赤星☆上坂★沖原☆藤本★平下☆松田★高波 Part3

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打撃開眼 2年目飛躍へ
 ――遊撃手争い、一歩リード
 ――「守備の人」から“オマリー教”信者に

阪神 藤本敦士内野手(24)

 星野新監督が就任し、何かと注目を浴びている阪神で、ひと際
元気のいい若手がいる。2年目の藤本敦士内野手(24)。昨年は
同僚の故障で巡ってきたチャンスをものにし、75試合に出場した
が、自身もヒザのケガに泣いた。今年は紅白戦でチーム初の本
塁打を放つなど、パワーも身に付き、遊撃のレギュラー獲得を目
指す。173センチ、70キロの小柄ながら、激しい定位置争いで一
歩リードしている。
 先月28日の安芸キャンプ打ち上げ。首脳陣の口からは次々と
藤本の賛辞が飛び出した。「打つという印象がなかったが、頭の
中では(打力優位の今岡、上坂より)逆転している。守りの子だと
思っていたけど、バットのスイングが速くなって、シャープになっ
たな」。星野監督がそう手放しでたたえると、島野ヘッドコーチも
「キャンプで目立った選手? そりゃあ藤本だろう」とキッパリ。
「コンスタントに実戦で結果を出している。バットの振り(の速さ)が
目立っている」と理由を挙げた。
 どちらかと言えば、野村前監督も認めた守備範囲の広さが特徴
だった藤本が、ひ弱な感のあった打撃で目を引くようになった。右
へ左へライナー性の打球を連発。飛距離も伸びた。開眼の秘訣
はキャンプに臨時コーチとして参加したオマリー氏(現特命コーチ)
にある。かつての首位打者でもある舶来の安打製造機に進んで
弟子入りした。連日、ティー打撃、フリー打撃で教えを請い、宿舎
に戻っても2人でビデオを見て、フォームをチェック。「かなりものに
なってきていると思う。言われることを忠実に守って信じてやってい
る」と、すっかり“オマリー教”の信者になった。
 具体的に教わったのは「打った後でも頭を残す」「内角球に詰ま
らないよう、軸足を気持ち程度入れる」など。自身の鍛錬も欠かさ
ず、「昨年よりパワーは増したと思っている」と胸を張る。
 元々のセールスポイントである守備も、一段と成長。「別に何かを
売り物にしようとは思わない。周りから見て、どっかが目立っている
と言われればいい」と2年目の余裕すら漂わせている。
 阪神大震災直後のセンバツに地元・育英高の選手として甲子園に
出場しながら、サヨナラ失策。亜大に進学したが、故障で中退。それ
でもプロ野球への夢を捨てず、専門学校、社会人を経て阪神に入団
した苦労人でもある。今季、背番号も入団時の「56」から「9」に変わっ
た。
 「阪神の背番号9は藤本。そう言われるようにならないとね」。苦い
経験があるから人一倍ガムシャラになれる。元気いっぱいの若虎は、
2年目の飛躍を宣言した。                   (北川信行)

藤本敦士(ふじもと・あつし)
 1977年10月4日生まれ。兵庫県出身。育英高時代に甲子園出場。
亜大、甲賀総合科学専門学校を経て、社会人のデュプロへ。2年前
の社会人日本選手権で視察に来ていた野村前監督の目に留まり、
2000年のドラフト7位で阪神に入団。1年目の昨季は俊足7人衆「F1
セブン」の一員に抜擢され、4月にプロ初打席初安打をマークする
など、計75試合に出場し、打率.269、1本塁打。