読売巨人軍バトルロワイアル・Part3

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1保存屋助手勝手に代行

・・・・おのれヤクルト
・・・・おのれ若松監督
・・・・おのれ不甲斐ない我が選手どもよ

このナベツネは忘れぬぞ・・・・どれほどの怒りが、憎しみが、この身を苛み続けようとも。
繰り返し、繰り返し・・・・ 巨人が再びV9を達成するその日まで・・・・
この屈辱にまみれた日の事を・・・・ 忘れぬぞ選手どもめ・・・・

渡邊の呪いと長嶋の狂気が、第六回読売巨人軍プログラムを発動させた。
ある者は斃し、ある者は斃され、
自ら命を絶とうとした者すら再び殺し合いへと駆り出された。

殺戮に走る選手たち、選手たちの動向に一喜一憂するハイエナたち、
闇に蠢くかつての名選手たち、自軍の選手を狂気から守ろうとする球界随一の頭脳。
各人各様の想いが廻り、時間は静かに、そして確実に過ぎてゆく・・・

【過去スレ】
読売巨人軍バトルロワイヤル
http://kaba.2ch.net/base/kako/998/998913966.html
読売巨人軍バトルロワイアル・Part2
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi/base/1001689521/

【関連サイト】
過去ログ保存サイト「YGBR THE NOVEL」
ttp://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/5499/
ゲーム版読売巨人軍バトルロワイアル「YGBR THE GAME」
ttp://isweb36.infoseek.co.jp/sports/bbattle/cgi-bin/btlryl.cgi

進行状況は>>2-10あたり。
2保存屋助手勝手に代行:01/11/10 14:38 ID:4Yssa18t
【第六回読売巨人軍プログラム進行状況 前スレ現在】
*死者(死因は保存サイトにあります)

槙原寛己(17)、大場豊千(63)、江藤智(33)、柏田貴史(49)、村田真一(9)
村田善則(12)、元木大介(2)、條辺剛(57)、アルモンテ(61)、西山一宇(26)
阿部慎之助(10)、岡島秀樹(28)、三浦貴(39)、河本育之(27)、メイ(42)、マルティネス(48)
木村龍治(41)、福井敬治(53)、吉永幸一郎(23)、川中基嗣(0)、小田幸平(46)
小野仁(13)、進藤実(64)、高橋尚成(36)、永池恭男(32)、内薗直樹(45)、後藤孝志(00)
仁志敏久(8)、田畑一也(22)、南真一郎(50)、鄭ミン台(51)、鄭ミン哲(30)
工藤公康(47)、高野忍(66)、野村空生(95)、玉峰伸典(旧60)、佐々木明義(54)
宮崎一彰(88)、安原政俊(94)、谷浩弥(38)、斉藤宜之(37)、趙成ミン(21)
上原浩治(19)、真木将樹(31)、河原純一(15)、佐藤宏志(40)、李景一(69)
山下浩宜(65)、上野裕平(29)、小野剛(59)、川本大輔(92)、加藤健(56)
酒井純也(97)、根市寛貴(43)、十川孝富(52)



*生存者(「&」は協力関係です)

入来祐作(20)
川相昌弘(6)&二岡智宏(7)&松井秀喜(55)
高橋由伸(24)
清原和博(5)
清水隆行(35)
堀田一郎(44)
斎藤雅樹(11)&桑田真澄(18)
平松一宏(25)
三沢興一(旧31)
原俊介(62)&鈴木尚広(68)

以下未登場
山田真介(58)
田中健太郎(91)
吉村将生(93)

残り17人
3保存屋助手勝手に代行:01/11/10 14:39 ID:4Yssa18t

*最近の動き

佐藤が幸福なまま清原にあぼーんされる(昼)

三沢と入来が出会う(夕方ごろ?)
ガルベスの首が文字通り吹っ飛ぶ(夕方ごろ?)
松井生還。灯台の惨劇を回想(夕方から夜。夕立あり)

森が古田の元を訪れる。入来兄、薬で緊縛状態(夜)

三沢が真木をあぼーん←酒井が見ている(日が暮れてから)
ソンミン、鹿取の細工で爆死(夜?)
斉藤(宜)と谷、清原に襲われ、斎藤(雅)に薬を貰うも谷が再び清原に襲われあぼーん。
斉藤(宜)、桑田に撃たれた傷が致命傷となりしぼーん(夜9時から10時ぐらい?)
原と阿波野対談もこのあたりか?
高橋(由)が酒井と加藤をあぼーん(たぶん夜?)

斎藤(雅)と桑田、交代で休息を取ることにする。
桑田が上原をあぼーん。江川が多少儲ける(深夜1時ごろ?)
↑の様子を三沢が見ている。(同時刻。満月。雨はもうやんでいる)
斎藤(雅)が河原をあぼーん(深夜4時ごろ?)

桑田が十川をあぼーん。斎藤怒る(夜明け。6時過ぎか)

斎藤(雅)、十川を埋葬。入来と出会う(7時から9時の間ぐらい?)
斎藤(雅)、トンネルを抜けるとそこは・・・(午前10時ぐらい?)

原俊介、クラッキング失敗。鈴木とともに不味い朝食をとる。(朝)

原俊介、盗聴に気づく。計画練り直し(午後4時)
4  :01/11/10 14:42 ID:PBN4hPsk
もうOKかな?
>>1、乙カレー。ありがとー
ところで俺のIDがプロ野球ニュースでなんかうれしい
51:01/11/10 15:01 ID:4Yssa18t
>>4
前スレ821?
新スレURL貼ってくれてサンクス!
立てるの慣れてないもんでスマソ。
6ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/11/10 15:09 ID:SGGyYo59
おはり
7策士・邂逅3:01/11/10 21:08 ID:xCHyGxc7
部屋では森監督が既に待ち受けていた。
「わざわざ済まなかったね。足はもう大丈夫なのかな?」
「ま、ぼちぼちって所ですわ。オフにじっくり治しますよ」
笑みを浮かべた顔を正面から見据え、古田は答えた。しかし古田は知っている。森の軟らかい表情の裏の凄みを。
例えばナベツネの怖さはヤクザのそれだ。確かに力は強大だが利害に忠実であるため動きは読み易く、
対処さえ間違えなければ問題はない。
だが、森はそんな単純ではない。一瞬たりとも油断は出来ない。何の変哲も無い会話を交わしながら、古田は自分の感覚を研ぎ澄ましていた。

「遅くなったが古田君、まずは日本一おめでとう。実に見事な活躍だったね」
「ありがとうございます。しかしこれもみんなの力あってのこそですわ。それより、どんなご用件で?」
「いやいや、謙遜しなくても良いよ。君の多大な貢献は誰もが知るところだ。君のリードのおかげで開眼した選手も多いからね。
藤井君とか・・・・そう、入来君とかね。ただ、悲しいかな、新天地で急に活躍すると何かと逆恨みを買ったりするのが
世の中のツネというものだからね」

入来、ツネという言葉に妙なアクセントを感じたが、古田は黙っていた。
やはり喰えないオッサンや。とぼけた調子ではぐらかしつつ逆に切り込んできよる。
顔には出さずそう考えていた古田を森は少し見つめていたが、微笑むと
「さすがだね、表情一つ変わらない。ふむ、それでは本題に入ろうか?しかしだ」
そこで森は言葉を切ると、意味ありげに扉を見た。
「良いチームメイトを持っているようだね、古田君」
古田は眉をひそめると、静かに扉に歩み寄りそして一気に開け放った。
そこには、驚いて立ちつくしている男がいた。しかし、古田は驚かなかった。森の言葉を聞いた時に、予想はしていたのだ。
「・・・・盗み聞きは良くないで?なぁ五十嵐」
五十嵐は何も言えなかった。
87:01/11/10 21:09 ID:xCHyGxc7
新スレ御苦労様です〜
風邪引いて全然進まない・・・・
9 :01/11/10 21:14 ID:qVIeTJ7U
新スレごくろうさんです!…と思ったら古田編がっ!
10 :01/11/10 23:15 ID:lP1zHPla
>1
新スレおつ
>7
古田編(・∀・)イイ!
早く風邪直してもっとかいてくれや
11 :01/11/10 23:20 ID:MdhxlGur
どれくらいさがってたらあげればいいのかな?
12 :01/11/10 23:33 ID:+3J+D028
>>11
200以上になったらあげればいいのでは?あとはその時の
状況次第。今日見たいにw杯スレがいくつも立つような
スレ乱立の時は早めに浮上させるとかね。
13 :01/11/11 04:02 ID:veW5arJ+
過去スレよりさがってるAGE
14 :01/11/11 14:50 ID:FDhay6Oh
とりあえずあげときます
15原俊介:01/11/11 20:22 ID:s1N8TxYK
 残り少ない禁止エリア以外のエリアを徘徊した結果、
まずは農場らしき開けたスペースの側にあった倉庫であろう建物の中から、
あっさりと硝酸アンモニウムは発見された。
 また、そこには車から集めるまでもなく、燃料容器にたっぷりとガソリンも用意されていた。
 滑車も、iBookを発見した家の隣の井戸から調達できた。
 硝酸アンモニウムに並ぶ最大の問題はロープだった。
本部があるエリアを横切って張り渡すには、最低でも300メートルの長さが必要だ。
しかも、作戦の決行直前までは首脳陣に気付かれないよう、かなり緩めておきたい。
だから、本当はもっと長くとも良い。そんな長さのロープとなると、
これは容易に見つかりそうにない。
農場の倉庫にもロープはあったが、せいぜい200メートルしかなかったし、
それに、直径が3ミリもなく、強度に問題がありそうだった。
 しかし、幸いなことに、あの、今はもう禁止エリアに入ってしまった港から
海岸沿いに歩いたところで、個人用らしい漁具倉庫を見つけることができた。
漁業用の、いささか潮にさらされ、風化したロープで、
それに300メートル以上となるとひどい重さと量ではあったけれども、
そこはプロスポーツ選手、原と鈴木は手分けしてそれを運び、農場の倉庫へと隠しておいた
16原俊介:01/11/11 20:23 ID:s1N8TxYK
 そして、材料は全部農場の倉庫へ隠したまま、二人は本部を見下ろせる山の上へ来ていた。
 鈴木が肩を叩く。原は鈴木へ顔を向けた。鈴木が、ポケットから手帳を出して何かを書き始めた。
 そう、動き出す前に、とにかく余計なことは一切喋らない、とメモ書きで確認しておいたのだ。
 何せ――原がまだ何か"よからぬこと"を計画していると首脳陣が知ったら、
今度こそ容赦無く、遠隔操作で原達の首輪を吹っとばすであろうことがはっきりしていたからだ。
 首脳陣がなぜすぐに原と鈴木の首輪を吹っとばさなかったかはわかっている。
このゲームが"できるだけ、選手同士を互いに戦わせる"ことをその目的としていること。
そして、自分達が賭けの対象になっているからだ。
胴元が賭けにポンポン介入するようでは信用を失い、賭けが成立しなくなってしまうからだろう。
勿論、賭けそのものを潰すような真似をすれば、あっさり殺されるだろうが。
 ――ただ、それがいつ起きても不思議ではないともいえる。何とか本部に爆弾をぶつけるまでそれが起こらないことを祈るばかり、ということになる。
 それは、勿論原の気には入らなかった。自分の生殺与奪の権を他人に握られて愉快な人間が居ようか。
 しかし、それは今言っても仕方のないことだろう。本部から漏れる光を見ながら原は首を振った。
 鈴木がメモを書き上げたらしく、また肩をつついたので、原は視線を鈴木に戻して、それを覗きこんだ。
暗くて読みづらかったので、月明かりにかざしてみる。
"どうやってロープを張るんだ?"と書かれていた。
"ここからあんなロープを向こうまで投げるなんて無理だよな。
 それに、ロープはあの倉庫だ。一体どうするんだ?"
 そう、そのあたりの説明はまだしていなかった。
17原俊介:01/11/11 20:23 ID:s1N8TxYK
"ロープウェイ"の材料集めに必死で、それどころではなかったのだ。
 原は小さく頷くと、自分もボールペンを取り出して手帳に書きつけた。
"糸を持ってきてある。それを張り渡し、向こうでロープと繋ぐ。
 あとでもう一度ここに来た時に糸を引っ張ってロープを手繰り寄せる。
 決行の直前に"
 鈴木に渡す。鈴木は目を凝らしてそれを読み、書いた。
"石か何かに結び付けて糸を飛ばすんだな?"
 原は首を振った。鈴木は、え? というように目を開き、それから少し考えて、書く。"弓矢みたいなものでも作るのか? それに糸を繋いで飛ばす?"
 原はまた首を振り、手帳を受け取ると、ボールペンを走らせる。
"それも良いかも知れん。いくら強肩の俺でも流石に300メートル遠投は無理だしな。
 しかも、狙いを外すわけにはいかない。もし外して本部に石だの矢だの当たってみろ。 そうでなくても、失敗してどこかに引っかかって、
 やり直そうとして引っ張って糸が切れたりしても、代わりはもうない。
 だから、もっと確実な方法をとる"
鈴木はペンを取らずに首を傾げる。原は再び手帳を受け取ると、書いた。
"こちらでとにかく糸をその辺の木に結んで、俺達は糸のもう一方の端を握って山を降りる。
 ぴんと張るのは向こう側についてからでいい"
 鈴木はそれを読み、しかし今度は即座に不審そうに眉を寄せて、いそいそと書いた。
"無理だろ"と読めた。"絶対に木に引っかかるだろ、途中でさ"
 それで、原はニヤリと笑った。
18原俊介:01/11/11 20:24 ID:s1N8TxYK
 鈴木が不可能と思うのも無理はない。何せ、今更言うまでもなく、
ここまで原と鈴木がたどってきたコースには、大小の木が無数に生えていたのだから。
本部のあるエリアを避けて糸を這わせ、後で糸を引っ張ったとしても、
糸はそれらの木に引っかかってしまって、ただ、山の中に大きなカーブを描くだけ、
ということになる。いささか風変わりな屋外型の現代美術。
作品自体は巨大なものですが、5メートルも離れるともう見えないので全体は見渡せないのです。
前衛芸術家も首をひねるに違いない。おまけに木がたっぷり生えているのは本部のあるエリアも同じ。
本部のすぐそばまでびっしりだ。
身長100メートルもあるような、文字通りの巨人ならともかく、
巨人の選手である人間の分際では木を全部切り倒しでもしない限り、
糸をスムースに本部の近くまで移動させることなど、どうしたってできないのだ。
そんなことは言わば当然。
だからこそ、鈴木がロープをどうやって投げるのか(無理ですよ、でも)、と最初に訊いた所以でもある。
 しかし、原は優雅に(とは言っても腹這いになっていたので効果はイマイチではあったが)両手を広げ、それから書いた。
19原俊介:01/11/11 20:24 ID:s1N8TxYK
"アドバルーンだ"
 鈴木はそれを読みさらに眉を寄せたが、
原は手を振って鈴木に岩から降りるよう促すと、とにかくそこから降りた。
岩の下に腰を落ちつけると、デイパックの中に手を突っ込んだ。
中身を引っ張り出して、地面に並べる。
 殺虫剤くらいのボンベ缶が3個、100メートル巻きのたこ糸数個
(これが農場脇の倉庫で発見できたすべてだった)、ビニールテープ、それと、家庭用のゴミ袋らしき大きなビニール袋。
 原は、そのボンベ缶を手に取り、鈴木に示した。
それには青地に赤で英字が印刷されていて、ドナルドダックの絵が描かれてあり、
ボンベの上には笛の吹き口のようなものが突き出している。
"実のところはな"原が書く。
"俺がこの作戦をやれると思ったのは、これを見かけたのを思い出したからなんだ。iBookを見つけた家でな。これが何か、わかるか?"
 そう、原は滑車を入手する前に隣の家に寄り、このボンベを持って来たのだ。
 鈴木はしばらくボンベを眺めていたが、ボールペンを取ると
"あれか、ガスを吸いこむと声が変わるやつだな"と書いた。
 原は頷く。
"そう、あのガァガァってアヒルみたいな声が出るやつだ。中身はヘリウムガス、わかるな?"
 鈴木はまだ釈然としないようだったが、原は実演した方が早いと思って、
ゴミ袋の包みを破り、一枚取り出した。
口を開き、ボンベの吸い口を突っ込んで、ビニールテープで固定し袋を密閉する。
それから、ボンベのスイッチを押す。袋は一気に膨らみ始める。
 スイッチを押し続けながら、本当はコンドームの方が面白かったんだよな、と原は考えた。
しかし、たとえ膨らませたとしても小さすぎる、ちょっと。
え? 持ってるのかって? いやあそりゃあ本来はこれ、海外でのキャンプでしたから。
旅先じゃ、やっぱり羽目を外したいでしょう? まあ、もう他の要らない荷物と一緒に捨ててしまったけど。
 ほぼ一杯にガスを入れてから、原はボンベにくっつけてあるそのすぐ上をねじり、
ビニールテープで縛った。たこ糸のひと巻を取り、その糸の端をくっつけて、さらに縛った。
それから、下側のテープを剥がして、ボンベから離した。念のため袋の端を折り返し、もう一度テープで巻いた。
 その手を離す。
 ふわり、とそのゴミ袋が浮き上がった。
糸巻きから、糸がピンと上に伸びるところまで上昇し、
糸巻きをもほとんど持ち上げるかに見えたが――しかし、止まった。原と鈴木の目の高さで。
20原俊介:01/11/11 20:25 ID:s1N8TxYK
「な?」
 原は、これは声に出して言った。鈴木はもう、作業の途中で気付いていたのだろう、何度も小さく頷いていた。
 原はそれから、風船の下から伸びている糸に、
もう一つ別の糸巻きからほぐしたたこ糸を結びつけた。
念のため、ビニールテープで頑丈に固定する。そして、風船から下がった二本の糸を両手に持つと
、歩く人の足のように動かしてみせた。それから、手近な木を指差す。
また、糸を動かす。そう、すなわちこれが、巨人の脚。
 鈴木が、もうすっかり了解したのだろう、大きく二度、頷いた。
それから、声は出さずに口だけを動かす。"凄いな、原"と読めた。
でもあるいは、"くどいな、原"かも知れない。まあ、どうでもいいことなのだが。
 原はまた手帳を手に取って、書いた。
"もう一つか二つ、風船を作ってくっつける。
 けど、それでも、糸をどれくらい吊り下げられるかはわからない。
 それに、風の問題もある。しかし、まあとにかくやってみよう"
 鈴木がそれを読み、頷いた。
 原は空を見上げた。黒い袋だ、月の方向からしても首脳陣にばれる心配はない。
今のところ、風も強くない。だが、上空のことはわからなかった。
 それから、言った。
「さ、早くしようか」
 原は鈴木に一個目の風船を持っておくよう手を振って示し、自分はゴミ袋をもう一枚、引っ張り出した。
21 :01/11/11 21:12 ID:0pf3gP99
原、あいかわらず凄いなー。成功するのだろうか?気になる。
22 :01/11/12 01:31 ID:t7T9haxq
うおおおおおおおお!続きが気になるんだからね!
23*:01/11/12 16:47 ID:4L9VJsFO
原age
24原俊介:01/11/12 17:39 ID:75kgyzr0
「なあ、まだか?」
 真っ暗な中に鈴木の声が響く。
 原は鈴木を手で制すると、再び手元で何かをいじる。
低い駆動音が倉庫内に響く。他の音は一切しない。異様に静かだ。
 動くな……もう大丈夫だろうか。しかし、これがもし作動不良を起こしては、
今までの作業がすべて水泡に帰してしまう。もう1回くらいは――
「なあ、早くしないと……」
 鈴木がそう言い、腹は一瞬イラついた顔になりかけたが、何とか自分をなだめて
、多少心残りながらも「わかった」と、それでテストを切り上げた。
電池に接続していた小型モーターを取り外しにかかる。
 本部のあるエリアにたこ糸を通す作業は存外に手間取った。
最初にあの岩の後ろの高い木のてっぺんに糸の一方を結びつけ、
それからもう一方を持って木の間を抜け始めたのだが、
上空は結構強い風が吹いているらしく、ゴミ袋の風船はすんなりついてきてはくれなかった。
原は実に、十回以上にわたって木によじ登り、引っかかった糸を外さなければならなかったのだ。
おまけにどこに敵が潜んでいるかわからない闇の中、鈴木のことも気遣いながらのその作業は、
原をすっかり疲弊させていた。
 とにかくたっぷり三時間かかって何とか糸のセットを終え、今居るここ、農場脇の倉庫に戻ってきていた。0時前のことだ。
 それから漸く原は雷管の通電装置を作り始めたのだが、これも結構手間取った。
何せ充分な道具が無いうえ、かなり微妙なバランスが要求される仕掛けだ。
本部に衝突するその時のショックに反応して電気が流れるようにしなければならないが、

しかし、"ロープウェイ"の途中、例えばロープの結び目を滑車が通過するときの振動で
スイッチがオンになってしまうほど過敏なものでは困るのだ。
 だがそれも何とかやっつけ、雷管の代わりにモーターをつないだ(髭剃りから外したのだ)。
 それのテストを始めた直後、つまりさっき、午前0時の放送があったのだった。
数人の名が告げられたが、もう何の感慨も湧いてこない。ただ自分が生きていることを幸運に思う。
 しかし、そんなことよりはよほど重要なことを小川は告げたのだ。少なくとも原と鈴木にとっては。
即ち、原と鈴木が本部を見下ろしたあの岩のあるエリアが、午前1時をもってかの禁止エリアの指定を受ける、と。
 鈴木がせかすのも無理は無い、あそこに入れなくなったら、すべては綺麗にご破算となる。
完全に、アウトだ。
凝った指し手でチェックメイト寸前まで行きながら、最後の一手を動かす先に地雷があって勝てません、という間抜けな話は避けたい。
25原俊介:01/11/12 17:39 ID:75kgyzr0
 原は手早く、懐から電気雷管を取り出した。
闇の中、鈍く金属の肌を光らせている二つのパーツを組み合わせ、
終端部から伸びるリード線のビニール被覆を剥がした。
それから、先に通電装置のスイッチになっているばね式のプラスチックの小片をテープで固定しておき、
雷管のリード線の一方を、通電装置から伸びている線の一本とより合わせた。
それをテープでぐるぐる巻きにし、絶対に外れないようにした。
誤爆防止のためにもう一方は山の上で作業することにし、被覆を剥がした先をテープで電池の側面に貼り付けた。
「よし」
 原はそう言って立ち上がり、完成した起爆装置をポケットに突っ込んだ。
「急ごう、準備だ」
 鈴木が頷いた。原は念のためラジオペンチや予備のリード線などもデイパックに放り込み、
いくつかに分けたロープの山を肩に担ぎ上げた。足元を見る。
ガソリンと硝酸アンモニウムを混ぜて一杯に満たした灯油缶があった。
酸素を補う工夫として、空気を入れたエアクッションをちょうどひだのような形に詰め込んである。
注ぎ口には今は蓋がしてあるが、その脇、雷管のホルダーとして別に用意したゴムキャップが、
把手からビニール紐でぶら下がっていた。
それから、時計を見る。0時9分だった。充分間に合う。
26 :01/11/12 17:50 ID:zI45ONxj
ああああああ・・・・・・・・・
原作通りだと、ひぃ!なことに・・・
ひぃ!
27 :01/11/12 18:09 ID:evF1+xwg
同じく、ひぃ!
28ある意味地雷か?二岡編1:01/11/12 23:04 ID:FLccEn8c
夕方6時の放送で、灯台にいたルーキーたちの名前が呼ばれた。
そのとき松井は、川相が診療所から持ち出した固形スープの素と、二岡がこの廃屋周辺を探していて
見つけた鍋と、雨水を貯めて沸かした湯で作ったスープを飲んでいた。
また松井は泣いてしまうんじゃないか。
二岡はそう思ったが、予想に反して松井はもう涙を流さなかった。ただかたく唇をかみしめ、これも
川相が持ち出していた乾パンを飲み込んだ。
体にも心にも深い傷を負い疲れきった松井に、腹を満たせと命じたのは川相だった。とても食欲が
わかないと答えた松井に、川相は父親のような峻厳さを以って「それでも食え」と更に言った。
ただでも怪我をしているのだ、いかに強靭な肉体を持った松井とはいえ、食べるものも食べないでいては
回復もそれだけ遅れてしまう。
「お前が足手まといになって、俺たちが死んでもいいのなら食うな」
怒鳴りつけたわけではない。川相はさらっとそう言った。それでも、灯台での惨劇を目にしていた
松井には堪えた。言われるまま大人しく松井はスープに口をつけたのだった。

空腹を満たされた肉体的な満足と、かつてない身体的・精神的な疲労と、川相と二岡の元に帰ってきた、
戻ることができたという安心からだろう。松井は乾パンとコンソメスープの簡単な食事を終え、
横になると、泥のように眠ってしまった。
そんな松井を見て、川相はほっとしたようにため息をついた。今夜はよほどのことがない限り、
好きなだけ眠らせておいてやろう。川相の言葉に、二岡は頷き、そして言った。
「俺が見張ってますから、川相さんも休んでください。昨日から一睡もしてないじゃないですか。俺は
昼間少し眠ったから、大丈夫です」
たしかに、診療所から手際よく備品を持ち出していたのは川相だったし、四方は壁ばかりとはいえこの
廃屋を発見したのも川相だった。一応二岡もこの廃屋に落ち着いた後に周囲を警戒しつつ探索して鍋や
コップを見つけたけれど、それだけだった―――つけ加えるなら、傷だらけの松井を偶然とはいえ連れ
帰ったのは立派な功績だったが。
ともかく、その松井の怪我の応急処置をしたのも川相だった。二岡は作りおきしておいた
コンソメスープを、空き缶で作ったコンロで温め直しただけだった。
昨晩の襲撃時といい、その前の日の急な発熱といい、三人の中で一番若く、そしておそらく三人の中で
最も俊敏である筈の自分が、一番の足手まといになっている。それが二岡には堪らなかったし、何より
二人の為に役に立ちたかった。
今度は自分が、川相と松井を守りたかった。自ずと口調は、決然としたものになった。
口調だけでなく、表情からも何かしら感じ取り、川相は素直に二岡の申し出を受けた。誰かがこの廃屋に
近づいた時の探知機がわりの、ロープと空き缶を使ったトラップの作り方を説明することは忘れずに。
29二岡編・2:01/11/12 23:05 ID:FLccEn8c
ルーキーの川本は、二岡と同じ広陵高校の出身だった。
黒目がちの大きなタレ目に、強制的に丸刈りだったのを退部と同時に伸ばしはじめたのだろう、
中途半端な長さの髪が初々しい18才の少年はいかにも人懐っこく、外見から「ガチャピン」という
あだ名をつけられていた。
同い年の山下、根市、李とは仲がよく、四人一緒にいるのをよく寮内で見かけた。
上原が太ももを痛めてファームで調整し、そろそろ一軍復帰かというころ、二岡は寮内の風呂場で
川本と李が大騒ぎしているところにぶつかったことがある。
素っ裸でやれ投げた、打った! と声を響かせているのを、いい加減にしろよ、と形ばかり叱って、
何やってるんだと声をかけた。
「明日、上原さんがフリー打撃で投げるんですけど、李が打つことになったんですよ! だから今から
特訓してるんです」
ふーん、と二岡はそのまま湯船につかったが、二人の18才はまことにかまびすしい。修学旅行で
比べっこしてる中学生じゃあるまいし、とは思ったものの、それでもなんとなく面白そうで、
聞かれてもいないし、また李が、負傷したりとはいえ巨人のエース候補最右翼の投手の球を打てるとも
思わなかったが、上原の投球癖を教えてやったり、李のフォームを修正してやったり、夜も遅く他に誰も
来ないのをいいことに、結構丁寧に教えてやった。少なくとも、少年野球教室の時よりは熱心に。
ひととおりにわかトレーニングを終えて三人して湯船につかると、川本は目を輝かせて李に言ったものだ。
「二岡さんは、俺にとっては神様みたいな人なんだ。俺だけじゃない、広陵の野球部の連中みんな、
二岡さんを尊敬してる。二岡さんの練習のすごさは、もう広陵じゃ伝説になってるんだ! 二岡さんは
広陵の誇りなんだ」
いささか興奮気味に李に言って聞かせている川本を、照れくさいというのではなく、
なんとも名状しがたい思いで、二岡は見つめたのだった。
その“広陵の誇り”が、地元で家族もろともどういう目で見られているか、知らないわけでは
ないだろうに。この高校の後輩は、本当に何も知らないのだろうか。
―――いや、本当に知らないのかもしれない。でなければ、こんなふうに無邪気に二岡に語りかける
ことができるだろうか。憧れの目を向けることができるだろうか。
でも、知らないということは、時に相手にあまりにも大きな傷を負わせることになる。いたたまれず
、二岡は風呂から出た。
新人二人は相変わらず、ああだこうだと話し続けている。
もう、二岡にはどうでもよかった。
このトレーニングの甲斐あって、翌日フリー登板した上原から李が見事にホームランを打ったことも、
そしてそのことが上原をして「調整が二週間伸びた」と苦笑いさせたことも、知ったことではなかった。

なんで唐突に川本のことなんか思い出したのだろうと、腰を下ろし廃屋の壁にもたれながら二岡は考えた。
川本と親しく口を聞いたのは、あの風呂場が最初で最後だった。一軍の自分と、ファームでも見習いの
ような立場の川本では、同じ寮暮らしとはいえ生活のサイクルが違い、廊下ですれ違うことさえなかった。あれが、同郷の川本との唯一の思い出だ。
広陵高校。
その母校が、ある意味二岡を苦しめていた。
30二岡編・3:01/11/12 23:07 ID:FLccEn8c
広陵を卒業したらドラフトで指名してくれると広島は言ってくれた。高校在学中に父を失っていた二岡は、
そのほうが母に金銭面で苦労をかけずに済むと考えていたが、こうも思っていた。何しろ自分は
体が碌にできていない。経験を積みたい。だから大学で体を作りたい、もちろん技術的にももっと
学ぶべきところを学んで。
我儘なのはわかっていますが、と監督ともども頭を下げた二岡を、広島側は責めることなく、寧ろ
金銭面の負担が二岡の残された母一人にかかることのないように、大学でかかる費用全てを
肩代わりしてくれた。
そのまま、大学4年間でプロでやっていくメドをつけ、広島に入団すれば事は終わるはずだった。円満に。
しかしやはり、大学在学中に日本代表に選ばれた二岡は、素材として良いものを持っていたのだ。
巨人のスカウトの目に留まるほどには。
地元でこつこつと金の卵を温める広島から、巨人は見事に奪っていったのだ。
金の卵そのものを攻めたのではない。まずその巣から、外堀からじわじわと埋めていったのだ。
二岡やその家族は、広島入団の意志が固い。いきなり金を積んでいっても、親兄弟がよほど
強欲でない限り、二岡は落とせない。ならば、本人と家族がどうしても頭が上がらない者を落とし、
身動き取れないようにすれば良いのだ。
育てるのは下手糞でも奪い取ることにかけては他球団よりはるかに優れた巨人側は、二岡の身内の
周囲の人々を、各人の趣味や好みを調べ上げ、まず金品で落とした。
「二岡君は非常に素晴らしい才能の持ち主です、彼なら松井とは違ったタイプの強打者になれますし、
クリーンナップは勿論四番も夢ではありません」。そんな甘い言葉と、目の前に百万円の束を並べられ、
きっぱりと「二岡君への取次ぎはお断りします」とつっぱねることのできる人間は、実は多かった。
が、つっぱねられない人間も、いた。
つまりは、そういうことだ。
巨人側スカウトにしてみれば、一人でも網にかかればそれで良いのだ。
ダムが小さな穴から決壊するように、そこから穴を広げて二岡を飲み込んでいけばいいのだから。
少しずつ、少しずつ、二岡と家族は取り巻く壁を狭められていった。
親戚の上司が、さりげない話題の中で巨人入団の方が有利だと説く。親しかった同級生の両親、
二岡の母とも、そして亡き父とも仲の良かった大人が、悪びれもせず「こんなもの貰っちゃったから、
話を聞くだけでも」とゴルフクラブを磨きながらいかにも申し訳なさそうに訴える。姉の嫁ぎ先の夫の
周辺にも惜しみなく金がばらまかれ、最初は嫌悪していた人たちも、だんだんと「ここまで熱心に
勧めてくれるなら巨人へ」と、金額の多さと熱心さを比例させて言い始める。
母も姉も兄も、自分たちのことはいいから広島に行け、と言ってくれた。が、近大の寮からいつ電話を
かけても話し中で、それはつまりそれだけの電話攻勢に家族がさらされていることを意味していた。
そしてとどめは、二つの手段で二岡自身に刺されたのだった。
31二岡編・4:01/11/12 23:09 ID:FLccEn8c
一つは、長嶋茂雄その人だった。
表立って報道こそされなかったが、二岡の母校である広陵高校に長嶋は現れた。いかにも穏やかに、
優しげに、それでいて熱心に高校時代の二岡のことを事細かに聞いていった。
「データだけではわからないことをですね、是非監督さんや、クラスを受け持っておられた担任の先生や、
校長先生に、こう、お聞きしたいと思いましてねぇ、はい」
ここで「二岡君に巨人に入団するようにいってくれ」と言わないのがミソである。長嶋はただ、
長嶋としてそこにいるだけでよかった。たとえ広島東洋カープの地元であろうと、巨人ファンなど
ほとんどおらず、アンチ巨人で固められていたとしても、二岡の親世代の人々にとって、チームという
概念を超えて長嶋茂雄という人間がスーパースターなのだということを、
何よりも長嶋自身がよく知っていた。
その長嶋が、自分の学校の卒業生である二岡に興味を示し、自ら広島までやってきた。自軍への入団を
強要するのではなく、ただ野球選手としての才能を認めて。
この事実だけで―――前もって巨人のスカウトが根回しするだけしておいた金品も効果を増幅させた―――
あっさりと母校の恩師たちも「あれだけお世話になった広島」から、「これからお世話になる巨人」への
入団説得へと傾いた。
飴の次は鞭だった。
そしてこれが巨人スカウトから二岡へもたらされた最後通牒であり、最大のブラフだった。
「君がどうしても広島へ入団するというならそれでも構わないよ。こちらとしても君という才能を捨てる
ことを強要されるんだ。なら、今後一切、たとえうちへの入団を希望する選手がいたとしても。君の母校
からは今後一切、うちへは入団させないことにする」
つまりは、二岡の後に続くであろう後輩の道を、二岡自身が閉ざすのか、開くのか、その選択を
二岡に迫ったのだ。
口先だけの脅しに決まってる! そう自分に言い聞かせたが、自分の周囲にばらまかれた金や、それに
つれて態度が変わっていった人々の有様は、二岡に「ひょっとしたら」と思わせるに十分だった。自分は、
希望どおりの広島へ入団できる。が、後輩はそうではないかもしれない。事によると巨人は、
自分に対するよりももっとえげつない手を使って、後輩たちを巨人だけでなくどこの球団にも
所属できなくしてしまうかもしれない。
巨人というのは、自分が思っているよりももっと、大きな闇の力を持っているのではないか。大体、
有り体に言えば賄賂を使って自分の周囲の人間を買収しているのに、どうしてそれに対して、どこからも
それを訴える声が出てこないのか? そうやって、巨人というのは肥え太ってきたのではないのか。
自分が訴えればいいのか。しかし、栄光の巨人軍・長嶋茂雄の言うことと、一介の大学野球の選手の
言うことと、世間はどちらを信じるだろう。そして、仮に自分が訴えようとしても、読売巨人軍は
それこそ見えざる力で、何もなかったことにしてしまうのではないか。

結局、二岡は屈した。
地元ローカルのテレビ局で作成されたドキュメント番組で「お世話になります」とまで言った広島ではなく、
巨人入団を決めた。しかも、上原に次いで、二位指名で。
母には、耐えてくれとしか言えなかった。「逆らえないんだ、どうしても」。そう繰り返す息子を、
母は決して責めたりなじったりはしなかった。或いは、息子以上に巨人という球団の卑劣さを知って
いたのかもしれない。自宅に執拗に電話や手紙で懇願という名の脅しをかけられ続けていた母ならば。
32二岡編・5:01/11/12 23:10 ID:FLccEn8c
“二岡さんは、広陵野球部の誇りです”
屈託ない川本の笑顔を、再び思い出す。
川本は、知らない。知らないまま、逝った。自分の巨人入団が、二岡の最後の選択による恩恵の為だということを。
皮肉なものだ。
人の心の移ろいやすさを嫌というほど思い知った二岡、地元の人間から「恩知らず」と罵声を
浴び続けている二岡の犠牲によって巨人に入団した川本は、同期のチームメイトを信じることができずに
死んでしまった。
二岡は、ふと顔を上げた。
中空にかかる満月。
よく「悪人が策を巡らす夜の月は赤い」などと言うけれど、二岡が見上げている月は赤くはなく、
今まで見たことがないほど美しく澄んでいた。
ここまで人の血が流れてなお赤く染まらずにいる月は、却って禍々しく感じられる。
二岡は、両手で顔を覆った。声を殺して泣いた。
「川本・・・・・・可哀相に・・・・・・」
ここで泣いておかないと、川本にも、川本とともに逝ったルーキーたちにも、そして自分にも哀れすぎる。
ここで泣かなくては、自分の心の平衡を保つことができない。できなくなる。
今だけ。今だけだ。
月が見下ろす中、二岡は膝を抱えて泣き続けた。

月がやや傾いた夜中の三時に、見張りを川相と交代した。幸い、誰もトラップにかかることはなかった。
川相も十分に休むことができた。
真木、趙成ミン、斉藤(宜)、谷、酒井、加藤が死者の列に加わっていた。二岡から渡された、
チェック済みの名簿の端が、水分を含んで歪んでいたが、川相は何も言わなかった。
川相に促され、二岡は眠りについた。

松井は相変わらず眠りつづけている。
朝の六時過ぎに、二岡は川相に起こされた。
そして、上原と河原がこの世にいないことを告げられたが、もう涙を流さなかった。
松井と同じように、ただかたく唇をかみしめ、昨日と同じように鍋でスープを作り始めた。
33 :01/11/13 00:36 ID:6F0B08Ld
>>24-25
続きがすげー気になる。ハァハァ・・・
やっぱりああなのか?そうなのか?同じくひぃ!

>>28-32
話が完璧に出来上がってて凄いっす。最後の方とか泣ける・・。
そういえば主人公格の3人がどうも影薄いんで、これから期待してます。
34原俊介:01/11/13 00:51 ID:WrJVhjP4
 オーケイ。いささか武者震いに近いような感覚を覚えながら、原は思った。
いろいろあったが、とにかくこれで材料はそろった。
用意したロープを全部繋ぎ、一端をあの山の上から目星を付けておいた木に固定する。
それから、今は石を置いて端を動かないようにしてあるたこ糸にロープのもう一方を結びつける。
ロープをほぐしてそこへ置いておき、本部を迂回して、山側に出る。
木のてっぺんに結んでおいたたこ糸を取り、それを一気に手繰り寄せる。
向こう側からロープがくっついてくる。
そうしたら起爆装置をセットした灯油缶にゴンドラよろしく滑車を付けて、
そのロープを通す。ロープを本部の上へ一気に張り詰めて、木か何かに固定する。
そうしたら、あとはお祭りってわけだ。踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々ってか。俺は踊らされるのは勘弁だけど。
 本部のコンピュータ、その電源系統か配線の一部でも破壊してシステムの不良を疑わせることができれば、
いや、この装薬量ならそもそもそのコンピュータ自体、いいやそれだけでは済まないか、
本部が半壊するのを見届けたら、これは岩の後ろに隠してきたタイヤチューブの浮き輪を抱えて走り、
予定通り島の西岸から海上へと逃げる。
トランシーバでのニセ救難信号で上を攪乱し、計算どおり20分かそこらで隣の島にたどり着けたら、
そうだな、ヒッチハイクで空港まで行くか。場合によってはこのベレッタ、ヒッチハイクに役立つだろうし。
35原俊介:01/11/13 00:52 ID:WrJVhjP4
 そこで、原はズボンの前に差し込んであるベレッタM92Fをちょっと見下ろした。
改造トランシーバで陽動はかけるつもりだが、それでも海上で発見されたときのことを考えて、
数本のコーラ瓶に特製の硝酸アンモニウムとガソリンのブレンドを詰め、しっかり蓋をしてデイパックに入れてある。
しかしそれは、起爆装置が無い以上、基本的にはただの良く燃える火炎瓶に過ぎない。
もし発見されそうになったら、機先を制して水中からでも船に近づき、
こっちの方から船に這い上がって戦うのが上策だ。
うまくしたら逆に武器を手に入れられるし、船を動かせれば、それで逃げることもできる。
だが、そのためには、正確な射撃が必須となるだろう。
 かすかに――気になった。今までこのベレッタを抱えて島を駆けずり回ってきたが、
考えてみればまだ一発も撃ってはいないのだ。
そして、銃の撃ち方なんて、習ったことなどないのだ。
しかし、原は首を振る。いや、俺ならできる、大丈夫だ。何せ、あの巨人軍のドラフト1位だぞ、
甲子園に出場することと銃を撃つこと、どちらが難しい? 答えは、簡単だ。
「原?」
 鈴木が呼ぶ声がし、原は顔を上げた。
「準備できたか?」
「いや――」
 鈴木は情けない声を出し、それから、手帳を出して何か慌てて書いた。
 原は、窓際の月明かりでそれを読んだ。"滑車が無い"
 ロープの半分と滑車は、鈴木が持つ手はずになっていた。
滑車はそもそも井戸で手に入れたときからずっと鈴木の担当で、
ここに持ち込みどこかに置いたはずなのだ。
 原はロープとデイパックを再び肩から降ろした。
床に膝をついてとにかくそのあたりを覗き込み始めた。鈴木もそれにならう。
 二人でトラクターの向こうやら作業机の下の闇を手探りしたりなどしたが、見つからない。
原は立ち上がり、時計を見た。針は10分から15分を指しかけていた。まずい。
 それで、デイパックから支給された懐中電灯を引っ張り出した。
ランプ部分を手で覆って、スイッチを入れる。
 光が余分に漏れないよう十分に注意していたつもりだったのだが、倉庫の中に黄色い光が広がった。
鈴木の困惑した表情が見え――そして原はその肩の向こうに、実にあっさりと、滑車を発見した。
机の向こう、なんでもない壁際の床の上、それは窓からの月明かりが届かない影の部分に転がっていた。
鈴木のデイパックの置いてあるところから、1メートルも離れてはいない。
 原は鈴木に目配せすると、さっと電灯を消した。急いで鈴木が滑車を拾い上げる。
「すまんな、原」
 鈴木が心底すまなさそうな声を出すので、原は苦笑いした。
「頼むぞ、鈴木」
 それから、デイパックとロープをもう一度担ぎ上げる。そして灯油缶。
プロスポーツ選手として体力には自信があるつもりだが、さすがにこれは大荷物だ。
ロープの方は途中までだが、実に20キロの灯油缶は山の上まで運び上げなくてはならない。しかも急いでだ。
 鈴木もロープを担ぎ(半端な量ではないので、まるきり甲羅を背負った亀のようだ。
まあ、その点では原も同様だが)、二人で東側の引き戸の方へ歩いた。
36原俊介:01/11/13 00:52 ID:WrJVhjP4
 引き戸は10センチばかり開いていて、そこから蒼白い月の光が一条、細い帯になって差し込んでいる。
 原は灯油缶を左手に持ち替え、重い鉄製の戸に手をかけると、一気に開いた。
蒼い光の帯がぐうっと広がる。
 左手に、本部から漏れる光が見える。その手前の木立の、ひときわ高い一本がロープを結ぶ予定の木だ。
 原と鈴木は、その左側に山から引っ張ってきたたこ糸の先を固定してきた。
つまり、あの糸は本部の脇を通って、一直線に山腹中ほどの岩のところまで繋がっている。
実に、300メートル以上にわたって。
 まったく俺も良くやるよな。あのたこ糸は、
果たして切れることなく、山上までロープを引き上げてくれるだろうか?
 原はため息をつき、それからちょっと考えてから口を開いた。
別に、盗聴されても問題は無いはずだ。
「鈴木」
 左側の鈴木が、原の方に顔を上げた。「何だ?」
「俺たち、死ぬかもしれない、覚悟はいいか?」
 鈴木は即答した。
「何言ってるんだ、このゲームに放り込まれて何時間になるよ?」
「それもそうだった」
 原は灯油缶の把手を握りなおし、笑った。鈴木も笑った。
 しかしその笑みはすぐに凍りついた。視界の隅を、何かがかすめたのだ。
 周囲から低くなっている畑の中から、人の頭がのぞいている。
「鈴木ッ!」
 腹は言いざま、鈴木の腕をつかみ、出てきたばかりのスレート壁の倉庫の中、引き戸の向こうへと走った。
 鈴木は重いロープを抱えていることもあり一瞬よろめいたが、それでもついてきた。
引き戸の陰に腰を屈めたときには、原はもう、その影に向かって銃を抜き出していた。
 その影が喚いた。
「うっ、撃つな! 撃たないでくれ! 原さんッ! 俺です、吉村ですッ!」
37 :01/11/13 05:34 ID:Y7MLisiw
原作知らないけど、ひぃ!、なの?
ああ、早く続きが読みたいー!
でも、あんまり、ひぃ!、じゃないのきぼーん。
38_:01/11/13 15:14 ID:OJqugV5l
竜田揚げ
39_:01/11/13 17:44 ID:ZY3+ftmq
から揚げ
40三沢と入来・1:01/11/13 20:24 ID:DyFIUWm7
銃声が三度続けて響いた。入来は反射的に身を屈める。
弾丸はどれも木々に阻まれて入来には届かず、木片だの小枝だのが舞い上がった。
三沢はといえば当たる当たらないも確かめずに前へ出ていた。
結果はどうあれ入来が射てぬ間に距離を詰めるつもりだったのだ。
狙って当たらないならばらまくまで、
それでも駄目なようならぴったりくっついて撃てばいくらなんでも外さない。
ごくごくシンプルな理屈だった。
そこまで読み切ったわけではないが、初めこそ三連射したものの後が続かないと見て、
入来は二の矢を番えた。すぐさま三沢へ向けて構える。
三沢は進路を変え、大木を回り込んだ。その陰からまた三度撃って、
再び前へ出たところで三沢は息を呑んだ。
弾丸を避けて引っ込んでいるはずの入来がまだボウガンを構えている。
しまったと思ったときには既に矢は放たれていた。
入来にしても賭けだったが、それなりの成算はあった。
三沢がこの距離を挟んでの射撃を当てにしていないらしい感触が根拠だった。
当てにしていないからきちんと狙いもしない、牽制以上の意味を持ってはいない、
だから三沢は先刻そうしたように撃ったらすぐ出てくる。入来はそれを待ったのだ。
腹に生じた灼熱をしかし三沢は意識的に無視して右腕を伸ばした。
弾丸のある限り引き金を引きさえすれば撃てるのが自動拳銃の強みだった。
入来の右の二の腕で血が花を咲かせ、投げ出されたボウガンが派手な音を立てる。
三沢は右手の銃を意識して、右へ傾いでいた身体を無理に左へ引っ張り、
結果として大きく体勢を崩すことになった。
入来のほうは一歩下がっただけでどうにか踏み止まっていた。
間髪入れず入来は地を蹴り、三沢に掴みかかる。
右手首を銃もろともひっつかんで、傍らの木へ叩きつけた。
轟音が空気を震わす。暴発した弾丸は入来の左大腿を掠ったが、
そのくらいは我慢できる、入来はそう思った。
それを最後にベレッタは三沢の手から滑り落ちていたからだ。
これでお互い徒手空拳だ。腹に矢を刺した三沢に負ける気はしない。
しかし三沢と目を合わせた瞬間、入来は計算違いに気付いた。
三沢は笑っていた。もちろん苦痛に歪んではいたにしても。
後ろに回った三沢の左手が、アイスピックを抜き出していた。
三沢にはまだ武器があったのだ。太い針が真昼の陽を跳ね返して白く光る。
咄嗟に入来は三沢の腹へまだ突き立ったままの矢へ両手をかけ、力任せに揺さぶった。
勢い良く溢れ出た血が入来の両手を汚す。
三沢は喉の奥から呻いたがしかしそれでも左腕を伸ばし、
アイスピックを入来の右脇腹へ抉じ入れた。
深手を負った三沢に一息に押し込むことはかなわなかったと見え、
残った3分の2ほどの長さをじりじりと沈めていく。
むろん入来とてそれを終いまで待ちはしなかった。
渾身の力で三沢を突き放す。塞がっている両手でなく足を使って。
だが入来の両手が塞がっている理由のゆえに、その行動は所期の効果を上げなかった。
三沢の唇からまた苦しげな声が零れ、アイスピックは止まったが、それだけだ。
状況が状況だ、入来は手を離すところまで頭が回らず、ただ夢中でもう一度蹴った。
それで両者の身体は離れた。
41三沢と入来・2:01/11/13 20:25 ID:DyFIUWm7
三沢は地に伏していた。倒れまいと頑張ったのだがあと少しのところで叶わなかった。
湿った土がひどく冷たい。どんどん体温が奪われてゆく気がする。
このままじゃ本当に死ぬぞ、脳裏をよぎったその言葉に三沢は身震いした。
恐怖もないではなかったが、それよりずっと怒りのほうが大きい。
こんな理不尽を甘んじて受け入れるなど、できるはずがなかった。
(起きろ、起きて……止めを……)
三沢は己れに言い聞かせる。従うべく努力する右手に固いものが触れた。
首を持ち上げてそちらを見、三沢は目を見開いた。
信じ難いことにそこに転がっているのは――先刻落としたベレッタM92Fだ。
まだ弾丸は残っている、それも一発二発外しても大丈夫なはずだった。
僥倖としか言いようがない。
腹からは相変わらず血が流れ出ているのが自分でもわかって、
重量はその分減っているはずなのに無闇に重くままならない身体に苛立ちを覚えたが、
しかしともかく三沢は懸命に銃を掻き寄せた。文字通り命懸けの力で銃把を握る。
入来に銃口を向けようとして、三沢は慄然とした。
――持ち上げられない。
現在の三沢に、自動拳銃としては標準的なベレッタは余りに重かった。
それが決して持ち上がらないことをはっきり確認した途端、三沢は笑い出していた。
込み上げる笑いはどうしても止まらなかった。
それはそうだ、笑う種は幾つもあった。
たかだか拳銃ひとつ重くて持ち上げられないとか。
起き上がれもしないくせに相手に止め刺してどうなると思ってるのかとか。
――生きて帰るっていったいどこへ帰るつもりだったんだとか。
三沢はただ喉を震わせる笑いに身を委ねた。
42三沢と入来・3:01/11/13 20:26 ID:DyFIUWm7
尻餅をついた姿勢のままで入来は三沢を見ていた。
引っ繰り返らずに済んだのはちょうど大木に受けとめられる形になったからだった。
もちろんすぐに立ち上がろうとしたのだが、そのとき不意に三沢が笑い出した。
名状しがたいその笑い声が入来の気力を削いだのだ。
三沢が起き上がるようならまた違ったのだろうが、動く気配も見せなかった。
それでなんとなくそのまま眺めていたのだが。
幾らもしないうち、例によって小川光明の声が拡声器から流れた。
正午の放送だ。まずはつらつらと、禁止エリアの予定が読み上げられる。
(……チェックしとかないと)
そうは思ったのだが身体が動かなかった。
続いて死者の名が告げられる。新たな死者は二人、十川孝富と――三沢興一。
(そうか……そうなのか……)
入来は溜息をついた。なんともいいようのない気分だった。
だが――まだゲームは終わっていない。
こんなところで座り込んでいる場合ではなかった。
入来は軽く頭を降ると、
まだ矢を握っていた両手を引き剥がし、背にしている木へ伸ばした。
身体を持ち上げるようにしてやると、きちんと立てた。
そのことにまずは安堵し、改めて入来は自分の身体を見下ろした。
(大した傷じゃ――ないよな)
右腕、左脚、そして右脇腹。痛いのは痛いが、止血さえしておけば十分動ける。
入来はもう一度だけ三沢を見やり、それから傷の手当に取りかかった。
43_:01/11/13 20:45 ID:5J1buCCf
age
44 :01/11/13 20:51 ID:Y5z62bke
ああ、三沢がとうとう…
あとは入来がどうなるかだなぁ…
45 :01/11/13 21:06 ID:x5iR/kmw
なんかすごいっす!
原と鈴木編=原作に沿いながらもドキドキ系
二岡編=じっくりチョト泣かす系
三沢と入来編=バトルモード全開系
いよいよラストスパート?
古田編の職人さん、お大事に。でも早く体治して続き書いてほしい(w
46前後逆ですみません:01/11/13 23:21 ID:lWcWnK2E
「ん〜…そろそろ生存者が少なくなって来ましたねー。」
デスクトップを眺めながら答える長嶋に、吉村は暗く影を落とす。
(…またよからぬ事を考えているな。)
新しい内閣の一員として呼ばれた吉村であったが、まさかその第一の仕事がこのゲームだったとは…
とうなだれる。あの時の大怪我のお陰で逃れる事が出来た、聞いた話だけのこのゲームと改めて
関わる事になったが、ここまで酷いものとは思いもしなかった。
「それで、俺は何をすればいいんです?」
非運の選手と散々読売によって持て囃された自分である、いくら気が向かないゲームでも、召集が
かかれば従うしかなかった。断るにはあまりに読売から恩恵を受けすぎていたのだ。
「君はまだ新米ですからねぇ〜。同じ新米である斎藤君と一緒に行動して欲しいんです、ええ。」
「斎藤とですか?」
「君達には他球団の動向を探ってもらう事になるでしょう。他球団もこのゲームに参戦させられ
そうな選手を守ろうとするでしょうし、反対にFA等で裏切りそうな選手を憎さあまって参戦させ
ようと思うかもしれません。または金だけは食うのに使い物にならない選手をゲームに参戦させ、
消したがる球団もあるんですねぇ〜。」
「なるほど…」
「残り少なくなってきましたし、そろそろ他球団からも募集しようと思いましてねぇ。そういう
他球団の動向を探って欲いんですよ、ええ。実はですねぇ、他球団で是非ともコイツを参戦させ
てほしいというオファーが結構来てるんですよ〜」
「…なんですって?」
「まずは広島、そして阪神、あとは西武とダイエー、それに…」
「…こんなにいるんですか?」
(ったく、どこの球団も酷いもんだ、面倒な選手をこのゲームに乗じて消してやりたいっつー
ことか…)
リストを見ながら、ほぼ全球団からオファーのあることを知ると、吉村は呆れるように目を
伏せる。
「そういうわけです。それが本気かどうか、その裏に企みがあったりしないかを調べるのが
君達の役目です、いわば情報収集というわけですねぇ〜えっへっへ。」
「なるほど、新米らしい仕事です。…ところで…その斎藤ですが…」
モニターではまだ入来と一緒のまま動かない。様子からして戦っているわけではないが、
何をやってるのかと吉村は別画面に切り替える。そして困った様な顔つきに変わった。
「…桑田…おいおい、お前が先に水野と蜂合わせてどうするんだ…」
別画面には桑田を示す点滅が映る。斎藤から付かず離れずであった桑田であったが、
今現在、想像する限りマズイ状況になっているのではないか?と吉村は画面を
再び切り替える。
「…こうなったら斎藤に早く来てもらうしかないな。」
吉村がそうつぶやくなり、やっと斎藤は入来から離れると、かなりのスピードで
動き出すのであった。
47前後逆ですみません2:01/11/13 23:24 ID:lWcWnK2E
(あの人も何やってんだか…)
先程の入来と斎藤の会話をチラリと聞いた桑田は呆れるようにトンネル内を歩く。まだ斎藤は入来
と話している最中であろう、正直、桑田にしてみれば入来兄弟はどうでもいい存在であった。ただ、
三沢が豹変し、自分達を狙ったということには驚いたが。
(まあ、それもしかたない、か。)
運が無かった…それだけであった。可愛い弟子であった三沢だが、豹変した彼はもうかつての
愛弟子でも何でもない、三沢にさえこういう割り切り方を出来るのだ、それこそ入来など考えて
やる筋合いさえ無い…といったところなのに、斎藤はどうも切羽詰まった時でも仲間を放って
おけないのは相変わらずらしい。
(…あんな学芸会みたいな演技をしてる時間なんてないのに。)
入来を激励する無駄な時間を使う暇があったらとっとと進めと呆れ果てる。あのまま斎藤を
待っているのも暇であったし、それならば先にトンネルを抜けた先の様子でも見ておこうと
思ったまでであった。…そんなことを思ううちにトンネルを抜ける。
「なるほど…広い平地だな。」
これでは、水野も何か仕掛けようにも仕掛けられないであろう、広大な平地が続く遥か先…
ほんの肉眼で見える先に、うっすらと建物が見えた。
「あそこに平松が居るのか…。」
思わず桑田はつぶやく。そしてあの建物の付近に、水野は待ちかまえているのか…そう
思った時であった。
「…お前、今何て言った?」
「…!アンタは…」
茂みとさえ言えない、小さな陰からいきなり現れた水野に、桑田は驚愕の目を向ける。
(マズイな…)
広い平地に気を許し、水野の気配にまったく気がつかなかった。建物ではなく、トン
ネル付近で待ち伏せしていたのはかなり意外でもあったからだ。
「平松…と言ったな?何でお前がそれを知っている…」
自分の迂闊さを反省する暇さえ無い…そんな桑田に水野は憎悪の目を向けた。
「お前…斎藤と組んでるのか?…なるほどな、お前みたいな腹黒い奴とマトモに付き
合おうなんてのは、あのノロマしかいないだろうしな。」
小馬鹿にするように言う水野に、桑田は冷笑する。
「そうかもしれませんね。斎藤さんを嫌いな人など居る筈ないですよね?」
勿論、当てつけのつもりで言った桑田の言葉に、水野は眉をつり上げる。
「…本当にお前は嫌な野郎だな。」
自分がいかに斎藤を憎悪しているか、分かっている上で言った事など十分に理解できる。
そんな水野を観察しながら、桑田は背後のワルサーに手を回す。ここで水野を始末して
しまえば済む話だ…だが、水野は薄く笑う。
「…そうだ。どうせならお前に役に立ってもらうとするか。」
薄く笑ったまま水野は、セカンドバックから何かを取り出した。
「…!それは…」
思わず桑田は絶句する。まったくもって最悪の事態だ…桑田は天を仰ぐように
ため息をつく。
(本当、斎藤さんに関わるとロクな事が無いな…)
今更ながらそう思う桑田は、うんざりするように水野を見遣るのであった。
4846、47:01/11/13 23:29 ID:lWcWnK2E
斎藤編の直前、という状況です。前後逆になってしまい
申し訳ないです。
>>40-42
…三沢、とうとう…
49ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/11/13 23:43 ID:09njrsDV
>>46
阪神は川尻で決定!
50  :01/11/13 23:43 ID:mVpJdn5r
何故か前スレがageられてたので臨時age。
だんだん盛り上がって参りました!いや、ずっと盛り上がってるけど。
水野・・・役に立ってもらうって・・・気になるんだからネ!
51松井・川相・二岡編:01/11/13 23:52 ID:hAaswqf8
コンソメの香りに松井が目を覚ますと、辺りはもう日が差していた。
「あ、おはようございます」気が付いた二岡が声を掛ける。
「おはよう。今・・何時だ?」まだ覚醒しきれていない頭で答える。
「七時を回ったとこだ。よく寝てたな」川相が二岡の代わりに言った。
その言葉に松井は少しぎょっとした。
ってことは半日近く寝ていたのか――その前も同じくらい寝ていてよくもまあ・・体はやはり随分と参っているようだった。
「すみません、俺一人でそんなに――」
「いや。お前は休めるうちにできるだけ休んどけ。それよりちょうど飯ができたとこだ。食おう」
松井は何となく頭を下げてから、スープの入ったカップを二岡から受け取った。
パンとスープの軽い朝食を済ませると、松井は少し考えたが川相に呼びかけた。
川相はウージーの具合を確かめながら「何だ?」と返事をした。
昨日からちらちらと頭に浮かび上がっていた疑問。
「清原さんの事なんですけど」今更さん付けもないと思うが、癖でそう言った。
川相が顔を上げて松井を見る。それでも何も言わないままなので、松井は続けた。
「あの人は、なんなんでしょう。俺にはどうしても理解できない」
推測する所、このゲームに乗ってしまったのは清原だけではない。自分と戦った西山も
阿部も、そして清水の言葉を信じるのなら、高橋由伸もそちら側に入るだろう。
だけど――清原のあの容赦のなさは。躊躇のなさは。
松井は、あのマシンガンの銃口から吹き出る炎とその向こうに見えた冷たい目を思い出し、改めてぞっとした。
「そうだな・・・・」川相は少し考え込むようにして口を開いた。
「これは俺の勝手な解釈だがな。清原にとって、巨人は俺達が思うよりずっと大きなものだったんだ。
ドラフトの事があって、それでもFAで巨人に来る程・・好きだったんだ。
なのにあいつはかなり苦しんだだろう?大好きだった巨人にかなり苦しまされただろう?それで最後にはこれだ。
きっともう清原には、倫理とか愛情とかそんなものは残ってないさ。壊されちまったんだよ、巨人にな。
それと桑田の裏切りにも、か。今のあいつには、人を殺す事への戸惑いなんかない。生きてる者はただ殺るだけだ。
それが誰かとか、何でとか全く関係ないんだ。恐ろしいよ、そんな奴を相手にするなんて」
川相がそこまで一気に喋り終えると、沈黙が落ちた。松井も二岡も何も言わず、ただ地面を見ていた。
川相は残っていたスープをもう一口だけ飲んだ。
松井がそっと顔を上げ、ボロボロの壁から外を見て言った。
「清水さんは――大丈夫かな」
「絶対大丈夫ですよ」二岡が言った。
松井は頷くと川相に顔を向け、訊いた。「煙があがったら見えますか?」
「心配するな。ここからなら島のどこから煙があがっても見える。時々チェックする」
それで松井はあのバードコールの事を思い出した。それのおかげで清水とも安心して別れる事ができたのだが、
どうして川相がそんな妙なものを持っていたのか(しかも持ち歩いているのか)。
気になって聞こうとしたが、その前に二岡が口を開いた。
「清水さん、堀田さんにちゃんと会えるといいですよね」
「そうだな」川相が少し笑って答えた。
松井も同意して頷いた。
「それにしても清水さんの用ってなんなんだろ」
二岡の疑問に「さあ――」と二人は同じ様につぶやいた。
52 :01/11/14 00:49 ID:1w47ACFE
シゲヲ悪すぎ!桑田、初めてのピンチか?気になるYO!
長嶋と吉村⇔桑田と水野(ほぼ同時?)→斎藤(トンネルを抜けるとそこは)
という話の流れなのかな?

