鳴った。
相手の抵抗力を完全に奪ったと思えたところで、稲嶺はルガーを構えながら立ち上がった。
「俺を殺そうとしたなっ! これは正当防衛だ、殺してやるっ!」
そうわめきながらも稲嶺の歯はがちがちと音をたてて鳴っていたが、歯を食いしばり尚してトリガーを引いた。
また撃った反動でよろけた。至近距離なのに外してしまった。村西が頭を抱えて、すすり泣いている。
今度こそ、と思い稲嶺は足を踏ん張った。乾いた音が響きわたった。
村西の頭部が割れて、血と一緒に脳の一部のようなものが飛び散った。
稲嶺は拳銃を下ろして、肩で大きく息をついた。そのとき。
「稲嶺おめー、さっきからうっせーな。飯のじゃまだ。ちっとは静かにしろ。でないと殺すぞ!」
ごく近くで男の声が聞こえた。稲嶺は一瞬飛び上がった。
「誰だ!」
稲嶺はルガーを構えながら、声のほうに慎重に進んだ。
くさむらの一部が踏み固められて、三畳ばかりの空間をつくっていた。
石井琢朗(5)が銀色のエマージェンシーブランケットの上にあぐらをかいて座り、幕の内弁当を食べていた。
17897:02/07/13 09:39 ID:K1quWswL
何とも異様な光景だった。琢朗はスーツ姿でネクタイも締め、まるで勤務時間中にさぼっている
営業マンのようないでたちで、くさむらに座り込んで幕の内弁当を食べているのだ。
ご丁寧にも、傍らには黒いアタッシュケースまである。その上にオートマチック拳銃が
置かれてあるのに気づいて、稲嶺は歯を食いしばり直した。
俺は既に1人殺している。その事実が稲嶺の気を大きくさせていた。
稲嶺は高笑いをしようとした。口元がひきつって、こわばった表情になっただけだった。
「死ぬのは琢朗さんのほうですよ!」
俺は既にセフティを外した銃を構えている。たとえ琢朗が銃の扱いに慣れていたとしても、
銃を構えてセフティを外すまでには一定の時間がかかる。
どのくらいの反動が来るかは分かった。この距離ならもう外さない。俺の勝ちだ!
稲嶺は頬を引きつらせたまま、トリガーに指をかけた。
「え?」
琢朗の右手から割り箸が滑り落ち、肘から先が返ったと思った次の瞬間。
腹を殴られたような衝撃があった。視線を下にやると、自分のTシャツの腹の部分に
血がにじんでいるのが見えた。血の面積は、どんどん広がっている。
「何で・・・?」
もう1発破裂音が来た。今ごろになって、腹を中心に全身に痛みが広がった。自分の全身が
ガタガタと痙攣を始めて抑えがきかない。手からルガーが滑り落ちた。
琢朗が拳銃を構えたまま立ち上がった。無表情でこちらに歩いてくる。稲嶺の正面まで歩いて来た。
稲嶺は口に銃口を突っ込まれた。
「うぐぐぐ・・・」
「よー稲嶺、おめー自分が先に撃てると思ってたんだろ。この銃の説明してやっからよ、よーく聞いてろよ。
これはよー、ヘッケラー&コックP7って拳銃で、グリップの前についてるこのでっぱり握るだけで
いつでもすぐ撃てんだよ。セフティ外す必要ねーんだよな。近くで見せてやっから、冥土のみやげに
よーっく見ておけよな」
拳銃のグリップの前部には、確かにでっぱりのようなものが見えた。琢朗がそれを握り込んだ。
乾いた音と同時に、稲嶺の意識は途切れた。
17997:02/07/13 09:41 ID:K1quWswL
20メートルばかり横のくさむらが大きく揺れ、若い男が立ち上がった。
「う、うわわわわわ!!」
男は西崎伸洋(65)だった。踵を返して逃げ出そうとした。琢朗はその背に2発の銃弾を撃ち込んだ。
西崎が背を赤く染めて倒れた。
琢朗は大きく息をつき、H&Kを握った右手を大きく振った。そのとき。
「殺戮は楽しいか、琢朗」
斜め後方から男の声が聞こえた。琢朗は首を傾げるようにして、声のほうを見ながら言った。
「俺を変態呼ばわりしないでくださいよー、野村さん。俺だって好きでやってるわけじゃないっすよ」
「そうか? 結構楽しそうに見えたけどな」
視線の先の野村弘樹(21)はフィールドコートに登山用リュックといった完全なアウトドア装備で、
その左手にはCz75が握られ、琢朗に照準を合わせている。
18097:02/07/13 09:42 ID:K1quWswL
琢朗は少し笑って、野村のほうに向き直った。
「俺を殺したいなら、殺したらどうですか。その代わり、野村さんが責任もって全選手を
処分してくださいよ。野村さんも俺と同様、球団精算事業団の所属じゃないですか」
野村の構えは、先ほどのへっぴり腰の稲嶺のそれとは全然違う。重心のしっかりした、
射撃の訓練を経てきた者の構えだ。
「きのう球団事務所で2つの拳銃見せられて、人気のあるCz75に見向きもせずにヘッケラー&コックを
鷲掴みにしたのは、スクイーズ・システム狙いだったのか。殺戮が趣味のやつはさすが視点が違うな」
琢朗が、グリップ前方のでっぱり、と表現した部分がH&KP7最大の特徴であるスクイーズ・コッカーと
呼ばれるものだ。
「落っことしても暴発することないし、いい拳銃っすよー。俺も野村さんぐらいの体格あれば
Cz75とかブローニング・ハイパワーとかといった1キロ近い拳銃も扱ってみたいっすけどね、
俺ぐらいの体格ではなかなか」
「稲嶺も西崎も、将来のある若者だった」
「村西も入れてやってくださいよー。殺したのは稲嶺ですが。まあ連中はどのみち大して球団の役には
立ってなかったと言えば、立ってなかったし」
「稲嶺は今年の前半戦に限っていえば、俺やおまえよりは役に立ってたんじゃないのか。
役に立たないから殺されてもしょうがないというなら、俺が真っ先に殺されそうだな。
そして琢朗、俺を殺したあとにおまえも自分の成績を反省して自殺しろ」
18197:02/07/13 09:43 ID:K1quWswL
「役に立ってようが立ってなかろうが、全員処分なんですよ。それが俺と野村さんの仕事でしょう」
琢朗は少しいらついていた。野村、おまえは何で正義漢ぶってるんだ。俺に汚れ仕事を
無意識のうちに押しつけているくせに!
「野村さんも仕事を一度受けた以上は、ちゃんと遂行してくださいよー。俺ひとりに
押しつけないでくださいよ。
野村さんが仕事しないから、俺が代わりに自分の手を汚してるだけですからね」
その言い方で、さすがに野村も気づいたようだ。うっ、と言って黙り、Cz75を持った手を下ろした。
野村は無言で踵を返した。そのまま歩き去ろうとする野村の背に、琢朗は声をかけた。
「野村さん、弁当食いましたー?」
「食ってない」
野村は背を向けたまま答える。
「上敷香の現地事務所行って、もらってくればいいですよ。今日の弁当、旨いっすよー」
18297:02/07/13 09:44 ID:K1quWswL
野村の背を見送ってから、琢朗は側に生えていた3本のキスゲの花を摘んだ。
頭と腹から血を流して死んでいる稲嶺の体の上に、1本のキスゲを置いた。
「稲嶺おめーよー、自分が9パラ装填した銃を撃って、相手が25口径で、正当防衛成立すると
思ってんのかよ。ばーか。とか言ってももうしょうがねーな。
去年投げれなくて苦労して、今年やっと何とかなってきたとこだったのにな。
まあ運命と思ってあきらめろや」
次に琢朗は、銃弾で頭を割られた村西の死体の側に行き、その体の上にキスゲの花を置いた。
「村西おめーはプロに入ってからろくなことなかったな。甲子園の人気選手だったのになー。
こんな糞球団に来ず、在阪球団にでも入ってればよかったな。今更言ってもしょうがないか」
続いて琢朗は、背を赤く染めて死んでいる西崎の側に立った。肩に手をかけてあおむけにさせて、
その体の上に同じようにキスゲの花を置いた。
「西崎おめーは1軍に上がれないまま死んじまったな。おめーのことは、多分マニアックな
ファンしか知らねーんだろーな。
でもよー、タイトル取ったことのある野村さんも俺も尚典も、元の世界の連中からは
みんな平等に忘れられていくんだ。
これから先の地獄を見ずに済むだけ、俺よりおめーのほうがマシかも知れねーな」
西のほうで爆撃を行っていた戦闘ヘリコプターAH-1S「コブラ」が、爆撃を終えて大きく旋回して
こちらに向かっていた。琢朗はスーツの内ポケットから、携帯電話に似た形の探知機を取り出した。
この探知機はヘリに向けて信号を出せる機能もついていた。
今日は疲れた。上敷香の現地事務所に行って、風呂にでも入って眠りたい。
琢朗から発せられた信号を受けて、頭上の「コブラ」が着陸態勢に入った。
183代打名無し:02/07/13 09:45 ID:K1quWswL
第5回。つい先日まで資料が全然足りず、どーしよーかと思っていたんだが
続々資料が集まってしまった。50度線(国境)付近での戦闘経過概要図まであるぞ!
で、なまじ資料が集まったら、これまで書いた部分のミスも続々判明してしまいますた(w
たとえば「現在地」は敷香の北で想定してたのですが、敷香以北は地盤が弱いため、
D51みたいなでかい機関車でなく、小型のC12とかC56が走ってたようです。
まあ細かいことは気にしないようにしよう。

>>165
情報サンクス。

>>161 >>163 >>174
何だ、戸叶も出演したいのか。
樺太名物ツンドラ饅頭(実在!)の店番のオヤジの役とかなら、回してやってもいいぞ。
184代打名無し:02/07/13 13:13 ID:khv5wg8X
ついでに進藤も!
185代打名無し:02/07/13 20:21 ID:s8mSpBXb
タクローなかなかワルそうでいいね!
頭をうった描写がなまなましい…
頑張ってちょ!
週末のお楽しみにしてますよ。
186代打名無し:02/07/13 23:08 ID:YidHeQST
ファンなのに村西と西崎知りません。
187代打名無し:02/07/13 23:17 ID:lhQVOL9w
良スレ。
188代打名無し:02/07/13 23:20 ID:MX+cxovB
超スレ
189代打名無し:02/07/14 02:01 ID:qwouYMxt
>>186
西崎はここのところの捕手問題で、本スルで何度か名前が上がってたと思う。
村西は高校(比叡山高)時代のほうが有名だったね。
ベイスターズに入ってからは故障がち。
1902軍マニア:02/07/14 03:12 ID:BbkVo47h
ノブがアサーリ氏んでしまったよ(;´Д`)

でも97氏、文章(゚Д゚)ウマー
続編楽しみにしてまつ。
191キヨパラ:02/07/14 21:14 ID:nRrYhGfk
あげるん♪
192代打名無し:02/07/14 23:56 ID:ZxyxzjJ1
ageage
193代打名無し:02/07/15 21:07 ID:xR5ixSx6
あげるぞ
194代打名無し:02/07/16 07:36 ID:DLS8ewDV
あげてさしあげましょう
195キヨパラ:02/07/16 19:13 ID:Faw/pLIl
sageないでageよう
196代打名無し:02/07/16 22:01 ID:OtKCGklb
age
197代打名無し:02/07/17 16:57 ID:PGOPLIis
age
198代打名無し:02/07/17 22:27 ID:H4llBI7K
あげ
199キヨパラ:02/07/18 10:51 ID:PLaQklBK
sageないでageよう
200代打名無し:02/07/18 15:24 ID:2rm27E4K
200
201代打名無し:02/07/19 06:26 ID:jCcYxs6Z
あげておこう。
202代打名無し:02/07/19 10:42 ID:pZYTQw5l
age
203代打名無し:02/07/20 01:36 ID:jXBWHtww
週末あげ
204代打名無し:02/07/20 08:23 ID:ezbpNgn4
糞試合見るよりおもしろい。
楽しみにしています
205代打名無し:02/07/20 21:30 ID:sdPWbwuW
大逆転勝利age
206代打名無し:02/07/21 05:48 ID:l5od9jD7
朝の保全あげ
20797:02/07/21 07:44 ID:9YhB21KD
頭上の戦闘ヘリコプターAH-1S「コブラ」のプロペラ音が完全に消えてから、
相川亮二(59)は顔を起こした。
「行った、みたいっすね」
隣で同じようにくさむらに顔を伏せていた鶴岡一成(57)が、相川に声をかけた。
「うん」
相川は立ち上がってジーンズの膝についた土を払った。鶴岡も同じようにした。
「西崎い、何で飛び出してってしまったんだよー」
相川は西崎伸洋(65)の死体の側に立って言った。自分の脇で同じように伏せていた西崎が
目の前で行われている殺戮に耐えられず、パニックを起こして飛び出していってしまったとき、
そして背に銃弾を浴びた西崎が自分の横に倒れてきたとき、相川は何もできず
目を閉じて耳をふさぎ、顔を地面に擦りつけていただけだった。
航空機を出てから、3人で励まし合いながら行動を共にしてきたのだ。
それでも、鶴岡がいなければ自分も撃ち殺されていたかも知れない。逃げましょう、と小声で言った
鶴岡の言葉に我に返り、匍匐前進で少し離れたくさむらに身を隠した。
「琢朗さんはこっちに気づいてたように見えたんですけど、見逃してくれたんですかね」
その鶴岡の言葉を、相川は即座に否定した。
「いや、そうじゃないと思う」
20897:02/07/21 07:45 ID:9YhB21KD
ヘリに乗り込む前に、石井琢朗は冷ややかな目でこちらを一瞥した。相川たちの存在に気づいていたにも
関わらず撃ってこなかったのは、拳銃の装弾数の関係だろう。H&KP7の装弾数は確か8発か9発、
現代のオートマチック銃では多いほうではない。こちらの人数と武器が把握できない状況では、
残り3発か4発の銃弾では攻撃しないほうがいいと判断したのではないか。
攻撃してこられなくて幸いだった。相川の武器はスーパーマーケットで売っているような果物ナイフ、
鶴岡に至ってはカッターナイフだ。ちなみに西崎の武器は長さ50センチばかりの棍棒だった。
琢朗と野村弘樹の会話の詳細まで把握できたわけではなかったが、彼ら2人が自分たちを「狩る」側の
立場であることは分かった。
そして、野村がいくらかの逡巡を見せているのに対し、琢朗が完全に開き直った様子であることも。
そのとき、相川のナップザックの中でモバイルがメールの着信音を発した。相川はナップザックを抑えた。
20997:02/07/21 07:46 ID:9YhB21KD
相川はナップザックからモバイルを取り出した。鶴岡が肩越しにのぞき込んでくる。
「あれ、鶴岡、おまえのモバイルは着信音鳴ってないの」
「そうみたいっすよー」
不審に思いながら、相川はモバイルの画面を見た。
『▲▲▲▲恐怖新聞web版▲▲▲▲
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「何っすか、これ」
鶴岡が呆れたような声をあげたが、相川は星のマークをクリックした。
『うっふっふ〜。見ちゃいましたね〜☆
では、オトクな情報をお届けしましょう。
でも、本当に寿命を1日縮めちゃっていいの?
▲オトクな情報その1▲食糧備蓄あります!
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カロリーメイトやドリンク剤など、食糧を特別配布中です。
場所の詳細は、下の地図を見てくださいね。
▲オトクな情報その2▲アブない人情報
神田大介さん(背番号47)を殺害したのは、古木克明さん(背番号33)です。
古木さんは南のほうに逃走中ですので、気をつけてくださいね。
それから、村西哲幸さん(背番号36)が何者かによって殺されました。犯人は分かっていません。
また、稲嶺茂夫さん(背番号38)と西崎伸洋さん(背番号65)が、
相川亮二さん(背番号59)によって殺害されました。
相川さんは現在も荒れ地に潜伏中ですので、みなさん気をつけましょう』
最後の3行を読んで、相川はモバイルを取り落としそうになった。
21097:02/07/21 07:47 ID:9YhB21KD
「これって・・・どういうことなんですか。だって、稲嶺と西崎を殺したのは琢朗さんじゃ・・」
鶴岡がかすれた声で言った。
「どうもこうもあるもんかっ!」
相川は思わず怒鳴ってしまった。怒鳴ってから、モバイルを手にしたまま頭を抱えた。
はめられた。琢朗があっさりと自分たちを見逃した時点で、おかしいと気づくべきだったのだ。
相川が頭を抱えていると、鶴岡が草地を一回りして戻ってきた。手にはルガーP08と、ポケットピストルのベレッタM20がある。
「稲嶺と村西が持ってた武器、回収してきましたよ。相川さん、ルガーのほう取ります?」
「いや」
稲嶺と西崎が射殺されている以上、9ミリパラベラム弾を装填するルガーP08を自分が持っていると
やぶへびになる可能性がある。
「ベレッタのポケットピストルのほうをもらう。それと、西崎が持ってた棍棒もらっていいかな」
相川はそう言って、ポケットピストルをつかんだ。
「それから、食糧備蓄してるところはここからすぐみたいだから、様子見に行ってみませんか」
鶴岡がそう言って立ち上がった。相川も辺りの様子をうかがいながら、ゆっくりと腰を上げた。
どのみち、この場所からは遠ざからなければならない。
21197:02/07/21 07:49 ID:9YhB21KD
食糧備蓄場所は、相川たちがいた場所からわずか200メートル東にあった。
30メートルほどの直径の円状に草地が踏み固められていて、その中央に台車があって
小分けされたダンボール箱が積まれていた。
「場所が近かったから、一番に来れたみたいっすね」
鶴岡がそう言って、ダンボール箱に近づこうとした。
「鶴岡、待て!」
逆側のくさむらの動く気配に、相川は短く叫んだ。
長身の男が立ち上がった。吉見祐治(22)だった。体の前に構えているのは、四角い箱から
バレルが飛び出したような、遠目からでもそれと分かる特徴的な拳銃、モーゼルM1896だった。
「人殺し!」
吉見はそう叫びながら撃ってきた。足元に弾丸が飛んできて、相川と鶴岡は飛び上がって後ずさりした。
「違う!」
相川は怒鳴るように言ったが、吉見は聞いていないようだった。また破裂音がした。
「相川さん、逃げましょう!」
その声に相川は踵を返して走り出した。吉見は執拗に追いかけてくる。背後で破裂音が続く。
鶴岡が一瞬立ち止まり、振り返ってルガーを撃つ。乾いた音は北の風に飲み込まれたようだ。
「うわっ、反動ばっかり強くて全然当たる気配ない、この銃」
「ルガーP08は反動の強いことで有名な銃だ。そんなものだ!」
相川と鶴岡は走る。そのゆくてを遮るように、脇のくさむらから影が飛び出してきた。
八馬幹典(61)が飛びかかってきて、相川は倒された。
「人殺し! 死ね死ね死ね!」
興奮状態の八馬は相川に馬乗りになり、手にした鉈を相川の顔めがけて振り下ろそうとする。
鶴岡が八馬の右手を後ろからつかみ、背に膝蹴りを入れて必死の形相で引きはがそうとする。
相川は八馬の体の下から這い出た。鶴岡が八馬に向かって撃つ。至近距離なのに当たらないのが
幸なのか不幸なのか分からない。
「ぐわあああああーーー!!」
相川と鶴岡の後を、八馬は奇声をあげながら追いかけてくる。いつまで逃げ続ければいいのかと
相川は思う。ただひとつだけ確かなことは。
俺は完全に「狩られる側」に回った。
21297:02/07/21 07:50 ID:9YhB21KD
「古木が・・・?」
中野渡進(52)はくさむらに座り込んで、ちょっと信じられない、という口調で言った。
「嘘じゃないですよ。俺見ましたもん。古木が神田さん刺し殺して、顔とTシャツ真っ赤に染めてるとこ」
谷口邦幸(46)がいささか興奮気味に、早口で反論する。
「でも古木みたいな性格で、そんな大それたことできるかあ?」
「気の小さいやつほど、追い込まれると大それたことやるもんっすよ、中野渡さん。
あ、何かメール入ってきてる」
横山道哉(43)がモバイルを手に言った。隣に座っていた中野渡と関屋智義(58)がのぞき込んだ。
「何だこの『恐怖新聞web版』って・・・あ、ほんとだ、古木が神田さんを殺したって書いてる」
関屋はそう言って、一呼吸おいて続けた。
「だいたい古木って、試合中に女ときゃあきゃあ騒いだりして、むかつきませんか」
「あー、あれ俺もむかついた。古木って本当に糞だと思った」
最初は慎重に構えている様子だった中野渡までが同調を始めた。黙って聞いていた竹下慎太郎(54)は、
さすがにたまりかねて口を開いた。
「おい、もうちょっとみんな冷静にならんか。もし古木が神田を刺したにしても、何か事情が
あったのかも知れんし、そもそも女といちゃつくことと神田を刺したことは関係ないだろ」
「えー、何で竹下さんは古木なんかの肩持つんっすかー」
横山が口を尖らせた。
21397:02/07/21 07:51 ID:9YhB21KD
竹下は何とか反論を試みようとしたが、他の4人は聞く耳持たないようだった。それどころか、
古木の守備が下手くそなせいで自責点が増えてむかつく、などということまでが槍玉に上がってしまった。
「古木こそ死ねばいいんだよな」
中野渡が言った。
「神田さんを殺した古木は、殺されてもしょうがないでしょう」
谷口が言った。
「目には目を、っていいますもんねー」
横山が言った。
「古木には死を、ですか」
関屋が言った。
「おい、ちょっと待てよ。みんな冷静になろうや。女とどうしたとか守備がどうとかということは
この件とは関係ないわけだし・・・」
竹下が最後まで言い終わらないうちに、横山が指をさしながら立ち上がった。
「あ、古木じゃないっすか」
少し離れたところに土手があり、その上は線路になっているようだった。蒸気機関車に牽引された
貨車の材木の上に、若い男の姿があった。そのTシャツが遠目からでも分かるほどはっきりと
血にまみれていたことは、古木にとっては致命的だ、と竹下は思った。その姿は案の定
4人をいっそう興奮させたようだ。
「死ね古木!」
「古木、殺す!」
4人は口々にそう言いながら走り出した。土手を駆け上がった。
「おい、待てよ!」
竹下はその後を追った。4人は蒸気機関車を追って、線路の上を走り出した。
「古木を殺せ!」
4人が口々に怒鳴る声は、まるでこだまのように北の大地に鳴り続けた。
214代打名無し:02/07/21 07:56 ID:9YhB21KD
第6回。全部にレスはつけないけど、感想レスは励みになるぞ。サンクス。

