1 :
保存屋助手:
・・・・おのれヤクルト
・・・・おのれ若松監督
・・・・おのれ不甲斐ない我が選手どもよ
このナベツネは忘れぬぞ・・・・どれほどの怒りが、憎しみが、この身を苛み続けようとも。
繰り返し、繰り返し・・・・ 巨人が再びV9を達成するその日まで・・・・
この屈辱にまみれた日の事を・・・・ 忘れぬぞ選手どもめ・・・・
渡邊の呪いと長嶋の狂気が、第六回読売巨人軍プログラムを発動させた。
ある者は斃し、ある者は斃され、
またある者はチームメイトを手にかけることを快しとせず、自ら命を絶った。
殺戮に走る選手たち、選手たちの動向に一喜一憂するハイエナたち、
闇に蠢くかつての名選手たち、自軍の選手を狂気から守ろうとする球界随一の頭脳。
各人各様の想いが廻り、時間は静かに、そして確実に過ぎてゆく・・・
前スレ・読売巨人軍バトルロワイヤル
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi?bbs=base&key=998913966 現在の状況、関連リンクは
>>2-10あたり
2 :
保存屋助手:01/09/29 00:06 ID:Alko.U5.
第六回読売巨人軍プログラム進行状況 前スレ現在
(前スレ584、585氏作成のものを多少編集)
死者
槙原(17)・・・・・・・・・桑田(18)、仁志(8)、上原(19)が銃殺
大場(63)・・・・・・・・・江藤が弓で
江藤智(33)・・・・・・・小野がボウガンにて射殺。
柏田(49)・・・・・・・・・韓国トリオに。死因不明(焼き肉を喉に詰まらせて窒息死?)
村田真(9)・・・・・・・・村田善と心中(飛び降り)
村田善(12)・・・・・・・村田真と心中
元木(2)・・・・・・・・・・清原が射殺
條辺剛(57)・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
アルモンテ(61)・・・清原によって殉教を遂げる
西山一宇(26)・・・・・松井が斬殺(鉈)
阿部慎之助(10)・・・川相が射殺
岡島秀樹(28)・・・・・射殺。清原?
三浦貴(39)・・・・・・・同上
河本育之(27)・・・・・清原追跡中禁止エリア進入により爆死
メイ(42)・・・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
マルティネス(48)・高橋(由)が銃殺
木村龍治(41)・・・・・後藤が射殺
福井敬治(53)・・・・・自殺(銃)
吉永幸一郎(23)・・・高野が銃殺
斎藤雅樹(11)・・・・・自殺(ナイフ)
平松一宏(25)・・・・・同上。ある意味斉藤と心中。
川中基嗣(0)・・・・・・高橋(由)が銃殺
小田幸平(46)・・・・・工藤が銃殺。
小野仁(13)・・・・・・・仁志がアイスピックで刺殺。
進藤実(64)・・・・・・・ボウガンの傷からの失血死。小野?
高橋尚成(36)・・・・・高野が銃殺。
永池恭男(32)・・・・・内薗が銃殺。
内薗直樹(45)・・・・・清原が射殺。
後藤孝志(00)・・・・・野村が絞殺。
仁志敏久(8)・・・・・・高橋由が銃殺。
田畑一也(22)・・・・・南が刺殺。
南真一郎(50)・・・・・河原が銃殺。
3 :
:01/09/29 00:06 ID:oNZpkmUg
ざわ・・・
ざわ・・・ざわ・・・
ざわっ
4 :
保存屋助手:01/09/29 00:07 ID:Alko.U5.
生存者と最終状況(&:協力)
河原純一(15)
桑田真澄(18)
上原浩治(19)
入来祐作(20)
高野忍(66)
趙成ミン(21)&チョンミン哲(30)&チョンミン台(51)
工藤公康(47)
川相昌弘(6)&二岡智宏(7)&松井秀喜(55)
高橋由伸(24)
清原和博(5)
野村空生(95)
清水隆行(35)
堀田一郎(44)
残り17人
5 :
保存屋助手:01/09/29 00:08 ID:Alko.U5.
6 :
:01/09/29 00:11 ID:1Lhj1Foo
>1
お疲れ様です
続きそろそろ書くか
う〜ん・・・
7 :
:01/09/29 01:40 ID:pEUENEMM
8 :
:01/09/29 09:31 ID:2Bnst4kc
あげ
9 :
:01/09/29 09:59 ID:9YGn8QKw
>>1 お疲れさまです。
新スレ立て、ありがとうございます。
10 :
:01/09/29 16:29 ID:I1szT00A
age
11 :
:01/09/29 20:59 ID:hITx7JuA
クソスレが多くて沈みがちだね。
12 :
:01/09/29 21:03 ID:eSg/6w..
作家さんたちは土日はお休みだろうか
前スレ、もうdat行きだよ…
13 :
:01/09/29 21:26 ID:DA0bbTO2
またしてもサイドストーリー書いたら、保存屋さん大変だよねー…。
14 :
_:01/09/29 21:37 ID:E57cLSG.
>131
保存屋さんは大変かもしれないけど、読みたいです、サイドストーリー。
何よりここは披露の場なんだから、遠慮せずにうpしても良いのでは?
せっかく新スレ立っても内容が無しで保存あげばっかりだし・・・
15 :
:01/09/29 21:48 ID:hITx7JuA
あれ? ゲームデリられたかな……
こりゃデリ食らったな。
フリーウェブじゃダメか。
あれ? 生きてる? 何だ?
18 :
:01/09/29 21:53 ID:QYGn5HJQ
復活した?みたい
19 :
河原編1:01/09/29 22:28 ID:8RqklgrE
河原は細心の注意を払いながら獣道を進むが、いきなり足を止めた
「…誰か居るな…」
茂みの先に人の気配を感じ、河原は足を止める。生存者の少なくなった今、
生き残っている者は大抵は一筋縄ではいかない奴等ばかりだろうと。南のよう
なお人よしはそう残っているわけがない。
「清原や由伸だったら面倒だな…」
どっちも性根は決して悪くなかったのが一転して殺人鬼になった一番面倒な
パターンの相手だ
「…最初っから腐っている奴の方が扱いやすい…回避しておくか。」
接する事はやめておこうと河原は背を向けたが、ふいに眉を吊り上げると拳銃
を構えて振り返る。
「…!」
背後に居たのは上原だった。向こうもこちらの気配を感じて来たのだろう
(チッ、面倒な奴だ…)
河原は銃を構えたまま舌打ちする。河原の苦手なタイプであった。日陰の身か
ら一転して日の当たる場所へやって来た者独特のいじましさを持つタイプだと
河原は前々から上原が苦手であった。
「…俺とやりあう気ですか?」
上原も同じくスーツが似合わなくなるから太りたくないなどと言う河原を嫌っ
ていたのだろう、あからさまに嫌な顔をする。
「…それはお前次第だな。」
こいつに弱さを見せつけても殺されるだけだと河原は早くも本性を出した。
(向こうも銃を所持してるな…マトモにやりあえば相打ちになる…)
こんな狡猾に裏切っておいて結局このゲームに参加させられたような情けない
さもしい男と相討ちなどごめんだと河原は注意深く拳銃を構える上原を見る
と、何かに気がつくように笑う。
20 :
河原編2:01/09/29 22:30 ID:8RqklgrE
「俺は打ちません。銃構えている相手に攻撃なんてできません。」
「どうかな?お前はこすっからい奴だからなぁ…」
河原の言葉に上原はピクリと眉を動かす。それを見て河原はほくそ
笑んだ。この手の者にどういう言葉を言えば逆上するかは察しが付
いていたからだ。
「あんたにそんな事言われる筋合いないですけどね。」
「確かに。俺には雑草魂とやらは分からないからな。ま、浪人でも
してればちょっとは分かったかな?」
「…っ!」
今度こそ上原は激高に燃える目で河原を睨みつけた。
「…アンタこそ人に言えるような経歴なんですかね?しょうもない
女に引っ掛かったアンタがね。」
「しょうもない事故起こしたお前よりはマシだろ。しかし球団も
もっと庇ってやればよかったのにな。雑草に日を当てて伸ばし放題
にしたのは球団なんだからなぁ…」
「このっ…」
思わず上原は引きがねを引きそうになるが、なんとか堪えた。
「てめえなんてもう終ってる投手のくせに!20勝さえしたことない
くされ投手が…」
「それだけがお前の暗い人生の中の唯一の自慢だもんねえ。そうい
や由伸が言ってたっけな、お前のような雑草が巨人という温室に来
たからおかしくなっちまったんだって。」
「…!」
上原の手がブルブルと震えだした。もちろん、由伸はそんな事など
言ったことはない。仲間の悪口を言って己の印象悪くさせるような
男ではない、もっと小賢しい。だが、この上原がなにかと投手でも
ないのに由伸に対して浪人時代から複雑な思いを向けているのは
知っていたからあえて嘘を付いたのだった。
「はっ…あんな新人王さえ取れなかった奴が…」
どうやら効果てきめんだったらしい。かなり上原は怒りで思考が定
まらない状態になったと河原は笑う
「まあどのみち雑草のお前が昔っから温室で大事に育てられた慶応
ボーイに敵うはずもないけどな。漫画じゃあるまいし所詮日陰者が常に日なたに居た者とは最初っからレールが違うんだよ。」
「…めろ…その口を止めろ!」
もう上原は限界だろう、いつ発砲してもおかしくない状態まできて
いた。
21 :
河原編3:01/09/29 22:32 ID:8RqklgrE
「裏切って結局こんな目に合うのがお前の人生だ。日陰者がどうあ
がいても所詮はじめじめした日陰者なんだよ。いい加減気がついて
くれよ、見ていて惨めだからよ。」
「このやろうっ!」
とうとう上原は怒号すると勢い良く引きがねを引こうとした。だ
が、その時、死亡者を知らせるアナウンスが入った為、怒りがプツ
リと途切れてしまったように指を止めた。
「…仁志さんが死亡…」
「チッ……」
河原は心底から忌忌しそうに舌打ちした。こんなときにアナウンス
など流しやがってと。上原は冷静さを取り戻し、考え込む。どうし
て河原はいきなり喧嘩を売ってきたのかと。そしてふいに気がつい
たように銃口を調べだす。
「…!詰まってる…!これじゃあ…」
あのまま怒りに任せて引きがねを引いていたら文句無しに暴発し、
命は無かっただろう。上原は改めてぞっとするように河原を見る
と、慌てて銃口の詰まりを取り除いた。
「アンタ…知ってて…」
河原はデリンジャーの銃口が詰まっているのに勘付いて、暴発させ
るためにあえて自分を怒らせる事を述べ、引きがねを引かせようと
したのだと。河原はまだ腹立だしそうに舌打ちする
「あんなアナウンスさえ流れなきゃ…お前も運が良い奴だな…」
見たくもない上原の劣等感をわざわざ探り、述べた事がおじゃんに
なってしまったと河原は失笑する。
「…アンタとは真っ向からやりあう気はない…これはマジだ…アン
タみたいな恐ろしい奴…」
上原は銃を構えたまま後ずさる。
「とりあえず今回はおあずけだ……」
「……」
銃を構えているのだ、今は上原を逃がすしかないと河原も銃を向け
たまま上原を見遣る。
「…今回は撤退するけどな…アンタだけは絶対に殺す…アンタは俺
の精神をズタズタに切り裂いた…」
「……」
お前にそんな殊勝な精神などあるものかと言ってやりたかったが、
こうなった今、怒らせるのは命取りだ。河原は無言のまま銃を構え
たまま逃げる上原を見送るのであった。
22 :
ゲーム設置したやつ:01/09/29 22:35 ID:hITx7JuA
23 :
:01/09/30 10:17 ID:Lnz3owVA
なんか、凄い勢いで下がっているので age
24 :
:01/09/30 10:31 ID:HgWre99Q
上原と河原の煽りあい最高。
25 :
保存屋助手:01/09/30 12:24 ID:IQ/PORtE
とりあえず、一気読みと現在の状況は更新しました。
ここんとこ各球団の人事がいろいろあって沈みがちですが、
職人さんをお待ちしよう・・・しかし、前スレがもうdat行き・・・早い。
>>22 うちからもリンクしときましょうか、一応。
26 :
上原編:01/09/30 13:43 ID:6obRbQ96
くそっ……河原め、俺を散々コケにしやがって……! 許せないッ……!
しかし、あっさりと相手の挑発に乗ってしまうとどうなるのかは教えられた。
もしあのままトリガーを引いていたら右手とはサヨナラ、そして河原に撃たれてこの世からもサヨナラしていただろう。
「落ちつけ……あくまでもクールにだ……」
そもそもこのデリンジャーは銃の中ではもっとも火力が低く、速射も利かないのだ。
真正面から撃ちあって、という武器では決してないのだ。
要するにこれで勝つためには、相手の虚を衝くしかない。
「そうだ……頭を使わなければならないんだ……感情的になるな、冷静に、冷静にだ……」
上原はそう自分に言い聞かせる。
確かに河原は自分を散々コケにした。それに俺の自爆を狙ったあの狡猾さ。到底生かしておける奴ではない。
しかし熱くなっては駄目なのだ。熱くなっては何を仕掛けられるかわからない。
そもそも今生き残っているというだけで一筋縄ではいかない奴らばかりのはずなのだ。
あの河原のように。
上原は下唇を噛み締める。
「熱くなるな……クールにだ、感情を殺してマシーンになれ……生き残るためには……」
呪文のように何度も唱える。
「よし」
何度も唱えてから、上原は小さくつぶやいた。
もう2度と挑発には乗らない。
俺は冷静だ。
そして、あることを思い出した。
まだプログラム側に居た時に、長嶋と原が補充用の武器などを溜めこんだ倉庫の話をしていたのだ。
この島のどこかにあるのだろう。
デリンジャーでは少々心許ない。
そこに誰かが潜んでいる可能性も高いが、このデリンジャー一丁だけで歩きまわる危険を考えれば、探してみる価値はあると思えた。
しかし肝心のその場所はわからない。
少し先に小高い丘が見える。
その上から見渡してみれば、わかるかもしれない。
上原は丘を登りはじめた。
27 :
ゲーム設置したやつ:01/09/30 13:44 ID:6obRbQ96
28 :
?:01/09/30 15:56 ID:vAnPe8fc
これ、優勝した選手にはどんな特典があるんだろう?
29 :
:01/09/30 16:54 ID:35EKF4ZE
>>28 過去ログのサイト見たらわかるけど、将来巨人の監督になれるらしい(w
でもいろんな陰謀が渦巻いてるらしいのでよくわからん
30 :
:01/09/30 18:17 ID:6obRbQ96
保守
31 :
:01/09/30 22:04 ID:6obRbQ96
クソスレ立ちすぎ。
保守
32 :
:01/09/30 22:44 ID:V6GmzfMQ
ageますね
33 :
:01/10/01 00:21 ID:Ti9gz4nQ
うわー!河原悪っ!最高だよ!由伸持ちだすとことか上手いなぁ…
実際に上原って由伸にライバル意識みたいなのあるような感じするしね
34 :
:01/10/01 09:11 ID:1vV6peWA
一度age
35 :
:01/10/01 12:48 ID:YmdO1PlI
河原、ますますイイ!(・∀・)
36 :
:01/10/01 12:55 ID:l5lVdJns
河原も(・∀・)イイ!! けど、
ゲームに強制参加→河原に煽られる→放送聞く、まで
自分の銃に細工されたことに気づかない歯茎も間抜けで(・∀・)イイ!!
武器庫に行こうとしてるのは、入来とのバトルの前兆・・・?
37 :
:01/10/01 12:55 ID:2u23EKEo
38 :
シマコフ:01/10/01 12:59 ID:kjkv.bUI
コレ見てブックオフでバトルロワイヤル買っちゃったYO!
100円だったけどネ!
ま、あれやね。
39 :
あいな〜:01/10/01 15:01 ID:4F8sPN5M
40 :
:01/10/01 20:02 ID:YmdO1PlI
保守age
41 :
:01/10/01 23:34 ID:X1UcRmAw
保守あげ
42 :
捕手abe:01/10/02 02:55 ID:K209BiYk
最近このスレがなんとなく空いてるのは皆
>>22に夢中なせいか?(w
43 :
:01/10/02 09:09 ID:zz5yAZzE
古田編の続きが気になるYO!
44 :
捕手yano:01/10/02 14:01 ID:1mvbRZEE
うん
45 :
:01/10/02 15:37 ID:bnxyXw5o
このスレもバトロワのゲームも悪魔的な面白さだ・・・ヤヴァイよこれは
46 :
:01/10/02 16:37 ID:vX8M9xM6
河原は悪役なのか?
河原ファンは怒りそうだな
47 :
:01/10/02 17:10 ID:yAf915c6
>46
ファンです。でもそれはそれ、コレはコレ。
河原(・∀・)カコイイ!!
なるべく最後の方まで
残ってくれることをきぼん。
48 :
:01/10/02 21:05 ID:spfMHN2Q
>>46 河原って正直印象薄い選手だったけどこの河原はカコイイ!
49 :
趙1:01/10/02 22:23 ID:NIw/oQsI
「・・・・!」
休んでいる趙の耳に、銃声と叫び声が聞こえた。
見張りは現在ミン台だが、叫び声はミン台のものだろう。
「くそ・・・。予定外だな・・・。」
趙は銃を確保し耳をすませる。
ミン台を殺した人物は建物へ入り、こっちに向かって来ているようだ。
横をみると、一緒に休んでいたミン哲はまだ眠っている。
「めでたい奴だな・・・。まあどうせ殺すつもりだったし放っておこう・・・。」
趙は休んでいた部屋の反対の反対側の部屋に身を潜めた。
足音はどんどん近づいてくる。
そして、その人物はミン哲の寝息の聞こえる部屋へ入っていった。
「おい、起きろ。・・・・起きろよ!」
「・・・! く、工藤さんどうして!!待って下さい!私達は戦う気ないです許してください!!」
「いいか?今から一つ質問をする。吉永を殺した奴を知っているか?」
「お願いです!!なんでもします!許してください!」
ミン哲は工藤の言っている言葉など聞かずに、謝り続ける。
「いいから質問に答えろ!」
工藤が銃の引き金を引く。
ミン哲のすぐ横の床に穴が開いた。
「ひいいいいいいいい!」
「もう一度だけ聞く。吉永を殺した奴を知っているか?」
「し、し、知りません!本当!許してください!」
こんなおびえた奴が人を殺せるわけがないな・・・。またハズレか・・・。
工藤はミン哲に銃口を向ける。
・・・ミン哲はもうそれすらに気が付いていない。言葉も韓国語に戻っている。
「謝願殺非!工藤!本当!生謝欲戦無!!」
「ミン哲。お前には悪いが死んでもらう・・・。」
工藤は銃の引きがねを引いた。
50 :
趙2:01/10/02 22:24 ID:NIw/oQsI
趙は工藤とミン哲のやり取りを、廊下から隠れながら見ていた。
工藤さん・・・――甘い。甘いですよ。
本当に仇を討ちたいなら、すぐに殺してしまわないと。
相手に聞いてる暇なんてないはずでしょう?そんなんじゃ生き残れませんよ・・・。
「誰だ!」
工藤の前に、趙が姿をあらわした。
「・・・・・・」
黙りこんで工藤を見る趙に対し。工藤は突然の趙の登場に、少し混乱状態のようだった。
「趙!? 今の――、見ていたのか?」
「ええ。見ていましたよ。」
趙はそっけなく返事をした。その態度が、混乱状態の工藤をさらに刺激した。
「なぜだ?ミン哲の仲間だろう?オレが殺すのをなぜ黙って見ている。」
「どうせ殺すつもりでしたし。それに、工藤さんがどうやって殺すのかも興味ありましたしね。」
工藤は銃を趙に向けた。向けるだけだった。
「趙・・・。質問をする。吉永を殺した奴を知っているか?」
「いいえ。」
「本当か?まあいい。趙、お前には死んでもらう。」
その姿を見た趙はいささか呆れ気味に言った。
「工藤さん。一つ教えてあげますよ。」
「・・・なんだ?」
「撃つ気がないなら銃なんて構えるな。銃は、構えた時にはもう撃ち終わってるんだ。」
趙の喋る言葉の途中に、ばすっ、と、何かを打ち抜くような音が鳴っていた。
趙が放った、銃の音だった。
言葉が終る頃には、もれなく工藤の命も終っていたのは、趙にすぐ分った。
ほぼ零距離から放った銃弾は、正確に工藤の額を貫いていたからである。
あっけない。しかし、銃がタダで手に入ったと考えればいいか。
趙は工藤から銃を奪い、ミン哲とミン台のバックから使えそうな武器、道具を自分のバックに詰めた。
部屋から出ようとした趙は、工藤の死体に目を向け口を開く。
「工藤さん。吉永を殺した奴はオレが変わりに殺してあげますよ。
誰が殺したかなんて興味ありませんけど、全員殺せば結果的にはそうなりますから。」
時計を見る。
朝6時。
「さて。そろそろ行動開始だな。」
趙は誰に言うでもなくそう呟くと、その場を後にした。
51 :
:01/10/02 23:11 ID:ibNAJ6VE
part1みれないんですけど・・・
52 :
:01/10/02 23:12 ID:xHOU7aK6
53 :
:01/10/02 23:17 ID:8iIVIP0g
>>50 趙もカコイイ!悪がどんどん登場してくるYO!
54 :
:01/10/03 07:06 ID:nbNDprhE
保守age
55 :
七資産:01/10/03 13:39 ID:UNfGZXw2
村民イイ!ナイス悪役。高野との遭遇はまだか。
56 :
番外編:01/10/03 19:24 ID:moDvS7Ys
前略、三沢興一です。
僕、近鉄に移籍してから絶好調。
なんともう、7勝もあげちゃいました。うれしいなぁ〜。
僕とトレードになった田端さんや、ジャイアンツのみんなは元気かなあ。
日本シリーズでの僕の活躍も、見てくれるといいな〜。なんちゃって。
三沢興一でした〜。
57 :
56:01/10/03 19:25 ID:moDvS7Ys
しばらくゲームに夢中だったんだからネ!
とりあえずはこれで勘弁して欲しいんだヨ!
58 :
:01/10/03 19:35 ID:0cydHmVw
>>56 なんともブラックな番外編だな(w
保守のため一旦age
59 :
ナベツネ編:01/10/03 21:48 ID:VrjydSKU
順調だ。全ては順調に動いている。プログラムは最早中盤から終盤に入ったと見て良いだろう。
今のところ、全ては思いのままだ。まぁ、古田には嫌な汗をかかされたけれどしかしそれももう手打ち済み。
グラスにワイン(それも血のように真紅な)を揺らしつつ、ナベツネは悦に入っていた。
酔いが回ったのか、様々なことがとりとめもなく思い出される。
嬉々としてプログラムを進行させる長嶋の顔、大金をスッた欲ボケ共の苦渋と怒りに満ちた顔、そして選手達の苦悩と怨嗟の声。
とりわけ印象に残っている選手、つまり清原や高橋や高野や工藤らの声を反復しながらナベツネは愉悦に浸っていた。
が、その口元が不意に引き締まった。何かが引っかかった。川相だ。川相は何と言っていた?
「ここから脱出する方法はある。ただしそれには条件がある」
「俺達が最後まで生き残っているということだ、つまり他のやつらがすべて死んだら、
というわけだ」
聞いた時は松井と二岡の信頼を得るためのでっち上げだと思って、全く気にもしなかった。
それは今でもそうだ。しかし、どんなシステムを組んでも、結局は運用する者次第なのだ。
ましてや、今回それを運営するのはあの長嶋なのだ。
ナベツネは、少しの間額に手を当て考え込んでいたが、おもむろに受話器を取ると、ある番号押し、話し始めた。
ワシだ・・・・いや完璧なのはわかっとる、そのうえで何か気になる点は・・・・3日前?
サーバーに?もっとわかりやすく言え。・・・・!何でそういう・・・・長嶋には通してある?
嘘じゃないんだな?
そこで通話を終えると、再びナベツネは額に手を当て、猛烈な勢いで考え出した。
最早、酔いはどこかに飛んでいた。
60 :
:01/10/03 23:52 ID:ULz1W6vQ
話し声。移動に伴う物音。
あるいは殺しても殺しきれないかすかな息遣いでも良かったが
高橋由伸(背番号24)の耳に聞こえてきたのは液体が草を叩く
ぱらぱらという音だった。ごく近くの藪の中誰かが用を足しているのだとわかった。
(そう、この島に犬でもいるのでない限りは)
夜明けが近く首を上に向けると
漆黒にかすかな青が滲み始めた空の色が見えた。
清水と遭い、どうにか逃げおおせた後
由伸がまず考えたのは銃が必要だという事だった。
條辺と出会ったのはほとんどアクシデントだったのだが
運良く銃を手に入れられた。
しかしその銃をあろう事かいつの間にか落としてしまっていたのだ。
慌てて探し回ったが既に遅く、困り果てていた所に
メイとマルチネスの声が聞こえてきた。
そして二人を倒し、銃とあまり使えそうにはなかったが
一応短刀も手にする事ができた。
銃があれば多少は大胆に行動しても平気だったし、
それに小野仁とやりあった後の仁志を殺すのも簡単だった。
(しかしとどめを刺しておかなかったのは本当にまずかった。気をつけなければならない)
だけど今は丸腰だ。その銃も短刀も失ってしまった。
手元には最初に自分に支給されたカマがあるきりときてる。
こちらも使えない訳じゃないのだが、何としてでも再び銃を入手する必要があった。
何故ならやる気になっているのは自分だけじゃない、あの岡島秀樹と
三浦貴を殺したマシンガンの奴がいるからだ。
そしてそのマシンガンの音は30分程前にもまた聞こえたばかりだった。
もちろんその分逆に、自分が無理して仲間を手に掛ける事もない、
そいつに任せておいて自分はやれる時にやればいいとも言える。
けれども最終的にはそいつ、そのマシンガンの奴とやりあう事になる可能性が高い。
その時に銃がないのは絶対まずい。
銃とマシンガンでも厳しい事は厳しいのだが
カマとマシンガンじゃそもそも勝負にならない。
そういうわけで由伸は島の中央を東西に抜ける道路にそって西へ進み、
その後北の山まで移動して誰かを探し始めた。
それから約3時間が経過し――
今、ようやく耳に物音が届いている。
由伸はその音を頼りに藪を掻き分けて進んだ。
もちろん慎重に。こちらが物音を立ててはならない。
藪が切れた。
茂みのなかにぽっかり開いた小さな空間がそこにはあった。
正面も右手もやはり藪になっている。左手もまたそうで――
その隅に黒のジャンパーをきた男の背中があった。
ぱらぱらという音が続く中、顔を落ち着きなく左右に振りむけている。
誰かに襲われやしないかと不安で堪らないのだろうが、
それでその人物が佐々木明義(背番号54)である事が分かった。
まあ、それが誰だという事よりも。
佐々木が用を足しながらも右手にしっかりと握っている物が由伸の目をとらえた。
――銃だった。やや大型の、回転式だ。
由伸の口元にまた笑みが浮かび上がった。
61 :
これって禁じ手?1:01/10/04 00:34 ID:GYMv6KF.
「…!」
その選手は目を覚ますなりガバリと跳ね起きたが酷い激痛の為に眉をしかめた
「……」
そして辺りを見渡す。辺りは殺風景な病室であった。だが適温に保たれた部屋、痛々しい己の体に巻かれた包帯を見つめると何がなんだか分からないように呆然としたままだった
「なんでだ…」
自分は確かに死んだ筈であった。自分でハッキリと死を決意した死であった筈なのにここは一体何処なのかと、なんで生きているのか、頭は混乱する。
「目を覚ましましたか?齋藤君。」
「…!」
ふいに現れた人影にその選手、齋藤はギョッとするように長島と原を見る
「もう少し遅ければ今頃あの世行きでしたよ〜」
「…齋藤、お前は選ばれたんだ。」
何とも言えない表情で原は付け加える
「ん〜そろそろ宮田君をあぼーんしようと思いましてねぇ、そこで齋藤君、偉大な実績と記録を残した君に継いで貰おうと思いついたわけですよ〜」
「…そういうことだ。お前を時期コーチに任命することに決定した。だからこうして助かったわけだ。…あと1分遅ければ出血多量で本当に死んでいるところだったぞ。」
「ちょっと待て!」
やっと現実に戻った齋藤は声を上げる
「こんな酷いゲームを行っておいて何言ってるんだ!コーチになれだと!ふざけんな!」
多分、生まれて始めて他人を罵倒するという行為を行う斎藤をなだめるように原は首を振る
「お前をプログラムに入れたのはこっちのミスだったんだ。チュウもな…。お前達を来季からコーチに任命する予定だった…桑田から斎藤さんの死を確認したと聞いた時には焦ったぞ」
「そんな…じゃあ俺と村田さんをこの酷いゲームの参謀者の一員にしようとしたという事なのか!」
「原君、どうやら斎藤君は協力の意志があまり無いみたいですね〜」
「あたり前だ!仲間を裏切って生きる事などできるか!」
斎藤は生まれて始めて渦巻く怒濤のような怒りに燃える
「斎藤!落ち着け!…お前は選ばれし者なんだ…180勝も二年連続20勝も11連続完投勝利の実績はきっとこれからの球団に役にたつと…」
「こんな球団の役に立つくらいなら死んだ方がマシだ!」
斎藤は頭を抱えた。生え抜きとして、読売の大エースとして愛してきた球団だったのにと。無理な酷使で体を壊した事も球団のためなら後悔はなかったのにと苦悶する
「我が巨人軍の大エースだった者がそんな事を言ってはいけませんねぇ〜。エースたるもの小物に気にかけたりしてはいけませんよ〜ええ。」
「…このっ!」
激高に飲まれたまま斎藤は長嶋に殴りかかろうとするが、致命傷になりかけた深い傷が大きく痛み、ベッドに倒れ込んだ
「原君、斎藤君をどうにかしてくれませんかね〜?非常に反抗的ですね〜」
「…斎藤…平松はどうしているか知りたいか?」
原はひっそりと尋ねる。斎藤の心は良く分かる。だが、あの時、長嶋暗殺を失敗した自分はしこたま殴られた後に球団に言われてしまった、裏切るならば家族がどうなっても知らないぞと。その切り札を出されてしまってはもう原はお手上げであった
62 :
これって禁じ手?2:01/10/04 00:39 ID:GYMv6KF.
「平松…だって?」
あの時、こんなピークを過ぎた自分を守ると言ってくれたあの若き
ハンサムな投手はまだ生きているのだろうかと
「アイツはお前が自殺を試みた後、直ぐに後を追ったんだ。」
「なっ…」
斎藤はショックで絶句した。一人でも若い有望な選手のためにと
自害を選んだというのにその平松は後を追ったというではないか
「一部始終見ていた者の話ではお前の自殺に絶望して直ぐに後を
追ったらしいぞ。」
「…そんな…」
先ほどまでの怒りはすっかり消え失せ、斎藤は青ざめて震える
「…けどな、平松も運がいい。お前と一緒だったんだからな。
なんとか助かったぞ。」
「本当ですか!…それなら…」
本当によかった、と胸をなで下ろそうとしたが直ぐに険しい顔つきに戻った。この球団が無償で平松を助ける筈がないではないかと
「どこに居るかは言えないけどな…お前はしっかりした体付きの
おかげで出血多量の為に危うかったものの傷はそこまで深くなかった。
だが平松の方は今でもマトモに動く事はできない。」
「ん〜、そうなったのも斎藤君、君のせいですねぇ、ええ。」
俯いたまま語る原の言葉を引き継ぐように長嶋は楽しげに話す
「俺の…」
「そうですよ、はい。斎藤君が勝手にあぼーんしてしまったのに
ブルーになって自らあぼーんしてしまったんですからねぇ〜
このまま平松君が死んでしまっては斎藤君が殺したのも一緒ですねえ、
原君。」
「…そういうことだ。…どうだ、平松を助けたいか?」
「どこだ!平松はどこだ!」
傷の痛みも忘れて斎藤は原に掴みかかった。
「お前の性格ならそうなるだろうな…」
巨人の良心とさえ言われていた斎藤なのだ、自分が手を下したわけでない
とはいえ自分の死に絶望して自害したなど聞いてしまっては大人しく
できるわけがない
「敷地内のどこかに居る。応急手当はしてあるが放っておけば衰弱して
死んでしまうだろう。」
「そこでですね〜斎藤君、キミが新しいコーチにふさわしいかどうか
テスト致します。その反抗的な態度を改めるにも非常に良いテストですよ〜エッヘッヘ〜」
長嶋は楽しそうに原の肩を叩く
「ここにあるのは医療用具一式だ。これを持って平松の元へたどり着いた
時点で合格とする。着き次第、平松を即急に手当てすることにしよう
…もちろん道中にはこのゲームにやる気になった選手も居るんだ、
お前の命の保証もない…このテストを受けなくてもお前をコーチに任命する
つもりだ。…自分の身を考えるならテストを受けるのはやめたほうが…」
原が言い終わらぬうちに斎藤は医療用具の入ったデイバックを引ったくると
長嶋と原に罵詈雑言を浴びせる時間さえ惜しいというように手負いの者とは
思えない早さで病室から出ていってしまった
63 :
これって禁じ手?3:01/10/04 00:40 ID:GYMv6KF.
「ん〜行ってしまいましたか〜。斎藤君はピュアーなハートですからねぇ〜こうなると思ってましたよ〜」
「…監督、首輪を付けるのを忘れてしまいましたので追いかけに行ってきます。」
長嶋の言葉を遮るように原も急いで後を追って行った
「斎藤!」
いくらそこまで酷い傷でなかったとはいえかなりの手負いなのだ、走る速度が遅くなっていた斎藤に原は完全に追いついた
「その医療用具は平松の為のものとは限らない。どっちにせよお前がたどり着いた時点で彼は助かるんだからな…衰弱死するまでは。そのデイバックの中には痛み止めも沢山入っている。」
「あ…」
そうであったかと斎藤は急いでデイバックを探り、痛み止めを飲み干した
「あとは…これをはめろ。お前がどこに居るのか分からないと困るからな。そして…」
原はスーツの二重ポケットからしわくちゃの紙を取りだした
「…これはっ!」
「…この赤い印の場所が平松の居る場所だ…西地区の森を抜けたすぐだ…」
地図の印はここからひたすら西に進んだ西端であった。
「…もちろんこの地図の事は監督は知らない…」
「原さん…」
「さあ、時間が無いぞ!急ぐんだ!」
「はいっ!」
斎藤は強く頷くと地図を受け取り、現役時代さながらの素晴らしい走りであっという間に原から姿を消した
「斎藤…無事でいてくれよ…」
原は小さくつぶやくと、力無い足取りで室内に戻るのであった
64 :
63:01/10/04 00:43 ID:GYMv6KF.
いきなり斎藤が電撃引退=コーチ説が出てしまったので
それならプログラムの幹部か?と思ってしまいつい…
蘇生話は禁じ手だと思ったんですが…スマソ
65 :
:01/10/04 00:45 ID:uB5R2N1w
>>64 個人的にはおもしろかったです
続きが書ければいいんじゃないですかね(w
あとなるべくsageでよろしくです
66 :
:01/10/04 00:46 ID:Q/DthxT.
>>60 佐々木=旗上かー!
滝口優一郎は!? オタクっぽくも優しげな奴じゃないとダメなんだよね…。
67 :
:01/10/04 03:10 ID:VX81/nBw
ナベトゥネ編も斉藤編も禿げ敷く面白かったYO!
68 :
:01/10/04 11:36 ID:kXbFSu42
>>66 ここから原作のあの場面を反映させることになるのかな、やはり?
とすると職人さんたちもかなり辛いことになりそうだよな…。
69 :
:01/10/04 12:27 ID:uf4tjC86
相変わらず面白いなー
職人さん達によって原作に沿って進めるのとオリジナルで進める場合が
あるみたいだけどどっちも面白い!オリジナルの人は結末もオリジナル
なのかと思うと楽しみだし原作に沿って進める人はあの場面をどう表現
するのかと思うと楽しみ!
>>64 齋藤が生きていたのにはビックリしたYO!でもオリジナルだし凄く面白い
のでいいんじゃないでしょうか?
70 :
:01/10/04 12:32 ID:8uBY/B9.
age
71 :
:01/10/04 12:39 ID:psp9.2ZA
>>48 正直河原って童貞っぽくない?
本当にAV嬢とやったのか?
72 :
:01/10/04 12:52 ID:kXbFSu42
>>71 大学時代から風俗好きだって噂は聞いてた。
でもホント風俗嬢と結婚するって聞いたときはカッコいいと思ったんだが。
73 :
:01/10/04 14:06 ID:EToE235w
ところで配役ってどうなってるのかな?
河原や齋藤、平松、上原、高野は特に配役は無いようだが…
配役一覧が前スレだからなぁ…
1.赤松義生=江藤智
2.飯島敬太
3.大木立道=西山一宇
4.織田敏憲=野村空生
5.川田章吾=川相昌弘
6.桐山和雄=清原和博
7.国信慶時
8.倉元洋二=メイ
9.黒長博
10.笹川竜平
11.杉村弘樹=清水隆行
12.瀬戸豊=高橋尚成
13.滝口優一郎
14.月岡彰=河本育之
15.七原秋也=松井秀喜
16.新井田和志=小野仁
17.沼井充=元木大介
18.旗上忠勝=佐々木明義
19.三村信史=入来祐作
20.元渕恭一=阿部慎之助
21.山本和彦=村田真一
75 :
:01/10/04 16:42 ID:foxzKhcY
1.稲田瑞穂=アルモンテ
2.内海幸枝
3.江藤恵=條辺剛
4.小川さくら=村田善則
5.金井泉
6.北野雪子=岡島秀樹
7.日下友美子=三浦貴
8.琴弾加代子=堀田一郎
9.榊祐子
10.清水比呂乃=後藤孝志
11.相馬光子=高橋由伸
12.谷沢はるか
13.千草貴子=仁志敏久
14.天堂真弓=大場豊千
15.中川典子=二岡智宏
16.中川有香
17.野田聡美
18.藤吉文世
19.松井千里
20.南佳織=木村龍治
21.矢作好美=マルティネス
嫌がる方もいるでしょうが・・・・古田編
**************************************
外出から帰った古田は、稲葉から留守中のことを確認した後、自室へ戻ってノート
PCを立ち上げた。
ネットへ繋ぎ、株式の動きを確認する。どうやら、上手くいっているようだ。
おそらく、渡邊や長嶋(彼ら名義の株ではないが)にはかなりの程度の利潤が上が
るはずだ。これで完全に満足するとも思えはしないが。
「飴と鞭」の効果がどれくらい続くのか、あの妄執に憑かれた触手がいつまた此方
へ延びてくるか、判ったものではない。少なくとも「プログラム」の完全終了宣言が出
されるまでは、気を許すつもりはない。
「プログラム」の完全終了宣言────それはジャイアンツ選手がほぼ全滅するこ
とを意味している。
本来なら、人道的には、彼らの救出を考えるべきなのかも知れない。だが、それは
「奴ら」の目を更に此方へ向けさせることになる。
古田にしてみれば、ヤクルトを、ヤクルトのメンバー達を守れるのであれば、他を
見捨てても構わないとさえ考えていた。ただ、僅かに胸が痛むことがあるとすれば、
そのために入来智の弟・入来祐作を見捨てると言うことであった。しかし、それでさ
え、入来智本人を守るためと割り切れた。
(それにしても・・・今回は異常過ぎや・・・)
これまでは「プログラム」の実行に関して古田が調べた限り、それ自体の異常性の
是非はともかく、ある種の調和があったのは確かだ。その調和性が今回は感じられな
い。
少なくとも、「プログラム」にはある種の抑制機能があった。その一つが、ジャイ
アンツという存在の消滅の回避だ。「プログラム」実行の経緯には様々あるが、少なく
とも自身を消滅させるようなことは無かった。
しかし、今回は違う。これではジャイアンツという存在を自滅させようとしている
かのようだ。選手にかけてきた金からなにから全てドブへ投げ捨てるような行為だ。
狂気の沙汰、と言ってしまえばそれまでかも知れないが。
それだけではない意志を古田は闇の中に感じていた。
おそらくは渡辺や長嶋の意志だけではなく、他の思惑も絡んできているだろう。
只でさえ異常な存在である「プログラム」。それが異常な発端で走り出し、更に予
定外の意志が絡んでくれば。
ジャイアンツの問題ばかりではないのは明確だ。あるいは球界に大きな揺れが起き
るかも知れない。
(・・・それもええやろ)
古田は胸の内で呟いた。
(俺はヤクルトとヤクルトのメンバー守れればええ・・・智がこのくだらんゲームに
参加させられたりしないように出来ればええんや・・・)
そのためには。
苦悶と怨嗟の声を、流される血を、築かれる屍を、あえて聞かず、あえて見ぬこと
も出来る。
それもまた、一つの狂気ではあった。
77 :
:01/10/04 20:20 ID:QSHUqyZc
一気に読んだ。すばらしい。。
78 :
73:01/10/04 20:31 ID:prACszX6
>>74-75 サンクス。なるほどねぇ…
やっぱ河原、上原、斎藤、高野あたりはオリジナルかぁ…
河原と高野の悪対決とかも面白そう
79 :
:01/10/04 20:38 ID:K4nSYQN2
KKは、なんか「二人桐山」状態になってるな
やはりこの二人の対決は見たい!