俺、原作知らないんだけど、清水はいつ堀田に会えるんだろ?
53 :01/11/14 01:40 ID:XokPWEiL
原作寄りストーリーと、オリジナルストーリーが、うまく丁度いい感じで終わるか、
そろそろ考えながら書かないといけないかもですね。
古田編とか………。
なんとか良い感じで終わる事に期待しています。
54 :01/11/14 02:03 ID:1w47ACFE
>>53
終るのかな?まだまだこれからみたいな話も結構あると思うけど・・・
入来編とか古田編とか阿波野編とか・・・原作寄りの話は佳境を迎えた
みたいだけど、終って欲しくないなぁ・・・なんて一読者としては
つい思っちゃうんだよね。
55 :01/11/14 02:03 ID:gvjJ3D+Z
>二岡編書いた人
ニヲタスレで書いてたこと、こっちで書けばよかったんじゃないの?
あっちモメちゃったよ
ニヲタとここの職人さん、一緒にされてるけど?
56ニヲスレ住人:01/11/14 02:11 ID:FryhfbFW
いや、もめたってほど揉めてはいないよ。
一人の疑問にレスがついただけじゃないの?
一緒にされてはいないと思うけど…
57 :01/11/14 02:14 ID:1w47ACFE
>>55
そういう事をこっちに書く方が揉めるんだってば!
56さんの言う通り揉めたって程じゃないよ。
あんまり気にしないで下さい>職人さん達
5856:01/11/14 02:15 ID:FryhfbFW
あ。ごめん、俺のブラウザでは何故か更新されなくて
レスつきまくってんのわかんなかった。スマソね>55
5957:01/11/14 02:19 ID:1w47ACFE
とにかくこの手の話は以前に解決した事だし、もう持ちだすのは
やめよう。こういうことで職人さん達に、筆を止められるのが
一番困るからね。本当に気にしないで下さい。
>>58
sage進行でやってくれ・・・
60 :01/11/14 04:22 ID:BXKT5RHv
123 : :01/11/14 03:07 ID:+2PEs5IT
ニヲタ=バトロワスレで書いてる奴=同人ヲタ=主義主張が強すぎて電波を飛ばしまくってる人
61 :01/11/14 07:20 ID:Z+um6sjS
とうとう話もここまできたかって感じだね…
終わるのは寂しいけどクライマックスがどう盛り上がるのか気になる。早いか
何気に清水と堀田の話が楽しみ。職人さん達頑張って下さい
62あんまり関係無くてスマソ:01/11/14 07:27 ID:xHESjldX
前スレ見てみたんだけど↓
サイズが496KBを超えています。512KBを超えると表示できなくなるよ。
こんな表示初めて見たよ。1000を超えると〜はよくみるけど。
63 :01/11/14 17:52 ID:N8kx/eDW
期待age。
64 :01/11/14 17:53 ID:2NPYJclp
65 :01/11/14 21:05 ID:T3kqEsuY
>>64
これがYGBRのエピローグなんでしょうか!?(んなこたぁない
そういえば先週の週べに入来のお父さんが元自衛官というの
読んで真っ先にこのスレ思い出しちゃったよ。
66 :01/11/14 23:29 ID:/21nCxod
前スレがあげられてるんで調整あげ
67 :01/11/14 23:50 ID:DWSv50m5
巨人の選手は全部だすんですか?
まだ出てない選手何人かいますね。
68_:01/11/14 23:57 ID:Lw1wjNF6
あと出てないのは、田中(91)と山田(58)ですよね。
どうなるんだろう・・・?
69 :01/11/15 00:16 ID:Kbp3bbyP
NHKで夏休みとか冬休みにやってるメリケン製作の子ども向け連続ドラマ的展開のラストだと
父親の部屋からいわくありげなMOを盗んだ江川(娘)が
同じクラスのパソオタにMOに保存してあるパスワードやらなんやらを解かせ
“偶然にも”datの海に沈みかけていた原の糞スレをハケーンし
なんとか原のパソにアクセス成功してあーだこーだと作戦を練ってそんなこんなでハピーエンド
勿論ラブストーリーも盛り込まれ、パソオタが江川(娘)に惚れており、
しかし江川(娘)は事件を解決していくうちに原俊介に思いを寄せるようになり、と
べったべたな展開になると思うんだがまさかこうはならんだろう

がんがれ、職人さんたち。
70 :01/11/15 12:06 ID:UPPAknhl
前スレあげてる人は容量オーバーで書き込めない時のメッセージがどうなるのか見たいのかな?age
71  :01/11/15 21:41 ID:iHrKv08D
捕手age
72桑田・斎藤:01/11/15 22:25 ID:HkjXmW0J
トンネルをくぐり抜けるなり、斎藤は絶句した。先程、別れたばかりの桑田が真っすぐにこちらに向かって、ワルサーを向けていたからであった。
「ま、真澄…」
「アンタがチンタラと入来と喋っている間に、ここへ来たのが間違いでした。…悪いけど死んでもらいます。」
ただ無表情に答える桑田に、斎藤はさらに絶句する。
「そういう事だ。」
「水野っ!」
木陰から現れた水野は、桑田の背後に立つ。その手にはリモコンのような物が握られていた。
「これは鹿取がくれた物でな…前にソンミンの奴に襲われそうになった時に、コイツでアイツの首を吹っ飛ばしたわけだ。同じ様な事があってはいけないと頂いたわけだ。」
「お前…」
これで納得ができた。つまり従わなければ桑田の首を吹っ飛ばす、とでも言ったのであろう。それならば桑田も従うしかない。
「…真澄は関係無いだろう?俺を殺したいなら、俺と勝負しろ。」
ドス暗い怒りの目でつぶやく斎藤に、水野はせせら笑う。
「桑田が関係無い?アンタの手助けをしたなら十分だろう?アンタと桑田に殺し合ってもらうのが一番だ。アンタが死ねば桑田は助かる、桑田が死ねば俺と戦う…そういうわけだ。」
圧倒的有利の立場に立った水野は得意げに言い放つ。
(どのみちお前の負けだ…)
斎藤の気性であれば、自分のせいで巻き込まれた桑田を絶対に殺す事など出来ない、今の平松とまったく同じ立場になってしまった桑田を殺めるなど不可能だ…だが、平松も絶対に助けねばならぬ者…その苦痛の葛藤を示すようにじっと俯く斎藤を、水野は満足げに見遣った。
「このリモコンがアンタの首輪にも対応できれば簡単だったのになぁ。アンタの首輪はただのお飾りだそうだ。当然何も反応などしないと鹿取の奴が言ってたっけな。」
確かに斎藤にまで通用するのならゲームにならない、それもそうだと水野は思う。
「まあ、今まで禁止エリアを回避して回り道したのが、まるで無駄だったというわけか。」
そんな水野の言葉に、斎藤は何も答えない。今はそんな事などどうでもよかったからだ。
「とにかく、今のアンタに出来る事は桑田を殺すか、それとも殺されるか、だ。」
「そういう事です。…アンタを殺すのは気が進みませんが、仕方がない。」
ひっそりと答える桑田を、斎藤はじっと見る。
「…そうか。…それなら仕方ないな…全ては俺のせいだからな。」
まるで初対面の人物をくまなく観察するように、桑田を伺いながら斎藤は首を振った。
「俺を…殺せ。」
「そう言うと思いました。…だけど遠慮なんてしませんよ。」
銃を持つ手を下げ、完全な無防備状態になる斎藤に、桑田は銃を構えた。予想通りに進む光景に満足する水野の前、桑田はそっと首を振る。
「…すみませんね。」
そうつぶやくなり、桑田は躊躇無く斎藤目掛けて発砲した。銃声音と共に斎藤の体は崩れ、ずり落ちたデイバックを抱えるように地面に俯せに崩れる。
73桑田・斎藤2:01/11/15 22:31 ID:HkjXmW0J
「…やったか!?…いや、本当に仕留めただろうな?」
「…狙った通りです。」
相変わらずの無表情のまま、すげなく答える桑田に、水野は肩を竦める。
「外したかもしれないだろう?おい、ちゃんとくたばったか様子を見るんだ。下手な事はするなよ、
少しでも妙な行動を起こしたらお前の首は吹っ飛ぶぞ。」
リモコンのスイッチに触れる水野に、桑田はうんざりするようにため息を付くと、地面に突っ伏し
たままの斎藤の方に歩み寄り、様子を覗き込む。
「…こと切れています。これで満足ですか?」
「ふん、相変らず冷たい男だな。尊敬する先輩だったんだろう?」
「…尊敬しているからって命をあげなきゃならない決まりは無いですからね。」
ただただ冷たい面で桑田は答えた。
「それとこれは別…か。斎藤も立派な後輩を持ったもんだな。まあいい、おい、桑田。お前は手
にある銃をこちらによこせ。」
水野の言う通り桑田は何を今更、という表情で銃を水野の足元に投げつけた。
「よし、これでお前は俺に手出しはできん。俺の隙を突いて発砲もできないだろう。お前は斎藤
の遺体を仰向けにして、俺の横に廻れ。今度は俺が確認する。いいか、変な動きはするなよ。」
どうせならもっと苦しませて殺せばよかったか、と思いながらも水野は桑田を横に斎藤に近づ
いた。斎藤は固く瞳を閉ざしたままであった。
「…なんだ?傷口が無いじゃ…」
斎藤を起こすなり、怪訝そうに水野が答えた時であった。斎藤はいきなり目を見開くと、素早
く銃を握ったままの右手を掲げ、水野の右手にあるリモコンを撃ち抜いた。
水野が驚く暇もなく、リモコンは宙に舞う。これだけの至近距離だ、絶対に外れる事のない
弾丸によって射ぬかれたリモコンは、ショートした電子音を出しながら、地上に落ちる。
「この野郎っ…!」
まったく予想外であった。現に斎藤と桑田は当然、打ち合わせなど出来なかったし、銃を
構える相手に対し銃を下げるという行為は、桑田に殺されてもいいという現れであった。
その、死を覚悟した者が咄嗟にこんなことなど出来る筈もないと。
「ったく、物騒な物だな。」
桑田は既に壊れているであろうリモコンに、念を入れるように余った配給の水をかける。
リモコンは感電音と共にバチバチと火花を立ててとうとう静かになり、これで完全に
リモコンは使い物にならなくなった。
「おっと、水野さん。動かないで下さいよ。動いたら命は無いですよ。」
前方には起き上がった斎藤が銃を構え、横には桑田が先程捨てた銃を拾い上げ、
構えていた。完全に形勢逆転で今度は水野が窮地に追いやられる。
「斎藤さん、よく俺が本気じゃないと分かりましたね。」
「ああ…まったく殺気を感じなかったからな。」
滅多に感情を出さない桑田ではあるが、長い付き合いだ、自分に対して殺意が
あるかどうかくらいなら感じる事は出来た。桑田が言葉とは裏腹に殺意が無い
と分かった瞬間、斎藤も合わせるように無抵抗の素振りをして、銃を下ろした
のだ。考えは同じな筈…とりあえずリモコンをなんとかする、それにはかなり
水野に接近する必要があった。
(まあ、俺の勘違いでなくてよかったな。)
桑田は殺気が無いまま自分を殺すと言い、発砲しようとした。その時に斎藤に
は桑田の考えている事が分かった、…発砲した時に殺られたフリをしろと、
リモコンが有る限り桑田には何も出来ない…つまり後は斎藤に任せる、そういう
事であろうと悟った。最もこの直感がまったくの勘違いで、本気で桑田が殺そう
としていたとしたら勿論、自分の命は無かっただろう。だが、それでも斎藤は
手を下げた。
「どうせなら水野さんをそのまま殺せばよかったのに。」
淡々ながらも馬鹿にする言葉を吐く桑田に、水野は忌忌しげな視線を送る。
「…そんな危険な事が出来るかよ。」
それは出来なかった。水野を狙うとすれば秒殺以外は許されなかった。あれ
ほどの至近距離だ、かなりの確率で秒殺は可能だったかもしれないが、万が
一に致命傷程度のダメージだった場合、最後の力で水野がスイッチを押すか
もしれなかったからだ。桑田の身を最優先に考えた場合、水野ではなく、
狙いはリモコンのみでしかなかった。
「この野郎…どこまでも…」
なめやがって…水野は憤怒の表情で歯ぎしりをする。
「怒る余裕があるんですか?これで2対1になりましたよ。」
冷静な口調で答える桑田は、水野に銃を向けたまま嘲笑う。
74桑田・斎藤3:01/11/15 22:34 ID:HkjXmW0J
「くっ…」
桑田の言葉通りであった。これではあまりに不利である。水野は斎藤の方を向くと、あえて挑発的な視線になる。
「斎藤さん、アンタと桑田の二人を相手にする気はない。あきらかにこっちが不利だしな。どうだ?こうなったらサシで勝負しないか?銃撃戦ではなく、ナイフでだ。一対一の勝負というわけだ。」
「何を今更。斎藤さん、こんな阿呆な申し出には…」
「…いいだろう。」
即座に答える斎藤に桑田は口をポカンと開くと、呆れた視線を送った。
「…アンタって人は…」
本当に馬鹿だな、とため息を付いた。反対に水野はさらに憎々しい、というべき表情で斎藤を見ると、軍用ナイフを斎藤の足下に投げつけた。
「…ルールは簡単だ、武器はナイフのみ…どちらかがくたばるまで戦う一対一の勝負だ。」
ナイフを構える水野を確認すると、斎藤は頷きながらもナイフを拾い上げた。
(なるほど…正攻法ねぇ。)
正々堂々の勝負…という方が斎藤も色々考え、情けを起こす可能性もある。桑田は上手い手を使うもんだと、頷く。
「…分かった。真澄、お前は下がってくれ。」
「言われなくても。もう巻き込まれるのはごめんですからね。」
桑田はトンネルの入口に身を任せながら、遠方から斎藤と水野を見遣る。卑怯な手を使うならば斎藤も容赦はしないであろうが、正々堂々の勝負ならばそれに応じて甘くなることは請け合いだ…それを考えると斎藤の方が不利ではある。
(ったく…もう知らないですけどね。)
あんな事までされてもまだ真面目に向おうとする斎藤に、桑田は舌打ちする。自分の撒いた種なのだから不利でも何でも自分でなんとかしろと。
「…水野…まさかお前とこうして戦うことになるとは…」
「そうかな?俺は昔からアンタが嫌いだった。」
「…俺はお前に何かやったのか?」
「ああ、アンタは謙虚だよ、実績をひけらかしたりもせずお偉い大投手様だよ。エースたるものこうでなきゃとも能書き垂れることもなきゃ、努力をアピールしたりもしない、まったくご立派なもんだ…巨人の良心と表されて満足か?平成の大エース様は。」
憎々しい形相で毒を吐く水野を斎藤は呆然と見つめる。生まれて初めて他人にここまで憎悪を示されたのだ、しかも理由がさっぱり分からないのがさらに呆然とさせる。
「…まあいい。これからアンタを殺せると思うと気も晴れてきたしな。さあ、来いよ!血祭りにしてやる!」
向こうは本気で勝負を挑んでいるのだ、こちらも本気で答えないといけない…斎藤は、意を決するようにもう一度水野を見るが、驚くように目を見張る。
75桑田・斎藤4:01/11/15 22:38 ID:HkjXmW0J
「…水野…」
さらに斎藤は水野を見ると、なんともいえない表情で名をつぶやく。それでもすぐに表情を元に戻すと
水野から二回り程離れてしまった。
(何やってんだ、斎藤さんは…いきなり逃げるなんて。)
驚き、身を乗りだす桑田の前、斎藤はさらに水野から遠ざかる。
「どうした?来いよ!それとも所詮はノミの心臓か?」
水野は斎藤目がけてナイフを握ったまま突っ込んだ。斎藤は素早くかわすと再び水野から離れる。
そして注意深く様子を探るように間合いを取った。
「この憶病者!マトモにやり合う事もできないのか!」
水野は斎藤を向わせようと挑発するが、斎藤は向かい合うどころか水野からさらに逃げるように
凄い勢いで後方に走ってしまう。
(ったく、何考えてんだ、斎藤さんは…早速、水野に情けが出たのか?)
戦わずしてあの建物に入る気なのか…と桑田は舌打ちする。
「逃げるつもりかっ!」
そうはさせんと水野は獰猛に真っすぐに斎藤を追いかける。そんな時だった。
「水野っ!」
今まで背を向けて逃げていた斎藤は、ゾッとするような剣呑な表情で振り返ると、かなりの遠方
から…15m程先から手に持っていたナイフを、水野目がけて勢い良く投げつける。
「…!!」
勢い余った水野は足を止めるのが精一杯だった。斎藤の投げたナイフは水野の心臓付近に、思いきり
深々と突き刺さった。水野はゴボリと血を吐く…それは致命傷を負わせたという現れであった。
「ぐっ…」
たまらず水野は膝を付く。斎藤は肩で息をしたままじっと水野を見つめる。イチかバチかの賭け…
外してしまったらもう勝ち目はなかったであろう。振り返る一瞬で狙いを定める…わずか一瞬での
判断、己の集中力に全てを賭けた。大舞台の残り1球を思い出すように…斎藤にはそこまで危険な
賭けをしなければならなかった理由があった。斎藤は悲しげに水野の懐からカラン、と落ちた
その理由である小型デリンジャーを見つめる。
「…気…が付いていたのか…」
息も絶え絶えな水野に斎藤は何も答えない。水野がサシで勝負だと言ったものの、密かに内
ポケットにデリンジャーを忍ばせていたのを、斎藤は勘付いていた。小さなデリンジャーならば
かなり接近しないと発砲する事は難しい…それ故に水野は斎藤に挑発し近づこうと試み、斎藤は
絶対に近づかないように逃げ、イチかバチか遠方からナイフを急所に突き刺すことしか道は無い
と悟ったのだ。
「…相変らず…いい…コントロールだ…なんで…」
斎藤が引退さえ考えなければ自分はこんなことに…水野はもう一回大きく吐血して、とうとう
ガクリと体を揺らすと地面に崩れ落ち、息絶えた。斎藤は無言のまま水野を見下ろす。水野の
卑怯な手を責めることなどできなかった。
「…まさかデリンジャーを持っていたとはね。…よく気がつきましたね。」
歩み寄る桑田に、斎藤は振り返る。
「…向かい合った時、水野のスーツのシワが不自然な感じだった。内ポケットに何かあると
気になって、まさかと思いながら観察していたら…水野が少し動いた時に、クッキリと銃の
ラインが出るのが見えたんだ。」
「…アンタも十分に怖い人ですね。」
現役時代からそうであったが、これほど普段とマウンドに立った時の差の激しい人はそういな
かった。イザという時の集中力と鋭さはこんな時にでも発揮するもんだ、と桑田は多少の畏怖
の念を込めて斎藤を見る。斎藤は地面に崩れた水野の遺体から目を逸らすように、首を振る。
「水野さんの事を嘖む時間は無いでしょう?早く平松の所に行ったらどうです?…さすがに俺
もそこまで付いて行く悪趣味さはありませんからね、ここで本当にお別れです。」
「真澄…」
なんとも言えない表情になる斎藤に、桑田は肩を竦めた。
「だから、感動の別れのシーンなど演じる時間なんてないでしょう?俺はもう行きます。こん
な場所に居ても仕方ないですしね。」
斎藤に言葉を出す隙さえ与えないように、桑田は背を向けるとゆっくりと歩きだす。斎藤は
ほんの一瞬、桑田に手を伸ばそうとしたが、吹っ切るように建物の方を見ると、振り返る事無く
全速力で建物目がけて走り去って行った。
「………。」
気配が無くなったのを感じると、桑田は足を止め、振り返る。そして微かにしか見えなくなった
斎藤の後ろ姿をじっと見送った。
76 :01/11/15 22:45 ID:aH+Q0zJ2
ああ・・・水野も・・・。
次はKK対決か?
ちゅうか清水はいまどうしているのだろう・・・
77 :01/11/15 22:49 ID:BDKQY2Au
真澄ぃぃ・・・(号泣
78 :01/11/15 23:43 ID:AzdRr6+G
清水は原作の流れでは灯台編の後に登場予定だったけど
出てこないうちに話がどんどん進んじゃってるからね。
前フリの話では出てきてるけど。
でも三村内容の原編が現在進行中だから、その後が登場チャンスかな。
79 :01/11/15 23:47 ID:bje2BU1s
桑田カコイイ…もうその一言!
80 :01/11/16 00:39 ID:bK172por
桑田・・・カッコヨスギ。ハアハアする発言ばっか。あと水野の卑怯さも泣けるな・・・
セイロクさんもなにげに凄く強い?洞察力も凄いし、悪い奴だったら
すごい殺人鬼になってただろうな。それよりいよいよ平松とご対面か?
とうとう斎藤編もクライマックスみたい・・・
81 :01/11/16 00:50 ID:aCLHCjJN
桑田カッコ良いです。職人さん感動をありがとう!!
82 :01/11/16 01:17 ID:AmlTwKXS
やっぱいいなあ・・・斎藤&桑田編
保守あげ
83 :01/11/16 01:38 ID:7vO3FpEU
保存屋助手です。
職人さんたち、いつもありがとうございます。どの話も、ただ溜息です。
編集の屍骸が・・・じゃないし甲斐がある、というものです。
というわけで、一気読みと各章ごと、現在の状況、武器の入来と三沢を更新したんだが
水野は死者リストに入れるべきだろうか、思案中。
84  :01/11/16 01:47 ID:l+xZg8EK
桑田・斎藤編スゴク・・・イイ!
桑田カコイイから嬉しいんだからネ!
85 :01/11/16 02:40 ID:JXG2+XTb
桑田と斎藤っていいコンビだなぁ・・・連携プレーカコイイ
けどこれが本当に最後の別れになっちゃうのかな?・・・
>>83
お疲れさまです。水野は選手じゃないけど、選手(コーチか?)斎藤が
殺したんで入れてもいいと思いますが・・・
86高橋由編1:01/11/16 06:01 ID:88LYHoFC
「たたたたた助けて下さい!!俺誰も殺す気なんてありません!!」
蒼白になった顔の男は、情けなく尻餅をついたままの格好でずずずと後退した。
確かにその言葉は本当なのだろう。男のデイパックから飛び出ている、大きな白い紙製の物体。
それは、バラエティ番組等で時々見かけるハリセンと思われた。
確かにあんなものじゃ、その気があったって殺すなんてできない。
「あれが入ってたのか?可哀想になあ」
そう言って高橋由伸は自分の眼下で恐怖に震えている男――山田真介(背番号58)を見た。
高橋の右手には佐々木から奪ったS&WM19・357マグナムがしっかりと握られている。
「だから見逃して下さいっ・・・お、お願いします!」
山田はもうほとんど土下座する様な感じで頭を下げた。
しばらくそれを無言で見つめていた高橋だが、左手を自分の背中側に回すと
ズボンに差し込んであったカマを抜き出した。
「ひっ!」それで山田はまた少し小さく悲鳴をあげたのだが、高橋は無言のままカマを
ポン、と地面へ放り投げた。
「・・・・え?」訳がわからない、と言った感じで山田が目を丸くする。
「それやるよ」
そしてそのまま背を向けて歩きだした。
「あっ、ありがとうございます!!」山田はそのカマをすぐに手元に引き寄せた。
良かった――これで少しはまともに戦える。ああ――なんて良い人なんだ、
噂と全然違うじゃないか!高橋さんって――
至福に浸りながらその背中を見送る。
だが――ぴたっと高橋の足が急に止まった。
ゆっくりと振り返るその顔が、めちゃくちゃに笑っていた。
まるで、大好きなおもちゃを与えられた子供みたいに。
高橋は右手もゆっくりと持ち上げた。まるでスローモーションの様に山田には見えた。
「高橋さん?」
「見逃すとは言ってないけど?」唇の端をあげて、高橋は言った。
「そ、そんな――」山田の顔が再び絶望へと変わる。
高橋がにやっと笑った。そして――
パン、パンと乾いた銃声。自分の首筋と右胸あたりに大きな衝撃。
山田は先程の様に土下座する形で地面に倒れ込んだ。
体の下からじわじわと広がる赤い染みが草を汚していく。
高橋は山田の前まで戻るとカマを拾い上げた。
山田がもう完全に動かなくなっている事だけを確認すると、今度こそその場を後にした。
87高橋由編2:01/11/16 06:05 ID:88LYHoFC
大分歩いた所で適当な茂みを見つけて腰を下ろす。
もう少しで6時だ。また放送が入る。
それで禁止エリアを聞いてから移動をしよう――
デイパックからペットボトルを取り出し、水分を補給する為顔を上げると
差し始めた陽の光が少し目にしみた。
丸一日、たったんだな――
昨日のあの明け方の怒涛の出来事。やっと、というべきかもう、と言うべきか。
とにかく一日が過ぎた。

宮崎の体を地面に横たえさせた後、その目を伏せさせ、
だらりと垂れた腕を胸の上で軽く組み合わさせた。
本当は埋葬してやりたかったのだが、そんな時間はなかった。
銃声を聞きつけた奴が来るかもしれない。
そう思って高橋はすぐに移動を開始した。
フラフラと足がおぼつかない。何故自分はこんなにもショックを受けてるのだろう。
このゲームが始まって、俺は奪う側にまわってやる――そう決めた時から
誰が死のうと、誰を殺そうと何とも思わなかった。
なのにこの虚無感は何なのだろう。
宮崎が自分を庇ったから?それとも――
『由伸さんはそんな悪い人じゃないって思うんです』『みんな分かってくれますよ、高橋さんの事』
宮崎の言葉が頭の中で響いた。
あんな簡単に人を信じる宮崎を馬鹿だと思った。甘いと思った。
でもそれだけだったか?心のどこかで、自分はそんな宮崎を有難いと
そして羨ましいと感じていなかったか?
頬に伝う水滴は雨なのか涙なのか、もう高橋自身よく分からなかった。

そんな事を思い返してる内に小川の声が響いた。
地図と選手名簿をだし、チェックする。
もう動けるエリアはかなり狭まってきた。残りの選手も20人をきっていた。
――いよいよ正念場だ。感傷に浸ってる場合じゃない。
残ってる選手はやる気であるだろうし、それなりの武器を持っていて手強いはずだ。
特に清原、桑田――この辺りは生半可にはいかないだろう。
それでも、やってやる。
こんなとこで死ぬ馬鹿な人生があるか。
あの親父の為に入った巨人で死ぬなんて、馬鹿な事があってたまるか――
俺は負けない。絶対に、生き残ってやる。
88原俊介:01/11/16 13:59 ID:poVjGp5X
 それで、原は、その影が吉村将生であるのに気づいた。
吉村はチームでは比較的原や鈴木と仲のいい男だったが、
この時原の心を占めたのは、仲間が増えたという安堵感ではなかった。
むしろ、まずい、という気持ちに他ならなかった。
それで、原は、今になって他の奴が仲間になるということについて、
あまり自分が良く考えていなかったことに気がついた。
くそ、よりによってこれからって時に!
「吉村だ、原、吉村だよ」
 後ろに居る鈴木の声がはずんでいるのが聞こえ、原はちょっと場違いな気がした。
 吉村がそろそろと体を起こし、畑から這い上がってきた。左手にデイパックを提げ、
そして右手には包丁のようなものを握っていた。
おそるおそる、といった感じで「光が、見えて、さ」と言った。
 原は歯噛みした。それは、滑車を探すために一度だけ点けたあの光のことだろう。
自分らしくもない、気が急いてライトを使ったことを、原は後悔した。
 吉村が続けていた。「それで――ここまで来たら、原と鈴木だってわかったから、
――何、してたんだ? 今、担いでたのは? ロープか? 俺も、俺も仲間にしてくれよ」
 盗聴のことがあるので、鈴木が眉をひそめて原を見た。
その目が、少し丸くなったようだった。原が銃口を下げていないことに気がついたからだ。
 原は空いている左手を動かし、鈴木が前に出ないよう制した。「吉村、動くな」
「な、なんでそんなものを俺に向けるんだよ? 原!?」
 原は息を大きく吸い込むと、吉村に向かって再び「動くな」と言った。
隣で、鈴木が体をこわばらせるのがわかった。
「何だ、何だってんだ? 俺の顔を忘れたのか?!
 原、俺も仲間に入れてくれよ!」
 原ががちり、とベレッタの撃鉄を起こした。吉村の足が止まる。
距離はまだ、7、8メートルといったところ。
「いいか、来るな」原はゆっくり、もう一度、言った。
「お前とは、組めない」
 鈴木が傍らで悲痛な声を出した。「何でだよ、原! 吉村なら、信用できるじゃないか!」
 原は黙って首を左右に振った。
それから、ああ、そうか、お前は知らないのか、鈴木、と思った。
89原俊介:01/11/16 13:59 ID:poVjGp5X
 大した話ではなかった。むしろ、些細な話だ。
 原はメッコールが好物で、風呂上がりに1本飲み干すのを日課としていた。
春キャンプも終わりに近づいていたころのことだ。原は吉村とホテルで同室だった。
厳しいキャンプの練習を終え、風呂からも上がって、さあメッコールだと、
キャンプインする際に大量に持ち込んでしまってあった冷蔵庫を覗くと、
1ダースはあったメッコールがまったく無い。
結局、それは吉村に別室で他のチームメイトに振舞われていた。綺麗さっぱりと。
吉村にメッコールについて尋ねると
「ああ、ホテルの備え付けだと思って間違って飲んでしまった、すまない」とのことだった。
なるほど、ホテルの備え付けだと思ったんですか、メッコールなんかが。
買おうと思うと結構難儀するメッコールが。あんなに大量にあったのに、そうですか
。へえ。何、世の中潤滑に動かすためには嘘も必要ですよ。
ま、そっちがその気ならこちらもその程度の人物として扱わせていただきます。
絶交だ、などと言うのも大人気ないですしね、吉村さん。
良いんじゃないんですか、お互いのために。
90原俊介:01/11/16 14:00 ID:poVjGp5X
 ――かくも些細な話だった。鈴木にも、その話はしなかった。
「そうだよ」
 鈴木の言葉を受けて、吉村が両手を広げた。右手の文化包丁がきらりと月の光を撥ね返す。
「俺たち――仲間じゃないか」
 原は、銃口を下げない。
 吉村が原のその態度を見て次第に泣きそうな顔になり、ついに、文化包丁を地面に放り出した。
「ほら、俺、敵意なんて無いんだ。これでわかったろう?」
 原は首を振った。「だめだ、早く消えてくれ」
 吉村の顔に、今度は怒りの色が浮き上がった。
「何でだ! 何で俺を信用してくれないんだ!?」
「原――」
「黙ってろ、鈴木」
 その時、吉村の顔が、はっと緊張したように見えた。沈黙し――それから、震える声で、言った。
「あの――あの時の、ことなのか? 原? そうなのか?
 だから、俺を信じてくれないのか?」
 原は銃をポイントしたまま、何も言わなかった。
「原――」吉村の声がまた哀願調に変わった。ほとんど泣き声だった。
「謝るよ、原。許してくれよ、原――」
 原は唇を引き締めた。吉村のこれは本音なのか、演技なのか、一瞬、迷ったのだ。
しかし、その考えを振り払った。今、俺は一人じゃない。鈴木を危険に晒すわけにはいかない。
どこかの国の国防総省の原則――相手の意思より能力に備えよ。それだ。
そして、午前一時のタイムリミットは刻々と迫っている……。
「原、一体――」
 原は左手で鈴木を制した。
 吉村が前へ歩みだした。
「頼むよ。一人で居たら怖いんだよ。仲間にしてくれよ」
「来るな!」原は叫んだ。
 吉村は泣きそうな顔を左右に振って、また足を踏み出した。そろそろと、原と鈴木に近づき始めた。
 原は銃口を下に向け、初めてその銃の引き金を引いた。ぱん、という乾いた撃発音と共に、
ベレッタから弾き出された薬莢が月明かりに蒼白い軌跡を描き、吉村の足元で土ぼこりがわっと上がった。
91原俊介:01/11/16 14:00 ID:poVjGp5X
吉村は、それを何か、珍しい化学の実験でも見守るように見つめた。
 しかし、それから、また歩みだした。
「止まれ! とにかく止まるんだ!」
「仲間にしてくれ。頼む」
 吉村が、もはや前へ進むことを運命付けられたぎこちないぜんまい式人形のように、また足を踏み出した。
 右。
 左。
 右。
 左。
 原はぎりっと奥歯を噛んだ。吉村が何か包丁以外のものを抜き出すとしたら、右腕だ。
 狙えるか? 今度は威嚇じゃないぞ? 正確に、間違いなく?
 もう猶予は無かった。原はもう一度引き金を引いた。
 ――引き金にかけた指先が、ずるっと滑ったような気がした。
 ぱん、という音がする前の一瞬に、原は認識した。汗だ。
緊張して汗をかいているのだ、俺は。
 あっけなかった。吉村将生が、左上半身を殴られたように、体を傾がせた。
投擲直前の砲丸投げの選手のような形に両手を広げ、次の瞬間、どさっと膝を折って、
仰向けに横たわった。
左胸の穴から、思い出したように小さな噴水が上がるのが、夜目にもはっきり見えた。
それも一瞬だけのことだった。
「原! 何するんだ!」
 鈴木が叫び、吉村に駆け寄った。その脇に膝をつき、丸く口を開いた吉村の体に手を置いて、
それから、わずかの躊躇の後、その手を首の方へ動かした。
みるみる、鈴木の顔から表情が抜け落ちていく。
「死んでる――」
92原俊介:01/11/16 14:01 ID:poVjGp5X
 原は、銃を構えた姿勢のまま、暫く動けなかった。
自分が何も考えていないような気がしたが、そうではなかった。
ざまあねえや、という声が、頭の中に響いていた。
どうでもいいことだが、風呂場で独り言を言うときのように、エコーがかかっていた。
 ざまあねえや。狙い球は外さない、それが巨人のドラ1、原俊介じゃなかったのか?
次期を担う巨人の天才捕手、原俊介じゃ?
 原は立ち上がり、そして足を前へ踏み出した。自分が突然サイボーグになったかのように、体が重く感じられた。
 原俊介はある朝目覚めると、サイボーグ手術を施されていた。そりゃ結構、仮面でも被ってバイクに乗るか。
 ゆっくりと吉村将生の体に歩み寄った。
 その原を、鈴木がきっ、と睨んだ。
「何故だ! 原! 何で殺したんだ!」
 原は、立ち尽くしたまま答えた。
「吉村が包丁のほかにも何か持っていたらまずいと思ったんだ。
 腕を狙った。殺すつもりは無かった」
 鈴木はその言葉を受けて、さっと吉村将生の体を探った。
ほとんど原に見せつけるように、デイパックの中も調べた。
「何もありはしない! 何で、どうして信じてやれなかったんだ!」
 原は、急速な脱力感に襲われた。しかし――必要なことだったのだ。
俺は間違っちゃいない。
 原は、何も言わず、自分を見上げる鈴木の顔を見下ろした。
だが――そうだ――急がなくては。
 今はひとつのミスに拘泥している場合では――
 鈴木の顔に何かが走ったのは、原がそのことを言おうとした直前だった。
 その口が、わなわなと震える。
「まさか――原、まさか――」
 原はその意味がわからず、ただ「何だ?」と聞いた。
 鈴木はぱっと飛び退った。原から距離を取ろうとしていた。
 その鈴木の震える唇から、なお言葉が漏れた。
「原、まさか――わざと――本当は――」
 原は唇を引き結んだ。左手に下げたベレッタをぎゅっと握り締める。
「俺が――俺が時間が惜しくてわざと吉村を撃ったって言うのか? それは――」
 だが、鈴木はぶるぶると首を振った。一歩、二歩と後ずさりながらだ。
「違う――違う――本当は――本当は――」
 原は眉をひそめ、その鈴木の顔を見つめた。鈴木、何だ? お前は何を言いたい?
93原俊介:01/11/16 14:01 ID:poVjGp5X
「本当は――本当は――逃げるなんて――本当は――」
 鈴木の言葉は意味をなしていなかった。がしかし、原には何が言いたいのかわかった。 まさか、とは思ったが。
 要するに、鈴木は、原がこのゲームに乗った、
"やる気"になっているんじゃないか、本当は逃げる気なんかないんじゃないかと言っているのだ。
だから、吉村を撃ち殺した――。
「馬鹿を言うな! だったら俺がお前と居る理由なんて無いだろう!」
 鈴木がぶるぶると首を振った。
「そんなの、そんなこと――」
 鈴木はそれ以上言わない、いや言えなかったが、原はそれをも了解した。
つまり、寝ているときの見張りなど、とにかく原が鈴木を利用しているだけだと、
そう言いたいのだろう。いや、しかしちょっと待て。
あの首脳陣に対抗するために俺はiBookを操り、それが挫折した後も、
これだけの準備をしてきたじゃないか。
それもこれも、iBookも、携帯電話も適当にいじって鈴木を信用させただけだし、
ガソリンや肥料を手に入れたのもただただ自分の身を守るため、
このゲームで勝つためだと。手持ちの武器がベレッタ一丁である以上、
この特製火薬は俺一人が勝ち残るためには有効な武器になるだろうと?
 本部爆破の計画実行の直前になって、俺が"やっぱりやめておこう"というつもりであったと?
クラッキングの件で"だめになった"と言った時と同じように?
 いいやしかしちょっと待ってくれ、じゃあ一体、本部の横に張り渡したあのたこ糸は一体何だと?
 電話回線が停止しているこの島で、俺が独占的に糸電話会社を開設して一儲けするとでも?
いや、鈴木には思いもよらない俺ならではの利用法があるとでも?
 全部、一切合切俺のトリックであると?
 ――そいつは考えすぎじゃないか、鈴木。
そりゃあ、疑い出したら何でも疑うことはできる。
しかし、そいつは考えすぎだ、ばかばかし過ぎる、お笑いだ。
石橋を叩くだけでは不安だから爆破してしまったようなものだ。
結構面白いぞ、お前、疲れで頭がおかしくなってるんじゃないか?
94原俊介:01/11/16 14:01 ID:poVjGp5X
 理性のレベルではそう思った。そして、きちんと順序立てて話せば鈴木だって
それらすべての疑いがばかげたものであることはわかったはずだった。
いや、あるいは鈴木は、そんなこんなことすべてを考えて原への疑いを口にしたのではないかもしれない、
単に、疲れと、眼前で、鈴木にとってはごく親しい仲間が死んだショックで、
心の底に潜んでいたひとつの考えが、不意に顔を覗かせただけだったかもしれない。
だが――まさに、それは、そこにあったからこそ表れたのだ。
その、自分に対する一抹の疑念は。
原自身は、鈴木を信頼していたのに。
 原の体を覆っていた脱力感が、一気に強くなっていた。俺は、何のために。
 原はベレッタの撃鉄を戻し、鈴木に向けて投げた。
鈴木が、戸惑ったように、それでもその銃を受け取った。
 原は言った。不意に力が抜けて、がくり、と腰を下ろした。
「俺が信じられないなら、今、俺を撃て。かまわないから、撃て」
 鈴木が、目を見開いて原を見た。
 原は俯いたまま続けた。
「俺は、お前の安全を考えて、吉村を撃ったんだぞ、ちくしょう」
 鈴木は一瞬茫然とした表情になった。それから、
「あ――あ――」とほとんど泣き顔になってから声を洩らし、駆け寄ってきた。
「すまん! すまなかった、原! 俺、吉村が死んだから、少しびっくりして、それで――」
 鈴木はほとんど原に覆い被さるようにして、肩を震わせはじめた。
原は鈴木の重さに仰向けに倒れないよう、背の後ろに両手をついたまま、
漆黒の空を見上げていた。月が、綺麗だ。が、傘がかかっている、明日は、雨か?
いや、月が歪んで見えるということは、俺が涙ぐんでいるってことか……。
 心のどこか、無意識の領域にいる自分が語りかけていた。
おいおい、そんなことやってる場合かよ、俊介。いがみあいしてるなんて、隙だらけじゃないか?
敵に囲まれてるってのを、忘れたのかい? 大体お前、時計見ろよ。もう時間無いぞ――。
 しかし、その声はいいかげんすり減った神経、疲れ、それらに阻まれて、意識の領域にまでは届かなかった。
 ただ、泣いていた。鈴木、俺、お前を守ろうとしたんだぜ?
疑うなんて酷いじゃないか。俺は、お前を信じていたのに――ああ、でももしかしたら、
吉村将生も同じ気持ちだったのかもしれない。
信じている相手に信じてもらえなかったその気持ちというのは。
俺、酷いことをしてしまった。
 その時だった。
95 :01/11/16 14:19 ID:870krC4a
来たよ来たよ!
やばいよやばいよー!
96 :01/11/16 14:33 ID:dvRhcOnS
ドキドキ…
97_:01/11/16 17:16 ID:9JsT/UKI
いよいよですね・・・あ〜ドキドキする・・・
98原俊介:01/11/16 19:54 ID:poVjGp5X
 その悲しみやら脱力感やら後悔がないまぜになった感情の中で、
原は、ぱらららら、という、古いタイプライターのような音を聞いた。
忘れもしない、三浦と岡島を葬ったあの音だ……!
と、認識するのとどちらが早かっただろうか。
原は全身に焼けた火箸でも突っ込まれたような感覚に襲われた。
 それは、既に致命的といえる傷だったけれども、その痛みこそが原を覚醒させた。
原に覆い被さっていた鈴木の体が、ずるり、と地面に倒れ伏した。
その向こう、畑の脇にユニフォーム姿が見えた。背番号、5。
背番号5は、手に銃を――拳銃ではない、それよりも大きい、カステラの箱のような銃を――持っていた。
それで、自分の体に突き刺さった何か、それは銃弾で、
しかも鈴木の体を貫通して自分のところへやってきたものだ、とわかった。
 体中が熱っぽく、何だかごわごわしていた。まあ、鉛弾で外科手術されたのだから当然だ。
しかし、こんなヤブ医者に手術されるままではいられない。
原は瞬間的に右へ体を倒し、鈴木が取り落としていたベレッタを拾い上げると、
くるりと一転して立ち上がり、背番号5――清原和博へ向けて連射した。腹を狙って。
 清原は、すいと右へかわすと、また、ぱららららと、死のタイピング音を響かせた。
その手元が季節はずれの花火のように光った。
 それで、先ほどに倍するショックが右脇腹、左肩口、左胸の辺りに襲い掛かり、
原の手からベレッタがこぼれ落ちた。
 だが、原はその時にはもう、倉庫の方へと走り出していたのだ。
一瞬よろめきはしたが、しかし、体を下げ、足を飛ばして、一気に頭から引き戸の向こうへと飛び込んでいた。
 弾着の列がその原を追ったが、逃げ切った、と思ったその瞬間に、右足の先、
スパイクの爪先が吹き飛んだ。原の頭に、今度こそ本物の痛みが突き抜けた。
99原俊介:01/11/16 19:54 ID:poVjGp5X
 だが、原には痛がっている暇など無かった。
引き戸の影においてあった灯油缶を引っつかむと、トラクターやコンバインが並んだ闇の中を、
まだ何とか動く左腕と左足で這いずりながら後退した。右手で灯油缶を引きずっている。 口から血があふれているのがわかった。多分、この体には10発以上の弾が入っている。それに――だらんと伸びた右足の爪先、もっとも鋭く痛みを突き上げてくるにも関わらず、
最早そこには何も無いスパイクの先をチラッと見た。
もう、俺はキャッチャーはできないな。絶対に無理だ。
仮にできたとしても、スタープレイヤーにはなれない。
あの古田をも抜くはずだった天才捕手の伝説に終止符を打ったのは、
巨人軍の清原内野手。これで、巨人は尚更古田を獲得しなければならなくなったので、
巨人軍はさらに球界の鼻つまみ者になりました、めでたしめでたし、と。
 だが、原はそんなことよりも、鈴木のことを考えた。
鈴木は――まだ、息があるだろうか?
 清原――唇の端から血をごぼごぼこぼしながら、原は奥歯を噛みしめた。
――上等だ。貴様はこのゲームに乗ったわけだ。だったら俺を追って来い。
鈴木はもう動けないが、俺はまだ動くぞ、鈴木に止めを刺すなんて後回しでいい、
俺を、追って来い。頼むから、俺を、追って来い。
 その原の思いに応えるかのように、トラクターの下の隙間から見える引き戸、
そこから伸びる蒼い光の帯に、影が差した。
 次の瞬間、またぱらららら、という音とともにフラッシュをたくような光が連続し、
建物の中に弾丸がばら撒かれた。
どこかの農機具の一部が吹き飛び、対面の窓が粉々に割れた。
 そして、止んだ。弾が尽きたのだ。だが勿論、清原はすぐにマガジンを詰め替えるだろう。
100原俊介:01/11/16 19:55 ID:poVjGp5X
 原は、手近にあったバールのようなものを掴み、それを右手のほうに放った。
何かに当たって、ガチン、と少々派手な音をたて、次にコンクリートの床にガラン、と落ちた。
 清原はそこを撃つだろう、と思ったが、むしろ、そこを中心に扇形を書くように弾をばら撒いた。
油断も隙もない奴。原は体を伏せてただそれが当たらないよう祈った。
程なく音が止み、原は首を上げた。
 そして――清原の気配はもう、建物の中にあった。
 そうだ――。原は血にまみれた唇をゆがめて笑った。俺はこっちだ、こっちへ来い――。
 原は右手で灯油缶を持ち上げ、自分の腹の上に載せた。
そうして、極力音を立てないように注意しながら、また左腕と左足だけで後退した。
背中に何か硬い箱のようなものが当たり、それを迂回してさらに退がった。
勿論、この音が聞こえていない筈が無い。
清原は、自分がこちらの闇の中に潜んでいることをもう知っているだろう。
それに、この体からこぼれつづける血の痕こそ誤魔化しようが無い。
 清原もまた、体を低くして、農機具や修理中の軽トラックやなんやかやの下を窺っているのがわかった。
一つ一つ、確認しながら、近付いて来る。
 原はあたりを見廻した。建物の反対側、中二階の輪郭がかすかに見えた。
そして、戸口のところからそこへ上る鉄の階段も。
体が十分な状態であったなら、中に入ってきた清原に、あそこから飛びつくこともできただろうに!
 しかし、今となっては無理な相談だ。
 東の壁側のほうに、台車があった。荷物を載せて運ぶための、小さな車輪が4つついた手押し車だ。
そして、その向こうはもう建物の炭、間仕切りされた事務所になっていて、
すぐ脇に、外へ通じる通用口があった。
引き戸の方はいっぱいに開けば車も通れるようになっていたが、
こちらは人間だけが出入りするためのものだ。ドアは、閉まっている。
 あれは――確か――俺が、鍵を閉めた。他の全部の窓やなんかと一緒に。
あれは――あの鍵をひねるのに、どれだけ時間がかかるだろう?
 考えている余裕は無い。原は手押し車のほうへ体を引きずり、
その横まで行き着くと、灯油缶をその上に置いた。注ぎ口の蓋を外す。
ビニール紐でぶら下げておいた、真中に穴が開いたゴムの塊を押し込む。
 ポケットに納めておいた起爆装置を取り出し、傷のせいなのかうまく動かない指先で、
しかし、何とか電池の脇のビニールテープを剥がした。
雷管から伸びているコードの一本が、それでぺろんと垂れ下がった。
原はそれと、通電装置のコードの先を撚り合わせた。
手早く、通電装置のスイッチからテープを引き剥がし、雷管を灯油缶のゴムキャップに深く突っ込んだ。
電池と通電装置を灯油缶の上に置いたが、最早しっかり固定する暇は無かった。
トラクターの右側、清原のスパイクが、見えていた。
101原俊介:01/11/16 19:55 ID:poVjGp5X
 もちろん、そうだ。これは一縷の望みだった。
だが、鈴木も俺も傷つき、いまさら山上に這い上がることはできない。だから。
お前はそれだけやる気になっていて、これだけ強力な武器を持っている。
きっと、たくさん殺ったのだろう。このゲームでも大活躍ってわけだ。
よくできました。おめでとう。だからこれはMVP賞だ。ありがたく受け取れ、無冠の帝王さんよ。
 原は台車を左脚で後ろから思い切り蹴ると、それが諸々のがたくたの隙間を抜けて、
ごうっと清原の方へ滑っていくのももう確認しないまま、通用口のノブに飛びついていた。
 ロックは0.2秒で回った。原はもう爪先も無い右足も動員して床を蹴り、
ほとんどドアに体当たりするような感じで、建物の外に飛び出していた。
 その原の背後で一瞬、倉庫のスレート壁がぐうっ、と膨らみ、
そして、島を覆う夜の空気を、轟音が揺るがした。
清原が松井に投げつけ、その耳を一時的に麻痺させたあの手榴弾の音よりも、
それは数倍凄まじかった。
原は、あ、完全に俺の鼓膜は破れた、と思った。
 伏せた体自体が爆風で地面を幾分か擦り、額の皮膚が擦り剥け、
周りを何かの破片やら屑やらが吹き過ぎ、しかしそれでも原が顔を振り向かせた時、
本来建物の壁があった辺り、修理中の軽トラックが、実に、逆さになって宙に浮かんでいた。
おそらく、ジャッキで持ち上げられていた分、その腹の下に爆風が強い圧力を叩きつけ、吹き飛ばしたのだろう。ガラスやスレートやあるいはコンクリートや、さまざまな破片
(既に体にいくつか突き刺さっているような気がしたが、
 真っ直ぐ飛んできたものじゃなくて中空に吹き上げられた方)に満たされた空間の中、それは、ゆったりと回転しながら大げさな放物線を描いて、横腹からぐしゃっ、と落ちた。
さらに90度回転し再び完全に逆さになって、止まった。
後部の荷台が雑巾よろしくねじれて半ば引きちぎられ、
タイヤのついていないホイールが、どういう加減かくるくると回っていた。
 さらさらと細片が降り積もり、そして、先ほどの倉庫は、もうもうと吹き上がる煙の中、
最早骨組みしか残していなかった。
中2階のある北側の方だけにわずかに壁が残り、しかし、その中2階は煙の向こう、
丸見えになっていた。屋根も南側の方はほとんど吹き飛んでしまい、
中にあった農機具や何かがごろごろと横転し、そしてそのすべてが、夜目にもはっきりと、
黒焦げになっていた。何かが燃えているのか、明るい炎が2、3箇所に見えた。
原が飛び出してきた通用口は、壁の残骸にその下側の蝶番だけをへばりつかせ、
お辞儀でもするようにこちらに傾いでいた。
間仕切りしてあった事務室も最早跡形もなく、そこには何も残っていなかった。
いや、どういうわけだか事務机だけが、やはり爆風に押されたのだろうコンバインに尻を突っつかれるように、破壊を免れた壁に貼り付きまだ、その存在を主張している。
 何か高く吹き上げられていたものがあったらしく、それがついに落ちてきたのだろう、
酷く間の抜けたタイミングで、煙の中からこきん、と高い金属音がなった、が、
原にはほとんど聞こえなかった。
102原俊介:01/11/16 19:56 ID:poVjGp5X
 気が付けば体の周りを覆い尽くしていた壁や何かの破片から、
原は上半身を持ち上げ、その建物の残骸を見て、「は」と言った。
 そう、手製の灯油缶爆弾は、よくできていたのだった。その破壊力なら間違いなく、
本部を消し去ることもできたに、違いなかった。
 だが、それはもう、済んだことだ。今はともかく、目の前の敵を倒した。
そしてそれよりも――
「鈴木――」
 つぶやきながら、原は漸く体を起こし、瓦礫の上に右膝をついた。
そうして口を開いた途端に歯の間から血がどうっとこぼれ、やはり胸から腹にかけてものすごい痛みが撥ねた。
最早、自分が生きていることが不思議だった。
しかし、両手を突っ張って右足を踵から下ろし、次に左足を伸ばして、何とか立ち上がった。
 鈴木が倒れている方へ目をやって――
 そして原は見た。ひっくり返った軽トラックのドアが、おそらくそれもおかしくなっていたのだろう、
がきっ、と鈍い音を立てて開くのを。
(それはかすかながら聞こえた、聴覚が戻ってきたのかもしれない)
103原俊介:01/11/16 19:56 ID:poVjGp5X
 背番号5が、すい、と地面に降り立った。
何事もなかったかのように、カステラの箱みたいなマシンガンを、右手に掲げていた。
 おい――
 原は笑い出したい気分だった。いや、実際、その鮮血にまみれた唇は、笑いの形を作っていたかもしれない。
 ――冗談だろ?
 不滅の背番号、5。伊達に藪に常日頃から狙撃されていません、ですか。
 肉体改造、うまくいったみたいですね、清原さん?
 その時にはもう、清原が撃っていた。
原は今度こそ正面から9ミリパラペラムのシャワーを浴び、
瓦礫に覆われた地面を後ろへよろめき下がった。何かに背中が押し付けられる。
もはや何も確認する必要はなかったが、それは、駐車してあったワゴン車のフロントのようだった。
そのワゴン車も爆風で尻から後ろの電信柱に突っ込んでその木製の柱を幾分傾がせ、
フロントガラスは衝突した何かの破片でくもの巣のようになっていた。
 建物の中から届く明るい色の光に縁取られて、背番号5がただ静かに佇立していた。
そしてその向こうに見えた、鈴木が瓦礫に半ば埋め尽くされるように鈴木が俯せに倒れている。
 すぐそばに、これは仰向けになった吉村将生の顔が、原の方を、向いていた。
 思った。クソ、清原、化け物め。結局俺はお前に負けたわけか。
 思った。鈴木、俺は一瞬、気を抜いてしまったんだ。すまない。
 思った。吉村、悪かった。俺はとんでもないことをした。許してくれとはとても言えない事を。俺もすぐにそっちへ行く。
 思った。古田、俺はお前を越えるつもりでいたが……。
まあライバルがこれで一人減ったんだ、せいぜいナンバーワンキャッチャーとして――
 もう一度背番号5のイングラムが火を噴き、原の思考はそこで終了した。
銃弾が、原の言語中枢を引き裂いたのだ。
 頭の周りで、既にひびだらけになっていた車のフロントガラスが割れ、
大方は車の中へなだれ込んだのだけども、ただ、細かい、霧のような破片が、
とっくに埃にまみれ尽くした原の体に、降りかかった。
 それから、原はゆらりと前のめりに倒れた。
ひとくれの瓦礫がかしゃん、と跳ね上がった。
脳のほかの部分が死ぬまでには、30秒もかからなかった。
彼が、清原が、そして無数の人間があこがれた黒い帽子は既にずたずたになり、血にまみれていたけれど、
建物の中の炎の光を撥ね返し、きらきらと輝いていた。