>>184 98年メンバーについてはちょっといろいろ考えてるので
マターリと待っててくれればうれしい。

>>185 タクローのワルっぷりは、自分でもなかなか気に入ってる(w
215代打名無し:02/07/21 08:28 ID:RBUfx1ZL
おお〜!
相変わらずいいです。
この調子でがんばってくださーい。

この状況で他の職人さんが混ざるのは無理かな・・・?
自分は書けませんが(汗
216キヨパラ:02/07/21 10:02 ID:5wBMTC5Q
ageageageでどうだ!
217代打名無し:02/07/21 12:19 ID:K/5OdGLi
おぉっ、なんだか大槻ケンヂチックな世界に…いいぞ職人さん!

ワタリたちのくだりを読んで大槻の
「必要ない、しょうもない人間を、Let's go hunting!(殺ったれ!)」
という詞を思い出してしもーた(W

マニアな話スマソ
218代打名無し:02/07/21 15:21 ID:eZFsMSkL
素晴らしい。
97さんの知識とアイデアがMIXで凄いオリジナルな感じです。
おもろい。
219184:02/07/21 18:04 ID:WYn7l52W
sunkus!
マターリと待たせていただきます。
220代打名無し:02/07/21 18:13 ID:KXdt4yyU
(・∀・)イイ!
221代打名無し:02/07/21 21:48 ID:FNTAtStg
web版恐怖新聞の罠イイね
222代打名無し:02/07/22 00:25 ID:BotXB55S
ワタリたちのやりとりと、一人反対意見を出す竹下。
イイ!!
223代打名無し:02/07/22 05:38 ID:S5ioi29K
トテモ(・∀・)イイ!
今季の弱すぎるベイを、球団削減と絡めて書いているのがジャストミート!!

序盤で出てきた鈴木尚と田中のその後が気になりますです。
224代打名無し:02/07/22 15:08 ID:lTLj9L2d
age

225代打名無し:02/07/22 21:49 ID:v3XN/+Au
夜あげ
226代打名無し:02/07/23 05:05 ID:0CwFyeXO
朝あげ
227代打名無し:02/07/23 17:20 ID:vFKAtftV
夕さげ
228キヨパラ:02/07/23 21:57 ID:pRMhNES7
夜のあげ
229代打名無し:02/07/24 03:29 ID:nZDJ921Z
夏休みはこまめに保全推奨
230代打名無し:02/07/24 09:20 ID:Er5ULxYE
保全ぽ
231代打名無し:02/07/24 18:23 ID:FPofeHUN
満塁あげ
232代打名無し:02/07/24 19:52 ID:vq190wyy
age
233キヨパラ:02/07/24 22:06 ID:lyfm2OYQ
アゲマSHOW!
234代打名無し:02/07/24 22:30 ID:wXN74RTm
巨人のバトロワってどこ?
235代打名無し:02/07/24 23:04 ID:V15O2tks
>>234
そんなことは巨人のスレで訊け。ここは横浜スレだ。
236代打名無し:02/07/25 02:43 ID:NSji1egm
スレッド一覧を表示して、Ctrl+Fで検索できるよん。
これ2chの常識、覚えておいてね。
237代打名無し:02/07/25 16:44 ID:xfPTD+v9
保全age
238代打名無し:02/07/25 19:12 ID:FGvw6vTx
しばらく見ない間に話が進んでいる。
職人さん、今週末の更新も楽しみにしています。
239代打名無し:02/07/26 02:31 ID:iAg4RF5U
夏休み中はこまめにage
240キヨパラ:02/07/26 14:23 ID:6rvdhevM
age
241代打名無し:02/07/26 20:03 ID:IDMJs+xk
楽しみだなあage
242キヨパラ:02/07/26 23:24 ID:RLCbIi2M
楽しみはage

243代打名無し:02/07/27 12:35 ID:x90xsOq2
ススキノあげ
244代打名無し:02/07/27 22:38 ID:R/uOifrT
age
24597:02/07/27 23:08 ID:kG+2/5Ym
球団事務所の看板が消えていた。
そこからほど近い横浜スタジアムでは高校野球の開催予定が掲示されているのみで、
次回のプロ野球開催のことも、それが中止になったので払い戻しはどうするといった要領も、
どこを見渡しても書かれていなかった。
チケット売場はシャッターで閉ざされ、熱く焼けたコンクリートの上には夏の陽射しと蝉時雨が
叩きつけられるのみで、人の気配はない。
スタジアム前の路上では福盛一夫が駅で買い込んだ新聞をボルボのボンネットの上に何紙も広げ、
見入っていた。川村丈夫が小走りに戻ってくると、顔を上げて困ったような表情を作った。
「どこにも何も書いてませんよ。スポーツ紙も、一般紙も」
「何も? 航空機墜落も、それが誤報だったという訂正も? ベイスターズ球場と合宿所の
売却のことも書かれてない?」
「見ますか」
福盛から手渡された神奈川新聞とスポニチを、川村は不審に思いながら広げた。ベタ記事のひとつも
見逃さないように丁寧に確認していったつもりだったが、それらしい記事を見つけることはできなかった。
「これって、ベイスターズが不人気球団だから航空機墜落の誤報が無視されたってことかな。それとも・・・」
川村は煮えたぎる真夏の太陽を見上げながら言った。恐らくベイスターズはマスコミに無視されて
いるだけだ。それとも、の先はあまり売れそうにないマンガのストーリーみたいな思いつきで、
そんな考えが頭をよぎってしまう自分はきっと疲れているのだ。
「神奈川新聞に電話してみますよ」
福盛は携帯電話を取り出して、新聞のロゴ脇に書かれた連絡先を見ながら番号をプッシュした。
「あ、横浜ベイスターズの担当の方をお願いします。真野記者でしたっけ・・・え?
プロ野球の・・・そうですか?」
福盛は電話を切って、困り果てた表情で川村を見た。
「横浜ベイスターズ、それ何? って言われました」
頭上の蝉時雨がいっそう大きく鳴った。
24697:02/07/27 23:09 ID:kG+2/5Ym
関内駅前のセルテ内のその店は、ベイスターズショップの看板を掲げてはいなかった。
ベイスターズ関連商品らしきものは見当たらず、代わりにMLBのレプリカユニフォームやTシャツが
所狭しと並べられていた。マリナーズのユニフォームをまとった佐々木主浩のポスターが変に目につく。
客は他におらず、キャッシャーのカウンターの中で店員の田辺学が暇そうにしていた。
川村は大股で近づいた。
「田辺さん」
いきなり声をかけられた田辺は、びっくりしたような表情を見せた。
「あ、お客さま、何かご用でございますか」
「田辺さん、僕が誰か分かりますか」
「え? 申しわけありません。私あまり顔覚えのいいほうではないもので」
「田辺さんは、以前はプロ野球選手でしたよね」
「いや、私は東京ガスで野球をしておりまして、そのころ確かにプロからの誘いもあったのですが
結局社会人で野球生活を終えまして、その後こちらに勤めさせていただいてるんですが」
川村は、田辺の表情に少しでも動きがないか懸命に探った。誰かにベイスターズなど知らないと言えと
いい含められているのか、それとも本人の記憶からベイスターズが抜け落ちているのか。
「田辺さーん、このポスターの人って、日本のプロ野球の選手でしたよねー」
福盛が店の入口に立って、店頭に貼られた佐々木のポスターを指して大声で声をかけた。
「あ、佐々木投手ですか。東北福祉大学を出てそのまま渡米してメジャーリーガーになった人ですよ。
最近は鈴木誠投手とか大家友和投手とか、日本のプロを経由せずに直接メジャーを目指す選手が多いですね」
24797:02/07/27 23:10 ID:kG+2/5Ym
「田辺さんの反応、どう思う」
ボルボの助手席に座って、川村は少し福盛のほうを見て言った。
「分かりませんでした。いや、正直言うと、田辺さん本当にベイスターズのこと
忘れ果ててるんじゃないかって思ったんですけど。でも自分が以前プロ野球選手だったことを
忘れ果てる人なんかいるんですかね」
福盛はそう言いながらステアリングから右手を外して、カーラジオを点けた。
『というわけで、今夜のオールスターの見どころを一挙ご紹介しますよー』
今晩行われるオールスターゲームの予告番組のようだ。
『そりゃやっぱりセ・リーグが有利ですよー。セ・リーグは何といっても7球団の大所帯、
巨人ヤクルト中日阪神広島西武ダイエーという顔ぶれ。それに対してパ・リーグは4球団、
日ハムロッテ近鉄オリックスですからねー。セ・リーグのスター軍団に対して
パ・リーグがどう意地を見せるか』
「いま何って言った!?」
川村は思わず怒鳴ってしまった。福盛が急ブレーキをかけた。路肩にクルマを停めて、
川村のほうにやや引きつった表情を向けた。
「川村さんの聞き間違いじゃないです。セ・リーグ7球団、巨人ヤクルト中日阪神広島西武ダイエーって、
そう言ってました」
24897:02/07/27 23:11 ID:kG+2/5Ym
カーラジオはオールスターの話題を続けている。
『日本のプロ野球球団は11球団、長らくセ・リーグ7球団、パ・リーグ4球団という球団数の
バランスの悪い事態が続いてきましたが、セパ両リーグに分かれてのオールスターも今年で
最後という話もありますからねー。
パ・リーグ4球団が合併して、来年は1リーグ8球団に球界再編成という話も出ています。
ともあれ出場選手にはがんばってもらいたいものです』
「横浜は、横浜ベイスターズはどこに消えた・・・?」
自分の声がかすれているのが分かった。ふと思いついて、川村は足元の鞄からモバイル機器を取り出した。
アダプタを付けて携帯電話につなぐ。
「川村さん、何見てるんですか」
福盛が手元をのぞき込んでくる。
「野球機構のサイト」
そのサイトのどこにも横浜ベイスターズの名は見られない。年度別成績のページにたどり着く。
1998年の成績、という文字をクリックする。指が震えているのが分かる。ページが表示される。
『1998年 セ・リーグ優勝 西武ライオンズ』
「・・・悪い冗談でしょう。ドッキリカメラの類とか。ねえ川村さん、そうですよねえっ!」
呆然とする川村の肩を、福盛がわめきながら揺すった。川村は何と答えていいのか分からない。
いま現在横浜ベイスターズが存在しない、のではない。この球団の記録は、過去に遡って抹殺された!
24997:02/07/27 23:13 ID:kG+2/5Ym
異様な光景だった。ゲートルを巻きサーベルを差した軍人たちが敬礼する中へ、陸上自衛隊の
最新鋭戦闘ヘリコプターが着陸していくのだ。
ハッチが開いて、スーツ姿の石井琢朗が飛び下りるように土埃のする地面に降り立つ。
琢朗は軍人たちに軽く敬礼をして、大股で脇の兵舎らしき建物の中に入っていく。
中根仁は、それを少し離れた針葉樹に覆われた小高い丘の上から、双眼鏡で見ていた。
双眼鏡はその兵舎のような建物の近くで、見張りの兵隊を後ろから殴って奪った。
琢朗と戦闘ヘリ「コブラ」と昔の陸軍軍人のような集団がどうつながっているのかは分からない。
だが、それが自分たちと敵対する勢力なのだろうと想像をつけた。チームメイトを疑って
面白いわけではないが、琢朗の首にはネクタイ以外の何も巻かれていないではないか。
航空機の中では、琢朗も自分たちと同じように首輪を巻かれて近くの席で寝ていた。
中根の首の周りには、顎をゆったりと覆うように鉛板が巻かれていた。丘の麓に使われていない小屋があり、
中には屋根の補修用と思われる鉛板の切れ端がいくつも落ちていた。針金もあったので、
首の周りに鉛板を巻いて針金でとめた。
最初は、爆発する可能性のある首輪に対して電波が送られてくるのを防げるのでは、と思って
鉛板を巻いたのだった。ところが、鉛版を巻いていない状態で兵舎に近寄ったときにはすぐに
サイレンが鳴り響き何人もの兵隊が飛び出して来たのに対し、巻いた後では兵隊はまるで中根に
気づく様子はなく、簡単に殴らせてくれた。この首輪自体が探知機になっているのでは、
と、そのとき思い至った。
それが腐りかけたような鉛板1枚で機能しなくなるのなら、何ともまぬけだ。
鉛は健康に悪いので内側にタオルを巻きつけて体に直接触れるのを防いでいるが、肩が重く感じられるのは
しょうがない。鉛中毒よりも首輪が爆発して首が吹っ飛ぶほうが、健康には悪いだろう。
25097:02/07/27 23:14 ID:kG+2/5Ym
丘の頂上には三角点が設置されており、その脇には「内川山」と書かれた小さな石標があった。
中根はその石標の上にペットボトルの水をかけた。
「なあ内川、おまえ死体も爆発してなくなっちまったんだよなあ」
航空機の機内で首をふっとばされた内川聖一の遺体は、航空機の爆発と共に消えてどこにも
残っていない。たまたま同じ名称だった丘のこの石標が、中根にとっては内川の墓標だ。
航空機の機内で、突然のあまりのことに自分がキレて暴れ出さなければ、内川があのような死に方を
することはなかっただろう。自分のせいで前途ある若者の将来が断たれた、と思うと胃のあたりが痛い。
中根は傍らに置いた荷物の山から刀を手に取った。鞘から抜いてみる。
刃長2尺2寸。あまりにあっけらかんと明るく冴えた直刃の刀で、その曇りのなさに最初は模擬刀かと
思ったほどだ。目釘を外してみると無銘だったが、そしてどう見ても現代刀だが、
反りは浅めながらバランスはよく、打ちもしっかりしていて、腕のいい刀工が丁寧に行った
仕事ぶりが見て取れる。柄部分のこしらえも全く乱れがない。
過去に実際に使用された有名刀工の手になる古刀よりも、無疵の分だけ頑丈に思える。
もうキレて感情のままに暴れるなどということはしない。俺は作戦のもとに動く。
針葉樹の合間から、遠くに兵舎と兵隊たちが動くのが見えた。
「はあっ!」
中根は刀を中段に構えて気合いと共に振り下ろした。
アカマツの葉が削げるように斬れて、揺れながら地面にゆっくりと落ちた。
251代打名無し:02/07/27 23:23 ID:kG+2/5Ym
第7回。「内川山」はあのあたりに実在。ちょっと場所ズラしてるけど。
それから知ってる人も多いと思うが、ほんものの野球機構のサイトには
98年の成績は載ってない。使えねーサイトだ(w

>>215 まあ本編は全部任せてくれ。サイドストーリーはやりたい人いるのかな?
こっちも自慢じゃないが2ch歴は長いんで(w 横浜で長文書いてる人数ぐらいは
把握してるけど、現在進行形過去形含めて人数少ないんだけどね。
252代打名無し:02/07/27 23:24 ID:Z9V+Qp6O
(・∀・)イイ!
253代打名無し:02/07/28 04:48 ID:AgVtK88W
おお、新展開キタ-

球団すら無かった事にしてしまうくらい、今年のベイは酷い、と(笑
254代打名無し:02/07/28 09:53 ID:cooq4dFW
横浜の勝率.350、イチローの打率.363
255代打名無し:02/07/28 09:54 ID:5mwBljtB
98年の優勝は西武だったのですね?
もう最下位でも悔しくな〜いw
また来週
256代打名無し:02/07/28 11:45 ID:FABx3jE8
田螺下もきっと最初からチュニチに指名されたことになってんだろな(W
257代打名無し:02/07/28 22:34 ID:tb0n2OwB
バワたん勝利あげ
258代打名無し:02/07/29 07:11 ID:510bmZ38
田辺にすら、そんな球団に在籍した過去を
なかったことにされてしまうベイスターズ萌え〜(w
259代打名無し:02/07/29 07:44 ID:a64M+T0+
いつの間にそんなに勝率が上がったのか
260 :02/07/29 11:28 ID:4r8XkCKM
今日見つけて読んでみたんだけどソ連が正式に南樺太に侵攻したのは1945年8月11日の午前10時だったはず…
砲撃が開始されたのは8/9の午前7時30分だけど…

だからカレンダーが8/9で明日ソ連軍が侵攻するってちょっと不自然だな…
261キヨパラ:02/07/29 19:10 ID:3h7n+HQn
期待age
26297:02/07/29 23:32 ID:XUD2K0h0
>>260
8月10日には国境近くの半田にソ連機合計17機が来襲、爆弾を投下している
(大した被害は出なかった模様)。
史実との照合を言い出すと8月9日は樺太中部の天候は悪く、
一部では土砂降りだったのだそーだ。
この件に興味があるなら、web上ではあまりいい資料がないので
防衛庁の戦史室が出してる資料にあたってみるとよろし。

もっとも、書き始めた時点ではろくな資料が手元になかったので、
いろんな部分でかなりの矛盾点は出てる。
今後どう整合性を合わせていくかが頭の痛いとこだったりもするのだが(w
まあ疑問点などあったら、率直に書き込んでくれ。軍事ヲタな人からの情報提供も歓迎。
263代打名無し:02/07/30 03:27 ID:VjWkOwHM
ageるぞ
264代打名無し:02/07/30 08:43 ID:unU2+PfP
保全だ
265代打名無し:02/07/30 11:01 ID:3GVByD7Q
>97さん
ベイファン歴10年くらいの者ですが、これカナリ面白いですね。
マンセー!
これからも期待しております。
266キヨパラ:02/07/30 23:31 ID:ciNHUAiH
age
267米ふぁん:02/07/31 01:13 ID:40vGCIAq
>>97

文章書くの上手だね。今日初めて見つけて一気に読んだ。
だいぶ大やぶ小説を読んだか…?