保守のためage
80 :
保存屋助手:01/10/05 00:10 ID:WD7Q25JA
必要かどうかはわからないのですが、更新連絡。
一気読みと、甦った斎藤&平松(w を含めた現在の状況を更新。
YGBR THE GAMEへのリンク記載(直接CGIには行けないみたいですね)
原作に沿った上手いアレンジ話あり、オリジナルで手に汗握る話ありで、
職人さんたちの手腕にマンセー! です。ざーっと読んだり更新してると、
人数の特定はできないが、それぞれで書き癖があって面白い。
しかし、あのゲームは悪魔のゲームだ…
81 :
:01/10/05 00:46 ID:Wec31hng
82 :
上原vs高野:01/10/05 00:48 ID:AiyH4moo
「なあんだ、上原さんじゃないですか」
ちょっと聞くとこの場におよそふさわしくない、暢気な声が上原の背後から聞こえた。
しかし、上原は気付いていた。
その裏に潜む、冷たい感情に、いや、これはもっと熱い……?
相手を刺激しないよう、上原はゆっくりと振り向いた。
くそ、自分が良く見渡せる位置ってことは、誰からも自分が丸見えってことじゃないか、
どうしてこんなことに気付かなかったんだ!
「……高野か」
まずい、非常にまずい。高野は俺の知る限りでは、まったく戦う気のなかった吉永を躊躇なく殺し、そして高橋尚成をも。
……きっと殺しただろう。確認はしていないが。
その高野が、やあ上原さん、今日も良い日和ですね、一緒に時間切れまで僕と一緒に過ごしませんか?
となり得ようはずもない。
吉永を殺すときにエリート云々と口走っていた。逆指名で入団したこの俺が見逃してもらえるはずがない。
今は柔和なふりをしているが、いつあの本性を出すやら。
「上原さん、災難ですね。本来ならこんなゲームに参加しないでも済んだところでしたのに、
あのバカ監督の気まぐれですか」
とりあえず、適当に合せておくのがいいだろう。
「利用するだけ利用されて放り出されてこのありさまさ」
そこまで言って上原は肩を竦めて見せた。
「武器一つ渡さずにですか? そりゃ酷い」
そうか、高野。そう見えたか。そりゃ良かった。第一ラウンドは俺の勝ちだぞ、高野。
「そうさ、まったく酷いものさ。わかってくれるか? 高野」
今度はもっと大げさに肩を竦めて見せた。
83 :
上原vs高野:01/10/05 00:50 ID:AiyH4moo
「ええ、ええ。わかりますよ……お前が馬鹿だってことはなッ!」
高野が罵声と共に上原に銃口を向ける。上原は「そら、来なすった」と思ったが
「なっ……た、高野?」
わざと慌てて後ずさって見せた。
「お前は最初に仲間を裏切って、裏切られた。その癖俺と仲良くやれると思える神経が
常人の俺にはわからないね! つまりお前が馬鹿ってことだ!」
常人の俺とは良く言ったものだ。お前は殺しを楽しんでやいなかったか?
下手するとお前が殺しただろうヒサノリのジョークより面白いぞ?
もっともこの場面で笑うわけにはいかないが。それに誰がお前と仲良くやれると思ってるって?
そして気付いた。最初に気付いたあの熱い感情、それは、狂気だ。
しかし今は突っ込みを入れるわけにも、ジョークのセンスを褒めるわけにもいかない。
ましてや精神病院の救急車を呼ぶわけには。ただ怯えて見せるだけだ。
「た、確かにそうかも知れない、いや、俺は馬鹿だ。
チームの皆を裏切るなんてまったく俺はどうかしていた。謝る。
今の俺はこうして丸腰だ。許してくれ、見逃してくれ」
そう言いながらまた少しずつ後ずさる。もちろん許してくれるはずも、
見逃してくれるはずもないのはわかっている。
「は? 寝言は寝てから言えよ? 自分が許されるとでも思っているのか?」
そりゃそうだ、まったくもってごもっとも。俺がお前だったら絶対許しはしないよ。
しかし高野は俺を威圧するためか、俺の方へ踏み出して来てくれた。
ありがとう高野それで充分だ。わざわざ許していただく必要なんてございません。
そんな許していただくなんて。とんでもない。
「なあ上原、雑草ってのはな、どんな時でも強くて周りの草を押し退けて育つんだよ」
やれやれまた雑草ネタか。ついさっき同じネタで河原に挑発されたばっかりだ。
今度は冷静でいられる自身があった。それに、先に高野が激してしまっているおかげで、
さらに自分は冷静でいられそうだった。さあ高野、そのまま寄って来い。
いやもちろん、冷静でいることを顔に出すわけにはいかないが。
84 :
上原vs高野:01/10/05 00:51 ID:AiyH4moo
「なっ、そ、それは……」
「そう、お前のキャッチフレーズの話さ。でだな、ダイコンだのニンジンだの。
野菜って呼ばれてるが、あれを、もし名前通り野っ原に植えたらお前はどうなると思う?」
後ずさりしながら首を振る。
「枯れるんだよ。生存競争に負けてな。人の手が入ったのはみんなダメだ。わかるか?」
「な、何が……」
そう、俺はヘビに睨まれたカエル。さあ、もっと踏み込めヘビさんよ。
いや、ヘビに足はないから踏み込みようがないか、まさに蛇足な考えだな、これ。
「お前がそうなんだよ! 雑草魂? 笑わせるな! 逆指名の植木鉢に植え替えてもらっておいて雑草!?」
そう来たか。上原は自分が冷静でいられることを確認した。
いくらなんでも同じ手には二度も乗らない。
「日本のメジャーって名前のビニールハウスでのうのうと無駄に伸びる雑草がどこにあるってんだ!?」
言うな……ただ振り回すしか能の無い分際で。今回は腹の底で笑う余裕があった。
さっきの河原はこちらを挑発していたのに対し、高野はこちらに屈辱を与えようと、
いや、自分の精神を満足させようとしている違いのせいもあるだろう。
気圧されているふりをしながら上原は彼我の距離を測り続ける。高野は近づきつつあるが、まだまだ、まだだ。
「お前はな、野菜なんだよ。生っ白い顔しやがって。
ダイコンだな。人の手が入って生命力を失ったのさ。
その結果がルーキー時代の輝かしき戦績と、今現在の惨めな成績、そして」
高野との距離は3メートル。まだだ、まだ遠い。そのままだ、いいか、そのまま歩いて来いよ……。
「ここで生存競争に負ける、ということだ。俺のような本当の雑草はお前らダイコンとは違うのさ。
しっかし、逃げ出さないのには感心したよ、そこいらへんだけは雑――」
今だ! 上原は姿勢を低くしながら、左前方へほとんど跳躍といえるような一歩を踏み出し
高野に肉薄する。銃声と共に右肩に衝撃を覚えたが、
その時にはすでに高野のあごの下にデリンジャーは押し当てられ、トリガーは引かれていた。
上原はいつも長袖のアンダーシャツを愛用していたが、
その袖の中にデリンジャーを隠し持っていたのだ。
小さいデリンジャーならではの作戦だった。
しかし、一瞬でデリンジャーを握り、引き金を引けるかどうかはまさにイチかバチかだった。
銃の握りがスライダーの握りに似ていたのが良かった。
この握り替えなら実戦、といっても野球の公式戦のことで今の状況の方がよっぽど実戦なのだが、
まあとにかく慣れていた、のが幸いした。
そしてデリンジャーは人間の筋肉でも弾が止まりかねない貧弱な銃。
とてもこの銃で撃ち合いはできない。確実に相手の顔面に至近から叩きこむ必要があった。
まあ、引きつける分には吉永が殺される時の声は盗聴していたので充分可能だとは思っていたが。
高野は仰向けに倒れている。もう動く気配はなかった。上原はしりもちをついた。
動いたのは一瞬だけなのに息が上がっていた。心臓も早鐘を打っている。
それにあわせて右肩がズキズキと痛んだが、まあこれはかすっただけだろう。
それよりも、上原は言わなければならないことがあった。物言わぬ高野に向かって。
「ばあか。本当の雑草はな、何があっても死なないんだよ」
86 :
保存屋助手:01/10/05 01:17 ID:WD7Q25JA
>>85 あ、早速ありがとうございます。そういや過去ログにありましたね、訂正して
リンク張っときました。
とか言ってたら新作が!
それにしても上手いなあ、原作の、三人称の一人視点に一人称一人視点混ぜるとことか
そっくりっすね。思わずもっぺん更新やり直しました。
87 :
:01/10/05 01:19 ID:uP3kbewo
た、高野死んだのか??
88 :
:01/10/05 01:25 ID:tCKJo3Q2
>>84 おもしろい!!
高野は遂に逝ってしまわれましたか・・
でもこれからの上原の活躍が楽しみ。
89 :
:01/10/05 04:51 ID:diKcfimo
上原すごい!!卑怯っぷりがイイ!!
90 :
野村・1:01/10/05 10:43 ID:ao/v.6yk
小川光明による放送が終わるや、野村空生は腰を上げていた。
幾つか発表された次なる禁止エリアに、この場所が含まれていたからだ。
傍らに倒れている後藤孝志に通り過ぎざま一瞬だけ視線を落とし、右手の銃を握り直す。
――ありがとよ、お人好し。
声には出さず呟いて、そのまま野村は大股に小屋を出た。
後藤を死体に変えたのは他ならぬ野村であり、
野村の手にある銃をさきほどまで持っていたのは後藤だった。
はじめに野村に支給されていた武器はごわごわした厚手のチョッキ。
冴えない、ちょうど阪神のビジターユニホームのような灰色のそれはしかし、
見てくれを裏切って至極役に立つ武器だった。
防弾チョッキ。
説明書に目を通して、野村は考えた。手持ちが差し当りこれだけなら、どうすべきか。
撃たせて、死んだふりして、隙を見せたら後ろから――
少なくない数の選手が銃を持っているらしいこの状況だが、
組みつけさえすれば銃を奪うチャンスだってもちろんある。
ただ正直なところ、野村自身そこまでうまくいくとは思っていなかった。
遭遇した相手が銃でない武器を持っていたらそもそも意味がないし、
銃持ちだとしてこのチョッキが本当に弾丸を防いでくれるのか、
そうだとしても首やら頭に命中したら、とか、不安要素はいくらもあったのだ。
だが後藤は銃を持っていて、その弾は野村を殺せず、しかも後藤はまんまと騙された。
そのうえ向こうから先に撃ってきたのでこちらの良心の痛みも軽く済むという
おまけつきだった。もっともそれはどうでもいいことだったが。
そして現在、野村の抱えていた不安要素はほとんど解消されていた。
野村は銃を持っているから、飛び道具を持たない相手とは近付かずにケリをつけられる。
チョッキの性能の優秀さはすでに証明された。
さらに――農機具置場はガレージ兼用だったのかバイクとヘルメットが置いてあった。
そのヘルメットを拝借し、銃を持った相手も首から上を狙いはすまいし
逸れた弾が当たったにしてもなんとかなる可能性は格段に上がった。
加えて、選手がずいぶん数を減らしていることが野村を大胆にさせた。
数が少ないということは単純に出くわしにくいということだ。
よほど大きな騒ぎでなければ誰の耳にも届かないのだろう。
事実後藤は三発も撃ったのだがそれを聞き付けた誰かが
漁夫の利を得にやってきたなどということはなかった。
それゆえ野村は一応は周囲を警戒しながらも特に身を隠すでもなく歩いていった。
91 :
野村・2:01/10/05 10:45 ID:ao/v.6yk
今歩いている場所がまもなく禁止エリアになるという事実が、野村の足を早めている。
その分周囲に払う注意はいささか散漫になっていた。
不意に、野村は意外なほど近い距離に動くものを見、ぎょっとして反射的に銃を向けた。
そしてそれが人間だと認識するや、ためらいなく引き金を絞っていた。
銃弾は目標を逸れてそこらの枝を傷つけただけだったが、
丈高い草を分けかけていた人影は一瞬の硬直ののち、薮に沈んだ。
野村は舌打ちした、面倒なことになった。対応をとっさには決めかねる。
だが野村が取る手を選ぶまもなく、薮からは声が発せられた。
「誰だ!?」
薄暗がりでこちらがしかとは視認できないのだろうが、
鉛弾に対して返すにはなかなかどうして間の抜けた言い草だ。
だがその声で、野村には相手が誰なのだかわかった。
清水隆行だ。
おそらくは両リーグ通しても最もベンチを温めている時間の長い一億円野手。
まあ常に一軍登録されているわけだから大したものといえばそうなのだが。
清水は言葉を続けた。
「待ってくれ! 俺は戦う気はないんだ!」
その台詞に、野村は思わず口をぽかんと開けた。
清水がかなりめでたい人種であることは野村とて知っていたが、まさかこれほどとは。
このゲームの中にあってやる気がない、というのはつまり自殺を決めたに等しいのに、
そういう自覚さえ持っていない。いまだに、なにかの間違いだと思ってでもいるのか。
だが、そういう奴ならこちらもやり方を変えるまでだ、と
野村は銃を下ろした。もちろん清水を薮から引き摺り出すための芝居だが。
「俺だ――野村だ」
左手でヘルメットの風防を上げる。
「すまない、その……怖くて、つい。怪我……しなかったか?」
野村がばつの悪いような口調でそう言ってやると、
もちろん疑いもしないのだろう清水は立ち上がってその長身の胸より上を薮から出した。
「……大丈夫です」
安堵した風のその言葉の終わらぬうち、野村は再び銃を構え、引き金を引いていた。
だがその弾丸はさきほどと同じく、清水のすぐ傍の草を揺らしただけに終わる。
そして清水はそれに即座に反応していた。
「ぎゃああああああっ!」
信じ難い激痛に、野村は叫び声を上げていた。
無意識にその箇所、左手を抱え込むようにしてうずくまる。
一呼吸、二呼吸し、痛みはまさか薄らがないが、
それでも野村はほんの少し衝撃から立ち直った。
おそるおそる右手を引き剥がして覗き込むと、
真っ赤に染まった左手の、これまた真っ赤に塗られた指の数が――露骨に足りない。
「やる気十分なんですね」
癪に触るほど沈痛な声に、野村は思わず清水を睨みつけた。
「撃ちたかないですけど――俺は撃たなきゃならないんです。どうしても」
そう言いながら清水はなお数秒の間を取って、
しかしついにはきゅっと口元を結び、引き金を絞った。
92 :
野村・3:01/10/05 10:46 ID:ao/v.6yk
だが、清水の銃はかちん、と小さな金属音を立てただけだった。
清水がみるみる狼狽した表情になる。
もう一度撃鉄を起こし引き金を引いたが、同じことの繰り返しに終わった。
だからてめえはスタベンなんだ、残弾を確認する頭もないとはな。
野村は唇を歪めて嘲笑いながら、足元に転がった自分の銃に飛び付いた。
それを見て清水は身を翻し山のほう、もと来たほうへ駆け出す。
その背中へ向けて、野村は一発撃った。
ようやく弾丸は目標を捉え、清水の右脚のあたりでぱっと血がしぶいたのが見えた。
しかし清水は一瞬身体を傾がせこそしたものの、そのまま山へ消えていく。
どうやら掠っただけで、清水を仕留めるどころか足を止める役にさえ立たなかったのだ。
――くそ!
野村の傷口からは拍動に合わせて盛大に血が湧き出ている。
とてもではないが清水を追える状態ではない。
そう思った途端にわかに痛みを増した左手を抱えて、野村は喘いだ。
なにはともあれ、この手をなんとかしなくてはならなかった。
「……くそっ……」
中指をほど半ばから失った左手を覗き込んで、野村は今度は声に出した。
この手でもう一度、ボールを放れるようになるのか。
よしんばもう一度プロのマウンドに戻れたとして、
中継ではいつでも無駄に手元ばかりアップにされるに違いないのだ。
大変なハンデを乗り越えて、野村空生が東京ドームのマウンドへ帰ってきました。
小川アナが楽しそうに電波の上で囀るのが聞こえるような気さえした。
「くそ、っ……!」
もう一度吐き捨てて、野村は視線を前へ戻した。そして――凍り付いた。
さきほどまではいなかった誰かが、仁王立ちしている。
反射的に逃げ出そうとした野村が背を向ける前に、その手元で火炎が閃いた。
照らしだされた姿が清原のものだと野村が認識した瞬間、
後藤に撃たれたときとは桁の違う衝撃が野村の胴を襲った。しかも、複数。
演技抜きで吹っ飛んで、背中から地に叩きつけられる。息が詰まって、呻きさえ出ない。
それでも野村は、おのれの現在取るべき方策は忘れなかった。
死んだふりだ。
後藤と同じだ、清原だって死人を警戒はしない――それもマシンガンなんか使って、
確実に、完璧に、間違いなく、殺したのなら。
野村はだから仰向けに倒れたまま、じっとして動かず、
そして清原の様子を窺った。まだ右手は銃を握っている、背を向けたらぶちこんでやる。
だが、野村の期待を裏切るように、大股に近付いてくる清原の足音が響いた。
なんで――どうして。俺は、死んでるのに。そりゃあもう完全に、死んでいるのに!
冷汗をだらだら流す野村の頭のすぐ脇へ、ついに清原が立った。
「……野村か」
特になんの感慨もなさそうに呟いて、清原はわずかに身を屈める。
かつん、と音を立てて、ヘルメットの透明な風防にイングラムの銃口が押し当てられた。その向こうで清原が、いつもの親分然とした表情で笑ったのを野村は見た。
「野村。さよなら、や」
その瞬間に野村は死んだ振りなぞすっかり忘れ、意味をなさない叫びを上げて
暴れだしそうになったが、イングラムが火を噴くほうがわずかに早かった。
だから野村の足やら腕やら胴が、でたらめに跳ね上がって見せた奇妙な踊りが
野村の最後のあがきだったのかそれとも死体が弾丸に揺らされただけなのかは
清原にも、もちろん野村自身にもわからなかった。
>92
清水対野村書きたいと言ってた方ですね(w
待ってました。清原がまた桐山とは違った非道さでイイ!!です。
佐々木の小用はまだ終わらない様だった。
随分長く我慢していたのかもしれない。
佐々木は相変わらず辺りを見回しながら、膀胱が空になるのを待っている。
由伸は音を立てない様、ゆっくりとカマを右手に抜き出した。
ズボンのチャックを閉じる時、佐々木は両手を使わざるを得ないだろう。
無理して片手で済ませたとしても隙ができる。
その時があなたの終わりになるみたいですよ、どうもね。
音がまばらになり、一旦止まる――もう一度ぱらっと音がして、今度は完全に止んだ。
佐々木はまたきょろきょろと顔を動かすと、さっと両手を前に回した。
そのときにはもう、由伸は完全に佐々木の背後に忍び寄っていた。
佐々木の後頭部が目の前に迫る。右手のカマを持ち上げかけた、その時。
誰かが背後で「あ――」と言うのが聞こえ、佐々木がそれでびくっと
振り返ったのだけれど、びっくりしたのは由伸も同じだった。
カマを振り上げるのは当然ながら止め、声のした方を振り返る。
宮崎一彰(背番号88)がそこにいた。こちらは由伸よりもかなり小柄な、確か俊足がウリの選手だ。
右手にそれが武器なのか金属バットを提げ、由伸を見つめて口を開いていた。
佐々木が由伸を認めてこちらも「あ――」と言い、それから「くそっ」と由伸に向けて銃を構えた。
宮崎の出現には驚いた様子がない所を見ると、二人は行動を共にしていたのだろう。
由伸は内心歯噛みした。佐々木はただ用を足す為だけに宮崎から離れていたのだ。
それを確認しなかったなんて自分はなんて馬鹿なのだろう。
何だよ、男同士なんだからションベンくらいその場でしろってんだ!
心の中で叫んでみたがそれどころではない。
佐々木の構えたリボルバーの銃口がまっすぐ自分の胸の辺りを狙っていた。
「佐々木さん!!やめて下さい!」
宮崎が恐らく状況に対する混乱と、今、目の前で人が殺されようとしている事への
狼狽でか引き攣った声をあげた。
佐々木は今すぐにでも引き金を引きそうだったが、銃鉄がおちる0・数ミリ前でその指を止めた。
「何でだ!こいつ俺を殺そうとしていたんだ!み、見ろ!カマか?!
カマなんか持ってるじゃねえか!」
由伸は「ち、ちがいます」と喉の奥から消え入りそうな声を絞り出した。
語尾を震わせ、もちろん体を竦ませるのも忘れずに。
またまたこの度の主演男優、高橋由伸さんの見せ場ってわけだ。
目を開けてよっく見とけよ。
「お、おれ」カマを捨てようかと思ったが、握りっぱなしの方が自然に見えそうだったのでやめた。
「話し掛けようとしただけです。そしたら、佐々木さん銃を持ってるって分かったから怖くなって――」
由伸は少し俯き、おびえた振りを続けた。「だから、だから俺・・・」
しかし佐々木は銃を下げなかった。
「嘘をつくな!お前は俺を殺そうとしてたんだ!」
銃を握ったその手がぶるぶると震えていた。多分、引き金を引くのを躊躇わせているのは
実際に人を撃つ事の恐ろしさだけだろう。
由伸を見てすぐのついさっきなら、勢いにまかせて撃った所だったろうが
宮崎に止められて考える余裕ができた分だけ、ためらいが生じたのだ。
そしてそれは――
あんたの負けっていうことですよ。
「やめて下さい、佐々木さん」宮崎が懇願するように続けた。
「さっき言ったじゃないですか。俺達仲間を増やさなきゃって――」
「冗談じゃねえよ」佐々木が首を振った。「こんな奴と一緒になんかいられるもんか。
お前、こいつの噂知ってるだろ?あの――岡島と三浦をやったのだってこいつかもしれないんだ」
「ち、違います――俺そんなこと――」由伸は目に涙を滲ませた。
宮崎が必死な口調で言う。
「高橋さんはマシンガンなんて持ってないじゃないですか。銃だって持ってないですよ」
しかし佐々木の方も必死だ。声を荒げて応戦する。
「そんなのわかるか!弾がなくなって捨てただけかもしれないだろ!」
それで宮崎は、少しの間沈黙したが、ややあって「佐々木さん、大声あげちゃだめです」と言った。
それは今までとはちょっと違う、落ち着いた、穏やかな声だった。
佐々木が虚をつかれたように、薄く口を開いて宮崎を見た。
由伸もちょっと、おや、と思った。
宮崎はチーム内であまり目立った存在ではなく、それどころかかなり内気そうな感じさえした。
それなのに随分堂々とした感じにそれは聞こえたのだ。
宮崎が首を振り、諭す様に続けた。「それに証拠もないのに疑うなんて駄目ですよ。」
「考えてみてください。高橋さんはあなたを信用したからこそ、話し掛けようとしたのかもしれないんですよ。」
「じゃあ――」佐々木が眉を寄せ宮崎を見た。相変わらず銃口を由伸に向けていたが
引き金にかかった指の緊張は幾分ゆるんでいるようだった。
「じゃあ、どうしろって言うんだ?」
「どうしても信用できないなら、俺達が高橋さんを交代で見張ってたらいいじゃないですか。
だって、今高橋さんにどこかに行くように言ったって、それで佐々木さんの不安が解消される訳じゃないでしょう?
また、隙を狙われるかもしれないって」
由伸はますます感心した。なかなかやるじゃないか、こいつ。論理的だし、話しぶりも適切だ。
まあ、やろうとしてる事の当否は別にしてだけど。(今撃った方がいいんだよ。ほんとはね)
佐々木がそれで、ちょっと唇をなめた。
「ね。俺達、仲間を増やさなきゃならないんですよ。それで、なんとか抜け出す方法を見つけなきゃ――
しばらく一緒にいたら高橋さんが信用できるかどうかも分かりますよ」
宮崎が駄目を押すように言い、佐々木はまだ疑わしげに由伸を見ていたけれども、
ようやく頷き、疲れたような感じで「わかった」と言った。
由伸はほっと全身の力を抜いた(様にみせた)。
そして涙を滲ませていた目を左手でちょっと拭う。
「そのカマを放せ」佐々木が言い、由伸は慌てた様子でそれを地面へ投げ捨てた。
佐々木は「よし」と頷き、それから「宮崎。お前のベルトでこいつの手を縛れ」と言った。
宮崎は、ちょっと非難をこめた視線を佐々木に向けたが、佐々木も銃を構えたまま譲らない。
「それが俺の条件だ。もしそれが駄目だと言うなら、俺は今すぐこいつを撃つ」
宮崎が由伸と佐々木を交互に見る。それで由伸は「かまわないから、そうしてくれ」と言った。
ややあって宮崎は小さく頷くと、自分のベルトを外して由伸の手をとった。
「ごめん、高橋さん」宮崎がそう呟くと、相変わらず由伸に銃を向けながら佐々木が言う。
「そんな奴さんづけで呼ぶこたないんだよ」
まあそもそも宮崎と由伸は同い年なのだから、さん付けする必要は本当にないのだが
宮崎はそれが聞こえなかったように、ただ黙って由伸の手首に軽くベルトを巻きつけた。
素直に手を前に差し出したまま、由伸は考えていた。
全く、カマを持ち上げる前に見つかったのは不幸中の幸いだった。(カマの血も拭ってあった。大ラッキー)
さて。どうしようか。
95 :
斎藤編1:01/10/05 14:47 ID:piwyBrCQ
齋藤はひたすら目的地に向かって走る。平松とは自分が二軍で調整中の時にそれなりに話す程度であった。
だが元大エースの齋藤相手にそう気さくに話しかける若手など居るはずもなく平松もその一員であった。それでも齋藤はどうしても平松だけは助けなければいけないと疾走する。
考えて見れば奇妙な縁だと、こうして今、己の命をかけている相手は最愛の妻でも可愛い二人の息子でもない平松なのだから。
だがそれでも今の斎藤にとっては何に変えても助けなくてはいけない者である
(俺のせいで…)
自分の余計な気遣いのせいで平松は後を追ってしまったのだ。自分が殺めたも同然である、
だから何としても助けなくてはいけない。だが齋藤はふいに足を止めると再びデイバックの中を確認する
「これは…武器が無いのか…」
防御の為の武器は必要だと齋藤は色々入っている薬品を入念に調べながらいくつかを合わせ、空き瓶に詰め込んだ。
そして支度が終わるなりまた駆け出す。そして一番の近道である武器庫の前を通りかかる
「…!」
歩道に倒れている人影に斎藤は気がつくと慌てて駆け寄った。
「高野っ?」
それは固く目を閉じたまま血を流している。斎藤は高野の身体をゆっくり上向かせる
「…死んでいる…のか?」
まだ温かいところから殺されたばかりか…とにかく確かめようとした時だった
「…齋藤さん…なんでアンタがここに…」
背後からガサリと上原は現れ、そっと声をかけるが明らかに声は上ずっている。無理もない、確かにアナウンスで齋藤の死は報告されたのだ
「…それは…」
齋藤は素直に事の次第を話す。だが平松の事は隠しておいた。コーチ採用のテストとしてとある場所へ向かう最中だと上原に言ったのだけだった。なぜ平松の事を隠したのかは簡単な話で上原を信用していなかったからだ。
仲間を最初から平気で裏切った人間…生真面目な齋藤にとってはそれだけで上原への評価は決まっていた
(だが…裏切り者の中には…)
あの桑田も居た。齋藤にとってはそれはショック以外のなにものでもなかった。
三本柱時代から支え合ってきた良き仲間であった桑田が平気で裏切りをしたのだから
「……」
一方、上原の瞳は暗く燃える。自分はこうしてゲームに参加させられてしまったというのにこの齋藤は反対に幹部として迎えようとされているのだ
(結局そんなもんなんだ…)
選手にとって成績が全てなのだ。齋藤は偉大な功績を残したお陰でこうして恩赦を受けた、だがまだ実績さえ残せない自分が生き残るにはどうすればよかったのか…
裏切るしかなかった。自分は斎藤のように多大な才能に恵まれているわけではない。
卑劣な手段を使わねば生き残れないし、他にどう思われようと自分を大事にしなければこの齋藤のような実績など残せるはずもない
96 :
斎藤編2:01/10/05 14:49 ID:piwyBrCQ
「…お前が高野を殺したのか?」
「そうですよ。向こうから襲ってきたんです、正当防衛でしょ?」
上原は口の端を歪める。斎藤にこんな事を言っても分かる筈もないと。
襲われたとしても自分の手を血で汚すくらいなら平気で死ぬような人なのだから
(優しい…じゃない、アンタは弱い人間なだけだ)
200勝間近でもこれ以上の衰退は見せたくないと引退することも、多大な実績を残した大エースだというのに本心から謙虚なのも性根が良いからじゃない、
ただ弱いだけなんだと上原は思う…というよりも斎藤をあえてそういう目で見ようとしていた
「こんな奴、死んだところでどうなるんです?アンタのように大成するかけらさえない奴だ」
「それがお前の殺しの正当性になるというのか…?」
そう答える斎藤の表情に上原は例えようのない冷たい怒りを覚える。
斎藤のその表情は怒りでも軽蔑でもない、もはやこんな奴に意識を向ける事さえ無駄だといったような無関心なものに変わっていた
「結局アンタも謙虚なんて言われてるけど…中身は傲慢そのものだな」
上原はさらに歪んだ顔つきになる。確かに斎藤は人間の出来た者だ。
だがその反面、人として大事な面を欠けたところを見せたその時に、一気に関心さえ抱かないというある種の最も冷たい対応に変わるのだ。
こういう大エースたる所以の慈愛、ゆとり、冷たさを無意識に見せつける斎藤を上原は昔から敬遠していた。
いや、中身は嫌う…というより畏怖の念で見つめていた。ここまでの実績を残しながら相変わらず変わらない齋藤を常に恐ろしいとさえ思っていた。
自分などたった一年目の実績でここまで変わってしまったというのに、またそれが普通なのにと上原は齋藤を睨む
「…俺はもう行く。急いでるんだ」
齋藤は話を切り上げるように声を出すが、上原は薄い笑みを浮かべる
97 :
斎藤編3:01/10/05 14:51 ID:HRwV2lTU
「俺が黙って見過ごすとでも?」
どんな目的かは知らないが、自分の命より大事な目的なのは確かである。
斎藤は仲間を殺してまで生き残るくらいなら死を選ぶ者だ、それがコーチとして生き残るために殺し合いのゲームに参加するわけがないのだ。
何か、何か本当の目的があるはずだと上原は挑発的に肩を竦めた
「…アンタは俺の敵だ…俺が生き残ってもアンタとは合わない…なら今ここで殺す。
…幹部候補のアンタを殺せば俺の評価もあがるだろうしな…」
「…ついさっきまでならここでお前に殺されてもよかった…
俺のような限界投手よりもお前のような若者が残った方がいいからな…だけど今は違う…」
斎藤は上原を真っすぐに見る。
「お前が俺を殺すというなら…俺もお前を殺す!」
その始めてみる斎藤の表情、マウンド上での貫録溢れる表情でも普段の温和な表情でもない殺気立った、
鬼神のような顔つきに上原は思わずゾッとするように怯んだ。
その隙に齋藤は手に持った即席の火炎瓶を上原の足元に投げつけた。
上原に当たらない程度に、それでいて火が確実に上原の視界を妨げる程度の絶妙な位置に砕けた火炎瓶は勢い良く燃え広がった
「くそっ…!」
ふいを突かれた上原は舌打ちしながらも炎を払いながら右回りに齋藤の方に進んだ
「ちっ…!」
既に齋藤の姿は後方の森に消えた後であった。上原は忌忌しげに炎が小さくなりつつある火炎瓶の残骸を見下ろす
「…これをぶつけられてたら…ヤバかったな…」
本当に見事な位置に投げつけたものだと上原はため息をつく
「…とんでもないコントロールだな…こんな力を残して引退を決意したなんて…」
やはり自分とは一生相違なれない人物である。才能に恵まれ、偉大な実績を残した選手は大抵はその力を十分に残したまま引退してしまうもの…
そういう人物はあの日陰者であった頃を嫌でも思いだしてしまうからだ
「あの人が仲間を殺してまでもしなきゃならない事があるはずだ…」
その目的が自分にとって有利になることかどうかは分からない。
だが、幹部候補の斎藤を殺すということはうまくいけば良い方に繋がるかもしれない。
だがあまり深追いしすぎても他の者に隙を突かれることもありえる
「さて…どうしようかな…」
上原は暫し考え込むように天を見上げるのであった
98 :
保存屋助手:01/10/05 19:12 ID:4v/G84u2
更新連絡。
一気読みと現在の状況更新。
前スレに埋もれてしまった別編(ロムラーの皆さんに好評だったものの惜しくも本筋に乗らなかった分)と、
このスレの74-75氏作成の、原作登場人物との対照表をうぷしました。
本筋鑑賞の際に役立ててください。
>>74-75 とても便利だと思ったので、無断で悪かったが流用させてもらった。
事後承諾で申し訳ない。そしてありがとう。
原作アレンジ版とオリジナル版が、いい具合で進んでる…。
99 :
保存屋助手:01/10/05 19:17 ID:4v/G84u2
そういえば、
本筋で速攻で死んだ大場、“最も静かなる死体”進藤、
“あの原作に沿ったらどういうことになるんだ”佐々木、ウボァそらなまが、
巨人からあぼ〜ん=戦力外通告されてしまった。佐々木はアホだから好きだったんだが。
新天地でのご活躍をお祈りします。と言っておく。
100 :
:01/10/05 23:37 ID:UqIULI9g
いきなり話の数が増えていてイイ!
う、上原!まさか斎藤をあぼーんするのか??
101 :
74-75:01/10/05 23:58 ID:9vgMYXMA
>>98 いえいえ、使ってもらって嬉しいです。
原作の配役はほとんど決まってきたから、灯台のメンバーが誰になるのかが楽しみだヨ。
雅樹兄さんハァハァ(´Д`)
103 :
:01/10/06 01:20 ID:8Cmpm5/g
104 :
捕手abe:01/10/06 15:10 ID:ub9FDMJg
保守
105 :
:01/10/06 20:34 ID:D6Mbu2fU
age
106 :
:01/10/06 23:44 ID:Ka6bnPOs
おお、暫くPCがぶっこわれて使えなかった隙にかなり話が増えてる!
相変わらず面白い!上原の悪だかヘタレ(河原編の。多分ライターさんが
違うんだろうけどね)だか分からないのがいいなぁ
由伸も相変わらず光子だな…ウマー
でも一番ビックリしたのは斎藤新コーチ…生きてたのか…でもカコイイ
どうなっちゃうんだろう?
107 :
:01/10/07 00:55 ID:FzflwWfM
こんな面白いスレがあるとは。
特に巨人ファンでもアンチでもないけど
はまってしまった。寝不足だあ。
108 :
:01/10/07 01:06 ID:UkZc4bHo
ゲームのバトロワが出来ないんですが・・・
109 :
:01/10/07 01:10 ID:FzflwWfM
さすが土曜深夜
110 :
:01/10/07 01:18 ID:1Vy6UYYY
>>108 ホントだ、落ちてるね。餓死しちゃうヨ…
うーん、フリーウェブじゃやっぱりダメですか。
どこかにタダでCGI使わせてくれて軽いところないかなあ……(ねえよそんなの)
112 :
:01/10/07 01:29 ID:LBfBRjIk
ちなみに一気読みサイトも行けないんだよねぇ…うーん…
どなたか心当たりがあったらよろしくです<無料サーバ
114 :
:01/10/07 01:37 ID:yHgkgErs
>>112 え?一気読みサイトは行けるよ?
保存屋さんのじゃなくて、保存屋助手さんの方なら。
>>113 海外に活路を求めるとか…
海外すか……ハイパーマートとヴァーチャルアヴェニューはクレジットカードの番号要求されてアウツでしたし、
Exit.deはどこから申しこむのか判らなかったんですよね……
exit.de良さそうなんですけどねえ。ドイツ語読めるのになあ自分
みんなも行けなかったんだネ!
最近パソコンの調子がおかしいからそれが原因かと思ったYO!
117 :
:01/10/07 01:51 ID:UkZc4bHo
土曜の夜とは不運でしたねぇ>皆さん
しかも3連休なのに・・・鬱だ
あっ、昨日、ヘタレな武器ばっかで3人もの選手の肉体を爆発させた工藤タン!
仕留めた時の武器覚えてたら教えてクレー。もう一回笑うー。
しかし、本スレは充実してるは、保存庫もしっかりしてるは、
ゲームはおもしれーは、なんつーか、
住人の良心集まりまくりなスレだな(w
俺の斎藤タンが…
あ、今日は大場タンごめんね、勢いあまって攻撃しちゃったYO!
いやでもここは本スレもゲームも最高だなぁ
ところでやっぱ土日はライターさんたちはお休みなのかな?
121 :
112:01/10/07 04:10 ID:SmqB1Jqw
>>114 スマソ、エクスプロウラの方からなら行けました
早く話の続きが見たいですね
>>119 ハリセンとピコピコハンマーとボクシンググローブだYO!
それでもってみんな爆死させたんだからネ!
ダメだねー、完全にiswebからマークされたっぽい。
いま他所を当たっているところっす。
124 :
:01/10/07 12:57 ID:q6L.MDSo
ポートランド.co.ukのアカウント獲得できた筈なのにftpが繋がらなくて困ってたんだよね。
あそこなら無料の上宣伝バナーが無くて最高なんだけど。
ええともしiswebで参加してたときの名前とパスで復帰できなかったら選手名を教えてください。
その選手一旦消さないと新しく始められませんから。
128 :
:01/10/07 14:00 ID:UkZc4bHo
ゲーム出来るようになってました。
ゲーム設置したやつさん、お疲れさまです^^;。
※行動記録の時間表示が昨日の落ちた時間から再スタートになってるので
9時間程ズレちゃってます。
>>128 や、それは海外のサーバだからサーバと日本の時差(w;
直したいんだけどとりあえず30秒考えただけじゃわからなかった(w;
getTimeしてからそれに9時間足せばいいと思うんだけどどうやって9時間足せば良いのか忘れた。(w
130 :
128:01/10/07 14:26 ID:UkZc4bHo
あ、そうか(笑)なるほろ・・・
スクリプト見てないからあれですが、
localtime(time+9*60*60)
とかでいいんじゃないかな?
ダメだな〜
131さんありがとう。
結構色んな所で時間の処理してるみたいでちょっといじるだけじゃダメみたいですわ。
このスクリプト書いた人凄いな〜
あと足さなきゃいけないのは9時間じゃなくて15時間だし>俺
134 :
:01/10/07 16:53 ID:popLPnv2
Nimda対策でアクティブスクリプトを無効にしたら
ゲームが出来なくなりました。
戻そうかな。今更になって対策したってしょうがないか。
Nimdaについて詳しい方アドバイス頂けませんか?
135 :
:01/10/07 18:22 ID:U73nVD1o
>ゲーム設置したやつさん
ドメイン名・・・ybgrって(w
136 :
:01/10/07 19:58 ID:piMmgoho
ゲーム設置したやつさん
ゲーム出来るようになってました。お疲れさまです
ぬわーybgrって何だよ
横浜ベイスターズグランプリかなんかかよ鬱氏
138 :
:01/10/07 21:18 ID:UkZc4bHo
たまーに、コネクションタイムアウトとかになるんですが、
自分のパソが調子悪いんでしょうか・・・
更新です、。
一気読みだけじゃアレなんで、各章別のも作ってみました。わかり良いように
見出しつけてみたけどセンスねえの(鬱)
まだ35章分しかできてない。うう。
>>137 それはそれで面白いかもしれん
黒江あたりが「はーい。皆さんは、暴投で敵を優勝させてしまうという、
ダメな人間になってしまいましたー。そこでー、ちょっと殺し合いをしてもらいまーす」
とか言って、国信=谷繁が刃向かいそうになってあぼ〜ん。
ところで自分も
>>138同様、阿部でやってたらタイムアウトになって、さっき見たら
処理中になっていた(w
140 :
:01/10/08 00:50 ID:ujVLUcKY
>139
それ激しく(・∀・)イイ!!
色んな球団のバトロワ読みたくなってきちゃったYO!
でも谷繁はもったいないから国信=山田博士の方がいいかも(w
141 :
:01/10/08 00:58 ID:H4KI93gc
>139
いつもいつもありがとうございます。
章別すげー見やすいっす。タイトルも分かりやすくていいし・・・。
お疲れ様でした。
142 :
:01/10/08 01:11 ID:16x1zFw6
>139
桐山役は琢朗キボン(w
143 :
:01/10/08 01:24 ID:jOiZcXE.
>>142 七原はタコノリかな?
んー、でもそろそろこちらの方でも新しい話が読みたいですねぇ
ライターさんたち、待ってます
144 :
プー:01/10/08 01:39 ID:JqOaa9KU
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| _____________________
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_.,/. (゚Д゚ ) | :::|// (゚Д゚;) <プログラム脱落者を迎えに来ました。
|/,,,,,へ⊂ ヽ .// ,/ ノ/ ||\______________
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|______: |,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,|,,,,゜,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,|,,,多摩霊園,,,,,,,,,[|
._|]0::∴:::0::[二二il:] ,-―-、 ,,| | . [|
|====== ;...........| /,  ̄ヽ |~~|. | /,  ̄ヽ | {|
ヽニ[_]ヾニニヽ''''''|―-|.(※)|':|''''|.'''''''''''''''''''''''''''''|''''''''|.(※)|:|'''''''''''''''''/
ゞゝ三ノ ̄ ̄ ̄ ゞゝ_ノ ̄ ̄ゞゝ三ノ ̄ ̄ ̄ ゞゝ_ノ ̄ ̄ ̄ ̄
145 :
:01/10/08 02:24 ID:wbPUMLR2
小説もゲームも面白すぎて困るんだからネ!睡眠不足は常識なんだよ。
保存屋助手さんへ
もう一度読みたいあの名シーンが簡単に探し出せてナイスっす。
ところで古田編は保存せんの?もしよければだけど番外編として保存キボソ。
146 :
:01/10/08 03:17 ID:AuiTvdCU
>>145 同意なんだヨ!毎日寝不足なんだからネ!