 こうして、96年読売ジャイアンツドラフト1位、自称天才捕手、原俊介は死んだ。
104:01/11/16 20:13 ID:vKQH59ZT
桑田って、最初は裏切って敵側だったはずだが。(最初に死体を運んでくる)
105_:01/11/16 20:19 ID:HdodZIvg
>>104
長嶋の気まぐれで、途中から強制参加させられたんですよ。確か。

>>86-87
由伸さすがですね。哀れ、山田・・・しかもハリセン・・・

>>88-103
もうドキドキしました。これで原編、終了ですか・・・。お疲れ様です。
106 :01/11/16 20:20 ID:XgW3M5hc
うおー!!清原すげぇ…原編も終ってしまったか…
>>104
保存ログ見ればわかるよ。強制参加させられたんだよ。
107 :01/11/16 20:23 ID:4YCgWChP
>>104
どの辺りから混乱してる?
第38章「裏切りと裏切り」→何章か忘れたけど桑田と上原がしゃべってるところ(バトルにあらず)で見当つければ・・・。

原編・・・ついに、ついにっ!!!
しかしアレンジ上手すぎです、コンドームのとこといい、「俺はもうキャッチャーは無理だ(原作だとバスケットボール)」のとこといい。
原作片手にニヤニヤしつつ、ドキが胸胸しつつ、楽しませていただきました・・・最後に涙。
108ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/11/16 20:33 ID:7I0pDEea
>>103
キャッチャー全滅しちゃったね。
109 :01/11/16 21:15 ID:LgcgivWq
ミナコは来るな、失せろ邪魔だ死ね
110ミナコ☆ ◇OBykfjW6:01/11/16 22:53 ID:Jm0FAlFc
>>103
キャッチャー全滅しちゃったね。
111  :01/11/17 00:07 ID:/eGU+3IZ
凄いなあ、原作より面白いんじゃないかな。
原作を練り直してるから当たり前と怒られそうだが。

原作でも三村(名前合ってます?)の話は好きだけど、
この原の話はそれを超えて面白い。ありがとうございました。
古田に言われた通り、入来智はまだ薬の回っている体を大人しく寝台へ横たえていた。
稲葉はそれを見守りながら、本当ならまだ眠っているであろう麻酔薬の量にも関わらずに
意識を覚醒させた智の意志力に、幾分か驚いていた。
寝台に身を横たえながら、それでも智は目を見開いていた。時折ふっとその目がうつろに
なり、意識が再び闇へ呑まれそうになるようだが、それでも必死に意識を保たせようとし
ているのか、唇を噛み、眉根を寄せてそれに耐えている。
「入来さん」
稲葉が声をかけた。
「眠った方が薬が抜けますよ」
半分は本当で半分は嘘だ。今眠りにつけば、しばらくは目を覚ますことは出来ない。
それが判っているのか居ないのか、僅かに首を横に振って智は意識を保とうとし続ける。
おそらくは、あの古田の言葉を、弟を助けてやるという言葉を信じているのだろう。
稲葉は昏い思いを抱いた。あの言葉が偽りの言葉であることは判っている。智を大人しく
させるための方便であると。
そのことに稲葉は良心の痛みなどは不思議と感じない。むしろ、己の油断で欺ききってや
れなかったことの方が苦かった。こんなことであれば、最初にガルベスを始末しておくべ
きだったろうかとも思ったが、今更仕方のないことではある。
「・・・ゆ・・・う・・さく・・・」
智が呻くような声を上げた。
視線の焦点は合わずに宙を彷徨い、手が虚しく空を掴もうとしている。無理に意識を覚醒
させているために、幻覚症状が表れているようだ。
稲葉は左手で智の目を覆った。それで幻覚が見えなくなるものではなかろうが、少なくと
も虚しい手の動きは止まってくれた。
このまま眠ってくれると有り難いのだが、掌に隠された目は、どうやら閉じようとはして
くれない。今こうしている間にも弟が・・・という思いが、彼にとって今唯一自由に出来
る意識(それさえもままならぬようなものだが)を保たせようとしているのだろう。
目を覆ってやっている掌が濡れるのを感じる。
気性の激しいこの男のことだ。弟が危険に晒されているのだと知りながら何も出来無い、
それどころか体を動かすことも自由にならない己に苛立つ悔し涙なのだろうか。
こうして守っているはずの相手に泣かれてしまうと言うのも複雑なものだ。守っていると
言っても、ただ騙し続け、彼のかつての仲間達が(もっとも人見知りが激しくとうてい巨
人軍向きではない性質の彼が、それほど交友関係を持っていたなどとは思えないが)、最
愛の弟が、愚劣な殺し合いゲームに参加させられているという、到底容認など出来ない事
実を突きつけながら、何も出来ないように薬で拘束などしているわけだが。
だが、だからと言って彼に、そして自分に何が出来るというのか。己の無力さなど、これ
まで厭と言うほど思い知らされてきたではないか。
他の命を見捨てることになっても、今目の前にいる男の命を守ることは出来る。それで充
分ではないか?一人の人間が出来ることとしては上出来だ。
113閑話 そしてその理由:01/11/17 00:48 ID:BcycFK76
稲葉はふっと嗤った。いつからこんな冷徹な考え方をするようになったのだろう。
球界の闇の存在を知ったときからか。その闇が想像以上に己のいる場所と隣接しているこ
とを知ったときからか。それとも自らその闇へ足を踏み入れてしまったときからなのか。
何年前になるだろうか。この球界がどうしようもない、どす黒い闇を秘めていることを知
ったのは。好きな野球を続けられる、多くの強者達と闘うことが出来る、夢のような世界
は、実は汚泥の上に建てられた虚像の宮殿にもに似たものであると知ったのは。
そうと知ったときの、絶望感と焦燥は稲葉の心に深い傷を負わせ、今なお血を流させ続け
ている。それが彼を自暴自棄にさせ、あえて闇の中へ足を踏み込ませたのだと言えなくも
ないが。
だが、今となってはどうでも良いことではあった。結局は、自分が選んだことなのだ。そ
のために失った物は多く、そして大きいとしても。
だが、稲葉は失ってしまった物を埋めたかった。このヤクルトというチームを、そし
て、チームメイト達を守ることで。そのために手を汚すことに躊躇いを感じなくなるよう
には少し時間はかかりはしたが。
古田もまた、同じなのかも知れない。彼もまた、失った物を取り戻すことが出来ないから
こそ、それを埋めるためにチームを、チームメイト達を守り、今また、外様とは言え、流
浪の果てにここへ辿り着いた男を守るのだろう。
(チームメイトか・・・)
ふと、稲葉は先ほどの五十嵐の表情を思い出し、気の毒になった。
若い五十嵐には、さぞショックの連続だっただろう。
それでもまだ、五十嵐は自らその目を背け、隣り合わせの闇を見ない振りすることは出来
る。あえて取り返しの着かない一歩を踏み出すことなく、踵を返す事が出来る。どうする
かは、五十嵐自身が決めることだろう。
だが、稲葉は何故か、五十嵐もまた同じ轍を踏む様な気がしてならなかった。
114 :01/11/17 03:35 ID:YsGrnfro
>原編の職人さん
お疲れさまでした!感動で目が潤んでます。
原作でも大好きな三村編(最初に読んだだけで読み直しが出来ないほど……)
こんなに最高の話に仕上げてくれるとは……。
原のドラフトの時のこととか色々思い出しましたよ。原作より(・∀・)イイ!!
115 :01/11/17 13:35 ID:gx6cDWcv
poVjGp5Xさん、あんたは神だ!!!原編めちゃくちゃ楽しかったです
もちろん職人さんはみんな神だけどネ!!
116 :01/11/17 16:54 ID:W4jTqBxY
捕手age
117策士・邂逅4:01/11/17 21:12 ID:5Ynq22ci
古田はちょっとの間困ったような顔をして五十嵐を見ていたが、
「まぁ、またやらかされてもしゃぁないし、どうせお前にも話す事にもなるやろしなぁ。
 しかしどう転んでも多分愉快な話にはならんで?この先にあるのは不愉快な現実だけや。
 その覚悟があるなら好きにしろや」
それだけを言うと部屋の奥に引っ込んだ。五十嵐は少し逡巡したが、その為に来たのだ、と気を取り直し入室した。

「やぁ、これは五十嵐君じゃないか」
「はぁ・・・・どぅも」
間の抜けた返事だ、そう思いつつも森の挨拶に五十嵐はそれだけを返すのがやっとであった。
大体、盗み聞きしていた相手ににこやかに挨拶されてどんな返答があるというのだろう?
そんな五十嵐を可笑しそうに眺めてから森は古田と向き合った。

「さて古田君、私がここまで来たのはね。ずばり君の意見を聞きたいからなんだ。今回のプログラムについてね。
一応聞くが、五十嵐君はここにいるからには当然知っているのだろうね?」
「まぁ、最低限の事は言いましたわ。個人的には知らんかった方が幸せやろと思いますがね」
「はぁ・・・・こんな世界があったなんて想像もしなかったんで・・・・その、なんというか、ただ驚いてます」
「それは当然の反応だよ五十嵐君。こんな事は普通の人どころか選手だって想像もしないだろうからね。
 ただね、今回のプログラムは私のように色々この世界の裏側を覗いてきた人間から見ても異質なんだ。
 それを球界一の頭脳は一体どのように捕らえているのかが知りたくて今日はここまで来たのだよ。
 色々と教えてくれるとありがたいんだがね、古田君」
「森さんだって色々考えておられるのでしょう。俺の意見を聞くまでもないのと違いますか」
「慎重だね。確かに色々考えてはいるよ。まぁ意見を求めに来たわけだし、こっちから言うのが筋か。
 これはあくまで推測でしかない、それで良ければ少し長話につきあって貰おう」
森は足を組み替え、良いかな?という様に二人の顔を眺めてから話し出した。
118策士・邂逅5:01/11/17 21:13 ID:5Ynq22ci
「さて、日本テレビ内では巨人の選手達はキャンプ先のハワイでテロリスト達に拉致された、
 とそういう事になっている。表向きは裏がとれていないという点、国際的問題になるかもしれない、
 という理由で箝口令が敷かれている為にまだ発表されてないがね。
 おそらくプログラムの終了と同時に箝口令は解除され、世間にはこのせいで巨人の選手達が死んでいった、と伝えられるだろう。
 そこでだ、すると来シーズンにどういう事が起きると予想されるかな、五十嵐君」
突然振られて五十嵐は戸惑ったが、それでもなんとか考えを纏めようとした。
つまり、巨人の選手は壊滅状態になるから、新規にチームを作り直すにしても時間が足りないだろうし・・・・
「実際にそうなるかどうかは別にして、戦力的には巨人抜きの5チームで優勝争い・・・・
 あ、もしかしてこれをきっかけにリーグ統合・・・・?」
「どうかね古田君、五十嵐君の言っているような事態になると思うかね?」
「まぁ、リーグ統合というのは有り得るかもしれんですわ」
ごく簡潔な古田の答えに森は頷いた。しかし次の言葉は五十嵐にとって予想もしない物だった。
119策士・邂逅6:01/11/17 21:14 ID:5Ynq22ci
「そうだね。しかしおそらく巨人にとってはリーグ統合などどうでも良いことだろう」
「そ、そうなんですか?」
「君は巨人の人気、そしてそれが持つ力を考えに入れていない。
 この事件の悲劇性が世間に与える印象を考えてみる事だ。そこで長嶋さんが・・・・そうだな、例えば
『我々はこの事件に決して負けない。今は亡き選手の分まで野球に打ち込む。心ある者は共に闘ってくれ』
 等と呼びかけてみたとしたらどうだろう。新生巨人軍の編成は強力に世論から支持を受けるだろう。
 そしてそんな状況で、巨人に来てくれと言われて首を横に振れる選手、
 この選手をくれないかと言われて断れるフロント、あるいは親会社がどれだけいると思うかね?」

古田は想像する。悲劇性を身にまとい、支持を一身に受ける巨人軍を。
そして、その先に待っている物を。それはつまり−

「そして、その影響は選手獲得だけに収まらないだろう。例えば試合日程から何から、
 巨人の発言力、政治力は今の比では無いほどに強力になるだろうね。
 世論という物が背後にあるだけに抵抗も難しい。つまり、早い話が」
日本球界の全てが巨人の物になる−。恐らく、来シーズンほどくだらないゲームをやらされる年は無い。
いや、ひょっとするとその後永遠にそうなのかも知れないが−。そう思い、古田は乾いた笑みを浮かべた。
120策士・邂逅7:01/11/17 21:15 ID:5Ynq22ci
「誇大妄想だと笑うかね、五十嵐君」
五十嵐は何も言えなかった。普段の状況ならまさしく誇大妄想で片づけるところだ。しかし・・・・
「・・・・しかし、ここまで大がかりなことをしてまで・・・・その、旨味がある物なのでしょうか?」
「巨人が優勝した時の経済効果は1000億とよく言われるよね。話半分どころか5%に聞いたって50億だ。
 ま、それは別にしてもこの事件のせいで観客動員、TV視聴率、これらは恐らく全て過去最高の数字を叩き出すだろう。
 他にもグッズ売り上げ、あるいは義援金など様々な副収入も見込まれる。
 今シーズンは低視聴率でさんざん騒がれたろう?
 これだけの事をしても充分お釣りがくると思わないかい?おまけに日本球界を支配できる、という特典付きだ」

五十嵐が苦い顔をして黙り込んでしまったので、森は横目で古田を見た。
古田は目を細めて、苦悩する五十嵐を眺めていた。古田がこの事を考えていただろう、と森は見ていた。
そして、多分にその先も。それこそ五十嵐に言ったように誇大妄想の様な話なのだが・・・・
ここでは、その事を口にする気はなかった。
121 :01/11/17 21:16 ID:5Ynq22ci
原編の作者様、お疲れさまでした〜
原作通りに行くのが、映画版で行くのか、あるいは全く違った展開で来るか、
とドキドキしてましたよ〜 いやもう本当、凄かったです。
122 :01/11/17 21:46 ID:6xHaEHT5
うわ〜。原編が壮絶な終焉を迎えたと思ったら
静かなる闘争が始まりましたね。
いろいろ想像しちゃったよ〜、たとえばもしこのプログラムが完了したら、
血にまみれたユニフォームとか捏造された「妻や子どもに宛てた遺書」みたいのが
ニュースでばんばん公表されて世間の人々の涙を誘って同情論が一気に巨人に、とか。
「幸いにも生き残った一人」っていうのが「これこそミラクルですよヘヘヘ」とか
シゲヲに言われて称えられて、そいつに未来のコーチとか監督とか約束して、
将来的にプログラムを続けていく気なんだろーな、とか。
(古田はじめヤクルトの一部面々はそういう闇を知りつつ証拠がないために
何もできない・・・んだろうか)

一応原作知ってるんですが、Gバトロワの結末は原作知ってても想像つかないです。
「最後の一人」の選択とか。
それより前に「最後の一人」になるまでの過程とか。
123 :01/11/17 23:06 ID:s2S/wPgP
>>122
俺も原作知ってるけど、原作通りの結末、とはいかないだろうなぁ
このままだと>Gバトロワ
無理に原作沿いにしなくてもいいとは思うけど。その話を書いてる職人さん
達に任せればいいかな?どっちにせよ楽しみです
124 :01/11/17 23:13 ID:VuSi04dq
ん、原作と違えた方が良かったのかな?
125 :01/11/17 23:49 ID:/vmOabdu
>>124
職人さんのお一人ですか?
ちょっとマジレスしちゃうと
職人さんの裁量でお願いします、と思います…個人の意見ですけど。
ていうか
原作からは、クラスメイト=チームメイトが殺し合いをする、というそれだけを頂いてて
後は全部巨人だったりヤクルトだったり近鉄だったり、いろんなチーム事情、球界事情とかも絡んでて
既に原作とは沿っていないと思うんです、極論しちゃうと。
確かに、古くは(既に古い、っていうのが…)高橋(尚)の瀬戸豊とか、二死タンの千草貴子とか、
入来前期の三村、原編の三村は原作に沿ってるように見えるし
上記部分の職人さんたちも原作を意識して書いていらっしゃるんでしょうけど
既に「違ってる」と思うんです…うまく言えないけど。
やっぱり、「巨人のバトロワ」のキャラクターだなあ、と。
原作と、大枠では同じだけど、細かいところで違ってるから
原作に沿ってるように見えても「違ってる」と言えばいいでしょうか。
なんか、そんな感じです。
126 :01/11/17 23:56 ID:gcB0fxRI
原編の職人さん、お疲れ様でした。
自分も原作知ってますが、さらに面白くて感動です。
そうか、ピアスは帽子に…ウマイ
そしてヤクルト編、毎回楽しみにしています。
今後五十嵐はどういった行動をおこすのでしょうか。
>>123
そうですね、職人さん次第。
しかし、オリジナルの設定で動いている選手はドーナルノカ
127 :01/11/18 00:31 ID:zZqX4c+T
正直なところ、どうやって終らせようか迷ってます…
128 :01/11/18 00:52 ID:Wke4tSyM
すごすぎる…
129 :01/11/18 01:16 ID:BFHvNO18
>127
早く考えて書けやゴルァ!
・・・なんてことは言わないのでゆっくり執筆して下さい。でも待ってるけど(藁
130 :01/11/18 16:45 ID:6+wu4KoA
浮上
131 :01/11/18 18:44 ID:FLDnWfTg
>保存屋助手
広島の何が気に食わないか知らないが
既にスレがあるのに類似スレ立てて混乱させるんじゃねーよ
お前ニヲタか?
132 :01/11/18 18:55 ID:8FjxSpYm
>>131
アフォ。ニオスレに帰れ。広島バトロワは別の奴が
立てたんだろ?広島バトロワスレの1の文章見れば
ここの保存屋助手さんじゃないのは分かると思うが。
てかそこでニヲタの方に飛ぶのが分からん。

保存屋助手さん、131のような厨房は気にしないで下さい。
どうもニオスレの一部の者は勘違いしてるらしいんで…
133松井編:01/11/18 20:49 ID:+ARXIt/z
松井が用を足していたら清原がやってきてチン○を引きちぎられて死亡。
見張りをしていた川相がうっかり足を滑らせ石に頭をうって死亡。
二岡が寝ていたら夢精した。
134斎藤編:01/11/18 20:54 ID:+ARXIt/z
斎藤が平松の所に辿り着いたけど既に死んでた。
悲しくなったので自殺した。
135清原編:01/11/18 20:58 ID:+ARXIt/z
松井を殺したすぐ後、小屋をハケーン。
側には川相が死んでた。
小屋の中には仮眠中の二岡が、なんと夢精してる!!!
二岡の寝顔と夢精にに萌えた清原は勢い余って二岡のアナルに挿入。
しかし抜けない・・・・
136桑田編:01/11/18 21:00 ID:+ARXIt/z
顔中のホクロの正体は末期ガンだった。
しかし時既に遅し。
桑田はその人生を終えた。
137 :01/11/18 21:09 ID:w1cfc9Ng
保存屋助手さん、職人のみなさん、
がんばって下さい。
138入来編:01/11/18 21:09 ID:+ARXIt/z
辺りを彷徨っていたら泉を発見。
喉が渇いていたので飲んだ。
ん?なんだ?しょっぱいぞ・・・・
その時、側にチン○を引きちぎられた松井の死体が目に入った。
そしてよく見たら泉の色が黄色い・・・
入来は全てを悟った。
そしてその瞬間、激しい痛みが全身を駆け巡り、口から血を噴き出して悶え死んだ。
139清原編:01/11/18 21:18 ID:+ARXIt/z
二岡のアナルから俺のチン○が抜けない・・・
さすがにこのままでは困るので無理矢理力ずくで引き抜いた。
やった!抜けたぞ!
そう清原が思った瞬間、二岡のアナルにまだ自分のチン○が残ってるのに気がついた。
ぎゃああああああああ!!!!!!
清原死亡。
二岡もアナルに清原のチン○が取り残されたせいでウンコが出来なくなり死亡。
140高橋由伸編:01/11/18 21:23 ID:+ARXIt/z
周りを探索してたら田中健太郎を発見。
うわぁぁぁぁぁ!!!!!
気が狂ってしまっている田中が殴りかかってきた。
お互いにもみ合いになり崖から落ちて禁止エリアに突入して死んだ。
141堀田編:01/11/18 21:26 ID:+ARXIt/z
清水が倉庫に入ってきた。
もうだめだ。
コンテナに火をつけて爆発させて二人とも死亡。
142長嶋茂雄編:01/11/18 21:29 ID:+ARXIt/z
終わりましたね、みなさん、ヘッヘッヘ。
こうして読売巨人軍バトルロワイアルは幕を閉じた。






おしまい(長い間のご愛読ありがとうございました)
143ニヲスレ住人:01/11/18 21:59 ID:3qfn1+CF
俺はこのスレをそこまでチェックしないけど、多分、ニヲスレの
奴が荒らしたと思うんで申し訳ないです。でもほんの一部というか
一人のやってる事なんで放置してください。
えーと、見るかぎりsage進行でやってるみたいなんでsageますね。
144 :01/11/19 00:46 ID:ysxoK8S/
広島派閥スレでバトロワ書いとるもんです。
今日の昼いろいろあったらしくてここにまで迷惑かけてしまったようで
非常に申し訳ありませんでした。
あのスレはうちにきた人がたてたものらしく(同IDだったらしい)、ここの
保存屋助手様とは何の関係もないと思われます。
保存屋助手様やその他ここの住人の皆さんには嫌な思いをさせてしもうたと
非常に鬱模様です。すんませんでした。

実はこのスレ楽しみにしとる人間の1人です。体に気をつけてがんがってください>職人様
145 :01/11/19 01:30 ID:9Wcb5L7C
何か2,3日こなかったから凄い事になってますね…
職人さんたちこれに負けずに頑張って書いて下さい。
146プロレス板住人:01/11/19 02:42 ID:DnwYWGu7
初めまして、プロレス板でバトロワの職人やっている者です。(前に来ていた方とは別人です)
最近ここと広島版を知って見させて頂いております。
私のところも現在進行形で延々と粘着されておりますが、
無視しながら終わりが見えるところまで漕ぎ着けました。
荒らされると気に障る職人の方も居られるかも知れませんが、
(こちらでは古参の方が1人辞めてしまいました)
相手をせずに続けて欲しいと一読者の立場から思っています。
オリジナルが主になってくると特にしんどくなるかも知れませんがマイペースで頑張って下さい。
私の心配が取り越し苦労になることを祈っております。
147 :01/11/19 02:48 ID:bIL+Fss0
>>146
俺もそう思います。とにかく荒しはもう気にしない方向で進めて下さい。
いないもんと思ってまた良い話を書いて下さい>職人さん達
あと保存屋助手さんも荒しなど相手にしないで下さい
148清水編1:01/11/19 03:46 ID:MyVzZihE
丑三つ時。やぶの中。
空にはぽっかりと浮かぶ真ん丸な満月。
それを虚ろな目で見つめる一人の男がいた。
「堀田…お前、どこに居るんだよ…」
清水隆行(背番号35)は焦燥しきった顔で夜空を仰ぎ、一言だけ呟いた。
ゲームが始まってもう何時間も――いや、もう何十時間か――経とうとしているのに、未だに堀田に出会えない。
せめてもの救いは何度か耳にした放送で、まだ堀田の名前が告げられてないことと、左手に収まっている探知機の電池が切れていないということだけだった。
出会いたくない人には出会ってしまうのに――どうしてこうも上手くいかないのか。これじゃまるで己の野球人生そのものだな…ハハハ、などと自嘲しながらぼんやりと思った。
先ほどまでは傷だらけの身体を引きずって何とか動いていたのだが、流石にもう右半身が悲鳴を上げて、身動きがとれなくなってしまった。
やぶの中に隠れているものの、ここでゆっくりと休んでいるわけにはいかない。休んでるわけにはいかないのに――。
ズキンと痛む右肩。これは由伸にナイフで刺されたものだ。
右の大腿部、尻に近い部分の傷は、野村に撃たれたもの。
そして、最も痛みが激しい部位、右脇腹の傷は――清原にナイフで刺されたものだった。

話は数時間前にさかのぼる。
清水はいつものように放送で次の禁止エリアが告げられるのを聞き、地図にチェックを入れていた。そして探知機片手に禁止エリアになる時間がくる前に、一つずつ当たっていく。
堀田を捜し出すのに、この方法しか思いつかなかった。でも恐らく、一番ベストな捜し方だろう。まぁそれも、この探知機があってこそスムーズにできる方法なのだけれど。
そうやって行き着いた場所では、何体もの死体を発見した。死体を見ては、堀田のものではない――と、安心した。まったく、死んでいった選手には失礼な言い方だよな。死んだ者に対して安心しただなんて。

民家では條辺が。
山の中腹――雑木林の中では小野仁が。
集落から南の山にさしかかる辺りでマルちゃんとメイが。
海岸では元木さんが。
大きな爆発音が聞こえて向かった集落の西辺りの畑の間。倉庫のような建物がぼろぼろになっていて、その脇の駐車場のようなところ、一台のワゴン車の前に、原俊介。鈴木尚広。吉村将生。
みんな――みんな変わり果てた姿になっていた。
そして、唯一最期だけだったけれど、見届けることができた――仁志さん。
すみません、仁志さん。埋葬もしてあげられず、ただ目を閉じさせ、胸の上で手を組み合わせただけのままで…そばにいることさえできなくて。
でも俺は、まだやることがあるから。今は――堀田に会わなきゃならないんです。どうか許してください――。

行き当たった中で一番酷かったのは灯台だった。
島の東北端の方、地図では灯台と示されている場所から銃声が聞こえた。こんな目立った所に堀田が一人で居るはずもないと、まだ捜してなかった場所だったので、確かめないわけにはいかなかった。
すっかり静まりかえったその場所では、今年入団したばかりの選手たち6人が、まとめて死体になって転がっていた。
上野。李。川本。山下。小野剛。少し離れた所に、根市。
激しい銃撃戦が繰り広げられていたのだろうか、この惨状は。
ルーキー達は示し合わせて、どうにか6人で集まって一緒に居たのだろう。そこで誰かに襲撃された――というのが妥当なシナリオか。
それともルーキーの6人の他にも誰かいて、本当は7人だったのかもしれない。そいつが突然裏切って、いや、正体を現したとでも、いうのだろうか?
周りを見渡すと、いくつか疑問に思う点があったのだが、その後の出来事のおかげで、もうすっかり忘れてしまった。
死体を確認した後でさっさとその場を去れば良かったのだが、長い間眠っていなかったせいもあって、おぼつかない足でふらふらと歩いていた。
長い廊下の奥、玄関に誰か立っているのが見えた。
廊下が薄暗いせいで、その誰かは光の入る玄関を背に、シルエットになって見えたのだけど、シルエットだけでも誰なのか判断するのは容易なことだった。
あの体格。そこに居るだけで、周りの空気が凍り付くようなあの威圧感。
間違いない。清原和博だ――。
149清水編2:01/11/19 03:48 ID:MyVzZihE
清水は、目を見開くより早く、横ざまに跳び、キッチンの中に飛び込んでいた。同時にシルエットの手の辺りが激しく火炎を噴き上げ、まだ廊下に残っていた清水の足のすぐ先を弾着の列が通過した。
清水は一気に緊張に歪んだ顔で起き上がると、そのドアをばたんと閉め、低い姿勢からノブをひっつかんで、カギをかけた。
聞き覚えのある銃声だった。あぁ――あの"誰か"は、キヨさんだったんだ。
あのものすごい爆発音と、前後して聞こえた銃声は、キヨさんだったんだ。
夜中に野村とやりあって逃げた後、背後から聞こえた――つまり野村を仕留めた銃声は、キヨさんだったんだ。
あるいは、オカジと三浦が死んだときに聞こえた銃声も、キヨさんだったんだ。
その他にも何度か聞こえたあの銃声の主は――全部、キヨさんのものだったんだ――。

恐らく清原は清水同様、銃声を聞きつけてここを調べにきたのだろう。
あるいは、上野たちをやった襲撃者を狙ってきたか。
それともあるいは――その襲撃者本人である清原が、舞い戻ってきたのか。
床に膝をついた姿勢のまま、清水は右手を背後に回して、再び銃のグリップを握った。由伸が残していったデイパックから弾は見つかったし、今もフル装弾してあったが、予備のクリップだけは、由伸がポケットにでも入れていたのか、無かった。
コルト・ガバメント、シングルアクションオートマチック。装弾数はたったの七プラス一発だ。弾を詰め替えている余裕はないだろう。そんなことをしている間に、相手はマシンガンを――あるいはそれ以上にも銃器を持っているのだ、あっさりやられてしまう。
ドア脇にぴったり張りついて、清水はルーキーたちの死体が転がったキッチンを見渡した。
まずいことに、窓には内側から角材が打ちつけてあった。あれを引きはがして外に飛び出すのには時間がかかる。
灯塔に通じるドアの方も見た。――いや、あれも無理だ。灯台の上は、飛び降りるには高すぎる。そんなことをしたら、根市と並んで屋上で日光浴をすることになるのが関の山だ。
いや――今、清原はどうしようとしているのだろう? 足音をひそめてこのドアの向こうに迫っているのか、それとも外でゆっくり清水を待ち伏せするのか?
いや、清原にもそんな余裕はないはずだ、早くケリを付けなければ、自分もまた、今の銃声を聞きつけた誰かに背後から狙うチャンスを与えることになるのだから――
その通りだった。ノブの周りを中心にドアの板が弾け飛んだ(ついでにドアを抜けたその弾の何発かが、ちょうど正面に当たっていた山下浩宜の死体から、肩と脇腹辺りの肉を引きちぎった)。
ばん、とドアが開いた。
次の瞬間には、白とどす黒い赤の、なんとも言えないコントラストをした固まりが、部屋の中へ飛び込んできた。
一転して起き上がったときには、それはユニホームを血で染めた清原和博の身体だとわかった。
部屋の中のほかの死体などには目もくれず、死角になっていたドア脇の方へ、まっすぐマシンガンを向け、向けたときにはもう撃っていた。

あぁ――やっぱりキヨさんはやる気になっているんだ。
もう俺が知っているキヨさんではないんだ。
「俺も肉体改造がしたいんです」と、去年のオフに相談を持ちかけたとき、親身になってアドバイスをしてくれたキヨさんではないんだ――。

それまでは清水は清原とはあまりじっくり話をしたことがなかったのだが、相談以来、少しずつ立ち入った話しもするようになった。
いつだったか、清原は清水にこう言った。
「マスコミは勝手にいろいろ騒いどるけどなぁ、俺はやっぱり巨人を愛しとるから、出ていく気なんてない。巨人で、野球人生を終わらせたい。お前もそうやろ?」
清水は幼い頃から巨人ファンだったので、できればずっと巨人でプレイをしたいと思っていた。清原もまた、そうだったのだ。あのドラフトの、あの涙の会見は、清水もよく覚えていた。
清原は、巨人を憎んで選手達を殺していってるのではない。
ただ純粋に、巨人で野球をするために、最後の一人になろうとしているのだ――。

なんだ。やっぱり俺が知っているキヨさんじゃないか。
ただ純粋に、巨人を愛しているキヨさんじゃないか。
勝てるのか?俺はキヨさんに。必死で最後の一人になろうとしているキヨさんに、俺は勝てるのか――?
150清水編3:01/11/19 03:49 ID:MyVzZihE
結局その後、清原と壮絶な戦いを繰り広げたのだけど、やはり清水が清原にかなうはずが無く、踵を返して逃げた清水が、このやぶの中で隠れているという現在の状況に落ち着いたのだった。
もちろん無傷で終わるはずもなく、右脇腹の肉が三十グラムばかり抉り取られてしまったのだけれど。
それでも清原の元から逃げ去ることができたのは、奇跡だった。
球界唯一の格闘家、清原和博に、互角に渡り合うことができたのもまた、奇跡だった。
一時など、清水は清原に勝った――とさえ思ったほどだ。
至近距離で拳銃を全弾撃ち尽くした時には、流石の清原でも絶命したと清水は思った。
しかし、清原は野村の防弾チョッキを着ていたため、ダメージを与えることはできていなかったのだけれど、もちろんそんなことは清水の与り知るところではなかったし、その瞬間には考えても仕方のないことだった。
今でこそ、防弾チョッキを着ていたのだろうと想像できるが、闘っている最中などは「肉体改造で銃弾を跳ね返すことまでできるようになるのか」などと、今思うととんでも無く馬鹿げた事を考えていたものだ――と、自分でも呆れてしまった。

兎にも角にも、自分はまだ生きている。
でもこの調子だと、堀田に会うのが先か。はたまた、自分が死ぬのが先か――。
一刻も早く、堀田に会わなくては。そして、これを、堀田に渡さなければ――。
左手に巻かれた時計を見つめ、清水はもう一度立ち上がった。
文字盤のガラスが月光を反射して、キラリと輝いた。
清水は再び歩き出した。
カルティエのパシャ。清水ご愛用のこの腕時計を、堀田に渡すために。
151148-150:01/11/19 03:51 ID:MyVzZihE
えー取り敢えず、清水編です。
話が前後してしまって申し訳ないです。>保存屋助手さん
時間的には
 桑田が上原をあぼーん。江川が多少儲ける(深夜1時ごろ?)
 ↑の様子を三沢が見ている。(同時刻。満月。雨はもうやんでいる)
 斎藤(雅)が河原をあぼーん(深夜4時ごろ?)
この辺…のはず。深夜3時ごろ?
ちなみに清水VS清原は、松井が灯台を去ってすぐぐらいだと思います。
昼から夕方の間になるのか…

堀田・清水編もぼちぼち書いていきます。
俺も146さん、147さんと同意見です。
152 :01/11/19 14:09 ID:/99n0OJU
一旦あげ
153_:01/11/19 16:12 ID:H8yUIZ8U
完全age
154 :01/11/19 17:04 ID:oJi6psB0
ageておきますか
155 :01/11/19 17:55 ID:leloXSYM
>>148-151
清水編待ってました!
堀田を探す理由が段々と明らかになってくるんすね。
続き楽しみにしてます。
しかし清原のとこチョト悲しい。巨人ラブなキヨ・・・
156 :01/11/19 18:29 ID:50bZnxtU
>>148-151
杉村と琴弾のエピソードがどんな話になるのかな?
実は清水好きなので、書いてみようかとアレンジ考えた事があったけど
全くネタが思い浮かばず断念したよ…
だから余計に楽しみです。頑張って下さい。
157 :01/11/19 20:33 ID:mSFFdjuW
ええと・・・>>151からすると原編ラストって上原や河原があぼーんされた晩なんですかね?
確かにその方が座りがよさそう。

ところで今一気読みしてきてどうでもいいことに気がつきました。ボウガン持った人でボウガンで人頃してないのは三沢だけ。
なんか意外。・・・ほんとにどうでもいいけど。
158 :01/11/19 22:15 ID:plAnmcrR
原作の杉村と琴弾のエピソードが好きなので清水編はかなり期待してます。
職人さん頑張って下さいね!!
159番外編−星は今でも明るいが−:01/11/19 23:33 ID:lOITVV6p
街の喧噪も、ここまでは届かない。夜景を見下ろす高台で、老人は語りかけつつ杯を傾けていた。
もっとも、杯の数は2つなのに対し、そこにいるのは1人でしかなかったが。

「日本は、後一歩の所でメダルを逃した。あの時、なんだあのプレーは馬鹿野郎と思ったが、
 しかし考えようによっては、あれで良かったのかもしれん。
 こんな・・・・こんな事をやっているところの野球が、メダルを貰うなんて事があっていいはずがないよな」

先程から置かれたまま、一向に酒が減らない杯−最も、飲む人間がいない以上減らないのは当然なのだが−
その前には、一枚の写真が飾られていた。その写真を見ながら老人、大沢 啓二は語りかける。

「なぁ杉浦よ、お前は− こんな馬鹿げた事をもう見たくなかったから、逝ってしまったのか?」

無論、返事は無い。大沢は、ゆっくりと杯を空け、空を見た。雲もなく、星はよく見えた。

「あいつは・・・・相変わらず馬鹿な事をやってるよ。もっとも、それを知りつつ何もしなかった俺も大馬鹿だけどな」

頭上に輝く無数の星。あの中に杉浦と、そして今も死んでいるかも知れない選手達がいるのだろうか?
それが何の救いにもならないことは十分に判っていたが、それでも尚。

せめて。せめて、安らかな眠りであるように− お前も祈ってくれ、杉浦。

祈りつつ。大沢は苦い酒を飲み続けていた。
160 :01/11/19 23:40 ID:AGH2KbNM
>>159
何か良いです!番外編。
161 :01/11/19 23:41 ID:RQoXt//7
>>159
杉浦さんか…合掌
162 :01/11/20 00:33 ID:QlwTKXyB
>>159
うわあ! 並行世界というか・・・
いずれにせよ長嶋とはいろんな意味で好対照な方だった
合掌。
163 :01/11/20 01:22 ID:1gD7HFxj
>>159
何かちょっと感動…
164 :01/11/20 01:33 ID:6YyyGcWH
浮上
165165:01/11/20 19:19 ID:+C0uOKtV
>>159
泣・・・・
166 :01/11/20 23:31 ID:e0jihKO8
バトルロワイヤルの話は何月何日という設定ですか?
167 :01/11/20 23:59 ID:iHEjXh78
たいしたことじゃないんですが・・・
保存所で137話から138話へとべないんですけど・・・
168 :01/11/21 01:11 ID:SeGPpuZ/
>>166
どうなんだろう?冬なのか秋なのか…
>>167
まれーにそういうことあるけど、暫くするととべるようになるよ
169 :01/11/21 15:45 ID:Xfi93/cL
浮上
170 :01/11/21 15:54 ID:AO51qnb0
毒蜜は自分のワイシャツをぐちゃぐちゃにされてぶち切れアンドうそ泣き
171中居:01/11/21 15:59 ID:DNOLTYcz
172_:01/11/21 16:55 ID:NckGQeBH
ageまくり
173斎藤編1:01/11/21 22:44 ID:wlWDmBnY
「…やっと。」
やっとここまで辿り着いた。比較的新しく出来た物らしいコンクリートの建物…平松がいるであろう建物を、斎藤見上げる。だが、感慨に耽る暇もない、あと10m程で辿り着く…逸る思いでさらに加速しようとした時であった。
「…え?」
建物が一瞬、揺れ動いたように見えた…思わず斎藤が足を止めた瞬間であった。
「ーー!!」
激しい爆発音と共に、凄い突風が斎藤を襲い、その体は数メートル程吹っ飛んだ。飛んできた瓦礫達に体をしこたま打ち付けられながら、地面を転がる。
「……あ。」
尻もちを着いたまま、斎藤は視界に広がる光景に固まる。今まであった建物は四方散らばり、その瓦礫達は斎藤の周りにバラバラと落ち行く。そして瓦礫達の中に混じって落ちてきたもの…平松の体は斎藤の腕に振り落ちるように、叩きつけられた。
「…平松っ!」
「…さい…とうさん…」
以前からの傷だけではない、爆風にやられた傷は所々に骨が見える程に惨いものであった。
「しっかりしろっ!くそったれ!誰がこんな…」
「……いきなり…爆発して…」
平松は火傷の跡が色濃く残る顔を引きつらせながら答えた。
「喋るな!…今助けて…」
「…すみま…せん…」
「辛抱しろよ。もうすぐこんなとこから脱出できるから…」
そう言って斎藤はデイバックを開けるが、平松の予想以上の酷い状態…よくこうして生きていられるという程の惨い姿に息を飲む。だが、大丈夫だと言い聞かせるように中身を取りだそうとする。
「…俺のために……」
平松は斎藤の手を制すように、動かすのさえ困難な手を微かに上げる。
「…全部俺が悪いんだ…お前だけは絶対に死なせない…それだけのために…」
仲間を殺した、そして仲間を見捨てようとしている。だが、自分の良心など問題ではない、いや、ある意味良心の為にこの平松だけは何としても助けなければいけないのかもしれない。
「ありが…とう…迷惑…ついでにもう一つ…お願いがあります…斎藤さんは…生きて下さい…俺と同じ事はしないで…」
「馬鹿言うな!」
「斎藤さん…でも…また会えて…よかった…会うまでは…死ぬわけに…いきませんでした…から…」
「いいから…喋るんじゃない。」
斎藤は平松をじっと見据えたまま、低い声色で答えながら応急処置を試みようと、腕を掴もうとした。だが、ズルリ、と滑るようなその感触に目を見開く。
「…酷いでしょう…これじゃ…もう投げる事はできないかな…」
「平松…」
「…斎藤さんに…迷惑かけちゃって…これも…天罰ですかね…でも…もう一度だけ…」
言いかけた平松は微かに笑ったまま斎藤に腕を伸ばすが、パタリと地面に手のひらを落とし、カクリと首を擡げる。
「…平松?…平松っ!」
斎藤は平松を激しく揺するが、もう平松は何の反応も示さなかった。斎藤は何が何だか…この状況が把握出来ないように瞳を見開いたまま、呆然としていた。だが、かすかに温度のある平松の遺体…閉じられたその瞼を認識してしまったその時…
174斎藤編2:01/11/21 22:47 ID:wlWDmBnY
斎藤はガクガクと震えながら、悲鳴にならないような悲鳴を上げる。…平松の命はもう消えて
しまった、その現実だけが斎藤を襲う。眼球の白い部分に赤い血線がクッキリ浮かび上がる程
に目を見開いたまま、さらに震える。
「…俺は…河原を…水野を…」
殺してしまったのだ。何が何でも平松だけは助けなくてはならなかった、そのために殺したの
だ。だが、その平松が消えた今、仲間殺しという堪え難い罪と、何よりもまたも平松を結局は
二度も死なせてしまうという、一番惨い終りに巻き込んでしまった…それらは一気に斎藤の
精神を侵食する。
「………。」
もう十分であった。斎藤の瞳はみるみる精気を失い、もはや言葉さえ発する事もできずに
ダラリと手を下げた。平松の死と、己の堪え難い罪が一気に襲ってきた精神はもう消えて
しまうしかなかった。まったく動かなくなった表情は、精神の停止を表していた。何を憂う
も、思う事もその精神は拒絶する。
「…!斎藤さんっ!これは…」
爆発を見た桑田が、息を切らしてやって来る。そして尋常でないこの光景に暫し絶句する。
だが、灰色の瞳のまま平松の遺体を預ける斎藤を見るなり、こちらの方がただ事でないと
桑田は斎藤の肩を揺する。
「斎藤さんっ!しっかりして下さい!」
だが斎藤は何も答えない。そしてその表情はもう廃人そのもので、桑田は戦慄くように目を
見張る。
「…斎藤さん。くそっ!」
桑田は数発、斎藤の頬を叩くが、それでも何の反応は無い。…どうして斎藤がこうなったか
…容易に想像は付く。…この事態に耐えるのは斎藤にとって堪え難いだろう。だが、そんな
事は認めないというように、桑田はさらに肩を揺さぶった。
「いい加減にして下さいよ!…アンタって人は…」
殺されるわけでも、自害するわけでもない、精神の停止という形の終焉…考えた事も、考え
たくもない最悪の終焉など冗談ではない。暫くして桑田は斎藤の肩を掴んだまま俯いた。
「…本当にアンタと関わるとロクな事がない。」
だがもうそれにさえ斎藤は答える事は出来ず、ぼんやりと視線を宙に浮かせたままであった。
「…これはもう…」
自分の知ってる斎藤ではない。もはやただの廃人だ。
「…まあ、最初に裏切った時から決めていた事ですけどね。」
桑田はじっと俯いたまま、寒気のするような声を出す。この人だけにはみっともない終焉だけ
は迎えさせない、その為なら場合によっては…
「このままその朽ちた姿を晒させる位なら…俺が終わらせる。」
とにかくもう一秒たりともこんな姿など見たくはない…桑田は何の感情も無いような表情で、
ゆっくりと顔を上げると、銃口を斎藤の頭に押し付ける。
「……。」
だが指は動いてくれない。…桑田はまだ残る自分の甘さに舌打ちする。そんな時であった。
175斎藤編3:01/11/21 22:50 ID:wlWDmBnY
「待て!」
大勢の足音が聞こえ、桑田は振り返る。そこには重装備に例のリモコンを持つ吉村と、背後には
銃を構える護衛が立っていた。
「…やっぱり…こうなってしまったか…」
虚ろな視線のままの斎藤に、吉村は首を振る。
「…爆発させたのは上の指示だ。…どのみち平松を生還させるわけにはいかない、プログラム
違反になるからな。斎藤が辿り着く寸前で爆発せよと、斎藤がここまで辿り着けるか見届けれ
ば済む話だと…俺も原さんも斎藤に耐えられる筈無いと止めたんだが…」
「…だから何だというんです。」
そんな話などどうでもいい、桑田は冷たい目で吉村を見る。
「斎藤さんをどうする気です?もう役にも立たないでしょう?」
「…本部に連れて帰る。斎藤を連れてこいとの命令だ。まあ、上はこうなるとは思ってもなか
ったろうが。」
「こんな廃人をですか?もうこれは何も考えられないし、何も出来ない、それを…」
「…命令は命令だ。様子を見るかもしれんし、処分するかもしれん…それでも連れて帰る。」
桑田はじっと抜け殻になった斎藤を見るが、ふいに癇癪を起こすように吉村にその体を投げつ
けた。消えた精神は当然、動く事もできず斎藤の体は吉村にドシン、とぶつかり支えられる。
「…勝手にすればいい。…こんなのどうなろうが知ったことか。」
斎藤の体からズリ落ちたデイバックを、桑田は冷たい面のまま拾い上げる。
「…ま、これくらいの物は頂かないとね。」
まるで機械音のような声色で、桑田はつぶやく。
「…なるべく精神を回復させる方向に運ぶようにするから…」
「だから勝手にすればいい。これがどうなろうがもう関係無い。むしろこれを持っていって
くれた方が清々する。」
斎藤をこれ呼ばわりする桑田に、吉村は何とも言えない視線を送ると、斎藤を背後の者達に
預ける。
「…あと平松も持って行け。…ついでだからな。」
ある意味一番酷い目にあった選手かもしれない…そう思うと、ここで野ざらしにさせるのは
あまりに不憫だ…せめてきちんと埋葬しようと吉村は指示する。
「…とにかくそれをさっさと持っていって下さい。…一秒たりとも見たくない。」
背を向け、吐き捨てるように言う桑田に吉村は小さく頷いた。
「…お前はどうして欲しい?生かして欲しいのか、殺して欲しいのか…」
「どうでもいいですよ。…勝手にすればいい。」
「…分かった。おい、斎藤を運べ。」
吉村は桑田から背を向ける。連れの者達は平松の遺体を抱え、歩く事さえ出来ない斎藤を
両サイドから肩を貸しながら、引きずるように歩き出し、吉村と共に船に乗り込むべく
去っていった。
「……」
足音が聞こえなくなっても、桑田は振り返らなかった。体を細かく震わせたまま、
拳を握る。…怒りなのか、何なのか分からないが、とにかくこんなに不快な気分は
初めてであった。
「本当に…なにもかも下らない。」
この言いようのない不快感に桑田は舌打ちする。
「…本当に…どいつもこいつも…不愉快だらけだ。」
何に対してこんなに不快なのか…斎藤に対してか、また斎藤を壊した球団にか、
そしてこの下らないゲームになのか…理由などどうでもいい、ただただ不快な
だけであった。桑田は自嘲気味に笑い、辺りの景色を見遣る。この景色でさえ
不快に思えてくると、桑田はゆっくりと歩き出す。ただ冷たい、無機質な表情で。
176_:01/11/21 22:54 ID:hTr/6mhl
>>173-175
泣きそうになった・・・平松〜〜!!
177 :01/11/21 23:24 ID:i2gKybeP
素晴らしい!!
178 :01/11/22 00:09 ID:OLIBCCd3
斎藤ーーー!!!
今日職場で「礼儀正しくて性格がいい選手スレ」見てて
斎藤と嫁さんのあまりの仲睦まじさにほのぼのしてたばっかりだったのに・・・!
それにしても・・・職人さんすげえよ!マンセー!
179178:01/11/22 00:13 ID:OLIBCCd3
ちなみに「礼儀正しくて」スレに書かれてた斎藤のエピソードのコピペ
↓ ↓ ↓

388 :斎藤雅 :01/11/18 17:14 ID:q1RNxgJ+
お正月にテレ東でやるクイズ&ゲームの番組。
奥さんに電話をかけて「愛してるよ」と言い、
「私も」と返してもらえたらポイントをもらえるゲームがありました。
(選手は「愛してる」しか言っちゃダメ)
大抵の選手は「え、何言ってるの」「何よ〜もう」を繰り返してやっと
「もー、私も愛してるわよ」と言ってもらえるのに、
斎藤雅は
「もしもし」「あら、どうしたの?」
「愛してるよ」「ふふっ、あたしも」
あまりの即レスにスタジオもうちの茶の間も騒然!
なんかそれ以来イメージが良い。
このスレ見ると、ファンも幸せそうでいいね。

*ちなみに、試しにやってみた司会のトクミツ…
「愛してるよ」「(゚Д゚)ハァ?」「愛してるよ」「何よ、気持ち悪い」
と、ソッコー切られてました(w
180 :01/11/22 00:15 ID:fCn6+uSE
>>178
俺もー!それどこか前にあった斎藤スレも見てたから
マジで泣きそうになった・・・てかどーなるんろう??
このままなのかな・・・
181180:01/11/22 00:19 ID:fCn6+uSE
>>179
奥さんって高校時代の彼女兼マネージャーだったらしいよね。
なのに・・・でも、予想外の展開にビックリしたけど素晴らしい。
二重投稿スマソ。
182 :01/11/22 00:53 ID:uX9m510O
平松・・・・斎藤・・・・(泣)
なんかもう、ラストでシゲヲとナベツネに思いっきり凄惨な最期を遂げさせて
やりたくなる。
183 :01/11/22 01:47 ID:2aUjlCnK
斎藤…平松…泣けてくる。桑田のセリフもキツイけど可哀相だな…
しかしこれから斎藤はどうなるんだろう…
184 :01/11/22 06:42 ID:QYg+C+Q6
ああ、モモちゃん・・・。
せめて桑田の手で葬ってほしかった。
185 :01/11/22 09:59 ID:0fgy1g9J
斎藤…(泣)斎藤はホントにホントにいい奴なんだよ…
18600:01/11/22 11:56 ID:k6DLqViu
スレ保守のためage
187 :01/11/22 14:15 ID:S/OIvQTa
久しぶりに見たら…斎藤が…(泣)あまりにかわいそうだ…
188 :01/11/22 22:57 ID:JrKgqCMh
捕手age
保存屋助手です。
仕事でテンパってて、久々に来てもこんな時間だったりする。
とりあえずアタリをつけたんで、今日はまだ無理なんだが、
土日のどっちかで更新する予定。

>「カープ内に派閥はあるか?」スレの職人さん
>プロレス板の職人さん
まだ見てくれているだろうか。レス遅れて申し訳なかったです。
実は事情がよくわからないんですが
自分のコテハンが原因?で広島バトロワや二岡スレで
混乱を招いてしまったらしいことは察しがつきます。
コテハンでの書き込みはウザがられるよ、ということについては
注意されてたんだが
自分が偽者の出る危険性に気づくのが遅すぎた、迂闊だったってことなんで
何も弁解できないと思ってる。
自分こそお二人に本来やらんでもいいお詫びやコメントをわざわざこのスレにきて
書き込ませる手間を作ってしまって、すみませんでした。
それから、自分の不手際がもとで不愉快な思いをさせてしまい
それでも見事に話を書き進めてくれている職人さんに、
お詫びと、お礼を言いたい。ありがとう。>職人さんたち。
190長文+(以下略)2:01/11/23 08:33 ID:LSKTj42C
>清水編の職人さん

時間の流れ、自分も気にしてる、本当は。
清水編の職人さんには申し訳ないんだが、今の段階だと清水が一番行動の先を行ってると思うんだ。
以下、職人さん各位の本文中に出てくる時間や情景・状況描写から見当つけた
状況の流れを書いてみるんで、もし間違いあったら指摘お願いします
>職人さんたち、ROMの皆さん。

(●印=時系列表に新規追加分、▲印=同訂正分)
●高橋(由)が佐々木と宮崎をあぼーん(朝)
佐藤が幸福なまま清原にあぼーんされる(昼)

三沢と入来が出会う(夕方ごろ?)
ガルベスの首が文字通り吹っ飛ぶ(夕方ごろ?)
松井生還。灯台の惨劇を回想(夕方から夜。夕立あり)
●二岡、松井と別れた後桑田が斎藤(雅)のストーキング開始。

三沢が真木をあぼーん←酒井が見ている(日が暮れてから)
ソンミン、鹿取の細工で爆死(夜?)
▲森が古田の元を訪れ、森・古田(+五十嵐)会談開始。入来兄、薬で緊縛状態(夜)
斉藤(宜)と谷、清原に襲われ、斎藤(雅)に薬を貰うも谷が再び清原に襲われあぼーん。
斉藤(宜)、桑田に撃たれた傷が致命傷となりしぼーん(夜9時から10時ぐらい?)
▲原と阿波野対談、二岡が単独で見張りに立ったのもこのあたりか?
高橋(由)が酒井と加藤をあぼーん(たぶん夜?)