保守あげ
268代打名無し:02/07/31 08:48 ID:nf1w2NeG
定期保全

昨日の件もあり

          \         タネタネ               /
            \       ( ´〜`)≡=-.        /
             \      U┌/ )□≡=-.     /
        ウフフタネ   \    ◎└彡−◎≡=-   /
     ( *´〜`)       \     ∧∧∧∧    /  -=・=-     -=・=- \
    /    。)`⌒\_    \  < タ     .> /                 |
   / /_ 。)  >、  \ニ-_  \< ネ 激  .>/|                 |
    |__つー-―ヽ、 __,____つ < タ    >   \      / ̄\_/  ノ
―――――──―――――――< ネ  し  >―――─――――――――
                      < な    >
                      < 予  く  >
                   / < 感   . >\      (;´〜`)タ、タネ!
        ( ・_・)y--~~ /  <      .>  \   (( (  つ つ
   ( ´〜`)( ,,ノ     /     ∨∨∨∨    \    ),ィ⌒(;`ε´)アアン
  (  つーo皿     /     ( ´〜`)<      \ (_(__人__,つ 、つ
  (_ ̄)'^◎    /       (    )          \
  |/(_)     /        | | |            \
 ◎       /          (__)_)            \

と言う事でよろしいか?
269キヨパラ:02/07/31 08:48 ID:/Uxiqk3d
age
270代打名無し:02/07/31 14:19 ID:EIaXyhVr
この程度のことはご存知と思いますが
ttp://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/6514/gunji.html
あんまり役立たないな・・・
271代打名無し:02/07/31 21:33 ID:NaCnyWNh
age
272代打名無し:02/08/01 06:37 ID:i1jIQd8z
ageるぞ
273キヨパラ:02/08/01 10:07 ID:9sH63XIG
age
274代打名無し:02/08/01 19:53 ID:hDX3Td+X
mange
275代打名無し:02/08/02 13:19 ID:E7bn5UFF
保護ちゃんです
276代打名無し:02/08/02 17:39 ID:G0OTgzrj
age
277代打名無し:02/08/02 17:49 ID:hIM38IKf
sage
278キヨパラ:02/08/02 21:54 ID:TN21+APc
age
279米ふぁん:02/08/03 00:52 ID:JJfbHfQV
続きは〜?
280代打名無し:02/08/03 11:29 ID:9vECcGqU
ageるぞ
28197:02/08/03 11:53 ID:yTwlgEy2
保管サイトをつくってみたので、これでも見ててくれ。
新作はもうちょっと待ってくれい。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/
282代打名無し:02/08/03 15:02 ID:act2oh+F
すげぇ!!!!97は神!!!!!
283代打名無し:02/08/03 22:19 ID:cP/z8ElO
>>281
保管サイトに導入部が入ってないけど、なんで?
284代打名無し:02/08/03 22:20 ID:cP/z8ElO
あ、よく見たらプロローグあった。ごめん
285代打名無し:02/08/04 09:04 ID:fOxmj7pO
保全age
28697:02/08/05 02:14 ID:2SxyMfn4
頭上の雲が少し厚みを増してきた。その色を映して、南国の海かとみまがう深い青だった海は
鈍色に変化してきていた。
古木克明は海をぼんやりと眺めながら、握り飯に食らいついていた。
波打ち際で海水に手を浸してみると氷水のように冷たく、しかしその水温は古木の現実感覚を
呼び戻すには至らなかった。
貨車からは街が近づいたあたりで飛び下りた。顔もTシャツも血にまみれたまま街に入ってはマズイとか、
そこまで頭が回っていたわけではない。蒸気機関車が信号停止した、そのときにぼんやりと
貨車の材木の上から土手の斜面に飛んだだけだ。
血を吸った古木のTシャツはもうその色をとどめておらず、不気味に茶色く染まっているだけで
見ようによっては模様のようにも見えたが、無意識のうちに街中は避けていたのかも知れない。
市街地を大きく回り込むようにして、海岸に出たのだ。
途中、誰にもすれ違わなかったのは幸いだった。それでも空腹の誘惑に負け、勝手口の開いていた
一軒の家に入り込んでしまった。人はおらず、かまどのあるずいぶん古くさい台所には伏せられた籠があって、
中に何個もの握り飯が置かれてあった。古木はそれを五個ばかりわしづかみにした。
古木はナップザックを持っていなかった。いつの間にそれを投げ捨てたのか、古木自身記憶にない。
古くさい台所のオーナーは砥石で包丁を研いでいた途中で出掛けたようで、調理台の上には
砥石や包丁が並べられてあった。
そのうちの1本である肉厚の出刃包丁は、現在古木のジーンズのベルトに差されてある。
何か考えがあってそうしたのではない。古木は無意識のうちに、武器になりそうなものを手にしたのだ。
28797:02/08/05 02:15 ID:2SxyMfn4
「ここは、どこだろう」
握り飯を手に古木はそう言ってみた。古木の頭はろくに回っていなかったのだが、たとえ意識が
はっきりしていたとしても、これがどこの海かは見当つかなかっただろう。
三重に生まれて愛知で高校時代を過ごして横浜の球団に入団した古木にとって、海といえば
明るく開放的で水温の高い太平洋のことで、海水に触って冷たく感じるなどということは
想像の範囲外だったのだ。
ここはきっと、鎌倉の由比ヶ浜か材木座海岸なのだ。向こうに見える海岸線は逗子とか葉山で、
俺は練習をさぼって海を見にに来てしまったのだ。
「早く長浦に戻らないと」
早く戻らなければ、また日野監督に怒られてしまう。
そうだ、俺が神田を殺す理由などないじゃないか。ついでに、戦闘ヘリコプターに攻撃される理由も。
そのぼんやりとした思考を、大声が断ち切った。
「中野渡さーん、古木見っけましたよっ!」
振り返った先に、関屋智義が目をつり上げて、古木を指さしているのが見えた。
28897:02/08/05 02:17 ID:2SxyMfn4
「古木てめえ、殺す!」
関屋は目をつり上げたまま、古木に向かってオートマチック銃の銃口を向けた。両手保持で、
セフティを外したのが分かった。
銃口を向けられてなお、古木の思考はぼんやりとしていた。コルトじゃなさそうだ、ブローニングかなあ、
などと考えていた。古木は特に銃に詳しいというわけではなかったので、コルト・ガバメントとか
ブローニング・ハイパワーといった有名な現代の拳銃の名前しか思いつかなかったのだが、
関屋の銃は実際にはFNブローニングM1910だった。
「うわっ!」
乾いた音がした。関屋が撃ってきたのだ。関屋は体の真正面に銃を構えていたため照準は
いくらかズレており、弾丸は古木の体の横を大きく逸れていったのだが、古木はその音に
初めて我に返った。
逃げなければ、と思った。踵を返して砂浜を走った。古木の足元はよたついていたが、
関屋の撃つ弾丸も大きく逸れていく。やっとの思いで固い土道に出た。
「わっ、古木だ!」
中野渡進と谷口邦幸が古木を指さして、怒りをあらわにした表情で走ってきた。
古木は走った。力を入れた拳の中で握り飯が崩れた。それほど大きな街ではないが道幅は広く、
古木はなるべく道の端を走りながら隠れる場所を探した。腰を曲げてよたよたと歩いていた老人にぶつかって、
ハネ飛ばされて尻餅をついた老人は、恐ろしいものでも見るかのように古木の背を見上げた。
路地のひとつに飛び込んだ。店先に大きな帆布を干しているのが目に入った。古木は帆布を
わしづかみにして竿から下ろし、頭から被って壁にはりつくようにしゃがみ込んだ。
「どっちだ?」
「こっちに行ったはずですよ!」
中野渡と谷口だろうか、男たちが大声でわめきながら走る音がする。足音は古木の前を通り過ぎ、
やり過ごせたようだ。
帆布を被ったときに、小さな虫を一緒に巻き込んでしまったようだ。虫は古木の顔の前で暴れ、
古木はそれがうっとうしくなって、腰に差した出刃包丁の背で虫を叩こうとした。
「誰かいるのか!」
帆布を内側から包丁で叩いていると、いきなりそれを剥ぎ取られた。
「・・・古木?」
関屋が驚愕の表情を浮かべて立っていた。
28997:02/08/05 02:18 ID:2SxyMfn4
「うわああああ!!」
関屋は古木の前に立って、ブローニングを手にしていた。古木はわめいた。俺は関屋に殺される!
古木は足をバタつかせて暴れた。関屋の足元で帆布が激しくうねった。古木が更に足を激しく動かすと
関屋がよろけた。
「あ・・・?」
関屋の体が古木の上に降ってきた。関屋は足をもつれさせて、つまづいたのだ。
出刃包丁を手にした古木の右手に、とんでもない重量がかかった。と、次の瞬間、猛烈な痛みが走った。
「うわっ!」
古木は左手で、のしかかってきた関屋の肩を押し返した。関屋の体が、力なく路上に転がった。
痛みは右手の親指と人差し指の間から来ており、切れて血を吹いていた。グリップが滑って、
手を傷つけてしまったのだ。
帆布についているのは、自分の血だけではなかった。関屋の左脇腹に出刃包丁がささり、Tシャツに
血がにじんでいる。
「・・・古木、てめえ・・・人殺しが」
関屋は腹を押さえて、鬼のような形相で言った。その顔からはどんどん血の気が失せている。
「・・・何で」
殺す気などなかったのだ。何でこうなってしまうのだ。古木は噛みつきそうな、しかし青ざめた
関屋の顔を見ながら、よろよろと立ち上がった。
「あ、古木がいますよ!」
中野渡、谷口に加えて、竹下慎太郎と横山道哉がこちらに向かって走ってきた。古木は踵を返して
再び走り出した。
「おい、関屋、どうしたんだ!」
竹下の声がした。振り返ると、竹下がしゃがみこんで倒れている関屋の肩を揺すり、中野渡と谷口がそれを心配そうにのぞき込んでいる。
「古木、この人殺し野郎がーっ!」
横山ひとりが古木を追いかけてきた。
29097:02/08/05 02:19 ID:2SxyMfn4
「この人殺し、古木てめー地獄に落ちろ!」
古木は大通りに戻って走り続けた。土道を砂ぼこりを巻き上げながら突進してくる巨漢の横山は、
まるで戦車のようだった。振り返ると、横山は拳銃を取り出していた。横山の巨体と比較しても
大ぶりと分かる拳銃で、ばかでかいリボルバーはスミス&ウェッソンM29だと、大して拳銃に
詳しくない古木にも見当がついた。
横山は44マグナム銃を格好よく片手で保持した。
380ACPを装填するブローニングM1910とはまるで違う、とてつもなく大きな音がした。
見ると、横山が拳銃を手にしたまま後ろにひっくり返っていた。横山の体格をして、
44マグナムの反動には負けたようだ。
すさまじい音に、左右に立ち並ぶ商店から人がぞろぞろと出てきた。一様に驚愕の表情を浮かべている。
29197:02/08/05 02:20 ID:2SxyMfn4
店の前でとてつもない大きな音がした。
「何や、爆発か?」
食堂で酒を飲んでいた佐伯貴弘はコップをテーブルに置いた。
「見にいってみるか」
向かいの席の中村武志が立ち上がったので、鈴木尚典もそうした。中村の隣に座っていた
田中一徳は、興味ない、といった表情をしていた。
のれんをくぐって店を出ると、路上に巨体の男がひっくり返っていた。
「横山、何をしてるんだ」
声をかけられた横山は上体を起こして、銃を持った手で頭をかいた。
「あ、尚典先輩。いやその、片手保持で撃とうとしたら反動くらっちゃって。まだ手がしびれてるっすよ」
「あほ。それスミス&ウェッソンM29やろ。44マグナムはちゃんと両手保持で撃たんかい」
佐伯が呆れたように言った。野次馬がぞろぞろ出てきて横山の周りを取り囲んで、横山の顔は
恥ずかしげに真っ赤になった。
「それで、何で街中でマグナムぶっ放したのや。敷香にお住まいのみなさんがびっくりしてるぞ」
中村の質問に、横山は少し興奮したようだった。
「古木が・・・」
「古木が、どうしたんだ」
「古木が関屋を刺したんですよ。それで追いかけてたんです。古木は神田も殺してます」
29297:02/08/05 02:21 ID:2SxyMfn4
横山は恥ずかしそうに立ち上がって、S&Wをジーンズの腰に差して野次馬の輪の中から出た。
「刺しただあ? 物騒なことするな、おまえら。若い連中は森繁に殺し合えとか言われたら、
はい殺し合いましょ、とか考えるんか。あほちゃうか」
佐伯が怒ったように言った。
「それで、関屋のケガはどのくらいなんだ」
尚典がそう訊くと、横山は表情を曇らせた。
「腹刺されてるんで、ちょっとヤバそうなんっすよねー。竹下さんたちがついてるんですけど」
横山を先頭に、尚典と佐伯と中村の4人で、関屋が刺されたという路地に向かった。
「あ、尚典さん。佐伯さんに、中村さんも」
中野渡が陰鬱な表情で立っていた。倒れている男の脇には竹下と谷口がしゃがんでいて、
その肩をゆすったり声をかけたりしている。
「ダメやったんか?」
佐伯の問いに、中野渡は小さくうなずいた。
尚典は倒れている関屋に近づいた。腹には深く出刃包丁が突き刺さり、白目を剥いて苦悶の
表情のまま固まっていた。
「このままにはしておけないから」
尚典はそう言って、関屋の腹から出刃包丁を引き抜いた。既に完全に心停止していたようで、
返り血は吹かず、傷口から血がにじんでくるだけだった。竹下が関屋の目を閉じさせた。
「で、どうする。このままにはしておけんし、どっかに埋葬してやらんと」
「あ、荷物、店に置きっぱなしやから取りに戻らんとあかん」
佐伯と中村が口々にそう言い合って、尚典を含めた3人でいったん先ほどの食堂に戻ることにした。
29397:02/08/05 02:23 ID:2SxyMfn4
「あれ?」
食堂のテーブルの上には、確かに3個のナップザックがあった。その配置が先ほどとは少し
変わっているように尚典には思われた。佐伯がナップザックに手を突っ込んで、不審そうな表情を浮かべた。
「俺のベレッタM1935がないやん」
「あ、俺のナガンもない。ついでに明日の豊原行きの切符もないやん」
「俺の切符もないなってる。って、あの糞チビいてないやんか。糞チビが人の武器と切符、
盗んで逃げたんか!」
尚典のナップザックの中は、中の荷物が乱れて物色されたあとはあったものの、ビクトリーノックスも
航空機の貨物室から持ち出したバットも別になくなってはいなかった。そういえば一徳は、
関屋が死にかけていると聞いても様子を見についてこなかったなあ、と、尚典はぼんやり考えていた。
「ねーちゃん、ここに尋常小学校のガキみたいな糞チビ座ってたやろ。どこ行ったか知らんか!」
佐伯が給仕の若い女性にものすごい剣幕で詰め寄って、女性はうろたえながら答えた。
「お連れさまは、先ほど店をお出になりましたけど」
佐伯は尚典のほうに向き直って、怒ったように言った。
「尚典、何であんな糞チビ連れてくるねん! 俺はあいつが最初から気にいらんかったのや!」
「何でって言われても・・・」
連れてきたというよりは勝手について来たんだし、と、尚典は困り果てて視線を右方向に泳がせた。
29497:02/08/05 02:24 ID:2SxyMfn4
一徳は幌内川の岸壁に座り込んでいた。この幌内川の名が2002年現在の敷香の地名、ポロナイスクのもとになるのだが、一徳にそんな知識はない。
幌内川河口近くには対岸への渡し船がつけられてあり、河口は大きく開けてその向こうには
オホーツクの水平線が見えた。雲が分厚くなってきた分、海の色は暗く沈み始めているようだ。
「若い連中は森繁に殺し合えとか言われたら、はい殺し合いましょ、とか考えるんか。
あほちゃうか、か。そう、あほやねん」
一徳は、先ほどの佐伯の言葉を繰り返してみた。はい殺しましょと考えるやつはあほ、
と明快に言い切れるのは、佐伯や尚典があの恵まれた体格だからだ。少なくとも、彼らが
真っ先に誰かに狙われることはありえない。
一徳は公称165cm。実際にはもう少し小柄だ。素手での格闘になって一徳が勝てる相手は
球団内にはおそらくいないだろう。誰にとってもくみし易いのが、残念ながら自分だ。
最初は、尚典のような狙われ難そうなやつを盾にしてくっついていけばいい、と単純に考えていた。
武器が得られるかも知れないと思い、考えを変えた。
武器が得られたなら、体格差は埋められる。俺は自力で最後の1人となるまで勝ち抜いてみせる。
一徳はベレッタM1935を拝むように両手で構えた。垂直に立てたスライド部分の先の、
銃口を睨みつけながら言った。
「このゲーム、俺は乗った」
295代打名無し:02/08/05 02:31 ID:2SxyMfn4
第8回。
てなわけで、まあそういうわけなので、オカズ=ヒロイン典子とかいうのを
期待していたヤシがいたなら、正直すまんかった(w
もっとも半端な正義漢書くより、悪役書くほうがよほど面白いんだけどね。

>>270
情報サンクス。

>>283
言われてみれば目次のプロローグ目立たないな。1番上にあるのに。
296代打名無し:02/08/05 02:33 ID:OMOLiQ4F
古木ファンの俺としてはなっかりな展開
297代打名無し:02/08/05 11:24 ID:WWIQum3K
出演者の立場がハッキリしてきたな。
田中は結局こういう魂胆だったか…
尚典について行く時、狡賢そうな目で尚典を見た、っつーくだりで
油断ならねーと思ってたが…
298代打名無し:02/08/05 13:11 ID:44GXxN/H
いや〜。今会社なんで流し読みだったんだけど
おもしろいワ。
じっくり読むべきだったな。
また、来週を楽しみにしてまっせ
299代打名無し:02/08/05 13:27 ID:SxaH7LCH
毎週月曜日は一番仕事したくなかったけど
コレ始まってから月曜が楽しみです。

がんがってください
300代打名無し:02/08/05 13:27 ID:4bWKKErL
300っ
301代打名無し:02/08/05 21:06 ID:UL2/XGVH
すげえ驚きの展開!
97氏うますぎ
楽しみにしてますよ
302代打名無し:02/08/05 21:35 ID:DIdtDDpz
>>297
小柄な奴には小柄な奴の処世術があるんだよ。
漏れもチビ(165a)で非力そうだから一徳の気持ち、わかるぞ。
どこか、ずる賢くなるんだよ…
303代打名無し:02/08/05 23:05 ID:Pa+27grU
ずる賢いおかずのりがイイ!
304代打名無し:02/08/06 07:45 ID:rcGEZAYO
あげるぞ。
305キヨパラ:02/08/06 16:06 ID:9mqCfhQ/
age
306キヨパラ:02/08/06 22:41 ID:jcmAw1vp
age
30797:02/08/06 23:14 ID:5NiP5tvy
第8回保管しますた。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/
308代打名無し:02/08/07 16:53 ID:WXW1DKWJ
age
309代打名無し:02/08/07 18:32 ID:kzJpcoCK
ただの殺し合いじゃないって所が萌えるな。
元の時代に帰れるのかどうかもある。
310キヨパラ:02/08/07 22:06 ID:fQZhykHl
age
311代打名無し:02/08/08 00:22 ID:dZU++98S
あげよう
312代打名無し:02/08/08 00:23 ID:dZU++98S
あれ?あがらない。リトライ。
313代打名無し:02/08/08 12:17 ID:G95BN08z
ageるぞ
314キヨパラ:02/08/08 16:55 ID:IY5rQhd/
ageるぞ
315キヨパラ:02/08/08 21:42 ID:NxdAtron
ageるぞ
316キヨパラ:02/08/08 21:42 ID:NxdAtron
age
317米ふぁん:02/08/09 01:25 ID:KB3dBn4k
age
318代打名無し:02/08/09 06:23 ID:WWZL9UU3
57年前の今日、樺太にいるのだな。
319代打名無し:02/08/09 12:53 ID:1SDCwIqs
age
320名無しさん@お馬で人生アウト:02/08/09 13:07 ID:gm9ogYzW
最近ふと思ったこと
横浜の米とテニスプレーヤーの神尾米がもし結婚したらどうなるか???
321代打名無し:02/08/09 13:10 ID:WTYv0WZt
米米クラブ
322キヨパラ:02/08/09 22:53 ID:eJn2rJ64
age
323代打名無し:02/08/10 06:47 ID:HViOT4a5
ベイより公が球団消滅の危機になっちまったな。リアルで。
324代打名無し:02/08/10 08:28 ID:p7dMjoGh
では公には「樺太ファイターズ」ってことで
バトルロワイヤルしてもらいましょう。