147 :
あげ:01/10/08 16:32 ID:IjpslSZ6
age
各章ごとの分、70章目まで更新しました。
情けないことに、更新している途中で、
かなり気に入っている(死に様ではベスト3に入る名文だと思う)進藤編を
一気読みに入れていなかったことに気がつき、そっちも慌てて修正。
申し訳ありませんでした>進藤編書いてくれた職人さん。
>>140 たしかバトロアパロディは、プロレス板が発祥の地で、
これの前スレが立ったころは、巨人だけでなく阪神、中日、
球団問わずプロ野球選手のバトロアスレも立ってた。
今生き延びてるのはここと中日だけ。
あと、今年の初めかもっと前に、もっと淡白な阪神のバトロアスレがあった。
>>145 古田編、一気読みにも各章ごとのほうにも保存しました。
話が面白いし印象深いんで初期にも出てきたかと思いきや、今現在の時点では
後期に出てきてたんですね。
一応、サブタイトルは誰が出ているか、どんな話かわかるようにつけてるつもりなんで、
探してみてください。
149 :
:01/10/08 20:33 ID:mlKQc3Oo
>>148 いつもお疲れさまです
早速行ってみますね。あとはライターさんたちの新しい文を待つばかり
ですね(w
150 :
/:01/10/08 20:56 ID:Z08W.Cic
>>保存屋助手さん
おつかれさまでしたー!
またじっくり読もうっと。
151 :
:01/10/08 21:49 ID:nJ2e8g6.
ゲームに行ったら、休憩中に禁止エリアに引っかかって死んじゃってたYO!
鬱だ、恥かしすぎます…
152 :
:01/10/08 22:45 ID:TjDRU6bs
前にちょろっと書いたことがある者ですが・・・。
由伸と宮崎・佐々木明義編の後に書きたい話が。
しかも映画の中でも原作ファンには極めて評判悪かった話。
もちろんそのまんまじゃなくちょろっと変えて。
今書いてしまいたいけど
それじゃ保存屋助手さんがたいへんですよね・・・。
順番が前後してしまうから。
153 :
:01/10/09 00:02 ID:0x81.czg
>>152 俺、原作知らないから(なんとなくここの全部読んでから原作見て
みようかなと思ってるんで…普通は反対だけどね)なんとも
言えないんですが(けど由伸、宮崎、佐々木編、面白いですから
見てみたいと思います)保存屋助手さんが大変になるほどに
順番が前後してしまうもんなんですかね?
154 :
:01/10/09 00:34 ID:eJ3EL0zM
今、落ちた気が・・・
155 :
:01/10/09 00:35 ID:V0.vFcZo
落ちたヨ!(ナミダ
156 :
高野タン:01/10/09 00:36 ID:Gry840cs
落ちたんだからネ!!ヤバイ状態で落ちちゃったんだからネ!!
157 :
現在大場役:01/10/09 00:37 ID:u263Rg6.
ゲームのほう、Not Foundになってます。
デリられたっぽいです…
158 :
:01/10/09 00:37 ID:0x81.czg
落ちましたね。…餓死しないかな…?
159 :
高野タン:01/10/09 00:39 ID:Gry840cs
メシ食わせとけばよかった・・・鬱
160 :
三浦タン:01/10/09 00:40 ID:V0.vFcZo
せっかく火炎瓶拾ったところダタのに。フフフ。
161 :
故故堀田:01/10/09 00:42 ID:PNGql3Ts
川中で爆死、堀田で瞬殺、鬱な1日だったヨ。
162 :
高野タン:01/10/09 00:48 ID:Gry840cs
>>161 か、かわいそうなんだからネ!
俺は大場=元清水タンとマータリできた一日だったYO!
あーこれはマジデリですねえ。
やっぱ無料鯖では無理なのかなあ
>>163 いつもお世話になってます。
あまりこのスレを汚すのは本意ではないので、
別鯖にあった専用掲示板のURLをお願いできますか?
>>162 食料食べに行った時マターリしてた2人だネ。
167 :
:01/10/09 01:09 ID:fVcDioVk
ところで、灯台のシーンを再現するために必要な人数は残ってますかね?
168 :
高野タン:01/10/09 01:13 ID:Gry840cs
>>167 そーいえば・・・おもだった人あまりいないな・・・
169 :
:01/10/09 01:15 ID:rLGpPw4E
>>148 保存屋さんありがとうございます。
やっぱ古田編良いですわ。書き手と保存の仕手に大感謝。
サブタイトルもカッコ(・∀・)イイ!。
中でも「run 尚成 run」が好きです。
170 :
:01/10/09 01:14 ID:baaCydAI
>>167 ルーキーの残り6人がいいという話しもありましたね。
上野裕平・根市寛貴・川本大輔・山下浩宣・小野剛・李景一
どうでしょう?
171 :
:01/10/09 01:35 ID:eXQtjUxk
何らかのつながりがある選手達がいいだろうから
170の6人がいいかもね。
でもキャラクターのよくわからない若手選手で
原作の野球ネタアレンジは結構難しそうだヨ。
172 :
:01/10/09 14:52 ID:JejdH7Qg
( ・ 。。 ・)abe♪
173 :
173:01/10/09 23:13 ID:YXrAZyVw
>172
いいねそれ。age
174 :
:01/10/09 23:24 ID:V0.vFcZo
ageられてたからゲーム復旧したのかと思ったんだからネ!
175 :
:01/10/09 23:25 ID:m88dtKvU
ゲームもいいけど話の続きも気になるんだからネ!
176 :
:01/10/09 23:25 ID:qOkEKJZs
ネットゲームの巨人バトロワは復旧したYO!
177 :
:01/10/09 23:27 ID:V0.vFcZo
あれ?でもまだ404ダヨ...。をれだけかYO?
「だからどうしても誰かを探さなきゃって思ったんです。」
宮崎はそう言い、由伸の顔をちらっと見た。
もうすっかり夜が明けて、その顔が泥で汚れているのがはっきり見えた。
茂みの中で二人は並んで腰を下ろし話をしていた。
最も由伸の手には相変わらずベルトが巻かれていたし、持っていたカマは宮崎が
ズボンの後ろに差していたけれど。
佐々木は、銃を自分の手にハンカチでぐるぐると巻きつけた状態で
少し離れた所で寝息を立てていた。
由伸がとにもかくにもこのチームに合流したあと、佐々木は交代で眠ろうと言い出した。
宮崎が佐々木さんが先に寝てください、と言うと今まで一睡もできなかったのだろう
ほんの十数秒で寝息が聞こえてきた。
それで、宮崎と由伸はしばらく黙っていたのだけれど、そのうちに宮崎が話しを始めた。
昼の間は動くに動けなかったらしく夜になって慎重に行動を開始したという事、
そして由伸に会う2時間ほど前に佐々木と出会った事、二人で脱出の方法を考えたがいい案がでず
とにかく仲間を増やそうと言う結論に辿り着いた事。
「最初は怖くて誰も信じられないと思ったんです。けど、ほとんどの人は俺と同じ様に
ここから逃げようと思ってる筈だって考え直したんです。」
宮崎はそこで言葉を区切り、また由伸の方をちらっと見た。
宮崎は相変わらず由伸に対して敬語を使い、目もまともに合わせようとしなかった。
同じチームの選手といっても一軍で活躍を続ける由伸とは壁があるのかもしれない。
それでも――そうして話し掛ける宮崎に、由伸を警戒する様子はさほど感じられなかった。
それで由伸も安心した風を装って訊いた。
「佐々木さんはあのピストルを持っていたんだよな?宮崎は怖くなかったのか?
今だってあれを握って離さないじゃないか」
宮崎はそれを聞いてちょっと笑った。
「確かに凄い警戒はされましたけど、銃を向けられたりはしなかったですし・・・
それに佐々木さんとはファームで一緒だった事もあって、お互いよく知ってる方だったから」
「けど」由伸は青ざめた感じの表情を浮かべてみせた。
「見ただろ?岡島と三浦が死んだとこ――やる気になってる奴はいるんだ。
佐々木さんがそうじゃないなんて分からないだろ?」
言ってから少し俯き、続けた。「だから佐々木さんだって俺を疑うんだ」
宮崎は少し口元を引き締め、何度か小さく頷いた。
「そうですね。でもじっとしてたって死ぬだけだし、それなら何かやった方がいいから。
少しずつでもいい、仲間を増やしたいって思ったんです。
それに佐々木さんが銃を離さないのも仕方ないですよ。あの人も怖くて堪らないんだろうから」
由伸はそれを聞き少し笑みを見せた。「偉いのな、宮崎って」
「そんな風に勇気のあるところも、こんな状況でも人の気持ちを考えられる所も」
それで宮崎は少し照れた様に視線を地面に落とした。
そしてぼさぼさの髪を掻きながら「そんな事ないですよ」と言った。
「でも――だから高橋さんの事疑うの許してあげて欲しいんです。
あの人、人間不信になってるだけだと思うから・・・」
由伸はまた微笑したが、溜息交じりに言った。
「仕方ないよな。俺、疑われても――お前だって俺の事怪しいって思うだろ?」
宮崎は少し間を置いて、長い事由伸の顔を見つめていた。
それから「いや」と言って、また地面へ顔を向けると続けた。
「怪しいって言うなら、佐々木さんも俺も同じですよ。そりゃあ――」
足元の草を千切って、朝露に濡れたそれをまた両手で細かく切る。
「そりゃあ高橋さんのあまりいい話は聞かないですよ。でもこんな状況じゃ関係ないですよ。
普段、善人面をしている奴の方が見境なくなったりしますしね」
千切った草を足元へ放ると、由伸のほうへ顔を上げた。
「それに、俺は高橋さんはそんな悪い人じゃないと思います」
179 :
待ち人達:01/10/09 23:42 ID:0VuSENAI
例えば、疲れ果てた時に。
例えば、気力が萎えた時に。
それは脳裏によみがえる。
繰り返し、繰り返し見る光景がある。
俺は走っている。あいつを追いかけている。
分かっている。いくら走っても追いつけない事はもう分かっている。
けれども、その中での俺は必死に走っている。叫びながら走っている。
しかし、現実は。返ってきた答えは−
「川相さん?」
不安そうな二岡の声に、川相の意識は一瞬にして現実へと立ち戻った。
視線を移すと、二岡が不安そうに川相を見ていた。その表情から、川相は自分がどんな顔をしていたか何となく分かった。
「ああ、大丈夫だ。それよりお前こそ顔が青い。大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です。ただ・・・・その、つまり」
怪我のせいで無ければ、二岡の表情が硬い原因はただ一つしかなかった。それはつまり−
「・・・・松井か」
あの時清原の襲撃を受けて自分達はこうして生き延びているが、果たして松井はどうだろう?
まだ放送で名前が読み上げられないという事は生きているのだろうが、しかしそれは無事を保証するものではない。
ましてやあの状況だ、無事逃げ延びたとするのは楽観的に過ぎる− 川相はそう分析していたが、口にしたのは別の事だった。
「大丈夫、松井は生きている。そして生きているなら必ず俺達の元に戻ってくる。
あいつはそういう男だ。そうだろう?」
二岡は、それを聞くと川相を見つめ頷いた。そして。
「ええ、そう信じてます」
と、呟いた。ただ−。やはりその顔に不安の色は隠せなかった。
そうだよな。人を信じるということは難しい。
・・・・本当に、難しい。
由伸はその言葉にちょっとだけびっくりした。
宮崎がただのお世辞やたてまえで言ってると言う感じがしなかったからだ。
「どうして?」由伸が正面から見ると、宮崎はまた慌てて視線を外した。
「あの、ほら目が――」
「目?」
宮崎は俯いたまま続けた。
「高橋さん、いつもはちょっと怖い目してますね」
由伸はその言葉にちょっと笑って「そうかもね」と言った。
「けど高橋さんって、時々すごく哀しげなすごく優しい目をしてる時があるんです」
「俺はそんな一緒に練習とか試合とかしてる訳じゃないですけど、それでも
小さなファンの子をいつも優しい目で見てるのとか、清水さんとかと笑ってるのに
急に一人だけ悲しそうな目をしたりしてるのが凄く印象に残ってて――」
由伸は宮崎の横顔を見つめながら、その話を黙って聞いていた。
「だから、俺前から思ってたんです。高橋さんはみんなが言ってる程悪い人じゃないって。
もし悪い事をしてるんだとしても、そうでもしなきゃいられないような理由があるんだって」
何だか随分恥ずかしげな、好きな女の子に告白でもする様な緊張した声音でそう言った。
「少なくとも俺は、それが分からないようなつまらない男にはなりたくないって、そう思ったんです」
由伸は心の中、溜息をついた。もちろん――甘すぎるね、宮崎と思っていたのだけれど。
しかし、「ありがとう」そう言った自分の声はびっくりする程優しいものだった。
そう装ったのではあるけれど、それが由伸にとっても出来過ぎと思える演技になり得てるのだとしたら――
それはもしかしたら、その言葉にほんのちょっとばかり、本物の感情が混じっていたのかもしれない。
宮崎は頷くと、黙って由伸の手をとり巻きついているベルトをほどき始めた。
「宮崎――」由伸は本当に少し驚いて言った。「いいのか?佐々木さんが怒るよ」
宮崎は視線を由伸の手首に集中させながら答えた。
「いいんです、武器は俺が預かってるんですし。それに、こんな人を縛って話しても楽しくないですから」
ベルトが外れると、由伸は手首をさすりながらもう一度「ありがとう」と言った。そして
「良かった、宮崎みたいな奴と会えて。俺ずっと怖かったんだ。一人っきりで
きっと誰かに会っても信用なんかされないだろうなって思ってて・・佐々木さんにもやっぱり疑われるし。
わかってるんだけどな、それだけの事自分がしてきたせいだって。でも宮崎がああ言ってくれて、本当に嬉しかった」
と涙まじりに話した。宮崎は少しはにかんだ様子で
「大丈夫ですよ。俺はちゃんと分かってますし、そのうち佐々木さんだって――
みんなだってちゃんとわかってくれますよ、高橋さんの事」と言った。
由伸はもう一度ありがとうと言うと「由伸でいいよ。それから敬語もいらない」と笑んでみせた。
宮崎は驚いた様子で顎を何度か引いた。それが頷くというよりも震えたと言った方が
正しいような感じだったので由伸はそれでまたちょっと笑った。
自分でも思ったのだが、その微笑みには悪意は含まれていなかった。
まあ、多分、ほとんど。
181 :
:01/10/09 23:59 ID:xFakG9r6
おお!やっと話が!いつもいつも面白いんだからネ!本当、オリジナルに
沿って進めるのも完全オリジナルなのもむずかしいだろうなと思います
182 :
:01/10/10 00:04 ID:3dqBwAv2
いつも面白いっす
ご苦労様です
183 :
:01/10/10 00:19 ID:5b1Scg7Q
ゲームも旧サイトで復活したし、話も増えたし面白いしで
本当にラッキーなんだからネ!
宮崎タン…良い奴だ…
184 :
桑田編1:01/10/10 00:52 ID:Uqa.8oSE
「……」
桑田は暫し呆然としたままであった。冷静沈着な彼でもさすがに驚きは隠せな
い様子でただじっと茂みの中、立ち尽くしていた
「…斎藤さんが生きていた…」
確かに死を見届けたはず、そして自分らしからぬ行い…野ざらしなのはあまり
に不憫だと毛布をかけてやったのも自分だった。つい先程までの上原との争い
を一部始終陰から眺めていた桑田はぽつりとつぶやいた
「…何が目的で…」
幹部陣の一員になるためのテストなど受けているのか。上原も多分勘付いてい
ただろう、斎藤が生き残る為に殺し合いのゲームに参加などできる性質ではな
いことくらい
「あの人の性格なんて嫌になるほどよく分かっている。」
ずっと一緒だったのだ。そしてあの能力と実績と精神、本当に尊敬でき
る先輩であった。ただしあくまで仕事仲間としての話であり、いざ裏切る時に
は斎藤も裏切ることになるなどと考えさえしなかった
「それでも…そうだとしても…」
斎藤が死ぬのは仕方ない、斎藤の事だから真っ先に死んでしまうのは予測して
いたし実際にそうであった。だが情けない死に方だけはさせたくなかったし、
小者などに殺されるような死に方もさせたくなかった
「あの人がクソみたいな奴に殺されるくらいなら…」
いっそ自分がこの手で殺してやろうと桑田は危険も承知でずっと斎藤をプログ
ラム開始から備考していたのだった。その時は探知器を所持していたため、他
選手にも見つかる事なく桑田はずっと見張っていた。そしてずっとある予感も
よぎっていた。この人はきっと自害を選ぶかもしれないと、仲間がその手を血
で染めるような事は忍びないと自害するにちがいない、そう思っていた。そし
てそれは本当の事となり、桑田はさして驚く事もなく丁重に彼だけは埋葬して
くれと幹部に頼んだのであった
「参ったな…」
これでやっとスッキリしたと思ったのに斎藤は生きているどころか再びこの
ゲームに参加しているではないか。だが、どういう経緯か知らないが斎藤が必
要ならば仲間をも殺す気でいることだけは確かであったのがせめてもの救いで
あった
「まあ、俺はもうアンタに構ってる余裕はないですけどね…」
そうつぶやきながらも桑田は大きなため息を付いた。なぜこんなにセンチな気
分になるのか…桑田は苦笑する
「本当に…あの人がからむといつもこうだな…」
冷静沈着で、野球道のためならどんな罵詈雑言も平気である屈強な筈の自分な
のに不思議と斎藤が絡むとそうでなくなるのは過去にも何度かあった。借金問
題、FA時の騒動、すっかりヒール扱いされたあの時。平気だと思っていたのに
優勝でのビールかけの時、自分でも気がつかなかった押し殺していた感情をぶ
つけるように思わず斎藤に泣き付いてしまったこともあった。そして一昨年の
斎藤復帰の試合で抑えに出た自分のせいで勝ち星を潰してしまったあの時…ベ
ンチの中で泣いてしまうなどという桑田にとっては最大の恥たる行為をしてし
まった。他の投手ならば悪びれたふりこそするが、済まなかったなどと思いも
しなかっただろう。投手なんてのはお互い様なのだからと心の中ではケロリと
していただろう。だが、斎藤だけは別であった。あの時、この自分が人目もは
ばからずに泣いた。心底から野球を辞めてやろうかなど本気で思ってしまった
程に今でも苦く残る
185 :
桑田編2:01/10/10 00:54 ID:Uqa.8oSE
「考えてみるとロクでもない思い出ばかりしかないのに…」
それでもやはり斎藤は特別な存在であった。清原とはまた別次元の
存在、清原のように華やかで良くも悪くも自分を惹きつけるような
存在ではなく、ひっそりと光り、側に居ると落ち着く存在であっ
た。あれほどに実直で性根の良い者が相手ならば桑田もその築いて
きた壁を取り除く事ができた
「俺も何やってるんだろうな…情で動くなんて馬鹿のすることじゃ
ないか…」
そう、自分はそういう浅はかな馬鹿は大嫌いであった。だが命がけ
で守ろうなどという気は毛頭ないが、彼にだけは惨い死に方をして
ほしくない…そう思うのもまた一番良き時代を思い出すという浅は
かな行為の現れなのだろうかとまた苦笑する
「…あの人は何が目的なんだ?…!」
桑田はハッとするように目を見開くと、斎藤と平松が自害した場所
に向かって走り出す。そこまで遠い場所でなかった為あっという間
に着いた
「…なるほど…」
平松の遺体が無かった。そして地面の血が擦られた跡があることか
ら平松も何処かに連れていかれたのだろう
「あの人は平松の為に参加したんだな…」
どういう脅され方をされたかは知らない。だが、とにかく目的を達
成すれば助けてやるとでも言われたのだろう、桑田は瞬時に悟っ
た。斎藤のことだ、自分の後を追って自害した平松を放っておける
わけがないと
「本当に面倒くさい…俺はいつか本気で一戦交えなきゃならないか
もしれないのに…」
清原の事である。彼とはいずれ戦う事になるかもしれない…そんな
予感はしていた。だが同時にこのままお互い戦う事さえ出来ないま
まどちらかが消えるかもしれない…そうとも予感していた。どちら
になるのかは分からない
「キヨは本気で殺しを楽しんでいる…そんな奴を相手にするかもし
れない俺に余裕なんてないんだ…」
だが、それでも刺さった棘が中々抜けないように斎藤の存在が離れ
てくれない
「面倒だ…本当に面倒だ…」
いつも斎藤が絡むと一番見せたくない弱い面ばかりさらけ出してい
る気がする。だがそれを不快と思えない自分が面倒だと桑田はため
息を付くと、デイバックを背負う
「別に斎藤さんの為じゃない…」
どの道より多くの者を殺さねばならない、誰を殺しても一緒だ、そ
れならば斎藤を狙おうとする者から殺す事にしよう、あくまで斎藤
の保身はついでなんだと桑田は西に向かって走り出す。斎藤の目的
地が何処なのかは断定できないが、西にまっしぐらに向かったとこ
から西であることは間違いない
(西端にはたしか…)
目立たぬ位置に割としっかりした作りの小屋があった、マップ制作
の時を思い出しながら桑田は予想を立てる。何があるのかは知らな
いがそこらの平地が目的地なわけはない。桑田は斎藤の行き先を予
想しながら速度を早めるのであった
186 :
:01/10/10 00:56 ID:4msOmXro
巨人の選手で童貞はいるのか?
三浦がそうらしいけど。
187 :
:01/10/10 01:45 ID:hFDSwNSw
今日初めて一気読みしました。オモロカタ。期待age!
188 :
:01/10/10 02:15 ID:RBelQv4.
く、桑田さん…カコイイ…かっこよすぎ!
189 :
:01/10/10 04:06 ID:vjWv3.qg
これからヨシノブと宮崎はどうなるんだ・・・
桑田と雅兄ぃ、そして平松タンもどうなるんだ・・・
もう気になって仕方ないんだからネ!
190 :
:01/10/10 10:05 ID:km7Otunw
宮崎…エエコやなぁ〜…
ところで平松はどーしてるんだろ?桑田と斎藤雅もどーなるんだか…
191 :
:01/10/10 11:43 ID:OV6lejOc
宮崎とヨシノブのとこ、上手いね。
原作も思いだすし、オリジナリティもあるし。
期待してます>職人さん
192 :
:01/10/10 12:51 ID:gYYv/FVM
清原にこの後、セリフがあるのかどうかが気になる・・・。
193 :
:01/10/10 14:01 ID:Q0LnSeic
>192
桐山しゃべんないもんなあ……
KK対決がもしあればそこでは確実にセリフあると思うけど。なくても桑田が死んだらなんかあるんじゃないか?
ああそれよか灯台では喋りそうだよ相手が相手だし。
ていうか、祐作はいまどうしてるのか気になって気になって夜も眠れません。
194 :
:01/10/10 14:04 ID:InX4OMes
>184
ZONEの三本柱特集思い出して泣ける。
桑田はもうとにかく自分を責めて責めて責めまくってて、
「斎藤さんは“大丈夫ですよ、気にしてません”て言うけれども、
気にしてないわけないんです。故障してから、ずっとずっとリハビリを続けて、
やっと決まった登板日に向けて体調整えて、努力して。勝つ為にみんな
必死だったのに、それを僕がのこのこ出て行って、それまでの斎藤さんの努力を
全部ダメにして、試合をぶちこわしにしてしまったんです」
でも残り2本柱は全然桑田を責めないのな〜。
斎藤は「とにかく、自分の勝利が消えた事よりも、彼(=桑田)がかなりショックを
受けてたのが本当に心配でね。自分を必要以上に責めているんじゃないかと」と言うし
槙原は「本当なら俺がリリーフで行ってなきゃいけないのを、先発の真澄がリリーフ
やって、俺の代わりにああいうことになってるわけですから、申し訳ないと
思いますよ、それは」って。
まあ普通、「そうですあいつのせいです」とは言わないだろうけど、
それにしても二人とも自分のことはさておきって感じで桑田のことすごい心配してたよ。
ところで桑田が斎藤復帰登板で打たれたのは一昨年じゃなくて昨年。
195 :
:01/10/10 14:04 ID:.3sc.URI
>>193 なんとなく桑田、清原と戦う前に死んでしまう気が…
斎藤コーチの話のライターさん次第かな?
196 :
:01/10/10 16:10 ID:qY5h0q0I
>>194 同意…あの時の逆転シーンを思いだしてしまった。あの落ち着いてる
桑田がそりゃあもう落ち込んでたよなぁ…
あと一昨年と書いてるのはこのゲームが来年行われているという
(冬くらいか?)想定なんじゃないかな?多分…
197 :
:01/10/10 19:04 ID:0cFO4GnQ
智は結局気付かないんだろうか。
ところで俺はいないのか?
199 :
:01/10/10 20:00 ID:NIulFg2Y
>>197 鉄壁の古田の防御をかいくぐって行けるかどうか。
いや、結構鍵だと思うけど。
宿舎で古田がモニター見てるところに入来兄が駆け込んできて(稲葉に事情を吐かせて)、
画面を見ると「入来祐作(死亡)」とか出てて半狂乱。とかね。
>>198 いいから秋田書店に帰んなさい。
一気読み、各章ごと共に最新編まで追加しました。
ここまでで96章、プロローグ等を入れると99章!
職人さんたち、本当にありがとうございます。
100章目はどこらへんの話になるんだろうか。
原作ベースだとどこも見せ場。由伸の落としどころ、灯台のシーン。
原作にも出てくるけどすっかりオリジナルになった入来
平松を追う斎藤を追う桑田、清原はどこへ。
>ゲーム設置したやつさん
リンクを再度iswebに張りなおしたんだけど、
トップページのENTERをクリックすると、
prohostingに行っちまってエラーが出るんで、
めんどくさいんだけどもっかいiswebのcgiにリンク張りなおしてください。
201 :
:01/10/10 22:28 ID:iKX5tIRI
>>200 お疲れさんです!よし!行くか!
保存屋助手さん、ライターさん、いつもありがとうございます
原作ベースだとあのシーンがこうなるのかと楽しめるし
オリジナルだとオリジナルなだけにまったく先が分かんないので
それはそれで楽しめるしで目が離せません
202 :
:01/10/10 23:19 ID:5u.jg4Ho
ん、あれ?じゃあ松井は今、灯台にいるのかな?
203 :
:01/10/10 23:27 ID:x6apP752
背後で銃声が鳴り響いた。マシンガン。あのマシンガンの音だ。
清水は足を止め後ろを振り返った。
その耳に、ぱらららららという音がまた鳴り響く。
「野村さん…」
おそらくマシンガンの誰かは、銃声を聞き、駆け付けてきたのだろう。
――みんな、やる気なんだよな。
清水は野村に撃たれた右脚を引きずりながら山の斜面を駆け上り、
低木の根元の茂みに倒れこむように座り込んだ。
弾切れなんて考えてもみなかった。俺も相当おまぬけだよな。
チャンスで初球ポップなみの情けなさだよ。
清水は右手に握ったままのコルト・ガバメントを見つめ、苦笑した。
由伸、弾が切れるほど撃ったのか。――仁志さんだけでなく、他の人達も。
由伸がやる気である事は明白で、実際清水自身ナイフで刺されていた。
しかしあの時、今倒しておかなければ危険だとわかっていたのに
清水は由伸を追うことができなかった。
去っていく背中を呆然と見送る事しかできなかったのだ。
由伸に口に出さない心の傷があるのは、なんとなく気付いていた。
でも清水の前ではいつも明るく元気に振舞っていたので、
清水も軽口や冗談で応じ、あえて何も聞かなかった。
平気で人を刺す冷酷さなど今まで感じたこともなかった。
――俺って、ものすごく鈍感だったのか…?
俺と組みませんか と由伸は言った。組めるわけがない。だけど。
もし、このゲームが始まった直後に由伸と出会っていたら
きっとこの言葉を俺は素直に信じていただろう。
――俺って、今までよく生き残ってこれたよな…
清水はふっと溜息をつき、膝をかかえた。
ポケットに何かが入っているのに気付き、左手で取り出す。
バードコールだ。川相さん、おもしろいもの持ってるよな?
そっと吹いてみると、鮮やかで軽やかな鳥の鳴き声がした。
もしこの場に仁志がいたら、そんなもん吹いてる暇があったら、さっさと
ピストルの弾を詰めろよーー!!危ないだろーー!!
と、暴れていただろう危険な行為だったが、
清水はその音色が気に入り、もう1度そっと吹いた。
そして、あの3人はどうしてるんだろう などと考えていた。
204 :
:01/10/11 00:02 ID:YpwRoJ6M
はぁぁ…77章は何度読んでもマジ泣くネ!
205 :
:01/10/11 00:28 ID:dI1ox6jw
正直、桑田の死に方、
あるいは清原との殺し合いのシーンでの内省部分が気になる。
何章か忘れたけど、
初登場時が非常にうまく虚無的に伽羅が肉付けされてたんで、
是非とも力作を望む。
他力本願でスマソ。
206 :
:01/10/11 00:38 ID:KTxNxYNM
…河原…今どうしてるんだろ?
207 :
:01/10/11 02:03 ID:UMY1eshI
>>205 俺は桑田は184のような悪ぶってるけど根は真面目というような印象
なんだよね。桑田の死に方はたしかに気になる。出来ればカッコイイ
死に方を!…しかし河原も気になるが平松は本当にどうしちゃったんだ…
208 :
:01/10/11 05:37 ID:pVYgImxI
松井のその後も気になるYO!
209 :
:01/10/11 20:35 ID:4/sM7CS.
斎藤、ブルペンコーチから投手コーチに昇格(?)だそうですね
下がってるのでage
210 :
:01/10/12 03:51 ID:40TVkWPo
保存age
211 :
おいしそう!:01/10/12 04:09 ID:zqG6kC7.
乾いた破裂音が、三沢興一を覚醒させた。
「ん、ん……?」
目を開けると、途端に白い人工光が突き刺さる。
寝起きのぼんやりした頭でも、天井が見慣れないものあることくらいはすぐにわかった。
昨夜は祝勝会だったはずだ、それでそのあと――どうしたんだっけ?
考えながら上体を起こす。
「あー、やっと目が覚めましたか」
三沢はぎょっとしてそちらを向いた。忘れようもないその声。眠気も一瞬で吹っ飛んだ。「えー君はもちろん、栄光の巨人軍ナインの一員であった日を、忘れちゃいませんね?」長嶋茂雄がセコムの看板よろしくにっこり笑っていた。
三沢の狼狽にはまるきり構わぬ様子で長嶋は一方的に話し続ける。
「君はラッキーですねえ、実にラッキーです。もう一度、戻れるかもしれないんですよ」
その内容よりはむしろ長嶋の声や表情に滲む奇妙な朗らかさというか興奮に、
三沢は一種異様なものを感じた。
思わずあとずさった手が、ぐにゃっとしてぬるっとしたなにかに乗り上げて滑る。
何気なく手元を振り返って――
「――わあああぁっ!」
今度は全力で飛び退いた。なにしろ手の下にあったのは血塗れの恨めしげな男の顔。
額に小さな穴が開いているが、人相を崩すほどではなかった。
知らない顔ではない――それは自分と同時に移籍した玉峰だった。
鼻歌でも混じっていそうなほど楽しげに長嶋が言う。
「おやおや、そのくらいで驚いてちゃいけませんよ。
なにしろ君はこれから“この試合”に参加するわけですから」
――試合? 三沢は目を瞬いた。わけがわからなかった。
「まあいわゆるひとつのゲームを、試合じゃなくてお遊戯ですが、
行なっているわけですが、参加人数のほうがね、ちょっと減りすぎたんでね、
君たちにも急遽来てもらうことにしたわけですよ」
長嶋は相変わらずマイペースで滔々と話し続けている。
「もっともまあ、彼の方はちょっとした手違いでね、
こういうことになってしまったわけですが」
長嶋がひょいと玉峰を指差したが、三沢には彼を振り返ることはとてもできなかった。
「君にはぜひ、このゲームを盛り上げてもらいたいと思ってるんですよ。
――そうですねえ、特別サービスで進行状況を見せてあげましょうか」
長嶋の声に呼応するように、正面の大きなモニターがぱっと明るくなった。
背番号と名前の羅列。そしてたっぷり三分の二ほどの名前の後ろには、
ことさらに毒々しい赤で、同じ二文字が表示されている。
曰く、――『死亡』。
そこでやっと三沢は、先刻長嶋の言った言葉を聴き間違えていたことに気付いた。
“この試合”に参加、ではない。長嶋は、“殺し合い”に参加せよ、と言ったのだ。
「最後の一人になるまでゲームセットはなし。
それだけに、最後の一人にはビッグなボーナスがありますよ?
そう、君の場合、巨人の先発ローテーションに入れるかもしれませんねえ」
あまりのことに三沢は言葉もない。だがもちろん長嶋はいちいち頓着はしなかった。
「さて。わかったらさっそく出発してください。武器とかそういったものは
そのリックサックに入ってますからね」
言われて三沢ははじめてすぐ隣に置かれていたデイパックに気付いた。
まだ半ば茫然としたままで、けれど三沢はそれを取り、立ち上がった。
冗談じゃ……冗談じゃない。なんで俺が巻き込まれなきゃならないんだ!?
その問いには脳裏で誰かが答えた。
――君たちだけ、栄光の巨人軍を差し置いて優勝だなんて許されるわけがないんですよ。
三沢は眩暈を覚えた。
馬鹿な。俺が巨人を捨てたんじゃない、巨人が俺を捨てたんじゃないか、
それをいまさら――
三沢は激しく首を振り、デイパックの肩紐を握る手が白くなるほど力をこめた。
そんな理屈が通るくらいなら、はなからこんなところに連れてこられていやしないのだ。
巨人は狂っている。狂っているが、だが、あるいはそれゆえに、ひどく――危険だ。
きょじん。きょうじん。ほら、ただの一字しか違わない。
ましてや今この場においては、その一字の違いはもうどこにあるのだか全くわからない。
みんな殺せば、晴れて狂人の先発ローテ入りだってさ。最高だ。
その通り、最高だった。
多分訳もわからぬまま野良犬かなにかみたいに無造作に殺された玉峰と比べれば。
せっかくそうならなかった命を、粗末にするのは馬鹿馬鹿しいことこの上なく思えた。
ならば――みんな殺してやる。
どうせみんな殺す気満々なのだ、そうでなかったらどうしてあんなに死んでいる?
そりゃもう派手に、殺し合ったのに違いないのだ。
ああ、それとも――
そういう連中を残らず掃除してやったら、狂人は巨人に戻るのだろうか。
もし俺がそれをやったら、ちょっとした英雄だな。
三沢は小さく声を立てて笑った。
214 :
:01/10/12 12:01 ID:XWs3dtJ6
み、三沢までっ!!ドキドキしてきちゃったよ!
すごい悪になりそう!誰を殺すんだろ?…もうあまりメンバー残って
ないなぁ…でもその分密度濃くなりそうで楽しみ
215 :
:01/10/12 12:03 ID:EfdvSqy2
age
216 :
:01/10/12 12:24 ID:ryLmOfiM
み、みさわーっ!!
続き楽しみだからネ!
また書いてネ!
結局午前六時の放送で佐々木が目を覚ました。
2時間弱程しか眠っていなかったが佐々木は十分だ、といい
手からハンカチをほどいて銃を握りなおした。
宮崎は由伸に先に眠る様勧めたが、由伸はそれを断り宮崎が横になった。
由伸の手からベルトが外されているのを見て佐々木は文句を言ったが
宮崎がなんとか宥めてその場を収めた。
もっとも外されていなくても外してもらうつもりだったが。佐々木に。
――さて。あまり方法を選んでいる余裕はないようだ。
清水隆行がまた現われでもしたら全てが無駄になる。
それに、例のマシンガンの奴の存在も頭にあった。
しかし、どうしたもんか。
俺が女だったら色仕掛けでもして一発なんだけどなあ――
由伸はじっと自分に視線をむけている佐々木をちらっと見た。
右手のリボルバーの銃口は今は由伸の方を向いていなかったが
引き金にはしっかりと指がかかっていた。いつでも撃てるという意思表示なのだろう。
由伸はなお30分ばかり待ち、こちらに背をむけている宮崎が
完全に眠っているのを確認してから佐々木に向かって静かに言った。
「そんなに見てなくたって何もしませんよ」
「わかるもんかよ」
佐々木の警戒心は相変わらずの様だった。
やっぱり宮崎と同じ様にはいかないか。
仕方ない、完璧な作戦とは言えないがとにかくやってみない事には。
とにかく時間がないのだ。
「ねぇ佐々木さん」
「何だ?」
呼びかけると疲れた様子で佐々木が返事をした。睡眠をとったばかりと
いっても疲労は相当なものだろう。今なら思考回路も少し鈍ってるかもしれない。
「俺が何であなたに話し掛けようとしたか分かります?」
じっと佐々木の目をまっすぐに見つめ、由伸が言った。
それは普段よりもやや強めの態度で。
佐々木はそれに少し圧された様子で「いや――」と一言だけいった。
「俺ね、あなたは一人で行動してるもんだと思ったんですよね。だから声を掛けようと
したのに。もう一人いたなんて、ね」
態と意味ありげな口調で話す。
「どういう事だ?やっぱり俺を殺そうとしてたってことか?」
佐々木の顔が歪む。
「やだな、俺誰かを殺すつもりなんてないですよ。いくらなんでも人の命を奪うなんて事は――」
なんて知ってる奴が聞いたらお笑いだよな。
「俺パートナーを探してたんですよ。一人だけ」
「パートナー?」由伸の言わんとしてる事がよくわからなく佐々木が焦れた様に訊く。
「はい。ここから逃げ出す為のパートナーです」
「逃げ出すって何か方法があるのか?!」佐々木が声を荒げた。
「ありますよ、みんな気付いてないのかもしれないけどこの方法なら
多分完璧だと思いますね」
「じゃあ――」佐々木の顔が歓喜で緩んだ。
「でも言ったでしょう?俺が探してるのは一人だけだって」
佐々木の顔が再び強張る。「一人、だけ?」
「人数が多いと危険なんですよ。それだけ見つかる確率が高くなる。
最初は一人で逃げようとしたんですけどね。それもやっぱり難しくて。
だから二人がベストだなって」
「じゃあ――」佐々木が宮崎の方を見た。
「ここじゃちょっと・・・聞くだけでもいいですから移動しません?」
由伸は言うとすぐに腰を上げた。宮崎と佐々木のデイパックを掴み歩き出す。
佐々木が後を追ってくる気配がした。
由伸はそっと笑みを浮かべた。
こんな簡単にかかってくれるとは思いませんでしたよ、佐々木さん。
元の位置から20メートル程離れた所で由伸は立ち止まった。
振り返ると茂みをわって佐々木が現れた。
ぼんやりした目。まだ銃はその手に握られていたが由伸に対する警戒心はもう
ないと言っていいようだった。
由伸はデイパックの中から地図を取り出すとそれを目の前の地面に広げた。
「とりあえずこれを見てください。」
佐々木は何の疑いもなく由伸と向かい合う形で腰を下ろすと地図を覗き込んだ。
「あ、その前にそれどこかへ置いといて下さいよ。怖くてたまんないです」
由伸が右手の銃を指すと佐々木は悪いと言ってその銃を少し離れた所に置いた。
「じゃあ改めて――」
由伸は作戦を説明する振りで適当に言葉を並べながら、己の右ポケットにそっと手を差し込んだ。
指先に固く薄いものが触れる。武器をなくした時に何か代わりになる物をと思い入った民家で偶然手に入れたもの。
あの時はこんな物が使えるだなんて思いもしなかった。まさかこんな形で役立つ事になろうとは。
由伸はゆっくり右手を佐々木の首元に近づけた。
ごめんね佐々木さん。でもあんたも宮崎の事裏切ろうとしたんだし、お互い様だよな?