斎藤(雅)と桑田、交代で休息を取ることにする。
桑田が上原をあぼーん。江川が多少儲ける(深夜1時ごろ?)
↑の様子を三沢が見ている。(同時刻。満月。雨はもうやんでいる)
●二岡が川相と見張りを交代(夜中の3時)
斎藤(雅)が河原をあぼーん(深夜4時ごろ?)
191長文+(以下略)3:01/11/23 08:34 ID:LSKTj42C

桑田が十川をあぼーん。斎藤怒る(夜明け。6時過ぎか)
●川相が二岡を起こす。二岡、朝食準備(6時過ぎ)

●高橋(由)、山田をあぼーん(夜が明けてちょっと経過。雨模様?)
原俊介、クラッキング失敗。鈴木とともに不味い朝食をとる。(朝)
斎藤(雅)、十川を埋葬。入来と出会う(7時から9時の間ぐらい?)

●入来が三沢をあぼーん(正午前)

▲斎藤(雅)、トンネルを抜けるとそこは雪国ではなく桑田が半ば人質状態。
水野、斎藤(雅)と桑田の連携プレーであぼーん(正午過ぎ)
●平松、プログラム実行委員会に収容建物を爆破されあぼーん。
●斎藤(雅)、ゲシュタルト崩壊(昼1時前ぐらい?)

原俊介、盗聴に気づく。計画練り直し(午後4時)

●原俊介と鈴木、吉村(将)と鉢合わせ。更に清原にハケーンされ
特別MVP賞を受け取ってもらえることなくあぼーんされる(深夜0時過ぎ)

以上の時間の流れは、各職人さんが本文で書いている時間や情景・状況描写から
見当をつけたものなんで、もしも矛盾があったら指摘お願いします。
他力本願で申し訳ない。

>166
プロローグのナベツネの呪いから大体の見当をつけてもらうと有難い。
本当はこのプロローグも、Gバトロワがある程度書き進められてから「後から」書かれたものです。
ヤクルトの日本一後の話だとは思うんですが。

>167
えっと、今見てみたら読めるんだけどどうだろう。
それから、167さんが指摘してくれたみたいに、
保存サイトに変なところとかあったら遠慮無く言ってください>ALL
こっちで書きにくければ、保存サイトにも臨時モンのびびえすがあるんで。
192 :01/11/23 14:11 ID:6n21+b1s
>保存や助手さん
トリップつけておいたらどうだろう?
193 :01/11/23 15:01 ID:JHp3kWX1
保存屋助手さん、おつかれさん。
ついでに捕手age
194 :01/11/23 23:37 ID:mfc5dnC7
195 :01/11/23 23:53 ID:UHCjzFgK
>>194
デリられてて来れないんだよ…
同時にage
196194:01/11/24 00:21 ID:Illovv47
ホントだ。・・・最近落ちすぎ(><)
管理人さん頑張ってくださいな(笑
197特別阪神:01/11/24 01:00 ID:1Pg0a7WO
野村監督が呟いた
「そろそろわしらもやらなあかんな岡田に伝えるか。。。長嶋の奴の陰謀を砕く為に・・・」
そういって野村はパソコンに何かを打ち出した。

飛行機の中には今岡・井川・浜中が話していた。
「今年のキャンプは楽しいかなぁ。」
そう今岡が言うと井川は。
「まただるいキャンプじゃねぇの・・・。」
そう阪神はそうなのだ。
最下位になる原因はキャンプにあった。
朝起きてダッシュノック・フリーバッテリング・終了といたって普通だが。
ただやる気がなかった。
飛行機の中の選手達にもちらほらあくびが目立つ。
おまけにコーチ達も神妙だった。

その中で岡田だけは一人神妙な顔立ちだった。
これから起こる何かを予測するかのような。。。そう緊張していた顔であった。

そこで最初に異変に気付いたのは井川だった。
「何?なんかへんだっぺよ」
「んなわけねーだろってあれ?何か。。。くせぇぞ物凄くくさい!!」
うわなんだこらと騒ぎ出した頃には手遅れだった。
今岡はその時思っていた。
(何だこら・・・ふざけるんじゃねぇっ)
こうして選手は深い眠りに陥ってしまった
198特別阪神2:01/11/24 01:05 ID:1Pg0a7WO
目を覚ました時そこは草原だった。
今岡を初めとする阪神選手達は驚きの境地に達していた。

「なんだっぺ?いったい何が起こったんだっぺ?」
井川が言うと口々に皆が喋りだす。
「何だこれは。。。何が起こったんだ?」

その中今岡は少し冷静になっていた。
これは凄く似ている。。。勝手八十八年に優勝した時に行われた伝説の儀式。
≪バトルロワイアル≫
でもあれは。。。そんな馬鹿な!!
あんな事したら選手は全員居ないはずしかし当時のナインは残っていた。
何でだ?最新科学?藪さんのすないぷボールもよけられるほどの?
そんな科学あるのなら俺の併殺打やエラーを亡くしてくれ。

そう考えてた瞬間空から舞い降りてきたのは。。。


バースだった。
周りがざわめき始めた。
「何でランディ・バースがいるんだ!!マスターリーグじゃないのかよ!!」
今岡も井川も浜中も驚いていた。
ただ一人。。。和田コーチだけが。。。にやついていた・・・。
199特別阪神3:01/11/24 01:10 ID:1Pg0a7WO
まず葛西さんがキレハジメテしまった。
「ふざけんじゃねぇ俺をこんな所に呼びやがって!!飛行機を戻せ帰るぞ!!」
そう言った瞬間銃声が草原に響きわたった。
そして。。。葛西さんは。。。その場にうずくまった。

「葛西さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
伊達がうめいた。
「ふざけるなよ!!何で葛西さんを]で射殺するんだ?頭が可笑しいぞこれはどうなってるんだ」
「んこれは・・・ま」
バーン
簡単な銃声だった。。。
そこに伊達も・・・うずくまった。

「何か文句はアリマスカー?」
皆が黙りこくった。
「皆様には今からサバイバルをシテモライマース」
サバイバル!?
そう聞いた瞬間今岡は背筋がぞっとした。
今岡はサバイバルが嫌いだった。
中学校の時サバイバルゲームをした時皆にリンチに会い。。。とんでも無い事になったのだ。。。
とんでもない事とは後でお話しするとして。
阪神選手一同全てが凍りついていた
200 :01/11/24 01:12 ID:Pat2BLzh
阪神スレって消えたのか・・・?
201特別阪神4:01/11/24 01:20 ID:1Pg0a7WO
「そうだ岡田監督はどうしたんだ!!」
広澤先輩がそう言った。
「彼なら既に抹殺しておりマース」
そんな馬鹿な。
「彼は私にハムカイマシータ、コンナバカナコトヲスルナトネー」
ばかげてるこいつら頭がおかしい。
あぁ神様俺を今からこのキチガイ収容所から出してください。
私たち阪神選手に罪はありません。
「では番号順に檻から外に出てもらいましょうかー」
バースの隣にはなぜか田淵さんがいた。

一番井川君

「はいだっぺ。。。」

そして去って行った。
しかしその時ちらりと見えた影に俺たちは気付いてるべきだった。
檻から出た。
次の瞬間!!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁだっぺ」
その瞬間ライオンの鳴き声がした。

「バース!!今のは・・・」
ズキューン
そうそして藤田の体が倒れていく。。。
「バース先生と呼び名サーイ」
背中が真っ青になった。
「OH井川君には忘れましたが、生き延びた者には阪神四番打者の称号を貰えマース」
誰もが思っただろう
『そんな物いらない』
「その代わり。。。殺し合いをしてもらいマース」

何でそんな重要な事井川に教えてやらんかったんだ!!
しかしそんなことでさえ頭に浮かばない程焦っていた。

「二番今岡」

これを持っていけ。
井川も渡されたようだ。リュックサックを渡された。
中には何かが入っていた。
そして俺は外をでた。
202特別阪神5:01/11/24 01:24 ID:1Pg0a7WO
次の瞬間!!カツノリが襲い掛かってきた!!

「アホか!!俺は特別で来たんだよ!!」

このヤロー全監督の息子だからって。。。

「てめぇに教えてやろう、この島で生き残った物が帰れる!それが勝者だとな!!


意味のわからない事を口走りやがって。

リュックザックの中には短銃が入っていた。

そして俺は・・・いや相手がカツノリで有ろうと俺はこれはできない!!

「ふはははシネェ!!」

カツノリの手から探剣がでてきた!!

「うわぁぁぁぁぁ」
ふいの俺は短銃をぶっ放してしまおうとした!!
次の瞬間!!

二人の声が聞こえた
「やめろーーーーーーーー!!!!」
203 :01/11/24 01:37 ID:1Pg0a7WO
ぷしゅぅぅぅぅぅ。
でたのは水だった。

そしてその二人の招待がわかった。
一人はイがーもう一人はなぜかライオンの着ぐるみを着た掛布さんだった。
「はぁ?」

「ははははこれはドッキリだっぺよ最初はびっくりしたっぺ。」

「どっきりなんですよーどうだった今岡君?やはり僕のサードを受け継ぐ物としてはもっとしっかりね?
エラーを無くして併殺を無くして欲しいわけです」

「あの。。。良く意味が」

「ようするはふしだらなお前達を虐める為の秘密の特訓なんだよ!!
 今岡!!ノック行くぞ!!みっちり俺がしごいてやる!!( `Д´)≡≡≡≡○)゜Д`;)」

「(@);゚Д゚)?あの良く意味が」

「おらは今年はいい成績だから地獄の特訓はやらなくていいっぺ。頑張るっぺよ?」

「ほええええええ?」

こうして俺は二月まで掛布さんにみっちりしごかれた。

俺たちは飛行機が墜落して奇跡的に全員助かった事にしてたらしい。
翌日聞いた事だが。
バースさんは桧山さんらをコーチする為に特別に来日。
思えばあの黄金時代の時もこれをやったらしい。
野村監督がまたこれをやった方が良いと思ってフロントに推薦したらしごきに良いと許可したようだ。
俺たちに残したプレゼントかもしれない。
葛西さん伊達・藤田が倒れたのも麻酔銃にトマトジュースを混ぜた奴らしい。
別に本物の銃で撃たれたわけでない。
カツノリも「いやぁすいませんこの役やれって親父に言われまして。でも甘えてはいけませんよね、これからは
汚れでも何でもやっていって精進していけなければ」
カツノリも成長したようだ。
俺が他の選手と顔をあわせた時は他の選手もげっそりしていた。
「今岡・・・お前どうだったよ・・・俺は。。。」
愚痴を良く聞く。
岡田監督は・・・どうしたんだろ?

(翌日なぜか森林で猿と一緒に寝てたのを発見された)

えっ?何で僕がサバイバル嫌いかって?
それはまた別のお話し♪(‘ε')

何にしろこれのおかげでかなり阪神は強くなった。
来年は優勝するかも♪
204阪神うぜぇ:01/11/24 07:47 ID:hZoi3XpT
誤字多すぎんぞ。
205 :01/11/24 09:24 ID:Z4GgUa9D
>阪神
お前最低。新スレ立ててやれよ。
誰も賞賛のレスなんかしねぇだろうがな。
206 :01/11/24 10:45 ID:LC8DbKkj
>>204-205
まあまあ。
この手の手合いは誰かが反応するのを見て喜んで増長するもんなんで
生ぬるい目で見守るだけにしませんか?
207 :01/11/24 11:42 ID:nnSNmMJ7
阪神ファンを装った荒らしか。八十八年って・・・。
208 :01/11/24 14:43 ID:xHGkCur4
こんな糞コピペ貼り付けんじゃねえよ
氏ね、荒らし。
209 :01/11/24 17:30 ID:Hx+f26ew
最初職人さんが本当に番外編で続きを書いてくれたのかと思って
真剣に読んだよ。
激しく欝だ・・・
210 :01/11/24 20:34 ID:FBG6AqQJ
あんまり良い状況ではないようですが、下がりすぎているので
保守ageしますね
211代打名無し:01/11/24 20:34 ID:NFhfSNWv
兄弟スレで顔文字ありだったら面白かったと思うんだがなあ、残念
212197-203:01/11/24 21:20 ID:EJyVB+Fu
>>197-203
俺市ね

                   _ _     .'  , .. ∧_∧
          ∧  _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ '     (    ) ←>>197-203=俺
         , -'' ̄    __――=', ・,‘ r⌒>  _/ /
        /   -―  ̄ ̄   ̄"'" .   ’ | y'⌒  ⌒i
       /   ノ                 |  /  ノ |
      /  , イ )                 , ー'  /´ヾ_ノ
      /   _, \               / ,  ノ
      |  / \  `、            / / /
      j  /  ヽ  |           / / ,'
    / ノ   {  |          /  /|  |
   / /     | (_         !、_/ /   〉
  `、_〉      ー‐‐`            |_/

ホント悪かった最高のスレを荒らしてしまって。
マジで悪い勢いがてらに駄文載せてしまって。
許してくれ。
といっても絶対許して貰えない罪なので兄ちゃんねるでも逝って来ます。
213 :01/11/24 21:31 ID:ASXTpuEW
野球板で駄レスしてしまったので消してください。

1 :  :01/11/24 21:23 ID:4dpzVRwu
ttp://kaba.2ch.net/test/read.cgi/base/1005370693/l50
の197〜203を消してください。
勢いがてらにヘンな事を書いてしまいました。
マジで消してください。
お願いします。
ほんとにお願いします
214 :01/11/25 00:32 ID:WjDuOdnl
>>212
そんなへこまなくても・・・・
215 :01/11/25 00:46 ID:WfKplj7Q
>>212
まあ、最近しょーもない荒しが多かったんで、みんな気が立ってた
のはあると思うんで…
216 :01/11/25 01:30 ID:L191Dv3E
>>212
まあまあ、そう落ち込まないでください。
単独で読むと楽しかったですよ。
217 :01/11/25 03:21 ID:4LU4OHbz
浮上
218 :01/11/25 14:15 ID:zBt+4jul
>212
まあ、そう気を落とさんといてくださいYO!ただスレ違いだっただけで。
俺は笑わせてもらったし。
219 :01/11/25 17:27 ID:X1VTYjSm
このスレの住民は、偽善者だらけに決定。
220 :01/11/25 21:02 ID:GizimQt2
>>219
禿同
つまらなさすぎ。
つまらない事をした>212逝ってよし。
兄ちゃんねるでも逝ってろ。

さぁ話を元に戻そう。
つまらない荒らしがでたもんだ・・・。

職人さんお願いします。
221策士・邂逅8 森の張る糸1:01/11/25 21:53 ID:JnzkUBLq
 そもそも森が異変に気づいたのは、シーズン中のことだった。
−今年、この分ではどうやらプログラムが行われるようだ− そう聞いた時は大して意外にも思わなかった。
なにせ、あれだけ派手に補強してこの様だ。あのオーナーの性格からしていかにもありそうな事だ、そう思った。
しかし、どうやら今回は一軍選手全員、そして二軍の選手も巻き込んだ派手な物になるらしい、
そう聞いたときは妙に思った。どう考えたって、それではチームとして機能しなくなる。
そこまでして行う理由は何か、そう考えた時、五十嵐に話したような仮説が浮かんだ。

 しかし何故、部外者であるはずの森がいち早くそんな情報を手にすることが出来たか?
理由は、今までプログラムと同時に行われてきたギャンブルにあった。
ルールは基本的には単純だ。一体誰が生き残るか?それを巡って決して少なくない額の金が動く。
森はそれに目を付けた。
通常、この手の非合法のギャンブルは現金払いが原則である。
しかし、森は多額の賭け金を株で支払った。通常は受け入れられないその行為は、担当者に結構な額の手数料、
例えば前回は賭け金8千万の35%だったが、それを同様に株で支払う事で解決した。無論内密に。
銘柄は、マイナーな企業の物だったり、時には名を聞けば誰もが頷くような企業の物だったり色々であったが、
担当者が不安を感じ、その会社を調べてみても業績は好調だったし、
何よりその金額は魅力的であったので、まず受け入れられた。
222策士・邂逅8 森の張る糸2:01/11/25 21:54 ID:JnzkUBLq
 しかし。プログラムが終了した時、担当者の顔は蒼白になっていた。
森の予想が的中し、配当を払う分には問題はなかった。
しかしその逆の場合、いざ賭け金を本部へ上納する段階になった時、その株価が暴落していたり、
時にはその会社が倒産している事さえあったからである。
今更換金しても到底足りない。しかし、どう転んでも自分で用意できる額ではない。
この事が本部に知られたらどうなるか?あんな事を選手にさせる所である。
恐らく、いや確実に。文字通り首を切られるだろう。

そして。焦燥している彼に甘い声で囁く者が現れる。

「お困りのようですから必要ならば現金を用立てて差し上げます。金利は勉強しますし、
 ある時払いで結構ですよ。ただ、我々に協力していただければ、の話ですが」

こうして、プログラムが行われるたびに、ひっそりと、しかし着実に森は内通者を増やしていったのである。
来るべきその日のために。
223 :01/11/25 21:55 ID:JnzkUBLq
バトロワの時期か〜
159書いた時には日本代表に派遣した選手が帰ってきてから開催、ってな解釈でした。
まぁ番外編だし、無かった事にしても影響はないでしょう。

>191
いつもご苦労様です。
あのプロローグは、ヤクルトがリーグ優勝を決めた日の話、という設定です。
実はナベツネを化け物っぽく書きたくて作った話だったりする。
224 :01/11/25 23:54 ID:5/+kRSBl
森の企み、気になりますねー
同時に浮上
225 :01/11/26 00:54 ID:Pw+9bZFE
>>221-222
株の譲渡で取引か〜
前回?のプログラムの時期がバブル期→バブル崩壊時期だったりしたら
妙にリアルだ、貰った株が紙くず同然になるっていうの。
哀れなり、森の担当者。
226川相編1:01/11/26 02:07 ID:6bCP8wJQ
今まで見たこともない生き物が、川相のチームメイトを――否、チームメイトだった物を、咀嚼していた。
それは、真っ白な髪を振り乱し、血液を口の周りから飛ばしながら喰らっていた。ちょうど、
魚を食べる時のように、頭の部分は残して、まず身から。
川相の口中にえぐ味が広がり、思わずうずくまった時、気配を察してそれが振り返った。そして
それの気配に、川相も伏せた顔を上げた。
視線がぶつかった。

第五回プログラムとかいうものが始まったとき、本当に「殺し合い」をするなんて、誰も思って
いなかった。二軍の選手が一箇所に集められ、とまどっているうちに、当時は一軍は勿論二軍とも
何ら関係はなかったはずの長嶋が上機嫌で現れた。長嶋の出現でとまどいが更に深まったところで、
このクソゲームの説明をされた。
もっともこの時点でこれが真実殺し合いのゲームであると本気で受け取った者は皆無だったと言ってよい。
自衛隊みたいな格好をした奴らから武器や食料の入った深緑色のバッグを受け取って本部を後にしても、そんな雰囲気から、最近よくテレビなんかで目にする、モデルガンを構えてパーンパーン!
と相手より先に口で言ったら得点とか、傍から見たら間抜けなこと間違いないゲームをやれという
ことなんだと思った(あれ、なんていったっけ、あのゲームの名前。どうしても思い出せん)。
だから、夜明けに「死んだ選手」の名前が放送されても、「パパパパパパパーン!」「わー、やら
れたー!」などという言葉の応酬があって、それで「死んだ」奴は「死んだ選手」としてカウント
されたのだと思った。首輪がモニターするというのも大仰な話ではなく、首輪を通じて「死んだー!」
という声を聞いて、それを「死んだ」と判断するのだと思っていた。
午前10時53分。この時間を、川相は永遠に忘れない。忘れられない。
適当に腹ごなしをして、一応「禁止エリア」のチェックをしつつ、林の中をさまよっていると、
たまたま四條を見つけた。
四條は自分に気がついていない。
にや、と笑って、川相はデイバッグから自分に支給されていたS&Wを取り出し、四條に照準を定めた。
227川相編2:01/11/26 02:08 ID:6bCP8wJQ
「ばーん!」
間抜けな声と同時に、引き金を引いた。
四條は、側頭部に空いた穴から派手に血を噴き出して、そのまま前にどさっと倒れた。川相を
振り返ることなく、前を見たまま。そして恐らく、自分を撃ったのが川相だということを知らずに。
川相は、ただ立ち尽くしていた。銃口からは、川相が頭の中で思い描いていた、コメディ映画であるよう
な、音とともに「BANG!」と書かれた旗は出ず、そのかわり火薬くさい鼻をつく匂いが漂っていた。
それでこれが、本当の殺し合いだとわかった。
どうしてそのとき、腕時計を見たのかわからない。ともかくそのとき川相は時計を見、時間を確認した。
午前10時53分だった。
恐ろしいゲームだと思った。なにより自分がまず人を殺してしまった。これが恐ろしくなくてなんだ。
どうしてチームメイトを殺して一軍に上がらなきゃいけないんだ。だいたい、いま一軍にいる奴らは
どうなんだ、あいつらも人殺しをして一軍のレギュラーになったとでもいうのか?
が、またこうも思った。自分がいま四條にしたように、自分の背後から息を殺して近づいて、頭や心臓を
撃ち抜こうという奴がいるかもしれない。朝の放送で名前が呼ばれた奴がいたということは、いるのだ。
やはり。
そこで川相は、はっと我に返った。
自分も含め、首を傾げつつ本部を後にした選手のうち、たった一人だけ血相を変えて脱兎の如く
駆け出した奴がいた。あいつのここのところの精神状態からいって、そうなるのも無理はなかったし、
だとしたら危険だ。あいつが一人でいるのは危険すぎる。
川相は、チームメイトを殺す以外の目的を持って動き始めた。

積極的に殺した、ということはなかったと信じたかった。狙われたから殺したのだと。が、殺すたびに
相手が持っていた武器や食料、水を奪い、なんの為にチームメイト(だった)を殺しているのか、
ゲーム開始前に提示された目的もおぼろになったころ、それがかつての仲間を食っている場面に
出くわしたのだ。
228川相編3:01/11/26 02:09 ID:6bCP8wJQ
「うわあああああああああああっ!!」
視線があったそれの顔を、あいつだと認めたくはなかった。けれど紛れもなくそれはあいつであり、
あいつがこうなってしまうのも無理はないという思いと、そんな馬鹿な、こんなけだものみたいに
なってしまうなんてという憤りがないまぜになって、川相は絶叫し、そして引き金を引いた。
かつてあいつだったそれは、抵抗せず、腹に二発喰らって吹っ飛び、そして倒れた。
川相が慌てて駆け寄り、それの身を起こした。
それは、泣いていた。ぎり、と川相の肩にしがみつき、涎と血を吐き出しながら、涙をとめどなく
あふれさせていた。
「もももう、い、いきてたくない、しし、しに、しにたい、しにたいよぉ……」
口の周りには、いま吐き出したのとは違う血がべっとりとついていた。喰っていたときについたのに
間違いない、血が。
最初にこいつが、人としてのたがを外してしまったのはいつだったのだろう。本部から遠くへ
駆けて行ったときか、このクソゲームではじめてチームメイトを手にかけたときだったのか、
たまたま川相と出会う直前だったのか、それとも――
それとも。
いずれにせよ、楽にしてやらねばならなかった。こいつは自分がしでかしたことの、何倍も何十倍も
苦しみ、苦しみぬいて、そして人ではなくなってしまったのだ。
川相も、泣いた。泣きながら、こいつの胸に銃口を当てた。
次の瞬間、こもった音がして、こいつは死んだ。楽になった。そう思わなければ、川相も生きていられ
なかった。映画やテレビドラマのように、いまさらのように体を揺さぶりはしなかった。こいつと、
ひょっとしたら別の奴のも混ざっているかもしれない血に塗れた両手で顔を覆った。
「……、…ぇむらあっ!」
こいつの名を呼んだとて、もう失われた命は戻りはしない。そして、失われた時も。
遠くにヘリの音を聞き、ヘリから軍人が降りてきて自分を両脇から支えてヘリに乗せる。どこか
よそごとのようにその画像を目に収めながら、ヘリの計器盤にも目を遣る。午前10時53分。


このクソゲームが、終わりに近づいているからか。あんなことを思い出したのは。
陽光が眩しい。
川相は、腕時計を見てみた。12時前だ。10時53分ではない。さすがに、ドラマや小説のように
ドラマチックにはいかない。

間もなく、新たな犠牲者の名が放送される。
229 :01/11/26 04:38 ID:wZ1h+lMX
>>226-228
ちょっと怖かったけどイイ!!
泣ける、まじで。川相タン・・・
230カズ:01/11/26 07:02 ID:1xLJQ4E9
おっす、野球王のカズだ。
貴様ら全員、屑のチキン野郎だな?
バーカ、俺様のHPを荒らせるものならやってみろ!
いっとくけど、俺のチンコはBigだぜ! キマッタ?・
http://www.journey-k.com/cgi-bin/mbs/osaka/pt.cgi?room=kaz2413
231 :01/11/26 11:18 ID:7TlwMzxT
>>226-228
川相・・・。
そんなことが前回のプログラムであったんだね。
泣けた!
232 :01/11/26 17:37 ID:1YBp5OPt
>>226-228
四條とぇむらって誰?_
233 :01/11/26 18:27 ID:LVx9xHkK
>>232
四條は今コンビニ店長だよ。ついでにage
234さかえむら:01/11/26 19:56 ID:gfCfzN2O
「・・・ぇむら」って

私ですか?
235 :01/11/27 04:45 ID:jxzBtbIv
ageまーす
236_:01/11/27 10:47 ID:Jhrnd3N+
もひとつage
237いつも読んでる奴:01/11/27 10:53 ID:B7m8asR5
しまった!
早まって新スレ立ててしまいましたー…。移行途中だったんですね…。
さっき倉庫に行ってたのに!
ごめんなさいです(恥)
238 :01/11/27 17:17 ID:ZAEkfDDC
栄村って吉村とぶつかった人だっけ??
239 :01/11/27 20:48 ID:jxzBtbIv
そう
240  :01/11/27 22:12 ID:Q052+ZaM
栄村・・・合掌。
ついでにこっちのスレあげ。
241    :01/11/27 22:45 ID:Q052+ZaM
こっちが本スレですよね?
242 :01/11/28 00:35 ID:e+2NoF0b
というか、元スレです
243 :01/11/28 10:44 ID:e+2NoF0b
age
244 :01/11/28 10:49 ID:Ap2Wh2aE
ナベツネは業火に焼かれちゃって下さい
245 :01/11/28 21:43 ID:e+2NoF0b
age
246サイド 蛇と蛙 ツマラナカッタラスマン:01/11/29 00:53 ID:f57L/zXW
「まだ生きていたか・・・」
ノートパソコンのディスプレイを見ながら男が安堵のため息を洩らす。
某ホテルの一室で野村克也は現在の生存者の名前を確認していた。
彼の『賭け』の対象者−松井秀喜の名がそこにあった。
心ならずもこのゲームの賭けに参加している野村であったが、正直成算のある
賭けではなかった。他の大多数の賭けの参加者は皆清原や桑田、あるいは
前回の優勝者川相に金銭を投じている。本来ならば松井のような純粋で正直な
男はとうに死んでいる筈である。
だが野村は松井に賭けた。
理由は彼自身にも分からない。
データに固執する男のどの思考回路をとっても松井という答えは出てこない。
そんな彼が何故松井に賭けたのか?
あえて答えを探すならばそれは松井への好感であろうか。
阪神監督就任1年目、野村は対巨人主軸対策に力を注いだ。
執拗にインコースを突くその戦術に高橋は苛立ち清原は怒りを顕わにした。
しかし松井だけは違った。
一打席ごとに様々な工夫を凝らし打とうとする姿勢が彼にはあった。
結果、1年目は遠山を用いほぼ封じこめたものの、2年目、3年目は松井の努力
の前に苦杯を喫することとなった。
勝負に敗れたとはいえ松井の姿に心のどこかでむしろ爽やかさを感じていた。
−彼には生き残って欲しい
そんな願いが松井に賭けさせたのかもしれない。
247サイドストーリー 蛇と蛙2 (ツマラナカッタラスマン):01/11/29 00:55 ID:f57L/zXW
他の生存者名を確認しようとした野村の表情に影が差す。
「死亡−三沢興一?近鉄に移籍した男まで参加させているのか・・・?」
一瞬驚愕したもののすぐに一つの考えに辿りつく。
「フンッ、近鉄は三沢を巨人に売り飛ばしたか」
そしてため息をつき呟いた。
「広沢をウチに移籍させておいて正解だった・・・」
鳴り物入りで入団したもののコレといった結果も残せず巨人を後にした者を
巨人が見逃すわけは無い。移籍の際にこのゲームのことを忠告しようかとも
考えたが、決して口の堅い男ではなかったので話すに話せなかった。巨人を
自由契約になった後昔の誼で阪神に入団させたことが功を奏したのだ。
野村がこのゲームの存在を知ったのは南海時代に遡る。かつて自分が憧れた
球団の闇の一面を知ったときは心底絶望した。ヤクルトの監督に就任した後も
連続優勝を避け一位と四位に交互についたのもゲームの実行を阻止するため
でもあった。そんな野村であったからいつしか読売サイドからも一目置かれるように
なり『野村に手だしは無用』との暗黙の了解事項が球界に成立していった。
阪神の監督に就いたのもその了解事項を利用して球界の稀有な選手たちを
守るためでもあった。
「・・・田畑は・・・救うことは出来なかったが・・・」
苦渋に満ちた表情でそう言った直後、

コン   コン   コン

何者かが部屋のドアをノックする音が聞こえた。
瞬間、野村の心臓の鼓動は一気に高まった。
・・・一体だれだ?・・・
248サイドストーリー 蛇と蛙3 (ツマラナカッタラスマン):01/11/29 00:55 ID:f57L/zXW
パソコンの電源を切り呼吸を整える。
そしてドアの覗き窓から相手を確認する。
目の前には一人の老人の顔があった。
ふとその老人と目が合い鋭い眼光に捉えられる。
同時に野村の顔面は蒼白になり、そして絶句した。
逡巡の後野村は心の中で呟いた。
−蛇がきた−
部屋の鍵を外しドアを開ける。
「ひさしぶりだねぇ・・・」
好々爺とはお世辞にも言えない老人は、しかししっかりとした足取りで部屋に
入ってきた。
「・・・お久しぶりです」
驚愕しながら返事をする野村を尻目に老人は部屋のソファにどっかと座る。
「君ともあろうものがこんなところにいるとはねぇ・・・まあご夫人の件があるから
人目を避けるに超したことは無いか・・・」
笑みと皮肉を交えながらそう言ったが、蛇の先ほどのひと睨みと威嚇は蛙を
十分に震え上がらせるだけの威力を持っていた。
「・・・どうしてここが?」
蛙は声を震わせながら言葉を紡ぎ出す。
しかし野村克也という名の蛙にしてみればその疑問は至極当然のものであった。
夫人の脱税疑惑とゲームへの参加、加えて自身の進退問題にまで発展している
現在の周囲の状況により、野村は森と会った後も都内のホテルを転々としていた。
「・・・ワシに分からないことはないぞ。・・・まあ、有名人の隠れそうなところといったら
秘密を守れる宿泊施設に限られるからな。検討くらいはつく・・・」
蛇は事も無げに言い、蛙を見つめ言葉を続けた。
「さて、ワシがここに来たのは他でもない。ビジネスの話しがしたくてきたのだ。
どうしても君に売って欲しいものがあってねぇ・・・」
蛙は悪寒を感じながらも答えた。
「・・・私が・・・お売りできるものがありましたかな?」
「・・・なぁに、もとはといえばワシのものだったんだがね・・・」
ふいにそこで言葉を切る。
直後野村克也の頭に嫌な予感がよぎり、そして体に震えを感じた。
・・・何だ?何を売れというのだ・・・?まさか・・・いや・・・そんなことは・・・
直後の老人の言葉が野村の思考を寸断し絶望の淵へと落とし入れた。

「広沢克実を売ってもらいたい」

今まさに渡邊恒雄という名の蛇は今まさに野村克也を食らわんとしていた。
249 :01/11/29 01:45 ID:IWuePHKt
広沢も参加するのか…??
250 :01/11/29 01:47 ID:wMEbAKjD
がんがれ野村〜
ナベツネなんて(以下略
251 :01/11/29 02:26 ID:nbUSRE1d
他球団選手が参戦していくようになるのかな?
どーなるんだろうか…
252_:01/11/29 11:21 ID:Lej0+/tO
ちょっと広がりすぎのカンもあり
253 :01/11/29 14:47 ID:jN8nJhoO
>>252
同意。年内に終わらない可能性も出てきたか?
254 :01/11/29 16:17 ID:yn7Wt9K8
年内は無理でしょう。
職人さんも今後の展開に少し悩んでおられるようで、スピード落ちてるし。
しょうがないとは思うけどね、合作で行き当たりばったりなのがこのスレの面白さなんだし。
「いつまでに完成」とか考えずに、良い作品を待ちましょう。

でも、やっぱ今から広澤参加は遅すぎると思います。
せっかく書いてもらって悪いんですけど………これ自体はけっこう面白かったし。
もし、野村が断るとか言う展開を構想しているでしたら、すいません。
255_:01/11/29 16:28 ID:vKSEEq5m
つうか、広澤が気の毒・・・野村がんがれ
256 :01/11/29 21:05 ID:bjlHCCBV
広澤が参加しても、上手く混ざる事ができればいいと思うんだけど。
オリジナルの桑田や入来や斎藤(…本当にどうなっちゃうんだろ…
あのままなの?)の今後が気になるとこ。
>>254
そうだね。いつまでに完成、とかでなくゆっくり待ちましょう。
257 :01/11/29 22:17 ID:ffts/HUG
>256
全然関係なくてごめんね。
>広澤が参加しても、上手く混ざる事ができればいいと思うんだけど。
↑表現は何となく「近所の子どもがやってる“かごめかごめ”の輪の中に
うちの子もちゃんと混ざってくれるかしら」っていう牧歌的なものを感じるけど
やってることは「かごめかごめ」どころじゃないなあと、ふと考えてしまった。
258 :01/11/30 00:50 ID:o+sWp3bW
犯珍ファソに荒らされない程度にお願いします…
259 :01/11/30 03:51 ID:hoUCcH+G
下がりすぎなんで上げます。
260a:01/11/30 17:01 ID:OrZiCHwj
age
261-:01/11/30 23:04 ID:hWx+qEFT
期待age
262  :01/12/01 16:07 ID:Et0BIDkf
karaage
263どうでもいい話〜その1:01/12/01 21:29 ID:s9h28bUJ
フジ・サンケイグループの株式保有問題で大活躍のナベツネが本社に戻ってきた時、
時計の針は10時をまわっていた。
「オーナー、例のネット掲示板の件なんですが・・・」「ああ、あんなもんは下層階級の憂さ晴らし
だからな。せいぜい騒がせておけばいいだろう。」「それが一つ気になるものがありまして・・」
ナベツネがちらっと落とした視線の先には――――『読売巨人軍バトルロワイヤル』
「まあ子供の遊びみたいなものなんですが、意外に核心に触れている所もあって、一応注意しておいた
方が賢明かと・・」「中心人物はいるのか?」「はい、現在は保存屋助手と名乗る男が中心になって
いるようです」
ナベツネはタバコの煙をふぅーっと吐き出すと、少し目を細めて呟いた。
「そいつをなんとかすることだな」「もう手はずはついております」

保存屋助手は渋谷の駅前で友人に電話をかけていた。
「気のせいじゃないんだって。めちゃめちゃダッシュして、ようやくまいたんだから」
「だからさ、何でおまえがつけられるんだよ。国家機密でも握ってるのか?マンガの読みすぎじゃねーの」
「実は最近イタズラ電話がすげーんだよ。変なメールもいっぱい送られてくるし・・」
「マジで?・・・おまえ、ひょっとしてタチの悪い女にひっかかったとか・・」
「バカ、そんなんじゃねーよ。うん、でもまあ、喋ってたら少し落ち着いてきたよ。
電車は気持ち悪いから、タクシーで帰るわ。じゃあな」
電話を切って周囲を見渡すと、保存屋助手はタクシー乗り場へ走った。
264どうでもいい話〜その2:01/12/01 21:31 ID:s9h28bUJ
自宅前で周りに誰もいないことを確認すると、保存屋助手は素早く家の中に入って深くため息をついた。
「ふう・・俺なんでこんなことしてるんだろ」
トイレを済ませたあとパソコンの電源を入れると、さっきの友人からメールが入っている。
「おっ、励ましのメールか。持つべきものは友人だな」さっそくメールを開いた。

              次に死ぬのはおまえだ

えっ?
体が一瞬で凍りつく。震える手で友人に電話をかける。つながるまでの間、自分の他には誰もいない
はずの部屋の中を、ついきょろきょろと見廻してしまう。
「はい、もしもし」「あっ、お、おまえ、あれ何なんだよ!」「ああ、ははは・・びっくりした?」
「びっくりっておまえ・・」体から力が抜けていくのが自分でもはっきりわかる。
「おまえシャレになんねーよ!あれは・・あれはヤバすぎる!」
「うひゃひゃひゃ、腹イテー!だってめちゃめちゃビビってんだもん、おまえ」
「あームカツク!おまえに相談した俺がバカだった」
「あはは、まあそう言うなって。あんまり深刻にならない方が良・・・・」
「・・・もしもし?・・もしもし?・・」電話はもう切れていた。
もう一度かけ直してみてもつながらない。
ハッとして後ろを振り向くと、見知らぬ大柄な男がじっと見つめている。
「うわぁぁぁぁ!」とびあがるようにしてドアに向かった保存屋助手を、男は苦もなくねじ伏せる。
首筋に透明な液体を注射された保存屋助手の体は、すぐに動かなくなった。
265263,264:01/12/01 21:33 ID:s9h28bUJ
保存屋助手さん、勝手に殺してしまってごめんなさい。
どうでもいい話なので、保存サイトの方では無視してください。
266 :01/12/01 21:48 ID:s9h28bUJ
保存屋助手です。

>265さん
なんか俺が死んじゃってますね(w
それについては全然かまわないんだけど、おっしゃるように、流れの中におさめるのは
少しむずかしいかな。
実は最近体調を崩してまして、なんか本当に他人事とは思えないというか、
正直ちょっと気持ち悪jkろpりkhb
267 :01/12/01 21:52 ID:s9h28bUJ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ次に死ぬのはおまえだ
268代打名無し:01/12/01 22:13 ID:1WYb1ALn
>>263-267
全部同じIDでジサクジエン(・∀・)デシタ!をやられてもあんまり楽しくない…
269 :01/12/01 23:08 ID:nP2ER0Vz
わざとか・・・?
270桑田1:01/12/01 23:38 ID:p3FDCCw/
桑田は崖の上からじっと海を見ていた。一艘の船がゆっくりと進み行くその光景を何の表情も無く、ただ
見ていた。これからあの船は…斎藤は悪鬼達の元に返還されるのだろう。あの斎藤を見たあいつらは、
どう判断を下すのか…
「まあ…どうでもいいことだ。」
一人の廃人がどうなろうが構うものか、桑田はそれでもその場所を動く事無く、ただ船を見る。船は徐々
に霞んでゆき、やがて桑田の視界から、水平線からその姿が消えた。桑田は完全に船が消え去った海を
暫し眺めながら、手にあるデイバックを固く握る。
「…無駄な時間を喰ってしまったな。」
馬鹿馬鹿しい時間を取ってしまった…桑田はその場に座り込むと、不快をくすぶらせたまま、斎藤の持ち
物を整理し始める。それぞれほんの小さな小瓶ばかりであったが、聞いた事も無い薬品も多かった。
そして底にあった小さなノートを発見すると、ページを開いた。
「なんだ…心情綴ってる暇あったら少しは薬品の事でも書いて欲しかったもんだ。」
桑田は、最初ページを開き、目を通すなりつぶやく。ノートには走り書きみたいにその時、気が向いた時
に状況を書れていた。
『…とにかく村田さんを探そう。あの人も仲間を殺す事なんてできないだろう。…探そう。…もし、万が
一に村田さんが変わりきって、俺を殺すような事があっても…それでいい、村田さんなら構わない。』
ああ、ゲーム開始直後のメモかと桑田は理解する。村田真一がまだ生きている頃に書いたのだろうから。
「あの二人って仲良かったからな。」
引退するのも一緒だと言わんばかりに共に引退宣言をした二人は、投手と捕手以上に気心の知れた親友で
もあっただろう。だが、その村田は死に、そのことについては書かれていなかった。ペンを取る気力さえ
失ってしまったのだろうと続けて桑田はノートをめくる。
『…條辺が民家で殺されていた。…條辺…まだ若い、これからの選手だったのに…俺のような終った選手
が生きて、こんな若い選手が死ぬなんて間違っている。…俺はもう過去の産物だ、過去の産物の俺一人と
若い選手一人、どちらが大事か…分かり切った事だ。仲間を殺してまで生きる必要なんて無いだろう。』
メモ書きはここで一旦終っていた。これは平松に出会う寸前に書かれたものだろうか、文面からどことな
く自害を決意している感じがした。そして次ページから薬品のメモになっているところから、ここからは
再びゲーム参戦した後に書かれたのだろう。
「…まあ、こんなお優しいのなら、ああなるのは無理無し…か。」
精神崩壊という終焉を迎えた斎藤だったが、なるべくしてなったのだ、気に病む必要もないと桑田は割り
切ろうとするが、それが出来ればこの不快感などとっくに消えているだろう。桑田は苦笑しながらも、
ノートを読み続ける。だが、後は心情を綴ったものでなく、薬品名が細かく記されているように変わって
いた。やっと肝心な事に話が移ったと桑田は意識を集中させた。
「火炎瓶の作り方や、アルコールランプまである。…あの人…理工系だったのか?」
特にそんな話は聞いた事はないが、まあいい、と桑田は目を通す。細かく所持する薬物に○だの×だのが
付けられていた。そしてこの×という隣に薬品名であろう字が連なるところから、これらを掛け合わせた
りしてはいけない…という意味も書かれているらしい。これは桑田にとっては重要であった。斎藤にして
みれば危険だから混ぜてはいけない、というつもりなのだろうが、自分にしてみれば劇薬を作る事を示す
メモなのだ。桑田は入念にメモを見る。
271桑田2:01/12/01 23:41 ID:p3FDCCw/
「…ん?…これは…」
そしてその中で『タブン』と書かれた字に注目する。
「タブン…どっかで聞いたような…ああ…」
どこかの宗教団体が地下鉄で事件を起こした時のニュースで聞いたっけ、と思い出す。
「確かサリンと同じような有毒ガスだって言ってたっけな…」
サリンよりは毒性は弱いが、それでも十分に危険なものであろう。メモには『有機リン』+『フッ素』
=タブンのような物。と書かれている。つまりこれがタブンの原料となることを示していた。きちんと
した研究所で作りでもしないかぎり、タブンそのものを作るのは不可能だが、これらを混ぜ合わせれば
タブンのような完全なる有毒ガスでないものの、十分に死に至らせる事のできる劇薬を作る事は可能な
わけか…と桑田は小さく頷く。
「あの時、ニュースで見た事でも覚えていたのかな…」
よく覚えていたものだと感心する。…斎藤が悪党であったらたちまち皆全滅していたであろう。そして
斎藤が殺され、ヤル気になった者にこれらが渡った場合を考えると…とことん上はこのゲームを楽しん
でいるのだな、と呆れるが、次のページをめくるなり絶句する。
「…!なんだって…」
そこには『万が一、これを開封する場合は体を水に濡らしておく事』と書かれていた。読むにつれ、
まるで第三者に対しての言葉になっていく文章に、桑田は絶句したままだ。
「…有毒ガスは体を水に濡らしておけば皮膚吸収しない。…だって?」
そして『万が一、これらを使用する場合、事前にプラリドキシムを打っておくか、吸い込んだ場合には
即急にプラリドキシムを打つ事』と書かれていた。解毒剤のラックの中にプラリドキシムと書かれた
注射器があるのを確認すると、桑田はどういうことだ…とさらにメモを読み続ける。そして最後の文を
見るなり、さらに絶句し、何とも言えない表情で体を強張らせた。
『お前が必要と思うなら、俺としては反対だが使ってみるといい。だが、最悪の事態という状況で無い
かぎり使用しないでほしい。』
桑田はデイバックの奥底で、頑丈にタオルで包まれた瓶を取り出す。そこには『タブンのような物』と
記入されていた。
『お前がこれを使って残ったみんなを全滅させるかもしれない、だがそれでも俺はお前に託す。…俺は
みんなを見捨てていずれここを出るだろう。そんな俺に仲間を気遣う権利なんてない。…だけど、それ
でもお前だけには生き残って欲しい。…どうしても俺は平松だけは助けなくてはいけない、それでも
またお前には会いたい。…真澄、生き残ってくれ。』
最後の一節を読み終えると、桑田は暫し目を見開いたまま、動けなかった。だが、ふいに小さく笑うと
さらに声を立てて笑った。
「何が生き残ってくれ…だ。またお前に会いたい、だ。…廃人が何言ってるんだ。」
馬鹿馬鹿しい話だと、桑田は歪んだ笑みのまま立ち上がる。
「…あの人の割には気の効いたプレゼントだ。のん気な顔してとんでもない物を作っていたなんてね。」
あの斎藤がどんな思いで、こんな恐ろしい物を作ったのか。自分と一緒に行動する前か、喧嘩別れした
後かは分からないが、これを自分に託したらどうなるか…勿論考えながら、それでも託したのだろう。
「…斎藤さん、これがアンタの崩壊する前の望みなんですか?…まあ、今のアンタには何も答える事
などできないでしょうけどね。」
桑田が生き残る為なら仲間を皆殺しにしても仕方ない、という事を本当に望んでいたのかなど
分からない。
「アンタに言われなくても俺は生き残りますよ。…生きたいんじゃない、死ぬ事が、負けるのが嫌な
だけだ。別にアンタに会いたくもないけどね…いずれは会う事になりますよ。」
絶対に生き残る、負けるのなどごめんだ、と桑田はその斎藤の残した恐ろしい瓶をポケットに押し
込むのであった。
272 :01/12/02 00:34 ID:HQ4Uv6Lm
う、うおおおおお!
273 :01/12/02 01:12 ID:S/VTqcdT
斎藤良い人すぎだよ・・・
桑田、この後どうすんのかすげー気になる。
274ニセ東出:01/12/02 02:15 ID:FyPto6jM
駄文
275 :01/12/02 02:21 ID:N3GuZG4E
斎藤…あまりに良い人。それなのに…
しかし斎藤、良い人ながらスゲー…薬剤師みたいだ。
桑田もどうするんだろう??気になる!
276 :01/12/02 05:52 ID:BlF9c59/
斉藤と村田の絆とは違うけど斉藤と桑田にも或種の絆が・・・

これから桑田がどうでるのか。マターリと待ちながらage
277代打名無し:01/12/02 14:06 ID:B+2s0ewf
これ・・・・桑田が清原に殺られるとえらい事になりそうだな〜
278 :01/12/03 00:06 ID:5RABT1r5
桑田の今後の動向が凄く気になるんだからネ!
捕手age
279 :01/12/03 12:50 ID:lsrF4PAt
職人さん達に期待age
280 :01/12/03 22:55 ID:eeShXiGv
捕手age
281ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/12/03 23:10 ID:mshsPZoa
職人は面倒臭くなって逃げ出した模様。
282 :01/12/03 23:48 ID:OCgiEk7d
ミナコは移転の際に出来たスレに帰れ。ゲス。
283ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/12/03 23:55 ID:mshsPZoa
>>282
もう削除されちゃったよ。
284 :01/12/04 09:31 ID:gFxw4jjl
age
285_:01/12/04 13:32 ID:/sQoU3aV
age
286 :01/12/04 21:48 ID:jMe7tHkT
age
287槙原編:01/12/05 00:56 ID:k2ARvYwF
全てが始まった場所。
松井達が目を覚ました場所であり、そして大多数の者が再び戻って来れ無い場所で、男達は、後片づけをしていた。
「じゃいくぞ、せーの!」
掛け声と共に50インチはありそうな大型TVが数人の男達によって持ち上げられた。
流石に重いのだろう、頼りない足取りではあったが何事もなくそれは、建物の中へと運ばれていき、
その後にはビデオデッキやケーブルなどの比較的軽い物を運ぶ者が続いた。

取り敢えずはこれで良し、だ。
リストと照らし合わせ、屋外に出していた物は全て室内に収容されたのを確認し、男は一息ついた。
ふと、目が一本のビデオテープに止まる。
「・・・・結局使わなかったなぁ。名演技だったのに」
口元を歪め、男は薄笑いを浮かべた。

それは、プログラムのレクチャービデオだった。
288槙原編2:01/12/05 00:56 ID:k2ARvYwF
話はシーズン中に遡る。槙原寛己(17)が引退する決意を固め、それを報告した時のことだ。
それを聞いた長嶋はしばし考え、
「んー残念ですね〜 ただ、シーズンオフに、いわゆるレクチャーについてパワーを借りるかもしれません〜」
と言った。
相変わらず何が言いたいのか良く分からなかったが、まぁ新しく入ってくる若手の面倒を見てやってくれ、
そう言うことなんだろうと槙原は解釈していた。

だから、突然呼び出しを受けた時もそう驚きはしなかった。
ただ。その内容は予想とは全く違った物だった。

「これは− 斧だー。当たりを引いたぞー!」
槙原は慣れない演技をカメラに向かって続けながら、戸惑っていた。
台本はカンペを見ながらやるから覚えなくても良い。しかし、一体これは何なのだろう。
なんかの隠し芸大会だろうか。ん?芸能界に転身するってことで早くもドッキリを仕掛けられているのか?

しかし戸惑いは、カメラを操るスタッフの後ろにやってきた人物を見て解消された。
それは、上原、仁志、桑田の3人であった。
何だ、あいつらがいるって事は−。やっぱり隠し芸か何かか?
289槙原編3:01/12/05 00:57 ID:k2ARvYwF
と。つかつかと仁志が歩み寄ってきて、槙原の隣に立ち語りかけてきた。
「やぁ、槙原さん、何でそんな物騒な物もってるんですか?」
「いや、なんだかバッグに入ってたんだ」
この野郎、ドッキリだったか・・・・ そう思いつつ、仁志が肩から下げている物が気になった。
「おい仁志、それは−」
「これですか?マシンガンですよ。見ての通り」
ああ、そうか。ここで何でそんな物騒な物を持っているんだ?と聞くとそりゃお前だ!とツッコミが入るってわけか。
良いだろう、乗ってやるよ。
「何でそんな物騒な・・・」
だが、仁志のリアクションは槙原の予想もしなかった物だった。
「ああ、それはつまり」
その言葉が終わるか終わらないかの内だった。
ぱらららら、という音が響き、槙原は派手に吹っ飛び、そのまま床に叩き付けられ、
そして恐らくは何が起きたか判らないままに− 息絶えた。

だから、仁志がカメラ目線で
「銃は安全装置を外してからでないと撃てないからな。常識なんだよ」
という声も聞こえなかったし、勿論そのビデオが長嶋の
「皆さんは殺し合いをするよりありませんー」
という言葉で終わる事など知るはずもなかった。
290代打名無し:01/12/05 01:01 ID:k2ARvYwF
sage忘れてた・・・・
291代打名無し:01/12/05 01:06 ID:11P6cyT6
…槙原。トホホだな。斎藤は反対に呼び戻されたのに…
なんか車椅子退場を思い出してしまった。
ん?てことは槙原を殺したのは仁志か?
292代打名無し:01/12/05 02:44 ID:Wlv1R9bk
こんなビデオ見させられた日にはみんなどうしていいのやら(w
293二死タンスレ住人:01/12/05 08:30 ID:3Mh3iXke
映画版の「みやむービデオ」より逝っちゃってる気がする
カメラ目線で槙原を蜂の巣にする二死タンて(w
きっとスクイズを決めた時のような会心の笑みだったに違いない、ハァハァ(スレ違い)
しかしこれだけ悪党だったのに死に方もなんか穏やかだったし
二死タンて一番おいしい役割だったのかもしれない
294_:01/12/05 10:14 ID:Lx+v6tDh
下がりすぎ
age
295代打名無し:01/12/05 13:11 ID:P6MK7KsI
斧はハズレだよね・・・
296代打名無し:01/12/05 15:56 ID:BHaHHgC6
なんかやばそうなんで保全
297_:01/12/05 17:18 ID:Lx+v6tDh
よいしょっと
298_:01/12/05 23:11 ID:ONtkvOJP
ageちゃう!
299このスレと:01/12/06 00:53 ID:mWDXwlj+
直接関係無くてほんっとにすんませんが、
Gバトロワのゲームの方ってどうなったん?
infoseekでデリられて・・・終わってんの?
300代打名無し:01/12/06 00:56 ID:t6Qbow0Q
 
301代打名無し:01/12/06 01:09 ID:gWKkpqwu
>>299
え?既にデリ解除されてるけど?今なら参加できるのでは?
302代打名無し:01/12/06 02:52 ID:qWM+00A5
hosyu
303_:01/12/06 09:48 ID:UhpOSQuy
こんなに下がっちゃアブナイっっ
304代打名無し:01/12/06 17:59 ID:GeimrHeD
age
305_:01/12/06 18:13 ID:qu8a8gQa
よっこらしょっと
306  :01/12/06 23:11 ID:1ryBP+Rp
浮上
307代打名無し:01/12/07 03:41 ID:Fv6wCn9B
みんなageちゃう!
308 :01/12/07 13:08 ID:tvquMgPa
age
309_:01/12/07 15:36 ID:BFG8FhFP
どっこいしょっと
310代打名無し:01/12/07 23:09 ID:CQvHxX0U
最近、ほんと続きがUPされないな……。
寂しい。新年までに少しは進展が欲しいYO!
ってことで、あげ。
311代打名無し:01/12/07 23:33 ID:neyokIYZ
>310
師走ですからね。気長に待ちましょう。
312代打名無し:01/12/08 15:11 ID:jQ3bYhqZ
ゲームしよう〜
さみしいよぉ。あうあう
313代打名無し:01/12/08 21:59 ID:tXTNPLuC
捕手。
314保存屋助手 ◆YgBRFits :01/12/08 23:16 ID:zWivOkK0
ご無沙汰でした。本当に体調崩していた(単なる風邪だけど)保存屋助手です。
キャップのつけ方ってこれでいいんだろうか。よくわからん。
やっぱ、次に死ぬのは自分ですかね(w>263、264
いっそ、書いてくれたぐらい劇的な人生歩んでみたいが
ナベツネが連絡したところで電話にも出られんほど貧乏閑なしだ

川相の古傷編までを更新、現在の状況を更新。
槙原編だがどうしよう。話としては本編に入る前だが、第一章の
シゲヲ「オープンザバーッグ!」
二岡+一同「うわあ!」
の後に強引に突っ込むのも手かとも思った。

それから、もしかしたら職人さんたちが引いていたらアレだなと思うんでフォローしとくと
大まかな時系列は前に書いたとおりだがあれに縛られることはないと思う
たとえば原作でもAとBが戦っている同時刻のC以下他の人物のことが書かれているわけじゃないんで
誰かのシーンをじっくり書きたければ時間に縛られることはないんじゃないだろうかと。

話の進み具合については
職人さんたちの都合も、そして体調もあるだろうから(風邪の流行り方は洒落にならん)
総集編を見るような感じで保存サイトなどマターリと読んでみるのも一興では。
そんでそこでリンク張られてないとか、そういう粗相が見つかったら
自分に教えてください。
315代打名無し:01/12/09 12:05 ID:dQ+5ibd2
あげないと。
316代打名無し:01/12/09 22:24 ID:ZZto7sOV
しage、しage
317 :01/12/10 02:54 ID:SYv3wvGV
あげ
318_:01/12/10 16:48 ID:BxbEnpdH
やばいage
319代打名無し:01/12/10 17:10 ID:oJDgPc4o
>314
いつもおつかれさまです。少し気になったんですが死亡者リストの中に
セイロク兄さんがいたような・・・(死亡とは書いてなかったですが)
斎藤編書いてる方がどういう展望でいくのかわかりませんが一応、生存者の
リストの方がいいのではないか・・・と思いまして。
320ミナコ☆ ◆375F/byM :01/12/11 00:00 ID:IvLaFuWm
存続
321_:01/12/11 13:11 ID:ODT7Ffax
うちage
322:01/12/11 13:25 ID:Gf3+JgJr
巨チン軍。
323 :01/12/11 17:27 ID:WeMzbktg
職人のみなさん年末だからお忙しいんでしょうか??
続きは気長に待ってるます
324ミナコ☆ ◇375F/byM:01/12/11 21:00 ID:gK/GoiDd
職人はみんな逃げ出しました。オメデトウ
325 :01/12/12 02:15 ID:pdVxgwyu
職人のみなさん、風邪には気を付けてくださいねー!
326_:01/12/12 16:50 ID:bNuVn6Db
よっこらage
327代打名無し:01/12/12 23:08 ID:/1H1H9MZ
浮上
328_:01/12/13 13:05 ID:s1HscH4A
ageなくちゃ
329書いてる奴の一人:01/12/13 13:14 ID:t6SiKJJj
うーん…他職人の方も忙しいor悩んでるんでしょうか?
実際、俺も書こうとは思うんですが、他職人さんの書くキャラを
他職人さんの話に影響しないように進めないと…と思うと
悩むとこなんですよね。終盤に入った事ですし、なんとか
終わらせようとは思ってますが。
330策士・邂逅9:01/12/13 23:04 ID:dxRUYdpF
部屋を沈黙が覆い、重い空気が立ちこめる。それを破り、古田が始めて自分から口を開いた。

「確かに森さんが言うような事は俺も考えましたわ。どう思うか言われたらその可能性は充分ある、と言うしかないですわな。
 ・・・・しかし、それを言う為だけに来たわけではないんでしょう?」

淡々と話す古田に森は、勿論だ、とばかりにゆっくり頷く。そして、先程から黙り込んでしまった五十嵐を見やった。
五十嵐は、明らかに憔悴していた。森は、そんな五十嵐を慰めるかのように話し出した。

「随分ショックを受けたようだねぇ。まぁ無理もない。実際ひどい話だし、そんな未来など誰も望んでいないだろうからね。
 しかしだ、さっき言った様な未来を回避できるかも知れない方法があるとしたらどうだね?」
「そんな方法が・・・・あるんですか?」
「ある。それも単純な方法だ。もっとも、簡単だという意味ではないがね」
331策士・邂逅10:01/12/13 23:05 ID:dxRUYdpF
そう前置きして、森はその方法を語った。それが余りに簡潔だったので、五十嵐は思わず聞き返していた。

「・・・・それだけ・・・・ですか?それだけで阻止することが出来ると?」
「絶対とは言わないよ。しかしだ、少なくともそう簡単に巨人の思うようにはいかなくなると思うね。
 ただ・・・・言うまでもないが、チャンスは一度きりだろう。だから向こうに警戒させるようなことはしたくない。
 さて古田君、私の頼みというのはここだ。」

森は顔を上げ、じっと古田を見つめてた。古田は無表情で見つめ返している。
再び部屋を沈黙が満たし、そして破られた。

「君は先日、ナベツネさんと会談したそうじゃないか」
「・・・・さすがですな。ようご存じで」
「まぁね。そこでだ、君が取引材料に何を使ったのか、そしてその仕組みはどうなっているのか教えて欲しいんだな。
 しかし、君に一番望むのは」

森は、そこでいっぺん言葉を切った。古田が森の言葉を待ち受けてか、すっと目を細めた。
何故か五十嵐には、それだけのことで部屋の気温が一気に下がった気がした。
そして、ゆっくりとそれは告げられた。

「今後巨人軍に一切手出しをしないで貰いたい、という事だ」
332代打名無し:01/12/13 23:08 ID:dxRUYdpF
>>329
自分は悩んでますな〜 こう書こうってのはあるけど書こうとすると全く纏まらなかったり。
そのせいで全く関係ないところを書いてみたりとか。

逆に「ここがupされないと俺の話up出来ないな〜」ってのもあるかもね。

全然関係ないが ttp://coc.coco.co.jp/pc/ で遊んでみて妙に面白かったのが↓。

「つ…ついに幻の魚、二岡を釣り上げた!」
松井は有頂天。そんな時、釣り上げた『二岡』を狙って現る
超巨大凶悪熊川相!どうする松井!