97さん。今週も楽しみにしときますネ
325代打名無し:02/08/11 04:27 ID:dfZbmoy9
400越えてるのでageておこう。
326キヨパラ:02/08/11 11:03 ID:ZNjO59lD
age
327代打名無し:02/08/11 13:33 ID:x1FGb59m
さてさて、ageときましょ
328                 :02/08/11 14:08 ID:YN4BgtxG
>320 おもしろい!!
けど、神尾米結婚してない?
329代打名無し:02/08/11 22:02 ID:3lS0Rf1K
そろそかな?のあげ。
330代打名無し:02/08/12 02:21 ID:OsSJT76j
来ないね のあげ
33197:02/08/12 09:04 ID:jn8GtqP3
高曇りだった空が黒みを帯びてきた。風が丈の高い草を揺らせて、葉が激しく擦れる音がする。
相川亮二と鶴岡一成は草をかき分けて走っていた。足元の土がところどころが盛り上がっており
何度も足をとられそうになった。転倒したら終わりだ。
「ぎぇえええええ!!」
奇声をあげながら鉈を持った男が追いかけてくる。八馬幹典だ。
「うわっ!」
相川は土の盛り上がりに足を引っかけてしまった。転倒してはいけない、などと考えると転ぶものだ。
「相川さん!」
鶴岡が相川の手を引いて助け起こそうとした。背後に八馬が迫ってくる。
鶴岡がルガーP08を構えて、八馬の足元を狙って撃った。
「うぎゃああ!!」
乾いた音と同時に、八馬が脚を抑え込んで倒れた。銃弾は八馬の膝のあたりに命中したようだ。
「相川さん、逃げましょう!」
鶴岡が相川の手を引いて立たせた。
八馬はまだ背後でうめいている。相川は走りながら思った。おそらく致命傷にはならない。
致命傷を負わせず相手を止めることができるなら、それが一番いい。
そのとき、脇のくさむらが大きく動いた。風のせいではない。また誰かが忍び寄ってくる。
33297:02/08/12 09:05 ID:jn8GtqP3
「うわっ、ひ、人殺し!」
くさむらから現れたのは南竜介(64)だった。南が手にしていたのはヌンチャクがもう一個余分に
つながったような武器、三節棍だったが、南はその使い方が分かっていないようで、一方の端を
持って叩きつけるように振り回した。丈の高い草が折れ曲がった。
相川と鶴岡は逃げる。そのゆくてを遮るように、乾いた音がした。
「うわっ!」
相川は飛び上がるように避けた。足元に撃ってこられたのだ。
「相川さん、2人も殺した以上、あんたは死ぬべきでしょう!」
その声に顔を上げた。視線の先にいたのは吉見祐治だった。モーゼルM1896を構えている。
逃げていたつもりで、先回りされていたのだ。相川と鶴岡はあわてて踵を返した。
背後から吉見が撃ってくる。2発、3発。
「こっちに逃げましょう!」
鶴岡が脇のくさむらを指した。少し走ると踏みあとがあった。何人もの人間が同じところを
歩いた痕跡のようで、はっきりと草はかき分けられており走りやすかったが、走りやすいということは
追跡者にとっても追跡しやすいということだ。
何発目かの破裂音と同時に、相川は左肩をものすごい力で殴られたような衝撃を覚えた。
痛みに耐えきれず座り込んでしまった。
「相川さん!」
鶴岡が相川と追跡者を交互に見比べ、あわてた様子で追跡者を威嚇するように1発発砲した。
撃たれた。弾丸は肩胛骨の下あたりで止まっているようで、その部分を中心に猛烈な痛みが襲ってきた。
33397:02/08/12 09:06 ID:jn8GtqP3
鶴岡が相川に肩を貸し、相川は引きずられるように歩いた。
一瞬、道が行き止まりになったように見えた。目の前に高い土手があった。踏みあとは土手の
急斜面に続いているようだった。鶴岡が相川に肩を貸したまま登ろうとする。が、相川の
足はほとんど動かず、足元が滑るだけだった。鶴岡は一瞬困り果てた表情をしたが、
歯を食いしばり直して踏みあとから外れ、土手沿いに草をかき分けて進んだ。
相川の足はこれ以上動きそうになかった。鶴岡の肩に回していた手を放すと、体が滑り落ちた。
「相川さん?」
「鶴岡、おまえひとりで逃げろ。やつらのターゲットになってるのはそもそも俺だけで、
それにおまえが巻き込まれることはない」
相川は座り込んで言った。
「そういうわけには・・・」
鶴岡が逡巡する様子を見せた。相川はナップザックからポケットピストルのベレッタM20を取り出し、
鶴岡に銃口を向けて言った。
「いいから行け! 行かないなら撃つぞ!」
「・・・相川さん」
鶴岡は一瞬、困り果てた表情をした。口をへの字にして、右手に持っていたルガーP08の
バレル部分を持ってグリップのほうを相川に向けて差し出した。
「相川さん、せめてこれ持っててくださいよ。まだ3発ぐらい弾丸残ってるはずです」
「分かった」
相川はルガーを受け取り、ベレッタM20をジーンズのベルトに差した。
「誰か助けに来てくれる人をさがして、必ず戻ってきますから、相川さん生きててくださいよ!」
鶴岡はそう言って、身を屈めてくさむらを進み、やがて相川の視界から消えた。
数十秒のち、鶴岡が大声で叫んでいる声が聞こえた。
「おーい、こっちだぞ!」
鶴岡は相川から数十メートル離れたくさむらで、大声をあげて飛び上がって相手を引きつけようと
しているようだ。破裂音が鶴岡の動きに反応するように鳴った。
「そっちじゃねーよ、こっちだこっち!」
鶴岡はくさむらを走りながら、大声をあげている。相川のいる場所を大きく回り込むようにして
結局土手の上に駆け上がったようだ。
「おーい、ここだぞー!」
相川の座り込んでいる場所からも、土手の上に立って大きく両手を振って相手を引きつけようと
している鶴岡の上半身が見えた。
鶴岡はしばらく両手を振っていたが、やがて土手の上を走り出した。
33497:02/08/12 09:07 ID:jn8GtqP3
敵は鶴岡を追ってはいかなかった。くさむらに身を潜めて、相川を探しているようだった。
荒れ地を渡る風が、また少し強くなった。
狙われているのは俺ひとりだ。鶴岡を巻き込む必要はない。これでいい。
相川は座り込んだまま、右手でルガーを構えた。左肩の痛みで両手保持はできない。銃を
保持した右手を左右に動かしながら、敵の動きを探る。
そうしている間にも、左肩は痛み続ける。
乾いた音がした。敵が撃ってきたのだ。音の方角を素早く察知して、相川はルガーで打ち返す。
強烈な反動が右手全体にきた。鶴岡も言っていたが、ひどく反動の強い銃だ。これでは
よほど扱い慣れていない限り、片手保持では当たりそうにない。
これで俺のいる場所は見当ついただろう。さあ来い吉見。
また破裂音がした。相川も撃ち返す。これで恐らく残り1発。
さらにもう1発の銃声。相川が撃ち返して、これでルガーのマガジンは空になったはずだ。
長身の男がくさむらから姿を現した。吉見だ。表情には怒りをあらわにして、モーゼルM1896を構えている。
相川は吉見に向かって、ルガーのトリガーを引いた。軽い金属音がするだけだった。
相川はルガーを目の前に投げ捨てた。吉見は、してやったり、という表情を見せた。
33597:02/08/12 09:08 ID:jn8GtqP3
「相川さん、人殺しのあんたは死ぬべきだ。そうでしょう!」
吉見がそう言い終わらないうちに、相川はジーンズのベルトに差していたベレッタM20を素早くつかんだ。
反動の強いルガーP08と比べると、おもちゃを扱うように簡単だった。トリガーを引いた。
9ミリパラベラムやモーゼルの7.63ミリ弾に比べると、ささやかな音だった。しかしその音は
確実に吉見の腹に吸い込まれた。
吉見が顔をしかめた。腹に血がにじんできているのを確認して、目をつり上げ歯をむき出した顔を相川に向けた。
「人殺しがあ!」
25ACPは1発では致命傷は負わせられないようだった。吉見は気力を振り絞るようにして
モーゼルの銃口を相川に向けた。
トリガーを引いたがこちらも金属音以外の何も出てこず、吉見は怒りをむき出しにして
グリップ部分で座り込んでいる相川の頭を殴ろうとした。
相川はその腹に向けて再度トリガーを引いた。
1発でしとめることのできない25ACPのほうが、9ミリパラベラムよりよほど残虐だと思った。
相川はトリガーを引き続けた。5発目ぐらいで吉見が後ろにひっくり返った。それでもまだ
とどめはさせておらず、結局装弾数8発を全て撃ちつくした。
全て撃ちつくしたのを確認してから、相川はポケットピストルを投げ出した。
吉見はもう動いていなかった。相川は右手1本で這いように吉見の側まで行って、手を取って
脈をみてみた。
何の反応もないことを確認してから、初めて全身に震えがきた。
33697:02/08/12 09:09 ID:jn8GtqP3
「何で・・・」
何で俺は吉見を殺してしまったのか。そう、殺らなければ殺られるからだ。が。
本当に他に方法はなかったのか。自分が稲嶺と西崎を殺したというのは誤解だと、話し合えば
分かることだったのではないか。話し合える余地などなかった。いや、本当になかったのか。
吉見が俺を攻撃してきたのは、おそらく平凡な正義感からだろう。だったら。
急に吐き気がこみ上げてきて、相川は吐いた。胃液のようなものが少し出ただけだった。
最後に食事を摂ったのは航空機に乗る前だから、もう24時間近くも経っていた。
鶴岡と新沼と西崎の4人で、空港でカレーを食べたのだった。そのうち西崎は既に死んだ。
また吐き気がこみ上げてきた。胃の内容物など何もないのに、吐き気は止まらなかった。
「本当に人殺しになっちまったじゃねーかよ」
相川は手元のベレッタM20を手に取り、こめかみに当ててトリガーを引いた。
枯れたような金属音がするだけだった。ルガーもモーゼルも、目の前にある3つの銃の
マガジンはいずれも空で、自殺することすらできないのだった。
不意に笑いがこみ上げてきて、相川は声を上げて笑った。笑い声と同時に、両目から涙があふれてきた。
頬に水滴を感じて顔を上げた。空は黒い雲で覆われていた。
相川は吉見の死体の側にあお向けに寝た。降り出したばかりの雨が顔を軽く打った。
うまくすれば、疲労凍死できるかも知れない。
33797:02/08/12 09:10 ID:jn8GtqP3
「お疲れさまでした。お持ちになった銃器類をご返却ください」
カウンターテーブルを置いて木製の三角錐に書かれた「受付」の表示だけが示されただけの
質素な受付で、長身のイギリス人、ジョン・ターニー(70)が言った。
石井琢朗は組立式ライフルの入ったアタッシュケースを乱暴にカウンターの上に置いた。
スーツの上着を脱ぎ、ショルダーホルスターを体から外した。ホルスターごと拳銃を
ターニーに投げてよこす。
「琢朗さん、すいませんが銃器類はもう少し丁寧に扱っていただけませんか」
「少々乱暴に扱っても暴発したりしねーから、ヘッケラー&コックP7使ってるんだろーが。
それから、この糞ライフル照準全然合わねーで使いものにならねーから、そっちで引き取ってくれ」
「組立式ライフルの照準器に狂いが出るのは、しょうがないです。それよりAR-7は水中に
放り込んでも浮いてきますから、持っておられると何かのときに役に立ちますよ」
「何かのときに役に立ちますよ、で、こんなじゃまくせーもの持って歩けるかってーの。
それとも明日は幌内川を泳いで渡れとでも?」
ターニーは黙って弾丸の数を確認していたが、琢朗のほうを見て困ったような顔で言った。
「琢朗さん、申請された弾丸の使用数と一致しませんが」
琢朗は口をへの字に曲げた。スーツの上着のポケットから9ミリパラベラム弾を1個取り出し、
受付カウンターの上に置いて軽く指ではじいた。
「それから、森繁和コーチがお呼びです」
琢朗はそれには答えず、スーツの上着を肩に引っかけたまま中に入っていこうとした。
受付の隅に座っていた小柄な平野元章(79)が、金属探知棒を持って飛び出してきた。
「琢朗さん、すいません、ボディチェックさせていただきます!」
空港のボディチェックよろしく、琢朗の全身に金属探知棒を当てる。
この「現地事務所」は、琢朗にはカミソリの1個も持って入ることを許さないようだ。
銃器類もナイフ類も、彼らが徹底管理する。ここは琢朗にとって安全な場所ではない。
33897:02/08/12 09:11 ID:jn8GtqP3
「幹部室」と書かれた札のかかる部屋のドアを、琢朗は乱暴に足で蹴っ飛ばして開けた。
「入るときはノックぐらいできんのか!」
正面には大ぶりの机があって、コンバットジャケットを着た森繁和がでかい椅子に座っていた。
森繁和は、琢朗の顔を見て表情に怒りを浮かべた。琢朗は言った。
「結局あんたがここの責任者になったって訳か。狸コンビは安全圏に身を置いて高見の見物かよ」
「それが目上の人間に対して吐くセリフか!」
森繁和は頭から湯気を噴きそうだった。別にあんたのこと一度も目上とか思ったことねーし、
とか言ってやろうかと琢朗は思ったが、話がややこしくなりそうなのでやめた。
「それで、今日の報告は」
「あんたに報告するのか」
森繁和がまた怒りだしそうだったので、琢朗は続けた。
「1345ぐらい、稲嶺茂夫、背番号38番を射殺しました。その10秒か20秒後ぐらいだから、
同じく1345ぐらい、西崎伸洋、背番号65番を射殺しました。時間なんかいちいち確認してねーので、
そのへんはテキトーです。おわり」
「それで1400撤収か。いい身分だな、琢朗」
「夜になったらまた出ていくから、別にいいでしょう。それと他人に手を汚させてるだけの
森繁さんには分からないだろーが、2人殺すと結構消耗すんだよ、ばーか」
最後のばーか、は余分だったな、と琢朗は言ってしまってから思ったが、あんのじょう
森繁和を怒らせてしまった。
「琢朗よ、誰がボスか分かってないのか。分からせてやろうか!」
森繁和が立ち上がった。机を回り込んで琢朗の前に立ち、シャツの襟首をつかんで強い力で引き寄せた。
そして、履いていたブーツからブーツナイフを引き抜いた。ナイフの背で、琢朗の頬を軽く叩いた。
33997:02/08/12 09:13 ID:jn8GtqP3
ブーツナイフは実用のものというよりは、鍔に繊細な装飾の入ったコレクション用途の
カスタムナイフだった。R.W.ラブレスの銘が確認できた。
「森繁さん、ラブレスのナイフなんか何十万も出して買ったの。んなもんどーせ弟子に
つくらせて銘だけ入れてるものだし、最近のナイフは鋼材もそのへんのへたれ鋼材だし」
「おまえのナイフ談義なんか聞いとらん!」
森繁和はナイフの背を琢朗の顎に当て、それを持ち上げるようにして琢朗に上を向かせた。
「誰がボスか体で分からせてやろうか、あ?」
森繁和が左手の指を鳴らすと、隣室との境のドアが開いて、辻発彦(83)と青山道雄(73)が出てきた。
辻と青山が琢朗の両脇に立ち、腕を押さえ込んだ。辻はそんなところだろうと思っていたが、
青山もぐるとは思っていなかったので、不意をつかれた感じだ。
「青山さん、あんたも森繁の犬だったのか」
横目で見ながらそう言うと青山は困り果てた様子で、
「琢朗、頼むからあまり反抗的な態度を取らないでくれ」
そんなことを、目一杯反抗的な態度を取ってから言われてもしょうがない。
34097:02/08/12 09:14 ID:jn8GtqP3
最初、背中の皮を剥ぎ取られたのかと思った。とにかく背中に痛みがあり、ぬるぬるした感触があって
気持ちが悪く、背に右手を回してみるとべっとりと血がついてしまった。
琢朗は上半身裸に剥かれて、床にうつぶせに倒れていた。3人のコーチたちは既にこの場を
後にしたようで、部屋の中には琢朗以外誰もいなかった。
琢朗は顔をしかめながら立ち上がった。右手を床についたときに、血で手形が押されてしまった。
部屋の入口脇の壁には鏡が据え付けられており、琢朗は鏡に背を向けて立って、背中が
どういう状態になっているのか確認してみた。
右の肩胛骨のあたりから後背筋を縦に切るように、5つの×マークが刻まれていた。
結構深く傷をつけられた場所もあり、まだ部分的に血を吹いている。
これには一体何の意味が、としばらく考えて、既に死んだ選手の数だろうと見当つけた。
内川、神田、村西、稲嶺、西崎。
森繁和は、彼らの怨念を琢朗の体に刻みつけたつもりなのだろう。
怨念ならばいくらでも引き受けてやる。そのぐらいの覚悟はある。
「心配するな。おまえら怨霊になって俺にしがみついてろ」
琢朗は少し顔を上げ気味にして、そう言った。そして床に落ちていたシャツをひっつかむと、
血で汚れることを頓着せず、手早く袖を通した。
341代打名無し:02/08/12 09:17 ID:jn8GtqP3
第9回。遅くなったが会社員のみなさんの
月曜のお昼休みには何とか間に合いますた。
それにしても、昨日見殺しにした吉見にこのスレでも
申し訳ない目に遭わせてしまって、吉見さんスマソ
342代打名無し:02/08/12 09:30 ID:aRB84xsr
お疲れサマでーす!
343代打名無し:02/08/12 09:52 ID:JPe/A3RC
首脳陣来たー!
344代打名無し:02/08/12 12:22 ID:hjM/6wrb
97さん乙〜。
アイカー生きろ!
会社の昼休みにガーッと読みますたよ。
345代打名無し:02/08/12 12:29 ID:hjM/6wrb
森繁ブーツ、カコヨスギル…
346キヨパラ:02/08/12 17:20 ID:1wdHVWEV
age
347:02/08/12 17:59 ID:HycnnL99
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、
森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね、森低能氏ね
348代打名無し:02/08/12 23:54 ID:Oi6wL/Z5
森繁ブーツあげ
349代打名無し:02/08/13 00:24 ID:qq9E9IaI
>時間なんかいちいち確認してねーので、そのへんはテキトーです。おわり

>2人殺すと結構消耗すんだよ、ばーか

ワラタ
350代打名無し:02/08/13 07:20 ID:ANIZCVKf
あげ
351キヨパラ:02/08/13 14:48 ID:onJJMD8j
あげ
352キヨパラ:02/08/13 23:42 ID:AJUonxht
あげ
35397:02/08/14 06:16 ID:WgXXA9Vj
第9回うpしますた。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/
354米ふぁん:02/08/14 09:14 ID:SouPOdsZ
97さん、お疲れです。
でも「お盆休みでどっか行くから暫く休み」とわ言わないで・・・。
355代打名無し:02/08/14 23:06 ID:c8n1yesQ
ageるぞ。
356キヨパラ:02/08/15 06:43 ID:JBmv+uaA
age
357キヨパラ:02/08/15 12:10 ID:e88+vLyi
age
358代打名無し:02/08/16 05:03 ID:b8Taa79C
あげ
359代打名無し:02/08/16 20:08 ID:xxmR4D/2
あげ
360代打名無し:02/08/16 23:15 ID:LvCk/PJM
新しい軍票はいいが千円なんてでけえ単位のモノ押し付けられてもねーちゃんだって困るだろう・・・
361代打名無し:02/08/17 02:28 ID:r10HMCty
age
362代打名無し:02/08/17 06:18 ID:OQLOnvmg
1000円の軍票押しつけられて困るねーちゃん萌え〜
363代打名無し:02/08/17 18:06 ID:VHn4Ss8n
age
364米ふぁん:02/08/18 00:53 ID:micNze1O
age
365代打名無し:02/08/18 07:55 ID:+P/kgrZU
あげ
366代打名無し:02/08/18 08:20 ID:o0wIJY68
あげー
367キヨパラ:02/08/18 15:02 ID:slVP5wZj
age
368代打名無し:02/08/18 15:19 ID:Uwmt8R95
監督室の机の上に大便がしてあったらしい。
369代打名無し:02/08/19 05:05 ID:mF9VpM2L
あげるぞ
370代打名無し:02/08/19 09:39 ID:DruILwms
☆ チン
                          