人差し指と中指の間に挟んだそれを振り下ろそうとしたその時――
けけけけっと鳥の鳴き声がした。しかも由伸の右手の方で。
それで佐々木はびくっとそちらを見て目を見開いた。
声の主は本当にただの鳥でしかなかったのだから、その原因はやはり
顔のすぐ眼前に由伸が手にしたカミソリを認めたからだろう。
――ち!なんだってこんな時に
佐々木はうおっと声を上げるとすぐさま身を引いた。
たいした反射神経だな。プレーにいかせないもんかね、それを。
佐々木は立ち上がり呆然と由伸を見下ろしていた。
由伸はそれに構わずすぐさま佐々木が置いたリボルバーめがけて走った。
しかし目の前を佐々木の体が飛んできた。まるきりスライディングの要領で。
地面から銃をすくいあげ、一転して膝立ちに起き上がった。
由伸は佐々木のほうが先に銃を拾うと判断すると方向を転じていた。
背後で銃声が聞こえたが、どこにも当たらないまま由伸は茂みの中へ駆け込んだ。
佐々木が追ってくる音がする。追いつかれる。もちろんだろう、それは。
茂みを抜けると宮崎の姿があった。銃声で目を覚まし、それから由伸と佐々木がいない事
に気付いて辺りを見回してた様だった。
「宮崎!」由伸は声を上げて宮崎に走りよった。もちろん泣き顔を作る事を忘れずに。
「由伸さん?どうし――」
佐々木が戻ってくる頃には由伸は宮崎の背後に回っていた。
由伸の方が10センチ以上背が高いため、隠れると言う訳にはいかなかったが。
「宮崎!そこをどけ!」佐々木が足を止め、銃を構えて言った。
「ま、待ってください」
宮崎は寝起きの頭でよく状況を飲み込めないのか慌てた調子で言った。
「いったい何だって言うんです?」
「そいつが俺を殺そうとしたんだ!俺の言った通りだ!」
由伸は宮崎の後ろに隠れたまま「ち、ちがう」と弱々しい声をあげた。
「佐々木さんが急に荷物を奪っていこうとしたんだ。だから俺慌てて追いかけていったんだ。
そしたらいきなり銃で撃とうと――」
「な、こいつ――違う、違うぞ宮崎!そいつはカミソリで俺を殺そうとしたんだ!」
冷静に考えれば佐々木が逃げる必要などないのだから、由伸の言ってる事の方が
おかしいのだが、状況は佐々木にとって圧倒的に不利だった。
確かに2つのバックは由伸が持っていった為、ここにはなかったし
由伸はとっくにカミソリを茂みの中へ捨ててきたので証拠は何もない。
佐々木は怒りで顔を赤黒くしながら必死に叫んだ。「どけ、宮崎!俺はそいつを撃つ!」
「待ってください」何とか落ち着いた声をだそうと務める様に宮崎が言った。
「俺にはどっちが嘘を言ってるのか、分からないです」
「何だと!」佐々木がまた声を荒げたが宮崎は動じず、佐々木のほうへ右手を差し出した。
「とにかくその銃を渡してください。その後でどちらが嘘を言っているか確かめましょう?」
佐々木の顔がゆがんだ。もうほとんど泣きそうな、やるせなげな表情だった。
「そんなまだるっこしい事言ってられるか!お前も殺されるんだぞ、今こいつをやらないと!」
佐々木の言葉に由伸がひどいと泣き声をあげた。
「俺そんな事しない、信じてくれ宮崎――」ぎゅっと宮崎の肩を握りしめる。
宮崎が辛抱強く右手を伸ばした。
「渡してください、佐々木さん。あなたが嘘を言ってるのでないのなら」
佐々木がまた顔を歪めた。しかしややあって、肩を大きく上下させて
息を一つ吐き出すと銃を下げた。
グリップを前にして諦めた様に宮崎の方へ差し出す。
なお泣き顔を保ったままだったが、由伸の目の奥がきらっと光った。
宮崎が銃を握った時が勝負だ。彼からなら銃を奪うのもそう難しくはないだろう。
宮崎が頷き前へでた。しかし――それは実に清水が由伸の目の前でやったのと
ほぼ同じ様に佐々木の手の中で銃がくるっと回転した。
そしてその銃口はますっぐに由伸を狙っていた。
宮崎の背中から離れた由伸の体はがら空きになっていた。宮崎がばっと由伸を振り返る。
やられる――由伸は目を見開いた。
2つの銃声。
由伸の目の前スローモーションの様に宮崎の体が崩れ落ちようとしていた。
その向こう佐々木の狼狽した表情が見えた。由伸はその時にはもう、宮崎が眠る時に横に
置いていたカマを拾い上げていた。
佐々木にむかってそれを投げる。カマは見事に佐々木の右肩に食い込んだ。
ぐっとうめいてその手から銃が落ちる。
由伸は今度はバットを拾い上げて、右肩を押さえてよろめく佐々木の頭めがけてフルスイングした。
がっ、とそのバットの先が佐々木の顔のど真ん中をとらえた。
鼻の軟骨が砕け、何本かの歯をもぎ取って顎骨が陥没する感じが由伸の手に伝わった。
そしてそのまま倒れた佐々木の頭に何度もバットを振り下ろす。
由伸がバットを放り出す頃には、佐々木は顔を血で真っ赤に染め絶命していた。
由伸は左手の方に転がっているリボルバーを拾うと、倒れている宮崎に歩み寄った。
宮崎の体の下、赤い染みが広がっている。
由伸は少し考え、佐々木の死体が宮崎に見えない様自分の体を動かすと、宮崎の肩をぐっと掴んで仰向かせた。
それで宮崎が「うー」と声をあげ、目をぼんやり開いた。
ユニフォームの左胸と脇腹に一つずつ穴が開いていた。血がそこから溢れ出し、その白い布に吸い込まれている。
由伸はその宮崎の上半身を抱き起こした。はっ、はっと短い呼吸が続いている。
「よ、よしのぶさ――ささ、ささきさんは?」
由伸は顔を左右に振った。
「お前を撃って怖くなったんだ。逃げてったよ」
「そ、そう――」
そう言った宮崎の目は左右でどこか焦点が違っていた。多分、由伸の姿も
もうぼんやりとしか見えていないのかもしれない。
「け、怪我して、ない?」
「ああ――」
由伸は頷いた。それから言った。
「かばって、くれたんだな」
宮崎はちょっと笑った様だった。
「ご、ごめん。俺もう一緒にいられないや。俺、もう、う、うごけな――」
言う唇の端から血の泡が吹き出した。肺に穴が開いているようだった。
由伸は「わかってる」と言い、宮崎の体を抱きしめた。
「ご、ごめ――俺もう――」
由伸は笑んだ。もう一度「わかってる」と言い――
どん、どんと篭った銃声がし、宮崎が大きく目を見開いた。
その時にはもう、由伸の顔を見つめたまま、多分何が起きたか分からないまま宮崎一彰は死んでいた。
由伸はまだ銃口から煙を吐いているリボルバーをゆっくり宮崎の腹から離し、その体を抱えなおした。
今はもう何も見ていない宮崎の目を覗き込む。
「お前ともっと早く会っていればな・・・もっと早く話しができていれば、な・・・
――俺、ちょっと嬉しかったよ。忘れないから。お前のこと」
それだけ独り言を言うと、まだ暖かい宮崎の体を名残惜しむかのようにもう一度抱きしめた。
さぁっ・・・・・・と、笹の葉を叩く音。
さっきからひと雨来そうな空模様だったが、とうとう降ってきた。
二岡の不安をより一層煽ったのは、川相の言葉だったのか、この雨音だったのか。
「俺、松井さん捜してきます」
「おい!?」
川相の制止の声を振り切って、二岡は駆け出した。川相も銃を片手にその後を追ったが、
チーム1、2を争う俊足の二岡に、決して足が速いとは言えない川相が追いつける筈もなかった。
それでも何とか後を追っていったが、分かれ道にぶつかった。
二岡はどちらに行ったのか。右か、左か。
慌てて左右を見回すが、二岡の姿はすでに見えない。
二岡は、武器を持っていない。もしも松井ではない誰かに見つかったら―――
「二岡! どこだ!?」
川相の絶叫に、返事はなかった。
二岡はわき目も降らず、雨の山道を駆け下りる。何かが二岡の目に留まった。
かつてそのあたりは墓地だったのか、苔むした墓があった。
しかし、二岡の目に留まったのは墓石ではない。
墓の向かって左側、腰をかけるのにちょうど良い石段に座っている、
銃を手にした高橋由伸(背番号24)だった。
由伸には気をつけろ。
清水にそう忠告されていたものの、1年違いの先輩後輩、全日本でも共にプレーした
仲間でもあった二岡は、半ば警戒もし、半ば奇妙な安心感も持っていた。
「由伸さん……」
由伸も、雨に打たれながら、二岡をじっと見つめている。
頬が濡れているのは雨のせいだろうが、目が赤いのは―――
「何してるんだ?」
抑揚のない声で、由伸が訊ねた。泣いていると思ったのは、気のせいか。
「松井さんを……捜してるんです」
「はぐれたのか?」
由伸が更に問い詰めるのと同時に、「二岡、どこだ」と、遠くで二岡を呼ぶ声がした。
そちらへ、由伸が顔を向ける。
「……へえ、川相さんか。主砲とベテラン、二人のお守りに面倒みてもらって、
まるで王子さまじゃん、お前」
微笑さえ浮かべて二岡に向き直り、由伸は銃を持った右手をゆっくりと上げた。
「由伸さん?」
「死ねよ。ブサイク」
いまにも引き金に手をかけそうだった由伸の表情は、なぜか次の瞬間に硬直した。
魔物でも見たかのように引きつって、そのまま由伸は銃を撃つことなく
ぬかるみはじめた山道を駆けていった。
何が起こったかわからず、由伸の後姿を茫然と見送る二岡に、「やあ。」と
声をかけた者がある。
振り返ると、そこには。
「桑田さん!」
なるほど、由伸が駆け出したのも無理はない。定時放送で小川が桑田の参加を
告げていたものの、たとえ自分たちと立場が同じになったとしても、いや、
同じ立場になったためになおさら、その存在はそら恐ろしく感じられた。
桑田真澄(背番号18)は黒い折りたたみの傘をさして、無表情に二岡を見ている。
凝視しているのではないが、視線がまるで刀の弾く光のようで、
文字通り二岡は射すくめられていた。
「思ったより元気そうやな……なんや、ゴジも一緒か」
その言葉に、はっと我に返ると、二岡の背後の道から血の滲む包帯をユニフォームの胸元から覗かせ、
デイバックに銃器類を携え、どこで見つけたのか何かのつっかえ棒のようなものを杖がわりに、
よろめきながらも必死でこちらに歩いてくる松井秀喜(背番号55)がいた。
「松井さん、松井さん!」
二岡が駆け寄ると、それに安心したのか、松井の全身から力が抜け、その場に倒れこんでしまった。
頭にも包帯を巻いて、一目で重傷を負ったとわかる。
体が人並みはずれて逞しいだけに、痛々しさがそれだけ増しているように
二岡には思えた。
ぬかるみに倒れて汚れてしまった松井の上半身を、抱え起こしてやる。
と、急に雨がやんだ。
しかしそれは二岡の錯覚で、雨がやんだのではなかった。
桑田が、傘をさしかけてくれていたのだ。
訝しげに自分の顔をまじまじと見つめる二岡に、相変わらずの無表情で、
桑田は言った。
「風邪ひくなよ」
そして、もと来たらしい道を、自ら雨に打たれて、桑田は戻っていった。
その姿を見るともなしに見送っていた二岡だったが、松井の呻き声で我に返った。
傘を左手に持ち、松井の右腕をなんとか自分の肩に回す。
「松井さん、歩けますか?」
二岡の問いかけに、松井はしっかりと首を縦に振った。それを見て、二岡は
グッと前を見、そして大きな声で叫んだ。
「川相さん! 今行きます!」
桑田はゆっくりと、坂道を歩いていく。
(これで、俺の身を守るもんは、なんにもなくなってしもたな……)
黒い折りたたみ傘。
それが、桑田のデイバックに入っていた武器とも言えぬ武器だった。
さしたる落胆もなく、また喜びはもとよりある筈もなく、
あってもなくても同じようなものなら……と、二岡に傘を渡した。
渡したはず、だったのだが。
(俺はなんで、二岡に傘をやってしもたんやろ……)
由伸から二岡を守ってやろうと今さらな正義感を出したわけではない。
だいたい、桑田と二岡はそこまで親しくはない。せいぜい、まだ二岡がルーキーだったころに
上原と一緒に食事に誘ってやったぐらいの接点しかない。
いや。それだけだっただろうか。
二岡が入団したころ、二岡は本人の内向的な性格に加えて入団した経緯のことも手伝っていたのか、
チーム内で友人を作ろうと積極的に動くことはなかった。ただ一人の知り合い、
年齢は1つ上だが同級生の上原を頼って、常に後ろにくっついて歩いていた。
それで困った噂を立てられたこともあったが、ともかくその上原と二岡の姿に、
桑田はデジャヴを覚えていたのだ。
高校時代。球拾いだった自分が一躍甲子園の星になった。が、だからといって
どうやって振舞えばいいのかということには頓着もしなかったのだが、
上級生からの不条理な嫉妬のことを考えると、困ったことになったと思ったのも
確かだった。が、そういう余計なことに気を取られずに済んでいたのは、
あいつが常に自分を庇い、睨みをきかせてくれていたからだった。
そして、巨人入団。
無二の親友を裏切ったと、日本中から罵声を浴びせられつづけて、
同僚であるはずの二軍の選手たちからも、どこか蔑すんだ視線を浴びせられていた時、
ただひとり、柔らかい視線、優しい微笑で、まるで実の弟のように自分を見守ってくれていた先輩がいた。
(二岡は、“可哀相な俺自身”、いうわけか……)
自分の物思いにきっちりと結論を出すと、すでに全身雨にそぼ濡れた桑田は、
道端に目をやった。
手を伸ばして、拾い上げる。何の変哲もない小石を、二つ。
手の中に、握り込む。
可哀相な自分など、あってはならない。
こんな惨めなことがあるだろうか。自分で自分を憐れむなどと。
その、懐かしくも忌まわしい思い出に登場するのは、常にあいつとあの人。
(・・・これでケリつけさせてもらう)
清原と斎藤の行方を求めて、桑田はまた一つ、歩を進めた。
224 :
平松編:01/10/12 20:54 ID:VMPk6VC2
うっすらと光が見える。…天国なのか…?…手を伸ばそうとするが体は重く、動いてくれなかった
「…気がついたか。」
「…!あなた…は…」
「動けないだろう?当たり前だ。随分と深い傷だったらしいからな。助かったのが奇跡というものだ。…なあ、平松。」
白いベッドの上で横たわったまま平松はまだ呆然としたまま、冷たい顔つきで
見下ろす水野を見た
「助けられたんだよ、お前もな。斎藤のついでに。」
「…!斎藤さんがっ!」
生きているのかと思わず身を起こしそうになったが、激痛どころか感覚さえ無いその体はピクリともしなかった
「麻酔を大量に打ち込んだらしいからな。かといって傷の手当て以外は完全放置、酷いもんだよなぁ…
早く斎藤が来てくれないとこのまま死んでしまうというわけだ。」
斎藤が来る?そしてなんで二人して助けられたのか…平松は眼球だけ水野の方に向ける
「斎藤は上のミスでプログラムに入れられてしまったんだ…気がついた時には瀕死の状態だったが何とか助かったというわけだ
…斎藤はなぁ…来季の投手コーチ候補なんだよ…この俺の後釜のな…」
ふいに水野は癇癪を起こすように机を激しく蹴り付けた
(畜生っ!斎藤にブルペンコーチの座を奪われてたまるか…あんな経験もなにもない奴に…)
斎藤を助け出したと聞いた時点で嫌な予感はしたが見事に的中してしまった。
このままでは確実に自分も殺されてしまう可能性が高い、用済みのコーチとして。そして絶望する水野に長嶋は言った
平松の元へ先に向かっていろと。その言葉の裏の意味…斎藤をそこで殺せば考え直してやる、という事を水野には理解できた。
長嶋はとことんこのゲームを楽しんでいるのだ
(殺してやる…あいつさえ死ねば…)
考え込む水野に平松は声を上げる
「どういうことですかっ…!」
「…お前はこのままでは死ぬ。だが斎藤がそれまでにここに来ればコーチとして合格、というわけだ。
ついでにお前も助けてもらえるだろう。お前は斎藤のコーチ昇進テストの為の道具にすぎないが…本当に運の良い奴だな
斎藤と一緒に心中してよかったな。」
どう見ても敵意向きだしに水野を平松は動けぬ体でただ見つめていた
「ま…さか…斎藤さんは俺の為に…」
「だから言ったろ?あのクソ真面目の事だ、お前の命の為に今頃必死になって殺し合いに参加してるだろうよ。
あのままのんびり待機してりゃあ楽できたものを…」
水野は忌忌しげに言う。斎藤は巨人の良心、エースでありながら謙虚なのは間違いないが実際には本人も意識は無いのだろうが
エースという名の称号を手に入れた者独特の気位の高さはあった。現に鹿取がコーチをしていた頃はアドバイスなど聞くまでもないという態度に見えたし、自分など鼻にもかけていない
…少なくとも水野は斎藤に対してそういう考えを持っていた
「そんな…俺なんかの為に……」
胸部に深い傷を負っているゆえ声を出すのさえ苦しい平松は、それでも悲痛に叫ぶ。やっと事態が把握できた。
この身動き取れない重病人の自分を放っておけないと斎藤は今、わざわざこのゲームに参加してしまったのだろうと
「俺なんかの為に…ねぇ…殊勝な事を言うじゃないか。だったら俺が殺してやろうか?…お前がくたばってたらアイツのことだ、
絶望してまたおっ死んじまうかもしれないしな。…本当ならそうしてやりたいんだが…」
そんな自分の心中を見越してか、原に決して平松には手を出すなと念を押されてしまったゆえにそれも出来ないと水野は舌打ちする
「まあ、お前はいつくたばってもおかしくないけどな。その重体の身で点滴一つ打ってもらえないんだからな…。」
歪んだ笑いを浮かべて水野は平松に八つ当たりするように言葉をぶつけるが、水野は己のぶつけようのない鬱憤に
がんじがらめのせいで平松の目にみるみる生気が宿っている事に気がつかなかった
「斎藤さん…」
鉛のように重いこの体が恨めしい。こんなことを望んで自害したわけではなかった。
だが、事態はまったく想像も付かない方向に進んでしまっているのだ
…生きねばならない。自分の為に命をかける斎藤を一目会うまでは絶対に死ねないと。
これから麻酔も切れ、多大な痛みが襲おうとも傷口が開こうとも絶対に死ねないと。
命をかけてここへやって来るであろう斎藤に屍と化した自分を見せる事だけは出来ない
(生きてやる……)
平松は動けぬ体のまま強い目で天井をじっと見据えるのであった
225 :
河原・斎藤1:01/10/12 21:44 ID:GYScG/ds
「…!あれは…」
河原は思わず身を隠す。斎藤が凄い早さで走っているのを発見したからだ
「な、なんで…」
斎藤はとっくに死んだはずである。今、目の前を走る斎藤は幽霊なのか、一瞬
そう疑ってしまったがギラつくその目…殺しに酔いしれるわけでも、生にしが
みつくわけでもないその目を見るとこれは本物だと認識する。
(なぜ生きている…いや、あのアナウンスは誤報だったというのか…)
だがそんな馬鹿な話などない。そしてどうしたものかと河原は足踏みする。こ
の際、なんで生きてるのかなどどうでもいい、このゲームに参加しているだけ
で自分の敵なのだから。斎藤はあっけなく騙される口であろうが南のように自
分の手足となって役にたってくれるタイプではない
(放っておくか…そのうち誰かに殺されるだろ)
河原がそう思った時だった、ふいに斎藤は足を止め、眉をしかめながらデイ
バックを漁りだし、痛み止めを飲み干した
(へぇ…)
どうやら斎藤はかなりの医療品を所持しているらしい。薬はいくつあっても足
りない程である、河原は斎藤に利用価値を見いだすと、斎藤が止まっている隙
に先回りする。こっそりと狙ってもいいのだが万が一失敗した時にはもうあの
薬は頂けないのだ、確実性を考え、河原はあえて接触を試みた
「ヒッ…!さ、斎藤さんっ…!」
そして前方から走ってくるなりあたかも死ぬほど驚いたような声を上げた
「…!河原か…」
斎藤は警戒するように身構えたが、怯える河原を見るなり小さく笑う
「そ、そんな…アンタは死んだ筈じゃ…」
震えながら後ずさる演技をする河原は注意深くデイバックに視線を送る
(こりゃあ…かなり入ってるな…)
心の中で河原は笑う。この斎藤を殺すことなどわけはない。こんな状況でも仲
間に手を出せないような優しき人間なのだから
「…まあ色々あってな…とりあえずは生きている…」
「そ、それなら俺と一緒に行動しましょう!…あ、あんたなら絶対に裏切った
りしないはずです!」
南の時と同じように河原は衰弱しきった表情で懇願するように叫ぶ
「…悪いが俺は誰とも行動できない…やらなきゃならないことがあるんだ…」
「え…」
意外な答えが返ってきたと河原は目を見開く。自分の知っている斎藤ならばこ
うして縋られれば絶対に拒否できないはずだった
(この人もゲームに感化され変わってしまったというのか?)
だがやはり斎藤が変貌するなど考えられなかった。そしてやらねばならぬとい
う事にひっかかる
(そのやらなきゃならないことが…この人が生きているということなのか?)
河原は今にも泣きそうな顔を作り、斎藤の元に駆け寄る
「そんな!お願いですから見捨てないで下さい!…俺…俺、もう沢山です…こ
んな狂気の世界に一人きりだなんて…」
「…河原…」
斎藤の顔に同情の色が浮かぶのを見て河原は内心でほくそ笑む。やはり斎藤は
助けを求められて突っぱねることなど出来ない人間なんだと
(楽勝だな…)
あとは隙を見て斎藤を殺せばいい、予定外の獲物を歓迎する嬉しさを抑え河原
は肩を震わす
(現役時代から最後まで、本当に役にたってくれたよ)
皮肉でなく河原は思う。河原とてこの斎藤は嫌いではない、殺すのもなるべく
楽にしてやろうと考えるほどの好意はあった
「…河原…俺はやらなきゃならない事があるんだ…そんな俺に付きあわせるの
もお前に迷惑がかかるかもしれない…」
(…チャンス…か?)
斎藤は隙だらけだ。行動するなら今かもしれないと河原は後手に銃を掴む
「…待て。」
いきなりの背後からの声に河原は思わず振り返る
226 :
河原・斎藤2:01/10/12 21:47 ID:GYScG/ds
「く、桑田さん!」
「斎藤さんが困ってるだろ?仲間が欲しければ俺と来るか?」
「桑田…」
斎藤はそっと名を呼ぶ。ずっと苦楽を共にした三本柱仲間であった
桑田。裏切りを選んだ桑田…どう声をかけるべきかと視線を向ける
「あ、アンタなんて信用できるかっ!裏切り者のくせに!」
河原は突然現れた邪魔者に心底から怒りを覚えるが、それでも演技
を忘れずにわめく
「…それなら去れよ。俺も後手に銃を持つ奴は信用できないな…」
「…!」
斎藤は目を見開いて河原を見る。河原はシマッタと思わず斎藤に銃
口を向ける
「撃つ気か?それなら俺もお前を撃つぞ。」
だが、背後から桑田が自分に銃口を向けているのが分かると河原は
舌打ちして立ち上がり、桑田に銃口を向ける
「…斎藤さん、アンタも運が良いね…ま、180勝もできる人だ、そ
りゃ強運なはずだな」
「…お前は斎藤さんの後手に気がつかないのか?」
桑田が促す方を見るなり、河原は絶句する。斎藤の後手にはしっか
りと火炎瓶が握られていた。あれをこんな至近距離からぶつけられ
てはひとたまりもなかっただろう
「…強運のみで180勝できるかよ…やると決めたらやる…それがエースというもんだ…」
桑田はバツが悪そうにする斎藤の代弁をするように言った
「くそっ…!」
ここは本当に逃げるしかない。カモかと思っていたがとんでもない
食わせ者ではないかと河原は斎藤を睨みつけると、銃口を向けたま
ま一目散にその場から逃げ出した
「アンタ…河原の後手に気がついていたんだ…だったらなんで…」
「…本当に攻撃するか分からないじゃないか…もしかしたら警戒し
ているだけかもしれなかったし…」
まだ仲間を信用しようと必死なのかと桑田は首を振る
「アンタも相手の出方によってはそれを投げつける気だったんで
しょう?…本来のアンタなら攻撃されても無抵抗な筈…だが今は事
情がある…それなら徹底的に非情になるべきです。」
桑田は地面に座ったままである斎藤の隣に座りながら言う
227 :
河原・斎藤3:01/10/12 21:50 ID:GYScG/ds
「…桑田…お前はなんで俺を…」
「助ける気なんてありませんよ。あのままではアンタの持ち物が河
原に取られると思っただけです。」
すげなく答える桑田を斎藤はじっと見遣る自己中心的に見え、それ
でいて生真面目である桑田は斎藤にとっても最も大事な仲間と言っ
ても過言でなかった
「…どんな目的かは知りませんが、目的を果たすのにきれいな身の
ままでいようなんて思わない事です。ただでさえ武器が無いという
のに…」
桑田は己のデイバックからチェコ製の拳銃を斎藤に差し出す
「余ってるからあげますよ。」
「…桑田!…し、しかし…」
「殺された奴等の死体を探ってみるもんですね…結構良い武器があ
るもんですよ。まあ勿論無償であげる気なんてないですよ。」
斎藤の事だから無償では中々受け取らないことくらい察しは付いて
いたが、あえてこういう物言いをする
「アンタの医療品…そうですね、止血剤がいいな。それを貰いま
しょう」
これなら本当に必要になるかもしれないし、数も多い
「…わかった」
斎藤はやっと納得するように桑田と交換する
「さあ、もう行くといいです。アンタを狙わないのもアンタを殺し
ても敵が減るわけじゃないからなだけ。俺は生き残りたい…それが
目的です。目的の為ならどんな事でもする…裏切りも、殺しも…」
「…桑田…」
斎藤はこんな時でも名残惜しそうに桑田を見るが、それでも素早く
立ち上がると背を向けた
「…裏切りも、殺しも最低だが…お前には生き残ってほしい…」
ボソリと斎藤はつぶやくなりデイバックを背負い、振り返る事なく
凄い早さであっという間に桑田の前から姿を消して行った
「…言われなくても…絶対に生き残りますよ…」
そうつぶやきながらも桑田は河原を殺さなかった自分に舌打ちす
る。いつもの自分ならば簡単に殺せた筈だ。だが、斎藤がピンチに
なっているのを発見した瞬間にらしからぬ動揺をしてしまったのだ
(本当にあの人は…)
自分の脆い面ばかり見せつけられると苛立つ。いっそ殺意がハッキ
リ芽生えてくれれれば簡単なのだが、やはりそう上手くいくもので
はなかった
「……行くか。」
とりあえず桑田は再び斎藤の後を追うように走っていく。斎藤の後
を追ってなにがしたいのか…どうせ殺すなら斎藤を狙うものから殺
そうなどという理由はもう無理があるのも分かっていた。だがそれ
でもなぜ追おうとするのか分からぬまま桑田も斎藤を追い深い闇に
姿を消すのであった
228 :
:01/10/12 22:07 ID:HQJe0C2g
由伸、宮崎!楽しみにしてたYO!想像以上に良かった!
斎藤、水野編イイ!
映画編、桑田さんがいい味出してるネ!!
229 :
:01/10/12 22:21 ID:nsRLHPeU
またまた話が増えていたんで読むのに夢中になっちゃったYO!
宮崎・・・泣けた・・・最後の由伸にもね。もっと早く話していれば・・・か
ひ、平松がやっと!そのうえ水野コーチまでっ!やっぱ雅兄さんと
戦うのか?さらに桑田も・・・映画編といい、河原・斎藤編といいカコイイ!
映画編と河原斎藤編の桑田はちと違うみたいだけどイイ!・・・河原・・・
相変わらず悪で・・・ステキ そして桑田が雅兄さんのストーカー化してるのも
コワイがカコイイ!・・・長文感想になってスマソ。けど良い話がいっぱい
なんでつい・・・
230 :
マジ?:01/10/12 22:36 ID:L5oloyS2
えっ、松井が戻ってきたいうことは、もう燈台のシーンはカット?
誰か回想でやってくれぇ〜。
232 :
:01/10/12 23:00 ID:Wmnha7bc
>>231 なるほどー・・・今日は結構話増えたからねぇ
233 :
:01/10/12 23:06 ID:F/kF2yFA
>>231 なるほど。河原・斎藤編で桑田が斎藤に銃を渡してしまったから
桑田には傘と止血剤しかなくなったと考えればつながるかな?
個人的にはその方がドラマチックに思える(^^;
234 :
:01/10/12 23:14 ID:Wmnha7bc
>>233 桑田・・・漢すぎる・・・なんか実際でも桑田って孤高の人だけど
斎藤にだけは(清原はあくまで別物)尊敬して慕ってる気がするから
よけいにドラマに感じる。斎藤ストーカーぶりイイ!こんなカコイイストーカー
いないって!
235 :
:01/10/12 23:18 ID:X9HB.tBM
由伸編、原作のあの内容をどうアレンジするのかちょっとドキドキだったけど、
自然な流れでアレンジしてあって、面白かったヨ。
灯台シーンの順序は
>>231のように考えるってことで。
結構長い話で大変な灯台編ですが、少しずつでも誰かよろしくお願いします。
236 :
:01/10/12 23:20 ID:03G4xdFU
237 :
ぼそ…:01/10/13 00:00 ID:GNvKwquQ
入来…
238 :
:01/10/13 00:01 ID:Yx6zZdQQ
ニ岡のアソコは曲がってるらしい(右に。オナニーのやりすぎだろうな)
239 :
:01/10/13 00:29 ID:26HviEig
原作読んだことないので、完全オリジナルとして楽しんでるYO!
どの話もとても面白いです
職人のみなさん、頑張ってください
240 :
239:01/10/13 00:30 ID:26HviEig
もしかしたらageちゃまずかったんでしょうか・・・
すいません
241 :
灯台編1:01/10/13 00:41 ID:yzw7eWBg
松井の体をほぼ引き摺る様に必死に支えながら
「良かった。松井さん――本当に良かった」
そう言った二岡の目からぼろぼろと涙がこぼれて雨粒と混じった。
松井は笑ってみせたが、それから自分も泣きそうになっている事に気付いた。
死にすぎだ。――このゲームではもう人が死にすぎている。
だけど良かった。二人が無事でいて何より良かった。
二岡の声を聞きつけて川相が二人の元へ歩み寄ってくる。
すっと松井に手を差し出した。松井は一瞬その意味を測りかね――それから
了解して二岡の体越しに右手を伸ばすとその手を握った。
大きくて分厚い手だった。
「よく帰ってきたな、松井」
穏やかな声で川相が言った。
海際の方へ少し歩いた木々の間に、岩が露出して海に面した低い壁ができていた。
その場所で川相と二岡は休んでいたらしい。
はぐれる時に約束したあの場所は昼には禁止エリアになっていた。
だから、なんの連絡もなしに3人がこうしてまた会えた事はもう奇跡と
言っていいだろう。
川相が診療所から持ち出した強めの鎮痛剤をまず貰った後、松井は二人に
はぐれてからの事を話した。
清原からはなんとか逃げた事、その後坂から落ちて気を失った事。
そしてこの傷を手当てしてくれた人物達の――
あの灯台での悲しい出来事を。
242 :
灯台編2:01/10/13 00:45 ID:yzw7eWBg
松井の視界にふと白っぽい物が映った。
自分の身体感覚――体が地面に対して水平になっているというそれ――と
視覚をつなぎ合わせて松井はそれが天井だという事を認識した。
誰かがそっと松井の胸元に手を触れた。
その黒のアンダーシャツの手から腕、腕から肩へと目で追って、見た。
上野裕平(背番号29)が静かに微笑んでいるのを。
「良かった。気が付いたんですね」上野が言った。
松井はがばっと体を起こしかけたのだが途端、体のあちこちに激痛が走り
慌てて体を元に戻した。
それで、自分が柔らかいベッドの上に寝ている事がわかった。
「駄目ですよ、無理しちゃ。大怪我してるんですから。大丈夫ですか?」
上野が毛布を掛け直しながら聞いたが松井はそれに答える余裕などなかった。
首を回して辺りを見る。狭い部屋だった。自分が寝ているベッドの他にもう一つ
だけベッドが見えた。それ以外はほとんど何もない。
「――どこなんだ・・ここ?」
松井は半ばまだぼんやりとした頭で言った。上野は
「灯台です。俺達これが始まってからずっとここに隠れてたんですよ」
と穏やかな口調で言った。
「それで昨日の夜――この灯台の前崖になってるんですけど、松井さんそこから
落ちてきたんですよ。見張りしてた奴が見つけて、それでひっぱり入れたんです。
すごい怪我でしたよ。血だらけだったし。すぐにも死んじゃうかと思いました」
松井はそう言われてようやく自分の体を見た。上半身、色んな所にぐるぐると
包帯が巻きつけられていた。
左の肩口、首の右側、そして左の肘の上。さらに左脇腹。
包帯が巻かれている場所はどこも焼け付くように痛んだ。
「手当てしてくれたのか?」
「はい」上野が頷いた。
「一通りの救急セットはここに揃ってたんで。傷、ちょっと縫いましたよ。
素人のやる事なんでめちゃくちゃだし、針も糸も裁縫セットの奴ですけど・・・」
「世話かけたな、ありがとう」松井は上野に向かって言った。
「いいえ。良かったです、意識戻って。一時はもう駄目かと思ったんですよ。
松井さんずっと眠ってたし。そうですね――もう13時間くらい」
左手首の時計を見ながら上野が言った。
13時間?13時間って、そんなに?
松井は目を見開いた。今度こそ意識が完全に覚醒した。
記憶と現在がやっとかみ合ったのだ。
聞くべき事があった。真っ先に。
「二岡――二岡は?川相さんは?!」
松井はそこまで言ってごくっと唾を飲み込んだ。生きて、いるのか?
「二岡さんも川相さんも無事だと思いますよ。さっき正午の放送があった所ですけど
2人共名前は呼ばれてないですから」
松井は大きく息を吐き出した。良かった2人共無事逃げたのだ。
清原から――
243 :
灯台編3:01/10/13 00:52 ID:yzw7eWBg
清原から――
松井はそれでまたがばっと顔を上げた。「清原だ。清原がいるんだ!」
「落ち着いて下さい」上野が焦燥感の混じる松井の口調に少し驚きながら言った。
「清原さんなんですか?その怪我・・・」
「そうだ。あの人完全にやる気になってる」
「そうですか――」上野は小さく頷き、それから続けた。
「でもここは大丈夫ですよ。松井さんを別にして6人います。みんながちゃんと見張ってくれて
ますから。信用できる奴らばかりですしね」
松井は眉を持ち上げた。そういえばさっきも俺達とか見張りの奴とか言っていたが6人もいるのか。
「誰?」「李景一でしょ、川本大輔に山下浩宜、小野剛。それと根市寛貴」
松井は唇をなめた。全員上野と同じルーキーだ。話した記憶などほぼというか全くない。
「信用できないですか?俺達・・・・」松井の表情を見て上野が不安そうに聞いた。
「いや――こっちこそ助けてもらったんだ、感謝してる。もちろん信用するよ」
と、そこまで言って疑問が残った。こいつらこそなんで俺を助けてくれたんだろう。
「上野達こそ何で俺を助けた?敵かもしれないのに」
「目の前で人が死にかけてたんですよ?ほっとく訳にはいかないじゃないですか。
それに松井さんにはやっぱりみんな、尊敬ってゆうか憧れってゆうかそういう物持ってるんですよ」
「それは――ありがとう」松井は少し照れながら礼を言った。
もしこのルーキー達があのまま自分をほっておいたら間違いなく
死んでいただろう。例え見殺しにしても何の損もない自分をわざわざここに運び入れて
手当てまでしてくれた後輩たちに松井は今更ながら本当に感謝していた。
上野はほっと笑うと「そうだ」とデイパックを差し出した。
「松井さんのですよ。地図、一応チェックしておきましたから」
松井はそういえば禁止エリアの問題もあったのだと地図を開いた。
『元の場所だ、松井』川相がそう叫んだあの場所。
島の西岸、海際に近いエリアC=3は他のいくつかのエリア同様ななめに
走らせた鉛筆でざっと塗りつぶされていた。つまり、そこにはもう入れなくなったという意味だ。
松井は唇を噛んだ。二岡も川相ももうそこにいない。
「悪い。俺行かなきゃならない」一刻も早く2人の後を追う必要があった。
既にどこへ移動したかは分からなくなっていたがそれでも追いかけなければ。
痛む体を無理に動かすと「待ってください」と上野が制した。
「そんな体でどこ行こうっていうんですか。体を休めた方がいいですって」
「そうはいかないんだ。二岡と川相さんの所へ戻らないと――」
松井はなおも起き上がろうとする。
「無茶ですって!だいたい一人でどうやって探すんですか。とにかくここにいて下さい。
俺、他の奴らに話して来ます。二岡さんたちの事も相談してきますから。だから待ってください」
上野に宥められてようやく松井はベッドに体を戻した。上野が安心した様に付け加えた。
「ごはん食べれます?」言われてみれば確かに腹は減っていた。傷の為にも何か詰め込んどいた方がよさそうだった。
「じゃあ少しわけてもらえるか?体力がない感じだよ、さすがに」
「今ちょうど昼ご飯の用意してる所ですから持ってきます。シチューでいいですか?」
「シチュー?」松井は聞き返した。
「ここ食料はたっぷりあったんです。貯蔵用のレトルトとか缶詰とか。
水も固形燃料もあるから料理できるんですよ」
「それはすごい。ありがたいよ」
上野はドアの所に向かうと「悪いんですけど鍵かけますね」と言った。「え?」
「すみません。そうしないと安心しない奴がいるんです。待っててください」
それだけ言って外に出た。閉じたドアの向こうでがたがたっと音がした。かんぬきの様なものだろうか。
松井は再び無理して上半身を起こすと頭上にある窓を見た。
窓には角材が打ち付けられていたてその隙間から光が落ちていた。
もちろんこれは外からの侵入者を防ぐ為なのだろうが、今の松井には格好の監獄と言うわけだ。
松井は息をつきまたベッドに横たわった。そうした動きだけで脇腹の傷がぎりっと痛みを突き上げてきた。
244 :
:01/10/13 01:26 ID:mNJ3nhRQ
待望の灯台編が!ライターさんありがとう!
いやー本当、原作版もオリジナルも目が離せない!
…つーか入来はどこへ…仇もあぼーんされてしまったし…
245 :
:01/10/13 02:02 ID:4o8S25vc
すごい! なんか今日はすごいよ職人さんたち!
だって、先回りして書いた人がこんな感じでって順番書いてから
そんなに経ってないのに、
既に灯台編が映画編を踏まえてある!
さて誰が、半分事故とはいえ松井が西山を殺した現場を見てしまったのか。
246 :
:01/10/13 02:08 ID:2hCeNvOs
247 :
245:01/10/13 02:16 ID:4o8S25vc
いや、ネタばれも何も、西山殺されてるんですけど、随分前に。
「誰が見たか」自体も言っちゃだめでしたか?
248 :
ミナコ☆:01/10/13 02:24 ID:fbt2nnkc
249 :
:01/10/13 02:30 ID:g7zRt7/w
>>245 まあ、灯台のシーンを知らない人もいるんだし…
どういう流れに進むか分かっちゃう人には分かっちゃうから…
今度からは気を付けてね
入来は入来でも兄貴の方・・・・
*************************************
「近鉄の三澤が・・・?」
「ああ、何でも玉峰もって話だ・・・」
神宮球場グラウンドで、記者2人が話している内容の一部が、
たまたま近くを通った入来智の耳に入った。
いつもならば、それほど気にならないことだった。しかし、
弟の失踪のせいで過敏になっているのだろうか。元巨人軍の選手
たちの名に対して、彼は過剰に反応していた。
「三澤君達がどうかしたんですか?」
知らない顔ではないので、智は記者達へ声をかけた。
「あ、入来さん」
「今、三澤君達がどうとかって・・・」
「いえ、噂なんですけどね・・・。どうも三澤選手と玉峰選手が
行方不明らしいんですよ」
「行方不明・・・・」
「いや、噂ですよ、噂。ただ姿が見えないらしいですね」
「・・・」
「ただねえ、ほら、最近野球選手の動向で、色んな話があるもんだか
ら・・・」
智ははっきり言って球界の噂だとかには疎かった。仲間の世間話を
聞くことくらいはあるのだが、自分から積極的に情報を集めるような
ことは全くしなかった。
そんな彼であるから、記者がなんとなく言葉を濁している「最近の
野球選手」の情報など知らない。
しかし、それと弟のことが智の頭の中で結びつくのは簡単であった。
「例えば?」
智が記者に先を続けるよう促したときだった。
「入来さん」
不意に背後から声をかけられて吃驚して振り向くと、稲葉が笑いな
がら立っていた。
「だめですよ、こんなところで立ち話してさぼってちゃ」
「さぼってなんかないよ」
「五十嵐がキャッチボールの相手探してますから、早く行ってやって
下さいよ」
「うん・・・」
智は渋々と記者達から離れて投手達が練習している場所へ走った。
稲葉はそれを見送ると、今度は記者たちに冗談めかした口調で、
「あんまり兄やんに妙なこと聞かせないでくださいよ。大脳が考え過
ぎると、小脳に影響して動きが鈍くなるんですから」
エライ言われ様ではある。
「確かにねぇ。入来さん単純だから」
記者達は笑いながら立ち去った。
まずかったな・・・。
稲葉は腹の中で舌打ちした。
今回の合宿のメンバーには、巨人軍及びその関係者に関しての不穏な
噂については箝口令を敷いてある。が、流石に外部の記者にまではそう
はいかない。
今智の耳に入った情報は微々たるものだが、弟のことと結びつけて疑
念を抱かせるには十分だろう。
「プログラム」の存在はもちろん、球界の闇についてなぞ何も知らぬ
男だ。そう簡単に真実に思い至るわけもないが、疑念を抱かせ続けるの
はよくない。なるべく一人にはさせず、思考を中断させ続けた方が良い
だろう。
無論、いつまでもと言うわけにはいかないだろうが。「プログラム」
の終了。・・・いや、入来祐作の死が確認されるまでは。
弟が生きていて、しかもそのような異常な状況下にいると知れば、智
は何が何でも救出しようとあがくだろう。そうなれば当然連中に目を付
けられ、抹殺あるいは「プログラム」への強制参加をさせられる。
だが、もし死亡が確認されていれば。
哀しみに打ちひしがれた彼には行動を起こすだけの力など無く、その
身の安全を確保することは出来る。
それは非道く冷たい考えではあったが。稲葉の唇が苦い微笑に歪む。
(しかし、三澤君達までとはね・・・)
交渉が成立しているとはいえ、これではとても安堵は出来ない。より
直接的な防護を固めた方が良いだろう。相手が非合法な手を使ってくる
のであれば、此方も非合法な手を使わざるを得なくなるかも知れない。
稲葉は練習している投手陣の方へ目をやった。
練習中とはいえ、選手同士はふざけ合ったり楽しそうである。
高津が五十嵐にちょっかい出している。藤井と前田が何事か喋りなが
らキャッチボールしている。余り元気のない智を彼なりに心配してなの
か、ホッジスがワシワシと大きな手でその髪を引っかき回している。
しばしばスポーツ記者達に「チームメイト同士の仲が良すぎて馴れ合
っている」と評されるが。
この穏やかな風景を、失いたくはなかった。
252 :
:01/10/13 12:14 ID:D7UiMNJc
あげ
253 :
:01/10/13 16:31 ID:Z1VifZKE
亀レスだが久々に覗いてみたらすごい話が進んでてビックリ
河原、やっぱり性悪だなぁー!斎藤と河原のガチンコ対決に
なりそう・・・どっちが勝つのか?桑田も映画版も河原と斎藤編も
どっちもイイなー!