次回『二岡は渡せない!死ぬ気で戦え松井!!』
川相「来週も見ないとてめぇも食っちまうぞ!」
333代打名無し:01/12/13 23:19 ID:SPbZ3rmX
>>330-331
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!

・・・とか書いてて、たま〜にモノローグを書いてる奴ですが
でしゃばらなくてよかった
危うく広澤の話の続きを森・古田絡めて書くとこでした
危なかったです
自分は広澤を書いていた職人さんではないんですが。

栄村がカニバリズムな人になった話を書いておきながら言うのもなんですが
>川相「来週も見ないとてめぇも食っちまうぞ!」
これにはワロタ
334代打名無し:01/12/13 23:52 ID:jpuSN80M
私も書いてる奴の一人ですが、単純にネタにつまったというか…
うまくまとまらないんですよねぇ。
でも私の場合は本筋とは関係ないとこを書いてるんで、
マターーーーリ進行でもいいかな〜と思ってまして。

保存屋助手さん、お疲れさまです。
時系列のことですが、自分が書いたところがちょっと時間の
つじつまが合ってないんですね。勘違いしてたんですよ。
原作とここのYBGRでは結構時系列が変わっちゃってるってことを忘れてました。
で、どうしようかなーと思ってたんですが、気にせず進めることにしました。
ここは何人かの職人さんたちが書いてますけど、それぞれの話は繋がっているようで
繋がってない、パラレルワールドって感じですしね。でも微妙に繋がってたり。
実際、別バージョンとして保存されているお話もありますし、こだわる必要ないですよね。
取り敢えず私は自分が書いてたとこの続きを書いて引き上げます。
本筋と絡める気無いんで、マターリいきます。
335代打名無し:01/12/13 23:55 ID:YhBYtLbP
>>330-331
どういうカラクリなんだろう…うわぁ、気になる!
336 :01/12/14 01:11 ID:9fDUC8xF
自分も書いてる奴の一人ですが、皆さんラストはどう考えてます?
清水編からはもういよいよですよね。
原作通りならそれに沿ってアレンジして書いていけばいいのですが
もしオリジナルにするとなると、複数の方が書いているこの状況では
結構大変かと・・・。
自分は何も思い浮かばないんで、かなり他人任せになってしまいそうですが
そろそろラストに向けて皆さんの考えを聞きたいと思ったのですが
どうなのでしょう?
337訂正:01/12/14 01:51 ID:Zld6S/Tu
>>334
YBGRじゃなくてYGBRですよね。スマソ…

>>336
私は清水編書いてた奴なんですが、基本的に清水編は
原作アレンジでいくつもりです。
ただ、自分は清水編のエピソードまでしか書かないつもりでいます。
その後は他の職人さんに任せようと思ってるんですが…
他人任せで申し訳ないです。
あと読者側の意見としては、原作に沿った話よりも原作をアレンジした人物と
オリジナルの人物との対戦の方が読みたいですね。
やはり難しいですかね。
オリジナルを書いてらっしゃる職人さんがどのような方向に話を持っていく
つもりなのか楽しみです。
338代打名無し:01/12/14 02:25 ID:GN6V01O3
>>337
清水編、完結キボンですが(w
俺はオリジナル人物書いてる奴ですが、もう少しで終らせる予定です。
ただ原作沿い人物をちょっと使いたいので、その原作沿い人物の進行に
何の問題もないように終らせるのに悩んでまして。俺の方ではあくまで
ゲスト扱いで使わせてもらって、あとはその原作沿い人物書いてる方に
その方の予定通りに話進めてもらえたらと…。その方が「こんな使われ
方したら自分の考えてた話が使えなくなる!」という事が無いようにだけ
心がけるので、本当にゲスト扱いにしたいのですが、絡ませるのにも
悩むところで…しかし、いよいよ佳境ですね。本編とは別のサイドストーリー
なども読者側としては読んでみたいんですけど。
339代打名無し:01/12/14 07:06 ID:3rSN1L65
何にも書いてない単なる読者です(^_^;
職人の皆さんにはいつもいつも感謝です。原作も映画も見ていますが
(マンガはちょっと読む勇気が出ない)オリジナルも合わせて楽しん
ませていただいてます。
読者一人一人の言うこと聞いていたらキリがないと思いますけれど、
ここ最近女子マネとエッチしたことあるスレと桑田について語るスレ
見てたら、原作だったら「ピー」と「ピー」が戦って割と「ピー」が
あっさり「ピー」なんですけど(自主規制)、やっぱりキーになるの
は桑田じゃないかなと思います。ていうかキーにしてほしいです。
清水は、原作の琴弾のエピソードをどうするのか興味ありますが、原
則原作沿いの方が収集がつくのでは。

森さんとヤクルトの面々が請け負ってる部分は、「プログラム」終了
後に生き延びた選手が絡んでなんとかしそう・・・。

単なる完結予想・こんな完結キボンでした。
340代打名無し:01/12/14 09:41 ID:cnJBl4TF
突然に足元が滑って、入来は危うく転倒しかかった。
昨日の雨でできた泥濘が朽ち葉に隠れていただけのことなのだが、
驚かされたには違いない。
額の汗を拭った拍子にそういえば弾を補充していなかったのを思い出し、
ついでに一休みすることにした。
あたりは至って静かだが、用心に如くはない。
手頃な薮を掻き分けて、入来はそこへ身を沈めた。
中身を減らした弾倉を抜き出し、そこへばらの9ミリパラベリウムを詰める。
作業する手は止めずに、しかし入来は別のことを考えていた。この先のことを。
プログラムが終了したからといって、それで兄の身の安全が確保されるわけではない。
またぞろあのボケ老人どもが碌でもないことをやらかさないとも限らない。
根本的な解決を望むのであれば、取るべき手段はただひとつしか思いつかなかった。
――ことの元凶、渡邊恒雄・長嶋茂雄両ご老体の息の根を止める。
うまく運べば近い将来格好の機会が巡ってくるはずだった。
このクソゲームの優勝者に対しての、直々にお褒めの言葉だとかそういうような場が
おそらくしつらえられるだろう、その時こそ……差し違えてでも。
差し違える、などという時代錯誤も甚だしい言葉を掛け値なしの本気で使う自分に、
入来はかすかに唇を歪めて笑った。
あの狂人どもを殺す。その決意は真剣であると同じだけ苦く、重い。
なにしろ――必要とあれば人を殺すことも自分には可能だと確認済みなのだ。
短くひとつ息を吐いて、入来は弾丸を詰め終えた弾倉を銃に戻した。
握り直したベレッタに、視線を落とす。
三沢は、入来の殺したあの男は、死してなおこの銃を握っていた。
お互い本気で殺し合って、結果三沢は死に、入来自身はこうして生きている。
冷静に考えれば奴とて被害者だ、それは入来にもわかる。
ましてや最後の局面に限っては、三沢は衝突を回避したがっていたのだ、
道義的にも正当防衛の範囲を逸脱しているのは承知だった。
それでも、せねばならなかったことだ。
後悔はしていないし弁解しようとも思わない。後味の悪さは拭いきれないにしても。
軽く首を振って、入来は立ち上がった。
渡邊恒雄と長嶋茂雄の前に辿り着くには自分以外の全ての選手の死亡が条件だ。
である以上、この先は本当に誰に対しても容赦はできまい。
各々がどういうスタンスでこのゲームに臨んでいるのか――
生き延びるのに必死なのか、殺戮を楽しんでいるのか、あるいは正気を失っているのか、
いずれにしてもそれをいちいち斟酌している余裕はないだろう。
いや、そもそも一休みなんてしている余裕だってないのではなかったか?
可能な限り、というよりは、あの老人どもが兄に手を出さないうちに、
このゲームを終わらせなければならないのだから。
誰であれ、見つけ次第殺すくらいのつもりでかからなければ。
それが現在、せねばならないことだ。
「兄貴――」
呟きながら入来は、銃を握る手に力を篭めた
341代打名無し:01/12/14 12:42 ID:ZHCMupqR
>>339
女子マネスレって何だ?と探して見てみたら・・・
セイロク兄さんのイメージが崩れたYO!(w 俺は達也になるって・・・
平凡で良い人かと思ってたら、非凡で良い人なんだなー。
キーマン桑田キボンだけど、オリジナル(だよね?)沿い人物だから
難しいかな?崩壊したセイロク兄さんも気になるとこだけど。
>>340
入来ー!!ああ、入来もヤル気満々に!主役三人以外はみんな鬼化した
わけだ。どうする、どうなるんだ?>入来
342捕手:01/12/14 22:08 ID:yRvUtnyk
阿波野コーチはいまどうされておられるのか……それが気がかりなんですが
343代打名無し:01/12/14 22:30 ID:EGN+BY8i
入来…誰とやりあうことになるのかな。
>>341
ものすごい工房だったんだな…斎藤って。カコイイ。
達也になれたのにあんなことに…。そう考えるとより泣ける。
344松井編1:01/12/14 23:05 ID:5KEDLoaf
結局、二日続けていつも以上の睡眠をとってしまった松井は
二人にもっと休憩して貰おうと見張りを引き受けた。
怪我人である松井に、それを任せるのは不安だったのか
川相も二岡も躊躇したが、やはりこの状況での2、3時間の睡眠では
体力的にかなりきつかったのだろう。横になると数分で寝息を立て始めた。
清水からの煙が上がった場合、すぐ対応出来るように、そして何より誰かが現れた時の為、
松井は廃屋の壊れた壁の隙間から外の景色を眺めていた。
もう頭の整理がつかない内に、この数日は過ぎていった。
そして最初は信じられなかったこの状況にも、すっかり慣れてしまっていた。
そうならざるを得ない程、松井の前では人が死にすぎていたのだ。
もう、何人の死体を目にしてきただろう。
その中には自分に殺意を向けていた連中もいた。しかし、松井には彼らを憎く思う気持ちは
消えうせていた。皆が疑心暗鬼になる。生き残る為には殺すしかない。そんなルールの前では。
誰も誰かを傷つけるために、武器をとった訳ではないだろう。
江藤も西山も阿部も根市も、ただ怖かっただけだ。死にたくなかっただけだ。
自分や二岡や川相と同じ様に。
松井の中でのやりきれない思い――憎しみも恨みも怒りも全て巨人へと向いていた。
345松井編2:01/12/14 23:09 ID:5KEDLoaf
松井は幼い頃は他の球団に夢中であったし、巨人への憧れは別段なかった。
けれど、この球団に入ってからは、巨人を愛そうと、自分のチームを大事にしようとそう思った。
自分が将来、巨人という球団を支えていかなければならない事は十分に分かっていた。
だからその期待に応える様にやってきたつもりだ。
成績だけではない、余計な波風を立たせない様に言動にだって気を配った。
たまに記者達と下ネタで盛り上がったりはしたけれど、それだけだ。
当り障りのない発言をし、慎重に行動する。ファンにだって優しく接した。
時には上原や仁志みたいに好き勝手言いたい事だってあった。
清原や元木みたいに派手に遊びまわりたい時だってあった。
それでも、自分を押し殺し、ぐっと堪えたのだ。
巨人の4番として、そして球界を代表する選手として、
恥ずかしくない様に。子供達の夢を壊さない様に。
それなのに、この球団はあっさりと自分を裏切ってくれた。
何の企みがあるのかは知らないが、こんな人の道を外れた最悪のゲームを行っていたなんて。
松井は思った。ここから逃げ延びて、その後は必ずこの事を世間に知らせる。
そして長嶋達にはそれ相応の罰を受けて貰う、と。
今後こんなものが、二度と行われる事のないように全てを明らかにする。
巨人を潰すことになっても、子供達を裏切ってしまう事になっても構わない。
死んでしまった仲間の為に、それが自分のできる全てだ。
だからここからは絶対に逃げ出してみせる。
その為にはあいつを倒さなければならないだろう。
清原和博を。
346代打名無し:01/12/15 16:32 ID:PGDUo2qJ
松井も我慢してたんだねぇ…一匹狼だからあまり感じさせないけど
実際すごく我慢してるのかも。
同時に捕手age
347代打名無し:01/12/15 23:50 ID:th/2lj6/
age
348代打名無し:01/12/16 14:30 ID:P07inPJu
捕手age
349代打名無し:01/12/16 23:21 ID:O+4M2vAl
捕手age
350桑田編1:01/12/16 23:33 ID:7AveBWWo
「…やっぱりな…そうなってしまったか…」
帰ってきた吉村の報告を受けた原は、悲痛に顔をしかめる。吉村もまた、暗い面持ちのまま頷く。
「酷いもんです…ああいう状態の人間というのを初めて見ましたが…あれが廃人というやつなんでしょうか…?しゃべるのは勿論、表情一つ変わらない…あれが斎藤なんて信じられないです。」
マウンド上の表現豊かだったあの、入団から引退まで常ににこやかであった選手とは思えない崩壊ぶりに、吉村はさらに影を落とす。
「…平松の遺体は、俺の独断で運んで来ました。せめて丁重に弔おうと思いましてね。」
「ああ…上に報告する気はない。そうしてやってくれ。」
「…原さん、あいつら…いや、上は斎藤をどうする気なんですか?今のところ、斎藤は部屋に置いていますが…」
「分からん。…まだ何も指示が来ない。」
最悪の事態を考えたのか、原もさらに悲痛な顔つきになる。そんな時、電話が鳴り、二人は顔を見合わせた。
「はい…ええ、俺です。」
原は受話器を取るなり、表情を強張らせる。
「…なんですって!それではっ…いえ…そういうわけじゃないですが…はい、はい…分かりました…それではこちらの方で…ということですね…はい…では。」
受話器を置くと、原は大きく息を吐いた。
「…たった今、指示が来た…。ゲーム終了時までに、斎藤の意識が戻らなければ…俺が始末しろという命だ。」
ひっそり答える原に、吉村は絶望的な顔つきで天を仰ぐ。
「…まだ時間はある。…何とかして意識を戻すようにしよう…」
そう言いつつも、どうすればいいのかなど分からない。
「…原さん。…もし…タイムリミットのその時が来たら…俺が斎藤を始末します。」
「お前にそこまでさせる気は無い…」
原は小さく反論した。だが、吉村は首を振る。
「俺にやらせて下さい。…部屋でゲームの様子を監視しているので、何かあったら呼んで下さい。」
有無を言わせぬように、吉村は憔悴しきった原を残して、部屋に戻る。

吉村は斎藤を見る。相変らず表情の無い、ぼんやりした曇った視線を宙に浮かしたまま、置物のように椅子に座ったままである。
「お前は良い奴だ…目覚めてしまっても余計に辛いだけかもしれない…何も分からないうちに死んでしまった方がいいかもしれない…それでも…殺したくはないんだよ。」
モニターを見ながら言う吉村に、当然、何も言葉は返ってこない。
「桑田はまだ参戦中か…」
吉村はそうつぶやくなり、画面に釘付けになる。そしてマウスをカチカチ動かしながら、画面をクローズアップさせる。
「…やっぱり…そう来たか。」
なんとなくこうなると思った…大きく息を付きながら、吉村は画面に集中するのであった。
351桑田編2:01/12/16 23:40 ID:7AveBWWo
桑田はまだ崖の上に立っていた。そして先程十川から奪った探知器をじっと眺めた。探知器は人が近づいてくる事を表していた。だが、探知器はみるみる色が薄くなり、最後はプツリと切れる。
「くそ…電池切れか。こんな時に…」
ならばこんな物は要らない、と桑田は海に探知器を投げ込んだ。
(探知器が現していたのは…アイツか…)
定かではないが、こういう勘は結構当たるんだとため息を付いた。
(…もっと他の奴で手慣ししてからやり合いたかったんだが…しょっぱなからアイツとはね…)
まったくついてない。だが、ガッカリする暇さえないのだ。桑田は辺りを注意深く探りながら、マシンガンを構える。
「…どのみち…アイツとはやりあわなきゃいけないってことか。」
ならば一度向かい合ってみるか…桑田にしてみてもどこかで清原とはやりあわねばいけない、そんな意識はあった。
「アイツとは色々複雑な確執があったけど…まさかこんな形で決着付ける事になるとはね。」
桑田はため息を付くと、ボトルに詰め込んだ水を被る。
「…さっそくお出ましか。…少しは考える時間が欲しかったが…」
気配には敏感な方である桑田は、左端の茂みに銃口を向けた。
「…キヨ。居るのは分かってる。」
桑田がつぶやいた瞬間、ガサガサと茂みをかき分ける音がした。そして姿を現した人影は、桑田の予感通りの人物…清原だった。
352桑田編3:01/12/16 23:43 ID:7AveBWWo
「やっぱ気がついてたんか。狙い撃ちせんでよかったわ。」
清原は、何の表情も無い、瞳だけが必要以上にギラついている面で桑田の後に立つ。桑田はただ、偶然に知りあいと会ったような、特に緊張もない様子で清原を見る。
「なんや、顔つきと一緒に声まで変わったんか?」
つられるように関西弁で尋ねる桑田に、清原は薄く笑う。
「ああ、ここへ来てから滅多に喋らんかったからな。…少ししゃべるか?」
「銃を向けあって何話すんや?」
「この状況やと相討ち間違いなしやろ?こうなったら長期戦覚悟で、暫く睨みあいや。無言のままや飽きるからな。」
まるで世間話を始めよう、というように銃を桑田に向けたまま答えた。
「話す事なんかない。」
「ホンマにお前はムカつく奴や…。昔っからそうや。まったく興味無い、ってツラで見下した目ぇしてたな。」
高校時代から常に皆の視線と、とりまきに囲まれていた自分であったが、桑田だけは違っていた。まったく関心さえない、と言った様子でいつも自分を苛々させたものであった。常に王様であった清原にとって、それだけでも屈辱的であった。
「…なんでそう思うんやろうな。」
桑田は本心から言う。清原が桑田の事を、自分など眼中にないといった態度だと昔から憤慨していたのは知っていた。だが、どうしてそう思うのかが分からなかった。
激情家で、悪童で、華のあるこの男は、すべての者が自分に関心を持つのが当たり前だといつも桑田に示していた。普通ならば馬鹿らしい、と無視するものを、それもままならなかった。
「まあええ。今は機嫌はええ方や。お前に中々会えへんで、苛ついてたんがやっと殺り合えるんやしな。」
清原は憎々しげな表情から一転、薄く笑った。
「さあ、もう話はええやろ?」
桑田すげなく答える。
「そう言うけどな、お前はマシンガン、俺はイングラム、同時に発砲すれば間違いなく相打ちや。…お前と心中だけはごめんや。」
「俺かてお前と心中なんてごめんや。」
桑田はポツリと答える。
「…せやけどな、たとえお前に先に発砲され、虫の息になってもお前に発砲し返す気力くらいは俺はある。…胴体狙う阿呆な事もせえへんで、狙うのはお前の頭のみや。」
「…!お前…」
やっと清原に動揺の色が浮かぶ。
「お前、防弾チョッキ着とるやろ?ユニフォームのしわ見ればわかるわ、明らかにアンダーシャツ以外のモンを着とるってな。」
「…バレてたんか。さすがお前やな。」
「…どこかの誰かさんのお陰やけど。前にこういう見破り方をしたのを見たんや。そうやなかったら、正直危なかったかもしれん。お前のことや、相打ちは覚悟のフリして、同時に発砲し、俺は死亡、お前は防弾チョッキで助かる…という考えでもしてたんとちゃう?」
「相変わらず…嫌な奴やな。その通りや。せやけどバレてんなら話は別や。なら、どうするんや?このままお互い構えたまま無駄に時間食うつもりか?」
既に動揺は消え、清原は桑田に聞き返す。
「せやけどなぁ、武器を降ろすわけにはいかへんやろ?」
桑田としては、とにかくこうして清原に真っ向から構えられててはあの、悪魔のようなガスの入った瓶を使う事は出来ない。怪しい素振りなど見せれば即発砲される。とにかく発砲されてはお終いなのだから。
「まあな、せやけどこの状況にはもう飽きたんや!」
そういうなり、清原は信じられないくらいに素早い動きで、大きく右後に逸れると同時にイングラムを連発する。桑田もある程度は察しがついていたため、なんとかそれを除けると、左の茂みに転がり込んだ。
(いよいよ…始まりか…)
どうやら派手にやりあう事になりそうだ…桑田はため息交じりにポケットの中の瓶を眺めつつ、清原の動向を探るように、茂みのすき間から息を潜めて覗き込むのであった。
353代打名無し:01/12/17 09:19 ID:TGOeEvDH
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

・・・でももうKKの共闘というのは見られないんでしょうか。最強のコンビだと思うんですが。
清原がたくさんしゃべるのは久しぶりですね。
さがりすぎなのでage
354代打名無し:01/12/17 10:11 ID:7MfxYOf3
え?ここで以下次号ですか?…そんな(w
355代打名無し:01/12/17 12:59 ID:eEK2aZGN
続きかよ!!うわぁ!気になる!
356代打名無し:01/12/17 13:00 ID:8EQJV/8b
「巨人不動のエースにして女子マネゲッター斎藤雅樹師匠を招く」
というスレを立てたくなってきた
いっそ楽に頃してやってください・・・けどやっぱり理想は桑田の手で(もう無理だろうが)
357代打名無し:01/12/17 13:10 ID:tUY0f3ii
>>356
タイトルだけ見たら分かんない人には煽りに思われそう(w
斎藤は…どうなるんだろう?いよいよ架橋だな…>斎藤&桑田
358代打名無し:01/12/17 23:17 ID:9f2G7ZuJ
続きに期待age
359代打名無し:01/12/18 12:08 ID:/5NvQv21
いまだ登場しない田中健太郎が気になるage
360代打名無し:01/12/18 12:47 ID:5bHxwI7+
いよいよKK対決か……
バトロワらしいバトルになりそう!! 江川も手に汗握ってんだろうなあ(w

>359
原作の瑞穂(アルモンテ)って田中みたいに出るタイミングを逸し続けだったのかと思わなくもなく。
361代打名無し:01/12/18 13:10 ID:s4CiqfTZ
きたー!KK対決なんだからネェェェェェ!
スゴク期待してるんだからネ!
ageるんだからネ!
362代打名無し:01/12/19 00:53 ID:wOjbWs+v
捕手
363 :01/12/19 11:19 ID:Lnq6shQu
ふじょう
364_:01/12/19 13:21 ID:b+CsTnaK
浮き上がり
365::01/12/19 13:40 ID:o9uFWOxB
最初の古田、森の話を読んで面白いと思ったのでPART1から読み始めました。
他の人はいい武器支給されてるのに
高橋ひさのりは、なぜかスパゲティーとか食べるフォーク一本だけというのには
笑わせてもらいました。 
366代打名無し:01/12/20 00:51 ID:PFohaPfk
age
367_:01/12/20 11:22 ID:xTtIzAT8
ぷかぷか
368代打名無し:01/12/20 22:10 ID:QSO/QErb
あがれ〜
369_:01/12/20 22:31 ID:7Doijcg7
おもしろい!一昨日このこと知ってやっとここまで読めた。
職人の皆さんがんばってください!
370代打名無し:01/12/21 11:40 ID:dbYIES2f
捕手。
371_:01/12/21 13:19 ID:Ejldsr++
浮き輪
372_:01/12/21 15:46 ID:ez7EiKZ6
あげ
373松井・二岡・川相編:01/12/21 21:11 ID:SpOpWjw+
「そうだ、今の内にお前達にコレを渡しておく」
川相が差し出した手には、二枚の折り畳まれた紙片が載せられていた。
「何ですか、これは?」
「これにこの幸せゲームからの脱出方法と、逃げてからどうすれば良いかを書いてある。おっと、まだ見るなよ。
 もし、またはぐれてしまって再会できなくなったときの為の用心だ」

「嫌ですよ、だったら受け取れないです」
「な、何でそんな事」

それは余りに考えたくもない可能性だったので、松井も二岡も反射的に大きな声を出してしまい、思わず顔を見合わせた。
川相は苦笑いをして、人差し指を立て「静かに」と言うポーズをし、続けた。

「まぁそう言うなよ松井。清原に襲われた時みたいな事がまた起きないとは限らないだろう?」

それを言われると、松井は反論できなかった。
それは確かにその通りだった。あの清原がそうやすやすと他の誰かに倒されるとは考えられない。
である以上、自分達が生きていればいずれ必ず− 清原と闘う事になる。
そして清原は恐るべき敵だ。こちらは3人とはいえ、それでも優位とは言えない。
つまり−何が起きてもおかしくはない。
使うような事態にならないことを願いつつ、松井はそれを大事にしまい込んだ。
渡された紙片が、いやに重かった。
374代打名無し:01/12/21 21:12 ID:SpOpWjw+
KK対決、全く先が読めないですな〜。
自分もいい加減古田&森の決着つけないと・・・・
375   :01/12/21 21:29 ID:2p0h2MdN
弟は鬼となり・・・兄貴はどうなってしまうか。
376代打名無し:01/12/21 22:02 ID:eF0mLN/F
入来はどうするんだろう・・
そして阿波野は今どこに。
377桑田編1:01/12/22 01:46 ID:i4Vj3Opy
「さあ、これなら存分に動けるやろ?隠れてないで出てこいや!」
茂みに隠れる桑田に、清原は怒鳴る。向こうは防弾チョッキがある。こういうゲリラ戦となると明らか
に向こうが有利だ。
(どうするべきか…一旦逃げるか?)
だが、どこまでも追ってくるだろう。…そう思ううちに清原の弾丸がさらに桑田の潜む茂みに撃ち込まれた。
(アレをどうにかしないとな…)
桑田は既に茂みの中を移動し、マシンガンで清原に対応する。桑田を追おうと茂みに入ろうとした清原は、
慌てて逸れると、元の位置まで戻る。清原の方も桑田のマシンガンを意識しているのか、深く追えずにいた。
(アイツも馬鹿じゃないんだ、やみくもに撃ってるわけじゃないだろう…)
何かあるはずだ…向こうに行動を起こされる前に、こちらから仕掛けるしかないのか…
(こうなったら…)
この毒ガスの瓶を投げつけるしかない。万が一瓶が割れなかったら…などと考える状況では無い、割るしか
ないのだと、桑田は瓶を手に構えつつ、清原の放つ弾丸の嵐をよける為に茂みの中で、左方に動いた時だった。
「…!!」
カチン、と手前の足元に何かが落っこちた。…と同時にそれは大爆発し、たまらず桑田の体は茂みから
吹き飛ばされると、元に居た位置…崖の上に叩きつけられた。
「くっ…」
それが手榴弾だったと気がついた時にはもう遅かった。左腕はブラブラと、わずかな肉のみで繋がって
いる状態で、左半身は酷く焼けただれ、骨が剥き出しになった状態…もはや動くのが精一杯で、
右腕にあったマシンガンを構える事も出来ない。
「…お前も終わりやな。」
あえて留めを刺さないのは、このまま楽に殺すのは惜しいと思った優越感からであった。
どのみちこのまま放置しても息絶えるだろうと。
「…随分…賢くなった…みたいやな…」
すでに瀕死の状態である桑田は小さく笑う。清原がひたすらイングラムを撃ち込んでいた理由
…あくまで桑田の意識を惹きつける為のもので、本命の武器はこの手榴弾であった。そして
思いきった賭け…イングラムを撃ち込んだ瞬間に、桑田がどの位置に逃げたか想定した上で、
思いきって投げつけたのだった。
「くたばる寸前やのに相変わらずやな。ま、数分もすれば終わりや。あがくだけあがけや。」
見下すように言う清原に、桑田は薄く笑ったまま、マシンガンを崖から海の下に投げ捨てる。
続けて己のデイバックも投げ捨てた。
「なんや、遺留品は残しません、か。そんなクサレ武器、要らへんわ。」
「…なあ、キヨ…お前がどんだけの肉体改造したのか…知らへんけどな…」
桑田はかすれた声で言う。
「…俺にならとんでもない武器を…託してもええ…そう言い残した…阿呆な人がおったん
やけどな…タブンというもの…まあ…そのタブンの不完全品みたいなもんやけどな…」
いきなり何を言い出すのかと、清原は怪訝そうな顔つきになる。
「…それでも…吸いこんだら…暫くすれば…死んでまうやろな…お前も阿呆やな…自分で
割ってもうたんやから…」
桑田は吹き飛ばされたと同時に割れた瓶を見遣りながらつぶやく。清原は、何の真似だと
身構えるが、同時にガクリと膝を付いた。そして地面にジワジワと広がる液体を見る。
「…これがその…タブンや…俺は平気やけどな…ああ、息止めても無駄やで…皮膚からも
吸収するからな…」
自分は事前にプラリドキシムを打っておいたからまったく問題はないが…とはまでは
桑田は言わなかった。
「…!ぐっ…な…んや…」
ふいに襲いかかる激しい頭痛と目まい、吐き気に清原はたまらずうずくまった。
「…いくらお前…でも…サリンは知ってるやろ…それよかかなり軽いもんらしいが…
それでも…このままやと…死ぬ…な…」
378桑田編2:01/12/22 01:49 ID:i4Vj3Opy
今度は清原が蒼白になった。そんなものを桑田が持っている事など、それこそ想像も付かなかった。
「くそっ…まさかお前が手榴弾まで持っていたなんて…な…どのみち俺は…アカンわけか…」
「くそったれ!…くそっ…俺は…」
ここで桑田と相討ちというわけか…清原はこの結末だけは嫌だったと歯ぎしりするが、吐き気は
酷くなるばかりだ。
「…死んだ後なんて…どうでもええことや…そう思ってたけどな…キヨ、お前は…俺がお前なん
かまったく鼻にかけない…そう言ってたけどな…」
桑田は動かぬ右半身を引きずるように、左半身のみでズルズルと崖に向かうと、小さく笑い
ながら半身を起こす。
「お前にだけは…くたばるとこなんか見せたくない…どうやら俺は随分と…お前を意識してた…
らしいな…」
最期のこの瞬間まで気がつかなかったが、と桑田は苦笑しつつポケットから何かを取りだす。
「…まあ、お前には色々…迷惑かけたしな……これ…使えや。」
心中する気などさらさら無かった。桑田はプラリドキシムと書かれた注射器を、嘔吐し始めた
清原に投げつけた。
「これを…打って暫く…じっとしてれば…じきに回復する…。一時間以内で打てば…後遺症も
…無い…今まで…通りに…動けるやろ…お前となんて心中はごめんやからな…ったく…最悪な
結末やな…せやけど…おかしなもんや…さっきまでの…不快感が…無くなったわ……」
桑田は崖に半身を乗りだした。苦しむ清原の表情はあの時の、入団時に裏切られた時のような
顔で、思わず苦笑する。
「ああ…これも…持ってかないとな…最後の最後まで…斎藤さんも…面倒なもんやな…」
桑田は斎藤のデイバックを掴む。もう何も分からなくなった彼は、桑田の死も分からない
だろうし、このデイバックが自分以外の者に悪用されるのを悲しむ精神さえ消えてしまった
ろうが、それでも清原にこれを残すわけにはいかない。
「…じゃあな…キヨ…せいぜい頑張れや…」
まるで軽い挨拶をするような飄々とした声色で、桑田は微かに笑ったまま斎藤のデイバック
を抱え、崖から身を乗りだし真っ逆さまに落ちる。そして真っ黒な崖の下に吸い込まれる
ようにその姿はゆっくりと消え去って行った。
「……!」
清原は目を見開くが、それより先にと忌忌しそうに手元にある注射器を取ると、
既にかなり痺れた腕をブルブル震わせたまま、なんとか動脈に薬を注入させた。
それからただじっとうずくまる。…どれほどの時間が立っただろうか…清原は
ゆっくりと起き上がり、半身を起こす。
「…くそったれ…」
清原はかなり回復した腕で地面を叩きつける。どうやら吸い込んでそんなに
時間が経たなかったせいか、この特効薬はかなり効いたらしい。これがもう
少し遅ければ、今頃死んでいたところだろう。サリン程強いガスでもない事も
あったせいか、あと暫くじっとしていれば完全に回復しそうであった。
「…俺は勝ったんや…あの野郎に…そうや…勝ったんや…」
だが、まるで敗北者のようなこの気分は何だろうか。ギリギリで自分に助けを
与えた桑田…死に際を見せるものかと、遺品も残すものかと、所持品と共に
崖の下に消えた桑田。…自分は仕留めた筈の桑田に情けをかけられたのだ…
その事実だけで十分に敗北者ではないか…清原は言い様のない怒りで体を震わす。
「最後の最後まで…あの野郎…」
最後の最後まで自分を馬鹿にしているのか…お情けをかけて、自分を生き残らせ
消えていった桑田に怒りと屈辱感が消え失せないまま、清原は死んでもなお、
最後まで自分に最大の屈辱感を与えた桑田の事など考えないように首を振る。
「俺は…勝ったんや…アイツは死んで俺は生きている…くそっ!」
呪文のように何回もそうつぶやくものの、一向に屈辱感と敗北感は消え去らない。
それは清原をさらなる闇へと突き落とし、さらなる鬼へと進化させた。
「くそったれ…ああ、ホンマに腹立つわ…」
誰でもいい、何でもいいから全てを消し去ってやりたい。ここにいる全員をこの手
で始末してやる…あらためてそう誓う。とにかくみんな殺してやりたくなった。
「…もう…暫くか。」
完全に毒が抜けきったら、また殺戮に没頭するまでである。
…今の清原にとって望みはそれだけであった。
379377・378:01/12/22 01:59 ID:i4Vj3Opy
清原編を書いていらっしゃる方に説明したいのですが…
桑田編を書くのに、どうしても清原を使いたかったので強引に使って
しまいましてすみません。あくまでお借りしたという形ですので
清原編書いている方、この桑田編は考えないで進めちゃって下さい。
清原編には影響のないように書いたつもりなのですが…
こちらはあと一回で斎藤、桑田共々完結させるつもりですが、
そちらの方では出さないので、気にせずに進めて下さい。
清原編の続き、楽しみにしています。
380代打名無し:01/12/22 02:34 ID:Rsbdu84/
桑田編の職人さん、おつかれさま!今回も凄く良かったです。
予想していたよりも遥かに素晴らしい死に様でした・・・。
あと1回、頑張って下さい!期待してます!
381代打名無し:01/12/22 14:17 ID:YWmLJsNb
おつかれさまです。うわー・・・KKの最後はこうなったのかぁ。
最後までKKっぽさ満載でよかったです!
同時に捕手age
382_:01/12/22 16:22 ID:QLfpTxhA
KKそうきたか・・・とっても良かったです。
お疲れ様。
383 :01/12/22 16:58 ID:datUz2kj
桑田の最後はかっこ良かったです。職人さん、お疲れ様でした。
後は斎藤がどうなるかですねー。
続き楽しみにしとります。
384保守age:01/12/22 22:09 ID:XzchdDr+
死体を残さず逝く桑田・・・最後まで憎たらしい奴(誉め言葉)。
すごいダンディズム。
こうなるんじゃないかという予測はまったく外れました(w
けど・・・

>こちらはあと一回で斎藤、桑田共々完結させるつもりですが、

終わってない? まだ終わってないのか!?斎藤ともども??
これがとても気になる!
385代打名無し:01/12/22 22:28 ID:uy2o+9N2
最後までカッコよすぎ。>桑田
最後まで清原に敗北感を味あわせるとは・・・
残るはあと1回みたいですが・・・桑田は本当の終りへの締めという
事でしょうか?斎藤はどうなるかまったく予想つきません。
残り1回、楽しみです!
386番外・魔神編:01/12/22 23:34 ID:jaOOExI0
「……何の冗談ですかっ、コレは!」
怒鳴りながら、その男は目前のテーブルにガツンッ、と拳を叩き付けた。
常人より大きいその手が立てる音はもの凄く、ロビー中の客が男達に視線を注ぐ程で。
「…ザンネンナガラ、ジョウダンデハアリマセン。」
興奮している様子の男と、その隣で冷静な表情をしている男。
この2人の目前にいる外人…いや、こちらアメリカでは2人の男こそ外人なのだが…は、静かな口調でそう告げる。
彼の前には一台のノートPC。
液晶の画面には、日本語で構成されたHPが表示されている。
『読売巨人軍バトルロワイアル』。
デカデカと一際存在を誇示している文字列は、そう読む事が出来た。
「仰木さんから噂には聞いてましたが…本当に……。」
こんな馬鹿げたな事が実際に行われるなんて。
冷静な表情でじっと堪えていた男、イチローこと鈴木一郎はポツリともらす。
「嘘だろぉ…なぁ…。」
同意を求めるように外人の顔を見ながらもう一人の男、佐々木主浩は問いかける。
「エイプリルフールデモナイノニ、ワタシガオフタリヲダマシテドウスルンデスカ。」
外人は苦笑して、まぁ、仕方ないですけどね…と小さく肩をすくめた。
この外人の名前はボビー=バレンタイン。
かつてロッテマリーンズを2位の座に引き上げ、今はNYメッツを率いている、あの男である。
イチローと佐々木の二人はつい先ほどこのバレンタインに電話で呼び出され、指定されたホテルへと訪れた。
ロビーで待っていたバレンタインは手頃なテーブルに2人を導いて座らせると、開口一番。
「プログラムガ…ハジマッテシマイマシタ。」
そう、切りだしてきたのだ。
イチローは何か心当たりがあったのか、そうですか…と小さく唸っただけだったが、佐々木にはバレンタインの言葉が何を意味しているのかはわからなかった。
そこでバレンタインに問いただしてみようとしたところ。
バレンタインはプログラムの内容を、極めて簡潔に佐々木に答えてくれた。
「ゲンザイ、キョジンノセンシュハミンナ、ダレモシラナイバショデコロシアイヲシテイルンデス。」
イチローは軽く眉をひそめただけだったが、佐々木にはそれでもどうにも理解出来ない。
別に佐々木の知能が特別劣っているわけではないのだが、バレンタインの話の非現実性に、どうしても飲み込む事が出来ないようで。
そこで、バレンタインは持参のノートPCを起動させ、慣れた手つきで2人に…いや、佐々木に提示して見せたのだった。
第六回読売巨人軍プログラムの詳細をリアルタイムで表示してくれる、関係者専用のHPを。
387番外・魔神編:01/12/22 23:38 ID:jaOOExI0
「…少し、触っても良いですか?」
佐々木はバレンタインに訊ね、許可が下りる前にはもうノートPCのキーに触れていた。
常人よりも大きな手、太い指で苦心しながらも参加者一覧表を開く。
松井…清原さん…桑田さん……何て事だ。巨人の1軍2軍ほとんどが…殺し合いに参加させられているって言うのか?
佐々木はじっと大粒の目を細めて一覧表を睨み付ける。
選手名の横にオッズなどが記されているのが、何とも佐々木には腹立たしかった。
佐々木もギャンブルは別に嫌いな方ではないが…さすがにコレは生理的に受け入れられそうもない。
画面を下へとスクロールさせていく内に……佐々木の手は不意に止まった。
「……どうしました?」
イチローが佐々木の方を覗き込みながら、尋ねてきた。
「…な…が、永池が…っ」
マウンド場では堂々とした姿を見せる佐々木が、動揺を隠しきれない様子で指さした先には。
永池恭男 死亡。
その文字が並んでいた。
永池は、元々は佐々木も属していた横浜ベイスターズの選手である。
トレードで巨人へと移籍し、名前を改めたり何かしながらも、何とか試合に出て活躍できるよう藻掻いていた選手だった。
投手と野手、看板選手と1軍と2軍を行ったり来たりしている選手、そんな違いもあったにせよ、佐々木にとって永池も大切な横浜の仲間の一人だったのには変わりはない。
それが…それなのに?
「…もっとよく見て見ろ。そう、一番下だ。」
イチローが感情を殺した声で、佐々木に告げる。
しかし、この感情の殺し方は、つまらない質問を向けてくるマスコミに対する時のそれではなく。
「……阿波野さんまで!?」
イチローの言葉に従うまま画面をスクリーンさせた佐々木は一瞬自分の目を疑った。
が、画面には確かに阿波野秀幸という文字も並んでいる。
阿波野は偶然にもかつてドラフトの際に競合してきた近鉄・巨人・横浜(当時大洋)の三球団を渡り歩く現役生活を送った。
そう、偶然にも今さっきその死亡を確認せざるを得なくなってしまった、永池との交換トレードで巨人から横浜に来て。
近鉄時代の恩師である権藤の下で活躍し、佐々木らと共に優勝の美酒も味わった。
佐々木にとっては彼もまた、仲間である。
横浜を辞めた後、巨人の2軍コーチになったと聞いていたが。
生え抜きじゃないのに…現役でもないのに?
佐々木は軽い眩暈を感じた。
コレが壮大なドッキリだったらいいのに。
今すぐにでもあの柱の影から、カメラマンを連れたタレントが出てきて…笑い事で片付けてくれればいいのに。
イチローはともかく、佐々木にはそんなバラエティー番組に出演する機会は山のようにあって。
そんな現実逃避にも走りたくなる。
「現役選手じゃなくても…ましてトレードで他球団に行っていても関係なく参加…ですか。」
「ハイ。コンカイノプログラムハ、イママデデイチバンセイサンナケツマツトナルデショウネ。」
佐々木の代わりに画面を弄りながら、呆れたように洩れたイチローの呟きに、バレンタインはそう、答えた。
388代打名無し :01/12/22 23:49 ID:jaOOExI0
本当にサイドストーリー的な話をちょっと思いついてしまったので、
書き加えさせて貰いました。
お目汚しスマソ。
389代打名無し:01/12/23 00:18 ID:P6OF/eND
佐々木、イチローの反応が本物っぽいなぁ。
ところで阿波野って本当にどうなったんだろう…
390ささいなツッコミ:01/12/23 01:17 ID:9WjaQzI3
佐々木はKKとは同級生になるんで
普段は呼び捨てなんだが。
駆け出しの頃、清原のツケにしてよく飲み歩いてたそうだ(w<佐々木。
391代打名無し:01/12/23 17:19 ID:3kayohUt
捕手age
392代打名無し:01/12/24 01:44 ID:9mTBF9bB
浮上
393代打名無し:01/12/24 17:18 ID:YEVumC0I
捕手
394代打名無し:01/12/24 23:13 ID:OuxIUPwu
hoshu
395_:01/12/25 13:05 ID:Lpk0tZ0L
age
396代打名無し:01/12/25 14:30 ID:e8RvH6cL
j
397_:01/12/25 22:05 ID:3qtTBkFE
危険age
398代打名無し:01/12/26 10:40 ID:vQpxFC/Y
age
399:01/12/26 14:30 ID:e2SrYShE
清水さんの続き読みたい・・・
400400:01/12/26 14:48 ID:4galPa5T
400
401代打名無し:01/12/26 23:16 ID:WlqoAs3r
age
402_:01/12/27 11:32 ID:iUkRFzAd
あげとこう
403昔は巨人ファン:01/12/27 18:24 ID:+zCI8WMa
今の巨人はまさしく金満、昔のように入団当時無名で、
入団後巨人で鍛えぬかれた生え抜きの選手が少ない!
金満で出来上がった選手を買ってくるという体制!
子供の教育上よくないうえ、巨人軍の若手選手が育つべき
芽を摘んでいる、この状況。あのメンバーで優勝できない
球団て一体どうなってるんでしょうか。そんなわけで、
現在私は大のアンチ巨人です。
<ヤクルトを見習うべし!
404 :01/12/27 21:00 ID:4uDch1ic
405代打名無し:01/12/27 21:40 ID:cBZ3KDlE
あげる
406_:01/12/28 00:15 ID:Wl0L+7tE
>>403
ほかでやってくれ
407 :01/12/28 09:35 ID:4Iznnlbz
職人さん、帰省の時期…かな。
それはそれとして、冬休みだしここが荒らされないことを願いたいですな〜
408代打名無し:01/12/28 19:12 ID:WgTYKxE8
捕手age
409よく頑張った人たち・暫定版:01/12/28 20:37 ID:/NBLQQsN
清原和博(5)     11

 元木、アルモンテ、岡島、三浦、内薗、野村、
谷、佐藤、鈴木、原、桑田

高橋由伸(24)    10

 条辺、マルティネス、メイ、川中、仁志、
 佐々木、宮崎、酒井、加藤、山田

桑田真澄(18)     4   

 安原、斎藤宜、上原、十川

川本大輔(92) 3

 山下、上野、小野剛

高野忍(66) 2

 吉永、高橋尚

趙ソンミン(21) 2

 柏田、工藤

江藤智(33) 2

 大場、進藤
410よく頑張った人たち・暫定版:01/12/28 20:39 ID:/NBLQQsN
入来祐作(20) 1    三沢

上原浩治(19) 1    高野

内薗直樹(45) 1    永池

小野剛(59) 1    川本

小野仁(13) 1    江藤

川相昌弘(6) 1    阿部

河原純一(15) 1    南

後藤孝志(00) 1    木村

斎藤雅樹(11) 1    河原

仁志敏久(8) 1    小野仁

根市寛貴(43) 1    李

野村空生(95) 1    後藤

松井秀喜(55) 1    西山

三沢興一(旧31) 1    真木

南真一郎(50) 1    田畑
411代打名無し:01/12/28 20:50 ID:Y9illtC7
>>409-410
ワラタ。確かによく頑張った(W
412堀田・清水編:01/12/29 00:07 ID:csjZjw5p
堀田一郎(背番号44)は息を潜め、ただひたすらに待ち人がやってくるのを望んでいた。
拳銃を(説明書にはスミスアンドウエスンM59オートと書かれていた)握っている手が震えているのが分かり、小さく舌打ちをする。
くそっ!腹くくったはずなのに、この期に及んでまだ震えるか?俺の手は。
まったく使い物にならねぇーな。そんなだからいつまでたっても一軍定着ができな――
そこまで考えて、はたと気づき首を横に振る。
いや…違う。そうじゃない。
俺は変わるんだろ?あいつらから奪うんだろ?
巨人の外野のポジションは俺のものだ。俺だけのものだ。俺だけの――
暗示でもかけるかのように、何度も何度も自分の中で繰り返した。

ぱしゃっと水が跳ねる音がして、堀田は顔を上げた。
ぱしゃっ。ぱしゃっ。ぱしゃっ。
夕べ降った雨が水たまりをつくり、それを誰かが跳ね上げている。
音は堀田の居る倉庫に近づいているようだった。
誰だ?誰が来たんだ?さっさと姿を見せろよ!!
急速に興奮状態になっているのが自分でも分かったが、もうどうすることもできない。
誰だ?誰だ?誰なんだ!?
ぱしゃっともう一度だけ音がして、その誰かは倉庫の入口で足を止めた。
視界にスリムな身体が現れた。
ユニホームとアンダーシャツの袖がとれ、右腕が剥き出しになっていた。肩口に巻いた白い布に、赤い血がにじみ出し、雨のせいかそれがピンク色に広がっている。
そしてその腕の先に――拳銃が見えた。腹の左側には、清水隆行を示すナンバー35。

来た。ついに来た!堀田の緊張は一気に跳ね上がった。
自分の想像の中では、清水はしょーもない武器――そうだな、おもちゃのピコピコと音が出るハンマー辺りか――を握って、どこかで動けずに隠れていたものだったから、いざ、目の前に清水が現れて少し動揺してしまった。
しかも拳銃を携えてるときたもんだ。
落ち着け。ここで失敗したら何もかもが終わってしまう。もしこちらの存在に気づかれてしまったならば、清水も間違いなく撃ってくるだろう。
一軍半の守備要員クンである俺でさえも、ゲームセットまでフィールドに居たい清水にとっては邪魔だろう。
俺にとって清水が邪魔なように、清水にとってもまた、俺を邪魔に感じてるに違いない。
あと少しだ。今の位置からでは狙い難い。もう少し近づいてこい。
「誰か居るんだろ?」
清水が静まりかえった空間に向かって問いかける。
あと三歩…
「清水だ。俺は、戦う気はないんだ」
あと二歩…
「生きてるんなら返事をしてくれ」
あと一歩…
「どこに隠れているんだ?頼む。返事を――」
今だっ!!