        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)<97氏まだー?
             \_/⊂ ⊂_)_ \_______
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/
371代打名無し:02/08/19 09:51 ID:SmU2rL6W
97氏お盆休み?age
372代打名無し:02/08/19 15:35 ID:DruILwms
               ./  ヽ      /  ヽ
               /   ヽ___/   ヽ  キボンヌ〜キボンヌ〜
            /       l___l   \
            |      ●  |    |  ●  |  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       へ    |   へ     ヽ  ./     | <97氏まぁ〜だぁ〜〜〜?
        \\  \  \\    ヽ/     /   \____________
チン        \\  .> \\          ヽ
   チン      \\/    \\  _       |
      \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/  / ̄   ヽ    /   _
        \回回回回回/ ̄ ̄ヽ        / ̄ ̄ /|
         \___/      ヽ____/  /  |
                               /   |
                              /     |
373代打名無し:02/08/19 22:44 ID:comluiJ4
age
374代打名無し:02/08/20 00:55 ID:LfYz+QTz
のんびり待つよ
      ∧ ∧
  ,,,,.,.,,, (,,`ε´)⊃⌒ソ)
 ミ・w・ミ ∩____つ
375代打名無し:02/08/20 15:36 ID:KA/ITPvK
ageよう
376代打名無し:02/08/20 21:13 ID:4+HJ+FFG
age
377代打名無し:02/08/20 23:40 ID:SUsrALAk
サーバー移転Age
378代打名無し:02/08/21 11:46 ID:HQSTFX1s
ageようか
379代打名無し:02/08/21 18:01 ID:0XFeV6Z9
あげ
380キヨパラ:02/08/21 21:18 ID:c0ptQxyF
age
381代打名無し:02/08/21 21:21 ID:bm3J3tE6


                    終戦
382代打名無し:02/08/21 21:27 ID:0XFeV6Z9
横浜延長戦弱すぎ
383代打名無し:02/08/22 07:09 ID:q+wDAUr1
age
384キヨパラ:02/08/22 17:05 ID:P0WxOfaO

385代打名無し:02/08/22 22:56 ID:V8hAYFbn
machiage
386代打名無し:02/08/23 00:17 ID:42FWxnEI
マターリ
387代打名無し:02/08/23 07:12 ID:H7yMoDkC
マターリあげ
38897:02/08/23 10:34 ID:0I0PfAdQ
「黙祷!」
佐伯貴弘がそう言って、選手たちは合掌したり十字を切ったりと、思い思いの動作をした。
7人の選手たちが取り巻いているのは大きな帆布にくるまれた関屋智義の遺体で、
関屋の刺された路地から幌内川の河口近くの砂浜まで、担いできたのだ。
空は黒い雲で覆われ、河口近くの波は高かった。
横山道哉が遺体の頭側を、谷口邦幸が足の側をそれぞれ抱えた。
「海が荒れてきたから、気をつけろや」
中村武志が声をかけた。
「うわー、海の水冷たいっすよ」
ジーンズの裾をたくしあげて海に入った横山が、びっくりしたように言う。
横山と谷口は関屋の遺体を持ったまま浅瀬を進み、河口近くの流れが速くなったあたりで
「いち、にの、さん」と2人で号令をかけて、遺体を水中に投げた。
遺体はしばらく横山と谷口のすぐ先に浮かんでいたが、やがて到来した大きな波が引くときに
糸で引っ張られるように沖合に運ばれていった。
「寒い、寒い」と言いながら、横山と谷口が海から上がってきた。
「天気が崩れそうだから、街中に戻りましょうか」
中野渡進がそう言って、沖合にまだ浮いている関屋の遺体を見ながら続けた。
「うまく沖合まで流れていくかな。陸に戻ってきて、岩礁に引っかかったりしたら痛々しいし」
それを受けて、竹下慎太郎が言った。
「関屋は水葬してもらえただけ、まだいいじゃないか。神田の遺体なんか、荒れ地に
放置されたままだ」
鈴木尚典は、そのやりとりを黙って聞いていた。それでも神田は遺体が残っているだけ
ましなのかも知れない。まだ誰かが弔ってやることが可能だ。
内川の遺体は、航空機の爆破とともに散り散りになって消滅した。もう誰も弔ってやることができない。
38997:02/08/23 10:35 ID:0I0PfAdQ
「尚典先輩、それでここはどこなんっすか。ずいぶん海の水が冷たいっすよ」
街中に戻ろうと7人でぞろぞろと歩いていたところへ、横山がそう質問してきた。
「1945年の樺太らしいぞ。いまのサハリン」
「へ? サハ何とかって、アメリカでしたっけ」
そのやりとりを聞いていた佐伯が、呆れたように言った。
「サハリンがアメリカだあ? 横浜高校の地理の時間は、一体何教えてるのや」
横山は口をポカンと開け、尚典は頭を抱えたくなった。
海岸から緩い坂道を上っていくと、すぐに街中となった。旅館の看板の出た二階建ての
建物の前で、佐伯が足を止めた。
「今日のところは飯食って風呂入ってとっとと寝るか。明日から戦争やし」
「1945年の樺太って、佐伯さん、ここの現地通貨持ってるんですか」
中野渡が訊くと、佐伯はニヤリと笑みを浮かべて財布から日本銀行券の拾圓券の束を取り出した。
「昼飯食った食堂で、夏目漱石の図柄の1000円の軍票と両替や」
「え、千円札押しつけて現地通貨で釣り銭もらったんですか。1945年の1000円って、今の
貨幣価値でどのぐらいなんですか。それは佐伯さん、マズいんじゃ」
「1000円分の釣り銭もらうようなあくどいことはやってないって。
まあ晩飯代と宿泊費は俺が持ってやるから、入った入った」
佐伯は選手たちの背を、旅館の玄関に向かって押した。
尚典はどうしたものかと考え、玄関先で躊躇した。
「ん? 尚典、入らんのか」
「いや、ちょっと、荒れ地に戻ろうかと思って」
「何で戻るとか思いついたんか知らんけど、雨降ってくるぞ、この天気」
そう言われて天を仰いでみると、一面黒く厚い雲に覆われていまにも雨が降ってきそうだった。
「神田が死んだのなら、死体そのまま放置しておくのもあれですから。明日から戦争始まるなら、
今日中に死体埋めてやればいいんじゃないかと思って」
佐伯はしばらく困ったような表情をしていたが、
「横山、ちょっと来い!」
大声で、既に旅館の中に入っていた横山を呼んだ。
「佐伯さん、何っすか」
「横山、尚典先輩がいまから荒れ地にお戻りになって神田の死体を埋葬なされるから、
おまえ一緒に行って手伝え」
「えー、雨降ってきそうじゃないですかー。尚典先輩、明日にしましょうよー」
「明日から戦争や、あほ」
39097:02/08/23 10:37 ID:0I0PfAdQ
「何かゴワゴワの雨合羽っすね。サイズも小さいし。やっぱり昔の人って、小柄っすよねー」
雨合羽にゴム長といった服装の横山が、肩に大ぶりのスコップを担いで言った。
「昔の人が小柄というより、俺らが大柄過ぎるんじゃないのか。洋服だってサイズの合う服を
売ってる店少ないし。でも、ゴム長のサイズのサイズが合ってよかったよ」
尚典も横山同様、雨合羽とゴム長、肩にはスコップといった格好だ。
道具屋で佐伯のまねをして「1000円の新しい軍票」で支払ったときにはさすがに気がとがめたが、
他に方法もないのだししょうがない、と割り切ることにした。
戦時中、それも1945年の8月だというのに、道具屋には商品がいくらか置いてあった。
大した軍事施設も狙われそうな資源もなく、本土決戦とは無縁の辺境で、街には緊張感が
欠けているようにも思えた。しかし国境線を背後に抱えているわけで、この緊張感のなさを
つかれてソ連に攻め込まれ、戦乱の地と化していくのだが。
「尚典先輩、何か食い物買っていきましょうよ。弁当屋とかないっすかね」
「弁当屋はさすがにないだろ。食堂でおにぎりでも作ってもらうとか」
「あ、饅頭屋がありますよ。饅頭買いましょうよー」
横山が店の看板を指さした。「樺太名物 ツンドラ饅頭」と書かれてある。
39197:02/08/23 10:38 ID:0I0PfAdQ
「ごめんくださーい」
饅頭屋の玄関を入ると土間になっていて、ガランとしていた。ガラスケースはあったが
商品は並べられていなかった。
しばらく2人で突っ立っていると、奥から30歳ぐらいの男が出てきた。
「あ、お客様は饅頭をお求めですか」
「饅頭を買いたいんですけど、売ってないんですか」
尚典がそう言うと、男は頭をかいた。
「ソ連が宣戦布告したっていうので、昨日から饅頭つくってないんですよ」
「携帯できる食糧がほしいんです。少し古かったり固かったりしてもいいですから、
売ってもらえませんか」
「でも、お客さんに古い饅頭お売りするのもねえ」
そのとき、尚典の肩からナップザックがズリ落ちて中身がばらけてしまった。土間にかがんで
拾い上げていると、男が「あ」と声を上げた。
「お客さん、それ葡萄酒のコルク抜きですよね」
男は、尚典のビクトリーノックスのナイフを指さした。折り畳み式の多機能ナイフには、
ワインオープナーがついている。
「え、そうですけど」
「ちょ、ちょっとそれ貸してもらえませんか」
男は左手を広げて尚典たちを制するようにして、店の奥に引っ込んだ。しばらくして、
白ワインを手に戻ってきた。
「舶来品でモーゼルのビンテージものなんですけど、私、コルク抜きなくしちゃってねえ。
ソ連が攻めてきて爆撃されて割れたらもったいないので、飲んでしまおうと思ってたんですけど。
あ、お客さんもこっちに上がってください」
男は板の間に座布団を2枚敷いて、尚典たちに上がるようすすめた。コップを3つ持ってきて、
多機能ナイフのワインオープナーでコルクを抜き、白ワインを3つのコップに注いだ。
「いやあ、葡萄酒のコルクが開けられてよかったなあ。お客さんたちもやってくださいよ」
尚典は酒は飲まないので躊躇していたが、
「うす、いただきやっす!」
横山はそう言って、コップのワインを一気に飲み干した。
39297:02/08/23 10:39 ID:0I0PfAdQ
「いやあ、葡萄酒が飲めてよかったなあ」
ワインの瓶は結局空になってしまった。饅頭屋の男は機嫌よく、こう続けた。
「こちらのお客さんは、葡萄酒はお好きじゃないんですか。あ、ウィスキーならありますよ」
「いや、その」
尚典は断ったつもりだったが、男はまたいったん奥に入って、今度は角瓶のウィスキーと
紙袋を持って戻ってきた。
「あ、ニッカの角瓶っすか」
横山がうれしそうに言った。
「よかったら持ってってくださいよ。あ、それからこれは一昨日つくった饅頭です。
古いものをお売りするのも何ですから、さしあげますからお持ちになってください」
「饅頭の箱って、ないんっすか。俺『ツンドラ饅頭』って書いた箱欲しかったのに」
「横山!」
尚典は小声で横山を制したが、横山は頓着していないようだった。
「箱はちょっとないんですよねえ」
男はそう言いながら部屋の隅にあった文箱を引き寄せた。中には筆と硯が入っていた。
「袋に書いておきますよ」
そう言って、行書体で「樺太名物 ツンドラ饅頭」とサラサラと書いた。
39397:02/08/23 10:40 ID:0I0PfAdQ
「尚典先輩、饅頭旨いっすよー」
尚典と横山は線路の上を歩いて荒れ地に戻ることにした。既に小雨が降りだしており、
鉄路の上で雨滴が跳ねた。
「横山、饅頭は当面の食糧なんだから全部食うなよ」
「えー、分かってますよ」
そのような会話をしながら線路の上を歩いた。周囲は薄暗い針葉樹の樹林帯で、尚典も結局
歩きながら饅頭を1個食べた。なんの変哲もない普通の饅頭で、どのあたりがツンドラなのかは
よく分からなかった。
「あれ、誰か歩いてきますよ」
横山が線路の先を指さした。そのとき、雨足が早くなった。周囲の針葉樹の葉に激しく雨が当たり、
その水滴が線路の上に跳ね返った。視界は悪くなり、視線の先の人影はまっすぐ歩けないようで、
左右に大きく蛇行しながら大きく体を揺すっており、まるで幽霊のようだった。
「鶴岡?」
尚典は声をかけた。
「尚典さん・・・」
鶴岡一成は線路の上で座り込んでしまった。尚典は駆け寄った。
39497:02/08/23 10:41 ID:0I0PfAdQ
「鶴岡、どうしたんだ」
鶴岡は枕木に顔を伏せて、すすり泣いているようだった。尚典はその前にしゃがみ、
鶴岡の肩を両手で抱えた。
「尚典さん、俺、相川さんを見捨てちゃったんですよう。自分が巻き込まれて死にたくなかったから。
相川さん、肩撃たれてるのに。あのままだと相川さん、死んじゃいますよう」
「鶴岡、それで相川はどこにいるんだ」
そのとき、モバイルがメールの受信音を発した。尚典のすぐ後ろに立っていた横山が、
ナップザックからモバイルを取り出した。
「本日2度目の禁止エリアの発表です、このエリアにいる方は退去してくださいね、だそうです。
爆撃開始は30分後だって」
横山はそう言って、尚典の前にモバイルを差し出した。メールには地図がつけられていて、
それをのぞき込んだ鶴岡が号泣しながら、地図の赤く塗られた部分を指さした。
「相川さんは、相川さんは荒れ地のこのあたりにいるはずです」
尚典は鶴岡の肩を抱えて立たせた。
「鶴岡、相川を助けに行こう。30分あれば何とか間に合うかも知れない。横山、走るぞ!」
尚典は後方の横山に声をかけた。鶴岡の肩を抱えたまま、線路の先の荒れ地へと走り出した。
395代打名無し:02/08/23 10:43 ID:0I0PfAdQ
第10回。
遅くなった上に、今回は何かワイン飲んで饅頭食ってるだけのよーな気が。
第11回は、なるべく早くうpしたいと思うです。
396代打名無し:02/08/23 10:57 ID:EpSYEWho
97氏キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
397代打名無し:02/08/23 17:17 ID:xm3M2lSu
ワイン飲んで饅頭食ってるだけだがおもろい。
398代打名無し:02/08/23 18:58 ID:MsfVTZr+
展開がさらに気になるage
399当て馬名無し:02/08/23 21:57 ID:mrnjV2Lk
>>97
Ζ彳皮。
400代打名無し:02/08/23 22:10 ID:ERiwrGdD
プロ野球バトロワで一番おもろい
97氏はたいしたもんだな
401代打名無し:02/08/23 23:00 ID:D5LFHkYA
夜ベイのタコノリに慣れている私には
ばとろわ尚典の賢さに微妙な違和感を感じるけど

おもろい!
402代打名無し:02/08/23 23:23 ID:EpSYEWho
夜の保全ageでもするか。
403代打名無し:02/08/24 03:54 ID:nJubt7aM
タコノリは夜ベと違ってバトロワでは賢いが、
横山は夜ベでもバトロワでもアホキャラだ(w
404キヨパラ:02/08/24 08:11 ID:UbxeKxzR
age
405代打名無し:02/08/24 16:29 ID:1ndZKfJK
age
406代打名無し:02/08/24 23:20 ID:oQlWT1DH
age
407代打名無し:02/08/24 23:41 ID:zgQTU6pA
ドラバトロワ中村さんは真面目な熱血漢で好きだが、
ベイバトロワ中村さんも飄々&冷静な印象でイイ!
408代打名無し:02/08/25 02:00 ID:wD6Z7pM5
<軍票>
軍事費用確保のために特別に発行された紙幣のこと
・・・なるほど
409代打名無し:02/08/25 04:40 ID:o3KstU5/
>>407
ドラファソとベイファソの中村さんへの印象の違いかと思われ。
まあ、悪くはないみたいでなによりですが。

中村さんだけに捕手ageヽ(`ε´)ノ
410キヨパラ:02/08/25 09:42 ID:99kd4XpC
age
411代打名無し:02/08/25 18:44 ID:/HiLHBEg
agege
412キヨパラ:02/08/26 00:43 ID:b6W6EItW
agege
413代打名無し:02/08/26 00:50 ID:8Aa7EX7C
ドラファンでヴォケシがどういう役なのか気になって見にきたのですが
むちゃくちゃおもしろいですね!
ドラバトロワもかなり良いですがこちらもかなり読み甲斐ありですな!
これからはベイバトロワも楽しみになりますた!
414代打名無し:02/08/26 13:20 ID:A/5m+gZI
あげ
415キヨパラ:02/08/26 21:21 ID:7X+5glHF
あげ
41697:02/08/26 23:05 ID:d7LX1rhG
第10回うpしますた。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/
417代打名無し:02/08/26 23:08 ID:S6fmAycC
ご苦労様です、97氏
418代打名無し:02/08/27 07:34 ID:Q9iAreDV
age
419キヨパラ:02/08/27 13:25 ID:Ev7v47uj
age
420キヨパラ:02/08/27 21:58 ID:VTqDPpkm



421代打名無し:02/08/28 05:51 ID:IlApwD+8
朝あげ
422キヨパラ:02/08/28 11:38 ID:m7dcm4pb
age
423代打名無し:02/08/28 11:48 ID:iRCOUIxD
待ちage
424代打名無し:02/08/28 21:09 ID:8xJk912/
今年のベイの救いようの無さとマッチしててイイ!!
425米ふぁん:02/08/29 01:13 ID:IA5v84fK
このスレは実際『97』氏が書いて我々が楽しんでるのですが,
ここを開く度に出てくる『ひとりまつり』氏の名が邪魔です。
何とかならないでしょうか。
426代打名無し:02/08/29 01:18 ID:JyW58JmJ
427代打名無し:02/08/29 07:52 ID:J66HK4oP
朝age
428キヨパラ:02/08/29 11:25 ID:WnlFo6y3
age
429代打名無し:02/08/29 12:09 ID:hiN65Vzn
ぜひ、クソ森まさあきも出して下さい。
430代打名無し:02/08/29 17:05 ID:wIpQGj8E
どうしようもない馬鹿女たちがプロ野球選手をコケにして騒いでいます

         ↓
http://salami.2ch.net/test/read.cgi/uwasa/1027492175/l50


431キヨパラ:02/08/30 00:36 ID:Ko1uBNk8
age
432代打名無し:02/08/30 07:30 ID:h1bF+O98
あげ〜
433代打名無し:02/08/30 13:49 ID:yLbkRvFG
23日から一週間、そろそろ来るか?
434代打名無し:02/08/30 15:21 ID:zrDx1EeV
迷わずベンチを飛び出したのは七回だった。

「ひどすぎるじゃないか! いくら頑丈なペタでも、体が持たないだろう!」

筋肉で盛り上がったペタジーニの背中で、白球が鈍い音をたてた。
横浜2番手の横山が投じた3球目。三回に36号2ランを放ち、チームを勢いづか
せた主砲への1球。4−2の七回一死一塁、簡単に走者を出せない状況での故意と
取られても仕方ない死球に、横浜の捕手・中村に猛然と食いついた。
435キヨパラ:02/08/30 16:16 ID:yGZktUND
あげ〜
436代打名無し:02/08/30 16:31 ID:2842shyF
>>425
透明あぼんしる
437代打名無し:02/08/30 21:36 ID:yLbkRvFG
横浜逆転勝ちage
438キヨパラ:02/08/30 23:52 ID:2ep+Nh99





                     げ
439代打名無し:02/08/31 04:10 ID:TBWExZe4

440代打名無し:02/08/31 11:20 ID:Mg4B/wpf
森繁退場age
441キヨパラ:02/08/31 21:51 ID:+5BM/T9Z
age
442キヨパラ:02/08/31 21:54 ID:dx8+aqGI
は        

  
                           げ  ?
443代打名無し:02/08/31 23:12 ID:+avlp20C
(゚}{゚)ヘンタイカメン!!age
444キヨパラ:02/09/01 08:52 ID:3a07THTV
>>442 やい!偽者!