254 :
アヴェ:01/10/13 21:44 ID:FhYn9ikY
残った連中、誰と誰がどう当たるんだろう・・・
今からドキドキなんだからネ!
あと堀田。
255 :
:01/10/13 21:46 ID:.ii8H0l2
ソンミンもどーなったんだYO!
ほんと、残った連中、誰と誰が当たるんだろ…
256 :
:01/10/13 22:10 ID:hcsQTPiw
>>250-251 鉄パイプ兄が弟の身に何が起こったのか気がついちゃうんじゃないかと
思ってドキドキしているんだからネ!面白いんだよ!
こういうサイドストーリーが全体の話に厚みを持たせているのは常識なんだよ。
257 :
桑田さらに追う1:01/10/13 22:53 ID:ZKMCpG8s
とんでもないものを見てしまったぞ!
安原は頬を紅潮させて走り出す。斎藤が生きていた…それだけでも十分に驚いたが先ほどの河原とのやりあいを偶然目撃した時に見たあの医薬品の山を思い出し、その目はまたこのゲームの参加者にふさわしい狂気で爛々としたものに変わっていた
(斎藤さんのあの豹変ぶりには驚いたけどね…なに、所詮はあの人も今まで散々もてはやされてぬくぬく生きていたオイボレにすぎないんだ)
すでに安原はそうそう芽も出る事なく二軍生活のまま終えるもんだという絶望感と諦めにずっと浸っていた。そして高野と同じくこのゲームによって自分たちにチャンスさえ与えないFAという制度を憎悪するようになりまた該当する選手達にも憎悪
するようになっていた。だが、高野程にキレるのではなく、残り少なくなるまでじっと身を隠し、少なくなったら自分も殺しに参加しようというある意味嫌な冷静さのあるキレ方をしてしまったのだった。そろそろ行動しようという時に偶然にも
斎藤と河原の現場に遭遇したのだった
(こんな俺を殺すことなんていくら豹変したとはいえ無理だ)
平気で若輩者を殺そうなどという者達の予想は付いていた。由伸、清原、仁志、高野、上原、河原…そのうちの二人は既に死んでいる。安原は結構な殺害現場を見ていたのであった。とにかく息をひそめて傍観しつつ自分にとっても有利な情報を
この目で見る…ずっとそれを行っていたからであった。上原は武器庫の方、河原はたった今、斎藤から反対方向に行ってしまったばかりである。自分を間髪入れずに狙う者はとりあえずはこの付近には居ない
(チャンスだ…)
今なら斎藤の元に行き、河原のようにわざわざ演技するまでもない、背後からこっそりと狙えば済む話である。自分の将来に諦めを示してしまったものの、そこは若いだけあって背後からならどうにでもなるであろうと攻撃性の高いワルサーを
握りしめたまま安原は斎藤を追いかける
(くそっ…まだ追いつかないのか…ジジイのくせになんて足の早さだよ!)
全速力でこそないが、かなりの早さで追いかけているというのに一向に追いつかない事に安原は苛立ちを覚え
「…!」
一体何分走ったであろうか、やっとおぼろげだが斎藤の後ろ姿が見えると、安原は慌てて木陰に身を隠しつつ、ジリジリと斎藤の背後に近づいて行った
(…何か見てるみたいだけど…)
斎藤が分かれ道を前に地図を取りだし入念にルートを調べている様子を眺めながら安原は銃口を斎藤の背中に定めた
(…少し…遠いかな?いや…これ以上近づいたら気がつかれる可能性もあるな…)
ギリギリ弾丸が届く位の位置の茂みに安原は隠れつつ的を絞る
「じゃあね…斎藤さん。アンタみたいな終った選手が生きていても仕方ないでしょ?…もう一回死ぬといい」
致命傷でなくても傷さえ負えれば後はゆっくりとどめを刺せばいい、安原はうっすらと笑いながら引きがねを引こうとした
258 :
じゃがいも:01/10/13 22:54 ID:oCyHmsEI
河原純一(15)
桑田真澄(18)
上原浩治(19)
入来祐作(20)
趙成ミン(21)
川相昌弘(6)&二岡智宏(7)&松井秀喜(55)
高橋由伸(24)
清原和博(5)
清水隆行(35)
堀田一郎(44)
斎藤雅樹(11)&平松一宏(25)
二軍選手除く。
残り14人
誰かまとめて二軍選手編作って。
259 :
桑田さらに追う2:01/10/13 22:55 ID:ZKMCpG8s
「…!」
その途端、肩口にドシン、という衝撃と共に声にならない痛みを覚え、思わず安原は地面に転がる。どうやら肩の骨にヒビが入ってしまったらしい。そして同時に地面に石がコロンと落ちる。
この石を思い切りぶつけられたようだ。安原はあまりの激痛にワルサーを落とし、地面を転がるしかなかった
「…ピッチングと同じでうかつなもんだ。斎藤さんに気を取られすぎて俺にちっとも気がつかなかったみたいだな。」
「…!桑田さ…ん…」
激痛に脂汗をにじませながらやっと安原は声を出す。それを桑田は冷静に観察しながら安原のデイバックを探り出す
「それにこの位置ではいくらワルサーが強力でもかする程度にしかダメージは与えられない。…接近戦ならばお前に斎藤さんは殺せない…ふん、大したものが無いな…
まあ、これでいいか。」
桑田はアーミーナイフを取りだしながら安原の顔を覗き込む。予想外にこの小石が役にたったと
「や、やめてくれ…」
「…生きていてもその肩が痛いだけだろ。なに、すぐ楽にしてやろう…」
桑田は吐き捨てるようにつぶやくとナイフを振りかざす
「やっ…やめてくださいっ…俺はまだっ…」
言い終わらぬうちに安原の腹は桑田のナイフによって真っすぐに刺される。安原が苦痛の声を上げる間もなく2度、3度と桑田は安原の体を刺す。安原はあっという間に
息絶えると、ガクリ、と首を動かした
「これで一人殺したか…本当に…」
斎藤さんも世話がやけると桑田は苦笑する。そして安原の持っていたワルサーを拾うと安原の屍を見下ろした
「…お前のような奴がいるからね。こちらから出向かなくとも獲物がやってくる…こうして良い武器も手に入るというわけだ…」
その唯一の武器を斎藤にあげてしまった事を思い出し、桑田はさらに苦笑した。いったい自分は何をやってるのかと。桑田はナイフの血を拭うと斎藤の方を見た。
何も知らない斎藤はやっとルート確認を終えたのか再び猛スピードで森の中に消えて行った。桑田もまたそれを確認すると、付かず離れずという速度で斎藤の
後を追うのであった
松井の灯台編1まで、編集終わりました。
どう編集されたかは、保存庫に行ってみてください。チョトツカレターヨ(・∀・)
>>258 灯台ルーキーたちの分までは「現在の状況」に入れといた
増えたぞ、生き残ってる選手(w 灯台ルーキー入れたら21名。
>>257 >>259 げっ、桑田・映画編、全部入れといてヨカータ!
武器がもう無いってとこまで編集してたんで。
でもこれで灯台編が編集しやすくなったかもです。
262 :
257-259:01/10/13 23:11 ID:3NQ6o78Q
>>260 保存屋助手さんスマソ
こんなに早く編集して下さると思ってなかったんで…
いつも編集楽しみにしてます
263 :
:01/10/13 23:16 ID:hYMsG1IA
保存屋さんお疲れさま!
楽しみにしてるんで頑張ってください
264 :
:01/10/13 23:53 ID:IeLlzKm2
うはー またまた桑田がっ!斎藤、桑田ファソの俺にとっては
毎回ドキドキするよ!どうなるんだろう?
265 :
クイナ:01/10/14 00:59 ID:aP.W3Ljs
まだ登場してない選手の一覧アル。
投手・真木将樹(31)谷浩弥(38)佐藤宏志(40)酒井純也(97) 捕手・加藤健(56)原俊介(62)
内野手・十川孝富(52)山田真介(58)鈴木尚広(68)田中健太郎(91)吉村将生(93)
外野手・斎藤宣之(37)
これで全員の筈アル、ほとんどがキャラの無い奴等なので清原あたりに一気あぼーん希望アル。
266 :
:01/10/14 01:16 ID:CppnCM4w
斎藤宣之とかそれなりに一軍だったりする(失礼)んだし
どこかで使えないかな?
入来弟と堀田の行方が気になる!
あと灯台編!原作を知らないので楽しみにしてるyo!
267 :
:01/10/14 01:22 ID:15m7bH72
>>266 斎藤宣之…いたな(ごめん)斎藤対決ってのも面白いかも
268 :
:01/10/14 02:45 ID:w2sEGk02
>>267 斎藤対決…(w
その前に桑田にあぼーんされちゃいそう
269 :
:01/10/14 04:23 ID:ns71.doU
sagarisugiage
270 :
:01/10/14 10:43 ID:k9+lLrzy
271 :
:01/10/14 18:03 ID:EnKZX/4V
三沢が茂みをかきわけてごくささやかな広場へ顔を出した途端、
わさわさとあわただしい羽音を立ててかなりの数の鳥が飛び立った。
「……これは、また」
あとに残されたものを見て、三沢は思わず声に出して呟いた。
ドラ1ルーキー、阿部慎之助。
もっとも、どちらかといえば阿部だったもの、と言ったほうが近い。
あるいは鳥の餌、高蛋白高カロリー(お買い得)とか。いや、とんでもなく高いのか?
それはともかく、と三沢は阿部へじっと視線を注ぐ。
初めて見る死体ではない。もちろん玉峰以降、ということだが。
外へ出てすぐ、後頭部から短い矢を生やした江藤が転がっていた。
ただし、本部を含むエリアを10分以内に離れねば首輪がドカンだというので
じっくり眺める暇はなかった。が、今度は違う。
なにせ他の連中にどんな武器が渡っているのか把握するための数少ない手掛りだ。
ぱっと見てすぐ判るのが、中身が出ていることだった。右の手首から先も見当らない。
目玉程度はともかく、腹を割くだの腕をちぎるだのは鳥の仕業ではあり得なかった。
傷口の様子がわかるほど状態がよくないのだが(あの鳥どもめ!)、
それでも傷がかなりの広範囲に及んでいるのは明らかだ。
切腹したのでない限り刃物ではなさそうだった。散弾銃かなにかだろうか。
――こりゃあ……ハズレ武器かもな、俺の。
三沢は右手を軽く振った。そこに握られているのが支給された武器だ。
曲がった先の割れた鉄の棒――いわゆるひとつのバールのようなものというやつだ。
三沢は辺りを見回して、周囲には人の気配と阿部の荷物とどちらもないのを確認した。
――期待はできないけど、まあ念のため。
荷物を持ち去ったのが他の選手ならまず死体も改めたのだろうが、
万が一バールよりは多少なりともましな武器が残っていないとも限らない。
三沢は阿部(だったもの)の身体検査を始めた。
************************************
松井と二岡・川相の合流シーンが映画バージョンになってたんで
鳥をこっちで使わせてもらいました。勝手やってゴメソ。
そして保存屋助手さんいつもありがとうです。
272 :
:01/10/14 19:07 ID:gF9vw5p3
>>271 私なんか、もっと勝手に書いてしまったので
そんな勝手に書いて没になってよかったものまで職人の皆さんが
上手に設定を続けてくださったので、すごい恐縮です。
それと保存屋助手さんの編集もすごい!
みんな知り合いなのかとか思ってしまいました。
それで、>保存屋助手さんにまたまたすごく勝手なお願いがあるのです。
>>222の
>傘を左手に持ち、松井の右腕をなんとか自分の肩に回す。
↑これ、松井の“左”腕にしてくださいっ!このまんまだと二岡と松井がまぬけなポーズに・・・!
お手数かけてごめんなさい。これから水口スレに逝ってきます・・・エイエイ!
274 :
入来編1:01/10/14 22:55 ID:geG2Xhsb
その放送を聞いて、入来は愕然とした。
放送では、高野が死んだ事を伝えていた。
入来は、どうあれもう一度高野と戦うことになるだろうと考えていた。おそらく、それは高野も同じ事であったろう。
だが、高野は死んだ。誰かに殺されたのは間違いなかった。勿論、同情する気はさらさら無かったけれど
−出来ることなら、この俺の手で仇を−
尚成がそんな事を望みはしないだろうとは分かっていたが、それは入来の偽らざる本心だった。
しかし、最後に付け足すようにして告げられた内容は、入来にとってそれ以上に驚愕を与えた。
−三沢が、参加している?−
275 :
入来編2:01/10/14 22:56 ID:geG2Xhsb
勿論、この言い方は正しくない。参加させられたのに決まっているのだ。
一度除外したはずの仁志や上原や桑田を参加させたのと同じように。
だが、三沢は最早巨人の人間ではないのだ。その三沢が何故今−?。
決まっている。あの狂人の考えだ。あいつは、三沢を裏切り者として見たのだ−
そこまで考えて。入来の背中に悪寒が走った。
ならば。兄貴はどうなる?巨人を出た途端に、自己最多の勝利数を稼ぎ出し、ヤクルト優勝に大きく貢献した兄貴は?
勿論、あいつがそれを許すわけが無い。そうだとすると、いや、もしかするともう?
最悪の想像だった。しかし、いかにもありそうだった。だって、現に三沢は−。
「畜生ッ!!」
入来は急いで地図を取り出すと、スタート地点を確認した。勿論、そこは既に禁止エリアになっているが、その近くまではまだ行けそうだった。
行ったところで何が出来るとも思えないが、しかし差し違えてでもあの狂人だけは殺さなければならない。
それ以外に、兄貴を守る方法が有るとは思えなかった。
ふと、尚成のことが頭をかすめた。絶対に生き残る、そう約束したことも。
しかし−
・・・・済まない尚成。約束・・・・守れんかもしれん・・・・
心の中で詫びると、入来は駆けだした。あの狂人の元へと。
276 :
:01/10/14 23:49 ID:RUcI+gzt
杉山とかも出ちゃいますか?
277 :
:01/10/14 23:55 ID:1Lr/myKg
吉岡とかも出たりして?
つーか久しぶりだよ入来!
278 :
:01/10/14 23:59 ID:qSi8gwrT
石井浩郎出たら強そうだな(w
279 :
:01/10/15 00:03 ID:XcJwh8K7
入来弟、ついに勘づいちゃったか(実際兄が無事なことは知る由もないけど)
そしてあの天然の兄貴は弟の絶対絶命のピンチに気づくのか・・・?楽しみっす。
280 :
:01/10/15 00:04 ID:S5GuOdB0
うるぐす見てたら雅樹兄さんが出てたよ…吉村もな
雅樹兄さん結構厳しいんだな。来季は投手陣は地獄の特訓決定だな(w
なんか斎藤編の続きが無性に読みたくなってしまった
吉村まで出てきたりして?
>>278 強えー!!…けど戦力外通告までされてしまったのにこのゲーム参加じゃ
踏んだり蹴ったりだな…
281 :
番外編1:01/10/15 01:24 ID:2siqwW4L
「一体どう言うことですか!?」
大阪ドームのミーティングルーム・・・
2人の男が向かい合って座っている。
一方は尋常ならぬ表情で相手に何事かを問うている。
反対にもう一人の男は冷静そのもの。
「・・・いきなりどうした?」
焦るでもなくうろたえるでもなく、ただ答えたといった口調だ。
「三沢と玉峰が行方不明だってことですよ!」
「・・・ああ、そのことなら聞いているよ。大方2人とも女のところでも
行ってるんだろう。2人ともウチに来て間がないからミナミあたりで女
でもつくったかな?」
なおも激昂しかける相手に対してもう一人の男は冗談めかして答える。
だが男の目は決して笑ってはいなかった。
「女?・・・ふざけないで下さい!なぜ巨人軍から移籍してきた2人が
同時に失踪するんですか?」
詰め寄る男の声が次第に怒気を孕んだ声に変わる。
それに反して相手は何か諭すような口調で答える。
「彼らももう大人だ。大人が数日家を空けたくらいで大げさにするな。
ウチは今年優勝したからな。特に三沢は移籍ながら大車輪の活躍だった
から取材疲れとかいろいろあるんだろう。巨人から来たわけだからマスコミ
も放っておかないだろうしな。2人で何処かに旅行に行ったのかもしれん」
282 :
番外編2:01/10/15 01:26 ID:2siqwW4L
「ボクが聞きたいのはそんなことじゃない!」
あたかも相手の胸倉を掴みかねない勢いで身を乗り出す。
「2人だけじゃない。今、巨人の選手全員の居所が判らないんです。おかしいでしょう!?
マスコミも普段は巨人のネタが途切れることはないくらい選手たちに張り付いているのに
どういうわけかここ数日話題にすらならない。変だと思いませんか?」
「・・・確かに変だな。だがもう巨人はオフだ。選手各員が何処にいようと気にすることはない」
相手は努めて冷静に返答する。
が、内心穏やかではなかった。男は激昂する相手にある疑問を抱いていた。
−コイツどこかで嗅ぎ付けたか?いや簡単に露見することはないな。まあ、巨人から移籍した
過去がある以上敏感になるのも無理はないか・・・
「とぼけないで下さい!ボクはあの球団にいたからわかる・・・あの巨人という球団にはどこか
影のようなものがある。何だか胸騒ぎがするんです。あの2人はその影に飲みこまれたんじゃ
ないかって」
−やはり確証は得ていないか
相手の男は何処かで安堵感を覚えていた。
「・・・影か。そりゃあ、1番歴史のある球団だから何かしらあるだろう。でもな吉岡、今やお前は
近鉄バッファローズの顔の一人なんだ。かつて在籍したチームのことなど気にするな」
男の、吉岡の顔から怒りが消え、代りに疑いの眼差しで相手を見つめる。
「・・・では、何も知らないとおっしゃるんですね?」
「俺が何を知っていると言うんだ?巨人についてなら、お前の方が詳しいだろう?」
吉岡はふうっ、とため息をついた。顔からなにか諦めた雰囲気が漂っている。
しかし、相手に対するある種の疑念は消えることはなかった。
「・・・申し訳ありませんでした。ついカッとなってしまって・・・」
「気にするな。そんなことよりウチの第2のクリーンアップの4番はお前だ。期待しているぞ」
「・・・ありがとうございます。・・・失礼します」
・・・パタン
扉が閉まり吉岡が去る。去り際に何か寂しげな表情を浮かべて・・・
男はこころのなかで自分の言葉を反すうしていた。
−期待してるよ、お前には。
それなりの金も払った。三沢も玉峰もくれてやったがお前だけは守ったんだ。
それなりの結果は出してもらわなければ困る。時期4番候補としてもな・・・。
彼はうっすらと冷笑を浮かべながら自分の本心を言葉に出した。
「十億か・・・高い買い物にならなければ良いがな・・・」
男の名は近鉄バッファローズ梨田昌孝。
人情家で知られる彼のもう一つの顔を知る者は、いない。
283 :
:01/10/15 01:32 ID:S5GuOdB0
やはり吉岡まで!…ナシガラ悪っ!
284 :
:01/10/15 02:52 ID:f5YfNEyR
鬼・・・あんたは鬼や、なっしーv
こうして他球団に行った元Gまでも巻き込まれているのをみると
野村そらなまももう少しGを離れるのが早かったら
清原に頭撃ち抜かれずに済んだのにと思ってほろりとする
285 :
:01/10/15 06:11 ID:wl2U59Js
こうなってくると、FAで自ら出て行った駒田なんか
かなり危険なのではないかと心配してみる
286 :
:01/10/15 06:34 ID:RNoVoTMS
>285
ワラタ
そこまでさかのぼるのか(w
287 :
:01/10/15 06:45 ID:TMUuasex
あげ
288 :
:01/10/15 10:20 ID:AMwPHLPN
>>287 IDがウーアとセクースになってるYO!
入来智と祐作は5歳違いの兄弟だ。
今でこそ、弟の方が遙かに落ち着きがあって年上のようにさえ見えることが多いが、子
供の頃は智が「お兄ちゃん」として祐作の面倒を見ていたりもした。
弟は兄の行くところへはどこでもついて来たがった。子供時代5歳の年齢差による行動
可能範囲の差は大きい。兄にとって危険のない場所でも、弟にとっては危険すぎる場所も
多かった。
それでも、兄がそこにいると言うだけで祐作はなんとかしてそこへ行きつこうとしたも
のだった。
背の高い薄が生い茂る野原。
そこを突っ切れば、智がよく遊んでいる川縁に行き着ける。
まだ幼い子供にとって、自分より遙かに丈のある薄野原はジャングルにも等しく。
それでも、早く兄の所へ行きたい祐作は、躊躇わずにその中へ入っていく。
そっちに俺はいないのに。
声を張り上げて、弟の背へ呼びかける。
秋風の音に、薄のざわめきに紛れて聞こえないのか、弟は振り向かずにどんどん進んで
いく。
慌てて追いかける。
けれど、いつまで経っても追いつくことが出来ない。
声を張り上げる。
けれど、その声は届いていないのか弟は振り返らない。
だめだ、そっちへ行っちゃ
そっちに俺は居ないんだ
危ないぞ、祐ちゃん
行 っ ちゃ ダ メ だ
小さな背が、遠ざかる。
薄が揺れ、その姿を覆い隠していく・・・。
「・・・・やん・・!兄やん!」
肩を掴んで揺さぶられ、入来智は我に返った。
すぐ目の前に高津の顔があって、ぎょっとする。
「どうしちゃったんだよ、今、すっごく焦点の合わない目ぇしてたよ!?」
「あ・・・」
一気に現実が戻ってきた。
そこはヤクルトのメンバーが集まっている娯楽室で、智は練習後に高津達に誘われて来
ていた。しかし、どうにも気が乗らずに、ソファに座って漫然と、思い思いの時間を過ご
す仲間達を眺めていたのだった。
「話しかけても返事しないし、いきなり焦点の合わない目して、口を動かしてるから何か
と思ったよ!?」
「ごめん・・・」
「・・・・しっかりしてくれよ、兄やん・・・」
「・・・ごめん・・・」
心配そうに覗き込んでくる高津に、内心の動揺を悟られたくなくて智は目を伏せた。
なんでこんな事を思い出していたんだろう。
ほんの子供の頃の、些細な出来事の筈だった。今まで忘れていたほどの。
しかし、あの時と同じような、言いようのない焦燥感が智を苛んだ。
290 :
三沢編:01/10/15 11:47 ID:6tUsBCEY
禁止エリアのチェックがされた地図を見るに、行動範囲にはかなりの制限があった。
当面は禁止エリアの少ないほうへ向かうことに決めて、三沢は移動を再開した。
しばらく進んだところで、三沢は足を止めた。また死体だ。
緩い斜面の下、積もった朽ち葉を褥にして横たわっていたのは仁志敏久。
その瞼は閉じており、顔は殆ど汚れていない。髪の一部は血で固められているのに。
誰かが顔を拭い、目を閉じさせたのだ。
それはつまり、その死を確認した人間が存在することの確固たる証拠だった。
ならば阿部のとき同様収穫は望めないかもしれないな、思いながら三沢は近付いた。
死体を返すと、黒っぽく固まった血がほとんど全面を染めている。
背中に開いた三つの穴は銃によるものだろう。
向こう傷ではないのだ、らしくない気もするが、不意をうたれでもしたか。
それにしても、背中を撃って、頭を殴って。えらく入念に殺したものだ。
しかし、右脚の傷は背中と様子が違う。もっとこう、金串とかそういう感じに見えた。
荷物も見当たらないし、この上でやり合ったのかな、三沢は斜面を見上げた。
坂を登り切るとすぐ、小野仁が倒れているのが見えた。
小野の傍らには、安物なのだろう、折れたヌンチャクが投げ出されている。
そしてその向こうに、銃よりはずいぶん原始的な飛び道具――ボウガン。
三沢は身を屈め、それを拾い上げた。ざっと見たところ、壊れてはいないようだ。
予備の矢は? あたりを見回すとデイパックがすぐ見つかった。
その中には紙箱が二つ、うち一つは半分くらいしか入っていないが
もう一つは封も切っていない。もちろん中身はボウガン用の短い矢だ。
これは――ありがたい。
ボウガンが銃に劣る点のうち、危険につながるのはおそらく連射性能だけだ。
射程や破壊力も差があるが、使うのが素人で標的が生身である以上問題にはなるまい。
例えばゴルゴ13あたりがビルの屋上から車中のターゲットを狙うとかなら別だが、
このゲームの中では相互に視界のある撃ち合い以外はまずないに違いない。
だがしかし、飛び道具自体のあるなしは天地の差だ。ここで拾えたのは僥倖だった。
そして、あのアイスピック。
アイスピックならバールよりはよほど小回りがきく、接近戦であてにしやすい。
三沢は小野へ視線を戻し、その両目が抉り出されていることに気が付いた。
阿部のように鳥につつかれたわけではなさそうだ。仁志の死体も綺麗なものだったし。
小野が仁志を襲ったのだろう、手を負わせて気を抜いて、
逆襲されたというところか。はっきり言って愚かに過ぎる。
あまり見られる死に様ではなかったが、同情には値しない。
ま、同情の余地ありと判断したところで実際同情するかどうかは別の問題だったが。
ともあれ、アイスピックを拝借させていただくべく一歩踏み出した瞬間、
『皆さんこんにちは、小川光明です――』
拡声器から声が響いた。もうそんな時間だったか、と時計を見やる。なるほど正午だ。
使い勝手のいい武器が欲しかったのは確かだが、少々のんびりしすぎたかもしれない。
これで自分の存在が各選手に知れる。その前のほうがやりやすかったに決まっている。
それでもまだ、三沢には他の選手に対して圧倒的なアドバンテージがあった。
どんなに心身が強靱でも、あるいはちょっとイカれていて疲労など感じないつもりでも、
こんなふうに異常な緊張を強いられる状況下で動き回って、消耗しないはずはない。
ぎりぎりのところでものを言うのは、結局のところ体力と精神力だ。
――さて、そろそろ本腰入れて掃除にかかりますか。
三沢は胸のうちで呟いた。
291 :
:01/10/15 12:23 ID:w/CD6Lgd
入来祐作=三村編、原作では非常に重要なシーンだと思いますが…。
職人さん、大変でしょうがどうにか書いてもらえませんか…?
灯台編が全部回想される前に…。
292 :
:01/10/15 12:42 ID:iB68MwlC
>291
かなり変えなきゃ難しいんじゃないかな
フォーク武器の奴(名前度忘れ)=高橋尚成がもう死んじゃったし
飯島に当たる奴をヒリ出さなきゃならんし
飯島の設定自体はどうにかなる気はするけど
三村の作戦を入来で再現というのはちょっと・・・
だけど、三村v.s.桐山のところは確かに名作だ
あの「あんなにやったのに」っていう無情なところが
川田の「それが俺の望みだ」と並んで泣ける。光子とオタク少年も泣けるけど
293 :
:01/10/15 13:07 ID:Bw2DKwzV
入来=三村はもうキツいんじゃないかな?
入来は完全にオリジナルキャラになってるでしょ?
少なくとも入来書いてる職人さんはそういう意志だと思うよ
でもそれで良いと思う。オリジナル入来だって面白いし職人さんの自由
だしね。もう三村は別の人で考えた方がいいんじゃないかな?
三村を別の人にした方がずっと進めやすいでしょ?…書いてくれる職人さんを
求むしかないけど。我々読み手はあんまりとやかく言えないよね…
でも折角面白いオリジナル入来を無理に三村で進めて収集付かなくなるのも
怖いし…俺的には入来はもうオリジナルで進めて三村は別の人にする…の方が
いいなぁ…
294 :
:01/10/15 13:13 ID:YGGjolk1
原作っぽくても、完全オリジナルでもいいなあ、入来編は。
とにかく読みたいYO!
295 :
長島・原:01/10/15 13:20 ID:2iYq9arS
ん〜?随分とスムーズに進んでますねぇ〜」
長嶋はモニターを見ながらのんびりと答える。原はギクリと肩を揺らして振り返る
「斎藤君は勘が良いんでしょうかねぇ〜えっへっへ〜」
「…勝負師として長年やってきたわけですしね…」
自分でも間抜けな答え方をしたもんだと原は心中で呆れる。もしかしたら斎藤に地図を渡した事に気がついているかもしれない。急に斎藤の行動を見たいと言い出した時にはかなり焦ったがそれについては長嶋もどうやら責める気は無いらしい
(何を考えてるんだ…?)
かといってこのままで済む筈もない。三澤や玉峰を強制参加させた事といいこの男は狂っている、心底からこのゲームを楽しんでいる…原はゾッとするように身を震わせる
「ところで斎藤君が再びゲームに参加した事を報告しましたか?」
「いえ…」
「いけませんねぇ〜選手諸君には常に状況報告をするものでしょう〜?」
「…はい」
コーチ就任のテストなのだから今更…と原は思いつつ頷く。今ここで斎藤が再び参加した事を放送したからといって何だというのか、既に会っている者だとて居るだろうしあえて斎藤を狙おうという者も居ないはずだと
「それでは小川さんに伝えておきます。」
「あと斎藤君が莫大な数の医療品を持っている事も伝えるように。」
「…!なんですって…」
「その方が面白いですしねぇ〜」
終始にこやかに答える長嶋を原は目を見開いて眺める
「医療品の種類も細かく述べるように。怪我人も多いでしょうしこれから薬品を必要とする皆さんも多いでしょう。そういう者達を振り切ってこそ我が巨人軍の大エースでしょう〜」
「……」
狂ってる…原は心中でそうつぶやくしかなかった。ただ今は医薬品のためにわざわざ探しだして攻撃する余裕などないであろうという希望を思うしかなかった
「斎藤君は今までよくやってくれました、これからもきっと役に立つでしょう〜これは試練ですよ〜さあ、小川さんのところに向いなさい。」
「…はい。」
原は大人しく従うしかなかった
296 :
河原の憂鬱:01/10/15 13:22 ID:2iYq9arS
「…というわけでコーチ就任テストの為、斎藤雅樹投手、背番号11が新たに参加致しました。なお彼は膨大な数の医薬品を所持しております。必要ならば頑張って殺し合って下さい。斎藤選手の所持する薬は…」
小川は膨大な数を記されたメモ描きを見て多少驚くように一旦言葉を切るが、すぐに読み始める
「…止血剤30個、沈痛用注射器家庭用10個、止血用注射器家庭用10個、麻酔薬10個、解毒剤10個、抗生物質10個、青酸カリ10個…あとは…」
劇薬も含めてかなりの量であると小川は失笑しつつ残りも読み終えるのであった
余計な事をしやがって…
放送を聞くなり河原は舌打ちする。上原との対戦の時といいどうも放送にはいつも邪魔されると
「俺しか知らない筈の情報だったのに…」
これではいつ誰かに狙われるかわかったものではない。大抵の者は斎藤の存在を見て驚きが先で攻撃する暇が無いだろうと余裕を持っていたのに
「これじゃあ誰に取られるか…」
冗談ではない。医薬品も魅力であったが、今読み上げられた劇薬の方が河原にとっては魅力であった。あれらを使えば色々な罠を作る事もできるだろうし
一定の水場に仕込んでおけば一気に殺せる可能性もあった。そんな魅力の品々を他人に奪われてたまるものかと河原はたまらず立ち上がった
「急がないと…」
急いで斎藤を始末せねばならない。幸い斎藤の位置に一番近いのは自分であろう、彼はとにかく西へ向っているのも分かった。そしてやはり傷がネックなのであろう休み休み進んでいるゆえに今から全力疾走すれば先回りすることも可能だ
「先回りして…そうだ…西の方…あそこらへんは確か…」
河原は何かを思い出したようにニヤリと笑う。アレを使えば…斎藤のことだ、簡単に引っ掛かるだろうとさらに陰惨な笑みを浮かべた
「こうしている暇はないな…」
生い茂った獣道を全速力でかき進めば時間は十分にある…河原は目をギラつかせながら思いきり地面を蹴り上げるのであった
>>290 個人的に三澤の話に期待してますので頑張って下さい
298 :
:01/10/15 13:27 ID:iB68MwlC
>>297 そのコメントを見て河原タンと三沢タンが出会ってしまったら
どうなるんだろうと期待しちゃったよ(w
299 :
原作の:01/10/15 13:32 ID:gvErzY5a
三村編は中盤の山場シーンでカットするのは勿体無い話だけど
実際今から書くとなるとすごく難しいと思う。
入来=三村は辻褄あわせられないし、別の人にしようにも
もう強烈な個性の三村を演じられる人材が残ってないし。
でも、自分は書けそうもないけど、読んでみたいという矛盾があって。
誰か、書けそうならお願いします。
300 :
:01/10/15 13:40 ID:yvJH5tUC
>>298 それは凄い!(w
それに桑田まで加わったら最強だな・・・つーか斎藤雅は大丈夫なのか?
(河原タンは斎藤を狙う気満々らしいし桑田はストーカー化してるしで
このうえ三沢タンまで加わったら大変なことに!それより平松も大丈夫か?)
入来編もどうなるか気になるし(正直三村は厳しいかな?やっぱ)
目が離せないよ、ホント
301 :
291:01/10/15 14:00 ID:w/CD6Lgd
やはり三村編は厳しいか…。
書かない癖にわがままだったよ、スマソ。
無視してください、職人さんたち。
302 :
:01/10/15 14:07 ID:TYq/yEbY
>>301 三村編見たい気持ちはよく分かる。実際三村が居なかったら進まない部分も
あるしな…んー…誰か三村にあてはまる人が残ってればいいんだけどね…
入来タンは入来タンとして健闘してほしい。入来タンはオリジナルほ方が
先が読めなくて面白いし
入来の出だしがオリジナルだったからオリジナルで良いかなって
ヒサノリ殺しちゃったヨ! 申し訳無かったんだからネ!
……すみません。
304 :
:01/10/15 14:49 ID:gw7H5mSj
>>303 いやいや、高野面白かったし確かに出だしはオリジナルだったから…
こうして色んな職人さん達の話が混ざり合うのもなお面白いわけですし
気にしないでください。ゲーム設置したやつさんが高野編書いていたとは
驚きです(w
305 :
:01/10/15 16:16 ID:xlXxn3Sq
妄想だが........入来兄はチャックノリスになってもらいたい気がする。
あるいは古田らと特攻野郎Aチームで.....あるいは最後は極妻か....
はたまた新庄がヤッターマンとして...それともパンチョが車椅子
探偵として.......
306 :
護るものたち:01/10/15 16:34 ID:YGGjolk1
彼がその話を聞いたのは、「プログラム」開始から12時間後のことだった。
コーチに就任して、1年。
これから伸びていく若い選手たち。再び花を咲かせようとしている中堅選手、そしてベテランたち。
自分がこの1年見てきた選手たちが、参加者名簿に名を連ねている。
1度はエースと呼ばれた男。
このチームに在籍した年数は短いものの、球界の「闇」に関する話を知らないわけではない。
だが。
それでも、「まさか」という思いは隠せない。
自分が育ててきた選手たちが、今、選手生命のみでなく、文字通りその命を奪われようとしている現実。
否、おそらくはもう何人もの選手が野に散ったのだろう。
自分がもっと育ててやれたなら。
もっと彼らに力を与えてやれたなら、こんな事態だけは避けられたのに。
ぎり、と唇を噛み締める。
失ってなるものか。
奪われてなるものか。
選手たちをグラウンドへ戻すために。あの、球場へ還すために。
そのために、コーチはいる。そのための、存在だ。
どんな手を使っても、お前たちをグラウンドに返してやる。
阿波野秀幸(背番号75番)は、きつく拳を握り締めた。
307 :
:01/10/15 16:38 ID:DlYclro/
あ、阿波野までっ!!ゲームに参戦かっ?
斎藤といいコーチ陣頑張ってるなぁ・・・
308 :
:01/10/15 17:29 ID:yA1d7FJG
あれ?結構進んでいるな。・・・斎藤・・・大丈夫なのか?
生き残れるのか?阿波野まで参戦・・・巨人の良心達は大変だな
現在他球団所属の人間をサイドストーリーという形でなく、
プログラムそのものに放り込むなんて無茶をしたのに受け入れてくれたみなさんにはホントに感謝です。
その心意気に応えるべくさらに頑張る所存なんだからネ!
>250、274
劇中で既成事実にしてしまうという粋なはからいにシビれました。つうか、うまいです。すごいです。
>297
ありがとう! 河原(悪)も楽しみにしてますのでがんばってください。桑田に気をつけて(w
310 :
:01/10/15 23:22 ID:nziDFKs4
一杯、増えててマジ読みしちゃったYO!
やっぱり面白いネ!!
311 :
:01/10/15 23:57 ID:EzuEJhe3
みんな面白いんだからネ!俺も一気に読んじゃったよ!
いつものごとく、一気読みと各章ごとと現在の状況を更新。
灯台娘=灯台ルーキー、内海役だけ判明したんで対照表もそこだけ更新。
コーチ陣を現在の状況に入れるかどうか思案中。
今回新規参入の三沢ですが、近鉄移籍後は三“澤”ですが
元Gとして参加してるということで敢えてG時代の三“沢”のままにしてます。
三沢編書いてる職人さんも、意識してるかなと。
>映画編書いた職人さん
訂正しときました。
もひとつ。
松井帰還→松井灯台編、今まできっちりわけちゃってたんだが
どうもすわりが悪いんで職人さんが最初に書いてくれたバージョンに戻しました。
いろいろいじくって申し訳ない>灯台編の職人さん。
314 :
:01/10/16 00:13 ID:/JCERCyZ
>>312 いつもお疲れさまです
コーチ陣は…水野は参戦してないし阿波野は参戦するのかまだ
わからないし難しいですね。分かり次第お手数でしょうが
入れてみてはいかがでしょうか?
315 :
いつも楽しませてもろてます:01/10/16 00:30 ID:fnezWnSl
職人さん達と保存屋助手さんと正体高野編職人さん=ゲーム設置した奴さんお疲れ様age
316 :
:01/10/16 00:33 ID:Q/M8jmBr
保存屋助手さんの各章のタイトルも密かに楽しみです
今回の長嶋、原編のタイトルよかったです
本当シゲヲそのものでちと笑いました(w
317 :
:01/10/16 13:22 ID:Yaj67gfo
水野はなんかのうのうと生き延びそう
318 :
:01/10/16 15:14 ID:8p1lyDGJ
ていうか今日の朝日の朝刊、兄やんと三沢が(w
319 :
:01/10/16 15:30 ID:z70nzT/q
>>317 アハハ。相手がセイロクさんだしね。セイロクさんの方が心配(w
320 :
:01/10/16 17:33 ID:ai7VRSs4
>>318 なんというタイミングの・・・良いというか悪いというか
321 :
:01/10/16 17:42 ID:o5KFchxv
322 :
:01/10/16 18:37 ID:7BeNSdlr
うち新聞とってないんで大まかな内容きぼん。
サイト見たけどらしい記事はないみたい
323 :
:01/10/16 20:06 ID:iFLhoqL1
>>297 ご苦労様です!
リアルでの河原ファンなんですが
河原編、イイです。期待してます。
>>321 >>322 内容としては、ジャイアンツ日本一の時其の輪の中にいた三澤と、その年一軍
にさえあがれず解雇された兄。翌年微妙にその立場が入れ替わりヤクルトで快
進撃する兄と、トレードとなってしまった三澤。「日本一チームからあぶれた
二人がマウンド上で競い合う」というものです。
この二人、一緒にご飯食べたりしたこともあったらしいですね。再会を心待ち
にしているという書かれ方もしています。
それだけに、ここでの立場がなんと言うか・・・。(責任の一端は私か・・・)
325 :
:01/10/16 20:26 ID:zqblAYxf
阿波野どーなっちゃったんだ??結局参加すんのかなー?
>>323 俺も河原編好きです。イメージと違って悪なのがイイ!
斎藤ファソだったんで斎藤編も好きなんですけどね
326 :
阿波野書いたやつ:01/10/16 21:30 ID:Y0XqlP64
参加するよー。
>>325 ごめんねー、今書いてるとこだからー。
327 :
:01/10/16 22:32 ID:HqexyijT
>>326 やはり参加するのか!どんな感じになるんだろう?