狙いを定め、引き金を引こうとした正にその時、タタタッと一匹の、幾分大きめのネズミが堀田の後方を横切った。
それは、ほんの小さな音に過ぎなかったが、静まりかえったこの倉庫の中では大きく反響した。もちろん清水もその音に気づいたらしく、音がした方向に目をやった。
堀田と清水の視線がまともにぶつかった。
「ホリ――そこに居るのは堀田なのか?」
予想だにしなかった突然の事態に、一瞬躊躇してしまったが、堀田は狙いを定めたままの拳銃の引き金を引き絞った。ぱん、と音がして銃口から小さな火炎が伸び、腕が少しだけ反動で跳ね上がった。
その銃の向こう、清水の細身の身体が弾かれたようにくるっと回った。仰向けに倒れた。
413代打名無し:01/12/29 00:24 ID:2u1JKmQY
うひょー!待ってましたーっ!!!清水堀田編っ!
414代打名無し:01/12/29 03:05 ID:sesh64rT
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ついに来ましたね堀田・清水編!
うわー気になる!うぁー!あ゛ー!!(落ち着け!>自分)

ついでに保全age
415 :01/12/29 09:36 ID:DNw7TXlO
きたきたきたきたきたきたーーーーーーーーー!!!
しーみーずー!!!!!
416:01/12/29 15:32 ID:um4qmtV2
きた!清水編!!
気になるよ!!!
417堀田・清水編2:01/12/29 23:59 ID:eLMagR1j
堀田は銃を握り締めたまま、たたっとその身体に走り寄った。とどめを刺さなければならない、とどめを!もう二度と起き上がれないように!
堀田は、清水から二メートルほど離れたところで立ち止まった。
清水のユニホームの左胸に小さな穴が開いていて、その回りがどす黒く変色し始めていた。
しかし、地面に投げ出された右腕の先には、まだ拳銃が握られていた。まだその銃を持ち上げる可能性がある。頭だ。頭を狙わなくてはならない。
その清水がぐるっと首を回し、堀田を見た。堀田は銃を下に向けて構え、引き金を――
ぴくっとその指が動きを止めていた。清水が、銃を手から投げ出したからだ。それだけの余力があれば引き金をひくこともできたはずなのに、どういうわけか。
拳銃はくるっと一度回転し、それから、がしゃっと横倒しになった。
――は?なんなんだ、これは。何を考えているんだ、こいつは。撃ってくるんじゃなかったのか?邪魔な俺を撃ってくるんじゃなかったのか?
再び降り始めた細い雨が、短く刈り込んだ髪を濡らしていく中、堀田は両手に銃を構えたまま、立ち尽くしていた。
「ホリ…これを…これをお前に…」
清水がその、横たわったまま、苦しそうに、しかし、しっかり堀田を見据えたまま、左腕の時計を銃を放したその右手で外し、堀田に差し出して言った。
「この時計をお前に渡したかった。受け取ってくれ。これを渡すために、ずっとお前を捜していたんだから」
堀田の耳にその清水の言葉は届いていたけれど、堀田には、清水が何を言っているのか理解できなかった。いや、状況それ自体が理解できなかった。
清水が続けていた。
「この時計――お前、欲しがってただろ?だから、やるよ」
「は?……何言って」
清水がかすかに笑んだようだった。辛抱強く、繰り返した。
「忘れたのか?この時計、お前がくれって言ってたやつだ。やるよ」
清水がぎこちなく右腕を動かし、握っていた時計を堀田の方に放った。
それは確かに、見覚えのある時計だった。
堀田の頭の中で、あるシーンが蘇った。
418代打名無し:01/12/30 00:27 ID:5IaMMhSq
し、清水タン………(ウルウル
419代打名無し:01/12/30 01:51 ID:kPbWfvZ6
あああああああああああああああ…清水タン…!!
420代打名無し:01/12/30 16:54 ID:jOFp+utF
清水っ
421堀田・清水編3〜堀田の回想1:01/12/30 23:58 ID:CwVgurSr
東京ドームのロッカールーム。一時間程前に試合を終えて、既に帰路についた選手もいたが、まだ数人の選手は着替えなり、シャワーなり、居残り練習なり、思い思いの行動をとっていた。
7月27日。オールスター明けの対ヤクルト戦。
世間では天王山3連戦だとか言われていた。おいおい、いつから7月にやる試合まで天王山って呼ばれるようになったんだよ――という声が、何人かの選手の口から漏れていた。
その天王山3連戦の初戦は、9-5で、チームはなんとか勝利を収めることができた。
俺はと言うと、代打で一度だけ打席に立つことができた。結果はフォアボールだったし、得点に結びつけることはできなかったけど、何となく気分は良かった。
その後も守備固めとしてレフトにつくこともできたし、その次の打順では代打が送られてしまったのだけれど、自分の役割は果たせたのでそれで充分だった。
何より、一軍の試合に出られることが嬉しかった。
オールスター期間中、毎日のようにバットを振りこんだ。後半戦こそ、一軍に居座り続けてやる!
あぁ――確か開幕戦でも、同じようなこと言ってたっけ。
今年は開幕一軍の切符を手中に収めることができたし、今年こそ、今年こそは一軍半から卒業するんだ。
代打要員でもいい。走塁要員でもいい。守備要員でもいい。
とにかく一軍ベンチに定着してやるんだ。
そう思っていた矢先、殆ど何もしないまま、開幕から一ヶ月後には降格させられていた。
その後、もう一度昇格させてもらったが、今度は10日もしないうちにまた降格。結局はファームの遠征組に逆戻り。肌もいい具合に小麦色に焼けましたとさ。めでたし、めでたし。
あぁ、本当にろくでもない。これじゃ去年と何ら変わらないじゃないか。
そして、七月の頭にまたチャンスを貰った。今度こそ一軍で結果をだしてやると燃えていた。でも思うように打席に立たせては貰えず、前半戦ではヒット一本さえ撃つことができなかった。
だから、オールスター明けの後半戦は、いつも以上に気合いを入れて臨んでいた。
422堀田・清水編3〜堀田の回想2:01/12/31 00:01 ID:F91XIa9m
そんな俺の様子に気づいたのが清水だった。
試合後、いつものようにウエートトレを終えた清水が着替えのため、ロッカールームに入ってきた。
シャワーを浴びた後なのだろう。バスタオル一枚だけを腰に巻き付けて、何とも無防備な姿だ。
試合後のロッカールームではよく見られる光景だ。上半身裸で肩にタオル一枚だけを引っかけていたり、どの選手もだらしのない恰好でうろうろしている。
着替えの作業を進めながら、清水が声を掛けてきた。
「なんだ。ホリ、まだ居たのか。頑張ってるじゃねーか」
「何言ってるんスか。先輩達が残ってトレーニングしてるのに、控えの俺が帰れるわけないでしょう?」
「まぁ、そりゃそうだけどな。でもさっさと帰っちゃう奴もいるだろ?」
お互い手は止めずに、会話だけが続いた。(ちなみに俺は既に着替えは終わり、道具の片付けと荷物整理をしていた。)清水の問いかけに答える。
「試合後の素振りがヒット一本に繋がるんなら、俺は何回でもバットを振りこみますよ」「あぁーそっか。お前、まだ今シーズンヒット一本も出てないって言ってたよな?」
「はい。だから、早く打ちたくて」
ふと清水の方に視線を移したとき、キラッと何かが光るのが見えた。それは、清水が左手首に巻き付けようとしている時計が照明を反射して放たれた光だった。
「清水さん、良い時計してますね。いいな〜俺もそういうの欲しいな〜」
「こんくらいだったらお前も買えるって」
清水が苦笑して言う。
「なかなか買えないっスよ、高級な腕時計なんて。俺にその時計くれません?――なーんて…」
冗談で言ったつもりだったのに、思わぬ返事が返ってきた。
「あぁ?ん〜まぁ、お前が一軍で待望のヒット打てたら、考えてやってもいいけどな」
「マジっスか?俺、しっかりこの耳で聞きましたよ?絶対ですからね!明日にでも打っちゃいますよ〜俺っ!」
目を輝かせて力強く言い放った。ラッキー!言ってみるもんだなぁ。
堀田はますます、練習に身を入れるようになった。思った。やるぞー、そりゃあ、なかなか打席に立つチャンスはもらえないけど、ヒット一本なら打てる。打って、絶対にカルティエ(だよな?確か…)をゲットしてやる――。
そのような、それは、記憶だった。

堀田はその次の日の試合、運良く打席に立つチャンスが巡ってきた。
8回表、2アウト一塁で、マウンドには山本だった。
力みもあったのだろう。堀田は敢え無く空振り三振に倒れた。
結局1点差のまま、チームはヤクルトに惜敗した。
また次の日。天王山3戦目のベンチ入りメンバーの中に、堀田の名前は無くなっていた。
再び一軍に昇格したのは9月の中旬だったが、打席に一度も立てぬまま、1週間後にはまた降格した。
9打数0安打。.000で、堀田の2001年シーズンは終了した。
423代打名無し:01/12/31 03:33 ID:i+vdJxLZ
424代打名無し:01/12/31 10:20 ID:18/SzISe
しみずうううううううううう。
425大巨人帝国総統:01/12/31 10:53 ID:FaLVSSWk
卑しくも栄光の大巨人軍を愚弄する愚か者よ、貴様等に以下のことを命ずる。
●栄光の大巨人軍を除く邪悪球団を応援してはならない。
●以下の方々を心より敬え。
 ・オーナーを務められる渡辺恒雄大先生
 ・「栄光の背番号3」長嶋茂雄大先生
 ・大巨人軍監督原辰徳大先生
 ・大巨人軍支持派の鏡であらせられる徳光和夫大先生
 ・この他、大巨人軍を支持して下さる諸大先生方
●大巨人軍関連のTV番組を常に正座して視聴せよ。
●大巨人軍戦中継時は裏番組を視聴してはならない(サッカーW杯なんていう国賊大会はもってのほかである)。
●大巨人軍の出場せぬ日本選手権開催を認めてはならない。
●大巨人軍を応援せぬ者と関わりを持ってはならない。
以上である。日本人として生きる以上、決して出来ぬことではない。出来ぬものは非国民として、直ちに処刑されるべきなのである。
426代打名無し:01/12/31 12:50 ID:x5OmGyic
>425
他スレでやれ。
427 :01/12/31 13:56 ID:AJArnm0L
反応するな
428代打名無し:02/01/01 12:17 ID:JRIzq4qQ
捕手age
429_:02/01/01 20:14 ID:auF8Z1xy
あげないと…危ない
430代打名無し:02/01/01 20:51 ID:deJzHAEe

今夜の実況は こちらで

プロ野球オールスタークイズ&ゲーム日本一
http://live.2ch.net/test/read.cgi/endless/1009884454/
431阿波野対鹿取:1:02/01/01 21:20 ID:2Qy4ZHX3
風が、やんだ。

阿波野は薄暗い中庭で鹿取の正面に立った。
月明かりと、上品なほど僅かの照明だけが、視界を明るくしているものの全てだ。
先刻まで吹いていた風が止むと、やけに空気が重たく感じられる。

特に緊張した風ではないが、阿波野は決して警戒を解かないまま、立っている。
それに対し、鹿取は至極リラックスした余裕の姿だ。

「なあ、いい芝居だったなあ」
鹿取が何を言わんとしているのか、それは阿波野にもすぐにわかった。
先ほどの原とのやりとりのことだ。
恐らくは盗聴なのだろう。何故、とも、どうやって、とも、阿波野は尋ねなかった。
それよりも阿波野が知らなければならないのは、鹿取の真意だ。
一体何を言いたいのか。したいのか。阿波野に、させたいのか。
計るように、鹿取の表情を見る。
だが、窺い知ることが出来ないのは、薄暗さのせいだけではない。

「お前、何がしたい?」
口調も、普段と何ら変わりはない。
阿波野は少し目を細めて、首を傾げた。
わからない。
鹿取がどんな答えを求めているのか、腹の底に何を秘めているのか、阿波野が窺うことが出来ない。
真意がわからないうちは、何も答えられない。
迂闊に滑らした口が命取りになるのだけは、わかっているので。
素振りは全く見せないが、何処かに武器を隠している筈だ。勿論、それは阿波野とて同じことだったが。
432阿波野対鹿取:2:02/01/01 21:21 ID:2Qy4ZHX3
暫くそうやって2人は視線を合わせ、それから唐突に鹿取が唇の端を上げて笑った。
「そう警戒するな、と言っても無理か」
そんな季節ではない筈なのに、湿った空気がねっとりと阿波野を包み込み、背中に僅かな汗をかかせる。
「お前の返答次第なら、これをやってもいいと思ってる」
鹿取はそう言って、あまり大きくない茶色の封筒を取り出した。
「…どういうことでしょうか…?」
思ったよりも自分の声がかさついていたので、阿波野は少し顔を顰めた。
「あんな芝居を打ってまで、お前は何をするつもりだ?」
「芝居だなんて…」
「お前は、自分が思ってるほど役者じゃないよ」
鹿取はくつくつと笑う。
そう。役者だったら鹿取の方が二枚も三枚も上手だ。それはわかっている。
だが、こうもあっさりと言われると、阿波野も肩を竦めるより他ない。
「まあ、あれを聞いてたじーさまたちは、すっかり騙されてたがな」
鹿取の言う「じーさまたち」とは、オーナーと監督のことであろう。
つまりは、少なくとも鹿取も含めたその3人で原の部屋を盗聴していた、ということだ。
だからこその、あの芝居だった。決してこのゲームを潰そうと考えていることを悟られないように。
お人好しの原は騙せても、海千山千の鹿取は騙せないということか。
おそらくはどの部屋も何らかの仕掛けがしてあるに違いない。密約が行われないよう、裏切りがないよう。あっても、すぐにわかるように。
では、この中庭は?
阿波野の躊躇を見透かしたように、
「こんなところまで盗聴器は仕掛けておらんさ」
と鹿取が笑う。
「それで、鹿取さんはどうしたいんですか?」
腹を括ったように、阿波野が逆に問い返した。
そして鹿取はためらう風でもなく、
「このゲームを引っかき回したい」
と答えた。

あまりにもあっさりと答えるので、阿波野は少しばかり拍子抜けした。だが、これも鹿取の駆け引きの範疇なのだろうか。
「そんなことをして、鹿取さんの身が危なくなるんじゃないんですか?」
少しずつ、阿波野の舌が滑らかになっている。だが、そのことに阿波野は気づいていなかった。
「だからお前に動いて貰う」
「鹿取さんのコマになれと?」
「少し違うな」
雲が月をかすめたのか、さあっと暗くなる。目を凝らさないと、すぐ傍にいる鹿取の姿が見えにくい。
「お前がしたいことの手助けを、少しだけしてやろう」
鹿取の手の中にある茶封筒を振る。かちゃりと音がする。何か金属のものか。
「お前が望みを達成すればよし、失敗しても、俺は泥を被らん」
「俺が鹿取さんの手引きだとばらすかもしれませんよ」
「勿論それは手を打ってある。心配には及ばん」
それはそうだろう。
ここまで堂々と手の内を晒すからには、それなりの手を打っている筈だ。鹿取は決して無謀ではない。1つの行動の為に、10も20も伏線を張ってあるのだろう。
だが、阿波野は衝動で行動を起こした。
このゲームに、後先を考えずに突っ込んでしまった。
それが、阿波野と鹿取の器の差か。
観念したように阿波野は1つ息を吐いて、言った。
「俺はこのゲームを潰したいんです」
「どうやって?」
「トップを潰すしかないでしょう。これは。そうでなければ、誰も止められない」
「なるほど」
もう、正攻法では止まらない。否、最初からこれは狂人の間のゲームなのだ。
幾ら下で足掻いても無駄だ。ゲームの息の根を止めるしか、選手たちを救うことは出来ない。
トカゲだって、頭を切られれば死ぬのだ。
だから、狙うのは、一番上でふんぞり返ってこのゲームを愉しんでいる奴ら。
433阿波野対鹿取:3:02/01/01 21:22 ID:2Qy4ZHX3
すうっと雲が消えて、月明かりが再び差し込む。
月の光を浴びて、阿波野の瞳がぎらりと輝く。
鹿取が差し出した封筒を、阿波野が右手で受け取る。
罠かもしれないと、一瞬思った。
だが、鹿取を見てそうではないだろうと思った。そして、これが罠だとしたら、彼を出し抜けばいいのだとも。
例えどちらであったとしても、今ここで鹿取に逆らうのは得策ではない。
封筒の中を見ると、1つのカードキーが入っていた。
「これは…」
「じーさんがいる部屋の鍵だ」
監督か。オーナーか。この際、阿波野にとってどちらでも良かった。
「本来はフロントにあるものだがな。こっそり拝借してきた」
「これを、俺が使っていいんですね?」
「好きに使うがいい。但し、その部屋まで辿り着くのも容易ではないがな」
おそらく部屋の周囲には屈強の警備が敷かれているだろう。先ずは、それを突破しないと部屋の主には辿り着けない。
「何処までやれるか、楽しみにしているよ」
「有り難うございます」
阿波野は浅く礼をして、そのまま立ち去ろうとした。鹿取には背を向けずに。
その阿波野を、鹿取が引き留める。
「ああ、阿波野よ」
凪いでいた風が、その存在を知らしめるように吹き始める。
さわさわと風に緑がそよぐ。血生臭いゲームが行われ、老人の妄執が跋扈している世界とは思えないほど、涼やかな風だ。
「何がお前をそうまでさせる?」
それが、実は鹿取には一番理解出来なかった。
興味本位でもなく、ましてや正義でも決してなく。
何が阿波野をそうまで駆り立てるのか。それが、鹿取は一番知りたかった。
434阿波野対鹿取4:02/01/01 21:23 ID:2Qy4ZHX3
「俺は自分が一番大事なんですよ」
理解出来ない、というように、鹿取は眉を顰めた。
「黙って成り行きを見守っていれば済む話じゃないのか?」
ふっと阿波野は口元を緩めた。白い八重歯が、零れる。
「2軍でもがいてる奴らみんなが、俺には『自分』に見えるんです」
たぶん、鹿取には理解出来ない。
恐らくこの感情は、理不尽とも言えるほどの感情は、他の誰にも理解されないものだと、阿波野はわかっていた。
1軍に上がりたくて上がりたくて、必死に投げる奴。
どうにか勝ちたくて勝ちたくて、それでも勝てなくて泣いてる奴。
そんな奴らが、みんな自分の過去の姿に見える。
だから、どうしたって救いたいのだ。今このクソゲームに参加させられてるあいつらは、みんな自分なのだから。
「俺は自分を助けたい。それだけです」
今この瞬間にも、命絶えているかもしれない、自分を。
だから阿波野は、起つ。
「確かに、俺には理解出来んな」
そう言って、鹿取は阿波野の肩を叩いて、先に中庭を後にした。
残された阿波野は僅かに月を見上げ、それから、再び暗闇の中に姿を消した。
決して誰にも理解の出来ない思いを胸に抱いて。

その時阿波野が微笑んだ様は、優美でもあり、同時にとてつもなく酷薄でもあった。
435代打名無し:02/01/01 21:24 ID:2Qy4ZHX3
すっかり乗り遅れてしまいました…。
今更な阿波野編です。
終結へ向けていそがなくちゃー。
436代打名無し:02/01/02 18:37 ID:sAyX/Es+
やっと出てきましたね!>阿波野。
しかし…とんでもない方向に向ってるのかな?気になる…
437*:02/01/03 15:23 ID:1OFy7emu
AGE
438_:02/01/03 23:08 ID:gjYjFwKD
うわ落ちちゃう!
439代打名無し:02/01/03 23:11 ID:D3Swu3fJ
あげちゃう。
440*:02/01/04 08:28 ID:dYWopM/r
がんばれ!
441:02/01/04 18:19 ID:cd76FIt9
横スレすまぬ。

ゲームがまた激重く&たまに落ちるようになって出来ないです・・・(T-T)
442 :02/01/05 02:28 ID:WIBJtYo4
ageruyo
443代打名無し:02/01/05 09:42 ID:xHPyDZED
期待age
444代打名無し:02/01/05 10:12 ID:eagYR7zJ
「ふん、しょせん巨人はこういう球団なのさ。」巨人軍バトルロワイアル
のことを知らされた金本は闇の中で微笑した。あの馬鹿オーナーが考えそ
うなことだ。
巨人にだけは行かないといっていた選手達が大勢FAを利用して高年棒で巨
人に入った。しょせん巨人は金づく球団だ。そしてその選手も。俺の年棒がい
くらだと思ってるんだ?。大して活躍もしてない奴等が俺よりも高給取りだ。あ
んな球団消え去れば良いんだ。金本は心のそこから思った。
445代打名無し:02/01/05 11:04 ID:aLT/WJqM
>444
広島のバトロワスレは別にありますけど?
446*:02/01/05 21:38 ID:WNdYVgPP
期待age
447代打名無し:02/01/06 10:01 ID:wBhZhmid
ageageageage
448*:02/01/06 21:39 ID:rM9KtUqN
職人さまがんばれ!
449_:02/01/07 08:43 ID:Qwr/TRyk
あげるぞっ
450代打名無し:02/01/07 15:04 ID:V1wqWVzy
職人の皆さま、今年も応援しております!
451桑田終焉:02/01/07 20:08 ID:S2Y9GxTN
(なにやってるんやろうなぁ…)
崖からその身を落とす、僅かな最後の時間…桑田は斎藤のデイバックを抱えたまま、微かに笑う。
(自殺なんて下らない…これじゃあの阿呆な人と同じじゃないか。)
その阿呆な人は今頃どうしているのだろうか。今になって斎藤が壊れてしまったことに微かに安堵している自分がいた。自分の死を嘆かれるなど冗談ではない、屈辱的なだけである。だが、嘆くことも出来ないと思えば安心する。
(…俺も随分と余裕なもんだな。)
死が近づいているというのに。これが清原でない者のせいであったら、最後の最後まで不本意な不快をひきずったままであったろう。殺されるのも自殺も無様なものであるが、そこまで悪い気はしないのはやはり清原だからだったのだろう。
(ま、どうせならアイツに生き残って欲しいけどな。)
生き残ったところで色々面倒な余生を送るであろうが、それでもこの自分を仕留めた男なのだ、無様に死なれてはこっちの立つ瀬がない。
(ああ…いよいよか…)
長いこと急降下していたせいか、それとも傷のせいか分からないが意識が急激に薄れてきた。
(何がまた会う事になる、だ。俺も阿呆だな…)
結局あれが斎藤との最後の別れだった。この手で殺す事のできなかった今、自分は斎藤に何を望むのか。清原には進むだけ進み、仲間の屍の上に残る最後の一人を望んでいるが、あの酷い状態の斎藤には何を望むべきか…
(できれば…目が覚めて欲しいもんだ。)
それは彼にとっては最大の地獄であろうが、それでもだった。崩壊したままあいつらに殺されるくらいならば…正直、斎藤の苦痛などよりもこうなった今、あるのは自分の中の望みの方が重要だった。
(目が覚めた後…どうなってもかまわない…とにかく目を覚まして…)
できれば…そう考えた瞬間、桑田は脳裏に過ったある意味、一番彼にとっては惨いであろう望みに苦笑する。なんという酷い事を望んでいるのかと。
(だけど…あのまま殺されるよりはよっぽどいい。)
昔から今現在まで、望みはそれだけだった。あの人ほどみっともない、朽ちた姿が似合わない者はいないと。それは昔から抱いていた、落ちた事のない潔癖なるエースへの敬意の念からであった。
(死ぬ間際のただ一つの望みが叶うなら…)
清原が選ばれし生き残りになる事か、それとも…。桑田は清原には根拠無い、不思議な信頼をしていた。だからこそ桑田は後者の望みを念じる。
(つまらんな…最後の最後に…)
思い浮かべたのがあの二人とは…そう思いながらも桑田は安堵するように目を閉じた。そして…
斎藤のデイバックを抱えたままその体は荒れ狂う海の中に消えて行った。
452斎藤終焉1:02/01/07 20:11 ID:S2Y9GxTN
何かに呼び覚まされたような感覚に、どんより曇っていた瞳が大きく揺れた。いきなり神経を弾かれるように
揺さぶられた意識…まるで意識はハッキリしているのに夢の中を彷徨っているような状態に身を任せるように、
暫し動かなかった。だが、誰もいない部屋の中、正面にあるモニターに映し出されたもの…桑田を意味する
点滅がゆっくりと消え行く画面に、驚愕で目を見開くと、椅子を倒しながら画面に駆け寄った。
「ま…すみ…?」
一体これは何なのか、彷徨ったままの意識はハッキリと目覚め、同時に壊れたキッカケとなった事も流れ込むと、
細かく肩を震わせた。そして震えが収まると、今度は微動だりしないまま長い時間が過ぎた。
「ったく、用があるなら電話で済ませよ。何時間もベラベラと…!なっ…」
文句を垂れながら入室してきた吉村は、ドアを開くなり声を詰まらせる。
「斎藤!お前っ!意識が…」
良かった…思わず駆け寄った吉村であったが、斎藤は手を振り払うと、額に手を当てながら急に笑い声をたてた。
今度は狂人になってしまったのか、と慌てる吉村に首を振りながら斎藤は笑いを止める。
「…俺は…何やってるんでしょうかね…」
その顔は廃人の時同様のまったく精気を感じられないものであったが、声は怖いくらいに落ち着いたものであった。
モニターを見て吉村は悟る。どういうわけか知らないが斎藤は意識を取り戻し、桑田の死を知ってしまった。
「平松を巻き込み、仲間を二人も殺し…平松を助ける事もできずに…結局仲間を二人殺しただけでしょう…」
なんと言っていいのか戸惑う吉村に、斎藤は無機質な表情から一転し、ゾッとするほどの憎悪の目に変わった。
「このゲームを企てた球団、監督、オーナー等よりも…俺が一番…どうしていいか分からない位…憎いというのは
こういうことなんでしょうか…」
「…お前は良い奴だから…」
「良い奴か…今までは…自分ではよく分かりませんでしたが…今はハッキリ分かりますよ。」
こんな陰惨な笑い方が出来るものかと吉村が驚くくらいの笑いを斎藤は浮かべる。
「もう…俺にとってゲームの生き残りなんてどうでもいい…真澄までいなくなった。…誰も生き残って欲しい者
などいませんしね。ああ…俺も随分変わってしまったんですね…ちょっと前なら誰が死んでも沈んだりしたで
しょうが…本当にどうでもよくなった…自分自身がもう…どうでもよくなったからでしょうか…」
「斎藤…」
「良い奴ねぇ…前からしょうもない人間だったんでしょう…平松を助けるためなら仲間も殺す、真澄にだけは
生き残って欲しいと…とんでもないものを残した…前から私利私欲で動いてたわけですしね…」
「…斎藤、お前にこんな事を言うのも何だが、目覚めたからには実行委員会の一員になるということだ。
冗談じゃないと思うだろうが、それでも…」
「なりますよ。上に従いますよ。」
意外な斎藤の言葉に、吉村は少し驚くように目を見張った。
453斎藤終焉2:02/01/07 20:19 ID:S2Y9GxTN
「…目覚めてから…考えたんですよ…こんなゲームの片棒を担げば、いつか天罰が下ります。だから従うんです。
いつか誰かが…俺も始末してくれるでしょう。こんなでたらめな事がいつまでも続くわけがない…いつか天罰が
下るまで…俺は待ちますよ。」
微かに笑うが、ただ口の端を引きつらせただけのような凄惨とも言える笑みで斎藤はそっと答えた。
「また現実逃避して楽になるのも、殺されて楽になるのも望みじゃない。…今の俺には…それしか望みは無いん
ですよ。クソみたいな組織の一員として最後は無残な終りを迎える…相応しい最後じゃないですか。」
「お前は……」
吉村は小さく首を振った。やはり、あまりにも斎藤は気が良すぎたのだ。一番苦痛な、拷問とさえいえる道を選び、
許せぬ自分の最後は見放した仲間に下してもらおうと、それが一番ふさわしいとのだと自分に最大の罰を着せる事を
選んだのだから。
「不思議なもんです。自分でもこんな相応しい道を思いつくとはね。ですが…不思議と目が覚めた時から、この道…
楽に死ぬのではなく、あえて生き残る方を埋め込まれていたというか…それこそ一番相応しい天罰だと…」
何者かが啓示したようだ、と斎藤はそっとため息を付いた。
「吉村さん。真澄の最後は…辛くなかったでしょうか?」
ふいに尋ねられたその質問に、吉村は悲痛にため息を漏らす。
(お前には無理だよ…人の根本なんてそう変えられないんだよ…)
悪に相応しいと望みながらも、それでも盟友の最後が出来るだけ楽だったのを望むのはそういうことだと。
この目の前の男は、これからどれだけの拷問なる日々を送るのか…考えただけで寒気がした。
「ああ…崖から落ちる形となったが…ひと思いに死ねただろう。」
嘘を付いた。あれだけ清原と長くやりあったのだからそれなりにキツかったろう。
「そうですか…それでも…」
もういない事には変わり無い…斎藤は微かに肩を震わす。
「…桑田の遺体は回収できないが…平松のは回収した。丁重に葬っておいたから…今から行ってみるか?」
「…ありがとうございます。」
背を向けたまま、斎藤は涙声でつぶやいた。こうして泣くのも最後だろう、最後にしなければいけない…
ゆっくりと顔を上げると振り返る。もう涙も無く答えた。吉村はなるべく斎藤を見ないように頷く。
もう二度といつもの満面の笑みを見ることもないだろう。生涯、このまま重い物を背負ったまま惨い道を
行くのだろう。これほどの善人が、これほど惨い終焉を迎える不条理さなど考えてしまっては、こっちが
おかしくなりそうであった。
(不条理さなど…散々味わったことだ。)
悪夢としかいいようのなかった、己の怪我といい、斎藤のような者がよりによってこんな集団に残る羽目
になったのも、考えるだけ無駄なのだと。彼がどれだけ今まで真面目に、球団に貢献しようが、良い人間
だろうが必ずしも良い結果になど終らないもの…それがこの世界だと吉村は寒気がする思いで噛みしめる。
「わかった…行こうか。」
微かに頷きながら斎藤は表情同様、機械的な動きで部屋を出る。吉村も後に続くように足を踏み出した後、
そっとドアは閉じられた。
454*:02/01/07 21:40 ID:cz5MadNq
ウルウル・・・斉藤さーーーん!!!
455代打名無し:02/01/07 22:16 ID:0kVvTRBm
「桑田の精神は水にとけた」って言ってもいい?
456代打名無し:02/01/07 23:24 ID:53CiRj33
斎藤・・・マジで予想外の結果だ。なんだか一番かわいそう。
でも素晴らしい!お疲れさまでした。
457代打名無し:02/01/07 23:42 ID:RVKnk+it
こうして桑田は、自分が一番好きな映画『グラン・ブルー』のごとく、
深い深い海の底へ・・・
泣ける。
458代打名無し:02/01/08 00:19 ID:KKYV4Au1
海の底ってのも桑田にピッタリ。最後までストーキングだったのもイイ。
セイロクさんは…最後までいい人すぎる…どっちも泣けた。
ともあれお疲れさまでした。
459*:02/01/08 16:54 ID:DcuB+dJg
皆読みましょう!!age
460_:02/01/08 16:57 ID:4enRPVcz
自分も平松のお墓参り行きたい・・・。
お疲れ様でした!
461 :02/01/08 17:34 ID:XA7RSTaP
実は上げなくても書き込みがあればDAT落ちはしない
462代打名無し:02/01/08 19:02 ID:GGeHh4TA
イタイ行動だけどバトロワの映画のサントラ聴き直しちゃったよ
桑田の最期ならどんなのが合うだろう。
清原対桑田なら間違いなくメインテーマだと思う。
463代打名無し:02/01/08 19:24 ID:+ZsC5hW3
>>460
行きたい!死んだ選手の中では幸せな方だよね。
それにくらべてセイロク兄さん・・・
>>462
映画は見てないんだけどそれ聞くと見たくなっちゃう。
原作とはまた違うんだろうし。

いよいよ残りわずかな感じですが、職人さん達、頑張って下さい。
464 :02/01/09 16:40 ID:y5KF6FiV
セイロクsage
465代打名無し:02/01/09 18:59 ID:TnUOucKe
関係無いんだけど漫画版の桐山カコイイな
清原もあんな感じ…、とは違うか(w

今更だけど清原が川田役だったらどんな展開になってたかな
466代打名無し:02/01/09 23:01 ID:OKJVywXr
>>465
やっぱり桐山の方がハマリ役!>清原
467代打名無し:02/01/10 11:27 ID:5WPtuDuA
オレはヨシノブの桐山もおもしろかったと思うけどな
468_:02/01/10 13:41 ID:a16OXdjt
あげとこ
469_:02/01/10 13:42 ID:rF47NHXK
age
470_:02/01/10 13:43 ID:rF47NHXK
あげよう
471_:02/01/10 17:00 ID:SHarUYmX
>>467
それもおもしろいかもね。もしそうなら川田は清原、光子は河原とか・・・?
でもやっぱり、番長清原・子分元木の図式が成り立つので、桐山で(w
472 :02/01/10 17:49 ID:qB6tkIQj
村田チュウの川田もよさげ。
桐山はやっぱ清原がはまり役かなー
473代打名無し:02/01/10 20:57 ID:R/KWyymn
>>472
チュウさんは序盤で殺すには惜しい人だったね。
川田は結構ハマリ役だったかも。
474*:02/01/10 21:39 ID:y1Us6yZL
川田=チュウさん、押し
475代打名無し:02/01/10 21:58 ID:V8jbQFYC
今更「この役は誰々が〜」とか言われて職人さんのヤル気が出ると思う?
476代打名無し :02/01/10 22:10 ID:0C8nrn3H
バトロワのゲームサイトが表示されないんだが・・・
477代打名無し:02/01/11 00:06 ID:YJFib/LS
>>476
完全に落ちてるよな
478代打名無し :02/01/11 01:33 ID:lbfN8wlA
久しぶりにきて一気読みした。
職人さんありがとう!!
479 :02/01/11 15:47 ID:kZPtJQxT
捕手
480*:02/01/11 16:48 ID:QvlIrIFu
バトロワのゲームどうなってんの?落ちた?
2があるってのは本当なのか?
481ゲーム設置してたやつ:02/01/11 19:18 ID:Kf9F0nRb
以前もこういうことがあったんですが、
その時は同じ鯖のCGIが悪さをしてたために開けなくなっていただけでした。
でも今回はHTMLすら開けないので削除されたのではないかと思います。

2については私は知りません。
482策士・邂逅11:02/01/12 01:14 ID:ECsmkDxN
それは要請でも懇願でも、命令ですらなかった。その響きは、一方的な宣告のそれだったので、五十嵐は思わず立ち上がっていた。

「じょ、冗談じゃないですよ、だってそうでしょう?
 あんな話を聞かされて、じゃぁ辞めましょう、なんて言えるはずが無いじゃないですか。
 大体、ここで手を引いたら、入来さんは一体どうなって……」

それ以上続けられずに、五十嵐は古田を見た。古田は、まぁ落ち着け、と言うように片手を上げ五十嵐を制止し、その後を続けた。

「ウチだって好きで関わってる訳じゃないし、出来るならとっとと手を引きたいんですがね、
 五十嵐の言うとおり今の状況でじゃぁ辞めますってわけにもいかんでしょう。
 勿論、森さんの事ですからそんな事情は判ってると思いますが」

「そうだね。君達の立場は判っているつもりだ。急にそんなことを言われても納得しないのは当然だろう。
 しかし、幸いなことに我々は協力できる………少なくとも、敵対せずに済むと思うんだ。
 そこで、ささやかながら手土産を持ってきたよ」
「ほぅ?手土産ですか。一体何ですかね」
「まぁ、期待に沿えるような物かどうかは判らないがね。例えば、こういう物がある」

そう言うと、森は足下からブリーフケースを取り出し、机の上に乗せた。
それが開かれる音が妙に大きく響いたような気がして、五十嵐は唾を飲み込んだ。
483_:02/01/12 21:14 ID:3164xjsM
age
484代打名無し:02/01/13 00:00 ID:/+DI4hMZ
入来兄はおとなしくしてるのか?
485代打名無し:02/01/13 00:30 ID:xz4DJzRf
現在、薬漬け状態で騙されてるからねぇ・・・
486*:02/01/13 22:07 ID:rS/Zx/MX
続きが気になるage
487代打名無し:02/01/14 08:22 ID:qKP9t+i/
http://hpcgi2.nifty.com/BABYMODE/br2/brlist.cgi

2のゲームのアドです。
488Jazzman as biker's from U.S.:02/01/14 08:28 ID:5I8jgLl6
俺はよう、ジャズとサックスとハーレーが好きなんだ。
50s' Classic Americanの世界が好きなんだよ。
ジャズクラブに行くときは3Bスーツにコノリーレザーのローファー履いて、
ロウハットを被って青山の「Body and soul」に名演を聴きに行く。
相棒の鉄馬ハ―レーに乗ってツーリングに行く時は、ワイルドにワルっぽく
決める。ジェットヘルにゴーグル、ビンテージ・リーバイス66に
ブラック・メタの革ベスト。そう、俺は今日、相棒と風になる。
昼はワイルドに相棒の鉄馬ハ―レーを駆り、夜はしっとりとジャズの
調べに酔う。 そして明け方、愛器のテナーサックスを携え、朝日を
浴びたおれはJazzmanに昇華する。
おれがジャズに出会ったのは15の時だった。当時の俺はロック魂に燃えていて・・・
そう、まるでガキだったよ。オヤジのジャズを愛する心が俺にも宿っていた
らしい、ウッドベースのオフビートが俺の鼓動に同調して思春期の俺に
jazzmanとしての覚醒を促した。あれは15の冬だった・・・・・

I can't help falling in jazz, saxophones and Harley-Davidson's bikes.
I love 50s'-60s' clssic american worlds so much. It's everything as me.
489ゲーム設置してたやつ:02/01/14 11:39 ID:eBwOJ8+I
新しいアカウント取りに行ってます
490_:02/01/14 11:42 ID:8jK2Bw8C
>>489
お疲れ様です。
復活したらまた、やらせて頂きます。
491*:02/01/14 21:36 ID:Oq/yGCM7
楽しみに待ってます。
492保存屋助手 ◆YgBRFits :02/01/14 23:59 ID:iKA3C/dX
明けましておめでとうございました。
結局年越し更新になってしまった。申し訳ない。

各章ごと、一気読み、共にかなり前後を編集。ストーリーも終盤に近づいて
きたんで、各バトルはできるだけ続けたほうがいいだろうと思い、KKラス
トバトルは4章ぶちぬきにしました。清水編も今後はそうしたい。
ただし、これは職人さんにストーリーを書く順番を強制するものではないの
で、心の赴くままにマイペースで書いていってください>職人さん各位。
いつも楽しみにしています。編集するのが本当に楽しみだ。

現在の状況・武器一覧も、新たに死人が加わってしまったので更新。一旦死
人名簿に入れた斎藤(雅)は生存者へ復帰。それと入れ替わるように桑田が
死者に。少しせつないな。

>>409-410
面白いんですべてが終わったら戦績?まとめるのに参考させてください。

>ゲーム設置してた奴さん
保守・管理乙カレー。
やっぱり活路は海の向こうにあるんだろうか。
493 :02/01/15 16:55 ID:3BOi17W6
age
494代打名無し:02/01/16 14:25 ID:I61ImHrN
捕手
495 :02/01/17 02:14 ID:zMsiLztg
>保存屋助手さん
いつもお疲れ様です。
本当にラストに近づいてきた感じですね。
職人の皆様にも、保存屋助手さんにも感謝です。

ついでに保守age
496代打名無し:02/01/17 22:07 ID:CVn2Ryg8
>492
おつかれさまです。こうしてまとめて一気に読むとまた泣けます。
いよいよラストに近づいてきたようですね。
職人のみなさん、期待してます&捕手age
497*:02/01/18 21:32 ID:Fw1lV47z
ハァ、巨人のバトロワゲームやりたいな…age
498代打名無し:02/01/19 06:41 ID:VVqVUGVO
バトロワ就職版→バトロワ犯罪者版と流れてきた者ですけど
ここが一番面白いですね。 一気に読んでしまいました。
続きを期待してます。
499代打名無し:02/01/20 02:18 ID:IgetcCSN
読み返してみたけどやっぱり凄いです。
できれば村田真の話とか見てみたかったですけど、小吉さんと…(w
続き期待してますage
500代打名無し:02/01/20 02:31 ID:ANvJn0RJ
>>497
川上しく同意!!
501*:02/01/20 18:55 ID:ndT9aKI2
ゲームなくなってから毎日が退屈だよ…。やってた時はいっつもハラハラドキドキワクワクしてたからね。
やりたいな〜!
502_:02/01/20 19:54 ID:Eap3GGtP
>>501
まあ、ゆっくり待ちましょう。小説もゲームもね。
503 :02/01/20 21:18 ID:Ib0uHHN0
君たち、キモイからどっか別のところで続きをやってもらえませんか?
504ゲーム設置してたやつ:02/01/20 21:21 ID:IQf93uqO
http://isweb41.infoseek.co.jp/sports/ygbr/
今は時間が無いので文字コードの関係か上手く設置できない2はとりあえず諦めました。
あとあまりこっちのノイズになるのはアレなので
折角ゲーム用に設置したBBSもありますし
http://8133.teacup.com/ygbr/bbs
ゲームについてはそちらでよろしくお願いします。
505代打名無し:02/01/20 22:51 ID:7fcBdhsm
>504
乙彼ー!待ってたYO!
506代打名無し:02/01/21 01:00 ID:ihge7K4U
>>504
お疲れ様です!!
これでまた一部の人たちとバカできそうです(w
507_:02/01/21 15:00 ID:zizqJARk
>>504
早速遊ばせて頂いてます。お疲れ様でした。
508*:02/01/21 17:22 ID:rNpPWg6e
ありがとうございます!早速バカやりに逝って来ます!!
509策士・邂逅11:02/01/22 23:25 ID:AC9QUMLu
ブリーフケースから森が取り出した物、それは一枚の紙だった。身を乗り出して五十嵐はそれを見た。

「地図……?」

五十嵐が思わず呟いた通り、それは島の地図だった。
もっとも、どこにある島なのか五十嵐には見当もつかなかったが、それに目を走らせた古田が
ああ、そこやったんか。と呟いたのを聞いてその地図の意味する事は判った。

「ふむ、やはりあたりはつけていたのか。突き止めようとは思わなかったのかね?」
「知ったところでどうしようも無いんではねぇ… それより優先してやるべき事が有りましたし」

五十嵐は古田の言い方に引っかかる物を感じたが、それよりも確認したい事があった。

「森さん、つまりここが」
「…そう、プログラムが行われている場所だよ」
「そ、それがわかってるんだったら…どうにか出来ないんですか?」
「まぁ、難しいだろうねぇ。向こうだって監視体制は整えているだろうし、武装もしている。
 遭遇したら戦闘は必至だ。そんな騒ぎを起こしてみたまえ。間違いなく上層部は危険が迫ったと判断し、
 最も手っ取り早い口封じにでるよ。つまり」
「首輪の一斉爆破…そして誰もいなくなった……っちゅうわけや、五十嵐」
「……どうしようも無い…って……そういう意味ですか」

つまり。入来さんが生き残るよう祈るしかない。そういう事なのか。

「入来さん……」

やりきれない思いで五十嵐は呟いた。
510代打名無し:02/01/22 23:26 ID:AC9QUMLu
取り敢えずsage
511代打名無し:02/01/22 23:59 ID:mUY4CPZo
入来兄弟を会わせてやってくれとお願いしたいところだが
古田の鉄壁の守りをかいくぐって兄が脱走するのも
全員ぶち殺して弟が生還するのも、どっちも難しそうだなぁ・・・。特に後者。
512代打名無し:02/01/24 02:24 ID:eBlNylLn
保全下げ
513代打名無し:02/01/25 01:14 ID:pCdtADSW
保全下げ
514代打名無し:02/01/25 11:04 ID:zRh3MGCD
>509
島の地図まで入手しておきながら・・・森。

この島はハワイのどっかの島だったよね。
古田や高津がハワイで自主トレしてる理由は、ま、まさか。
と、「現実と虚構の区別がつかない」ことを言ってみる上にageてみるテスト。
515代打名無し:02/01/26 14:33 ID:YZ5Zblt+
保全下げ
516代打名無し:02/01/26 22:27 ID:Tu3bJq0z
清水編の続きが読みたい。age
517代打名無し:02/01/27 13:07 ID:6JsjAo9t
現在、プログラム開始から4日目の夕方あたり?
古田編は3日目の夜だと思ってたんだけど、時差があるか。

原作だとそろそろ美少年と美少女の対決があるころだよね。
清水編の職人さんはその辺りで悩んでいるんだろうか。
がんばってくださいage。
518バトルモナイアル:02/01/28 17:05 ID:Hyifw8zr
519代打名無し:02/01/28 17:47 ID:+ULmoJPc
どうでもいいけど清水ってもう死ななかった…?
あれからまだ続くの?
520田中編:02/01/28 17:47 ID:gNdTgjic
「……マジかよ、これ……」
田中健太郎は選手名簿を前にして呻いた。
右腕には鈍く底光りする黒い金属の塊を抱えている。
ヘッケラー&コッホMP5A3短機関銃。
紛れもなく大当たりに分類される武器だったがしかし、
田中はそれにものを言わせて優勝を狙う気には到底なれないでいた。
一緒に入っていた取扱説明書にはスペックも記してあったのだが、
その値たるや銃に関しては当然ながら素人の田中をして怯ませるに余りあるものだった。
初速がなんとか射程がどうとかは措くとしても、発射速度――
実に毎分八百発という強烈な数字だった。
一見たっぷりあるように思える、三十発入り×五の予備弾丸まで費消し尽くすのに
要す時間がものの一分に満たないという事実に田中はしばし呆然とした。
その衝撃から立ち直りかけたところで田中は別の、さらに恐ろしい事実に思い至った。
可能な連射は一度につき弾倉ひとつの中味を吐き出し切るまで、
つまり弾幕を張れる時間はわずかに二秒余りでしかない。
ほかならぬ自分自身の命がチップだというのに賭けに出られる倍率では全くなかった。
そういうわけでとりあえず田中は誰かに出くわすことのないように、
ひたすらそれだけを念じてスタート地点を後にした。
それなりの距離を稼いだところで、ぽつんと建った民家を見つけ、そこへ這い込んだ。
集落ならまだしも、孤立した建物に入り込みたがる奴はそういまいと踏んでのことだ。
その通り田中が陣取ってから今まで誰が侵入してくることもないまま経過していた。
時折銃声らしき音だとかもっと派手な爆発音だとかが聞こえてくることはあったが、
直接的な身の危険が迫ってくることはなかったのだ。
夕立のやってきた時などは雨宿りしにくる奴がいないかとか、物音が雨に紛れるからとか
神経を尖らせもしたが結局何事もなく通り過ぎていった。
電気が止まっているから冷蔵庫は開けなかったが缶詰だのパンだの日持ちする、
なおかつ調理せずとも食べられる類の食料もあったし、
都合よく手押しポンプの井戸があったりもして飲み食いには当面困らない。
ともかく田中がすこぶる快適な家へ引きこもっているうちに
プログラムは至って”順調”に進んでいるらしかった。
放送を信用するなら生存している選手はいまや一桁を残すのみになっている。
一口にチームメイトと言ってもファームで一緒に汗を流した仲間から
雲の上みたいな人までピンキリだが、そのうちの誰を取っても
殺すの殺されるのの様は想像し難かった。
それがこれほどまで数を減らしているというのは――
唐突に背後で物音がして、田中は反射的に振り向き、
MP5を持ち上げそちらへ向けて構える。
一気に跳ね上がった鼓動がうるさいほど頭に響く。
だが一呼吸、二呼吸と静寂の時間が過ぎた。
(気のせいか……?)
田中が声には出さず呟いた瞬間、先刻と同じ音がもう一度した。
今度ははっきりと、ノブの回る音と判別できた。勝手口だ。
閂を掛けてあるから開かないはずだ、が。
(まずった、か……?)
それが失策だったかもしれない、田中はそう思った。
外をぐるっと一周すれば壊れた窓やドアがないことはわかるし、
ならば鍵は中から閉められたのだと――誰か中にいるのだと、
確信までは持たないにせよ可能性としては考慮するだろう。
そして、わざわざ自分以外の人間がいるほうへ進む奴、というのは
積極的に殺して回っている奴である公算が高い。
このまま引き返してくれるならいいが、そうでないときは――
田中はMP5の引き金へ指をかけ、ごくりと唾を飲み込んだ。
521代打名無し:02/01/28 20:37 ID:yLZZQX2I
>519
撃たれたけど、まだ死んでないぞ。
>520
田中編待ってましたよ!これで全員登場か。
この後やはり誰かに出くわしてしまうんだろうか・・
続き楽しみにしてます。
522代打名無し:02/01/28 20:44 ID:ahvY7anr
>ヘッケラー&コッホMP5A3短機関銃
思わずどんな銃なのか検索してしまった
523_:02/01/28 21:13 ID:dwxVkxWb
>>520
待ってました、田中編!!
入ってきたのは誰なんだ・・・?気になる!!
524お前らやおいオタ女以下:02/01/30 00:31 ID:JtTgocEM
709 :名無しさん@どーでもいいことだが。 :02/01/29 20:59 ID:E/7TdNoA
同人もさることながら矢級板の場トロ和スレなんか実はかなりやばいのではと不安。
場トロ和のほうがある意味801よりまずいような・・・
525代打名無し:02/01/30 17:26 ID:WGTUbgox
>>520
久々に訪れたら、田中編が!
あ〜続きがきになる!

職人さんのみなさん、楽しみにしてます!!!
526代打名無し:02/01/31 01:36 ID:9U0NkAe6
>>524
その文章、お前が自分で書いたに10000ミスター
527代打名無し:02/01/31 01:42 ID:pvq7tkqg
>>524
つーか、広島のバトロワの方にもコピペするな
528代打名無し:02/01/31 01:48 ID:WxbvO8sX
つーか反応するな
529_:02/02/01 22:37 ID:U5288hwK
あげ
530代打名無し:02/02/02 23:43 ID:0tdxoAGi
保守カキコ
531代打名無し:02/02/03 19:58 ID:e9ygwvn5
捕手阿部
532田中編:02/02/04 11:06 ID:4+dn1T81
田中は窓から差し入る西日の作った朱色の帯を横切って台所へ立った。
ひとつ深呼吸をしてから、すり足で勝手口までの距離を詰める。
田中の緊張とは裏腹に、周囲には再び沈黙が戻ってきていた。
だが、気を抜くのはまだ早い。すんなり開かないドアを諦めて、
ガラスでも割ってみる気になっただけかもしれない。
田中は汗の滲んだ掌を大腿のあたりへこすりつけて拭った。
MP5を握り直して、周囲を見渡す。
勝手口を捨てたなら隣接する風呂の窓が一番手っ取り早いはずだった。
まともに考えれば騒ぎを避けるに越したことはないに決まっている。
が、たかがガラスを割る音がどこまで響くか、数少ない生き残りが
偶然その範囲内にいる確率がどれだけあるか、そのあたりを天秤に掛けたら
……いや、それ以前に銃声のほうが遠くまで届くだろう。
銃を使うつもりなら窓ガラスどうこうは端から問題にはならない。
ましてやこれまで生き残り、殺し続けて来ている奴なら質量ともに相当の武器を
携えていると見て間違いないだろう。誰か来たとしても返り討ちにできる、
獲物が増えるだけとさえ考えているかもしれない。
そういう奴が、来るのだ。
(先手必勝だ、躊躇ったら死ぬんだぞ、俺)
田中は映画かテレビで聞いたような台詞を頭の中で唱えた。
不幸中の幸いというべきだろう、せっかくこうしていい武器を貰っているのだから、
活用しないで死ぬほど馬鹿らしい話もない。
勝手口へ目を注いだまま、じりじりと後退し台所を出た。
そこで田中はいったん足を止め、左右――廊下へ繋がる扉と、
ダイニングとリビングがひとつながりになった部屋とを見比べた。
リビングの南側は全面窓で庭へ直接降りられる造りだが、鎧戸が閉まっている。
北側、ダイニングの出窓は正面が填め殺しで側面しか開かない。
西側の窓は飾り格子のために人が通るのは無理だ。
つまり――この扉をさえ意識していればいい。
そう考えながら田中は磨りガラスの入った扉のほうへ向き直った。
もう一度右手の汗を拭き、改めてMP5を胸前に構え引き金に指をかける。
(来るとしたら――誰だ?)
田中は生き残りの名前を幾つか思い出してみた。高橋由伸、松井秀喜、清原和博、
……クリンナップはきっちり生き残っているという事実に今更ながら気づく。
(……そのくらい運も実力もなきゃ天下の巨人軍のクリンナップは務まりませんってか)
声にはせずに田中が吐き捨てた瞬間、ガラスの向こうでなにかが動いた。
すぐさま田中は引き金を引こうとしたが、それより先に単発の銃声が響いた。
田中の眼前、磨りガラスが微塵に砕けて雪崩れ落ちる。
一瞬、田中は反射的に首を竦め頭を下げて防御の姿勢を取ったが、
銃相手では気休めにもならないくらいは承知していた。
必要なのはそんなことではなく、次を撃たせないことだ。
田中は顔を上げた。
敵は両手で拳銃を構え、まっすぐに田中を狙っている。
クリンナップの誰でもなく『とりあえず昨季は結果的にエース』、
入来祐作だった。が、それはこの際どうでもいい。
撃ってきたのだ、向こうは十分やる気なのだ。
(誰がおとなしく殺られてなんかやるかよ!)
田中は力一杯引き金を絞った。
しかし――がちん、と硬質の手応えがあっただけで、弾丸が出ない。
「えっ……!?」
――安全装置だ!
安全装置を解除しなくては撃てない、すぐに田中はその解答に辿り着いたが、
そのときにはすでに行動に移す必要は消え、また不可能にもなっていた。
真正面から飛来した9ミリパラベラムが田中の頸椎に食い込んでいたのだ、
もちろん軌道上に位置していた気管だの動脈だのを容赦なく破砕して。
着弾の衝撃でのけぞった田中の喉から血が噴き上がり、天井にまで赤い帯を引いた。
そのまま仰向けに倒れ込んだ田中の目は見開かれていたがもはや何も映してはいない。
力を失った両手からMP5が床へ滑り落ちた。
533代打名無し:02/02/04 11:35 ID:jxfIGoCn
うわ…入来が強力な武器を手にしてしまった…。
534_:02/02/04 13:25 ID:NcWQrm9Y
田中・・・
レクチャービデオさえ見てればこんなことには・・・(泣)
535代打名無し:02/02/04 14:14 ID:DHqnMpSu
うおー!!この先入来どうなるんだろう・・
田中は可哀想だったが、またまた面白い展開になったね。
536代打名無し:02/02/04 18:00 ID:cWt3FXEW
うわー!入来がやる気モード全開だぁ・・・
こうなったら清原と壮絶バトルきぼーん。
しかし、最初はまさか入来がここまで生き残るとは思わなかったな。
537代打名無し:02/02/04 21:13 ID:4NuhfW2Z
ちゅうか田中、未登場から一足飛びに死者のリストへ・・・哀れ。
538代打名無し:02/02/06 03:57 ID:j8DXTvG6
よしさげるぞ
539代打名無し:02/02/07 00:56 ID:DDrK6Nzz
入来ー!KK以来の壮絶バトルになるか?
540名無しさん:02/02/07 08:01 ID:E/hObxxu
sasuganiage
541_:02/02/07 11:17 ID:bMojRef+
ねーまだやってんの?
シーズン入っちゃうんだけど
542代打名無し:02/02/07 15:49 ID:unpFMMRB
清原ではなく高橋由伸を殺ってほしい。
清原は松井組と戦う。清原死んでも入来死んでも面白くない。
543代打名無し:02/02/08 00:47 ID:DbHNLD9R
でもこれ以上入来を自由に動かすとラストが収集つかなくなる気がする。
今までも基本的なところは原作に沿ってきたわけだし。
ここまできて完結しないままdat逝きってのは寂しいし
ラストの流れは原作通りでいってほしい。
544_:02/02/08 08:42 ID:CsQnor02
そうそう、ちょっと横道にそれ過ぎっ
そろそろ読者も飽きてきたぞ…タイミングも大事
545代打名無し:02/02/08 09:41 ID:GtjkelrB
あのさぁ、そういうのは職人さん本人に任せろよ。
飽きたなら読むな、書き込むな。
ちょっとした意見や感想ならまだしも…
546代打名無し:02/02/08 13:01 ID:qOnxzojx
自分は原作通りでもオリジナルでも面白いと思うけどな・・・
職人さん方、期待してます。
547代打名無し:02/02/08 14:32 ID:wPvS0QSr
>>543
入来はヤクルト側との関係があるから原作どおりってわけにはいかんだろ。
548代打名無し:02/02/08 17:30 ID:JEiQj4kW
職人さん達のお陰で楽しませてもらってるんだから
感謝しております。ありがとう!!!

職人さん方、楽しみにしてます!!!

