目標はいぶし金@西武スレ'02-31

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三塁コーチに知将の技光る

 三塁コーチスボックスから戦況を見つめる目は自信に満ちている。
西武の伊原春樹(53)は、監督に就任した今季も住み慣れた居場所に立つ。
名人芸がさえ渡る、球界屈指の理論派が明かす三塁コーチ哲学とは。

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 伊原の実力は折り紙つきだ。監督就任の際には堤義明オーナーに
「監督になってもコーチスボックスに立つこと」を要望された。

 早くも周囲をうならせている。4月14日のダイエー戦。四回に同点とし、
なお一死一、二塁で松井が右前打すると、伊原は手を回して二塁走者を
本塁に突っ込ませた。

 強肩の右翼手、秋山は浅めに守っていた。ちゅうちょして不思議はない
場面だが「試合前のシートノックを見ていれば肩が本調子でないことは
隠しても分かる」。

 本塁は悠々セーフ。しかも、秋山が本塁へ直接返球する間に打者走者の
松井は一気に二塁へ。「秋山はプライドが高い男だ。内野手に中継させない。
その場合は二塁を狙え」。試合前のミーティングで徹底していたというから
恐れ入る。

 有名なのが巨人と対戦した1987年の日本シリーズだ。中前打で一塁走者の
辻が本塁まで駆け抜ける好走塁。巨人選手を「野球観が変わった」とうならせた。
巨人の中堅手、クロマティーが山なりの返球しかしないことをテレビ中継で確認
していた伊原は「確信犯的に本塁突入を指示した」と振り返る。

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444代打名無し:02/05/22 22:37 ID:hneHmNi5
NHK、ミキーのミの字も・・・
445367:02/05/22 22:37 ID:X1K0TP4E

 鋭い視線は相手選手の癖を見抜く。投手は格好のえじきだ。初動の入り方、
重心はどうか、目の動きは。どれか一点に絞って観察を重ねる。「本当に微妙な
ものは別にして、ビデオが1試合分あれば、癖はわかる」

 かつては試合終盤となれば、打者に球種を教えるのも三塁コーチの仕事だった。
だが、98年オフに起こったダイエーのスパイ疑惑後、パ・リーグでは打者への
球種伝達行為は禁じられた。

 今は試合前のミーティングで癖を教えるぐらいだ。「癖を見抜くのは一つの能力。
見抜かれていると感じた相手は、癖を逆用しようと知恵を絞る。そこから高度な
野球が展開されるはずなのに」。職人芸を封じられた現状を嘆く。

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 三塁コーチの資質はなんだろうか。「第三者として試合を冷静に見る目」「度胸」
「ずうずうしさ」の三点を挙げた。「本塁で五分五分のクロスプレーになるなら手を
回す」のが基本だが、1点を争う緊迫した場面もしばしば。決断力がウエートの多く
を占める。

 「壊れた信号機」と呼ばれ、得点機をつぶすコーチもいる。野球の攻撃で三塁コーチ
が果たす役割は大きい。「試合の流れを把握し、常に先々を読む。ある意味、監督に
通じる」と伊原。水原茂、三原脩……。そういえば往年の名監督も三塁コーチを兼任
していた。

(馬場到)

〜日本経済新聞 2002年5月22日夕刊 スポーツ面より〜