オリジナル系だから同じオリジナルの河原、三沢、上原、桑田、斎藤等と
会っちゃったりするのかな?とか色々想像できて楽しみです
328 :
:01/10/16 23:14 ID:PQevukxQ
>324
兄やん編いつも楽しく読ませてもらってます。
こうなったらもう仕方ないでしょう(w
友情があるからこそ殺し合い・・・(んなわけない
329 :
:01/10/16 23:34 ID:LgKcu6NO
ガルベス
そういやガルベスてヤクルトの宿舎でとっつかまってからどうなった?(w
331 :
灯台編1:01/10/16 23:51 ID:wUpLj2np
灯台の家屋部分にはリビング兼キッチン、バス・トイレ、そして大小の寝室が一つずつ、それに倉庫がある。
その中のゆうに学校の教室分くらいはありそうな広いリビングのテーブルに
根市寛貴(背番号43)はぐったりと突っ伏していた。
他の5人とは違い、つい昨日までこの島を一人で逃げ回っていた疲労は一晩たってもさほど解消されなかった。
無理もない。ある事が原因で彼はほとんど眠れてもいないのだから。
上野達はこの部屋を寝室を含めた居室として使用していた。
外に見張りを立てる事は必要だったが、その他は一緒にいた方がいいと上野が判断したのだ。
根市のすぐ後ろでは、小野剛(背番号59)と山下浩宜(背番号65)が昼ご飯の準備をしていた。
一方その向こうのソファには、川本大輔(背番号92)が座っていた。
そして、このグループ最後の一人、李景一(背番号69)は灯の上で見張りを務めている。
根市自身はまだ見張りに立った事はないのだが、この灯台の後ろはすぐ海、
前面も港から続く一本道があるきりで、あとは山が迫ってるからそれ程困難な作業ではないと上野が言っていた。
その上野裕平(背番号29)は今、松井秀喜を収容した玄関からすぐの寝室にいる。
――松井秀喜を。
また少しだけ根市の中に恐怖がぶり返した。もはや一生忘れないであろうあの映像。
頭がぱかんと割れた西山一宇の顔。そこから抜き出された血染めのナタ。
そのナタを手にした男の姿――そして――
その男、松井秀喜は今、この同じ屋根の下にいるのだ。
いや、大丈夫。大丈夫だ。
根市は自分を捕らえそうになる恐怖から何とか逃れようと考えた。大丈夫。だって彼は死にかけているのだから。
目を覚ます事はないであろう傷と出血量だった。もう一度意識を取り戻すなんてありえない。
その時、誰かがポン、と根市の肩を叩いた。
小野剛が隣の椅子に腰掛けながら根市の顔を覗き込んだ。
「少しは眠れたか?」
「はい」根市は無理に笑顔を作りながらその問いに答えた。
ここにいるのはよく見知ったルーキー達ばかりだ。この6人でいる限りは大丈夫だった。
安息がここにはある。例えそれが時間切れまでのものでも。ただ――
「なあ、昨日お前が言ってた事なんだけど」小野が気まずそうに切り出した。
「ああ」根市は笑んだ。「その事ならもういいんです」
そう、もういいのだ。事実考えたくもなかった。あのシーンを思い出すだけで震えがくるのだ。
それにもう松井は二度と目を覚まさない。だから、もういい。
>>330 ホントだ(w
上原とかも高野殺したあとどーなったんだ?
333 :
灯台編2:01/10/16 23:53 ID:wUpLj2np
「そっか。ならいいんだけど」小野が複雑な笑いをした。
昨日、瀕死の松井が灯台の前で発見された時、唯一この根市だけがその収容に反対した。
松井秀喜は危険だ。そのうち皆を殺そうとする――
それでも上野が怪我人をほっとけないと、わめく根市をとりなし血まみれの松井をここへ運び入れた。
根市は青ざめた顔でそれを遠くから見守っていた。
最初は心底怯えていたものの、時間がたつにつれ何とか自分を納得させた。
確かに松井は怪我人だ。それもかなり重傷の。目を覚ます事などない、と。
顔を上げ、根市は小野に言った。「俺、どうかしてたんです、きっと。疲れてるのもあったし」
決して本心ではないが、わざわざチームの和を乱す必要もないのだ。根市は小野が安心しそうな言葉を口にした。
それで小野は少し安心した様に言った。「松井さんっていい人だよ。あんないい先輩そんないないと思う」
確かに根市も以前はそう思っていた。ちょっと変わったところはあるが、とても好感の持てる人だと。
チームの主砲を務め、これだけの人気がありながら決して奢ることはない。そんな所に憧れてもいた。
しかし――そんな事は今の根市の頭からは消えていた。
何?何言ってるんだ?いい人って誰が?
「な?だから松井さんが目を覚ましても喧嘩とかしないでくれよ」
「大丈夫。そんな事ないって」そう、目を覚ますなんてありえない。冗談じゃない。
「良かった、安心したよ」そう言うと小野は再びキッチンへと戻っていった。
ちょうどその時、ドアが開き上野が部屋へ入ってきた。そして、言った。
「松井さん目、覚ました!」
小野や山下がわあっと声をあげ、川本もソファから立ち上がった。
その中でただ一人、根市は青ざめていた。
おお、これが灯台編か・・・これから何が起こるのか楽しみだYO!
335 :
:01/10/17 00:01 ID:Hn0UNMD3
お!灯台編だね!続きが楽しみ
「ごめん、俺、ちょっと部屋戻ってるわ」
ポリポリと頭を掻きながら、入来智はソファから立ち上がった。
特に周りと話し込んでいたり、誰かと一緒にTVのバラエティを観て大笑い
していたというわけでもなかったので、「おつかれーっす」という自分のほ
うを見るでもなくかけられる声を背に、娯楽室から出た。
いつもならそのまま廊下を通って部屋に戻るのに、どうしてこの時、智は
不意に通路のつきあたりの窓を見遣って、耳をすませてしまったのだろう。
ドン・・・ドン・・・
その音は決して大きくなかったけれど、確かに聞こえた。そして、林の中に
埋もれそうな古い小屋の扉が、音と同時にほんのわずかだが揺れている。
そんな揺れが日も暮れようとしているとはいえはっきり見てとれるほど、
この小屋は古い。元は用具置き場として使われていたのだが、いまどき木造
の用具置き場もないだろうということで、もう大分前に使われなくなった。
とは、智が入団して間もなくのころ、やはりこの合宿所を使うようになって
から教えてもらっていた。現に、選手たちがこの小屋を使っているところを
智は見たことがなかったし、智自身も他の選手と一緒に別の用具置き場を使っていた。
なんで使ってもいない用具置き場の扉が揺れているんだ?
警備員を呼ぼう、という考えは、智の頭にはまったく浮かばなかった。
裏口のドアから宿舎を出て、小屋へ歩み寄る。
間違いない。小屋の扉を叩く音も、宿舎からはわずかにしか見えなかった扉の揺れも、かなり大きい。
誰か、中にいるんだろうか。
何の考えもなく・・・・・・そう、何の考えもなく、智は扉の鍵
(ちょうつがい式の簡単なものだった)を開けてしまった。
中から扉を叩いていたらしき人物が、勢い余ってまろび出る。
その人物に、智は覚えがある・・・どころではなかった。
「ガルベス!?」
なんでガルベスが、両手両足を縛られて、こんなところに転がっているんだ?
もっとも、驚いているのはガルベスも同じで、目を見開いて智を見、そして、
手ぬぐいで塞がれている口から呻き声を洩らした。
智にとってみれば、実はガルベスは恩人ともいえる人物だった。調整のため
という名目で2軍に追い払われていた乱暴者のガルベスは、巨人の2軍でく
すぶっていた自分と弟の祐作に、彼の伝家の宝刀・チェンジアップを教えて
くれた。それは確実に投手としての智と祐作の活路を広げたのだ。
どうして、という疑問よりも、可哀相に、という同情のほうが勝り、智は
ガルベスの口を塞いでいた手ぬぐいをとってやった。
ガルベスは早口で何事かまくしたてているが、いかんせん語学の心得のない
智には何が何やらさっぱりで、途方にくれた。
と。
「ゆうさく・・・・・・・・・・・・・・・」
その名前を、智は聞き逃さなかった。
「ゆうさく? 祐作!? 祐ちゃんがどうかしたのか!?」
ガルベスとて智が何を尋ねているのかはわからなかったのだろうが、弟の名
前に反応したことぐらいはわかったようだった。しきりに頷いて、また「ゆ
うさく、ゆうさく!」と繰り返している。
よくよく聞いてみると、「ゆうさく うぉん とぅ すぃーゆー」と聞こえる。
会いたがっている! 祐ちゃんが。ということは、ガルベスは祐ちゃんの
居場所を知っているのだ!
「Do you know where is Yusaku?」
英語の授業なんぞ学校でもろくすっぽ聞いていなかったが、うろおぼえの
スクールイングリッシュで智が尋ねると、ガルベスはまた深く頷いた。
ガルベスの両手両足をぎちぎちに括っていたロープを、なんとかほどいてやった。
なぜガルベスが兄の自分すら知らない弟・祐作の行方を知っているのか、
などという矛盾に気づく余裕も、ロープを解かれてほくそ笑んだガルベスの
表情の変化に気づく余裕も、智にはなかった。ただ「プリーズ、プリーズ」
と繰り返し、自分を弟の所に連れて行ってくれるように頼んだ。
にっこり笑ってガルベスは立ち上がり、智に手を差し出した。智が手を取ろうとしたその時―――――
「入来さんっ!」
まだ青さの残る声が、合宿所のほうから聞こえた。五十嵐亮太だ。
「リョータ!?」
智が驚きの声を上げ、ガルベスは強引に智の腕を掴みあげた。
「!?」
続けざまにガルベスは迷彩ジャケットに隠されていたガンホルダーから
コルトガバメントを取り出し、銃口を真っ直ぐに五十嵐へ向けた。
「ガルベス!?」
「ちくしょう、ざけんじゃねえぞっ!」
銃口が火を噴くのと、五十嵐が自分のパーカーの大きめなポケットから硬球を
取り出してガルベスめがけて160km/hの投げつけたのはほぼ同時だった。
銃弾は五十嵐の頭をかすめ、ウェーブのかかった髪を少し焦がした。
硬球はまともにガルベスの顔面を直撃し、その鼻を陥没させるに留まらず、
一時的に視力をも奪っていた。
痛みに悲鳴を上げ、思わず智の腕を放す。その隙に智は宿舎に向かって駆け
出して、五十嵐に体当たりする形でぶつかった。
「あ、す、すまん、」
「入来さん、平気?」
「ああ、ああ・・・大丈夫だけど・・・」
二人とも、両手で顔を押さえて喚き散らすガルベスを向こうに見ながら、
驚愕や恐怖といった感情を通り越して、ただただ茫然としていた。
その二人の頭上から、暢気な声が降ってきた。
「やるなあ。あれくらいコントロール効くんやったら、シーズン中にも効か
してほしかったわ」
「・・・・・・古田さん」
いまだ心ここにあらずの五十嵐の声を聞きながら、古田の右側の眉が釣りあがった。
ピ・・・ピ・・・ピ・・・・・・
それは無機質な電子音だった。聞こえてきた先は・・・ガルベスの首から。
黒のハイネックに覆われてよく見えなかったが、ガルベスの首には、まさしく
入来祐作たちが強制的に嵌められている首輪があった。
それまで顔にやっていたガルベスの両手が、首輪にかかる。顔面を砕かれた
ガルベスの表情はもはやわかるべくもなかったが、首輪を必死で取ろうとし
ている仕草から、この首輪から響く電子音のほうが顔面陥没よりも重要そう
であることは、誰の目にも明らかだった。
ピ・ピ・ピ・ピピピピピピピピ・・・・・・
電子音の感覚がせばまり、ガルベスの悲鳴がますます高く大きくなる。
次の瞬間、バシュッ! という音と、小学生が下手なリコーダーの音をめちゃ
くちゃに響かせたようなひゅるるるるという音がして、首から派手に血しぶきを
上げながらガルベスは大の字に地面に倒れ込んだ。
「あ・・・・・・・・・・・・」
倒れたガルベスの首あたりから、じわじわと血が流れ出て、地面に吸い取ら
れていく。「ほらー、車のバックファイアの音だったから、戻るべ戻るべー」
という高津の声を、智は遠くに聞いていた。
すっと、稲葉が古田のそばに歩み寄る。
「すんません、油断しました」
ここでようやく、智は事の重大性に思い至った。
兄の自分ですら知らなかった祐作の行方を、どうして去年退団したガルベス
が知っているのか? あの銃はなんだ? そして妙な首輪、ああ、よくわか
らないけど首輪がガルベスの喉元を吹っ飛ばして血が―――――
「古田さん、祐作・・・祐ちゃんは、どうなってるんだ? あんた、何をどこまで知ってる!?」
「兄やん!」
古田の喉元を締め上げようとした智を、稲葉と五十嵐が必死で止めた。
眼鏡の奥で、古田の目が光る。それだけで、智はえも言われぬ圧力を感じ、動けなくなった。
「・・・これで「なんでもない」言うても、納得するわけないな? ともかく、
中に入ろ。話はそれからや。・・・ああ、稲葉、お前油断した罰や。アレ
(と言って古田はガルベスのほうへ顎をしゃくってみせた)、始末しとけ。ええな?」
「ンッフッフー、大人しくしていればいいものを、こっちも是非とも
入来お兄ちゃんには参加してもらいたいんですがねぇ、これもいわゆる
ひとつの約束ですからねぇ、それを破っちゃいけませんよーガルベスくんー、
わたしの実入りがなくなっちゃいますー、はいー。」
本人が知るべくもない密約のことを引き合いに出して、長嶋は嬉々として首輪の
コントロールボタンを押していた指をどけ、再び現況を示すスクリーンに目をやった。
339 :
:01/10/17 03:37 ID:Gt9z9iIM
hozonn age
340 :
:01/10/17 05:40 ID:EpbW9sOk
バッファローズぢゃなくてバファローズなので置換していただきたく。
三澤、玉峰、吉岡が出てきても無視されるのか香田。
341 :
:01/10/17 06:03 ID:gsiwTIMY
長嶋・・・粘着すぎ
これで入来兄も球界の闇を知ってしまうのかよ・・・
342 :
:01/10/17 06:58 ID:EjEPWfiM
兄編いいなぁ…面白い。
これからどうなるんだろ…。
古田もどうするのかが気になるYO!
>>334 はんぎゃー!ほんぎゃー!っつう感じです、知ってる者にとっては(w
>>340 石毛モナー。
>>343 三村編と灯台編はラストのクライマックス並の興奮&衝撃だよな
345 :
:01/10/17 11:30 ID:4ilPR+00
ピロの出番は無いんでしょうか?
346 :
:01/10/17 18:21 ID:/MYeEZ8+
1日来ない間に灯台編の続きが!!
榊祐子役は根市なんだネ。楽しみにしてます。
>>345 そういえばピロ澤も元G、出番はどうだろ…
347 :
:01/10/17 18:32 ID:T7oPjv1L
しかしピロは元ヤクルトでもある(w
ちょうど身の丈より高い草影から飛び出した子供を轢くような具合だった。
三沢がその接近を知覚したときにはもう、相手は三沢の前へ姿を現す最後の一歩を
ひどく無造作に蹴ったあとだったのだ。
三沢はほとんど反射的にボウガンを構えていた。だが、即座には狙いが定まらない。
「……三沢、ッ……」
人影は銃を向けてからそう口に出し、ぴたりと動きを止めた。銃口も据えられたまま。
三沢もまた、ボウガンを向けたきり身動きが取れなくなっていた。
距離はたかだか3、4メートル。迂闊に動けば仕留めたとしても道連れにされかねない。そこまではお互い様なのだが、その先は三沢の方が不利だった。
相手は入来祐作、そこのところは構わないのだがその武器がどうにもまずい。
どこの何やら知らないが、なにしろ拳銃だった。
第一撃がどちらも決定的でなかった場合、次の一撃は確実に入来が先だ。
だがそれとは関係なく、入来と睨み合うこの状況に、三沢は奇妙な感触を覚えていた。
入来は入来でも兄のほうと戦うについては考えないでもなかった、
もちろん日本一がかかった試合のマウンドの上、という話だ。
だが、いま三沢は、そこからあまりに遠く隔たってしまっている。
それがつい昨日までのこととは到底信じられぬくらいに。
――まあ、入来さんにしてみりゃ知ったことじゃないよな。
思いながら三沢は、入来の鳩尾へ狙いを定める。
所詮は素人芸だから多少の製球難は覚悟の上で、それでもどこかしらには
当たってくれるよう、身体の真ん中を狙うのだ。
周囲にでも入来にでもなにがしかの動きがあれば射つ、
そういう態勢はもはや完全に整っていた。
「……三沢。兄貴を……、兄貴を見なかったか?」
だが入来は銃弾でなく、震える声で問いを発した。
銃を握る手からは緊張の解かれる気配もない。いつでも引き金を引ける状態のままだ。
だからなおさら、三沢には入来の意図がわからなかった。
入来智は、かつてはすぐそばにいたにせよ、今ははるか彼方の世界にいるはずなのだ。
「――いつの話ですか」
三沢はそう問いを返した。別段混ぜっ返すとかはぐらかすとか、
ましてや挑発だとかのつもりは一切なかった、ただなんとなく、
それが口から出ていただけのことなのだが。
いっそ鮮やかと言っていい勢いで、入来の眉が吊り上がった。
「決まってるだろ、このクソゲームの中でだ!」
叩きつける声にせよ表情にせよひとかけらの余裕もなく、
それはそのまま入来祐作が兄の身を案じる気持ちの切実さを物語っていた。
なるほどこれが、入来の不用心な振る舞いの原因だったのだ。
そして入来が兄の消息を知らないということは、
逆に言えば兄の方、入来智がこのゲームに放り込まれていないということだ。
途中参加があったとしたら、三沢のとき同様放送で知らされているだろう。
ずっと参加している入来がそれを聞いていないならまず間違いはない。
それは……それはどういう――?
先刻から感じていた奇妙な違和感が三沢の中で、
奇妙というよりはっきり不快な感触に変わり、じわりと広がる。
そう、考えてみれば入来智だってほとんど条件は変わらないはずなのだ。
ごく最近までは巨人にいて、移籍後は活躍できて、巨人を差し置いての優勝をして。
けれど三沢はここにいて、入来智はここにはいない。
だから、つまり、二人の現在を分けたものは――
近鉄は自分を捨てた、けれどヤクルトは入来智を守った。ただそれだけだ。
瞬間、絶望とか怒りとかそんなようなものが綯い交ぜになって三沢を捕えた。
脳天気にこのゲームに乗っていた自分に吐き気を覚える。
ボウガンの引き金に掛かった指がゆるみかけたがすぐ先程までに倍する力が篭もった。
なぜなら、――こんなところで死ねはしない。
必ず生きて還る、そして、相応の礼をしてやらねばならない。
巨人にも近鉄にもついでにヤクルトにも、あの幸せな入来智にも――
そこで三沢は気が付いた。
入来智にだけは、ここを出るのを待たなくとも、思い知らせてやる術がある。
――あんたの可愛い弟を、この手であの世へ送ってやるよ!
不必要なほどの力を込めて、三沢はボウガンの引き金を引いた。
349 :
:01/10/17 19:14 ID:hbHhdIvD
きゃーっ!きゃーっ!あんぎゃああああっ!
ってな感じなんですけど!
>>348 却って絶妙なタイミングなんじゃないですか?
正直、原作も知ってますがオリジナルも原作に負けず劣らず大盛り上がりですよ。
今となっては三沢を参加させてくれたナシガラに感謝(w
350 :
:01/10/17 19:17 ID:EdNprFpJ
>>348 ( ; ´ Д ` )ゆ、祐ちゃんは氏んでしまうのですかぁ!?
351 :
349:01/10/17 19:18 ID:hbHhdIvD
感想なのにageてしまった、スマソ・・・
三沢のボウガンに撃ち抜かれて逝ってきます・・・
352 :
兄:01/10/17 19:34 ID:3aTnsm34
むう、こんなの書いてたんですが、話に合わなくなってしまって残念。
一応発表だけはさせてくださいな。
古田はモニタを眺め続けている。いや、睨み続けていると言った方が正しい。
普段は他球団の選手のデータを分析し、球界の頭脳古田を強力にサポートしているこのPCは、
無理矢理アクセスした巨人軍プログラムのwebページを映し続けている。
リアルタイムで更新されるこのwebページは、巨人軍の選手の状況を示し続けている。
そして、古田はそのページに明らかに釘付けにされていた。人の、
それも自分と同じ野球選手の生死を賭けの対象としているこのページには吐き気を催すが、
かつて共に戦った田畑、そしてあの入来の弟が気になって仕方がなかった。
いや、見ていても仕方がない、祈ることしかできないということは自分でも良く判っていたが、
だからといって目を離すことはできなかった。特に――今は入来の弟が交戦中だ――。
「頼む、兄貴のためにも無事に帰ってきてくれ……!」
誰が聞いている訳でもない。天才捕手とは呼ばれているが……俺も馬鹿だな、
と自嘲しかけた所で古田は妙な物音を聞いた。古田は歯噛みする。
クソッ! あの狂人ども、俺まで消すつもりなんか! 俺を消してもメリットはないだろうに!
自分達の違法行為を曝け出すだけやないか! と思ったところで、だから狂人なのだ、と気付いた。
こりゃあ傑作だ。おい岩本聞いとるか、これが上方の笑いや、
などと無駄な思考をする間にも古田は何とか脱出できないか考えをめぐらす。
一応、警戒はしてある。スイッチ一つでいくつものトラップが発動するようにはしてあるが、
殺す気でかかってこられればそんなものは一時しのぎに過ぎない。
俺はあいつらの同類にはなりとうないからな。
しかし、次に聞こえてきた音、いや声は刺客の襲来よりも古田が予想していないものであった。
「入来さんっ! やめてください! ここはお通しできません!」
稲葉だ。おい稲葉、誰と話しとる。ここに居ちゃならん奴となんで話しとるんや!
通せッ! 通さないと稲葉! お前でも容赦はしないぞッ! 古田が事情を知っているんだろう!?」
間違いない。入来や……お前どうして……。
「入来さんっ! 落ち……ぐっ!」
鈍い音が聞こえた。そして何かが倒れるような音。
何が起きたかは大体想像がついた。そしてドアが開かれる。
間違いない。入来だった。右手には鉄パイプが握られている。
入来は瞬時に古田に掴み掛かる。
「どういうことだ古田! 祐作が危ないのか! 何故俺に教えてくれなかった! 何故! どうしてだ!」
普段からマウンド上でも闘志を剥き出しにする入来だが、この迫力は……
そんなものとは到底比較になりえなかった。
「入来! 入来落ちついてくれ……何の話や?」
古田は話を逸らそうとした。が、少し考えればそんなごまかしは何の意味も持たないということは彼にならわかったはずだ。
流石の天才捕手も動揺していたのだ。彼にはもっとすべきことがあった。
PCの電源を落とすべきだった。少なくとも、モニタの電源だけは。
353 :
兄:01/10/17 19:34 ID:3aTnsm34
「ふざけるな! 祐作が殺し合いをさせられているんだろう! あのクソ球団に!
そんな誰も信じられないようなデタラメを誰が言う! 祐作はどこに居るんだ!
古田お前なら助けられるんだろう!? 俺はどうすれば良い!」
古田は自分の襟首を掴んでいる入来の手をその上から掴んだ。
「落ちついてくれ! いいか、入来……」
「これか! このパソコンで作戦を練っているんだな!」
モニタの電源を落とすことが出来なかった古田は、最低、入来にモニタを見せてはいけなかった。
そして古田も最大限の努力をしたのだが、古田に押しのけられた入来は震えていた。
震え? なんで震えとんのや、まだお前の弟は……
「なあ、なあ古田? 俺は、そういう冗談は、嫌いだ、ぞ」
冗談? 古田は120度振り返って、言葉を失った。
18:34分 入来祐作、三澤に射殺さる
毒々しい赤のフォントで、モニタは確かにその文字列を表示していた。
「古田? 冗談、きついぞ……やり過ぎだ……」
入来の声はかすれていた。
古田は入来の両肩を掴むと、その問いには答えずに
「いいか……落ちついてくれ」
とだけ言った。
入来の目が一瞬大きく見開かれると、焦点のあっていないような……どこか遠くを見るような、
そんな目になった。
「ガァァァァッ!」
無理に日本語で表記すればこんなものだろうか。入来はわけのわからない叫び声をあげると、
いつの間にか再び手にしていた鉄パイプで古田の側頭部を襲った。
完全な不意打ちだった。
古田は薄れゆく意識の中で、走り去る入来の背に
「早まるな……俺ら一人一人の力で、あれは……どんもならん・・・・・・」
と、言ったつもりだったが、どうせ聞こえないし、また聞かないだろう。
ははは、球界一の頭脳も、ざまあないやん……と自嘲して、古田の意識は暗転した。
354 :
:01/10/17 20:07 ID:m5BVyJNW
祐作…逝ってしまったか?兄貴は参戦することになるのか?
ヤクルトサイドも目が離せないがジャイアンツサイドはどーなったんだろ?
ちと話が止まってる気が…ジャイアンツサイドの職人さん達も
頑張って下さい。楽しみにしてます
355 :
:01/10/17 20:11 ID:MRxvMULo
なるほど、そうつながってたのか、入来対三澤と兄やんの話…って、弟ナニゲに死んでるやん!
桑田の映画編の時みたいにうまくつなげようと解釈すると
ガルベス騒動・あぼ〜んの後に「話をする」と言いつつ自室に篭った古田に
業を煮やした兄やんが突進して鉄パイプ…キツイかな…。
で、本当に祐ちゃんは死んでもうたんかー(泣
356 :
兄:01/10/17 20:21 ID:3aTnsm34
入来兄といったら鉄パイプですから。
私のパートは無視してくださって構わないですよ。
357 :
:01/10/17 20:39 ID:chN+OEoI
一応、ガルベスの話を受けて書いたんですが・・・。どうしましょう・・・?
**************************************************
「さて・・・どう話せばいいやろな」
古田は自室へ五十嵐亮太と入来智を招き入れて言った。
「古田さん、祐作は・・・祐作は・・・」
「まあ、落ち着けや。智、お前もジャイアンツにいた人間や。あの球団が妙な球団だって
ことは知っておるやろ」
古田の言う通りではあった。
2年前、ジャイアンツに移籍してからすぐに、智は「俺はここの球団にいられない・・・
いや、いたくない」と感じた。それは競争意識の激しさやチームの雰囲気からばかりではな
い、なにかもっと、本能的な部分でどうしようもない拒否感があった。
殆ど接することのないオーナー、球界でそのカリスマ性を謳われる監督、スター揃いの選手
達、破格の年俸、限りなく整った設備・・・どれを取っても、憧れてしかるべきものだったが、
どうしても智にはジャイアンツという存在そのものに、激しい拒否反応を示していた。それは
彼が全く無意識のうちに、ジャイアンツに潜んでいるどす黒い闇の汚泥を感じ取っていたから
かも知れない。
その拒否感は実弟が同じチームにいるという事実にも緩和されることはなく、あの自由契約
を宣言されたとき、激しい屈辱と怒りの中で一抹の安堵感を抱いていたほどだった。
だが・・・そのことが今なんの意味を持っているというのだろうか?
「あそこでは数年に一回裏の行事みたいなもんがある。よう「プログラム」なんて言われてお
るがな。平たく言えば選手達によるサバイバル・ゲームや。但し、使うのは本物の武器。・・
・これがどういうことを意味するか、判るな?」
サバイバル・ゲーム。
本物の武器。
智の顔から、見る見る血の気が引いていった。
「・・・まさか・・・そんな・・・まさか・・・」
信じられない。
信じたくない。
そんな。それじゃまるで小説か映画だ。荒唐無稽に過ぎる。
けれど。
嘘だとすれば、もう少しましな嘘のつき様がある。
ならば。本当なのか。本当だと、するのなら。
「祐作は・・・祐ちゃんは・・・・」
「・・・今回のそれには、ジャイアンツの選手の全てが参加させられている」
本物の武器を使うサバイバル・ゲーム。
ゲームなんてもんじゃない。殺し合いだ、それは。
祐作は、弟は、そんなものに参加させられているというのか。
358 :
:01/10/17 20:39 ID:chN+OEoI
「どこです・・・どこなんですか!!!どこでそんなことを!!!!!」
智は叫んだ。
行かなければ。助けなければ。祐作が死んでしまう。殺されてしまう。
弟が。小さい頃、いつも自分にまとわりついていた弟が。同じ道を歩み、敵味方に別れながら
なお深い絆で結ばれ続けた弟が。
「教えてください!!知って居るんでしょう!!??祐作はどこなんです!!どこに居るんですか!!」
半狂乱で智は古田につかみかかろうとした。
「入来さん!!」
その体を五十嵐が必死で引き留める。
「知ってどうすると言うんや」
「助けに行くんです!祐作の所へ行くんです!!教えてください!祐作の所へ行かせてください!!!」
「だめや」
冷然と古田が言い放つ。
「お前を行かせるわけにはいかん。お前はうちのメンバーや。俺にはヤクルトのメンバーを守る義務があ
る」
「だったら、今俺はヤクルトを辞めます!!だから、教えてください!!祐作の所へ行くんです!」
「だめや」
眼鏡の奥で古田の目が冷たく光る。見る者を圧し、凍りつかせさえするほどの眼光だ。
「だったら・・・だったら、あいつらに直接聞きに行きます!」
あいつら、つまり、ジャイアンツのオーナーや監督のことだ。奴らなら知っている、祐作の居る場所を。
もともと深く物事を考えられない男である。増して半狂乱の今に至ってはなおのこと。己の身が危険に
なるだろうという考えなど微塵も浮かばなかった。
智はしがみついてくる五十嵐を振りきり、ドアへ突進した。
半ばぶち破るようにドアを開けて廊下へ飛び出す。
と。
力強い手が、智の腕を捕らえ引き寄せた。
「!?」
首筋に一瞬刺すような痛みを感じ、何が起きたのかさえ判らずに。智の意識は急速に闇の中へ堕ちた。
力を失って崩れ落ちる体を、いつ戻ってきていたのであろうか、稲葉が静かに抱き止めた。
359 :
:01/10/17 21:14 ID:VO4fjMKQ
ヤクルト編の方は二つ同時進行してるみたいですがお手数だと思いますが
まとめて貰った方が保存しやすいと思うのですけど…
360 :
:01/10/17 21:20 ID:chN+OEoI
やっぱり後からってまずかったですかね。ヤクルトとかの他球団はあくまで外部での
攻防にした方がいいかなと思ったんですが。
361 :
阿波野秀幸:01/10/17 21:21 ID:KZObjwJ8
「ん〜、君はこういったものには興味がないかと思ってましたよ〜」
二人の間にあるテーブルには、こっくりとした色のワインが置かれていた。
部屋の灯りが反射して、深みのある色を作り出す。
まるで作り物のように。
「コーチとしては、選手の動向1つ1つを見ておかないといけませんから」
30を過ぎても何処か幼さの残る顔の中に冷笑を浮かべ、阿波野は手を組んだ。
長嶋はワインの入ったグラスを手に、推し量るように対面してる相手−阿波野を見た。
「誰がどういった形で生き残るのか、2軍コーチだって気になりますよ」
唇の端だけを上げて笑うと、八重歯が零れる。
だが、瞳は酷薄な色を映したままだ。
「一介の指導者として、勉強になりますね、このゲームは」
「そうですか」
ぐいっとグラスをあおり、長嶋は傍らにあった受話器を取り上げた。
そして一言二言喋ると、もう一度阿波野に向き直った。
「下の部屋に原くんがいます。ん〜、詳しい状況説明は彼から受けて下さい」
「わかりました。有り難うございます」
阿波野は立ち上がり、長嶋に最敬礼した。
そのまま背を向け、部屋を辞そうとした時、不意に長嶋が呼び止めた。
「ん〜、ワインは嫌いでしたか?」
ドアのノブに手を掛けたところで振り返り、阿波野は、
「申し訳ありません。あまり得意ではないんです」
と答えた。
「そうですか」
「せっかくのご厚意、本当に申し訳ありません」
長嶋がもう行っていいと言うように視線を逸らしたので、阿波野はもう1度だけ礼をして、ドアの向こうに姿を消した。
そして、ドアを閉じる直前、再び長嶋が受話器を取り上げたのが、阿波野の視界に入っていた。
362 :
:01/10/17 22:07 ID:VO4fjMKQ
おー!久々の巨人サイドストーリー(w
阿波野もどうなっちゃうんだろうか?
>>360 俺もそう思います。他球団ストーリーはあくまで外部で…のほうが
いいと思います
363 :
:01/10/17 22:16 ID:jw6Pg+e8
>352、353
ちょっとダークでバトロワ(ア)らしくて面白かった。
展開的には確かに>357、358なんでしょうけど。
阿波野渋い。
364 :
斎藤宣之1:01/10/17 22:18 ID:c3oAUqqu
「谷っ…谷!しっかりしろっ!」
「…う…」
腹部から夥しい血を流し呻く谷浩弥を斎藤宣之は泣きそうになりながら覗き込む。このゲーム参加時
から偶然一緒になり、最初は二軍投手と仮一軍のような外野手である自分とはお互い今までロクに
話したこともなく警戒心でいっぱいであった。だが尚成と同期入団ながら中々芽の出てくれない
谷と一軍でありながら由伸と同じポジションの為に代打、代走でしか使われない自分は次第に野球に
対してさい悩んでいたというところから打ち解け、今やまるで十年来の親友みたいな感じになって
いた。そんなときにいきなりのマシンガンでの不意打ちに合ってしまった。だが二人して崖から
落ちてしまったことが幸いし何とか命だけは無事であったが谷の方は脇腹に銃弾を受けてしまった
のだった
「…くそっ…このままじゃ…」
確実に出血多量で死んでしまう。宣之は今まで悩んでいたがやがて決心するように立ち上がった
「斎藤さんを探そう…」
先程、放送で聞いた斎藤の再参加。生きていただけでも驚きであったがそんな事よりもその所持品
の方が今は重要であった
「あの人ならきっと…」
事情を話せば分けてくれるであろう。同じ姓というだけで向こうは大ベテラン、こっちはいつまで
たっても仮一軍のような選手であるため殆ど口を聞いた事もなかったが一緒のチームに居たので
ある、その人柄くらいは噂でも良く聞いていた。だが問題はどこに斎藤が居るか…であった。
もしかしたらとんでもなく遠い場所かもしれないしこの広い島で探しだすのは困難である。他選手
に自分が殺される可能性もあるし探している間に谷が死んでしまう可能性は大きい
「…谷…待っててくれ…頼むから踏ん張ってくれ…俺が戻るまで…」
だが、ここで無駄に時間を過ごすだけではそのうち谷が死ぬのは明白である。ならば助かる可能性
が少しでもある方を選ぼうと宣之は谷に声をかけた。谷は声も出すのも辛い状態であったが
なんとか頷く
「す…みません…」
「いいからしゃべるな…とにかく俺が戻るまでは絶対に耐えるんだぞ…」
宣之は立ち上がるとデイバックと唯一の武器である二丁拳銃を手に取った
365 :
斎藤宣之2:01/10/17 22:23 ID:c3oAUqqu
宣之はあてもなくただ走る。斎藤はおろか誰一人と出会わない道をひたすら進む。まったく確信
もなくただ無我夢中であった
「谷…」
谷と同じ横投げ投手であった斎藤を偶然その谷の為に探す事になった宣之は谷の言葉を思いだす
『同じ横投げなのに凄い差ですよね』
そして自分はとてもあんな投手にはなれないでしょうねと寂しく笑った谷に宣之はそんなこと
ないよ、などとは言えなかった。実際に自分が俺はずっと由伸の陰なんだろうな、アイツから
レギュラーを奪うこともないかもなと言った時に谷にそんなことないと言われても余計に
虚しくなるだけであろう、谷も分かっていたのか何も言わなかった。ここまで辛い仕事なのに
それでも野球が好きだから不安ながらも続けてこれたのだ、なのにこんな形で終わってしまう
なんてあんまりではないかと宣之は口唇を噛む
「頼むからっ…」
とにかく斎藤に会い、谷を助けたい…願いはそれだけだった。こんな惨い状況から偶然にも
芽生えた友情だった。なんとしても助けたい…ずっと奇跡など無いと思っていた、自分が
あの天才を抑えてポジションを勝ち取る奇跡など起こるはずもないし、奇跡自体が存在
しないものだと思っていた。だが今はこんな自分にも一度くらいの奇跡…この広い場所で
斎藤に会える奇跡くらい起こってくれと宣之は天を仰ぐ
「…あっ!」
思わず宣之は感嘆の声を上げる。…奇跡は存在するものなのだと。谷の居る場所から
そう遠くない獣道の入口で腹を抑えてデイバックを取りだす斎藤を発見したからであった
「斎藤さんっ!」
宣之は手に持っていた二丁拳銃を変な警戒心を持たせてはいけないと慌てて背後に隠し
持ちながら声をかける
「…宣之?」
痛みで眉をしかめながらも痛み止めを飲み干した斎藤は、宣之を見遣る。自分のゲーム
参加が既に放送されたことも、その所持品まで暴露されたことも当然知っていたゆえに
斎藤は注意深く宣之を見るが、その必死の形相になんとなく事態を察知する
「お願いですっ!薬を分けてください!」
縋る目で叫ぶ宣之に斎藤は頷く。予想通り共に行動している仲間が怪我でもしたのだろう
「…傷の具合はどうなんだ?」
「…脇腹を撃たれて…貫通してしまって…凄い、凄い血が…あれじゃもう…」
「落ち着くんだ!…弾丸が残ってるわけじゃないんだな?脇腹を貫通したか…それでも
俺達は普通の肉体と違うからな、急いで戻れば間に合う!止血止めと痛み止め、
抗生物質、消毒液を渡そう…あとは傷口を固定してじっとしてるんだ…」
斎藤はデイバックを取りだすと中を探る。宣之はやっと落ち着きその様子を眺めた
(本当に凄い数だ…いや…待てよ…)
もし斎藤に貰った薬だけでは足りなくなったらどうするのだ…宣之の頭の中は
そんな想像が巡る。またこうして斎藤を探さなくてはいけないのか、奇跡が
何度も起こるものか…と宣之は薄暗い気分になる
(冗談じゃない…また谷を置いてこんな気分を味わうかもしれないのか…?)
谷の傷は斎藤が思う以上に深い、薬が足りなくなる可能性は十分だ
(…もし…この薬を全部奪えたら…)
こんな怯えにさい悩むことはない、谷だってずっと楽になるであろう…
(ここでこの人を…)
殺めてしまえば…そんな殺意が一瞬芽生えた宣之は思わず後ろ手に
握った二丁拳銃をギュッと握り直した
366 :
:01/10/17 22:24 ID:c3oAUqqu
「…!」
その時、銃声が響いた。宣之はギョッとするように飛び上がるがふいに右肩を襲う激痛に思わずしゃがみこむ
「…ま…真澄っ!」
斎藤は宣之の背後で新しい銃を構えていた桑田に悲鳴を上げる
「…外したか…狙いを定める時間がなかったからな…」
とりあえず斎藤には当たらないようにと撃った結果、反対方向の右方に大きく逸れてしまったと桑田はつぶやく
「お前っ…」
「なんで?とか言わないでくださいよ。そいつは一瞬でもアンタに殺意を向けた…それで十分でしょう?情けを頂く者が殺意を向けた時点でもう終わりだ。」
「宣之っ!」
そんな桑田から視線を外すと斎藤は宣之に駆け寄る
「薬を…薬を下さい…」
「あ、ああ…」
斎藤は宣之の肩に止血止めを使おうとするが宣之に手を振り払われる
「俺は…いいです…桑田さんの言う通り…一瞬でもあなたに殺意を向けた…ひどいですよね…」
宣之は肩を抑えながらも斎藤から様々な薬品の入った袋を受け取る
「バチが当たったんです…斎藤さん…本当にすみませんでした…でも…俺はもう行きます…」
谷の元へ帰らねばならない、この肩口の傷など後でどうにかすればいい、一刻でも早く谷の元へ戻ろうと宣之はよろめきながらも来た道を戻り始める
「宣之っ!」
「…彼に構う暇なんてアンタにもないでしょう?」
思わず動こうとした斎藤を制するように桑田は答える。そんな桑田を斎藤はキツく睨み付けながらも首を振ると宣之を見送る。確かに今の自分には宣之に構う時間は無かった
「本当に斎藤さんは阿呆ですねぇ。あの殺気に気がつかなかったんですか?」
「真澄!」
小馬鹿にするように言う桑田に斎藤は怒号する。
「…感謝されこそすれ怒られるのはおかしいと思いますが?…アンタは雑念が多すぎます…少しでも敵意を見せた者はぶち殺す…くらいの意志が無いなら大人しく本部に戻ればいいんです。」
相変わらずの無表情で答える桑田を斎藤はバツが悪そうに見る。確かに桑田が発砲しなかったら先程の宣之はあんな動揺したままでは発砲してもロクに狙う事など出来なかったろうが、それでも怪我していた可能性はあった
「気がつかなかったわけじゃない…気がついた瞬間…」
あの殺意に気がついた瞬間、既に桑田が発砲していたのだった
「気がついても攻撃していたかどうか…まあいい。さっさと行ったらどうです?」
「お前はなんで…」
自分の後を付いてくるのか。二度も同じケースで遭遇したのだ、さすがに自分の後を追っているのだと分かった斎藤は口を開く
「あんたの後を追うか?…なんででしょうねえ…それとも大事な時間を無駄にして今ここで俺と戦いますか?」
挑戦的に笑う桑田に斎藤はなんともいえない顔つきになるが、無言のまま無防備に背を向けたまま桑田に振り返る事なく走り去ってしまった
「それが答えというわけですか…」
俺を撃てるものなら撃ってみろと言わんばかりの斎藤の態度に桑田は薄く笑う。そしてその通り発砲など出来ない自分にも失笑するのだった
「本当にさっさとここから脱出してほしいもんだ…」
本当に彼は自分の脆い面、見たくない面ばかりを実感させるとため息を付く。早く目的を達成して今の自分とは関係無い世界に行ってほしい、この見たくない面はこの状況においてはマイナスでしかないのだから
367 :
斎藤宣之4:01/10/17 22:27 ID:c3oAUqqu
「谷…」
夥しい血を肩口から流しながら、つたない足取りでなんとか宣之は谷の居る場所に近づく
「…もう少しだから…辛抱してくれよ…」
宣之は谷を隠してある茂みをかき分け、よろめく足を踏み入れる
「谷っ!貰ってきたぞ!これでもう…!…」
宣之の血の気が引く。谷は先程よりもさらに酷い状態…脇腹だけでなく体中のあちこちに弾丸を受け横たわっていた
「なっ…!」
「…か…ゆきさん…」
もはや風前の灯といった状態で谷は声を出す
「やられ…ちゃったよ…何発もぶち込まれた…けど…はは…心臓だけは外した…みたい…」
「谷っ!誰がっ…こんなっ…」
「清原…さん…さっきも…そうだと思う…後を追って来たんだろうね…」
「清原さんがっ…」
宣之は涙を流しながら谷の顔を覗き込んだ
「……もう…駄目…だ…でも…最後に宣之さんに会えて…沢山話せて…よかっ…」
最後の言葉を発することなく谷はガクリと首を擡げる
「谷っ!谷っ…!…こんなことが…あ…」
宣之はきつく目を閉じた谷の身体を揺さぶると声にならない叫び声を上げると、ひたすら泣き叫んだ。長い、長い時間の間、宣之は泣き叫ぶ。そしてもう
泣く気力さえなくなった宣之は谷の横に座ったまま後の木にもたれ掛かった。相変らず出血は酷くすでに上半身の半分以上を真っ赤に染め上げているが
それでも呆然と座ったままであった
「結局…」
俺には、そして谷にも奇跡は起こらなかったんだなあと宣之は小さく笑う。出血多量の為うっすら霞掛かった視界ももうどうでもいい事であった。
だが、これだけはやらねばと斎藤から貰った医薬品の袋を地面に置き、火を付けた。狂人共にこれを残すわけにはいかない、そして自分もこれは
使えない…僅かでも斎藤に殺意を抱き、結局谷を見殺しにしてしまう形になった自分に使う権利は無いのだと
「…谷。」
炎で照らされた谷の遺体をぼんやりながめながら宣之は目を閉じる。視界だけでなくとうとう意識も霞んできた…このまま意識を手放して
しまえばもう二度と目を覚ます事はないだろう…それでも宣之は瞳を閉じたままであった
そして炎が消えると同時に宣之の意識も消えていってしまった
368 :
:01/10/17 22:28 ID:IBOOE78Q
>>366 >>桑田のストーカーっぷり(・∀・)イイ!