549543:02/02/08 21:31 ID:RyhIbbsg
荒らした形になってしまって申し訳ない。
原作通りのほうが職人さん方も話を進めやすいかと思って
話をふってみたんだが。
まさか544みたいなのに同意されるとは思わなかったんだよ。
自分は本当にこのスレ楽しみにしてます!!
職人さん方、本当に申し訳ございません。

>>547
ヤクルト側はどういう展開になっても対応できると思うんだけど?
550 :02/02/09 02:37 ID:p0+eciZf
唐揚げ
551名無し:02/02/09 21:47 ID:8AVw2B+Z
ゲームの方に行けない・・・なんでだ!?
552代打名無し:02/02/09 21:49 ID:uUsb6oIo
落ちすぎるんですけど…ゲームの方…
553551:02/02/10 10:18 ID:7Ac21F7R
解決、お騒がせしました
554代打名無し:02/02/10 11:21 ID:bfsL2y8e
落ちるのはスクリプトの問題じゃないしなあ
555代打名無し:02/02/11 14:19 ID:L3dX/Z1c
サーバーのせいなんだろうね
556におか:02/02/12 01:34 ID:Cysa97cz
ゲームの方、参加人数少なっ!
557代打名無し:02/02/13 06:21 ID:0EjRWgvO
あげてもいい?
558代打名無し:02/02/14 18:42 ID:N61Z53FS
保全sage
559代打名無し:02/02/15 15:28 ID:Anc7eVbb
どっかで職人さん方相談していただくわけにいかないのかなあ
なんかそうじゃないと進められないような感じになってるみたい(?)なので

ここまで来て完結しないのはあまりに淋しい。
560代打名無し:02/02/15 16:19 ID:42xK+n7A
んー勝手に終わらせて良いってことなら一気に書いちゃっても良いけど
そういうものでもないだろうしねえ
561原作知ってる奴:02/02/15 19:11 ID:CY0KseDC
つか、原作通りにいくなら清水編の人が続き書かないと
その後に続く面子の話が書けないのでは・・・
あと、原作だと実質ゲームが終わったら話も終わるけど
ここの話の場合、ゲーム終了後も何かありそう。
562代打名無し:02/02/15 21:34 ID:/WBi8Xa4
清水編書いてた者じゃないけど、続き書いてみようかと思う。
ちょっとイメージ違ってしまうかもしれないけど。
563代打名無し:02/02/16 00:43 ID:W0kzDHxy
清水編から最後の対決までは一気に話が進むから難しいんだろうな。
職人さん方がんばって!
564堀田清水編1:02/02/16 20:44 ID:nOILthov
子供の頃、怖い夢をよく見た。
俺が部屋で眠っていると、何か物音がして目が覚める。
雪明りに照らされた窓には、巨大な黒い影が映っている。
影がどんどん俺に近づいてくるのに、体が動かない。
影は俺の枕元にまで近づき、冷たい手を首に巻きつけてくる。
殺される!助けて!悲鳴をあげながら飛び起き、部屋の中を見回す。
黒い影はどこにもいない。悪い夢だったのだ。大丈夫、悪い夢はいつかは覚める。
そう思いながら、また眠りにつく。楽しい夢を願いながら。
しかし、この現実の悪夢は覚めない。殺意を持っているのは俺なのだ。

「汚れて、傷はついちゃったけど使えるぞ」
ぼんやりと回想にふけっていた堀田は、その言葉に促されるまま腕時計を拾い上げた。
手の中の腕時計は、ずっしりと重い。ふと、考えた。
この時計で、希望に満ち溢れていた過去に遡れたらいいのに…
「お前、マンガの読みすぎだっての」突然、松井の声が堀田の耳に甦った。
あれは確かドームでの試合前、キャッチボールの時だったろうか。
「俺と清水さん、いっそフュージョンできたらいいのに…」
いつもの他愛無い会話の中で、俺はそう言った。
一瞬の沈黙の後、周りから笑い声があがった。
「お前、マンガの読みすぎだっての」と横でキャッチボールしていた松井は笑い、
「修行が足りないから俺には無理だよ」と清水も笑った。
俺も一緒になって笑った。でも俺は本気だった。
守備にも足にも自信がある。問題は打力だと言われ続けて、もう何年経つだろう。
無為に過ごしていた訳ではないが、結果として現れない。
上からは離されて行くばかりで、若手からは追い上げられる。
焦りは諦めへと色を変え、諦めは激しい怒りへと変貌していった。
565堀田清水編2:02/02/16 20:45 ID:nOILthov
「それから、これもやるよ」
清水はぎこちなく右腕を動かし、ポケットから100円ライターをつかみ出して
堀田の方へ放った。
「それで生の木を燃やせ。焚き火を、二つ。そしたら、どこかで鳥の声が聞こえる。
 その鳥の声の方へ進めば、松井と二岡と川相さんがいる。きっと助けてくれる」
―きっと助けてくれるって言われても、俺の方が松井に消えて欲しいと思ってるのに。
「なんで、どうしてなんですか?」
堀田の混乱した頭では、その問いを搾り出す事しか出来なかった。
「え?あぁ、俺は禁煙中だからライターはいらないよ」
清水は苦しげながらも、にやっと笑った。
「いや、そうじゃなくて…。腕時計の事なんて忘れてたのに、何故わざわざ?
 って事ですよ。俺を探してくれてたんでしょう?」
清水はちょっと驚いたように堀田の顔を見て「そうだな。なんでだろう?」と、呟くように言った。
それって一体?天然ボケの域を越えてるだろ!!
考え込んでいる清水を横目に見ながら、堀田は呆れ、かつ妙に感心してもいた。

しばらくして、清水は途切れ途切れに、しかしハッキリした口調で言葉を続けた。
「俺は、誰も殺せそうになかったし、―もちろん、自分も死にたくなかった。
 ゲームが始まって、デイバックの中身はよく分らない機械で、どうしようかと思った」
だんだん擦れて小さくなる清水の声を聞くために、堀田は清水のそばに膝をついた。
「その時に、腕時計の事を思い出した。お前を探して、渡そうと思ったんだ。
 ゲームの目的を―みんなを殺して生き残る事ではなく、堀田を探して、―探して、
 時計を渡す事に、無意識に、変えてしまったのかもしれない」
堀田はただ黙って、清水の話を聞いていた。
「だから、俺のゲームはもう終わり、ゲームセットだ。なんだか、ちょっと、、
 ホッとしてる…、今まで――俺が生き残ってこれたのは、お前のおかげ、かもな…」
清水は薄れゆく意識の中で、これまでの事を思い出していた。
堀田を探して島中移動している間、たくさんのチームメートに会えた。
まぁ、そのほとんどが死体だったが…。
それでも生きている人達、松井たちや、由伸、キヨさんにも会えたし、
仁志さんの最期にも立ち会えた。自分が死ぬ時には、こうして見守ってもらえてるし。
俺って結構ラッキーだったのかも?もしかして。
566堀田清水編3:02/02/16 20:47 ID:nOILthov
ごほごほと咳をして、血を噴き出した清水に「大丈夫ですか?」と声をかけた後、
堀田は自分の白々しさにカッとなった。
自分が撃ったから死にかけてるのに、何が”大丈夫ですか?”だよ!!
「は、早く逃げた方がいい。誰か―来る前に。長話しすぎたな。―あ、それから…」
それから、の後の言葉を待ったが、もう清水は何も言わなかった。
肩をつかんで揺すってみたが、清水の体からは何の反応も得られなかった。
俺が殺した。俺が、死ねばいいと願い、それを実行して殺してしまったんだ。
立ち上がる気力も無いまま、小雨の降りしきる地面に堀田は座りこんでいた。
これは悪い夢だ。堀田の目から、ぽろぽろと涙こぼれた。
体中傷だらけなのに、なぜかとても安らかで満足げな清水に悔しさを感じた。
まだ、俺のゲームは終わっていない。まだ俺は負けてはいない。
必ず生き残るんだ。そう自分に言い聞かせても、堀田は涙が止まらなかった。

「はーい、終了ーーっ」誰かが言った。
びくっと体を震わせ、堀田は振り向き、そして見た。
少し長めの髪を雨に濡らした高橋由伸が自分を見下ろし、その手が拳銃を構えているのを。
ぱん、ぱん、と乾いた音が二度鳴り、堀田の右こめかみに二つ穴が開いた。
堀田の体は、清水に折り重なるように倒れた。額の穴からは血が溢れ出し、顔を伝う。
高橋由伸は、佐々木から手に入れたスミスアンドウエスンM19・357マグナムを
降ろして、言った。
「余計な事してくれちゃ困るなぁ、堀田さん」
堀田の体を軽く足で払い、高橋はその下の清水の顔に視線を移した。
そして、口を尖らせながら呟いた。
「清水さんは、俺が殺したかったのに」
567代打名無し:02/02/16 21:21 ID:iF0gppO+
清水ー!!清水ーー!!
なんていい奴なんだ・・・
568代打名無し:02/02/17 00:19 ID:UuMoaF8X
保守。あぶねー
569代打名無し:02/02/17 03:40 ID:v1cP1i1y
しーみーずー!!
570代打名無し:02/02/17 22:36 ID:qbnMQIh7
しーみーずー!
571代打名無し:02/02/18 00:04 ID:aCa1YknR
しーみーずー!!!!!
572堀田清水編4:02/02/18 02:59 ID:tutzmMNx
雨に濡れた前髪を鬱陶しそうに掻き上げながら、由伸はその場にしゃがみ込んだ。
「清水さん、久しぶりですね。満足しましたか?やっと見つけた尋ね人と一緒に死ねて」
やれやれというように頭を振ると、堀田が取り落としたスミスアンドウエスンM59と、清水が放りだした(これはかつて由伸が持っていた)コルト・ガバメントを拾い上げるために、腰を浮かそうとした。
「ヨシ…ノブ……」
由伸はギョッとした顔で声がした方に目をやった。
「清水さん、あんたもホント、いい加減しつこいですよ?まだ生きてたんですか?せっかくなんだから堀田さんにあっさり殺されてりゃーいいものを。そんなボロボロになってまでまだ生きてるなんて。どこまでも不運な人ですね」
清水に由伸の声が届いたのか、届かなかったのか。清水は虚ろな目で、言葉を押し出すように唇を動かした。
「由伸…キヨさんには…気を付けろ。俺がお前に言ってやれるのは、それくらいだ…」
由伸は心底呆れ返っていた。
「清水さん、状況理解してます?俺が堀田さんを殺ったんですよ?その俺に、気を付けろって?ふざけすぎですよ、それ。おまけに笑えないし――」
やっぱりこの男が考えていることは、俺には理解できない。そう思った。こんな場面でも天然っぷり大発揮ですか?まったく…とことんお間抜けな人だ。あんたは。
でも――。
「俺が止めを刺してあげますよ」
もともとあんたは俺が殺すはずだったんだしな。
清水は微かに笑んでいた。由伸にはそう見えた。さっき堀田を撃った、スミスアンドウエスンM19・357マグナムの引き金に指をかけ、清水の額に狙いを定めた。ぱん、と再び乾いた音が鳴った。
清水はなおも満足そうに笑んでいた。少なくとも由伸の目にはそう映った。
「清水さん、俺あんたのこと嫌いじゃなかったよ。だから俺の手で殺せて本望ですよ」

清水隆行は、今度こそ本当に息をひきとった。
無造作に地面に転がっている、清水ご愛用のカルティエ・パシャの秒針が、何事も無かったかのように正確な時を刻んでいた。
573代打名無し:02/02/18 21:36 ID:fujzCr9P
ああああああ・・・・清水・・・
574代打名無し:02/02/19 12:02 ID:1zme5TXq
いよいよだ
575代打名無し:02/02/20 00:46 ID:i4KCzLGT
確保下げ
576代打名無し:02/02/20 22:03 ID:nj491Hbh
清水…とうとう。清水といい斎藤といい良い人が消えると悲しいな。
(斎藤は死んじゃいないけど。)
いよいよ大詰めですね。各職人さん、頑張ってください。
577策士・邂逅13:02/02/20 23:26 ID:Uw5wrD72
「しかし森さんも人が悪いですな。手出しをするな、と言いつつ今更こんな物を見せて…
 何を考えているんですかね」
「いや何、こっちから協力を呼びかけるんだから、こちらの動きを知らせておかないと信頼は得られないだろうと思ってね。
 それに、誰だって無能な相手とは組みたくないだろう。
だから、こっちの能力を見せておく必要もあるしね…他にも幾つか持ってきてあるよ」

 森の言葉通り、もたらされた情報はそれだけではなかった。
中でも五十嵐が驚いたのは原に仕掛けた盗聴機から拾った会話だった。
それを信じるならば、クロマティもこのプログラムの進行に一役買っていた。
昔、TVで見たクロマティの印象は勝負強い陽気な男、といった物だった。
しかし。テープから流れてきた現実は少年の頃に抱いた幻想をあっさりうち砕くのに充分だった。
あの頃でさえ既に、巨人は闇に覆われていたというのか。
その深遠さを改めて感じ、五十嵐は寒気すら感じたがそれを振り払うように疑問を口にした。
578策士・邂逅14:02/02/20 23:27 ID:Uw5wrD72
「しかし…何故こんな物まで…」
「原君もこのプログラムには大いに戸惑っていたようでね。私の所に話を聞きに来たんだ。
 その時に……ね。最も、彼も忙しい身のようで殆ど時間はとれなかったんだがね。
 彼個人としてはプログラムには反対のようだったが…
 まぁ、彼にはどうすることもできなかったのはこのテープの通りだ」
「そうですね…しかし残念です。もし上手くいっていれば」
「確かにそうだが現実問題として一人でどうこうというのはやはり無理だろう。
 …さて、これで私の話すべき事は全て話したつもりだ。そろそろ君の返事を聞きたいんだがね、古田君」

 部屋を沈黙が包んだ。ややあって、それを古田が破った。
579代打名無し:02/02/21 08:49 ID:5w4j8d5o
こんなところで待て次号だなんて・・・
気になるよ〜
580保存屋助手 ◆YgBRFits :02/02/22 02:08 ID:g2uCwJX6
キャップのつけ方ってこれでよかったんだっけ? 保存屋助手です。
大分動きがあったんで、一気読み・各章ごと・武器一覧・現在の状況を更新。
話はこっちのアップ順とは変えてある。KK対決に同じく
清水絶命編も一気にいきたかったんで。
流れとしては、清水・堀田・由伸編→田中健太郎登場と同時に入来にあぼーん編→森の地図編、になってる。
現在の状況、斎藤(雅)は事実上戦線離脱ということで注意書きをつけてみた。
原作ベースの話の進み具合も気になるし、初期はともかくすっかりオリジナル設定になった
入来と絡んでヤクルトの面々v.s.森の行方はどうなる!? というところですか。
職人さんたち、これからの盛り上がりに向けて殺伐とマターリモードでがんがってください。
581代打名無し:02/02/22 23:24 ID:1pxaj2Wj
>>580
おつかれさんです。
セイロクさん・・・確かに離脱だ。今頃何してんだろうな・・・
ヤクルトと森の行動も気になるところで、生き残ってる選手たちも
いよいよですね。ついでに捕手sage
582代打名無し:02/02/23 11:19 ID:ODrrvvCm
>>580
いつもお疲れさまです。
古田がどう答えるかで、兄貴の命運も変わってしまうんだろうか・・・
583清原編:02/02/24 12:25 ID:lTCB+ney
このスレ面白れー!ってことで俺も書いてみた。桑田が投身自殺して、毒抜けんのを待ってるときだと思ってください。

みんな殺してやりたい、そう考えた後に、清原はふと思った。
俺、なんでここまでして巨人が好きなんやろ?
よくよく考えてみれば、清原が「巨人よありがとう!」なんて感謝できる出来事というのは、あまりなかった気がする。
黒い交際事件であっさり人身御供にされたときも、オーナーに暴言吐かれたときも、打点王候補だというのにバントさせられたときも、清原は悔し涙を流したものだ。
もちろん、あのドラフトのときも。
それでも、巨人が好きだ。
惚れてフラれてヨリ戻して冷たくされてそれでも好きなんて、まるでどこかのメロドラマのヒロインのようだ。
みっともない、情けない、自分にプライドというものはないのか。
「しゃあないやん」
清原は、思わず声に出していた。
好きなんや、好きで好きでしょうがないんや。こればっかりはどうしようもでけへん。
余計なこと考えたらあかん、と清原は自分に言い聞かせた。
後ろを振り返ったらあかん、桑田のことなんてもう考えんな、忘れろ!
俺はもう1回このユニフォームを着てバッターボックスに立つんや!・・・といっても、もうユニフォームは血にまみれてなにがなんだかよく分からなくなってしまっているのだが。
清原はじっと空をにらみつけた。まだいけるで。なにがあっても逃げへん。絶対勝つんや。
ふと、由伸と松井の顔が浮かんだ。あいつら、まだ生き残ってる。
「負けへんで」
清原は、はっきりと声に出した。
「巨人の4番は、俺や」

文才なくてスマソ。
前までの清原像とちょっと違うので、都合悪かったら無視してくれてかまわんです。
続き楽しみにしとります。
584訂正:02/02/24 18:31 ID:SbVKmR+0
黒い交際事件→暴力団脅迫事件
585代打名無し:02/02/24 20:30 ID:k/n5LS/2
>>583
どんなに冷たくされても巨人が好きというのが清原だねぇ。
最近、清原出てないんで(KK対決以来)ちと嬉しかった。
586代打名無し:02/02/24 22:08 ID:aWyVrasU
巨人バトロワまた落ちてますね・・・
今度は激しく・・・
587代打名無し:02/02/25 00:47 ID:CAtOkp5L
ttp://isweb.infoseek.co.jp/contents/exami.html

サーバーが逝っちゃってるみたいですね
588名無し:02/02/25 16:50 ID:uuH68VE5
ゲームの方復活したがいままでのハイスコアとか消えてる・・・・
589入来編:02/02/25 17:25 ID:EditcwSk
緩い斜面を吹き下ろす風に混じった意外な匂いに、入来は思わず風上を仰いだ。
固形スープかなにか、そういう匂いだ。普通に考えればごくありふれた匂いなのだが、
いまこの場ではたとえば血か硝煙ならそちらのほうがずっと当たり前に思えるだろう、
まったく忌々しい話だが。
ともあれ煮炊きをしているというのはつまりそちらに間違いなく誰かいるということだ。
誰か――敵が、殺すべき相手が。
理性のレベルではよくもこんなときに呑気に調理などする、と皮肉めいた感想を
抱いたのだが、もっと奥深いところでは全く別の感情が動いた。
このくそ下らないゲームが始まって以来、あまりに多くが死に過ぎている、
互いに殺意を向け合った高野や三沢すらもはや生きてはいないのだ。
人間らしさとおよそかけ離れたこの状況ゆえの、端的に表現するなら人恋しさだった。
どちらに従うにせよ、入来の選ぶ方途はただひとつしかあり得なかった。
匂いの源を辿る、探し当てる。その先を具体的に想像はできないが、
きっとこの手は引き金を引くのだろう、というある種の諦めが胸中をよぎる。
なにしろ田中と遭遇し、そういう結果になってからまだ幾らも経ってはいないのだ。
苦い笑みの残滓を口元に留めたまま、入来は道を逸れ、茂みを分けて斜面を登り始めた。
大した距離も進まぬうち、丘の頂上近くへ至った入来の前に、
草木に埋もれるようにして建っている荒ら屋が現れた。
道も消えているし棄てられてかなりの時を経るのだろうがまだ家の形はしている。
そちらへ近付きかけて、入来は足を止めた。
膝下あたりの高さに、糸が引かれているのに気づいたからだ。
下生えに紛れるように張られたそれは明らかにトラップワイヤーと見えた。
廃屋をぎりぎり視認できるまさに絶妙の位置、
建物に意識のおおかたを割いて迂闊な一歩を踏み出せば見事に引っかかるという寸法だ。
トラップといっても地雷か手榴弾でも支給されたのでなければ
入来自身のかつて仕掛けたそれがそうであったように鳴子どまりだろうが、
わざわざ引っかかって確かめるほど馬鹿な話もないだろう。
認識してさえいればトラップ自体を避けるのは容易いが、そのあとはどうなることか。
待っている相手は偶然頼みで今までを生き延びたわけではない、
それなりの意思と能力とを備えているのに違いなかった。
入来は左手を後ろに回し、ベルトに挟んだベレッタを確かめた。
右手のMP5に比べたら豆鉄砲だが、それでも人を殺すには十分なのだ。
唇を引き結んで入来は顔を上げ、廃屋の方を睨んだ。
590代打名無し:02/02/25 18:38 ID:gOkxcJXA
あわわわわわわわ
これは松井v.s.入来か川相v.s.入来なのか!?
まさか二岡と壮絶バトルってわけじゃ・・・。
591代打名無し:02/02/25 18:42 ID:havBIQmb
松井グループと協力して生還・・・は・・・無いかな・・・・(涙)。
592松井:02/02/25 18:44 ID:pMfzfyA8
入来タン一緒に帰ろう
593代打名無し:02/02/25 20:06 ID:kU4limDJ
なぁ、どうなんの?どうなんのよこれ?
すげーどきどきするんですけど・・・
594入来智:02/02/25 20:09 ID:kQ4R7Tzj
祐作ー!兄ちゃん待ってるぞ!!
595代打名無し:02/02/26 00:05 ID:5hypMp/h
わっ、間が悪いけど書いちゃったんでアップさせてください。
596由伸対清原:1:02/02/26 00:08 ID:5hypMp/h
「誰も助けちゃくれない・・・人生なんて、そんなもの」
堀田のものになるはずだったカルティエ・パシャの文字盤をパシリと
踏みつけ、由伸はこのゲームの中ですらきちんと整えていた眉を顰めた。
「そんなもんだ・・・宮崎」
宮崎は助けてくれた。自分を。同い年のくせに自分に敬語を使い、自分と
出会うまで一緒にいた佐々木の言うことではなく、自分の言葉を鵜呑みにして
自分の盾になって自分を救い、そして、自分をひとりにした。
否、宮崎にとどめを刺したのは自分だったのだが。
目の前には、自分が作り上げた死体が二つ。
ふつうなら、男二人で心中なんて、まっぴらだ。
『お願い、あなたと一緒になれないなら、せめて天国で・・・』。そう
すがりつく女(できれば年上がいいな)と、そうだな、たとえばヤクルトの
選手誰でもいいけど、その姉ちゃんか妹か、そのあたりと心中。哀れ、
ヤクルト入りの本懐を遂げられなかった若き天才スラッガーは、あの世で
ヤクルトを見守ることになったのでした。せめてこれくらい悲劇っぽく
いきたい。ヤクオタの親父への当てつけもある。ソープのお姉ちゃんと
心中ってのは河原さんみたいでやだし。
でもそれも、ふつうなら。平和な時なら。
確かに、安物の時計じゃないけどさ。
これだけの為に、三日三晩、たった一人を探し回ってたなんて。
こんなクソゲームのさなかに。
羨ましいけど。俺にはそんな奴がいなかったことが、妬ましいけど。
でもね、清水さん。宮崎。
やっぱり、誰も助けちゃくれないんだよ。誰も助けちゃくれないのに・・・
助けようと差し伸べた手を、銃や刀でめちゃくちゃにされるだけなのに。
お前ら、どうしようもなくおめでたいよ。
由伸は、文字盤を踏みしめていた足をどけた。
誰のものでもなくなった時計は、無残にも文字盤が中央からひび割れて、
もはや時を刻むことをしなくなっていた。
由伸は軽く首を振った。M59の上にかぶさっている堀田の上体を、文字盤を
踏みしめたのと同じ足で払いのけ、その青い銃に手を伸ばしかけて―――
由伸は、ぱららららら、という古びたタイプライターのような音を聞いた。
597由伸対清原:2:02/02/26 00:09 ID:5hypMp/h
同時に、背中にいくつもの衝撃が跳ねた。銃弾が上体を貫通し、ユニフォームが
大きく裂け、血が噴き出していた。足がよろけるのがわかり―――すぐに、
体の中に焼けぼっくいを押し込まれたような熱の感覚が膨れ上がった。
由伸の頭を占めたのは、しかし、その痛みによるショックよりも、そんな
ばかな―――という気持ちだった。この足元がぬかるんだ中、背後に忍び
寄る誰かの足音が全く聞こえないなんて、そんなばかなことがあるだろうか?
純粋に銃弾の衝撃で体が反転し、清水や堀田が横たわっている水たまりへ
倒れ込む瞬間、由伸は見た。
いったい、何人の血を吸ってきたのだろう。血染めのユニフォームの男が
立っていた。五分刈り、精力に溢れた顔立ち、双眸は血走り爛爛と輝いて、
荒い息を吐きつづけている男―――清原和博(背番号5)が。
生暖かい息を吐きながら、清原は仰向けに倒れた由伸の頬をイングラムで突いた。
反応はない。由伸の手からS&WM19・357マグナムを奪い、
そのまま立ち去ろうとした―――
「うああああああああああああっ!」
おめき声とともに、由伸がスタンガンで清原の背後に襲いかかる。らしくなく
不意打ちを喰らい、清原はたったいま手にいれたばかりの銃を取り落とした。
その隙を逃さず、由伸は最後まで持っていたカマを振りまわす。そこらじゅうに
ある合板を投げ飛ばしながら逃げる清原に、由伸は容赦なかった。ついに
廃棄物となったベルトコンベアまで追い詰め、清原の胴体に、ざくりと刃を振り下ろした。
手応えは―――あった。
598由伸対清原:3:02/02/26 00:10 ID:5hypMp/h
―――この、化け物が!
自分ももう十分に銃弾を浴びていたが、由伸は勝利して喜ぶよりも寧ろ怒り
狂っていた。
その瞬間、まったく一瞬のうちに、由伸は考えていた。いつから人の助け
などいらないと思って生きてきた?
外面だけは良い父親に、自分の身の丈をはるかにしのぐ長さの青竹を振らさ
れて、振り切れないと今度は手ごろな“犬のしつけ用”の竹の棒で激しく叩
きのめされた小学生のころからか? 出来の良い兄と比べたら、お前は野球し
か能がないからと、優しかった母からも引き離されて無理矢理寮に入れられ
たときからか? バブルがはじけて家の借金が莫大なものになり、それを肩代
わりと称して自分を借金と同額で買った巨人の逆指名会見、金屏風の前で笑
顔一つ浮かべなかった日だったか? それとも、息子の身売りなど知ったこ
とではなく、ただおのれの希望球団であったヤクルトに入らなかったからと、
すべての恐怖の根源であるあの犬打ち棒で父親から打ち据えられた夜だった
か。それとも―――
あの父親が、少しずつ、いやはやたっぷり、由伸から奪っていった。与えた
のはただ、お前はそれしか能がない、という言葉と、野球をする為の体力だ
け。でもそんなものは役に立たず、ついに由伸は、抜け殻になってしまった。
―――俺は、おれは、絶対に生きのびる。おれは、ただしい。ぜったい、まけな・・・!
599由伸対清原:4:02/02/26 00:11 ID:5hypMp/h
ところが、打ち負かした筈の清原が―――笑っていた。八重歯を見せて。
自分が刃を振り下ろした先を見ると・・・血染めのユニフォームの下には、
分厚いクッションのようなものがあった。
ひるんだ由伸になおも笑いかけ、この世のものとも思えぬ腕力で、清原は由伸が
スタンガンを握っていた左腕と、彼に致命傷を与えた筈だったカマを持った右腕を
ぐっと掴みあげ、そしてこれまた人外のものとしか思えぬ脚力で、由伸の胸倉を蹴り上げた。
清原の手の内で(これはかつて由伸が持っていた)S&WM19・357マグナムが
火を噴き、体勢を崩した由伸の体に、一つ一つ、穴をあけていった。
それでもなおも、由伸は倒れることをしなかった。被弾した衝撃で体をゆらめかせながらも、
カマを振り回し、振り回し、振り回し。
「あああああーー・・・」
しまいにはカマの重みで動いているだけになったが、依然として由伸は清原に
向かっていこうとしていた。
しかし―――清原はみじろぎもせず、いささかも動じず、今度はイングラムM10を
打ち込んだ。
育ちの良さや人当たりの良さがそのまま現れたような上品な由伸の顔から胸にかけて、
縦一列に穴が空いた。常に女性たちの憧れの的だった白皙の面貌は、いまや
清原の銃弾の的となり、見事に的は弾け飛び、まるきりストロベリイ・パイを
投げつけれらたような状態になった。今度こそ由伸の体が吹っ飛び―――背中が
濡れた地面にどっと当たった。当たったときには、事切れていた。いや、もう
とっくに死んでいたのかもしれない。肉体的にはその数秒前に、精神的には、はるか遠い昔に。


殺す・・・殺す・・・みんな・・・みんな・・・
死ね、死んでしまえ・・・生き残るのは・・・俺や!

ざっくりと裂けたユニフォームの前もそのままに、荒い息の下から
呪文のようにつぶやきながら、清原は水たまりの中の三つの死体には目もくれず、
倉庫を後にした。
600代打名無し:02/02/26 00:23 ID:v0gai6tQ
とうとう清原VS由伸が…
今までさんざん悪だったがなんだか由伸、可哀相だな。
そして清原も相変らず…この裏では入来が松井チームと…と思うと
いよいよ本当にクライマックスに近づいたんだなぁ。
601代打名無し:02/02/26 00:25 ID:hhyAkWv0
ああ・・・ついに・・・・。
602代打名無し:02/02/26 00:29 ID:6CY+vwYZ
うわー!一気に話が進んどる・・・ハァハァ
由伸もついに、でもう残り5人か。
そして入来VS松井グループ?はどうなるんだ。
すっげー気になる。
603代打名無し:02/02/28 15:22 ID:G/JJKJPB
sage
604名無し:02/02/28 17:39 ID:NV1IZMgH
age!!
605代打名無し:02/02/28 18:22 ID:G4nnjPw1
>>603
IDが「巨人」「ジャパニーズプロフェッショナルベースボール」で
なんかカコイイ
606策士・邂逅〜終章1〜:02/02/28 23:07 ID:MyX2Pwbk
 闇に包まれた夜の街を黒塗りの高級車が疾走する。スモークガラスに覆われて、外から中の様子を伺い知ることは出来ない。
その車の後部座席で悠然と構えていた男−森はふと、振り返った。その視線の方角、その先にはついさっきまで自分がいたヤクルト宿舎がある。
もっとももう見える様な距離ではないのだがなんとなく− 
そう、ただなんとなく、森は闇の向こうのあの宿舎から古田が、−多分五十嵐も一緒だ−
こっちを見ているような気がした。

−お互い気苦労が多いな、古田君−
胸の中で独白し、森はゆっくりと向き直り懐から携帯電話を取りだした。
ボタンを押して1回…2回…きっかり3回目の呼び出し音が終わった後、相手が出た。
607策士・邂逅〜終章2〜:02/02/28 23:08 ID:MyX2Pwbk
「ええ… 終わりました。ほぼ理想的な展開かと。予定通りいけそうです」
「…そうか。では、いよいよ……か」
「はい、そろそろ頃合いかと」
「分かった。では……」

 シンプルながら品のいい調度品に彩られた部屋で、短い会話を終えた電話の相手、
堤は受話器を置くとすぐさま別の番号を押し、幾つかの簡潔な指示を出した。
数刻後。某港から、なにやらトラブルが発生したとかでしばらく足止めを喰っていた貨物船がゆっくりと出航していった。
その船の乗員は船乗りにしてはいささか目つきが鋭すぎたし、何より貨物船というにはいささか物騒な荷物が積み込まれていたのだが−。
その事に誰も気づかぬまま、何事もなく貨物船は沖へと進んでゆき、そして港からは完全に見えなくなった。
608 :02/02/28 23:09 ID:MyX2Pwbk
うーんやばい。予想していたことだがこっちの始末を付ける前に完結してしまうかも(苦笑)
もっとペースあげなきゃなぁ、と思いつつもなかなか手を着けられない…
609代打名無し:02/02/28 23:49 ID:7WpetSiX
やたっ、ヤクルト編だ!本編同様楽しみにしてます。
が、古田の返事は聞かせてくれないんですね。ひどい(W
610代打名無し:02/03/01 00:16 ID:7DP/jZWF
清原と由伸のバトル、映画と原作のミックスなんだね
すごい!
611名無し:02/03/02 22:39 ID:OVAYnJEd
age
612sage:02/03/03 16:01 ID:5uukOjwz
さげ
613代打名無し:02/03/04 11:10 ID:Ir0FmvQS
とうに覚悟は決まっていたはずなのに、踏み出すまでには若干の時間が要った。
その足も三歩目には下生えとは異なる感触の抵抗を感じて止める羽目になった。
張られた糸、二段構えの警報装置。
考えていた以上に容易ならぬ相手なのだと入来が思い知ったと同時に
どこだろうか少し離れたところでがらん、と音がした。
「誰だッ!」
間髪入れず鋭い声が響く。マシンガンを握った松井秀喜が姿を見せた。
恵まれた体躯を覆うユニフォームはかなり傷んでいるしその下からは
包帯らしき白色が覗いている。
松井はさっと首を巡らせて、入来の視線とぶつかったところで止めた。
「入来、さん……?」
松井は拍子抜けしたような声で呟いた。妙な反応だ。
だがそんなことはどうでも良かった。MP5をそちらへ向ける。
早口に松井が声を張り上げた。
「待って――待ってください! 俺達、殺し合う必要なんかないんですよ!」
今更何を言っているのか、入来はそう思った。
それに――もしお前にないとしても俺にはある、必要が。
その思いに突き動かされるまま、入来は引き金を引いた。
しかし弾丸の雨は柱の古びた肌をむなしく叩くのみに留まった。
素晴らしいとしか言いようのない反射神経で松井は柱の陰へ引っ込んでいたのだ。
「ちょ……入来さんッ!」
しかし松井はすぐにまた顔を出した。声が続く。
「脱出できるんです、方法があるんです!」
世迷い言を、と再び引き金を絞りかけ、けれど入来はそれを止めた。
岡島と三浦を思い出したのだ。彼らが展望台で呼びかけを行ったのは――
そして誰の応えも得られぬまま命を落としたのは、もう遠い昔のように思えるが
しかしたかだか二日前のことだ。
松井の言葉は彼らに似ていた、その事実のもたらした感傷が入来をためらわせた。
しかし躊躇の生んだ間に、入来の理性は彼らと松井の決定的な相違に気付いた。
614代打名無し:02/03/04 11:11 ID:Ir0FmvQS
『脱出できる方法がある』、松井はそう言ったのだ。
松井はすでにマシンガンを引っ込めていた。
入来が撃たないことに力づけられた風に続ける。
「ここから逃げ出せるんです、逃げるって言ったら聞こえは悪いですけど
こんな腐れゲームのルール、馬鹿正直に守るこたない。だから」
「……だから?」
反問しながら入来はMP5の銃口を下へ向けた。
この話は聞く必要がある、松井が本気で言っているのなら。
具体的な方法次第では、優勝を目指すよりも合目的的であるかもしれないのだ。
入来にとってはもとよりこのゲームの優勝は手段であって目的ではないのだから。
入来が聞く素振りを見せたためだろう、松井は目に見えて安堵した様子で言葉を継いだ。
「川相さんが、裏をかく方法を知ってるんです。ゲームのシステムの、
穴を利用するんです」
それは全く具体的でない物言いだったが、看過できない情報を含んでいた。
「川相さんも、一緒なのか」
「そうです、それと、二岡も」
その言葉を待っていたようにその二人が姿を見せた。
いや、待っていたようだったのは二岡だけだ。
川相のほうは仕方なくといった様子が見て取れた。
その無表情や手にある銃はワイヤートラップの印象とすんなり結びついた。
銃口は入来に据えられていたのに違いない。MP5を下ろすのがいま少し遅れたなら
火を噴いてさえいたかもしれなかった。
信用されんがためと要らぬ疑いを抱かせぬためという二つの表現は
その指すところをある程度共有するが決してぴたりと一致するわけではない。
二岡と川相の態度は両者の重ならない位置にそれぞれあると見えた。
「それで――脱出の方法というのは」
川相に向けて訊ねながら、入来は三人を見比べた。
やりあうことを考えるなら、三人という相手の数がそもそも問題だった。
仕切り直せたにせよ不意を打つのは難しく、果たしたとしても全員を殺してのけて
なおかつ自分が殺されないというのはほとんど不可能だろう。
つまり――それでは兄のもとへは帰れないのだ。
よほどでなければこの話に、一口乗せてもらうよりほかない。
「悪いが、今はまだ詳しくは話せない」
意外でありまた奇妙でもある答えに入来は目を瞬いた。
これは一体……どう判断するべきだろうか?
「敵を欺くにはまず味方から、というだろう? お前さんも味方に数えてるってことさ」
冗談めかして言いながら川相は、自らの首に填められた銀の輪を指し示した。
なるほど、と思わず言葉に出ていた。
このいやらしい首輪には発信器やら爆弾やらいろいろ仕込まれている、
おそらくついでに盗聴器の類も積んであるのだ。いかにもありそうな話だった。
脱出にはシステムの穴を利用すると確か松井はそう言った。
間に合わせでもそれを塞がれるとまずいということなのだろう。
聴かれているなど思いつきもしなかっただけに、それを知っていた川相が
あの老人どもの裏をかく術をも知っていたとしても不思議はないと思えた。
「じゃあこれだけ、聞かせて下さい。……可能性はあるんですね?」
「――確実とは言えないが、それなりの成算はある」
川相の瞳は真摯な色を湛えている。嘘や出任せにはとても見えなかった。
ならば入来に出せる答えはひとつだ。
「……先刻は、悪かったな」
言いながら入来は松井へ右手を差し出した。
松井の顔がぱっと輝く。がっちりと手を握り合って、これで同盟の成立だった。
615_:02/03/04 12:51 ID:DqCxsneD
>>613-614
壮絶バトルかと思いきや、同盟成立!?
何か凄い嬉しいんですけど(w
616///:02/03/04 16:37 ID:sr1slcVb
ジャイアンツファンの方に、敢えて、恐れ多いことを問います。

西山ってなんでトレードされないの?
どこがいいの?この選手。
何故、残っていられるの?

わー!すみません。殺さないで!
617 :02/03/04 16:49 ID:6y8YmJUy
巨人イメージ変わったな
腹になってからさほどむかつかなくなった(w
618代打名無し:02/03/04 17:48 ID:j/nileLG
期待しちゃっていいのか?
入来は無事に鉄のもとへ帰れるのか?
619代打名無し:02/03/04 21:49 ID:xN6Up7r+
>>615,618を奈落の底へ突き落とす極悪ラストきぼんぬ。
620代打名無し:02/03/04 22:40 ID:KR97wBl0
いわずもがなだが落とす前に持ち上げるのはセオリーだよな・・・
621代打名無し:02/03/04 22:48 ID:kr2J745N
>>619 >>620
あうう・・・・・・・・・・(涙)
しかし、入来はイレギュラー存在でよくここまで生き残ってきたなぁ・・・。
622代打名無し:02/03/05 01:40 ID:m0/HkZs8
aa
623 :02/03/05 02:42 ID:LoRsFm4T
今関西地区よみうりテレビで
映画「栄光の巨人軍」やってるよ
624代打名無し:02/03/05 03:07 ID:CySqbg27
>>623
この映画はくさすぎて笑えもしません
どこが面白いかもわからない
625代打名無し:02/03/06 23:43 ID:urTryvC5
捕手sage
626代打名無し:02/03/07 01:22 ID:7PGeu3un
abe
627読者:02/03/07 01:40 ID:bmSC44eA
この先入来は松井チームと共闘するのか、それとも結局殺り合うことになるのか
清原と松井チームはどうなるのか
原作に沿った展開か、それともオリジナルの展開が待ち受けているのか

(・∀・)ワクワク
628一読者:02/03/07 05:08 ID:NnPSo0be
保全。ここマジ(・∀・)イイ!!
629nanasi :02/03/07 05:22 ID:rBOdNpT3

            ___,,,,,,,,,────,,,,,,,,,,,__
         i' ̄  C,,__,,つ          ̄'i
         |    / ○ ヽ           |
         |    ( ○ C=           |
      __,,,,-'     ̄∪' ̄           |
     ==========================ヽ    |
         |ノノノ丿丿  ●\ヽヽ、、、|    |
      .-'' ̄|_,,,----,,__   _,,----,,,__ / ,---,|_
      (    |  ・       ・     | /    丶
      > ^| |-'' ̄ ̄'''-   -'' ̄ ̄'''- ||   /  |
     / ,-'' ̄. . .   |   |  . . . . ̄'-,,|) く
    / | . . .  _,-┤   ├-,_ . . .   |   ヽ
    | 丶_.__ .  | . |. . . . | . | . .  . ノ    |
    Y' ̄   ̄  '-,,___________,,,-'  ̄'''--''',ヽ_  ノ
    |  ,-,,,Λ,,,___________∪______,,,Λ,,,---'''/  ''|'
    丶 \/ ヽ;/\;/\/\/\/ ヽ:::::::/   丿
     \,,_ ̄'''──,,,,,,,_____,,,,,,,──'' ̄   /
        ''''─,,,,,,,,,,,_______________________,,,,,-''
630代打名無し:02/03/07 05:59 ID:+VYsckn5
>>629
松井くん?

マツイくんは今読んでない。何巻まで出てるの?
イチローとか新庄が主役の話とかある?メジャーネタにはふれてる?
631 :02/03/07 06:08 ID:U/mzUFsG
最近、日テレのオープン戦のTV中継で柴田アナがスタジオで喋ってるときに
バックでかかっている曲は誰の何てという曲かご存じないですか?
(今シーズンの劇空間プロ野球のテーマソング?)
一応、日テレのHPなど見てみたんですがわかりませんでした・・・(^^;
632代打名無し:02/03/07 06:18 ID:0U0MA/Yu
>>631
ダウソロード板の「曲名わからんかったらココで聞けや!」スレで聞いておいで
633sage:02/03/08 13:18 ID:tr0gwqNV
sage
634代打名無し:02/03/09 02:02 ID:cqvDB/hO
捕手。
635代打名無し:02/03/09 17:11 ID:yeCgN4/1
捕手sage
636代打名無し:02/03/10 00:22 ID:YG+KCOfU
あげとこう
637代打名無し:02/03/10 01:39 ID:/mfVeYrm
待ってますage
638代打名無し:02/03/10 23:57 ID:3sCR2Qva
捕手捕手、と。
639代打名無し:02/03/11 20:46 ID:FTMsQVi6
見張りは二岡に任せて、松井は川相、入来を伴って屋根の下へ戻った。
求めるまでもなく入来は武装解除を申し出た。
「でなきゃ話もできないだろう」と皮肉でもなさそうに言う様子、
松井にはそれだけで目の前の相手は信ずるに足ると思えた。
ただ、入来の携えていた武器はとても一人前の支給分には見えなかった。
MP5にベレッタM92F、そしてボウガン。
だからといって殺して奪ったものとも限らない、殺したとして正当防衛かもしれない。
松井自身が西山に襲われたときのような、どうしようもない場面というのはあるのだ。
信じられるかどうかというよりは信じたいという情緒に流されているのは
自覚したが、それで松井は言った。
「信じてもらえて……嬉しいです」
言いながら松井は川相を見やった。
川相は頷くでもなかったが、口を挟みもしなかった。消極的だが肯定だ。
なんのかの言いつつも川相は松井や二岡を真実案じてくれている。
危険だと判断したら口でも手でも出すだろう。それをしないのだから。
おおかたそのような気配は読みとったのだろう、入来も表情を緩めた。
「こっちこそ。――じゃ、情報交換と行こうか」
松井は頷いた。死人はともかく、危険人物を確認することには大いに意義があった。
とはいえすべては過ぎたことで、それでいて過ぎたというには
あまりに生々しくもある。松井としてはそれらを逐一つまびらかにすることに
意味があるとも思えなかったし入来も同様だったらしい。
互いに話は事務的に進め、経緯はごく大雑把にしか触れなかった。
誰が死んだか、誰が危険か、ほぼその羅列だ。いや、羅列というほどの数もない。
聞いたのは田中が死んでいること、話したのは由伸と清原は危険だということだけだ。
「由伸に清原さん、か」
入来はそう呟いて小さくひとつ溜息をついた。
ひどく疲れた声に聞こえたのは気のせいだったろうか。
どちらにせよ、これまでに起きてしまったことはいまさら取り返しのつこうはずもない。
考えるべき、話すべきはこれからのことだ。
それを松井が言おうとした途端だった。
640代打名無し:02/03/11 20:48 ID:FTMsQVi6
「松井さん、川相さん!」
興奮した声で喚きながら、二岡が飛び込んできた。松井や川相が問うより早く、
せき込んだ調子で二岡は続けた。
「煙が……煙が上がってます、二つ!」
その言葉に、松井は反射的に立ち上がっていた。そのままの勢いで外へ飛び出す。
ぐるり周囲を見渡すと、黄昏の薄暗い空に揺れる二筋の煙が確かに見て取れた。
「清水さん……!」
松井は思わず、無事な右手でガッツポーズを作った。
この土壇場で入来という新たな仲間を得たことは心強くまた幸先がいいように思えた。
だから、と続けるべき相関のあるわけもないのだが、それでも松井は思った――
だからきっと清水さんも堀田さんを見つけて、ああして合図を送ってきたんだ。
軽やかな小鳥の囀りが響いた。川相のバードコールだ。
川相は時計を見ながら、きっかり15秒鳴らしてそれを止めた。
「たぶん、かなり近くまで来ないとこの音は聞こえない。もうしばらく中で待とう」
川相にそう促されて、松井は廃屋へ戻った。
「……そしたら、バードコールを鳴らすって。合流して、一緒に逃げ出そうって」
二岡の話す声が耳に入ってきた。
そういえばその話はしていなかった。入来はさぞ面食らっただろう。
「堀田さんを見つけたんですよ、清水さん」
二岡はそう締め括り、ねえ松井さん、と笑顔で振り返る。
松井も笑い返しかけたところで、二岡は笑みを消した。
不思議に思って川相を顧みると、川相の顔も笑ってはいない。
「川相さん――?」
641代打名無し:02/03/11 20:50 ID:FTMsQVi6
川相は誰とも目を合わさず、低い声で呟いた。
「清水は……堀田の死体を見つけたのかもしれないと、思っただけだ」
虚をつかれた感じで、松井は絶句した。
「そんな……」
二岡が萎んだ表情で呻く。川相はなお続けた。
「仮に死体じゃなかったにしても――」
川相はそこまでで口を噤んだが、入来が苦いものでも呑んだような表情をして、
それでなんとなく川相の言葉の先が松井にも想像できた。
気がついてしまえば自分が入来のような反応をしなかったことが不思議なくらいだった。
よく知っているはずの誰かが、似ても似つかぬ何者かに変じている――
たとえば清原がそうだったように。清水の前にそのような堀田が立ったのかもしれない。
煙が上がった以上清水は無事なのだろうが堀田もそうとは限らないのだ。
「まあとにかく、清水がここへ辿り着けるように祈るとしよう」
言われなくとも松井は祈った。清水が堀田と一緒に戻ってこられるように。
そこで松井は気がついた。まだ生き残りはいる。
正午の放送からかなりの時間が経っているから数は減っているかもしれないが。
「川相さん。清原さんは仕方ないとしても――」
松井は川相の目をまっすぐに見つめた。
「桑田さんとか斎藤さんなら、なんとか一緒に逃げられませんか」
「桑田、か。どうだろうな」
川相は難しい顔をした。清原と桑田が因縁浅からぬ仲であることくらい松井とて
承知している。おそらく間違いなく清原とやりあうことになる自分たちと
一緒に逃げようという話に桑田が乗るかどうかは怪しいのかもしれなかったが、
本人に当たりもしないうちから諦めたくはなかった。
「斎藤さんも……なにか理由がある感じだった」
言ったのは入来だった。
「それこそ清水みたいに、誰か探してるのかもしれない。訊いたわけじゃないが」
だとしたら、斎藤を説得するとしたらそれが済んだ後でなければ駄目なのだろうか。
用が済んだことを知る方法はこちらにはなにひとつないというのに。
「まあ……なんにしても清原とは、もしかしたら由伸ともやりあうことになる。
 そのときは、松井――容赦なくやれるな?」 
川相の瞳は真剣だった。
清原に居場所を知らせるような真似をしたらどうなるかは岡島・三浦の件で
思い知っている。桑田や斎藤になんらかの呼びかけをするにしても
それは清原を倒したあとの話だ。
それ以前に、あの清原とやりあって、こちらが全員無事で済むという保証など
全くないのだ。松井が躊躇って死ぬのが松井ならいいが(いや、良くはないが)、
二岡や川相、入来、あるいは清水や堀田を危険にさらすことになるかもしれないのだ。
「わかってます」
松井は言って、頷いた。
642代打名無し:02/03/11 21:31 ID:3i78ybDw
やったー!新作がっ!松井チームと入来の関係がこれからどうなるか…
楽しみすぎる!
643代打名無し:02/03/11 21:51 ID:0UGD9ZjR
うおお、いよいよクライマックス!!
入来ー、死ぬなよぉぉぉ!
644代打名無し:02/03/11 23:45 ID:awrxM5j2
入来!入来!!
645代打名無し:02/03/12 00:03 ID:ssZQXnCy
入来どうなるんだーーーー!!
646代打名無し:02/03/12 10:04 ID:yfdcEf4A
おおう、新作が・・・。
と言うか、入来人気高くてびっくり。
647代打名無し:02/03/12 10:55 ID:Ri7C0NTb
>>646
三澤とのバトルのときに死んだと思われて
墓のAAまで貼られたぐらいだから。>入来
しかし川相は桑田のこと「真澄」とは呼ばんのね。
648代打名無し:02/03/12 19:54 ID:qfA6fLuW
>>647
車田正己風のね(w
桑田の事を真澄と呼ぶのは槙原、斎藤雅、村田真くらいじゃないかな?
もう今の巨人で真澄と呼ぶ人は居なくなったってことか…
649647:02/03/12 20:27 ID:Ri7C0NTb
いや、巨人内で桑田より年上の選手、みんな真澄と呼んでたんだよ
あのカズシゲですら。
すんません、桑田ヲタのつぶやきっす。
650代打名無し:02/03/12 20:49 ID:+Ahx1n84
カズシゲには何となく呼ばれたくないような…
651代打名無し:02/03/12 21:21 ID:cWeCL0ZI
ふ、不勉強でごめんなさい。脳内で修正して読んでください・・・
652 :02/03/13 05:58 ID:vTJxV+3b
川相が二回目のバードコールを鳴らした。
松井自身は、その同じ鳥の声を四回聞いた後、無事に二岡、川相と合流できた。ただそれは、二人の居る位置が大方判っていたからだ。その手掛かりが無い清水には、もう少し時間が掛かるかも知れない。
川相は廃屋の中に戻ってきた。
ふぅ、と軽く息を吹き、ふいに「お前らどこへ行きたい?」と言った。
松井と入来は二岡の向こうにいる川相の方を見た。
「説明するのを忘れていたが、俺にちょっと伝手がある。ここを出たら、とりあえず、そこへ逃げ込む」
「伝手、ですか?」
松井が訊き返すと、川相が頷いた。
「俺の友達だ。そいつが俺たちの国外逃亡を手配してくれる」
「国外、逃亡――」入来がちょっと驚いたように呟いた。
国外逃亡。それは兄・智との離別を意味する。
勿論智と共に逃亡できたらそれが一番なのだが、この状況下で日本に帰り、読売の追跡網に捕まることなく智まで連れて逃走するほどの余裕は、無いだろう。
もしかすれば、古田が(ただし、この殺し合いゲームに気付いていれば、だが)何とかしてくれているかも知れないが――それでもうまく事が運ぶ可能性は、限りなく、低い。
……。
入来は暫く考えを巡らせてみたが、辞めた。今はそんなことより何より、先ず、この殺し合いゲームから脱出する術を考える方が先だ。
兄の元に帰れた時、既に自分は肉体を失った霊魂と化してしまっていては、本末転倒なのだから。
「勿論、異論は無いよな?日本に帰って、日本国内で逃げ隠れしていても、いつかは捕まる。殺される。ネズミみたいにな」
「――本当にそんなことが出来るんですか?」二岡が川相に訊いた。
松井も訊いた。「何者なんですか、その、川相さんの友達というのは?」
川相はそれで、右手の親指と人差し指で握ったバードコールを軽く弄りながら、何事か考えるように三人の顔を見つめた。
しかしすぐに、バードコールを掌に置いて軽く握ると、「そいつは言わない方が良さそうだ」と言った。続けた。
「俺達がここを脱出するときに、もし何らかの理由でバラバラになって、お前達が読売の奴らに口を割ったら困る。いや、お前達を信用してないって訳じゃない。だが、連中に拷問にかかったら、いずれにしても大抵は喋っちまう。だから、案内は俺がする」
松井は少し考えたが、頷いた。それは、正しい判断だろう。
「しかし――そうだな」川相は言い、ポケットから紙を一枚引っ張り出し、その代わり右手に握っていたバードコールを押し込んだ。
それはどうも、例の‘私達は殺し合いをする’のペーパーのようだった。川相はそれを三つに破り、鉛筆でそれぞれに何やら書き込んだ。それぞれを小さくていねいに折り畳むと、松井と入来と二岡に一つづつ差し出した。
「今見る必要は無い。そいつには、俺とお前達が万一バラバラになった時の連絡方法が書いてある。毎日、その場所、その時間に、そこへ行ってみてくれ。俺もそこへ行くようにする」
「今見ちゃ駄目なんですか?」二岡が訊いた。
「駄目だ」川相が言った。「見るのは万一バラバラになった時だけにしろ。つまり――松井のそのメモと二岡、入来のメモは内容が違うんだ。お前達三人も、お互いそれを知らない方がいい。誰かが捕まった時のために」
松井は二岡、入来と顔を見合わせた。川相のほうに向き直った。
653 :02/03/13 06:01 ID:vTJxV+3b
「で――どこへ行きたい?」
松井はそれで、川相が国外逃亡後の行き先を訊いていたのを思い出した。しばらく考えた。
それから、「やっぱアメリカじゃないですかね」と言った。
「野球の本場です。行きたいですよ」
メジャーへのFA移籍に関するマスコミの問いには一向に口を塞いできた松井だが、正直なところアメリカに興味は抱いていた。
まさか、逃げていく羽目になるとは思わなかったけど。
「お前らしいな」川相は頷いた。「二岡は?」
「自分は――別にどうとも思わないですけど」二岡はそう言った。
「そうか。じゃあ、入来は?」川相は入来の方を向いた。
「自分も、別にどこでもいいです」入来は少し素っ気無く答えた。
「じゃあ――多数決で、って訳じゃないけど、アメリカだな。アメリカだったらお前たちの唯一の取り柄である野球にだって触れられるだろ。
 選手としてじゃなくても、野球教室か何かでもして小銭を貯めりゃいい。言葉の差なんて身振り手振りで何とかなる。なにせ野球の本場だ、情熱はあっちの方が高い」
川相は三人に横顔を見せたまま、続けた。
「三人とも、野球やれよ。お前らには野球しかないだろ?まあもし他にやりたいことがあるんならそれをやれ。とにかく、何をやるにしろ、自分の善意に従って、精一杯やれ」
松井はその言葉を、ちょっといいな、と思った。自分の善意に従って。精一杯。
――今はもういない仁志敏久が、ビックマウスと言われチームからも浮いていた仁志が時々、ごく時々ではあるが松井に話し掛けた時、あるべき真実を言い当てるような言葉を口にしていたのを、思い出した。
654 :02/03/13 06:02 ID:vTJxV+3b
いいなと思ったのだけれど――すぐに、別の考えが頭を占めた。何か欠落していた。川相の言い方には。
すぐにそれに気付いた。
「川相さんは?」声に勢い、焦った感じが混じった。「川相さんはどうするんですか?」
川相が肩を竦めた。
「俺は読売に借りがある。いや、そうじゃないな。いろいろ貸してる。だから、返してもらう。何としても。だから、お前達と一緒には行けない」
「そんな――」二岡が悲痛な声を上げた。
松井はしかし、二岡とは違うことを考えた。
言った。「何かやるんなら、手伝わせてください」
川相は一瞬松井の顔を見つめ、――それから、視点を落として「はっ」と首を振った。「ばか言うな」
「何でですか」松井の声に力がこもった。「俺だって返してもらいたいものがあるんです。このクソみたいな球団から」
「――そうですよ」二岡が口を開いた。「一緒にやります、俺たち」
川相はその二岡と松井の顔を見比べ、それから、肩を持ち上げて、下ろしながら、はぁっと深い溜め息をついた。
顔を上げた。「いいか」と言った。
「前に言ったかも知れないが、ジャイアンツはクソみたいな球団だが、よく出来ている。壊すなんて、容易じゃない。いや、多分今は壊せない。だが、俺は――」
首を回し、屋根の向こう、空を見つめた。また松井たちの方へ戻した。
「古い言葉でいうとせめて一太刀、ってとこだな。家族には申し訳ないが――俺は俺を育ててくれたジャイアンツに、読売巨人軍に復讐を果たさなくちゃいけないんだ」
「だから――」
松井が言いかけるのを、川相が手を揚げて遮った。
「最後まで聞けよ」
松井が黙ると、また口を開いた。
「死ぬぞ、と言ってるんだ。俺なんかに同行してたら」
二岡の方を見た。松井に目を戻した。
「松井、お前はまだ若い。これからまだ将来、何だって出来るんだ」
それから、二岡と入来の方を向いて、言った。
「二岡も、入来も一緒だ。お前らだってまだ今から何だってやれる。無駄死になんて、ばからしいことだ」
また松井の方に顔を向けた。
「家族には苦労をかけることになってしまうが――どうせ俺は今回のゲームで死んでたようなもんだ。父親としてではなく、一人の男として、復讐を果たさなければならない」
最後は厳しい口調だった。川相は言い終えると時計を見やり、立ち上がると廃屋の外へ出て行った。すぐにまた、ちち、ちちというバードコールの音が、響き渡った。
655652-654:02/03/13 06:04 ID:vTJxV+3b
ゴメンナサイ、読みにくくなってしまいました。
もっと改行すべきでしたね...
656代打名無し:02/03/13 06:09 ID:x8Zs7eho
おお、こんな時間に新作が!早起きして良かった。
川相カコ(・∀・)イイ!! 
657652-654(素人):02/03/13 06:10 ID:vTJxV+3b
もし私の作品による流れによって
職人さん方が考えていたストーリーに不具合が生じてしまう場合は
私の作品は無かったことにして頂いても一向に構いません.
658代打名無し:02/03/13 21:37 ID:wG9qT7JI
暗いマックすやのう
659代打名無し:02/03/13 21:37 ID:8w5kvPAR
660保存屋助手 ◆YgBRFits :02/03/14 00:43 ID:kTsK/Pjp
人数が絞られてきましたね。
今回もいつもどおり、一気読み・各章ごと・現在の状況を、
話の順序を若干編集しつつ更新。

>>583
初参加の職人さんだろうか。由伸の最期編のラストが清原のモノローグだったんで
同じく清原のモノローグである583は直前に持ってきたほうがすわりが良いと思い
こういう形になった。多分、そんなに違和感はないと思うがどうだろうか。