         げ
445代打名無し:02/09/01 08:56 ID:fYdwO5y9
松井に4四球で逃げて13失点ですか・・・・・

監督つまらないと、球団もつまらない野球するね。
44697:02/09/01 13:54 ID:/gNM56/E
小雨はやがて篠つく雨に変わった。
針葉樹の林が切れて眼前に荒れ地が広がった。霧が地上を覆い始めており、遠くに見えるはずの
低く連なる山々は姿を隠している。
「相川さんがいるのは、その先の土手の下のはずです」
鶴岡一成が力なくくさむらの一角を指さした。雨合羽姿の鈴木尚典は土手の線路の上から
その方向を見た。
強い雨が丈の高い草を打ち、その圧力を受けて草が上下に揺れる。
尚典は、誰かがくさむらに身を潜めてるかも、と目を凝らして揺れる草を見た。自分の
息づかいだけが異音として鼓膜を刺激する。
「自分が、下りてってみます」
鶴岡がそう言った。
「鶴岡、気をつけろ」
尚典は鶴岡の背に声をかけた。鶴岡のTシャツは雨水をたっぷり含んで、肌にはりついている。
尚典の背後には、雨合羽を着た横山道哉が呆けたような顔で突っ立っている。
鶴岡が土手の斜面を駆け下りた。くさむらに姿を消して、いくらも経たないうちに声をあげた。
「相川さん、しっかりしてください!」
「鶴岡、相川は見つかったのか」
尚典はそう言いながら、声の方向へと土手を駆け下りた。横山も続いた。
激しい雨で臭い自体は消されているはずなのに、まだ硝煙の臭いが残っているように思えた。
その一角だけ草が大きくなぎ倒され、尚典の足元には薬莢がいくつも落ちていた。
その先には二人の人間が並ぶように倒れ、脇には3つの拳銃があった。鶴岡が片方の
人間の肩を激しく揺すっている。
44797:02/09/01 13:55 ID:/gNM56/E
「相川!」
尚典は倒れている相川亮二に駆け寄った。側にしゃがみこんで軽く頬を叩いてみたが、反応はない。
右手を取ってみると皮膚は温かく、脈には反応が感じられた。
「相川、しっかりしろ!」
尚典は相川を抱きかかえるように上体を起こさせた。意識のない相川は、尚典の腕の中で
ぐったりとしているだけだ。
「吉見はダメです。死んじゃってますよ」
相川と並ぶように倒れている吉見祐治の脈を診ながら、横山が言った。吉見は苦悶の表情を
浮かべたまま固まって、腹からは血を吹いており、既に死体の様相を呈していた。
横山が相川を背負い、鶴岡がそれを後ろから支えるようにして運搬することにした。
「吉見も何とか埋葬してやらないと」
尚典はそう言いながら吉見の目を閉じさせてやろうとした。既に死後硬直が始まっているようで、
閉じさせることができない。それでも死体をそのままにしておくわけにはいかないと考えた尚典は
吉見の脇を抱えて、引きずった。80キロや90キロのバーベルを扱うことは、大柄な尚典にとっては
簡単であるはずなのに、そして吉見よりいくらか軽い程度の相川の体を運搬することは
それほど難しくない様子なのに、86キロの死体は信じられないほど重かった。
吉見の死体をズリズリと引きずっている尚典に、横山が不審そうな表情で声をかけた。
「尚典先輩、何か変な音しませんか」
そう言われて耳を澄ますと、雨音に混じって不穏な重低音が聞こえてくるのが分かった。
「あ、あれは!」
鶴岡が指をさした。霧を切り裂いて、まず砲身の先が、続いて巨大な鉄のかたまりが姿を現した。
尚典は呆気にとられた。90式戦車だ!
44897:02/09/01 13:56 ID:/gNM56/E
霧を切り裂いて姿を現したのは、陸上自衛隊のハイテク戦車、90式戦車だった。スクエアな
ボディの先についているのはライフル砲ではなく120ミリ滑腔砲のはずで、それはライフル砲より
はるかに貫通力は強いはずで、とか考えながら、尚典は混乱した。
「尚典先輩、ここって1945年のアメリカっていいましたよねっ」
横山がわめくように言った。
「サハリンはアメリカじゃないぞ」
「あれって、90式戦車っすよね。何で1945年のアメリカに90式戦車がいるんっすかあ!」
「だからアメリカじゃないって!」
戦車は巨大で、一体それと自分たちとの距離感覚がどのくらいなのか、全く把握できなかった。
120ミリ滑腔砲が火を噴いた。
いままで聞いたことのない、とてつもなく大きな音だった。鼓膜が壊れたのではと思い、
尚典は耳を両手で覆った状態で一瞬固まった。
我に返ると、少し先のくさむらが焦げ付いているのが分かった。草の下のほうは赤いものが
ちらちらしていた。砲撃を受けて、激しい雨の中でも火がくすぶっているのだ。
いきなりの戦車の攻撃に、横山と鶴岡が何やらわめいている。
「落ち着け、威嚇射撃だ!」
尚典は叫んだ。そう、これは威嚇射撃だ。本気でこちらを攻撃する気なら、ハイテク戦車が
この距離で目標を外すわけなどないではないか!
「尚典さん、逃げましょう!」
鶴岡が言った。横山の背でぐったりしている相川の背を押し、くさむらを進んだ。尚典は
吉見の死体を引きずった状態で、後ずさりするようにそれに続こうとした。
「うわっ!」
足元は激しい雨でぬかるんでおり、尚典は足をとられてしまった。後方にひっくり返った。
立ち上がろうとした尚典の鼓膜を、再び巨大な音が襲った。
5メートルばかり横に火柱が立った。火の粉が尚典の頭上に降ってきた。
「あれは・・・」
戦車との距離が詰まって、ハッチから上半身をのぞかせている人物の姿がくっきりと見えた。
兵士ではなかった。ボディに「TBS」のロゴの入った大ぶりのビデオカメラを肩に担いでいる。
44997:02/09/01 13:57 ID:/gNM56/E
「尚典先輩、何でTBSが俺らを攻撃してくるんですかあ!」
横山がわめいた。尚典には分からなかった。朝方見たイリューシンIl−4攻撃機の機影と、
幅広の土道の脇に木造の建物が建ち並ぶ敷香の街と、120ミリ滑腔砲を装備する90式戦車と、
TBSのビデオカメラと。この世界には、なぜそのようなものが同居している!
尚典は吉見の死体を引きずりながら後退を続けようとしたが、戦車との距離は縮まってくる。
「尚典さん!」
横山と鶴岡は相川を背負った状態で土手を登ろうとしていた。鶴岡が振り返って言った。
「尚典さん、もう吉見の死体はあきらめてください! このままでは逃げきれません!」
「そんなこと言っても!」
そうは言っても、吉見の死体をここに捨てて逃げ出すと、死体は戦車に踏みつぶされて
しまうではないか。
そうこうしている間にも、重低音はどんどん近づいてくる。
戦車は尚典の10メートル手前まで迫った。
「尚典先輩!」
「尚典さん、お願いですからあきらめてください! このままでは生きている相川さんだって
運搬できなくなります!」
鶴岡の言葉に、尚典は一瞬吉見の死体と90式戦車を見比べた。振り返ると、土手を登ろうと
していた横山と鶴岡の足は水分を含んだ草に滑って、いくらも登れていないようだ。
尚典は激しくかぶりを振った。
これは戦争だ。死体を埋葬してやりたいなどという個人の感傷の入る余地など、どこにもないのだ!
尚典は吉見の脇に回していた手を離した。吉見の体が力なく地面に落ちた。
そして素早く踵を返すと、土手を登ろうとしている鶴岡の背を押した。
45097:02/09/01 13:58 ID:/gNM56/E
横山が相川を背負ってそれを尚典と鶴岡の2人がかりで背後から押して、土手を一気に
駆け上がった。そしてそのまま転げ落ちるように、土手の逆側を下った。
土手の逆側も、同じような荒れ地だった。違う点といえば、霧の合間から姿をのぞかせる
低い山がいくらか近く見えることだ。
「戦車は土手を越えてこっちに来ないんすっかね」
横山が土手の下でしゃがみ込んで言った。尚典は耳を澄ませた。重低音は聞こえなかった。
吉見の死体は、戦車に踏みつぶされたのだろうか。
尚典は天を仰いだ。雨が顔を打った。そのような感傷は、恐らく持ってはいけないのだ。
死体のことよりも、まだ生きている人間を生き延びさせる方法を考えなければならない。
尚典は言った。
「戦車は来ないみたいだけど、安心はしてられないし。雨が止みそうにないから、どこか
屋根のある場所を探さないと」
雨足は弱まる気配を見せなかった。尚典と横山は雨合羽を着ているからまだいいが、
Tシャツ姿の鶴岡は消耗が激しいだろうし、相川に至っては生命の危険がある。
その相川はエマージェンシーブランケットにくるまれて鶴岡に抱きかかえられており、
意識が戻る気配はないようだ。
「向こうに小屋みたいなのが見えますけど、行ってみますか」
鶴岡が指をさした方向を見てみると、霧の合間に確かに小屋らしきものが認識できた。
45197:02/09/01 13:59 ID:/gNM56/E
横山がエマージェンシーブランケットにくるまれた相川を背負い、それを鶴岡が後ろから
支えて再び歩き出した。
それほど遠くには思えなかったのだが、目指す小屋にはなかなか着かなかった。他に
比較するものもない荒れ地で、遠近感が混乱しているのだろうか。
丈の高い草やクマザサに覆われたもとの荒れ地と比べると、こちら側の荒れ地はいくらか
草の丈は低く、所々には棄てられた畑の跡のようなものもあった。
小屋が建っていたのは、遠くに見えた低い山の麓だった。結局遠近感が混乱していたわけで、
道理で遠かったはずだ、と尚典は思った。
小屋の屋根には鉛版が張られているようで、激しい雨に打たれて打楽器のような音を発している。
戸を開けてみると中はかなり狭く、土の床一面に鉛版や針金などが落ちている。
「中は足の踏み場もないっすよねー。鉛版とか外に出さないと」
横山が言った。鶴岡はクマザサで覆われた山の麓でうろうろしていたが、「あ」と声をあげた。
「ここ、踏み跡みたいになってますよ。山の上に人家とかあるかも知れないから、見に行ってみます」
鶴岡がそう言って、クマザサの中に足を踏み入れようとした。そのとき。
「止まれ!」
上方から男の声がした。
「中根さん・・・?」
尚典は声のほうを見た。クマザサの踏み跡の先に中根仁が仁王立ちになっていた。手にして
いるのは、日本刀のようだ。首のまわりには鉛版のようなものが巻きつけられている。
「おまえら、こっちに登ってくるなら俺の言うとおりにしろ。その小屋の中に鉛版と針金が
あるだろう。それを持ってひとまずここから200メートルか300メートル離れろ。そしておまえらの
首に巻き付いている金属の首輪が外から見えなくなるように鉛版で覆って針金で止め、
それからここに戻ってこい」
45297:02/09/01 14:00 ID:/gNM56/E
雨は止むどころか、いっそう激しさを増しているようだった。霧が地上を覆い、それでなくても
完全に認識できていたわけではない現在地は、ますます判別し難くなった。
三浦大輔(18)は頭からエマージェンシーブランケットを被ったまま、ジャケットのポケットから
処方薬を取り出した。錠剤を掌に取り、ペットボトルの水と共に咽に流し込む。
「三浦さん、だいじょうぶですか」
三浦の隣で、同じようにエマージェンシーブランケットを頭から被って座り込んでいる
木塚敦志(20)が、心配そうに声をかける。
「ああ。だいじょうぶだから、心配するな」
そう言った声が既に息の上がった声だ、と三浦は自分で思った。未明から歩き続けて、
食事といえばナップザックの中にあった乾パンをかじっただけで、既に肝臓は悲鳴を上げ始めている。
全身は熱っぽく、だるい。しかも機内に持ち込んだ手荷物の中には1日分の処方薬しか
入れていなかったのだ。
これで薬は最後だ。空港のカウンターに預けた荷物の中には5日分の処方薬が入れてあったのだが、
航空機の爆破と共に塵になってしまっただろう。
肝機能障害を持病に持つ三浦にとって、荒れ地でのサバイバル戦は過酷に過ぎるのだ。
薬を服用している状態でこれなのだから、薬の切れる今夜から一体自分の体はどうなって
しまうのだ、と考えると、熱っぽい体の毛穴という毛穴から冷えた汗が吹き出す。
三浦と木塚のいる場所は、多くの選手が目指した樺太東線の線路とは航空機の着陸地を
はさんで逆側の湿地帯だった。歩いていると、何度も河川や沼地に行く手を阻まれた。
「三浦さん、雨が止んだら、もとの滑走路に戻ってみませんか。こっちは湿地帯だから、
横断できそうにないし」
「そうだな」
木塚の発言に三浦は力なく答えた。雨が上がるまで体力が保ってくれればいい。いまの望みは
一刻も早く、雨が止むことだけだ。
453代打名無し:02/09/01 14:03 ID:/gNM56/E
第11回。なるべく早く次回うpするとかいいつつ、
結局週末になってしまいますた。

>>429
もちろん森が出演しないわけなどないので、マターリと待っててくれ。
454一阪神ファン:02/09/01 15:41 ID:LePQwooA
97さん乙です
455代打名無し:02/09/01 18:11 ID:0V3DyC4O
乙です。
戦車は出てくるわ、ばんちょは出てくるわ、
そしてTBSは出てくるわで、話が進みましたな。
456代打名無し:02/09/01 18:34 ID:xwAUkQxm
97氏キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
457代打名無し:02/09/01 22:00 ID:PQAWJaxR
バンチョと神と親会社様キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!
458代打名無し:02/09/02 07:41 ID:73FaXfFz
あげ〜
459キヨパラ:02/09/02 18:43 ID:30i7onPa
あげっ!
460(゚Д゚≡゚Д゚)ハマナコ ◆NACOlMr2 :02/09/02 18:47 ID:0Lax206t
あげー
461代打名無し:02/09/02 19:02 ID:1yCAT87c
age
462代打名無し:02/09/03 01:38 ID:IPGdXBSj



463777 ◆JfUOwX5w :02/09/03 01:47 ID:RYAtqBR3
おっと!
464代打名無し:02/09/03 06:17 ID:h1RxQw/F
あげ〜
465キヨパラ:02/09/03 13:22 ID:uy1fCVaD


466キヨパラ:02/09/03 22:50 ID:+ghyVs6g
age
467代打名無し:02/09/04 06:44 ID:L/x5SIKr
あげるぞ
468キヨパラ:02/09/04 12:40 ID:NUI5iS8E
age
469キヨパラ:02/09/04 22:05 ID:Lmfko3qW
あげr
470代打名無し:02/09/05 06:24 ID:gvgZq78M
471代打名無し:02/09/05 15:04 ID:Ws258hUb
age
472キヨパラ:02/09/05 19:46 ID:aHjEqxlo
あげ
473代打名無し:02/09/05 20:22 ID:ao2+J9Wi
今日の試合短かかったなー
でも連敗止めたのでage
474代打名無し:02/09/05 20:54 ID:Ws258hUb
あと3日くらいかなage
47597:02/09/06 02:49 ID:SqNdT/vp
第11回うpしますた。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/
476代打名無し:02/09/06 06:28 ID:S5u0DO/F
朝あげ
477si:02/09/06 09:58 ID:0QNNFrno
糞スレ立てんなや、巨人バトロアで十分だろ。
478代打名無し:02/09/06 10:52 ID:UFmFGg37
>>477
ハァ?
こっちは原作と話違うし。
巨人バトロワなんか原作を巨人の選手に当てはめただけじゃん。
479代打名無し:02/09/06 12:37 ID:W6JxGl3O
>>477はただのバカだが、>>478もいただけないな。
あれを読んでいれば少なくとも「当てはめただけ」という言葉は出ないはず。
巨人、中日、広島、横浜、どのバトロワもそれぞれに味があって面白いぞ。
480si:02/09/06 16:25 ID:0QNNFrno
479に少しだけ同意します。
巨人いがいは、ハッキリ言って面白くない
中日は文章がへたれです。広島はマイナーすぎて面白みにかけます。米スターズは・・・・もともと糞
481米ふぁん:02/09/06 16:35 ID:vC5RhEvP
>>480のSIとやら
ただ単に、自分自信が巨人ファンなだけだろ。
糞スレだと思うなら見なきゃよかろう。
482キヨパラ:02/09/06 17:15 ID:z2psVbcB
si(>>477>>480)よ。

おめぇな、あーだこーだケチつけるなら、自分で読売BRの2002年つくってくれや。
483代打名無し:02/09/06 17:23 ID:pkpBUs+1
>>475
97さん、注釈の文字クリックしたら11回になるんだけど・・・
その横の1の文字は注釈に飛びますが
484代打名無し:02/09/06 17:43 ID:PiFV6ye+
折れはベイバトロワが一番面白いけどなアゲ
485代打名無し:02/09/06 18:08 ID:szLXKfQ2
キヨパラって名前の人達(一人だったらスマソ)は好意的と受け取って良いんでつか?
個人的にはageに来てくれてるということから単純だけど好感もてる
自分はバトロワ全部好きだわ。>>477,480は自己中巨人ファソとしか取れない。
なんか空気が危なげなんで保全さげ
486代打名無し:02/09/06 19:25 ID:r1B8t7K6
ageて、スレが上にいくとやはりバカがよってくるらしいね
まぁ、しょうがないのかもだけど

とりあえず、ここおもろくないって人は見なければいいだけ
幼すぎ
487またーりさん ◆MatariKo :02/09/07 00:19 ID:JyWeiYmI
>>486
そう言いながらageる貴方もどうかと思いますが(w
48897:02/09/07 01:12 ID:n/eqqySw
>>483
これで直ってると思う。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/

荒れてるな〜。
気に入らないスレは見ない、煽りには乗らないというのが2chの基本だよん。
チュニチの人たちはヴォケ志さんがいる関係でよく書き込んでくれてるし、
カプの保管サイトはうちの保管サイトにリンクしてくれてるし、
他球団BRの人らともいい関係でやっていきたいんだけどね。
489代打名無し:02/09/07 06:38 ID:P5B7SZkq
(◎´∵`◎)<ぼくは マターリしたいな。
490代打名無し:02/09/07 11:13 ID:f8/q/BrQ
>>489
(`ε´)<ベイバトロワマンセー!ヴォケケケケ!
491490:02/09/07 11:30 ID:f8/q/BrQ
ごめんまちごーた。
>>480です
492代打名無し:02/09/07 15:35 ID:ybt+eWq6
(0´く`0)マターリ
493代打名無し:02/09/07 15:36 ID:NJ5Zou6P
mata-ri
494代打名無し:02/09/07 21:48 ID:Hhxlv/2F
いつの間にsage進行になったんですか?
495代打名無し:02/09/07 22:11 ID:wRnWhXwb
>>494
ageとバカがよってくるからっぽい
496代打名無し:02/09/08 07:19 ID:Wh4i9YzV
(○´ε`○)<おおお俺が主役かも〜

それはない(w
497代打名無し:02/09/08 13:54 ID:kywhUFoM
前回からちょうど一週間だが・・・
498代打名無し:02/09/08 19:54 ID:E12vBUOt
今夜あたりかと期待してみる。
499代打名無し:02/09/08 19:55 ID:BylB9tCQ
きますように(−人−)
500代打名無し:02/09/08 19:55 ID:BylB9tCQ
ついでに500GETしておく
501キヨパラ:02/09/08 20:31 ID:nAZYJuDd
くるように現在祈ってます。
502代打名無し:02/09/08 23:10 ID:PTsg/njC
ま、明日かな?
503代打名無し:02/09/09 00:34 ID:G7JPDuB1
(´Д`;)ハァハァ age
504si:02/09/09 10:32 ID:ULvxFn9D
巨人の元は高見高春の原作+アルファだがなかなか面白かった
横浜、中日、広島は、自己流のバトロア、なにこれ、全部読むだけ時間の無駄だったな。
俺の時間返せや、おっと待てよ全部呼んだの広島と中日だけだった。横浜は、糞過ぎて読む気うせましたが何か?