369 :
:01/10/17 22:32 ID:IWS2uYDd
370 :
:01/10/17 22:53 ID:S5UPrLIX
>>364-367 ・・・泣いた。宣之・・・
桑田のストーカーぶりも健在ですでに斎藤のじいや化してるのがイイ!
こうなったらとことんストーキングしてほしいな
371 :
趙・水野:01/10/17 23:43 ID:xL9LFfeR
ガタン、と。
扉の開く音が平松と水野の耳に聞こえた。
「…!まさか斎藤さん・・・」
水野は無言で立ちあがり廊下へと出ていく。が、斎藤の姿は見えない
「おーい。斎藤出て来いよー。いいかげん待ちくたびれたよ。平松はここガッ・・・!!」
水野の胴体に激痛が走る、と同時に趙が姿を現した。
「斎藤?平松?水野さん・・・どういうことですか?」
「趙か・・・。いきなり撃つとはやってくれるな・・・。」
「質問に答えろよ・・・。」
趙はもう一発、水野の胴体に撃ちこむ。
「・・・ぐっっ!!」
「安心してください。この銃、威力弱いっすから。で、どういうことですか?彼らは死んだはずでしょう。」
「・・・わかった。話すからとりあえず銃をしまってくれ・・・。」
「嫌ですね。さ、教えてください。話したらもう撃ちませんよ。」
無論、趙にそのつもりは無い。話を聞いたら水野を殺すつもりなのだが。
趙からすれば好奇心がわいた、それだけである。
話したところで殺されることは、水野にもよくわかった。
が、今はスキがない。銃は水野の後ろのポケットに突っ込んである。
「わかった。実は―――」
「へえ〜。斎藤さんが・・・。それにくらべ、水野さんクビっすか。情けないっすねぇ。」
「クッ・・・!!」
水野は言い返せない。というのも言い返す前に銃で撃たれるのは目に見えている。
それに水野は、話しをしているうちに、後手で銃を掴むことに成功していた。
(我慢だ・・・!ここで焦る必要は無い。見てろ・・・。お前が偉そうにできるのも今のうちだ・・・)
「で、これで話しは終わりですか?」
「ああ・・・。」
趙が水野へと銃口を向ける。
「話してくれてありがとうございます。感謝の印に苦しまないように殺してあげますよ。」
「そんな!約束が違う!」
「約束?覚えてないな〜。」
趙は両手でヤレヤレ、という動作をしながらとぼけた振りをしながら言い放つ。
(今だ!貰った!)
そんな油断した趙を見て、水野は素早く銃を取り出し、趙に銃口を向けようとした。
が、それより早く、趙の腕が水野の右手首を掴み、趙の銃口が水野の眉間に当てられていた。
(まさか、読まれていた!?)
「ぐっ・・・!貴様・・・。」
趙は水野を嘲笑い、言い放つ。
「オレが気付かないとでも思ったんすか、水野さん?・・・・じゃ、さ・よ・う・な・ら」
372 :
趙・水野:01/10/17 23:43 ID:xL9LFfeR
ピピピピピピピピピ・・・・・・
水野が覚悟を決めた時。
趙の首輪から、明らかに危険音と思われる。無機質な音が聞こえ始めた。
「お、おい! なんだよこれ!」
趙は今の状況を上手く受け入れられずに首輪を確認している。
水野は趙の首輪から赤い光が出てのが解かった。
趙も状況を理解した。この警告音は首輪から出ている、つまり――爆破されるかもしれない。
「てめえ!何しやがった!コレを解除しろ!」
「し、知らない本当だ!」
「嘘をつくな!お前以外に誰がっ・・・!!」
趙の声は、警告音が鳴り止むと同時に、一つの破裂音と入れ替わりにかき消された。
その声を発する口は空いたまま、動かなくなった。首輪と同時に消えた喉からかすかに息が漏れた。
・・・それは声と表していいのかもわからない音だった。
趙が倒れると、水野はその後ろに人影を確認することができた。
「よお、水野。無事だったか?」
「か、鹿取さん!どうして・・・」
鹿取は笑いながら続ける。
「いや〜、監督からの命令でな。お前が斎藤と会う前に死ぬのはおもしろくないからな〜。
それにしても情けないぞ?平松を監視しろといったはずだが、このザマか。
そんなんだからお前は解雇されちまうんだよ。」
「ぐっ・・・。」
(・・・耐えろ!耐えるんだ!)
我慢を続ける水野に、なおも鹿取は愉快げに続ける。
「まあ、オレは斎藤がコーチになった方がいいんだけどな。
つーかお前に残って欲しい奴なんているか疑問だな。おっと失礼。くくく・・・。」
もう水野は限界だろう。趙にまでバカにされ、鹿取にもここまで言われては。
(・・・ふざけやがって!ぶっ殺してやる!)
銃を鹿取に向けようとした、その時、携帯の音が廊下に鳴り響いた。
「もしもし。あ、監督ですか。・・・・・ええ、あ、分かりました。」
「水野・・・。斎藤がそろそろ着くらしい。俺は邪魔になるから帰るわ。」
鹿取は水野に背を向け、帰ろうとする。
が、ここでついに水野の怒りが爆発した。銃口を鹿取の背中に向け、叫ぶ。
「ふざけるな!散々バカにしやがって!このまま帰れると思うな!」
しかし。鹿取は振りかえらずに言葉を返す。
「そうだ、その意気だ。せいぜい楽しませてくれよ?それと、安全装置は外しておけ。なんのための銃だかわからんからな。」
水野は慌てて自分の銃を確認する。・・・安全装置は掛かったままだ。
安全装置を外した時には、鹿取の姿は無くなっていた。
(・・・くそっ!恥をかかせやがって・・・!・・・全ては斎藤を殺せば・・・。やる、オレはやってやる!だが冷静にだ・・・!もう失敗は繰り返さない・・・!)
水野にもう迷いは無い。水野は斎藤を血祭りにした自分の姿を想像し、笑みを浮かべた。
373 :
:01/10/17 23:56 ID:LmVRqOe5
踏んだり蹴ったりの水野イイ!
てかとうとう趙が死んだか…爆死…
どんな対決になるのか?
…斎藤宣之編、一つ題名が無記入でした…鬱田氏脳…
>>372 俺以外にも水野書く方がいるとは(w ちょっと嬉しいです
それよりソンミン爆死!?阿波野とは反比例のコーチって感じでイイ!
ソンミンは死亡ってことで・・・
>>372 そのうち殺そうとおもってたら、いろんなキャラが使われてしまって
結局ほとんど誰とも絡んでない水野になってしまった(w
376 :
:01/10/18 01:20 ID:TRRWNrvh
>>375 ソンミン書いた方だったんですね。なるほど。爆死なんてカコイイ逝きかた(w
これで韓国トリオも…
>>374 氏なれちゃ困る。斎藤編はどーなるんだか気になります。
個人的に阿波野とちらとでも会って欲しいんだが書いてる方違うもんなぁ…
ストーカー桑田にも期待大です
カチューシャ使ってるわけでもないのに最新発言50のとこにブクマつけてるが、
スレ1の時はともかくこのスレになってから未読レスが50超えてたのははじめてだった(w
懸案のヤクルト編ですが
ガルベス絶命編→三沢v.s.入来編→古田が入来兄に説明編
でまとめ、入来兄・鉄パイプで古田襲撃は別バージョンに保存したんだが、どうだろうか?
三沢v.s.入来編書いた職人さんと、入来兄襲撃編書いた職人さんは
ストーリーからいっても同じ人かと勝手に判断して、
これならガルベス書いた職人さん、説明編書いた職人さん(書き癖から判断するしかないが
このお二人は別人と思われ)の話も生かせてOKかと思ったんだが…
ハゲしく勘違いならスマソ。>三沢v.s.入来編書いた職人さんと入来兄襲撃編書いた職人さん。
どうも頭悪くて、どっちが「他球団が関わってない」流れなのかわからんのだ。
「バファローズ」は訂正しておきました。迂闊だった…気づいたら修正するようにしてるんだが。
まるで太陽にほえろ!のヤマさんのように現れる桑田。
そんで谷を再襲撃したってことは、清原も近くにいる可能性が?
そして灯台編!役割がはっきりしてきた…けど更新もう限界なんで、
あぼーんされた人・キャストの更新はまた明日以降ということで。
一気読み、もう400KB間近です。
378 :
:01/10/18 02:28 ID:A4r7O1jX
>>377 いつもごくろうさんです。桑田…ヤマさんか…おお、そう考えれば
清原が近くに!?
379 :
:01/10/18 03:41 ID:qLLzRfFO
>>377 本当にお疲れ様です。
これも職人さん達の素晴らしいテキストあっての事でしょうが
丁寧かつカコイイ編集っぷりには頭が下がります。
380 :
あ:01/10/18 06:46 ID:++m4p1HO
>>377 ほんとーにいつもご苦労さまです。
素晴らしい編集、いつも楽しみにしてます!
職人さんたちもありがとです。
続きが気になるううう。
ほとんどなんの表情もなく、三沢はこちらへボウガンを向けていた。
こちらの問いにはまだ答えが返ってきていない。
入来は銃口を据えたまま、三沢を睨みつけていた。
三沢がやたらにゆっくりと、そして深く息を吸い込んだのがわかる。
その様子は、入来の目には動揺を鎮めたがっている風に見えた。
三沢は大きく吸い込んだ息をしかし短くひとつ吐いた。来る、入来はそう直感した。
こっちが撃ったところでどうせ矢は飛んでくるのだ、それなら!
意を決して入来は思い切り地を蹴り、身体を前へ倒した。
ヘッドスライディングなんてずいぶん久しぶりだが、文句のない出来映えだった。
三沢の両足をすくい上げて、一緒くたに地面へ転がる。
がしゃんと音がして、ボウガンが投げ出されたことがわかった。
入来はそのまま三沢へ馬乗りになり、右手の銃を三沢の額に押しつける。
三沢が目を剥いた。入来が引き金を引くより先に、三沢の両手が銃へ伸びる。
手首を横へ引っ張られ、またしてももつれ合って転がった。その拍子に、手から銃が離れる。
それを拾う余裕はなかった、なぜなら今度は三沢が上になったからだ。
「こ、の……ッ!」
三沢は呻いて、そして入来の首へ両手を押しつけてきた。
絞めるというより潰すかたちで気道を圧迫され、入来は喘いだ。
のしかかる重みをはねのけられず、焦りだけが増していく。
兄の笑顔が――遠ざかる。苦しさのためばかりでなく、涙が滲んだ。
しかし不意に、入来の脳裏を兄のではなく別の笑顔がよぎった。
――高橋尚成。
それは入来に、ポケットに入れていたもうひとつの武器を、
そして尚成にした約束を思い出させた。
守れないかも知れない約束、しかし、守るつもりがないわけでは毛頭なかった。
もっと大切なことのためには破ることも仕方がないが、しかし今は――
こんなところで命を捨てるわけにはゆかないのだ。
――ヒサ! 力を貸してくれ!
胸中で叫びながら、入来はフォークを握った。間髪入れず、三沢の喉めがけて突き上げる。
だがわずかに早く、三沢は右手を入来の首から離し、
伸び上がるようにしてその腕を伸ばしていた。ためにフォークは狙いを逸した。
がつん、という衝撃。骨に当たったのだ、手に痺れが来たがなんとか支えた。
だが、それがどうした。肉が裂ける手応えは伝わってきた――
が、とても仕留めるには届かない傷なのは間違いない。
最悪だった。
三沢の口元がひきつれるように歪む。同時に入来は額に冷たい感触を覚えた。
三沢は入来の落とした銃を拾っていた、そして引き金を。
――兄ちゃん!
それを最後に、入来祐作の意識は途切れた。
382 :
三沢書いてる奴(保守age込):01/10/18 13:11 ID:juCS+Vjg
ヤクルト関連の混乱、責任の一端は当方にござりますです。すみません。
ここまで書いてから
>>348をアプすればもっと状況はましだったのではないかと。
あとは入来弟書いておられる職人さんにバトンタッチさ、なんて無責任なことを考えなければ……鬱だ氏農。
>保存屋助手さん
いつもありがとうございます。
鬱ついでにひとつこちとらの誤変換を発見したので訂正をお願いいたします。
116章、誤「製球難」→正「制球難」です。
製球難ってなんだボール不足か? 鬱。
ちなみに当方入来兄編はノータッチであります。
383 :
:01/10/18 13:11 ID:SgWlLc2N
あああっ!とうとう弟がっ…!!
涙しつつ下がりすぎなのでage…
一番混乱させてしまったのは私でしょうか。ついガルベス絶命編が凄くて、
どうしても関連させたかったものですから。
とうとう弟が。どうやって兄に知らせようか・・・。
というか私がアップしなければ良かっただけのような気も(w;
あれですよあのパートは無視してくださいな
386 :
:01/10/18 15:51 ID:MTKp/JUa
>>382 涙・・・・
その話、入来弟の夢だったって事にならん?
387 :
:01/10/18 16:03 ID:MTKp/JUa
>>382 原作知らん俺は松井より入来の方が主人公としてふさわしいと思ってるよ、
____
| |
| 入 |
| 来 |
| 祐 |
| 作 |
| 之 |
__| 墓 |__ みんな墓参りしろよ。
388 :
:01/10/18 16:13 ID:Tqr9gFiP
「引き金を」で止まってるのが気になる。
引いたのか引いてないのか。まだわからんで〜〜。
389 :
:01/10/18 16:25 ID:qFdKkwf+
>>386 そんな・・・そんな車田○美の漫画みたいなこと(泣
390 :
:01/10/18 16:27 ID:bN+E7x89
そうそう!まだ死んだのかどうなのかはわかんないよ!気絶しただけかも!
入来編あんだけ引っ張ったんだから、あんなに死に際があっさりしてるわけない!
…と期待してみる…。
391 :
:01/10/18 16:41 ID:MTKp/JUa
稲葉の手には暴徒鎮圧用の麻酔銃の一種があった。万一のためと渡されていたあま
り使いたい代物ではなかったが、仕方がない。
少し遅れて五十嵐が飛び出してくる。
「稲葉さん!・・・入来さんは!?」
「眠らせただけだ。効果はしばらく続く・・・」
「可哀想なコトしてもうたな」
古田が呟くように言う。
「・・・俺の責任です」
僅かな隙のことだった。ほんの少し、目を離した隙に智はガルベスを閉じこめた小
屋へ行ってしまっていた。自分が油断しなければ、いつものようについていれば、避
けられた事態だった。もし五十嵐が気が付いて追っていなかったら・・・。
「あんまり自分を責めんでええ。いずれはなんかの形で弟のことは知らせにゃならん
かった。
・・・あれはどうした?随分早かったやん」
あれ、と言うのがガルベスの死体であることに五十嵐が気が付くのに、少しかかっ
た。
「すでに準備はしておきましたので、物を入れるだけでしたから」
さらっと稲葉は言ったが、それでは既にガルベスを始末するくらいのつもりではい
たかのようだ。
用意がええな、と言わんばかりに軽く肩をすくめる古田と、殆ど表情を変えない稲
葉を見比べ、五十嵐はふっとうそ寒さを感じた。
393 :
:01/10/18 17:05 ID:fBmlcCBR
数日前に、「入来の兄やんがジャイアンツの連中に逆恨みをされている」と聞いた
ときは何のことかと思った。「万一のためだ、出来るだけ、兄やんについていてやっ
てくれ」と言われたとき、なんだかゲームみたいだと思いさえした。だから、少し面
白く思ってさえいた。映画のボディガード?なんて感じで。
だが、ガルベスの銃は本物だった。僅かに焦げた髪がそれを証明している。あの時
は捕らわれていた智を助け出すという一心であの直球を放ったが。もし、遅れていた
ら自分は死んでいただろうし、智も・・・。
それに、「プログラム」の話。あれはいったいなんなのか。ジャイアンツの選手同
士の殺し合い?なんでそんな事を?無茶苦茶な話だ。
五十嵐は混乱した。ガルベス。本物の銃。プログラム。殺し合い。
なによりも、俺は今、何を見て居るんだろうか。
平然と、死体の始末のことを、まるでゴミでも片づけたかのように喋っている二人の
先輩。ぐったりと目を閉じ、まるで死んだように眠らされている智。
異常な光景であった。
やがて、稲葉が智の体を抱き上げた。
「・・・部屋へ連れて行っておきます」
「待てや。智は最上階の部屋に移す」
古田が稲葉へ鍵を渡した。
「真ん中の部屋や。あそこやったら足がかりもないから、窓から逃げ出す言うのも出
来んやろ。鍵は付け替えて中からも鍵無しで開かんようにしてある」
稲葉は鍵を受け取り、頷いた。
「入来さんをどうするんですか?」
五十嵐は思わず聞いた。
「話は聞いたやろ?・・・しばらく智は外へ一歩も出せん。お前にも協力してもらわな
ならんやろな。
まあ、まだ気が落ち着いとらんな。ゆっくりして来ぃや」
五十嵐は呆然と、部屋へ戻る古田と、智を抱き上げて去る稲葉を交互に見た。
変だよ、こんなの。なんだかおかしいよ。
さっき聞いた話から、ジャイアンツでとんでもないことが起きていることは判る。
古田さんや稲葉さんが、入来の兄やんをそれから守ろうとしてることも判る。
けれど。
そのために、ジャイアンツの選手を見捨て。
入来さんの弟を見捨て。
人の死体をまるでゴミか何かのように扱い。
守ろうとする入来さん自身さえも。
理屈は判るのだけれども。
けれど、何か、普通ではない。
・・・・なんだ。
ここだって、同じだ。
五十嵐の顔に、昏い笑みが浮かんだ。
ここにも闇は潜んでいる。
394 :
:01/10/18 17:15 ID:Tqr9gFiP
い、いがらしー……。
…強く生きろよ。
395 :
__:01/10/18 18:03 ID:SBcR0siy
さっき大阪ドームに近鉄の公開練習を見に行って三澤を見たばかりだから
なんとも言えない気持ち・・・・・。
にこにこして走ってたのに〜。
入来弟をやっちゃったのか!?
左肩が痛い。痛いが、かすり傷だ。鎖骨に当たらなかったら、危なかったかもしれないが。
引き抜いたフォークを捨てて、三沢はどっこらしょ、と立ち上がった。
身動き一つしない入来祐作を見下ろす。
「……しかし、ここで気絶するかね」
疲れているのはわかるが、少々タイミングが良すぎはしないか。
もっともこちらにとっても好都合だったので文句を言うつもりにはならないが。
三沢は引き金を引かなかった。
入来智が今からでも、このゲームに放り込まれる可能性がゼロでないことに気がついたのだ。
どころか、あの狂人どものことだ、そうしない可能性の方こそむしろゼロだろう。
ヤクルトにはあの古田がいる。
だから少々手間取っているのだろうが……だが、待っていれば必ず入来智はここへ現れる。
ならば――目の前で殺してやるほうがよっぽど面白いだろう。そう考えたのだ。
右手の銃をベルトに挟み、三沢は入来のデイパックを拾い上げた。
入っていた弾丸を失敬して、入来の隣へ戻す。ついでにフォークをその上へ。
――フォーク一本じゃあんまりか、大魔神じゃあるまいし。
第一、入来智の到着を待たずに死なれてはつまらない。
少し考えて、三沢はボウガンと使いかけたほうの矢の箱を並べて置いた。
悪い取引ではないはずだ。なにせこちらはかすり傷とはいえ痛い思いをしたのだし。
入れるものを入れ終え、三沢は自分のデイパックを背負った。
「さて……」
呟いて三沢は左肩をぐるぐる回した。問題なく動く。この程度で済んで幸いだった。
入来智がやってくるまでは、時間切れを防ぐために適当に殺して回らねばならないだろう。
もう大した人数は残っていないはずだ、それなりに手間ではある。
そういえば先ほどの放送で斎藤雅樹が薬を持ってどうこうと言っていた。
探してみるのも悪くないかもしれない。
別に薬は要らないが、そうする奴は多いだろうから、それを殺せば時間が稼げる。
だが、とりあえず今は。
「……起きるまでは、守っててあげますよ」
祐作へそう囁いて、三沢はすこし離れた茂みへ歩き出した。
398 :
:01/10/18 20:37 ID:gunHew0y
>>396 よかった…
雅樹兄さんとハチ合わせるのか?っつーことは桑田や河原とも!?
弟も三沢も目が離せないYO!
399 :
:01/10/18 21:23 ID:FxCalbCu
>>398 斎藤タンの周りは血の海になりそうだネ!阿波野タンの行方も気になる
前レスでもあったけど、本編と関係ないとこでいいからコーチ同士
会って欲しいんだからネ!
入来…生きてたよー!!よかった!!
400 :
:01/10/18 21:40 ID:10sW3pEL
なんかついに全員が絡んできたな・・・ハァハァ
これからも頑張ってください
401 :
:01/10/18 22:24 ID:bP+JUt85
松井の影が薄い・・・。
402 :
:01/10/18 22:28 ID:joXGgB+w
403 :
:01/10/18 23:16 ID:3vWe19LE
>>402 そだね…ヤクルトや入来や斎藤あたりのオリジナルが
盛り上がってるからね…けど灯台編も続きが凄い気になるし
頑張って>松井
404 :
:01/10/18 23:22 ID:HJqrMv+i
ガルベス絶命編書いた奴です。
すみません、「そういえばガルベスどーなった」って書き込み見て
自分も「そういえば…」と考えたらぶわわわわ〜っと、書いた通りの光景が
一気に脳裏に広がって、そのまま考えなしに書き散らしてしまいました。書
くのにかかった時間、正味一時間も…ないよなあ、多分。それくらい一気書
き?でした。
どっちかって言うと、入来兄編というよりはガルベス編というのを意識して
書いたつもりだったです。それから、映画の国信と首輪のシーンが強烈だっ
たのと、つかこうへいの『長嶋茂雄殺人事件』で江夏と1001がシゲヲの
頭を狙って時速160キロの球を投げてたシーンがあって、あれやりてーなー、
と、それだけだったんですが、ヤクルト関係の話書いてた職人の皆さんを混乱
させてしまって申し訳ないです。しかも誤変換と脱字があるし。
>保存屋助手さん
自分の為に編集作業がぐちゃぐちゃになってすみません
訂正がきくようなら、
>取り出してガルベスめがけて160km/hの投げつけたのはほぼ同時だった。
を、「160km/hの直球を」に
>電子音の感覚がせばまり
を、「電子音の間隔がせばまり」に訂正してください。
面倒ばかりかけて本当にすみませんでした。
話が進んでるようなんで、自分のはひっこめないほうがいいのか…な?
今度からもし書き込む機会があればちゃんと話の流れを読んでから書こうと
思いますので、今回だけは容赦してもらえばなと思います。
混乱させてしまってすみませんでした>ROMの皆さん、職人さん、保存屋さん
405 :
:01/10/19 04:17 ID:eiTjN1Rz
今までずっとROMってた者ですが……ここの職人さんたち最高!
入来兄弟ネタはオリジナルになるんでしょうか。
弟=三村だと、瀬戸が兄やんになっちゃいそうで怖いなぁと思ったもので……。
原作三村ファソとしては三村編是非見たいんですが、
この配役ではさすがに……涙でモニター見えなくなりそう。
職人さん達ゆっくりでも良いんで、続き頑張って下さい。そして松井も頑張れ(笑)
406 :
392:01/10/19 08:19 ID:rKHiYe+I
入来兄は、参加させてしまうと収拾がつかなくなってしまいそうで・・・。
407 :
保守原(東海大相撲):01/10/19 09:10 ID:uPA/dzR1
またこんな下がって……
そして歯茎はどこへ??
408 :
西山:01/10/19 14:01 ID:1HH/O61U
409 :
:01/10/19 14:07 ID:IMWJSKsQ
兄が古田参謀とともに復讐の殺人鬼になる展開きぼ〜ん
>>409 面白そうだけどやっぱそれは外部で行う…ということにした方が…
兄や古田まで参戦したら収拾つかなくなっちゃうよ…それに
基本的には読売巨人軍バトルロワイヤルだしね。あんまり巨人選手を
さしおいてしまうのも…
411 :
西山:01/10/19 14:11 ID:1HH/O61U
412 :
ジェリーフィッシュ:01/10/19 21:38 ID:WNmlQuDR
413 :
斎藤・桑田1:01/10/20 00:21 ID:NWex0QIu
すっかり深夜となった真っ暗な森の中、その中でもとりわけ茂みの深い中に斎藤は
腰を下ろす。さすがにもう体力の限界で一旦は睡眠を取らねばならない…どんな状況
でも睡眠だけはしっかり取る…それは現役時代からの信念であった。寝ずにふらふら
の頭では何もできないのだから。だが寝込みを襲われる可能性もある…ここならば
そう見つかる事もないであろうが不安ではある。
「斎藤さん。」
そんな時、樹の陰から名を呼ぶ声が届き斎藤は思わず目を見開く
「真澄か!?」
姿は見えないが声で桑田だとわかると斎藤は腰を上げる
「…提案があるんですけどね。5時間程一緒にいませんか?…アンタもそうだと
思いますが俺も体力の限界でね、少し眠りたいんですよ。」
「あ…」
そうである、桑田と交互に睡眠を取り、どちらかが眠っている間にもう一方が
見張っていればいいのだ
「アンタも極力時間を使いたくないだろうし俺も同じです。ちょうど二時間半
づつ眠りましょう。」
「ああ…わかった。…助かるよ。」
あっけなく承諾する斎藤に桑田は苦笑しながら樹の陰から姿を現す。
「相変らずですね…俺が寝首をかくとは思わないんですか?」
「その気ならとっくにそうしてるだろう…」
桑田の座る場所を少し空けながら斎藤は答えた
「俺は裏切り者ですよ?いきなりまた敵になるかもしれない…裏切り者
とはそういうものです。」
「……」
桑田がゲーム開始当初裏切ったことは正直まだショックではあった。斎藤は
何も答えないまま煙が出ないようにとアルコールランプの要領で作った
空き瓶から小さく燃える炎に視線を移す
「…さあ、もう寝た方がいいですね。まずは斎藤さんから眠ってください。」
表情が曇る斎藤を見て桑田はそう提示する
「…そうさせて貰うよ。…二時間半経ったら起こしてくれ。」
斎藤もまた今は全てを睡眠につぎ込むように目を閉じると横になる。そして
あっという間に眠りの世界に入ってしまった。そのあまりの寝つきの良さ
…よく斎藤はそれが今までやってこれた秘訣でもあると冗談言っていたが
あながち嘘でもないと苦笑しながら桑田は炎を見つめながらも辺りを警戒する
(…目的地は近いみたいだけど…この先スムーズに行くとは思えないな…)
あの斎藤のデイバックの中身までバラした放送を聞いて狙う者、またはその
狙う者を狙う者が来る可能性は大きい。…そんな考えを巡らせていた桑田で
あったが斎藤が眠りについて三十分程経った時だった
「…来たな…」
茂みをかき分ける音が聞こえる…桑田は慌てる事なく暫し考え込む
(なるべく弾は使いたくないな…)
それに向こうがどんな武器かもわからない…それならば…桑田は斎藤の脇にある
デイバックを掴むとそっと立ち上がるのだった
414 :
斎藤・桑田2:01/10/20 00:35 ID:NWex0QIu
(そろそろ寝ている頃だ…)
上原は茂みをかき分け進む。上原もまた斎藤のデイバックを狙ってやって来た者であった。
医療品はこの先いくつあっても足りない…憶病な面のある上原にとっては何よりも安心
できるものであった。そして上原も本部にいた選手である、平松を隠すとしたらあの西端
の建物に違いないと読み、斎藤の進みそうな場所もよんでいた。疲れに限界を感じ休む筈
休むならば人目の付かない森の奥だとも予想はついていた。今の自分には武器庫で見つけ
たマシンガンがある、これならば殆どの敵など怖くはない、あとは医療品だけであった
「…!」
しかし茂みを抜け、視界が少し開けた先…僅かながらも生い茂る木々から見える場所に
うっすら光る炎…その横に横たわっている斎藤を見て驚くように目を見開いた
「上原。」
「…!く、桑田さんっ!」
いきなり背後から声をかけられた上原はビクリと大きく肩をはね上げる
「…お前だったか…お前も斎藤さんの薬を狙ったのか?だがちょっと
遅かったな…」
デイバックを見せつける桑田に上原は詰め寄るが桑田は身を引く
「そうだ、これは斎藤さんのだ。」
「…ってことはまさか…」
「ああ、残念だけど殺すしかなかった。」
上原はゾッとするように桑田を見る。桑田にとって斎藤は特に大事な仲間の筈だ…
それをアッサリ殺してしまったのかと
「なるべく苦しんで欲しくなかったからね、今は眠るように死んでいるよ。」
ここからでは横たわっている姿が見える程度でどんな状態かは分からないがその手
にあるデイバックが何よりの証拠である
「それじゃ俺は行くよ。」
「…待って下さい…」
上原は桑田を呼び止めるとマシンガンを向ける。強力な武器なだけあってか上原
はまったく物おじせず、尊大に桑田を見据えた
「そのデイバックを渡してもらおう…俺はアンタを殺したくは無い…でもアンタ
が斎藤さんを殺したようにやむおえない場合もある。」
「…それはっ…なるほど…武器庫へ行ったんだな…」
目を丸くする桑田は仕方ない、とデイバックを上原に渡そうとした
「…!っ!」
だが、いきなりナイフで上原を攻撃する。予想の付いていた上原は
アッサリとかわすが、それでも微かに脇腹に傷が付く
「ちっ…」
舌打ちする桑田を見て、上原は歪んだ笑いを浮かべる
「…あなたほどの人が動揺したからってみっともない事しないで
下さいよ…ピンチになったら突っ込むなんてらしくない…」
悠々とマシンガンを突き立てる上原に、桑田は間合いを取る
「…俺の人間性なんてそんなもんだ…今まで必死に冷静を演じて
いただけだ…お前にだって心当たりはあるだろう?」
「…ええ…」
上原が桑田を尊敬していたのはどことなく自分の型と似ている面
があると思っていたからだ。いつの間にか雑草を演じるように
なった自分……だがいきなりなんでそんな話をするのか…?
上原の頭に疑問符が浮かぶ
「俺の人生もなんだったんだろうねぇ……」
「桑田さん…アンタ…」
どういうつもりだと、この限りなく自分が不利である状況で
なぜ語り出したりするのか…何を企んでいるのだ…上原が
じっと観察した時、かすかに桑田の視線が先程桑田に傷付け
られた傷に行くのを見た
「まっ…まさかっ…!」
上原はかすり傷程度のうっすら血の滲む脇腹に手を当てる。
桑田がなぜ語りだしたか…時間かせぎと考えれば辻褄があう
「アンタっ…そのナイフに毒をっ…!」
桑田はなぜだ?と言いたげに大きく目を見開く。なぜバレた
のか…そんな表情の桑田に上原はやっぱりそうかと桑田に
マシンガンを突きつける
415 :
:01/10/20 00:36 ID:CovsGAUa
同人ヲタ共ウザイ
416 :
斎藤・桑田3:01/10/20 00:40 ID:NWex0QIu
「…だったらなおさらそのデイバッグをよこして下さい。」
もう尊敬も何も無い、この男はヤル気なんだと。もっとも上原も出方によってはヤルつもり
であったからそれを責めるつもりはない。そしてカッとして不用意な行動に出る気も
なかった。まずはデイバッグを奪い、それから桑田を…だが、彼が大人しく殺されるとは
思えない。毒刃で攻撃し、時間をかせいで毒によって殺そうとした男だ
(まずは薬を奪うことが先決だ…)
あの中には解毒剤もある。まずそれを使ってからゆっくり桑田をどうすべきか考える
…今、いきなり発砲しても桑田の事だ、その対応策くらいあるかもしれない。それでも
出し渋る桑田の心臓部にマシンガンを突きつけるとデイバックを奪い、桑田に銃口を
押し付けつつ中身を探る
「突きつけられなくてもマシンガン相手に不用意に逃げたりしない。」
「分かるもんか…ああ、あった…」
入念にラベルを確かめた上原は猛毒のラベルと対になっている解毒のラベルの
貼られた瓶を取りだす。そして急いで多めに錠剤を飲み干した
「…あやうく引っ掛かるところでしたよ…桑田さん、アンタはやっぱり恐ろしい
…残念だけどやっぱり殺さなきゃいけない…ですがマシンガンで蜂の巣…という
のはなるべく避けたいんですよ…」
安堵と上位の立場、そして僅かながら残る桑田への尊敬の念を込めて上原は言う
「出来ればここで服毒自殺…ということにしたいんですけどね…なるべく楽に
死ねる毒でもあれば…」
「自殺なんて馬鹿馬鹿しいことできるものか。」
ひっそりと答える桑田に上原はため息を付く
「…そうですか…なら…っ!」
上原はふいに襲ってきた息苦しさに思わず咽を抑える。だが、また呼吸を
止める波が襲ってきたかと思うと今度こそ心臓部に激しい痛みが襲う
「ぐっ…」
ゴボリ、と大きく吐血し、その苦しさのあまり思わずマシンガンを落とし
てしまう。だが、それを拾う事さえままならず上原は地面に転げ回る
「そんな…くっ…ばかっ…なっ…」
解毒剤を飲んだのに毒が回ったというのか…いや、それよりも急激に
毒がむしばんできたと言っていい
「ま…さかっ…」
今飲んだのが毒だというのか?だがラベルは確かに解毒であった
「…表面上でしか物事を見なかったということだ。」
馬鹿にするわけでも哀れむわけでもない無表情な姿で桑田は上原を
見下ろす
「…!ぐっ…あ…」
毒と解毒剤の中身を入れ替えていたのか…やっと気がついたがもう
遅かった。上原は声さえ出す事も出来ずに2度、3度と吐血する
(ちくしょうっ…こんなとこで…)
そして尊敬していた先輩にこんな殺され方をするのか…認めたく
ないと上原は最後の力を振り絞るように頭を振るが、もう一度
大きく吐血するとヒューズが飛んだ様に大きく痙攣し、ガクリと
地面に崩れ落ちた
「…さあ…行くか。」
吐血の海の中、遺体と化して横たわる上原を一瞥し、勿論マシン
ガンは思わぬプレゼントだったとしっかり奪い、背を向ける
「…5分…か。予定通りだ。」
いくらここから斎藤の様子が見えるとはいえ5分以上離れるのは
危険だ、予定通りの時間で済んだと安堵する。桑田の中には
罪悪感など無い、裏切り者同士など所詮この程度の関係なんだ
からと。そしてまるで小用を片づけた程度の感じで斎藤の元に
戻るのであった
417 :
斎藤・桑田4:01/10/20 00:41 ID:NWex0QIu
「斎藤さん、斎藤さん。」
「…あ…」
目を擦りながら斎藤は起き上がる
「もう…二時間経ったか…」
「大丈夫ですか?」
「ああ、スッキリしたよ、ありがとうな。俺が寝ている間、何もなかったか?」
目覚めたばかりだというのに既に意識はしっかりしているらしく、斎藤は桑田に尋ねる
「…ええ、何もありませんでしたよ。」
桑田は涼しい顔で答える。まるで先程の上原の事などなかったかのように
「そうか…さ、お前も早く寝ろよ。二時間半後に起こすから。」
「ええ…さすがに疲れましたよ。」
横になると桑田は目を閉じる。斎藤のことだ、一旦お互い見張りあうと約束を交わしたのだからそれこそ自分が眠っている間、身動きせずに見張ってくれるであろう。そういう面では安心だと桑田もまた活力を取り戻すために眠りに付くのであった
「…これでいいか。」
斎藤は桑田の周りに防護するようにデイバックを二つ置くと、その反対に回り自分も盾になるように銃を構え立ち上がる
(…何事もなければいいが…)
たった二時間半であり、長い二時間半だと斎藤もまた注意深く辺りを警戒するのであった
418 :
:01/10/20 02:23 ID:AoycGELx
上原とうとう死んじゃったのかYO!
桑田・・・毎回毎回悪だなーハアハア・・・
のんきに寝たままの新コーチにもハアハア・・・
まだ全然更新作業してないんだが、不穏な言葉を見たりしたもんだから
余計なお世話を百も承知で出てきた。
>>412 スマソ、あなたの言葉が不穏だと言うことではないのでまずお許しを。
「仁志が二人いる(ついでに宮田コーチの扱いもおかしい)」
これは自分の編集のまずさとこのスレの初期の成り立ちから出てる矛盾です。
自分が「第一章」として保存している部分ですが、
あれは一人の職人さんが書いたものではなく、少なくとも三人の職人さんによって書かれている。
前スレ1から追ってる人は知ってると思うが
最初はこのスレは「いくつか乱立したバトロワパロディスレのうちの一つ」に過ぎなかった。
自分が作ってる保存サイトの「各章ごと」の第一章の始めの部分
(「 詳しいルールについては小川アナお願いします」まで)が前スレの1だった。
どうやらあれは定型フォームになっているらしく、
前スレに感想を書き込んだプロレス板住人によるとバトロワスレ発祥の地はプロレス板らしい。
プロレス板にはプロレスバージョンの文字通りのバトルロイヤルがあった、と。
で、前スレの1は「ゴーストライター」というコテハンで書き込んできた。
そのあとしばらくは、煽りとも言えんような茶々入れっぽい彩りのある書き込み
(二死タンのAAや配役の希望、BGMはこれ!とか。ちなみに配役は今とは全く違った)が多少続き、
割ときちんと「読み物」として軌道に載ったのは、
コテハン「偽・ゴーストライター」さんが登場してからだったように思う。
それでも、成り立ちが「ワンノブゼム」にしか過ぎないし、最初のうちは割と適当だった。
今でこそ、最近だと記憶に新しいのは映画編の桑田の扱いやヤクルト編はどうする、
というような矛盾がでてきたら、職人さんや感想くれる人が「ここは無視していいです」
「ああするとつながる」とチェック入れてくれるが、初期はそんなのも一切なし。
少なくとも三人。三人が好きに書いていたから、第一章の中で矛盾が生じている。
舞台が読売ランド、ドームから島になったのも、「ランドじゃうまくいかないから島ね」
とそれだけの断り書きがあっただけ。
職人さんから希望がない限り、保存してる自分としても、
職人さんの力作に自分が手を入れることはしたくない。だから、矛盾は矛盾のままにしてあります。
事情は以上です。
たかが職人さんたちの力作をまとめるくらいのことしかしていない分際で言うのもなんだが、
そういうツッコミどころも、さらっと流して楽しんでみてほしい。
ちなみに、保存サイトでは話を一本に編集してあるが、書かれた順番もバラバラだった。
プロローグ、プログラム前夜、四月演説、全部第一章が書かれた後で、
職人さんたちが「話の大筋に影響ないところで」ということで後から書き添えてくれたもの。
それが一本にまとまるようになってるんだから、職人さんたちの力量に圧倒されるばかりです。
420 :
:01/10/20 02:46 ID:zuBgmkD+
同人女は全員氏ね
キモイんだよ
書くの迷ったんだが…。
チョト不穏な書き込みをニオくんスレで見てしまったんで、小心者の保存屋助手としてお願いさせてくれ。
なんでもここのスレをニオくんヲタ? が見ているらしい。
それで、「いっそバトロワスレ潰してしまえ」という意見が出てる。
職人さんたちも、全員同人誌なんかを書いてる人なんじゃないかと思われてる節がある。
でも、このスレを潰すのは、
自分を含め、このスレを楽しみにしている人たちに免じて?勘弁してほしいです。
2chなんて、誰が見てるかわらかない。
野球板も、熱心な野球ファソも見てりゃ、ヲタも見るだろう。
だから、このスレをヲタが見るのも別に構わないと思うがどうか。
正直、ヲタはうざいよ。ニオタスレでコピペされてるような奴は。
職人さんたちは、何の見返りもなしに話を書き続けてる。
職人さんたちの書く話を、何の批判もなしにありがたく拝読してりゃいい、とは言わない。
が、話の筋に文句があるなら、もう二度とこのスレを読まないで
自分で全職人さんの力量にひけを取らないバトロワパロディを書いてみせればいいわけで。
というかまずROMの中にいるヲタ・非ヲタの区別のつけ方がわからんし(w
このスレを潰すことはやめてほしい。保存屋助手というより、一読者としての願いです。
それとも、ネタスレということ自体に批判が行ってるんだろうか…。
422 :
:01/10/20 03:06 ID:O0s9kY+o
保存屋助手さん、同意します。二岡スレでニヲタもここ読んでる者がいると
話題になったとこから勘違いした書き込みをする人が居るんだと思います
潰すとかいう書き込みは今後放置でいいと思いますよ
せっかくの良スレなのに今回のことで職人さん達が書くのやめてしまっても
困りますしね…みんな職人さん達の話を楽しみにしてると思うんで
気にせずにこれからもどんどん面白い話を書いて欲しいです
長文スマソですがいきなり感想レスで斎藤タンがっ!