>>652-4
こちらの職人さんもはじめてだろうか。
まず、不具合はもう、ずっと前からある。前に誰かも指摘していたが
例えば冒頭、選手がドームに連れてこられた時になぜか裏切り者のはずの二死タンが
一緒になって倒れているとか、そもそもこの話、ドームで始まったはずが
いきなり「島にしてみたよ(スレ1の44)」の一言で舞台がどこかの島になり、
第52章でその島がハワイと設定されるという、フィクションとは常にご都合主義だが
このスレはその極みではないかと思われるんだな(w
なんで、不具合云々は気にせず、我と思わん職人さん候補たちは、
あまりに大幅な設定変更でもない限り、書き込んでみてはどうだろうか。
えらそうにスマソ。
661652-654:02/03/14 01:05 ID:KEWZCUQX
>>660
保存屋助手様、ご助言ありがとうございます。
まぁ私の書き込みは小説版のコピペみたいなもんなんですけどね...
662代打名無し:02/03/14 01:30 ID:ZG6HYNJj
誰かが書き込んだエピソードをふまえて、違う誰かが話を繋げていくのが
このスレの面白いところでもあるよね。
終盤だから本筋が大きくそれる話は困るだろうけど、
ネタが浮かんだ人は思い切って書き込みしる。
663652-654:02/03/14 02:09 ID:SJMG/yoD
きっかりバードコールを十五秒鳴らし終えて、川相がまた廃屋の中へ戻り、腰を降ろした。
その川相に、入来が訊ねた。何分、落ち着いた口調で。
「清水と合流したら、どうするんですか」
そうだ。松井もそう、訊きたかった。
「合流したら、か?」川相はふう、と軽く息をつき、再び言った。
「まずは装備を整える。
 そして、――まずは清原を殺しに行くことになる。あるいは、由伸もな」
――そう。川相は"他のみんなが全員死んだときなら、脱出する方法がある"と言ったのだ。
それは、いずれにしても松井たちがもう一度清原と、
あるいは高橋由伸とも対決しなければならないことを意味していた。
由伸はどうかはわからないが――清原とは必ずやり合うことになるだろう。
あの男がそう簡単に死ぬとは思えない。
肉体改造をも施した"だんじりファイター"は、伊達ではないのだ。
そうしたら、――松井たちだって全員無事で済むとは限らない。
「もう一度確認しとくぞ、お前ら」
川相が松井の顔を見て、言った。
「言ったと思うが俺の作戦はみんなが死んだ時じゃないといけない。
 つまり、清原と由伸とはいずれにしろやり合うことになるんだ。
 その時は、容赦なくやれるな?」
「はい」
松井は、そう言って、頷いた。
「わかってます」
視界の横で、二岡と入来が、松井と同様に頷いたのが見えた。
664代打名無し:02/03/14 04:49 ID:+xlr4UZ2
ああぁ、ドキドキ…!!
続き頑張ってくれー!!
665代打名無し:02/03/14 10:20 ID:7BHqBJNI
思い切って書き込みして欲しいのはもちろんです。
別々の人がそこはかとなく繋げて書いてくのが醍醐味というのも禿童。

ただ、その前に過去ログは確認した方がよいかも。
原作にあるエピソードの登場順は結構ばらばらだし。アルモンテとか。

メモって前にも渡してなかった・・・?
666代打名無し:02/03/14 12:41 ID:7nIMsMpq
>>665
気になったので探してみました。
>>373でメモ渡してました。
667代打名無し:02/03/14 22:06 ID:wFhsz0AT
入来の参入でメモ内容に変化が出た・・・と受け取ってみるとか
668落合博光:02/03/14 23:53 ID:v6UMxEQK
ウザかったら無視してちょ。


落合博光はひどく焦っていた。
パソコンのモニターには松井・二岡・川相を指す赤いランプが
1点に固まって表示されている。
その方向に4つのランプが集まっているところから、
1つのランプが向かっていく。
「キヨ、もうよすんだ・・・」

落合は独特の広角打法で三冠王3度に輝いたプロ野球きって名選手だ。
そんな落合がパリーグを去った翌年、清原は西武に入団した。
自分と同じ、広角打法の若者は、明らかに自分よりも凄い才能を持っていた。
落合は西武に頼み込む。
「3年間、遊ばせないでくれ。そうすれば奴は俺を超える選手になる―――」

その後の清原の噂はひどいものだった。
・・・六本木の種馬などという尋常じゃないないあだ名を戴いたほど、
凄まじいものだったらしい。
だが、落合にはわかっていた。
「全て、巨人に入れなかった腹いせだったんだろ・・・。
 もうよせ、キヨ、巨人が一体、なんだっていうんだ・・・。」



669落合博光2:02/03/15 00:26 ID:aAzsNozH
落合博光は船上の人だった。
これから地獄へ向かう。
全ては清原を止めるため・・・。


「落合くんも参加したい?う〜んそれはグッドですね〜」
―――この白痴悪魔が!
落合は内心そう思った。
憧れだったミスタープロ野球、やがてそれは作り物であった事に
気くのには、そう時間はかからなかった。
その輝きを守るため、裏でどれだけ前途有望な若い選手が
犠牲になったのだろう・・・。

落合は東芝府中時代、すでに巨人軍の裏にある、
何かドロドロしている渦があることに感づいていた。
そして、独自の調査の結果、プログラムの存在を知った。
だが、落合はプログラム自体には驚かなかった。
落合が信じられなかったのは、過去にあの憧れの長嶋茂雄が
参加していたという事実である。
―――何かの間違いだ・・・。
そう思いたかった。

落合は、巨人が空白の一日事件でドラフトをボイコットした
78年、ドラフト2位でロッテに入団した。
だが、本来、落合は巨人に2位指名されるはずだった。
長嶋監督も会いに来た。感激だった―――
ミスタープロ野球はテレビで見るのと何も変わらなかった。
やはり何かの間違いなんだと落合は思った、いや、思いたかった・・・。

プロに入ってから、たまに会う長嶋は相変わらずだった。
―何かの間違いなんだ―、は、―明らかな間違いだったんだ―
に変わっていった。そして、いつの日か落合はそのことを忘れ、
着実に実績を積み重ねていった。
三冠王3度、首位打者5回、ホームラン王5回、打点王5回
という輝かしい実績を。
FA初年度、落合はFAを宣言した。
そして、落合は迷わず巨人入りを選んだ。
「うーん、期待してますよ〜、落合くん〜駒田君には
 いなくなってもらいました〜。すべて君のためです〜」
――落合の脳裏にあの事が浮かんだ、が、すぐに消え去った。
「ついに俺は長嶋さんと野球ができるんだ」
それだけでいっぱいだった。
これからつらい現実をまのあたりにする事も知らないで・・・。
670落合博光3:02/03/15 02:02 ID:mjgkCSYF
「あの斎藤が、修羅になったか・・・あの斎藤が」
落合はつぶやく。
落合は斎藤とは実は因縁浅からぬ中であった。
ノーヒットノーラン寸前試合でサヨナラホームランを打ったこともある。
落合も斎藤に何度も苦渋を飲まされた。
一転、チームメートになってからは、落合は斎藤の事をスーパーエースと評した。
忘れもしない。1996年10月、長島が野村に漏らしてたあの話を。
「ハーイ、ノムさんですか〜そーなんです、斎藤は左バッターの1-3には
 アウトコースにカーブしか投げませーん」
小早川の3打席連続ホームランの大きな伏線。
全ては斎藤の活躍を、笑顔を妬んでの事。
――あの笑顔は自分のそれよりも光っている――
落合は恐くなった。巨人を出なければ・・・。
やがて好機が訪れる。清原のFA宣言・・・。
落合は大芝居を打って球団を出ることに成功する。
しかし、代わりに地獄に向かう清原には、
ただ、ただ、すまない気持ちでいっぱいだった・・・。
―――すまん、キヨ・・・。―――


「長島、橋本がどんな思いで球界を去っていったかわかってるのか・・・。」
それだけじゃない・・・。
―――自分をおびやかすサードはプログラムでことごとく惨殺した―――
「全ては長島の責任・・・。!、いやっ・・・。」
―――果ては、長島も巨人の犠牲者か・・・。―――


――船が島に着いた。
落合は武器を確認する。
「38式歩兵銃。銃剣も付いてるぞ。俺にお似合いか・・・」
落合は苦笑した。
――待ってろ、清原。――
――そして斎藤、お前を修羅なんかにさせやしない。俺が絶対に助けてやる――
腹の突き出た50近い中年の男は地獄の島へと踏み込んだ・・・。
671代打名無し:02/03/15 02:13 ID:htO4kJOs
お、落合まで!船員の割には鋭い眼光の男ってのは…
最後の腹の突き出た50近い中年に哀愁が…
672ジャイアンツ愛1:02/03/15 18:05 ID:G5XOUq+v
「もうあの人に頼むしかない。」
「しかし原さん、あの人の心臓はもう・・・。」
「ほとんどニトロを離せない常態、か・・・。」
原は思い出す。東海大4年の時のドラフト、この俺を引き当ててくれた・・・。
89年の日本シリーズ、どん底の不振にあえぐ俺を信じて使い続けてくれた。
球界の紳士と呼ばれながらも、実はとんでもない短気なその性格・・。
自信は伝説的な大エースでありながらも酷使によって短命だった。
あの人なら斎藤を・・・。そして巨人を・・・。
「だが、吉村、川上さんが亡くなった今、長島に対抗できるのはあの人だけだ。」
「まだ王さんが残ってます・・・。」
「いや、吉村、王さんは長島には逆らえない。・・・あの人は日頃から
ONは神聖なものと考えている。決して争ってはいけないと・・・。」
たしかに、王にはそういう所があった。明らかに王のほうが実績を残している。
しかし、―ライバル意識はなかったですか―との質問にも決まって、
「お互い、目指すものが違った。違うタイプの選手だった」と、答える。
「・・・王さんには難しいだろう。吉村、藤田さんに連絡を取ってくれ。
多分、自宅にいるはずだ・・・。」
吉村は考えた。――確かにあの人なら何とかしてくれるかもしれない。
巨人では1、2を争う大物OBだ。そして、プログラムには否定的だった。
監督就任中には一度もプログラムを起こしていない。そして・・・、
巨人の闇の事情の核心をついた所を知っている、数少ない1人だろう――
――斎藤を開花させたのはあの人だ。サイドスロー転向を勧めたのも、
チキンハートを克服させたのも・・・―――
「・・・わかりました。」
「頼むぞ。連絡がついたら、すぐ出発する。」

その時であった。ドアをノックする音が聞こえた。
吉村が銃を取る。
「・・誰だ。」原が言う。
「原さん、俺です、駒田です。岡崎も一緒です。」
「俺が呼びました。」吉村が言った。
「・・・入れ。」
原と駒田は同期であった。岡崎はその前年、巨人に入団した。
岡崎を指名したのは長島だった。
だが、レギュラーを張っていた時の監督は、藤田だった事もあり、
彼もまた、藤田に心酔していた。
それだけではない。
「俺は長島には借りがあるんです。」
「・・・そうか。駒田は。・・・だが、オチさんには悪気は、なかった・・・。」
「・・・ええ、わかってます。」

――
「監督、藤田さんに連絡がつきました。・・・自宅にはいないようです。
 長島が刺客を送ったんだとか・・、幸い、なにも・・。
 スミスとホワイトがボディーガードについているようです・・。」
――レジー・スミスか・・。クロマティとは、そりが合わなかったな・・・。
「よし、発とう。」
673ジャイアンツ愛1:02/03/15 19:37 ID:HD3MbFMn
その老人からは悲壮感が漂っていた。
都内にある邸宅のある一室に、その老人はいた。
2人の男が老人に銃を向けている。
老人は言う。
「角、新浦、話せばわかる・・・。」
「問答無用!大巨人軍を裏切る極悪人め!死ね!」
―――老人は死を覚悟した。
ダーン、ダーン
銃声が2発鳴った。・・・だが自分は生きている。
「ヘーイ、ボース、アブナカッタネー。」
「・・・カントク、・・・ゴブサタデシタ・・・。」
「スミス、ホワイト!」

スミスが倒れている2人の男に歩み寄る。
「!、ボス、すみハ、マダ、イキガアルミタイデース。」

―――お気づきかと思うが、悲壮感の漂う老人は藤田元司、
巨人軍OB会長を務める超大物OBである。
――2人の男は、角三男と新浦寿夫であった。

「角、何でお前が・・・。」
「・・・おれはあなたには怨みはありませんでした。いや、感謝してました・・。
 俺を球界を代表するストッパーにしてくれました・・・。ただ、」
「ただ?」
「伊東の絆は絶対なんです・・・。江川のような奴もいますが・・・。」
それだけを言い残すと角は、舌を噛み切って息絶えた。


674ジャイアンツ愛3:02/03/15 20:20 ID:uQg+AcQ9
「伊東か・・・。」
藤田元司は、車の中でつぶやいた。


―――
「ボース、モウココハ、キケンデース。スグニ、
 イドウシナクテハ、ナリマセーン」
「・・・行く当てはあるのか?」
「・・・ところざわデス・・・。」
「所沢?」
「ハーイ。ひろおかサンモ、マッテマース。」
―――広岡か・・。
「・・わかった。」


――――
「伊東か・・・。」
藤田は、またつぶやいた。
自分がはじめて監督になったのは81年の事だった。
当時の巨人は、長島が伊東で鍛えた選手が中心のチームだった。

「は〜い、みなさ〜ん、これから伊東キャンプに参加した者たちで、
 伊東会を結成しま〜す。は〜い。全員参加で〜す。
 裏切った者は自分はもちろん、家族の命もないですよ〜」
長島がこういって結成されたらしい。

――あの自分の可愛い選手たちは、ほぼ、伊東会のメンバーだ・・・。
松本も、西本も、山倉も、そしてあの中畑さえも・・・。
「原ぐらいか・・・。」
そういえば原はどうしてるのだろう・・。

またプログラムが発動されたと聞いた。
前回のプログラムは88年。自分が監督に復帰する1年前の事だった・。
生き残ったのは川相。藤田は川相から何度も相談を受けた。
「栄村が・・・、栄村の姿が・・、いつまでも頭に焼き付いて
 はなれないんです・・。」
そんな川相を励ますかのように、藤田は川相を積極的に
レギュラーに起用した。そして、川相は見事に開花した。
川相は今回のプログラムにも参加してるという。
どんな気持ちでまたあの地獄に戻っていったのだろう・・。
――川相を助けたい。
藤田はそう思った。


―――
所沢のとあるホテルに着いた。ロビーには広岡と伊原が待っていた。
「広岡、助かったぞ。」
「藤田さん、あなたはまだ、死んではいけない人だ・・・」
「・・・どういうことだ?」
「これから、原が会いにくるそうだ。」
原が・・・。まさか・・・。
「広岡、奴には気づかれてはいないのか?」
「大丈夫だ。奴は、今は眠っている。目を覚ますのには、まだ時間がある。」
―――良かった。しかし、自分に勤まるだろうか・・・。
   心臓病持ちの自分なんかに・・・。
675代打名無し:02/03/15 20:43 ID:qgDunhpx
スミスとホワイトがボディガードって(w
しかし落合に続いて藤田さんまで出て来たり、原が日本に戻ってきたり?
(現時点ではハワイの孤島にいるのかな?)で大変な事になりつつ
あるようで…どう首脳陣に絡んでくるのか期待。
676ジャイアンツ愛4:02/03/16 06:01 ID:uwV2ACnn
「こちら西本。―――――そうだ。2人とも死亡した。
 ターゲットは埼玉方面に向かった模様、引き続き使命を遂行する。」
「―――了解、フゥ。」
受話器を置いた鹿取は憂鬱だった。長島は原と吉村がいなくなったせいで
ただでさえ機嫌が悪い。この上暗殺失敗となれば怒りは頂点に達し、
その矛先は自分達コーチ陣に向く事は目に見えていたからだ。
長島の部屋の前まで来た。気が重いが仕方がない。
「鹿取です。」
「エッヘッヘッへ、入りなさ〜い。」
無気味に引きつった笑い声が聞こえた。
部屋に入ると長島はそっち向きで座っていた。
傍らには斎藤とクロマティが控えている。
長島は斎藤がスタッフ入りしてから、片時も側から離さない。
長島は斎藤の活躍に嫉妬している事があったのは間違いなかった。
だが、同時に絶大な信頼を寄せていた。さすがの腹黒男も、
自分の記念すべき勝利を1―0完封で飾ってくれた男、
自分に監督としての輝きをもたらしてくれた男に、感謝の意はあるようだ。
「どうなったんですか、エッヘッヘッへ。」
長島は振り向かないまま聞いてきた。鹿取は気が重かったが言うしかない。
「どうやら、失敗したようです。」
・・・しばし沈黙が続く。
「・・・そうですか。藤田さんもセコムしてますね。」
 ・・で、鹿取くん、原君たちには追っ手は差し向けましたか?」
「グラッデンたちを、やりました。」
鹿取は答えた。
「いいでしょう。う〜ん、斎藤君、君には期待してます。
 彼らのような真似はしないで下さいね。」
長島は、向きを変えずに傍らにいる斎藤に言った。
「俺は巨人に忠誠を誓いました。裏切など決してしません。」
斎藤は嘘でもこんな事言える奴じゃなかった。だが、現に言葉にして喋っている。
鹿取は自分の耳を疑いたかったが、これは救いようのない現実なのだ。
「う〜ん、頼もしい言葉です〜。鹿取くん、いまだ中途半端の
 君にも見習ってもらいたいぐらいです、エッヘッへ。」
鹿取は恐ろしかった。この男は自分の感情なんか、全て見透かしてる。
「・・さて、もうすぐあのお方がお目覚めになるはずです。
 我が巨人軍は永久に不滅なんですね〜、エッヘッヘッ。」
はじめて振り向いた長島の笑顔は、怒筋だらけだった。
677代打名無し:02/03/16 08:00 ID:Z4lO4B0E
こ、これ、収拾つくんですよね・・・?
678ジャイアンツ愛5:02/03/16 14:59 ID:pBx8r2or
原たちはまず、モーターボートでオアフ島に向かい、
そこから飛行機で成田空港に行く事にした。
ハワイ・オワフ島、同じハワイでもここは平和だった。
たまに米軍のジープとすれ違ったり、軍用機が空を飛んでいったり、
頻繁にパトカーのサイレンが鳴り響いたりしていたり、少し物騒ではあったが、
それでも、あの島に比べれば、雲泥の差だった。

ホノルル空港ではすでにグラッデン、コト−、そしてなぜか曙と小錦、武蔵丸までもが、
待ち伏せしていた。3人の相撲取りはとにかく目立っていた。
たったいまも日本人の観光客が、
「あっ、武蔵丸だー。帰省ですか〜?一緒に写真、撮って戴けませんか〜?」
―――パシャッ
「どうも有り難うございました。あっ、おーい、こっちに武蔵丸と曙と小錦がいるぞ〜」
「え〜うっそ、マジで〜?」
こうしてすっかり取り囲まれてしまい、やれ握手してくれだの、サインしてくれだの、
大騒ぎだ。

――その時である。原たちの姿が見えた。
「グラッデン、コウナッタラオレタチダケデ殺ロウ。」
「ワカッタ、マズハオレガツッコム!」
(アイカワラズ、チノケノアライヤツダ。)
今にも突撃しだしそうなグラッデンを見て、コトーは思った。
「マテ、サクセンヲタテテカラニシヨウ。ミスッタラオレラノクビハフットブンダ。」
コトーは言った。グラッデンは興奮しながら、返す。
「ナニー、ビビッタノカ、コト―!」
「ニンズウハコッチノホウガスクナイ。バラバラニナッタトコロヲ、ネラオウ。」
コトーはかまわずに続けた。

原たちは、搭乗手続きをしていた。
岡崎がなんだかモジモジしている。「原さん、トイレ行ってきちゃ駄目ですか〜」
「もうちょっとで終わるんだ。我慢できないのか。」
「さっきからずっと我慢してるんですよ〜」
原はチッと、舌打ちしたが、
「わかった、行ってこい。・・だが、ここまで順調に来てるのが信じられないぐらいなんだ。
 長島は絶対に何かしてくるはずだ。」
「ハッハッハ、考えすぎですって。それじゃあすぐに戻って来ますから。」
岡崎は駆けていった。
679代打名無し:02/03/16 17:19 ID:IKPUi02r
うーん…力士まで出たりして収集つくのだろうか…
あと話の流れからすると本当に終盤だから、原達が日本に戻ってなんかする
という時間とかあるのかな…?
680ジャイアンツ愛の作者:02/03/16 18:07 ID:rO21ssFJ
>679
力士はナベツネが横綱審議委員だから、そこに話を繋げるつもりです。
原達の話は、プログラムが終わってからも動き続けるっていう設定で、
書いていく予定だったんですけど・・・、ご迷惑をおかけしてます(スマソ)。
ただ、バトルロワイアルの原作とは、ほぼ関係のない話になってしまうので・・・、
必要なければ、ひと思いにボツにしてください。
681代打名無し:02/03/16 22:10 ID:WspwQ8lV
ええとじゃあ本筋は本筋で進めてもらう形でいいの?
あ、落合は絡んでくるのか・・・
682落合とジャイアンツ愛の作者:02/03/17 01:08 ID:JQWj6GsX
>>678、679
うーん…力士まで出たりして収集つくのだろうか…
>力士はナベツネが横綱審議委員だから、そこに話を繋げるつもりです。

やっぱりちょっと無理があるから力士は無くして書き直します。

>681
うん。それで落合の話はなるべく早く書いちゃいますから。それから職人さんたちに
パスという形で。でも、使いづらかったら落合のもボツでかまいません。

「・・・天佑、か」


薄暗いホテルの一室で男が呟く。
ふと部屋に備え付けの時計に目をやる。
ちょうど午前5時を回ったところだった。

昨日から今現在に至るまでの時間は男にとって
地獄でもあり、そしてまた天国でもあった。

地獄はある老人の一言から始まった。


「広沢克実を売ってもらいたい」


渡邊恒雄読売巨人軍オーナーの突然の申し出。
男−野村克也を氷つかせるのに充分過ぎる一言で
あった。
広沢を売ることは即ちバトルに参加させるということである。
かつて自分が手塩にかけて育てた選手を死地に追いやる
ことなど出来るはずはない。

「・・・考えさせてください」

搾り出すような声でそう言うのが精一杯であった。
しかし相手はそんな言い逃れを許す男ではない。

「君に考える時間を与えようとは思っておらんよ。
 悪いことは言わん。今夜0時までに広沢を引き渡せ。
 当たり障りのない用件でヤツを呼び出し用意してある
 船に乗せろ。君が・・・責任をもって、な」

極めて事務的かつ一方的に言い放つとすぐに席を立った。

そのあとには愕然とする野村がいるだけであった。

・・・今夜0時・・・

心の中で指定された時間を呟いた。
ふと時計を見ると午後5時を指すところであった。
684野村編ラスト2:02/03/17 08:50 ID:o9of/VM+

広沢を呼び出す・・・?出来るわけが無い!

万年最下位争いをしていたヤクルトに赴任後、
必死になって育て上げた選手の一人である。
多くの選手が自分や妻の醜態に愛想を尽かす
中で今でも自分に仕えてくれる選手である。
彼の頭脳のどの経路をたどっても答えは
「No」でしかない。

しかし相手はそんなことに関知しない。
渡邊恒雄は流石の野村克也でも抗し切れない。
選手の命など札束で買う事が出来ると本気で
思っている男である。
球界の闇そのもの−そんな表現がピッタリ
当てはまる人物である。
その現実が野村克也の「No」という答えを
消去し、新たな答えに行きつく。

どうしようもないのか・・・

残された時間はもうない。
いつのまにか手に携帯電話を握りしめていた。
登録してある広沢の番号にかけるだけで死刑
宣告をするに等しい。

済まない・・・許してくれ

震える手で広沢の番号を呼び出そうとしたその時であった。

ピリリリッ・・・

ピリリリッ・・・

ピリリリッ・・・

突如携帯電話の電子音が鳴り響いた。
一瞬鼓動が早まった野村であったがすぐに我に返った。

「誰なん・・・だ?」
表示された番号は見覚えの無いものであった。


685野村編ラスト3:02/03/17 08:51 ID:o9of/VM+

見覚えの無い番号の主と会話を終えてから数時間後、
野村克也は数多くの記者団に取り囲まれていた。
そんな彼を多くのフラッシュが彼を包み込む。

・・・南海解任以来だなぁ・・・

心の中でそう呟く。
そして目の前にあるマイクには別の言葉を発する。

「えー、本日を持ちまして私は阪神タイガースの監督
 を辞任致します」

もう日付は変わっている。
午前0時50分を過ぎたところだ。
渡邊が言い残した一方的な約束は果たしていない。
つまり広沢を呼び出すことはしなかったということだ。
なぜならもはや野村克也にその権限はないからだ。

−辞任・・・といっても体の良い解任劇−

数時間前に野村の元に掛かってきた電話は
阪神球団役員理事会からのものであった。
監督夫人の脱税摘発という失態の責任と
就任3年連続最下位の責任をとった形だ。

そして新監督が既に星野仙一に内定していることも知らされた。
星野もバトルの存在を知る人間の一人である。
巨人に対する反骨心を持つ男などとマスコミは取り上げているが、
球界の稀有な選手達をバトルによって奪われていることが星野の
巨人への怨念にすりかわっていることを知るものは少ない。

阪神から解任の電話が掛かってきた直後、野村は直ぐに
携帯で星野に電話をかけ、解任を含めた事の次第を詳細に告げた。
最後に「頼む」とだけ野村が言うと、それまでただ聞いていた
星野は「分かった」とだけ答えた。
短い答えであったがその一言は野村にとってこの上なく頼もしかった。

星野はバトルの賭けにも参加していない。
それは野村のように渡邊に弱みをみせてもいないということだ。
渡邊も流石に星野に圧力をかけることはできないのだ。
これで少なくとも広沢が今回参加させられることはない。
次回があるとしてもそれまでに渡邊の寿命がくることも大いにありえる。

念のため辞任の記者会見のあとすぐに広沢に電話を掛けた。
電話に出た彼は心配そうに野村のことを気遣っていた。

・・・人の気も知らないでこの野郎!

人知れず悪態をつくが本音は無事を確認してホッとしていた。

686野村編ラスト4:02/03/17 08:53 ID:o9of/VM+
それから野村はこれまでの疲労感に襲われた。
が、体はぐったりとしているもののしかし不思議と頭は冴えた。
そんな中で彼は妻のことを考えていた。

脱税事件に端を発したもののこれまでも彼女の嫌な面は見てきていた。
ケニ−や前の夫に対する仕打ちも既に露見している。

嫌な女かもしれない。
だが渡邊に比べればまだマシだ。
残された時間は少ないがまだやり直せるかもしれない。
拘置所から出てきたら話をしよう。
いままで野球の話しかしてこなかったっけ。
何か話題はあるか・・・?
野球以外では克則のことしか共通の話題がなかった・・・。
孫・・・そうだ、孫について話をしよう。
孫が生まれてからはともにまともに生きよう。
まだ、まだやり直せる・・・。

時計を見ると既に午前7時を回っていた。

・・・少し早いがホテルをチェックアウトしよう。

浮き立つ心を押さえきれずに荷物をまとめ足早にホテルの部屋をでた。
マスコミが家の周りにいるかもしれないなどとは考えていなかった。
フロントの方へ勇んで駆け寄る。
「随分お早いご出立ですね」
ホテルマンらしき人物が声を掛ける。
「ああ、少し予定が早まってね」
野村は部屋のキーを渡しながらそう言った。
「あっ、そうだ」
ふいに相手が声を上げる。
「お届物があるんですよ」

・・・届け物?

野村が意外に思いホテルマンの顔を見たその時、
胸に激痛が走った。

視界が暗転する。
ふと目の前に床が迫る。
しかし、最後にホテルマンの顔だけは確認出来た。

・・・江川・・・何故ここに・・・?

そこで野村克也の意識は途絶えた。
床に敷かれた絨毯を血が朱色にそめていく。
「老いたモンですねぇ、野村さん。
 昔のアンタならナベツネから簡単に逃れられないことくらい
 分かっていたでしょうに・・・」
冷徹な眼で肉塊となった野村を見つめる。
「ま、広沢はこれで助かったわけだ。
 柳の下にドジョウは二匹いないって事ですよ」

渡邊から汚れ役を仰せつかった自分への皮肉をこめて
そう言い捨てると拳銃を捨て足早にホテルを去っていった。

その日の夕刊の紙面を「野村克也自殺」の文字が飾った。
全ては闇から闇へと葬りさられた。
全ては闇の中へ・・・。
687代打名無し:02/03/17 20:59 ID:0aFumWhZ
age
688代打名無し:02/03/18 01:36 ID:PTxpkuZJ
ノムさん…(w
いや、笑うところじゃないか…職人さん、お疲れ様です!
689代打名無し:02/03/18 01:44 ID:UkodhvU6
江川、桑田に賭けてたんだっけなぁ…それがいきなり…
690代打名無し:02/03/19 01:29 ID:9K1d6b2I
age
691代打名無し:02/03/20 01:14 ID:jJRZmQbx
age
692代打名無し:02/03/21 01:26 ID:ODDkyJ68
捕手。
693代打名無し:02/03/21 20:27 ID:uE56OA/T
age
694名無し:02/03/22 09:39 ID:rVeUhe5E
ゲームのほうどうなった?
695落合博光4:02/03/22 16:23 ID:zoMcAO61
落合はノートパソコンに目をやって松井たちの位置を確認し、走り出した。
急がなくてはならない。清原は松井たちに近づいてきている。
自分はもう結構な年だ。三八式歩兵銃はかなりの重量だ―に加えてこのお荷物、
老体に響く。だが、これがあるから正確な位置がわかるので、我慢しなくては。

(それにしても酷いな。さっきは西山で今度は背番号からして阿部か…
 全くこんな凄惨なものだったとは…。)
ここは落合の想像を遥かに超える場所だった。…だが図太い落合はすぐに適応
する事が出来た。

(もうすぐだ。急ごう。…川相と松井とは馴染みがあるが、入来と二岡は
 俺の事をよく知らないはずだ。誤解を受けるかもな。)
廃屋が見えてきた。落合は走るのを止めた。

正面にあったドアをノックすると、中から返事があった。
「清水さん?」落合は返事をする。
「いや俺だ、落合だ。」「エーッ、オチさんですか!?」

696松井グループと落合・合流1:02/03/22 17:52 ID:OMa/oZD9
ドアをノックする音が聞こえた。
「清水さん?」松井が言った。「いや俺だ、落合だ。」
少し毒気の感じられる声は間違えなく彼のそれだった。
「エーッ、オチさんですか!?」
松井は驚きを隠せなかった。
傍らの入来の顔には緊張感が走っている。そしてポケットの中の銃に
手を掛けようとした、のを川相が止めた。
「よせ、オチさんは絶対に大丈夫だ。…松井、鍵を開けてくれ。」
「はい、解りました。落合さんちょっと待ってくださいね。今、開けます。」
松井が言った。落合が中に入ってくる。
「オチさん、あなたも参加させられたんですか?」
川相が尋ねた。落合が返す。
「詳しい事は後だ。ここを出よう。清原が向かってきている。」
「なんだって!」一同、驚きと狼狽が隠せない。
「何でそんな事が解るんですか?」入来が疑わしげに問う。
「これだ。」落合はノートパソコンを見せた。
「これが入来、お前だ。そしてこれが…清原だ。」
―――松井は、ふとした疑問をいだいた。
「じゃあ…、じゃあ、清水さんは?」
「清水は…、死んだ。」少し躊躇って落合が答えた。
「!!!」(…なんてこった。やはりあの時、止めておくべきだった。)
松井は激しく後悔した。
「松井、今は人のことで感傷に浸る時間はない。自分のことだけ考えるんだ。
 …移動しよう。」
697?a?A°?1/4?3?μ:02/03/22 22:40 ID:ZiGkBRet
ゲームやりてー
698代打名無し:02/03/23 18:29 ID:r4bSM5ng
とりあえずage
699代打名無し:02/03/24 19:15 ID:zjwMoFaj
age
700代打名無し:02/03/25 01:08 ID:DDlm761U
700!
701松井グループと落合・合流2:02/03/25 16:55 ID:hwd7fkIZ
「斎藤もこの島にはもういない。桑田は死んだ。」
「じゃあ残っているのは俺達と清原さんだけだったんですか…」
「川相、バードコール…?そうかそれで…よし、もう一度鳴らしておけ。」
「わかりました。」

―――死体、しばらく行くと、また死体、無残だ…。―――

「落合さん、何であなたがここに?」
「いろいろとあってな。清原は俺が止める。」
「!、そうか、あのいざこざは全部…。」
「ああ、芝居だったんだ。」―

「ちょっとさっきから聞いてたら何のことをいってるのかさっぱりわかりませんよ。」
入来と二岡が不審そうな顔をしている。
「落合さんと入れ替わりに清原が巨人に入団したって事だ。」
川相が言った。

―――「よし、ここら辺まで来れば大丈夫だろう。」
落合はノートパソコンを置いた。一同、画面に目を見やる。
「ここがさっきの所だ。清原の奴、周辺を躍起になって探してるみたいだな。」
(清原さんと一戦交えなければいけない所だった…、いや、奇襲されてたら
 下手をすれば皆も命がない所だった…。)――
――松井は清原の鬼のような顔を思い出して思わずぞっとした。

移籍したてで清原が不振に悩む頃、松井は清原にかなり嫌がらせをされた。
しかし気丈な松井はそんな事にはめげなかった。それどころか松井は
清原を尊敬していた。心から復活して欲しい、そう願っていた。
2000年後半から2001年、活躍して笑顔を見せ、自分にライバル心を
あらわにする清原、四番は俺がいただくと宣言する清原は、松井にとって
尊敬すべき【キヨさん】だった。それでこそ清原さんだと…、松井は嬉しかった。
―オイマツイ――四番はワイのモンや――
オイマツイ、オイマツイ、オイマツイ、「おーい、松井!聞いてるのか?」
松井は現実に引き戻された。「えぇっ???、何ですか、オチさん?」
「全く、ちゃんと聞いてろよな。いいか、まず俺が清原を説得してみる。
 それで・・・お前は・・・。」
いよいよ清原と戦わなければいけない時が来た。
松井は覚悟を決めた。
702番長:02/03/25 18:35 ID:Qss+ayD/
「ここにもおらんな・・・。」
清原は血眼になって松井たちを探していた。自分は巨人が大好きだ。
絶対に勝ち残らなければならない。そして…松井に引導を渡す時が来た。
(巨人の四番は俺や。)

(・・・それにしても見つからなんな。)
確かにこちらのほうからバードコールの音が聞こえたはずだった。
廃屋があったがそこはもぬけのからだった。付近はくまなく捜したはずだが
見つからない。(妙やな。ばれたんやろか…?いや、それは有り得ないはずや…。)
――ありえないとも言い切れないな。――
ふと、体バランス飲料DAKARAのコマーシャルを思い出し、
思わず笑ってしまった。(そういえば笑ったの久しぶりやな。このプログラムが始まって
からまったく笑とらんかったわ。…俺は何であんなにあっさりと元木を殺してしまったんやろ?
あんなに俺になついてたのにな…。)
―――何で自分はそんなに巨人にこだわっている?
そこまで巨人は本当に自分にとって大事な物なのだろうか?―――
そんな考えが一瞬、清原の頭に浮かんだ。だが…、
(大事や。大切や・・・。…それに俺は元木を殺したあの時点でもう元には
 戻れん。元木を殺ると決めた時点で覚悟を決めたんや…。)
清原は、にやけた元木の顔を思い浮かべた。数秒後、清原は号泣していた。
「元木、すまんかった。俺は、俺は…。」

突然、バードコールが鳴った。
清原は涙を拭い去ると、バードコールの聞こえる方へ走っていった。
(俺はもう後には引けんのや。もう、勝ち残るしか道は残されていないんや。)
バードコールの音が大きくなってきた。
(近いぞ…。)清原はマシンガンを構えて慎重に近づいた。

茂みの向こうのやや広い所に人間らしき姿が窺えた。
しかしそれは松井でも川相でも二岡でも入来でもない。
自分が長島の次に憧れて憧れてやまなかったあの男である。
「清原、待ってたぞ。」
「落合さん、何で…。」
703暗殺集団・伊東会:02/03/25 19:56 ID:nizYTwem
               伊東会

             
             会長・長島茂雄 


  選手会長・山本功児 選手副会長・中畑清 実行部隊長・西本聖
 
  会員 江川卓・鹿取義隆・角三男・赤嶺賢勇・藤城和明・淡口憲治
     笠間雄二・平田薫・中井康之・河埜和正・松本匡史・篠塚利夫
     山倉和博・二宮至


       1、長島会長の命令で召集される。
       2、主な活動は暗殺。
       3、退会不可能。しかし会員は巨人軍プログラム免除。
       4、裏切者には即、本人と、その家族に刺客が向けられる。
704代打名無し:02/03/26 00:15 ID:glKkQEIb
いよいよ佳境
705代打名無し:02/03/27 02:54 ID:FMV3yDWp
age
706代打名無し:02/03/27 02:57 ID:0SMElZ7N
あげ
707代打名無し :02/03/27 03:41 ID:y1hCI2n4
708( ̄ー ̄)ニヤリッ:02/03/27 17:22 ID:F1mZrT3N
( ̄ー ̄)ニヤリッ
709代打名無し:02/03/28 01:16 ID:Mi91CqzT
age
710 :02/03/29 00:15 ID:peWGazRS
アゲ
711代打名無し:02/03/29 05:18 ID:WupiPwDv
あげ
712ジャイアンツ愛5の書き直し:02/03/29 06:49 ID:GqKjGPW4
原達は羽田空港に到着した。
(日本だ・・・。平和な日本だ・・・。)
「原さん、俺ずっと小便我慢してたんですよ。ちょっと行って来ます」
「おい岡崎、気をつけろよ。一人で大丈夫か?」
「ハッハッハ、心配しすぎですって。それじゃすぐに戻って来ますから。」
(全く、大丈夫かよ、本当に・・・。・・・おっ、来た来た。)
原は手荷物を取ると、そこら辺で取っているはずの吉村と駒田を探した。

(―――・・・おっ、いたいた。)
「おい、探したぞ。」
「!、なんだ原さんか。」
不意を突かれた形になった吉村が言った。
「なんだとは何だよ。・・・で、もう行けるか?」
「あ、まだ駒田のが・・。岡崎さんは?」
「ああ、岡崎ならちょっとトイレに・・・。」
「キャー!!」
「どうした!?」
「向こうのトイレのほうからだ!」
あたりが急に騒がしくなる。
「原さん、まさか・・・。」
(確かにここまで順調に行き過ぎてはいたが・・・。)
「吉村、見てきてくれ。」
「解りました。」
吉村は怪我をした足を庇いながら駆けて行った。
「おい駒田、まだなのか?」
「うーん、どうしたんスかね?」
吉村が慌てた形相で走って戻ってくる。
「どうだった?」
「…岡崎さんです。死んでました。」
「!、わかった…。おい、駒田、荷物は諦めろ。急いで出るぞ。」
「わかりました。…くっ、あの中には…ブツブツ。」
走りながら原が言う。
「荷物と命とどっちが大事なんだ?」
駒田はしぶしぶ黙った。

―――はっ、あれは河埜さんだ…。1、2、3、4…。…ここは通れん。
「原さん!俺が囮になります。その隙に…。」
「駒田、何を言ってるんだ!馬鹿!よせ、やめろ!」
駒田は突っ込んで行った。
「よせ、駒田、待て、待つんだ!」
後を追って駆け出しそうな原を吉村が食い止めた。
「原さん!…今の内です。」
「クソッ!」
713岡崎郁:02/03/29 07:01 ID:V9UF8va9
(よっと…、…あー漏れるかと思った…。)

両隣に白人と黒人が付く。
「おいおい、グラッデンじゃないか、こっちはコトーか。
 いやー懐かしいな。二人揃ってどうしたんだ?」
(!)
二人の外人の目には明らかに殺意が感じられた。
そして岡崎は死を覚悟した。
サイレンサー付きの拳銃を背中に当てられた。
パスッパスッ

「ヨシ、ヒトリハ殺ッタ。コレデオレタチノクビガ、フットブコトハナイ。」
二人の外人が去っていく。
意識が朦朧とする。
(ああ、これが死ぬって事なんだな…。原さん、吉村、駒田…藤田さんを…)

――「キャー!!」
714代打名無し:02/03/29 18:41 ID:aPJWdCUf
age
715代打名無し:02/03/30 01:28 ID:1H5N33hF
age
716代打名無し:02/03/30 12:39 ID:dlc1QQ4r
一応、上げとくよ
717合流直前:02/03/30 21:03 ID:kW7Hn65Q
「……ねえ、川相さん」
川相が五度目のバードコールを鳴らし終えて戻ってきたのを潮に、
松井は先刻から考え続けていたことを口に出してみることにした。
呼ばれた川相だけではなく、二岡や入来も松井のほうへ目を向ける。
彼らの耳目を十分に意識して、全員に向けて松井は言った。
「一緒に野球、しましょうよ」
寸時、場に沈黙が落ちた。こんなときにそんな話を始めるのは
確かに少々太平楽に過ぎるかもしれない。
しかし松井はそれをしたかった。未来のことを、考えたかったのだ。 
真っ先に立ち直ったのは二岡だった。
そうですよ、と言いながら川相のほうへ身を乗り出す。
「俺、なんとか出ますから、そしたら川相さん、送ってくださいよ。
 後ろには松井さんがいるんだから、間違いなく点取れるでしょう?」
「なに言ってる、二岡」
いささか刺々しい調子で入来が口を挟んだ。二岡がびくりと身を竦める。
しかし入来はにっと笑って見せた。
「松井の前に、清水のところで帰ってこられるだろ」
なるほど清水と堀田もいるのなら、たぶんそうなるだろう。
そして入来がそのようなことを言うというのは、入来もいるということに。
そうか、そうですよね、と嬉しそうに二岡が笑った。
「相手バッターは入来さんが抑えてくれるし、バッチリじゃないですか」
二岡の言葉を受けて、松井は改めて川相を仰いだ。
「またみんなで野球しましょうよ。ねえ、川相さん――」
川相の顔にはしようのない奴らだな、と書いてあった。少なくとも松井にはそう見えた。
『だがそれも悪くない』、いかにもそんなふうに言いそうな顔に。
しかし川相がなにか言うより先に、唐突なノックの音がそれを遮った。
718 :02/03/30 21:41 ID:HaDUivAJ
「一緒に野球、しましょうよ」

イイ!(T∀T)
719代打名無し:02/03/31 02:43 ID:VDp8T4rC
>>717
泣かせてくれるね、松井・・・

正直、落合編は番外編ということにしてほしい・・・
720代打名無し:02/03/31 03:33 ID:zxJzACwK
>「松井の前に、清水のところで帰ってこられるだろ」
これ、凄くいい……
721代打名無し:02/03/31 04:11 ID:YTJuTdUR
>>717
短いのに凄くイイ・・・
「一緒に野球、しましょうよ」はまじで泣ける!


722代打名無し:02/03/31 07:39 ID:c/d1/dpY
>>717
個人的には77章の清水の夢と並んだ

>>719ヒソーリ同意…チョト淡白過ぎるかなあ…セリフだけで事が進んでる気がする
7230tiai・ライター:02/03/31 14:00 ID:I5kGfUrE
ネタを使えるんだったら、書き直して。
ふとした場面や心情を考えたりするのはもの凄く苦手。
しかもめんどくさくなって、かなり手抜きになった。スマソ。
誰か、なにとぞよしなに・・・・。
724高野とか原とか書いてた奴:02/03/31 16:56 ID:zxJzACwK
つか>>717は本当に良いわ。
ここ数年泣いたことないけど涙が出そうになった。
こういうのは俺には書けなかったなあ……。

この後の展開にびくびくしつつしかと見守らさせてもらうであります。
725代打名無し:02/04/01 01:00 ID:Sv8n6kWj
age
726代打名無し:02/04/01 03:32 ID:Sv8n6kWj
あげ
727中島治康:02/04/01 03:42 ID:hlRmh8ua
スタルヒンが4番打者に
http://www.55giants.hmcbest.com/reki/reki4.cgi
728中島治康:02/04/01 03:47 ID:hlRmh8ua
川上哲治が開幕投手に
http://www.55giants.hmcbest.com/reki/kaimaku.cgi
729代打名無し:02/04/01 03:47 ID:xAA1dA3u

                              もう、どうなってもいいや・・・
               -― ̄ ̄ ` ―--  _
          , ´  ......... . .   ,    ~  ̄" ー _
        _/...........::::::::::::::::: : : :/ ,r:::::::::::.:::::::::.:: :::.........` 、
       , ´ : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::::: : ,ヘ ::::::::::::::::::::::: : ヽ
    ,/:::;;;;;;;| : ::::::::::::::::::::::::::::::/ /::::::::::::::::::: ● ::::::::::::::::: : : :,/
   と,-‐ ´ ̄: ::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::r(:::::::::`'::::::::::::::::::::::く
  (´__  : : :;;:::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::`(::::::::: ,ヘ:::::::::::::::::::::: ヽ
       ̄ ̄`ヾ_::::::::::::::::::::::し ::::::::::::::::::::::: : ●::::::::::::::::::::::: : : :_>
          ,_  \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: `' __:::::::::-‐ ´
        (__  ̄~" __ , --‐一~ ̄ ̄ ̄         

730名無しさん@お腹いっぱい:02/04/01 04:06 ID:aFnD//Ef

                  ヽ  ヘ ノレ,
      ∧_∧      ヽ(。、::。.::・'゜・' )〆
     (´Д`*.)    / ̄ ̄ヽ::。 ).。::  θ) ←たかはし
       i i⌒\__ノ     ノ::・'゜。'゜ )ゝ
       ヽヽ ヽ    / /。、 ::。 )ヽ
        )) )-─/ /’ /Υ/ γ\ヾ
        // /  //  /  // /\    \
       ((__ノ  // /   (_(_,ノ  )    )
           // ノ       / / /
           |_|_/        / / /
                   (  (  <
                    \ \ \
                    (⌒_(⌒__ヽ

たかはしって、いつ天才になるのですか?
731代打名無し:02/04/01 13:40 ID:Xy/89btf
あげ
732 :02/04/01 21:28 ID:Yqb8ugzq
「んー、これは見物ですね〜 いわゆる一つの、ハイライト。エキサイティングナイターです〜
 原君、君はどういう形で決着が付くと思いますか〜?」

モニターを見ながら、上機嫌で長嶋が呟いた。現在の生存者、僅かに5人。
そして、次に起きる戦闘は間違いなく松井グループVS清原だろう。
今までの清原のやり方からして、相当凄惨な戦いになるはずだ。
なのにそんな事を笑顔で訪ねる長嶋に嫌悪感を感じつつも、

「普通に考えれば…人数が多い分松井達が有利なんですが……」

そう答えたものの原は疑問を感じずにはいられない。清原のように松井や二岡が容赦なくやれるか?
もしやれないのなら…… それを見逃す清原ではないだろう。

(……迷うんじゃないぞ、松井………!!)

「松井も清原も、このバトルを乗り越えれば更に更にビッグなスラッガーへと変身出来ますね〜
 非常に、非常に楽しみです〜。う〜ん、まだですか〜?」

 祈るような気持ちの原の横で、長嶋はあくまで上機嫌だった。
733代打名無し:02/04/01 22:18 ID:DDMRuhss
age
734代打名無し:02/04/02 21:31 ID:EOJDxLPF
あげ
735名無し:02/04/03 11:12 ID:1JAihmir
ゲームやりたい・・・管理人さん何処へ・・・
736代打名無し:02/04/03 12:57 ID:z8N3V/Ro
>>735
ゲームくれくれ厨房がうるさいんじゃないの?
オタ臭い会話が延々続いてるしやる気萎え
737代打名無し:02/04/03 18:11 ID:bz2NPOeQ
別に行動記録は来たいやつだけくりゃあイイじゃん。
ただバトロワやりたい奴は覗かないんじゃねえの?
俺は殺し合いはストレス発散になるから早くやりたいと思っているがな。
738888:02/04/04 01:55 ID:hPN44Jvs
このスレ、輝く光なし
739888:02/04/04 02:05 ID:hPN44Jvs
落合編作者、途中で投げ出し、輝く光なし
読者少なく、輝く光なし
合流直前作者、臭すぎ、輝く光なし
ジャイアンツ愛作者、タイトル名が、輝く光なし
保存屋助手、責任放棄、輝く光なし

よってこのスレ、輝く光なし
740 マジレス:02/04/04 02:11 ID:wXtM9+4W
オレは2chでこのスレが一番好きだぞ
作者にはマジで尊敬している
どんなにエロ画像くれまくる神だってここの作者さんには到底かなわないよ
741 :02/04/04 23:46 ID:3HgHvVBP
あげ
742代打名無し:02/04/05 20:15 ID:Jp2irHI2
age
743代打名無し:02/04/06 13:11 ID:ZFseV1sl
age
744続・番長:02/04/06 14:02 ID:T8s8IQYY
「落合さん、何で…。」
「俺はな、お前を止めるためにここへ来たんだ。」
「…俺を、止める?」
清原の顔が少し曇る。同時に、胸の中に例えようの無い嫌悪感が沸きあがった。
何故、こんな所に尊敬すべき人がいるのかは自分にとって問題ではなかった。
自分の行動を止めに来たという言葉に酷くムカつきを覚えていたのである。
「ああ、お前をこれ以上苦しめたくはないんだ、お前は…」
「落合さん、俺は元木をも手にかけたんだ!もう戻れないんですよ。
 生き残るしかないんだ!!」
落合の言葉を遮って、清原は言った。

落合も勿論このルールは知っている。しかし松井や川相らを、修羅と化した
清原に殺されるのを黙っているわけにはいかなかった。
自分を尊敬していた人物の豹変を、これ以上見ていられなかったのだ。

両者に一瞬の静寂が訪れる。

―――堰を切って落合が言う。
「…松井の存在か?」
清原の顔が急に強張る。四番の座を争う松井の存在が、彼にとってどれほど
大きなものだったのだろう。

―――後輩?
―――良きライバル?
―――プレッシャー?

「キヨ、お前の四番に拘る気持ちも判る。だがそれで得られた四番にどれ程の
 意味がある?」
「……。」
答えられなかった。言葉が出なかった。

―――オレハ、ナンデ ヨバン ヲ ウチタイノダ?―――
745続・番長2:02/04/06 14:04 ID:T8s8IQYY
チームの四番というのは、常に周りから期待を一身に受けている。
チャンスに打てないとマスコミから叩かれ、何もわからない解説者どもに
さんざん言われ、世間体を気にする無能フロントからも現場に注文が付けられる。
特に巨人の四番というのは何よりも重い責務であり、こんな風評がどのチームより
も風当たりが強いのを清原本人も十分承知である。
四番を打てる実力がありながら、それを拒否する人間も少なからずいるのは
そんな見えないプレッシャーに耐えられないからなのだろう。

しかし、ここにいる二人は紛れもなく巨人の四番を経験している二人である。
松井が覚醒する前に四番を打っていた落合だからこそ、清原の葛藤を理解している
のかも知れない。

四番のこだわり。
四番の期待。
四番の恐ろしさ。

お互いが切磋琢磨し、競い合って実力で奪うというのが真の四番と言えよう。
また清原本人もそれを望んでいたことだった。

「お前は、本当にこんなことで四番を打ちたいのか?これがお前の望んだこと
 なのか?」
落合は、さらに続けた。
「キヨ、上に踊らされては駄目だぞ。お前は実力で松井を倒したいんだろう?
 こんなやり方ではいずれは後悔するんだぞ。もうやめてくれ。」
「……フフッ、アハハハハ!!」
高らかに清原が笑い出す。
746続・番長3:02/04/06 14:40 ID:T8s8IQYY
「何が可笑しい!?」
「オチさん、あんたも所詮俗な考え方しか出来へん人やなぁ。ここは生きるか
 死ぬかの世界やで。そんな甘い考えは捨てた方がいいんと違いますか?」
「な…何を言っているんだ清原?」
「俺はゲームを楽しんでるんや。まあ、野球とはちょっと変わってるが、
 結構おもろいですわ。あの相手が恐怖で震える顔なんかほんま堪らんわ。」
「キヨ、おまえ…」
「落合さん、俺は望んでこれをやってるんや。俺の邪魔をするやつは消すつもり
 でね。たとえ誰だろうと邪魔するやつは殺るだけや!」
「狂ってる…おまえは…」
「オチさん、あんたこのゲーム知ってたんやろ?それに俺がこうなるいうことも
 知ってたんやないのか?」

マシンガンを突きつけ、声を張り上げ激しく言う。
さっきまでの何かを考えている顔つきとは明らかに違う。
打席に立ち、相手ピッチャーを萎縮させるようなあの鋭い眼光。
いつもながらの迫力をもつ清原がそこにいた。

「ああ…だから来たんだ。しかしこれは…」
「!そうか、松井らを逃がしたのはあんたやな。松井はどこにいる?
 俺は出来ればあんただけは殺したくないんや。さあ、言ってくれ!」
「知らん。俺は誰にも会ってない。」
「嘘つくとためになりませんよ。だいたい、一人で来るいうのも怪しいもんや。
 案外、近くにいるんやないのか?」
747代打名無し:02/04/06 21:40 ID:0LdoF0QO
落合はヨソウヨ……
748代打名無し:02/04/06 21:57 ID:m8XUGgKR
>>747
いや・・・正直感動してるよ
749代打名無し:02/04/06 22:16 ID:WOkCdk69
落合はイイ! んですけどいかなキヨでもこれじゃ嬲り殺しにされる絵しか思い浮かびませんが……

などと想像力が貧困すぎるのを暴露してみるテスト。
750代打名無し:02/04/07 00:57 ID:rtVdYNXj
キヨがニセ関西弁喋ってて正直萎える
751代打名無し:02/04/07 11:31 ID:YB1fqyQY
浮上
752代打名無し:02/04/08 03:45 ID:p+mTq8if
落合編を書き切ってほしいと思いつつあげてみるテスト
753代打名無し:02/04/08 04:36 ID:VenyrCEf
最近ここの住人文句たれすぎ
754代打名無し:02/04/08 15:00 ID:tIwVToEG
正直、何故落合編が叩かれるか分からない
755代打名無し:02/04/09 00:14 ID:kiJrGOYb
落合期待アゲ
756代打名無し:02/04/09 18:31 ID:zBgM4BzF
浮上
えっと…落合編書いてる人とジャイアンツ愛編書いてる人は同じ人でしょうか?
ジャイアンツ愛編を>>732につなげる形でリライトしてみたいんですが。
758代打名無し:02/04/10 03:26 ID:oIudhKVa
落合編は、キヨに初めて人間味が見れて面白かったよ。
元木好きなんで、殺ったのをちょっとでも後悔してるセリフがあって嬉しかった。
もちろんキラーマシーンなキヨあってこそ
チラッと出る感情に味があるので、
いきなり人間臭い方向へ雪崩れこまれても困るけど
759代打名無し:02/04/10 18:26 ID:dSmK7j0C
age
760代打名無し:02/04/10 18:28 ID:BqO96+sf
ジャイキチ氏ne
761代打名無し:02/04/10 23:38 ID:8fbmGrwB
正直、他球団編や落合などの介入はうっとうしい。
……でも、読んでます。
762元・落合&ジャイアンツ愛ライター:02/04/11 12:05 ID:uoA/MRJ+
>>757
よろしくお願いします。
763代打名無し:02/04/11 12:06 ID:o6nCpUpy
764 :02/04/11 15:12 ID:NCFq1WjG
>>761 激しく同意。。。
765代打名無し:02/04/11 17:18 ID:Sg0fidOK
今日、半日かけて最初から読んだ。面白かった。

正直、このクライマックスの状況で気楽に参入する>>762氏の度胸は凄いと思った。
いや、煽りとかじゃなく本気で。ていうか俺には絶対出来ねえ。

落合編のアイデアは面白いと思うので、>>761氏の手腕に期待したいところですな。
766765:02/04/11 17:32 ID:Sg0fidOK
間違った。>>761氏じゃなくて>>757氏でした。申し訳ないっす。
767代打名無し:02/04/11 18:37 ID:yuU8AqVv
誰か阪神版も書いて
768元・落合&ジャイアンツ愛ライター:02/04/11 22:13 ID:uoERIshr
>>765
サンクス。。。

草葉の陰で見守らせていただきます。
職人さん、頑張れ!!!

769代打名無し:02/04/12 00:31 ID:06TlePB1
hage
770代打名無し

      ↓江藤
     ∧∧∧∧  キョロキョロ
    ∩∵,≡; ∵)∩ 僕、何かしたの