505代打名無し:02/09/09 12:15 ID:P2P65syx
504は、ひとりまつりのだけを読んで言ってる。97氏のを読んでから言えよアフォ。
506教えて下さい:02/09/09 12:40 ID:wxcEfgCz
斉藤明夫(元大洋)の決め球って何でしたっけ?
507代打名無し:02/09/09 14:01 ID:7bT9GSIz
>>505
というか、si=ひとりまつりだったりしてな
この粘着っぷりがひとりまつりを髣髴とさせる
508si:02/09/09 14:11 ID:ULvxFn9D
まぁ、駄作には関わるなと言うことでOKか?
糞すれ立てる暇あったらもうちょっとマシな文章考えろや
509ベイスターズは、:02/09/09 14:20 ID:1urmuwQM
佐伯最高。
それ以外はダメ。
まず、ファンがダメ。
510代打名無し:02/09/09 14:21 ID:Q6AGHzo+
ひとりまつりは(・∀・)カエレ!!
511代打名無し:02/09/09 14:27 ID:5OJv4Il3
>>506
サヨナラボーク

>>507
si=ひとりまつりだったりしてな
と言うのが正しいと仮定すると
>>508は自分に言っているわけで
全面的に激しく同意できるな。
512代打名無し:02/09/09 19:05 ID:G7JPDuB1
ひとりまつりは(・∀・)カエレ!!
513代打名無し:02/09/09 19:27 ID:dUOzKaUQ
ひとりまつりは(・∀・)カエレ!!
514代打名無し:02/09/09 20:24 ID:7IhoUX/0
>>504はひとりまつりでは無いだろう。
真のベイバトロワは>>90から始まっている事を知らずに、ひとりまつりの
糞文読んでぶちギレしたんだろう。
515キヨパラ:02/09/09 21:57 ID:aQhY1kHp
自分も
ひとりまつりは(・∀・)カエレ!!
と行ってみる。
516代打名無し:02/09/10 01:01 ID:uIotQb5W
一人祭りは(・∀・)カエレ!!
517si:02/09/10 08:44 ID:DeePnPCD
一人祭りは(・∀・)カエレ!!

518代打名無し:02/09/10 23:04 ID:uIotQb5W
>>517
(=´∀`)σおまえだよw<かえれ
519代打名無し:02/09/10 23:08 ID:9cVWDZPB
早く犯罪者集団・ハンチンを消滅させるために5位になってください。
520代打名無し:02/09/11 05:17 ID:PegM5R2t
煽りは放置すれ。レスつけるのは餌をやってるようなものだ。
521代打名無し:02/09/11 09:02 ID:iDLv0OMo
俺!?冗談じゃないよぅ。
もっとマシ文章書けるよぅ
522米ふぁん:02/09/12 01:44 ID:oHe5x/mm
緊急浮上。
523si:02/09/12 10:10 ID:w87wSKSN
駄スレにいつまでも関わるなよぅ
524代打名無し:02/09/12 13:41 ID:23KFLsO9
>>523
そう思ってるお前が関わるな
525代打名無し:02/09/13 03:29 ID:7ZW91iIl
age
526代打名無し:02/09/13 18:22 ID:7ZW91iIl
age
527代打名無し:02/09/14 01:12 ID:gtkLQ3l9
3連続でageはおれか・・・
変なバカきたからいままであげてた人どっかいっちゃった゚・(ノД`)・゚
528代打名無し:02/09/14 01:48 ID:6HCKKo5V
>>527
ネタスレでは5連続1人ageだって珍しくないぞ。マターリしる。
529代打名無し:02/09/14 02:48 ID:K0EQN7fn
何これ?このスレがdat落ちしたかと思ったよ。

横浜ベイスターズバトルロワイアル復活希望
http://sports3.2ch.net/test/read.cgi/base/1031938896/
530代打名無し:02/09/14 03:10 ID:oRCQEOJ9
石井浩は引退したら何をするんだろう・・・
531代打名無し:02/09/14 03:11 ID:oRCQEOJ9
棋士?
532代打名無し:02/09/14 11:16 ID:NzZbk4QI
90から始まっているのに97っていうのがいいな
533代打名無し:02/09/14 22:29 ID:49148p+e
あげとく
534代打名無し:02/09/15 02:47 ID:cfsqnRI1
あげ〜
535代打名無し:02/09/15 02:52 ID:oq9kx3aR
FC東京=横浜ベイスターズ

ファンがDQN
536代打名無し:02/09/15 07:39 ID:8BBPkvIT
さげ〜
537代打名無し:02/09/15 19:10 ID:awL6bDI7
あげます
538代打名無し:02/09/16 09:11 ID:sgsFzRBx
a
g
e
539代打名無し:02/09/16 13:28 ID:9sJCQo+x
2週間経過age
540キヨパラ:02/09/16 21:57 ID:7fGPmSCG
97さんに一体なにがあったのか。
sageでいきます。
54197:02/09/17 11:53 ID:WMD8fBof
太陽は厚い雲に隠されたまま時間は過ぎ、いつ日没したのかは判別できなかった。
なし崩し的に訪れた闇が荒れ地を覆い、強い雨は丈の高い草を打ち続ける。
八馬幹典は鉈を手にしたまま、くさむらにうつぶせに倒れ込んでいた。雨は八馬の体力とともに
思考力も奪っていく。
「何で俺が・・・」
死ななければならないのか、と口にしようとして、「死」という単語のリアルさに身震いした。
左膝の骨は銃弾に砕かれたようで、動かすことができない。先ほどまで走っていた激痛すら
もはや感覚を現実に引き戻すものではなく、痛みは麻痺してきたようだ。
八馬は鉈を握り直した。
ひとりでは死なない。誰か道連れにしてやる。
ここが一体どこなのか、そしてなぜこんなことになってしまったのか、そういった素朴な疑問を
持つことすら現在の八馬にはできない。いや、そのような疑問を持つ余裕があれば、
誰か道連れにしてやる、などという発想は起きないだろう。
八馬はくさむらに伏せた状態で鉈を握り直した。
八馬の伏せている鼻先には、何人もの人間が踏み慣らした跡が道のようになって横切っていた。
ここを横切るやつを襲ってやる。そう身構えた八馬の耳に、何人かの人間の走ってくる
足音が聞こえる。
54297:02/09/17 11:56 ID:WMD8fBof
「うわっ!」
「何なんだよ、一体!」
男たちが口々にわめきながら走ってくる。2人のようだ。八馬は息を潜めた。鉈を握る手に力が入る。
「ぐわあああっ!」
八馬は声をあげて鉈を大きく振った。闇の中で草と雨水が飛び散った。
「ぎゃっ!」
鉈の先が肉を掠ったのが分かった。クリーンヒットではない。ポテンヒットが一塁手と右翼手の
間に落ちたような感触か。
「おい、どうしたんだ、だいじょうぶか!」
「な、何かがくさむらの中に。わっ、血が出てる」
「逃げよう!」
男たちの足音が遠ざかっていく。八馬は舌打ちをした。ヒットだと思った当たりは一塁手に
キャッチされたようだ。
と、別の足音が聞こえてきた。一塁手がファールグラウンドで打球をこぼして、もう一度
打席に立てるチャンスが来たような。
今度こそ打ってやる、倒してやる。
「待て、このヤロー!」
男は声をあげながらこちらへ走ってくる。その声に合わせて、八馬は鉈を振った。
「ぐはっ!」
先ほどよりははっきりとした感触があった。草が大きく擦れる音がして、男が倒れたのが分かった。
八馬は鉈を手に、這うように体を引きずりながら前に進んだ。
人の息づかいが聞こえた。相手はすぐ近くに倒れているようだ。
遠雷が光った。そのときの稲光で、南竜介が尻餅をついて歯をガチガチ鳴らしているのが見えた。
いまのはいい当たりのファールといったところか。八馬は鉈を振り上げた。今度こそ
クリーンヒットだ!
543代打名無し:02/09/17 11:57 ID:B/FxO7lr
待ってました!!
54497:02/09/17 11:57 ID:WMD8fBof
「ひっ!」
八馬が鉈を振り下ろした場所は南の足の数センチ手前だった。南の咽が引きつったような音を出した。
距離感覚を間違えた。ファールチップ。打ち直しだ。八馬は更に這って南との距離を詰めた。
八馬は再び鉈を振り上げた。
その鉈が振り下ろされることはなかった。後頭部に金属が当てられるのを感じた。
ファールチップはグラウンドには落ちず、キャッチャーミットに収まって自分は三振したのだと、
そのことを認識する時間の猶予すら八馬には与えられなかった。
遠い雷光が荒れ地を照らした。南の位置からは、八馬の背後の殺戮者の姿が見えたかも知れない。
自分の後頭部から発した破裂音は雷鳴にかき消されて、八馬は最後の音を聞き取ることすら
できなかった。あれほどリアルだった死を結局は認識できないまま、八馬の後頭部は
銃弾によって破壊された。
54597:02/09/17 11:58 ID:WMD8fBof
「ひ、ひ、ひっ!」
南は尻餅をついたまま咽を引きつらせていた。行け、と顎でしゃくって示したが、闇の中で
南には見えなかったかも知れない。
それでも数秒をおいて、南が立ち上がって血の吹く足を引きずるように走り出したのが分かった。
野村弘樹はCz75を持った左手を下ろした。足元の八馬の死体を確認しようとしたとき、
数十メートル先に破裂音を聞いた。草の激しく擦れる音がした。
銃声は1発では終わらなかった。2発目のあと、男のわめくような怒鳴るような声やら
哀願するような声やらが聞こえてきた。
三発目が鳴って、声は途切れた。
野村はゆっくりと声のしたほうへ歩を進めた。周囲を確認しながら慎重に進むと、草が
なぎ倒されて人間が倒れているのが分かった。
腰につけた小型のライトを当てて確認する。
南が目を剥いて死んでいた。銃弾の跡が、腹に2発、額に1発。
またなぶり殺しをしやがって。野村は口をへの字に曲げた。そしてレインウェアのフードを剥いで
ジッパーを胸元まで下ろし、下に着たフィールドコートの内ポケットからトランシーバーを
取り出した。アンテナを伸ばしている間にも、激しい雨が顔を打つ。
「野村です。報告します。2205、八馬幹典、背番号61番を射殺しました。それから」
トランシーバーから顔を外して、振り返って怒鳴った。
「隠れてないで出てこい、変態!」
野村はトランシーバーを握り直し、報告を続ける。
「同じく2205、南竜介、背番号64番が変態によって射殺されました。以上!」
怒鳴るように報告を終えたとき、背後にゴアテックスの衣擦れの音を聞いた。と、傘が
頭上に差し出された。
「野村さん、変態呼ばわりはやめてくださいよ」
「変態呼ばわりされるのが嫌なら、なぶり殺すのはやめろ! せめて楽に死なせてやれ!」
遠雷が光ったとき、隣に立った石井琢朗の姿がはっきりと認識できた。野村のほうを見上げて、
レインウェアの肩を軽くすくめて見せた。
54697:02/09/17 11:59 ID:WMD8fBof
「自分の姿を見られた可能性が高いのに相手を逃がそうとする野村さんの神経のほうが、
俺には理解できないですけどね。それに、わけが分からず死んでいくのと死を覚悟して
死んでいくなら、後者のほうがマシじゃないですか。
だいたい、試合に出ずにずっと射撃の訓練やってた野村さんと違って、俺は訓練期間も短かったから
1発で仕留めるだけの腕はないですよ」
「勝手にしろ!」
トランシーバーをもとの位置に収め、立ち去ろうとした野村のレインウェアの袖を、琢朗がつかんだ。
「近くで草を食ってる神戸牛2頭は、どうしますか」
野村の腕に腕をからませるようにして、小型の探知機を差し出してきた。小さな画面上では
ポイントが2つ点滅している。
2人の人間がくさむらに身を潜めていることは野村も気づいていた。南に追われていた
杉本友(19)と前田和之(41)のはずだ。どちらかが八馬の鉈に足を切られ、軽い怪我を負っている。
距離は50メートル弱。風向きを考慮しても、いまのやりとりを聞かれた可能性は極めて低い。
しかし万一聞かれていたなら、放置するわけにはいかない。
「話を聞かれた可能性は、ほとんどない、と思う」
「顔は多分見られてますよ。野村さんが手を汚すのが嫌なら、俺ひとりでやりますから」
琢朗はふてくされたようにそう言って傘を持った手を下ろした。雨が野村の短く刈った頭部を打った。
傘は折り畳み式だったようで、手早く畳まれる音がした。
結局そういうことなのだ。野村は奥歯を噛んだ。自分が手を汚さないということは、誰か
別の人間が代わりに手を汚すということだ。
もし自分と琢朗が死ぬことがあっても、自分たちの役割は誰か別の人間が代わって遂行するだけだ。
「分かった」
野村は言った。口の中に苦いものを感じる。
54797:02/09/17 12:00 ID:WMD8fBof
「杉本と前田の武器は確認したか」
「杉本がマイナスドライバー、前田は拳2個分ぐらいの大きさの石のはずです」
野村はうなづいた。野村自身が先ほど確認した彼らの武器と一致している。
「逆サイドから行きます」
琢朗がレインウェアの下から何やら取り出した。恐らくヘッケラー&コックP7だ。
琢朗が野村の側からスッ、と離れた。
草を揺らすこともなく、闇の中に見事に気配を消していく。一体その動きをどこで身につけたのか、
琢朗の動きはまるで小型肉食獣のようだ。
雷が先ほどよりは近い位置で鳴った。雷雲が動いてきたようだ。近くには木もない一面の草地で、
落雷を受けないように注意する必要がある。
数十秒待ってから、野村は登山靴の足で草を大きく薙いだ。天に向かってCz75のトリガーを引く。
右手に小型の探知機を持ち、相手との距離を確認しながら、ゆっくりと詰めていく。
野村の動きを受けて、2つのポイントはやや迷走しながらも奥に逃げていく。
そして彼らの逃げる先には、先回りした琢朗が待ち受けているはずだ。
わざと大きな音をたてながら、野村は相手を追い込んでいく。その距離20メートルまで詰めた。
破裂音がした。続いて男のわめく声が聞こえた。探知機の画面を確認すると、2つのポイントは
その場で迷走を始めていた。さすがの琢朗も、闇の中では標的を外したようだ。
ポイントのうちのひとつが野村のほうに近づいてきた。野村はCz75を構えた。
「うわあああ!」
男が奇声をあげながら野村の前に飛び出してきたのが分かった。
「止まれ!」
野村は男の額に銃口を押しつけた。男の咽がひっ、と鳴って、動きが止まった。
斜め上方で稲妻が炸裂した。
その光で、正面に立った前田の様子がはっきりと分かった。歯をガチガチと鳴らしながら
手にしているのは、石ではなかった。パイナップル型手榴弾だ。
一瞬呆気にとられた野村の目の前で、前田はそのピンを抜いた。
54897:02/09/17 12:01 ID:WMD8fBof
考える余裕があるなら逃げろ、と脳は命令しているのに、野村の体は反応しなかった。
何で前田の「武器」は石ではないのだ。見間違えたのか。違う。前田が手榴弾ぐらいの
大きさの石を持っていたのは、その投げ方を確認するためだったのだろう。
詰めを誤った。俺は負けた。野村は覚悟を決めて目を閉じた。そのとき。
「野村さん!」
琢朗の声が聞こえた。と、横から飛びかかってこられた。強い衝撃に体が少し飛ばされ、倒れ込んだ。
野村と琢朗にとって幸運だったのは、倒れ込んだ先が窪地になっていたことだ。しかも
大きくえぐれたような地形で、もつれるように長い斜面を転がった。
窪地の底に着く前に爆発がきた。熱い風が体を打ち、それに煽られて体は更に転がった。
爆風が収まったところで、野村は倒れ込んだまま手を伸ばした。すぐ横に琢朗の体があった。
「野村さん、生きてますか」
琢朗が疲れ果てたような声で言った。
「ここが既に地獄じゃなければ、な」
野村はそう言いながら上体を起こした。自分は実は既に死んでいて、ここは地獄なのかも、
と考えてみた。そのほうが筋が通っている気がした。自分が堕ちたのは、チームメイトを
殺し続けなければならない、無限の闇の地獄だ。
頭上で稲妻が光った。窪地の底から、少し高くなった荒れ地の様子が分かった。杉本と思われる男が
足を軽く引きずりながら、走り去っていくのが見えた。
549代打名無し:02/09/17 12:10 ID:WMD8fBof
第12回。たいへん遅くなってしまいますた。
スレッド数400になってるけど、圧縮数変更?それともdjのかな。
もし圧縮数変更なら、ネタスレには厳しい状況だね。

>>532
最初のプロローグ部分うpしたときに、みんなが97番に対してレスつけてきたから。

>>540
ちょっと仕事がバタバタしてたのだった。
心配してくれてた人がいたならスマソ
550代打名無し:02/09/17 12:24 ID:qDSFBG2z
待ってました〜。
551米ふぁん:02/09/17 12:24 ID:zls2EJbD
やっぱり面白い。
久々は、ええのう。
552代打名無し:02/09/17 12:57 ID:qDSFBG2z
じゃ、完結したら、文庫で出版。
553代打名無し:02/09/17 13:05 ID:3FwxVfg4
天才
554代打名無し:02/09/17 20:32 ID:6uiwhsNN
゚・(ノД`)・゚2週間まってたかいがありますた
これからもがんがってください
555代打名無し:02/09/17 20:50 ID:c6+3A0uy
>97氏
最近うpのペースが遅くなってきたのは、評判がプレッシャーになってきたというのも
あるんでしょうか?でも面白いです。応援してます。
556代打名無し:02/09/18 07:46 ID:luuBfNAe
朝あげ〜
557代打名無し:02/09/18 14:04 ID:qbqZ46zx
今回も面白かったー
打席での八馬を思いだしてなんかワロタ
前田と野村の戦いも良かった、変態よばわりの琢朗モナー
558代打名無し:02/09/18 17:55 ID:aM91nOKN
やっぱり(・∀・)イイ!!age
559代打名無し:02/09/18 18:24 ID:ELwg/CdE
97氏の仕事が忙しくならないことを祈っております。
560当て馬名無し:02/09/18 18:35 ID:bfwTsUZ4
>>97
(・∀・)good job!!
>>559
本業が暇なのもどうかと…(w
561代打名無し:02/09/19 07:43 ID:DwUuLBlt
リアル野村のファンの方はひとことどうぞ(スレ違いなのでさげ)
http://sports3.2ch.net/test/read.cgi/base/1032380382/l50
562代打名無し:02/09/19 13:04 ID:gBHP2ect
昼あげ
563代打名無し:02/09/19 21:08 ID:V5ZH5YbI
age
564代打名無し:02/09/20 07:31 ID:xrFBaZwc
あげ〜
565代打名無し:02/09/20 20:13 ID:gVTukdfg
age
566代打名無し:02/09/21 04:48 ID:OmahkDEn
明け方age〜
567代打名無し:02/09/21 18:52 ID:zAa80pbn
夕方age〜
568http://nara.cool.ne.jp/mituto:02/09/21 19:17 ID:e7smt7my
「馬」でないのになぜ「河馬」?
http://nara.cool.ne.jp/mituto
569代打名無し:02/09/22 10:16 ID:wJRi4oPq
age
570代打名無し:02/09/22 10:30 ID:hYYwSHJk
鈴木尚典は早く氏ね
571代打名無し:02/09/22 22:13 ID:24zN/fIf
古木またヒーローならずage
572代打名無し:02/09/23 12:36 ID:8P+b3dEW
こまめにageたほうがいい?
573代打名無し:02/09/24 01:28 ID:vzjCpMtr
age
574代打名無し:02/09/24 12:16 ID:WLt8/vgn
ヴォケたん三人盗塁阻止age
575代打名無し:02/09/24 23:37 ID:QRxBW+mB
( `з´)<「あげ」
576代打名無し:02/09/25 03:57 ID:r8w6N/jC
(◎´∵`◎)<あげるよ。
577代打名無し:02/09/25 13:46 ID:JMDWGkNT
あと2.3日かなage
578代打名無し:02/09/25 23:04 ID:HbFWaTcU
もっと低めに〜低めに〜
   ___
♪_|___|   
   ( `ε´)  ♪
♪  / ( 三)\    sage♪
  ⊂(  ヽノ つ
    し(_)     sage
579代打名無し:02/09/26 07:49 ID:/NpfNFKt
三連戦勝ちこしage
580代打名無し:02/09/26 20:28 ID:Fbra2Aop
(`ー´)ageテモイインジャネーノ
581代打名無し:02/09/27 04:48 ID:CklN9czR
(◎´∵`◎)<ぼくは あげてみようかな。
582代打名無し:02/09/27 17:51 ID:LJ7OSFdd
age
583代打名無し:02/09/28 05:52 ID:JtBVx3wk
朝あげ〜
584代打名無し:02/09/28 21:28 ID:Gv/m4pq+
ヽ(`ε´)/ヽ[`Д´]ノあげ!!
585代打名無し:02/09/28 21:50 ID:G/6a0uKB
クロエの名前を調べたつもりで開いたら・・・
秋元の名前、まちがってない?
http://sports.yahoo.co.jp/baseball/cl/teams/06/players/manager.html
586代打名無し:02/09/29 04:51 ID:TBTBMbgT
age
587代打名無し:02/09/29 17:12 ID:pcFGP+sI
age
588代打名無し:02/09/30 00:06 ID:g0DoZnsr
age
589代打名無し:02/09/30 14:19 ID:tYkZy/Vz
あげ〜
590代打名無し:02/10/01 00:10 ID:ivD9lY34
あげるぞ
591代打名無し:02/10/01 01:36 ID:3+mGAtrM
age
592代打名無し:02/10/01 17:40 ID:iT1zbp0D
台風あげ
593代打名無し:02/10/01 23:17 ID:FekOcrDc
板直ったらしいので記念にage
59497:02/10/02 03:33 ID:0juriu4r
見慣れたはずのマンションの廊下もドアの形も、少しずつ変わっているような気がした。
廊下を照らす灯りはいくぶん暗く感じる。気のせいだ。何も昨日までと変わっている
わけはないのだ。
川村丈夫は、分厚いドアに取りつけられた鍵穴にキーを差し込んだ。
キーを回そうとして、自分の顔がこわばるのが分かった。
「開かない・・・」
川村の隣では、福盛一夫が不安そうな表情で様子を見守っている。
「開かないんですか? 何で」
「分からない」
川村はキーを引き抜いた。鼻先に押しつけんばかりにして、その形状を確認する。
間違いなく自宅マンションのキーのはずだ。自分の記憶がおかしくなっているのでなければ。
そのとき、携帯電話の着信音が鳴った。川村は足元に置いた鞄のなかからそれを取り出した。
開始ボタンを押す前に画面表示を確認する。相手方の番号は表示されていない。
59597:02/10/02 03:34 ID:0juriu4r
「もしもし」
「川村丈夫くんだね?」
受話口から聞こえる相手の声は低かった。聞き覚えのある声なのかどうか、川村は
記憶をたどる。分からなかった。
「あなたは誰ですか」
「君の自宅マンションは、そこではない。君が以前住んでいた武蔵中原のマンションの部屋が
君のいまの住所だ。即座に移動するように」
「おっしゃってる意味が分かりません。ちょっと待ってください!」
制しようとした川村を無視して、電話は切れた。
「誰からだったんですか」
福盛が訊いた。分からない、と川村が答えようとしたとき、カツカツとハイヒールの
靴音を響かせて30代ぐらいの女が歩いてきた。
女は川村と福盛の目の前で立ち止まると、バッグの中からキーを取り出した。
女がキーを差し込み、回す。ロックが解除される音がする。
「あなたは何でこの部屋のキーを持ってるのですか」
その川村の言葉に、女は怒ったような顔を向けた。
「何、あんたたち。宗教か何かの勧誘? ここは私の部屋なんだから、私が鍵を
持ってるのは当然じゃない。いつまでもそんなとこに突っ立ってると、不退去罪で警察呼ぶよ!」
女は乱暴にドアノブをひねった。開けられたドアに体を滑り込ませたかと思うと、
大きな音を立ててドアを固く閉ざした。
59697:02/10/02 03:35 ID:0juriu4r
武蔵中原のマンションの部屋は、鍵がかけられていなかった。ドアノブをひねると
低い音をたてて開いた。
と、チリンと音を立てて何かが落ちてきた。足元に落ちたそれを川村は拾い上げた。
封筒の表面に「川村丈夫様」と書かれてある。封筒の中にはキーが入っていた。
「それ、この部屋のキーですか」
川村の手元をのぞき込んで、福盛が言った。川村はドアの鍵穴にキーを差し込んでみた。
キーを回すとロックは動き、この部屋のキーのようだ。
暗がりの中、手探りで照明器具のスイッチを探す。
灯りを点けたとき、一瞬目を細めなければならなかった。
「川村さんがここに住んでたときって、こんな部屋だったんですか」
福盛が部屋の中を見渡しながら言った。
「全然違う・・・」
自分がここに住んでいたときの部屋とも、現在の自宅であるはずの部屋ともまるで異なっていた。
フローリングの床、シングルサイズのベッド、流線形のイタリア家具と思われるチェア。
裕福な生活をしている、30歳ぐらいの男が住む部屋には見える。しかしここには、
野球の道具などどこにもない。グラブに塗りつけた保革油の臭いもなければ、記念ボールの
1個も飾られていない。そしてこれは、どう見ても単身者の部屋だ。
テーブルの上にノートパソコンが置かれてあった。川村はその前に座り、電源を入れた。
そのPowerBookG4は、昨日まで自分が使っていたものではなかった。全くの新品のようで、
いくつかのアイコンをクリックしてみるが、個人が作成したと思われるファイルの
ひとつも見つからない。
そのとき、部屋の隅で電話の着信音が鳴った。
59797:02/10/02 03:35 ID:0juriu4r
音を発している電話機はスクエアな形状で色は赤く、これもイタリア製のようだ。
川村は受話器を取った。隣に立った福盛が、手早くスピーカーホンのボタンを押した。
「川村丈夫くんだね」
スピーカーを通じて聞こえてきた声は、先ほどと同じ男のもののようだ。
「あなたは誰ですか。名乗ってください。そしてこれは一体どういうことなのか、
説明してください!」
「君の身分は既にTBSに移っている。明日から出社するように。なお、幸いなことに
君の所属はスポーツ局に決定した。また、武蔵中原から赤坂までの定期券は、明日
出社したときに支給する。以上だ」
「ちょっと待ってください! これはどう見ても単身者の部屋ですよね。綾子は、妻は
一体どこへ行ったのですか」
「君はアトランタオリンピックで活躍したのち、TBSに入社した。君にはプロ野球選手だった
過去はない。よって、君は綾子さんとは出会っていない」
59897:02/10/02 03:36 ID:0juriu4r
電話が切れたあとも、川村は呆然と受話器を握り込んでいた。何だって?
妻と出会ったのは、98年の優勝旅行の帰りの航空機の中だった。
先ほどモバイルからアクセスしたプロ野球機構のサイトの、
『1998年 セ・リーグ優勝 西武ライオンズ』という文字が脳裏によみがえった。
呆然としている川村の隣で、福盛が少しふてくされたように言った。
「川村さんは、まだいいですよ。俺なんか、存在そのものがなくなっちゃったみたいです」
「え?」
福盛は手にした携帯電話を大きく振りながら、こう続けた。
「さっき実家に電話してみたんですよ。いきなり、お前誰だ、って言われて。
俺、何か親とか怒らせるようなことしたかなあ、とか思いながら話続けようとしたけど、
親父、本当に俺のこと分からないみたいで。親父アルツにでも罹ったのか、と思って
今度は女とか友達に電話してみたら、誰も俺のこと分からないんですよ。
俺、ユーレイみたいですよ」
福盛は笑おうとしたようだった。その表情が苦しそうに引きつった。
59997:02/10/02 03:36 ID:0juriu4r
福盛のボルボに乗って、再び2人で横浜スタジアムに向かうことになった。
上手くスタジアムの中に入り込めば、倉庫にはバールなどの工具類がある。ガラス切りを
見た記憶がある、と福盛が言い出して、スタジアムに行くことにしたのだ。
それらの工具類で、球団事務所のビルのドアをこじ開けれることができるかも知れない。
夜の第三京浜はクルマの流れはスムーズだ。カーラジオがオールスターの様子を伝える。
「山口和男、第一球を投げる。155キロのストレート! 打席のカブレラは全く動きません」
「ここは勝負でしょう。次は松井秀喜ですからねー。それにしても3番カブレラ、四番松井秀喜、
オールセントラルはすごい打線です」
福盛がステアリングを握りながら、鼻の頭に皺を寄せた。
「山口って、ずいぶん球速いんですね。くそ、俺と同じ名前なのに」
ファールで粘ったカブレラは四球で出塁するも、松井が3球目の152キロのストレートを
打ち上げてセンターフライに倒れ、チェンジ。CMが入って同点のままセントラルのマウンドに
河原純一が上がった、というところでスタジアムに着いた。
高校時代、神奈川県大会の準々決勝で投げ合った投手だ。自分のアマチュア時代の球歴は
残っているようだが、河原純一と投げ合った記録は残っているのだろうか、と川村は思う。
と、この世界でのベイスターズの不在を受け入れ始めている自分に気づいて、川村は
大きくかぶりを振った。
路上駐車したクルマから下りる。すぐ近くの関内駅のほうからは嬌声が重なって
聞こえてくるというのに、スタジアムの周りは灯りも少なく、人の気配はない。
ただ巨大な黒い影だけが、都会の薄灰色の闇に浮かんでいる。
60097:02/10/02 03:37 ID:0juriu4r
「どこから入りますか。窓壊しちゃいましょうか」
福盛は既にスタジアムの窓を壊すつもりのようで、右手に拳大の石を手にしている。
左手には、先ほど購入した防災用の強力ハンドライトを持っている。
「いや、先にグラウンドの様子を確認しよう」
外野スタンドに通じるフェンスの戸には、鍵がかけられていなかった。
川村はそこから体を滑り込ませる。
外野スタンドに通じる階段を駆け上がる。と、闇の中でも空が開けたのが分かった。
フェンスを乗り越え、グラウンドに飛び下りる。福盛も続いた。
くすんだ都会の夜空にも、星は二つ三つ見える。
川村はマウンドまで駆けた。マウンドの上に立って足元を確認する。
きちんと整備されたマウンドだ。すぐにもプロの試合を行うことができそうな。
土の硬さもマウンドの角度も、何も変わったところは見受けられない。
振り返ると、スコアボード周りなど高い位置に掲示されていた広告が消されているのが
分かった。そしてバックネット下など低い位置に書かれた広告は、一部残っているものも
あったが、ペンキで塗りつぶされている途中といった様子のものもあった。
「高いところにあるやつとか、外から見える広告を優先的に消してるみたいですね。
広告消して、プロの本拠地球場だった痕跡消してってるつもりなんですかね」
川村の隣に立った福盛が、バックネット下の塗りつぶされかけている広告にハンドライトで
光を当てながら言った。
そのとき、バックネット裏で何かが動く気配がした。
60197:02/10/02 03:37 ID:0juriu4r
「福盛、あれは!?」
「え?」
福盛は気づいていないようだった。川村は福盛の手からハンドライトを奪い取った。
光をうごめいている何かに向ける。
「畠山さん・・・?」
振り返った男は、畠山準だった。畠山は一瞬びっくりしたような表情を見せたかと思うと、
素早く踵を返して正面エントランスに通じるドア口に姿を消した。
「畠山さん、待ってください!」
川村はそれを追おうとする。福盛も後に続く。が、グラウンドとスタンドの高さの落差に阻まれた。
スタンドからグラウンドに飛び下りるのは簡単だ。だが、よじ登るには時間がかかる。
60297:02/10/02 03:38 ID:0juriu4r
荒れ地の一角では、火がおこされていた。
荒れ地といっても多くの選手がサバイバル戦を繰り広げている草地ではなく、
そこから奥に入った樹林帯との境界だ。雷雲が去ったのを確認してから、7人で移動した。
雨足は少しは緩くなったもののまだ降り続いており、石を組んで上部は雨を防ぎ、
左右を開けて風通しをよくする形でかまどを作って、火を燃やしている。
木の幹にロープを渡してそれにエマージェンシーブランケットをかけ、四隅を石で押さえて
簡易ツェルトも作った。2交代制で仮眠を取る予定だ。
「何でこんな茶番につきあわなければならないのだ。大体俺は、もう帰国する予定だったんだ。
しかもこんな古びた拳銃よこしやがって!」
火の前に座って、ジェイソン・ターマン(42)がいらついたように言った。両手保持した
オートマチック拳銃を構え、火に向かって撃つしぐさを見せた。
「ん? それはガバメントじゃないのか」
その隣であぐらをかいているボイ・ロドリゲス(35) が、ターマンのほうを見ながら言った。
ロドリゲスの膝の上にあるのは、対戦車用の無反動砲、カールグスタフだ。
「ガバメントに似てるのは外見だけだ。これはラドムM35だ。この、一見セフティかと
思う部分が分解装置という、ふざけた銃だ!」
いらついているターマンをなだめようと、シェーン・バワーズ(31)は、自分の「武器」である
拳銃を取り出した。南部14年式拳銃だ。
「まあ怒るなよ、ジェイソン。俺のなんか、80年ぐらい前の日本の拳銃だ。何やら
漢字が書いてある」
「その日本の拳銃はルガーP08のコピーか? 結局拳銃3丁の中では、俺のが一番マシだってわけだ」
バワーズの右隣に座ったクリス・ホルト(49)が、ベレッタM84を手にやや自慢げに言った。
.380ACPを装填する、現代のオートマチック銃だ。
60397:02/10/02 03:39 ID:0juriu4r
「南部14年式拳銃は、ルガーのコピーではない。口径も8mmだし。配布された武器に
当たり外れがあるのはしょうがない。誰の武器がマシ、と言い合うのはやめにしないか」
そう言ったバワーズに、左隣のアーニー・ヤング(25)が反論した。手には対戦車用
ロケットを抱えている。
「護身にならない武器を配布された俺は、どうなるんだ。しかもボイの無反動砲と違って、
こっちは1発撃ったら使い捨てだ!」
「パンツァーファウスト3は対戦車用ロケットだ。強力な武器じゃないか」
そう言ったマイク・グラン(4)に対して、ヤングは更に反論する。
「だったらマイク、お前のその軽機関銃とこのロケットを交換するか」
「いや、それは・・・」
グランは5.56mm機関銃MINIMIを、かばうように抱え直した。
6人が言い合っているのを片目に、ドミンゴ・グズマン(50)だけが立ち、12.7mm重機関銃M2を手に
辺りを警戒していた。
「おいドミンゴ、こっちに来て座らないか」
バワーズが声をかけると、グズマンは困ったような顔を向けた。
60497:02/10/02 03:39 ID:0juriu4r
「誰かひとりが見張りに立つ必要がある」
グズマンはそう言った。
「だったら交代制にしよう」
バワーズがそう言いながらグズマンの横に立つと、グズマンはこう言った。
「シェーンの日本の拳銃では、グリズリーは止められない。日本人選手たちは、
我々7人の敵ではないと思う。昼間撃ち合っているところを遠くから見たが、酷いものだった」
「そうか。だがここにはグリズリーはいないと思う。今朝ブラウン・ベアを見かけた」
「ブラウン・ベアも獰猛な動物だ。8mm弾では止められない」
「そうだな」
経験の大小はあるが、7人全員が銃器類を扱ったことがあるのだ。しかも拳銃3、
機関銃2、無反動砲とロケット各1と、武器のバランスも悪くない。きちんとした
チームワークが発揮できれば、強力なチームとなるはずなのだが。
日本人選手たちの撃ち合っている姿はバワーズも見たが、確かに酷いものだった。
あれではどんな銃器類を与えても、めったなことでは当たらないだろう。
ただ、その中に2人だけ、射撃の基礎をきちんと身につけた動きをしている選手がいた。
小柄な選手と、それより一回りか二回り長身の選手。遠目で顔までは識別できなかった。
あれは、誰だったのだろう。
605代打名無し:02/10/02 03:47 ID:0juriu4r
板直ったから第13回をうp・・・ということではなく、Jane導入はしてたのだが
何かうpが遅れてしまいますた。
なお、前回(第12回)分は保管サイトにうpしてます。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/

>>555
プレッシャーは別にない。好評は励みになってるよ。

>>559
本業が暇というのは、それはそれでたいへん困る(w
ただ、もうちょっと書くペース上げたいとは思ってる。
606代打名無し:02/10/02 07:43 ID:g3uv9knh
age
607代打名無し:02/10/02 13:41 ID:HeC13HSj
新作うpあげ〜
608代打名無し:02/10/02 17:13 ID:q0vmsTN7
池山引退age
609代打名無し:02/10/02 18:25 ID:+jnV5gj0
97さん乙!
無理するなよ。マターリ待つよ。
福盛かわいそうだな…いなかったことになってるのか
610代打名無し:02/10/02 20:09 ID:ce9lJDTK
面白いです。97さんがんばってください。
611代打名無し:02/10/02 23:53 ID:bhyh3hp7

612代打名無し:02/10/03 00:02 ID:k5fi3mjI
外人(・∀・)イイ!!
613ナナシーレ:02/10/03 01:42 ID:LrjC40eR
吉見も97氏も無理せずがんがって下さい。
614代打名無し:02/10/03 07:42 ID:mVQqaGed
朝あげ
615代打名無し:02/10/03 15:09 ID:O0XrCsnu
昼あげ
616代打名無し:02/10/03 19:49 ID:Bao3waE/
晩飯あげ
617代打名無し:02/10/04 00:40 ID:vyrdGbli
age
618代打名無し:02/10/04 01:36 ID:Yf6PZ4sK
夜ももちろんあげ
619代打名無し:02/10/04 11:10 ID:pNMLWy/H
昼前あげ
620代打名無し:02/10/04 17:45 ID:qwtA9FiL
グズ(・∀・)マン!age
621代打名無し:02/10/04 18:11 ID:xrhcAtBH
最後の最後まで
巨人を手厚くケア
松井首位打者
桑田防御率
を全面的にバックアップw
622代打名無し:02/10/05 00:19 ID:pftBJoHq
捕手〜
623代打名無し:02/10/05 03:47 ID:AyI3KsHX
深夜あげ
624代打名無し:02/10/05 16:03 ID:1OkQ121w
昼もあげ
62597:02/10/05 23:23 ID:MMHUn7+M
第13回うpしますた。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/
626代打名無し:02/10/06 03:32 ID:Xnoy1Cuy
週末の夜更けにあげ
627代打名無し:02/10/06 07:42 ID:PAigga5A
age
628代打名無し:02/10/06 10:58 ID:rNCFWPAr
鈴木尚って華がないですよね
不細工すぎ
629代打名無し:02/10/06 14:37 ID:g7uTq9r3
628みたいなヤシは
華がある=顔立ちがいい、と単純に考えてるのかな。
まあいいけどね。
630代打名無し:02/10/06 19:49 ID:chaPcNs/
あげ
631代打名無し:02/10/06 20:30 ID:GhourO5s
つーか事実顔がラッシャー板前とかそんな感じだな鈴木
632代打名無し:02/10/07 04:25 ID:uhH0fkQp
(◎´∵`◎)<やっぱり かっこいいぼくが しゅやくみたいだな。えへへ。
633代打名無し
(0´く`0)ノ <僕は惨殺死体として小道具的役割ですか?