横では桑田タンと上原タンの殺し合いが始まっているというのに
寝てるなんて…イイ!
423 :
:01/10/20 04:50 ID:rYw4md2y
保存屋助手さんに一票。
ニヲタスレでも書かれてたけどヲタは勘違いしないでほしいよね。
このスレの職人さんたちはヲタを満足させる為に話書いてるわけじゃない。
潰す潰さないは、あまり気にしない方がいいと思いますよ。
それよか職人さんたちが話の続き書くのを躊躇してしまう方が気になる。
ヲタなんぞ気にせず続きよろしくお願いします、職人さん。
>>413-417 「表面上でしか」って、桑田が言うから様になるなあ。ダークで(・∀・)イイ!!
残り2時間半の攻防がどうなるか。
寄って来そうなのは、三沢・河原・清原あたり…どいつも怖い。
桑田絶対ぐっすりは寝てねーな(w
424 :
:01/10/20 06:55 ID:NnWQ/nIz
ちょこちょこ書かせてもらってる者ですが、
ニヲタスレ見て来ました。確かにかなり鬱っすね。
ほんとにヲタを楽します為に書いてるわけじゃないですから
知らんとこできゃあきゃあ言われてるのかと思うと・・ウツー
個人的に仁志と清水の最後とか凄い好きだったし、ショック。
(自分が書いた訳でもないのに、あそこの作家さんスマソ)
ただ助手さんも言ってる様に、ネットは不特定多数の人が見る物なんだし
どーしようもないっすよね。
このスレ潰すって言ってる方、
完結せずに終わるのは気持ち悪いんで、続きは書かせて貰っていいですか?
自分は原作のとこを主に書いてるんで、二岡の扱いには今後気をつけますし(w
上原と戦うのも面白そう、とか思ってたけどやらなくて良かったー・・
425 :
↑:01/10/20 07:06 ID:NnWQ/nIz
なんか偉そうになってしまった。すんません。
それでこの際なんで、お礼です。
ええと、いつも自分なんかの駄文を読んでくれて
しかもわざわざ感想レスして下さったりして、ありがたいです。>このスレの皆さん
そして保存屋助手さん、いつも素晴らしい編集ありがとうございます。
好き勝手殴り書きしたのを、ああやって纏めて貰えるとは思ってもなかったです。
これからも大変だとは思いますが、頑張って下さい。よろしくお願いします。
426 :
:01/10/20 09:08 ID:xMawY57e
おはようございます。主にヤクルト古田や入来兄を書いている者です。(初期には
入来の独白も書いたことがあります。ひょっとしたら、本筋と関係ないあれから書
き始めたのが悪かったのだろうか・・・)
ちょっと二岡スレは見てきたんですけどね。以前、入来兄編はホモ臭いと言われま
して気をつけたつもりではあったんですが。オタクですか。まあ、文芸部でやって
たあたり、そう言うところはあるかもしれません。自分の文を人へお見せすること
に抵抗がさほどありませんし。
正直、バトロワの本筋とは関係ないところばかり書く邪道者としては、皆様の力量
にただただ感服しております。勝手な話ながら本道は皆様にお任せし、外部の攻防
めいたものを書かせていただこうと考えたのですが。何分にも「球界の闇」が魅力
的な素材に感じられたもので。
このスレを潰すと仰る方、あるいは、オタク臭いと嫌う方。
何卒、ここに書かれる方々の文の見事さを考えていただけないでしょうか。
「お前が一番オタク臭い駄文を書いてるのだろうが」と言うことであれば、本当に
気をつけますので。
後、この場をお借りしまして、見事な作品を提供される皆様、いつも見事な編集を
してくださってらっしゃいます保存屋助手様、感想をお寄せ下さる皆様に、篤く御
礼申し上げます。
ありがとうございます。
427 :
:01/10/20 10:57 ID:/+W1trKJ
>>413-417 歯茎・・・クールにじゃなかったのか?
桑田、あいかわらず悪! カコイイ!
灯台編の続きも気になります。
>>421 ヲタの暴動は後をたたない。ヤフーでもリレー小説をやっていたらしいが中居ヲタによって
削除依頼が出されたらしい。つーかなんでヲタには理性がないのだろうか?作品を呼んでもらいたい。
讀賣ランドから嶋になったことはいっそのこと讀賣ランド別館にする手もあるかも。
429 :
:01/10/20 13:56 ID:zSk48YMP
貴子=二死たん、杉村=清水の配役がヲタを喜ばせちゃったかな。
貴子は二死タン以外考えられなかったので、設定変えてまで
無理やり参加させたんだけど。
ヲタ臭くしちゃって、スマソです・・・
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自分が余計なこと書かなきゃ何も起こらなかったかもしれないな。
と、本心から思う。夜中に文章書くもんじゃない、
ただでさえ物書きの心得なんかまるでわかってないのに。
物を切り貼りするのは得手だと思っていたんだが。
誤解を生む表現…というか、自分が軽率に書き込んだ部分があるんで
それについて詫びを言わせてくれ。
「職人さんたちも、全員同人誌なんかを書いてる人なんじゃないかと思われてる節がある。」:
これは不用意に使いすぎた。素直に謝るよ。
詳しい文学史のことは極めて頭悪い学生だったんで多分習ったんだろうが忘れてる。
が、自分は清水義範好きなんだが、清水義範も有志で作ったミステリサークルの同人誌で
はじめて作品発表してたと記憶してるし
自分のこと語ってもしょうがないが、厨房・工房の時には部活じゃなく
「クラブ活動の時間」(わかるかな)で「作文クラブ(このネーミングは正直恥ずかしい)」にいて
「会報」とか作ってたのな。
なんで作文クラブにいたか?→ミステリたくさん読めるから。
で、それだって今考えれば立派な「同人誌」だったわけで。
当時は「会報」と呼んでたから、「同人誌」という意識はなかった。
こんなことは出来ようもないが、たとえば巨人のバトロワスレも
「バトロワを巨人使ってパロディ作品にしました」と言って1冊にまとめたとすれば
それも「同人誌」になる。
ニオタスレ見て、本スレ見たら「同人オタ氏ね」とか書いてあったんで
「同人誌」の定義が自分の中であやふやなまま条件反射的に迂闊に書き込んだことを認める。
職人さんたちの全員かどうかはわからないが
ひょっとしたら清水義範のような作家の卵の人だっていたかもしれず、
現にクラブのような集まりで「同人誌」を出してるかもしれないのにな。
不愉快な思いをさせて申し訳なかった>誇りを持って「同人誌」に作品を書いている皆さん。
432 :
少しでも貢献したい男:01/10/20 15:47 ID:9/gsD/yF
□生存者と最終状況(&:協力)□
河原純一(15)
入来祐作(20)
川相昌弘(6)&二岡智宏(7)&松井秀喜(55)
高橋由伸(24)
清原和博(5)
清水隆行(35)
堀田一郎(44)
斎藤雅樹(11)& 桑田真澄(18)
平松一宏(25)
三沢興一(旧31)
上野裕平(29)&李景一(69)&川本大輔(92)&山下浩宜(65)&小野剛(59)&根市寛貴(43)
以下未登場
真木将樹(31)
佐藤宏志(40)
酒井純也(97)
加藤健(56)
原俊介(62)
十川孝富(52)
山田真介(58)
鈴木尚広(68)
田中健太郎(91)
吉村将生(93)
残り29人
誰か若手編書いてくれー
433 :
を:01/10/20 17:43 ID:hBMQ9brG
こんにちは。
進藤編&阿波野編など書かせていただいてる者です。
最初はROMるだけだったんですが、職人さんたちの文章を読んで、
触発されて私も書いてしまいました。
進藤編なんて30分もかからなかったような…勢いだけで書いて、
そのまま書き込んでしまったんです。
人の生死に関わる文章だし、読んで不快な思いをする人がいるかもしれないと、
思わなかったわけではないんですが、書いてしまいました。
むかーーし同人誌作ったこともあるし、人に自分の書いた文章読んで貰って、
その感想を戴けたりするのは、今でも嬉しいです。
だからと言って、そのまま垂れ流してもいいのかなあと、反省してます。
でも、同時に、他の職人さんたちが書いた文章をもっともっと
読みたいと思ってます。一読者として。
もの凄く身勝手なお願いなのかもしれませんが、
ヲタさんもアンチヲタさんも、そうでない方も、
このスレを見守っていて下さいませんか。
「ヲタ臭いことしてやがる」とか、「くだらねー」とか思っても、
「けっ」と鼻で笑ってくれて構わないから、見逃して戴けないでしょうか。
まだまだ職人さんたちのお話が読みたいって勝手なお願いなんですけども…。
何とか平和にやって行けないかなあ。
それから最後になってしまいましたが、いつも素晴らしい文章を書いて
下さる職人さんたち、丁寧かつ迅速に編集をして下さってる保存屋助手さま、
感想を下さったかたたち、読んで下さったかたたち、全ての人に、
心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
434 :
:01/10/20 18:30 ID:ea5WhLR/
昨日一日、ネットする暇がなく今日始めて見てみたら…
大変な事になってましたね。俺は二岡スレの住人でもあるんですが
ここのスレもすごく楽しみにしてますし、二岡スレの住人でも同じく
楽しみにしてる方も多いと思います。これからも良い話しを職人さん達
全てに期待していますし、いつもまとめてくださる保存屋助手さんにも
感謝しています。いつまでも今回の荒しの話題をするのもかえって
進まなくなると思うんでこれで荒しの件の書き込みは終りにしたいと
思いますがこれからもいつものように面白い話を期待してますんで
よろしくお願いします。一読者として楽しみにしてます
>>413-417 とうとう上原があぼーん!!手を下したのが桑田ってのもイイ!
つーか雅樹兄さん大丈夫か??ちらと斎藤スレ見たんだが
この人もかなり天然入ってるな…さすが料理の鉄人見て引退決意
しただけある(w
435 :
イ:01/10/20 22:24 ID:ef1HCoqD
めげずにまた素晴らしいお話を読ませて( ゚д゚)ホスィ…
436 :
:01/10/20 22:28 ID:HUsQ7H2O
一旦上げます
437 :
:01/10/20 22:32 ID:EY2LBnj8
素晴らしいお話待ってるんだからネ!
>>434 俺も「料理の鉄人」見て引退決めた話にはビクーリしたよ!
200勝間近なのにそんな理由で決断しなくても…
大エースの考えてることはよくわかんないんだからネ!
438 :
:01/10/21 00:11 ID:2fOONeTD
職人さん待ってるよage
>>437 エースってどこか人と違ってるとこがあるんじゃないかと思う今日この頃。
選手の私服スレでも書いたんだけど
昨日のTBSで見た桑田の
「黒の上着に紫のシャツ、網膜に突き刺さるようなコバルトブルーのズボンに
さらに皮ジャンを上から羽織ってる」姿は強烈だった(w
あの人らは常人とは違うと思い知った一瞬だった。
439 :
:01/10/21 00:27 ID:/IpdHgos
ゆっくりでいいんでまた良いお話を見せて下さい>職人さん達
>>437 料理の鉄人で引退考えたって何??…あ、スレ違いスマソ
>>438 桑田の私服話は禁句だよ(w もともと桑田は宇宙人めいたとこが
あるからどこか人と違ってもそう驚かないけど(宇宙人ならあの
私服もアリ)俺は毎回桑田のシャツにも驚かされるよ
440 :
ウォーミングアップ・清原編:01/10/21 03:20 ID:3UEN3LgO
息があがる。
平地ばかりを殺して殺して殺しまわっているわけではない。そして、殺した、
という意識もさしてなかった。そこに人影が見える。そいつが武器を持って
いればこっちを狙うだろう。そうすればこちらが死ぬ。ならばそうする前に
仕留める。向こうが得物を持っていなくても、このゲームにおいては最後の
一人が勝者なのだから、邪魔だ。だから消す。
誰を殺したのか、何人手をかけたのか、そんなことは清原にはまったく無意
味だった。
ついさっきも、二人分の影のようなものが見えた。だからマシンガンをぶっ
放した。マシンガンで体に風穴をあけられてそうそう長生きする奴もいない。
すぐには死なずとも、ほどなく死ぬだろう。それで終わりだ。それが一軍の
選手であろうとファームの選手だろうと、かつてグラウンドで共に汗を流し
た選手であろうと、清原は容赦なかった。
ただ、先ほどの二人を追ったのは起伏の激しい林の中だったので、木々に阻
まれたり無秩序に突き出た岩や太く張り巡らされた木の根に足を取られそう
になったり、グラウンドをランニングするようにはいかなかった。
ランニング。
上がっていた息は少しずつ収まってきていたものの、清原の脳裏に、より鮮
やかに浮かび上がるある1シーンがある。
桑田が消える。桑田がそこにいる。
それは、PL学園全体練習後に囁かれる、怪談めいた桑田の伝説だった。
全体練習を終えると、寮生でもある野球部員たちは寮に戻る。ところが、桑
田は寮にいない。そして、朝の全体練習が始まる前に、既に体を作っている
桑田がそこにいる。
何故かと思ったら、それは桑田と同室の先輩があっさりと謎を解いてくれた。
PLの敷地内にあるグラウンドから広い広いゴルフ場、そこをひたすらラン
ニングして、寮内が食事も形ばかりの自習が終わって静まり返ったころに、
ようやく戻ってくるのだという。朝はその逆で、日が昇るはるか前に同じコ
ースを走る。
それを聞いた負けず嫌いの清原は、自分も走ってみることにした。
桑田とかち合うのはなんとなく憚られたので、自分は最初にゴルフ場を、次
にグラウンドを。
ランニングくらい、どうってことない。ただの、練習終わった後のクールダ
ウンや。
寮に戻ると、自習室の灯りがついている。野球部でまともに勉強しているの
は、桑田しかいない。
どんなにランニングしても、俺はお前より余裕やで。ただそれを自慢したく
て、荒い息もそのままに、自習室のドアを開けた。
中では、桑田が背筋をしゃんと伸ばしてノートと参考書に向かっていた。ド
アが開いた音に気がついて、汗だくの清原のほうを振り返った。
「どこへ行ってたの?」
たいした答えを期待していない、どころか、それがどうした、と言わんばか
りの桑田の口調だった。やや気勢が削がれたが、清原は荒い息の下から、胸
を張って答えた。
「走って・・・来た・・・」
荒い息は、抑えきれなかった。それを見て、桑田はまるで被告人に判決を告
げる裁判長のように、こう言った。
「ねえ、キヨ。ランニングってさあ。これ以上やったら・・・死ぬ・・・い
うところまでいかな、効果ないんやで」
打ちのめされた。自分は一体、何のために走っていたのだろうと。効果?
効果やと? なんやそれ。
死ぬ。死ぬって、なんや? お前はいつも、ほんまに死ぬ気で走ってる、言
うんか?
絶対あいつには勝ってる。そう思うたび、桑田には言い知れぬ屈辱を味あわ
された。
逆恨みというのではない。ただ屈辱だった。自分がもがいている間に、桑田
は一歩も二歩も先んじてしまう。どうだ、と思って桑田を振り返ったつもり
が、もう相手の後姿しか見えない。
負け続けるのか。俺は。
何故。何故この世に桑田がいる? 俺と同じ年の桑田が?
神様。神様がいるのなら聞きたい。なんで俺だけやない? この世に同じ時
に、何でよりにもよって俺だけじゃなく、桑田までいさせてしもたんや!
清原は天を呪った。もとより運命論者などではないが、それでも自分と、自
分に桑田を配した運命を呪わずにはいられなかった。
どれくらい歩いたのか。息はもう落ち着いていた。気がついてみれば崖のよ
うに地面がせりだしている場所に来ていた。ふと見下ろすと、蠢く影が見え
る。
抵抗するようすも見えなかったが、そんなことは関係なかった。清原のマシ
ンガンが再び火を噴いて、蠢いていた影は躍るように撥ね、そして地面に叩
きつけられると、そのまま動かなくなった。
それが、谷という選手だったということなど、清原は知る由もなかったし、
知る必要もなかった。
最後の一人になる為に清原に必要なことは、ただ一つだけだったのだ。
「・・・桑田。俺の手にかかって死ね」
443 :
:01/10/21 03:30 ID:J4T0/j3w
444 :
440:01/10/21 03:36 ID:3UEN3LgO
やっぱ下手糞ですね私・・・。
最後に谷が瀕死状態というのを書いたことで最初のほうで出てきた人影二人が
谷と斉藤というのを匂わせたつもりだったんですが。
445 :
443:01/10/21 03:38 ID:J4T0/j3w
>>444 私の読解力が無いだけです、すいません。
446 :
:01/10/21 04:51 ID:UZLpcnIz
清原が柔術でやるところも読んでみたいかも........
447 :
:01/10/21 11:13 ID:yAsqAK1W
>440
なんかキヨが初めてちゃんとでてきたね!
今までほとんど無言だったし(w
桑田との対決はあるんだろうか・・・
楽しみにしてます。
448 :
:01/10/21 13:04 ID:bCWUyujT
>>447 清原の話は第73章でも出てきてるよ
このランニングの話、なんか妙にリアルな気がするけど
実話なのかな?>440
449 :
:01/10/21 20:58 ID:V7cEpbzt
みんなバトロワゲームに参加してくれー
450 :
:01/10/21 21:29 ID:sUmxBAOc
>>449 今日本シリーズ見てるからダメ。
おお、三沢が抑えた!なんか嬉しいぞ(w
451 :
440:01/10/21 23:25 ID:r8YNW4IM
>>446 柔術ですか・・・桑田は最近中国武術のうち棒術やってるらしいですから
銃器類無しの柔術対棒術の戦いも見甲斐がありそう・・・
私にはとても書けませんけど(汗
>>448 甲子園優勝投手物語みたいなムック本に載ってたエピソード拝借しました(w
でもよく気づかれましたねー(゚Д゚)スゴー
言われた相手は清原ではなく同級生のT君だそうですが
読んだ時には「桑田・・・鬼・・・」と思ったのと同時に
やっぱスゲエ!と思ったものです。
保守の為に一旦あげますね。
452 :
:01/10/21 23:51 ID:TPTIMPi7
清原編といい斎藤雅編といい桑田タンって…イイ!
453 :
捕手:01/10/22 11:52 ID:PNbaBNsb
下がりすぎage
昨日は三澤が引っ込んだと思ったら五十嵐が出て来たんでなんかニヤニヤしちゃったんだからネ!
今日の先発は入来兄と小野ヤスシですか?
454 :
灯台編1:01/10/22 17:26 ID:morfQH6g
「本当?話はできるのか?」上野の言葉に小野がそう訊いた。
「ああ。ご飯も食べたいって」上野は頷き、それから根市の方を見やって言った。
「大丈夫だよ。部屋の鍵はかけてきた。お前が心配するといけないからな」
皮肉な言い方ではなかった。仲間として必要な事をやった、と言う口調だった。
しかし、そんな事はもはやどうでも良かった。根市は一瞬のうちに頭を切り替えていた。
松井がもう目を覚ます事はない、と確信する一方で、もし覚ましたらどうするかという事を
根市は夜の間に何度も何度も考えていた。
ちょうど良かった。食事どきだ、今は。どうせ死にかけていた男だ。急に状態が悪くなったってなんの問題もない。
根市は完璧に笑顔を作って、首を振った。
「心配なんてしてない。昨日は俺、ちょっとおかしかったんです。もう松井さんの事疑ったりしてません」
それを聞いて上野はほっとした表情で息をついた。
「なんだ。なら鍵かけてくる事なんてなかったな」
それから上野は小野に言った。「なあ、悪いけど李を呼んで来てくれるか?
食事しながらちょっとみんなに相談したい事があるんだ」
「見張りいなくなって大丈夫か?」小野が尋ねた。
「ああ。どうせ建物は閉鎖してあるし、大丈夫だよ。ちょっとの間だしね」
小野はわかったと返事をすると、部屋を出た。かんかんかん、と鉄の階段を上る音が聞こえる。
そして川本と山下が「どんな具合なんですか?」「食事って俺らと一緒のでいいの?」
と立て続けに上野に聞いている内に、根市はそっと席を立ちキッチンへ向かった。
湯気があがるシチューの鍋の横、白い陶皿が数枚積み重ねられていた。
根市は右手をユニフォームのポケットにいれ、中の物を握り締めた。
伸縮性の特殊警棒と一緒に、武器としてデイパックに入っていた「特別付録」というラベルのついたそれを。
このゲームでの使い道などないと思っていたそれを。
迷う必要などなかった。自分と、そして大事なこの5人の仲間を守る為には仕方のない事だ。
根市は奇妙に冷静だった。ポケットの中、片手だけを使って小さな瓶のコルク栓をそっと外した。
455 :
灯台編2:01/10/22 17:29 ID:morfQH6g
「上野さん」根市の呼びかけに、川本、山下と話をしていた上野が顔を向けた。
「先に松井さんに、ご飯持っていってあげた方がいいんじゃないですか?」
「そうだな。そうしようか」根市の提案に上野が頷く。
「じゃあもうシチュー出来てるみたいだからよそっちゃいますね」
そう言って根市は白い皿を持ち上げた。
「うん。あ、そうだ」上野は何か用事を思い出した様に言うと、少し離れた所にある棚を指差した。
「そこの引き出しに薬箱あったろ?鎮痛剤、ご飯と一緒に持ってくから出してくれる?」
「――あ、ハイ」返事をして、根市は持っていた皿を流しの横に置くと、そちらへ向かって歩いた。
その時、またかんかんかんと鉄の階段を踏む音がして小野と李が姿を見せた。
李は肩から吊っていたサブマシンガン(6人の持っていた武器の中で一番威力がありそうな
物を見張りが持つ事にしていた)をテーブルの上に置くと、川本や山下に嬉しそうに話し掛けた。
同じ高卒ルーキーの4人はとても仲がよく、この状況の中でもそれは変わらなかった。
特に李は、持ち前の明るさでみんなを盛り上げていた。
根市は引き出しの中から薬箱を引っ張り出すと、その中を探った。
鎮痛剤――鎮痛剤ってどれだろう。そんなものを飲んだ所で意味なんかないのに。
だって――
ああ、あった。これだ。薬効は頭痛、生理痛、歯痛。俺もさっきから頭が痛かったんだよな。
後で飲もう、色々終わった後で。
そう、いろいろ終わったあとで。
「それで話って何なんですか?」川本が上野に尋ねる声が遠く聞こえた。
「ああそうだ、それを話してもらわないと」そう続いた小野の声も
「あ、それはね、えーと何から話せばいいだろ」と言う上野の声も
根市の耳を素通りしたのだが、次の瞬間根市はびくっと顔をあげた。
「どれどれちょっと味見ー」と、李の声が聞こえたからだ。
根市は顔を振り向けた。そして見た。流しの前、李が皿を片手で持ってそれに口つけているのを。
味見ならおたまからすればいいのに、わざわざ『あの皿』によそって口つけているのを。
半透明の粉が入った『あの皿』に。
根市の顔から血がひいた。声をあげようとし――しかしその前にそれはやってきた。
李が皿を取り落とし、がしゃんとそれが割れる音と共に床にシチューが飛び散った。
全員の目が李に集中する。
李が喉を押さえて、ごぼっと今飲み込んだばかりのシチューを吐き出していた。
更に激しく咳き込むと、白いテーブルクロスの掛かった机の上に真っ赤な血を吐き出した。
そしてそのままシチューのこぼれた床の上に崩れ落ちた。
「李!」全員が――声を失った根市以外の全員が――李に駆け寄った。
体を折って、横ざまに倒れこんだ李はもう一度血を吐いた。
日焼けした顔がみるみる青くなっていく。
「李!どうしたんだよ!?」上野がその体を揺すったが、李はもう
口の端から真っ赤な血を流しているだけだった。
その目はほとんど限界まで見開かれ、飛び出しそうになっていた。
白目の部分も真紅に染まり、毛細血管が破れたせいなのか、青くなったその顔に赤黒い斑点が
いくつも浮き出して、李の面貌はもはやすっかりグロテスクな怪物のお面の様に成り果てていた。
上野が震える手で李の喉を触った。そして、言った。
「死んでる――」
誰も、何も、言わなかった。
>>455 うお〜っ・・・これからどうなるんだろう、ドキドキ・・・
457 :
:01/10/22 20:16 ID:mHwZ5Uj9
なんか不安な位置なのでage
458 :
原作好き:01/10/22 20:35 ID:DrmFNQbX
459 :
123:01/10/22 21:20 ID:dh6PhXGJ
清水番外編・民子風
美しく気高い仁志さんは、一言の言葉を交わすために、少しだけ待っていてくれた。
そして再び帰らない。
襲撃者の顔を皆忘れても、仁志さん一人が、忘れられない。
461 :
:01/10/22 23:44 ID:xG9GJkM8
462 :
:01/10/23 00:06 ID:1E/6lCT1
463 :
:01/10/23 00:18 ID:CGtblNTy
>>461、
>>462 いかにもオタ臭いじゃん、460。
こういうの投下して混乱させようとしてるんじゃないの?
セルフあぼーんしとこうよ
464 :
:01/10/23 00:25 ID:utINBkf/
>>463 マターリしようよ…せっかく収まったんだしさ…
460さんにそんな気は無いと思うよ
灯台編、やっと続きが出たよ!オリジナルも原作もやっぱどっちもイイ!
職人さん達&保存屋助手さん、いつもありがとうございます
465 :
:01/10/23 00:48 ID:0nuTRzJ2
灯台編、このままの怒涛の勢いで書き進んでいただきたい!
もちろんクオリティも重視したいけど・・・。
466 :
:01/10/23 00:58 ID:3GNaHFZf
原作バージョン、オリジナルバージョン共に期待大なんだからネ!
467 :
故・川相:01/10/23 01:05 ID:N9jD8f5J
>>459 チャットがマターリしてて(・∀・)イイ!YO!
入来智が意識を取り戻したのは30分後だった。
目を覚ましたとはいえ、全身に回っている麻酔薬はそう簡単には抜けない。
それでも彼は、自由の利かない体のまま必死で閉じこめられた部屋の寝台から
逃れようと暴れ、付き添っていた五十嵐と稲葉を手こずらせた。
どれ程2人が声をかけても、まるで耳に入っていないのだろうか、呂律の回ら
ない口で弟の名を叫び、じたばたともがく様は狂人のようであった。事実、半
ば狂いかけていたのかも知れないが。
ドアが開き、古田が入って来た。
「智!」
鋭い一喝が、智に叩きつけられる。一瞬、智の体がびくっと強張り動きを止めた。
そして、古田の姿を認めると、詰め寄ろうとするかのように睨み付け、寝台から
這い出ようとする。
古田は近づき、その両肩をがっしりと掴んだ。
「まだ薬が抜けてへんのや、無理に動いたらすっ転ぶで」
「うあ・・・あ・・・ゆう・・さ・・く・・・」
「わかっとる。弟が心配なんはよう判る。せやけど少し落ち着くんや」
智は意味不明の叫びを上げて、古田の手を振りほどこうとする。慌てて五十嵐
が押さえつけるが、古田の両手は強靱でその必要はなかった。
「ええか、智。俺かてお前の弟が死んでしまうかも知れないなんてのは、平
気でいられん。オールスターでバッテリーを組んだ仲やしな。それに、良い
ライバルのジャイアンツの選手達が無意味に死んでいくのかて、我慢できん」
古田は諭すように声をかけた。
「せやけどな、お前が今ここで下手に暴れたりあいつらン所行ったりしても
どうしようもないんや。弟を助け出すどころか、弟に会う前に死んでしまう
で?弟が生きて帰ってきたときどうするんや。俺に「お前の兄ちゃんは死に
ました」言わせる気か?」
智は激しく首を振り、必死で何か言おうとする。しかし、麻酔薬で一時的と
はいえ痺れている声帯では、ろくな言葉も出せない。
「智。お前の弟は必ず助け出してやる」
古田は力強い声で言った。
智は目を大きく見開いて、古田を見つめた。
「そのためには、お前が下手に動いて連中の目を引いては困るんや。ええか、
知った以上、これからは俺の指示に従ってくれ。ジャイアンツの選手────
お前の弟を救出するために、お前にも働いて貰うことになるやろ。
智。俺を信じろ。必ず、助けてやる」
智の見開かれた目からぽろぽろと涙が落ちた。
まだはっきり言葉を出すことは出来ないが、一所懸命に頷き、縋るように古田を
見た。
古田は優しく笑うと、軽く智の頭を叩いた。
「ともあれ、後少し、薬が抜けきるのを待てや。そんな状態で働いて貰うことは
出来んしな。つらいかもしれんが、ほんの少しだけ辛抱して横になっとれ」
智は戸惑う様な表情をしたが、それでも古田の言うとおりに体を横たえた。
もし、入来智という男がもう少し人の心の機微を読むことに長けていれば、一見
優しげな古田の目の奥に潜んだ冷酷な光に気がつくことが出来たかも知れない。
しかし、彼は酷く単純な男であり、また、どん底に突き落とされた自分の力を
引き出してくれた古田を信じすぎていた。
狂乱し、しかも薬物により完全な状態ではない精神に、
「弟を助けてやる」
と言う言葉は、いとも簡単に浸透したのだった。
「じゃ、稲葉。頼んだで」
五十嵐と共に部屋を出ながら、古田が言った。
廊下へ出て少し歩いてから、五十嵐が少し弾むような声で、
「古田さん」
「なんや」
「入来さんの弟さん達を助けるって、どうやるんですか?」
「・・・あれはなぁ」
古田は頭を掻いた。
「まあ、方便ってやつや」
「え?」
「まともに言うて智が言うこと聞くわけないからなぁ」
「そ、それじゃあ」
「正直、これ以上あのオッサン達の目をこっちに向けさせるわけにいかんしな。
うちは恨まれてるからなぁ。智のことでも結構無理したし」
呆然とする五十嵐に、古田は困ったように笑いかけた。
「智には内緒やで、な?」
冗談めかした表情と口調だが、有無を言わせぬ強制があった。
「けど・・・けど、そんな嘘、いつまでも・・・」
「当面の時間は稼げるやろ。すぐには出来んでも、少々時間をかけて納得させるし
か無いんやからな。それに」
「それに?」
「弟を助けるためや言えば、智を動かし易くなる。出来るだけ保険はかけとくが
連中がいつまたうちへ向かって来るかわからん。智を別の場所に移さなならん時
があるかもしれんし、それこそ本当に働いて貰うことにもなるかもしれんからな」
そう言って古田が再び歩き出しても、五十嵐はそこから一歩も動けなかった。
470 :
:01/10/23 04:03 ID:VUM6c65X
下がりすぎあげ
471 :
::01/10/23 05:39 ID:F6vcIIpi
古田がどんどん極悪人になっていくーv
(なんで……なんでこんなことになっちゃったんだ……)
真木将樹はもう何度目になるかわからない呟きを繰り返した。
もちろん声には出せない。誰かに聞きつけられたらとんでもないことになる。
日が落ちてからは冷え込んでいるが、震えが止まらないのはそのせいではなかった。
(なんなんだ、このチームは……なんで俺、こんなとこに……
ああ、帰りたい、大阪に帰りたい……)
さっきからずっと、思考は堂々巡りだった。
その前はひたすらわけがわからなかったのだが。出来の悪い冗談かとも思っていた。
デイパックに入っていたのは日の丸と『根性』の二文字が入ったはちまきだったし。
しかしつい数時間前、崖下を歩いていた真木の前に人間が二人、
わけのわからない悲鳴を伴って降ってきた。
それで急に事実が真木の腑に落ちた――
冗談でもなんでもなく、実際に選手同士が殺し合いをしているのだ!
途端に腰が抜けた。急斜面に寄り掛かって座り込んだまま動けない真木の頭上で、
古いタイプライターか家庭科室の旧式ミシンのような音が響いた。
悲鳴は聞こえなかった、銃声に紛れるほどか細かったのか、
それとももう上げられもしなかったのかは真木にはわからなかった。
目にはただ、視界を遮るこんもりした茂みだけが見える。
それを掻き分けて事実を確認する気力なんて、どこを探しても出てきそうになかった。
(帰りたい……)
近鉄における自分は、確か将来のエース候補だったはずなのだが。
どこでどう間違ったのだろう。こんなところでこんな目に遭っているとは。
(なんで、なんでこんな……)
そのとき、横手でかさ、と葉擦れの音がして、真木はびくりとそちらを見た。
「ひ、っ」
人影らしきものが見えた、それで十分だった。殺される前に――逃げなくては!
立ち上がったつもりの身体が、前へのめった。
逃げ出したい気持ちだけが空回りして、怯え切った手足は満足に役目を果たさない。
間近で土を踏む音が耳に届いて、真木は悲鳴を上げ――られなかった。
喚き声が出る前に、口を誰かの掌で塞がれていた。同時に、
「しっ」
頭の後ろ、そう聞こえた。静かに、という意味だと理解するのに時間がかかった。
しかるのち、とりあえず撃たれたり刺されたり殴られたりしていないことを了解し、
真木は言われたとおりいったん大人しくした。
「……騒ぐと危ない、気をつけないと」
抑えた声がそう囁いて、口を塞いでいた手が退く。真木は声と手の主を振り返った。
「……三沢、さん……?」
そこにいたのは真木とは入れ違いで近鉄へ移ったはずの投手だった。
しかしいま三沢が着ているのは、真木と同じデザイン・背番号のユニホームだ。
いや、月明かりでもわかった、自分のそれにはない柄がある。
「……怪我……してるんですか」
真木の問いに、三沢は首を振った。
「怪我って程じゃ。フォークだったし」
フォーク? 真木が首を傾げると三沢が補足した、
挟むんじゃなくて、スパゲティとかハンバーグ食べるアレ、と。
「フォークって、誰がそんな」
真木は眉をひそめて訊いた。
まるでどこか痛むかのように三沢は顔をしかめ、言い辛そうに、それでも答えた。
「……入来さん。入来さんも参ってたんだと思う、わけのわからないこと言ってたし」
詰まるところ、正気じゃなかったということか。
そりゃまあ、フォーク持って襲いかかってくるという時点で十分狂気の沙汰だ。
「それで、入来さんは」
三沢は再び真木に首を振って見せた。
「……こっちも必死で、突き飛ばして逃げてきたから……どうしたんだか……」
歯切れの悪い答えだが、だからこそ真木には、この相手が信用できそうに思えた。
真木に対しても入来に対しても誠実であろうとしたがための歯切れの悪さなのだ。
それはこんな状況でもまともな神経を保っている証だろう。
第一この人はさっき、自分を助けてくれたのではなかったか?
我が身が可愛ければ関係ない奴が自滅するのなんか黙って見ていれば良かったのに。
だから少なくとも、その件については礼を言うべきだ、ちょっと遅くなったにしても。
「その、さっき……ありがとうございました」
真木が頭を下げると、三沢の表情がすこしだけ緩んだ。
「信用、してくれるんだ」
真木が頷くと、三沢はほうっと大きく息をつき、泣きそうにも見える表情で笑った。
ホントにありがとうございます、繰り返すと三沢はいやいやと手を振り、
そして真顔に戻った。
「それはいいけど、大声出すと洒落にならないくらいやばいから。
わざわざ殺して回ってるような手合いがいる、それも一人や二人じゃない。
そういう連中に襲われたら、まず怪我じゃ済まない」
三沢は口元へ手をやって、迷うようにちょっと目を泳がせてから続けた。
「何人か、その、見たんだけど、やりかたが……ひどい。徹底的に殺すって感じで」
要するに、ひどい死体を、しかも幾つも見たということだろう。
そう、よく考えたらいままでの定時放送で、何人の死亡者が読み上げられたことか。
真木がこれまで殺戮者や殺害現場どころか死体にすらぶちあたっていなかったのは
ひたすらに運が良かったというだけの話なのかもしれなかった。
「それで、隠れて逃げ回ってたんだけど。武器もこれだし襲われたら終わりだから」
言って三沢は左手でデイパックから鉄の棒を引っぱり出して真木に示した。
ニュースなんかでよく言っている、バールのようなものってやつだ。
なるほどこれではいきなり銃をぶっ放してくるような相手から、身の守りようもない。
だが、そういう話では真木とて負けてはいないことを思い出した。
「あ、でも、俺の武器も全然ですよ」
敵意のないことを証立てるつもりで真木は言った。
というよりは、敵意があってもどうしようもないものしか持っていないことを。
だから一緒にいてください、そんなふうに話を持っていくつもりで。
「むしろ、武器って言えるのかどうか。なんせ――」
言いながら、真木は身を屈め、自分のデイパックを開けようとした。
が、手が止まった。なぜだか視界が揺れたからだ。
首筋を殴られたような感じだった、しかしそれも一瞬で、
その場所で瞬く間に熱が膨れ上がっていった。
そこから熱が流れ落ちて、肩や胸を濡らしてゆく。
なにがなんだかわからなかった。
「え……、なに――」
ほとんど形を成さなかった真木の問いに、しかし答えが返ってきた。
「言ったろ、騒いだら危ないって」
なに言ってるんだ、三沢さん。なにが起きてるのか教えてよ。
ほとんど全力を傾けて真木は目を上げ、三沢を見た。
三沢の瞳は先ほどまでとは別人のように冷たい光を湛えていた。
「それに、背番号31が二人いたらおかしいじゃないか」
もう身体を支えられなくて、その言葉は真木の頭の上で聞こえた。
かわりになんだか暗くなってきた視界、
三沢の右手が先端を血に染めたアイスピックを握っているのが見える。
しかしもう真木には、それと自分の状態がどう繋がるのか、という
ごく単純な問いの答えも出せなかった。
(いったい、なんで……?)
きっかりそう呟くだけの時間しか、真木には残されなかったのだった。
(・。。・)
476 :
:01/10/23 16:07 ID:HayfJDAS
477 :
:01/10/23 16:41 ID:KMuFSwa2
>>471 古田より五十嵐の動向が気になる…なんかやらかしそうな。
>>476 三沢が参加してるから斉藤宜と谷では??
灯台編…灯台編……灯台編ーーーーーーー!!!
478 :
:01/10/23 16:48 ID:HayfJDAS
>>477 斎藤宜は桑田に撃たれて出血多量でヒソーリ氏んだんじゃなかったケ?
479 :
472:01/10/23 17:51 ID:Ntraq4X8
二人=斎藤宜&谷です。
たしか斎藤宜不在の間に谷はもういっぺんマシンガンもらっちゃっていた、ような。
真木と三沢の遭遇は火の消えたあと、というイメージだったのですが。
説明下手で申し訳なし……
480 :
久々に…:01/10/23 22:00 ID:gm8aPRdg
まずいな…
男は茂みからじっと様子を伺っていた。微かに見える視線の先には桑田の横でみじろきせずに
座り込む斎藤がいた
(よりによってなんで…)
桑田と一緒なのか…つい先程の上原を簡単にロクに攻撃さえせずに仕留めた桑田…あの上原の
間抜けぶりには思わず笑いをかみ殺してしまったが、あの恐ろしい男がなぜ斎藤と一緒に
いるのか…その上桑田は上原のマシンガンを奪って行った
(前にも邪魔されたな…あの人は…)
斎藤を付けているのだろう。そして多分、睡眠を取るために一時的に一緒に居るのだろう。
だが大きな邪魔者である、斎藤を仕留め、あの宝の山を手に入れるのは難しくなってきた
(…いや…チャンスは今しかない…)
一気にカタをつけようとわざわざコレを用意したのに…と男は足下を見る。重い思いを
して運んで来たのだ、ムダにするのも悔しい気もしたし、桑田と斎藤が別れても斎藤の
背後には常に桑田がいると思うと実際には今と何も状況は変わらない気がした。いや、
それどころか今、桑田は熟睡中である
(今の方が…チャンスかもしれない…)
斎藤だけでなく桑田も仕留めるチャンスかもしれない
(…そうだ…まず斎藤さんをおびき出して…コレを使えば簡単に引っ掛かるだろう…)
斎藤のことだ、桑田を起こす前にまず自分一人で様子を見に来るであろう。その時に
斎藤を仕留める…そして駆けつけた桑田を…さすがの桑田も不意打ちには敵わないだろう
(それに知ってるんですよ…)
冷静沈着である桑田が唯一、平常でいられなくなる相手は二人居る…その一人が今、
厳しい顔つきで辺りを伺っている斎藤だということを。あの桑田がわざわざ斎藤の
後を追うということはそういうことなのだと。その斎藤の危険を感じればさすがに
慌てるであろう
(悲鳴を上げさせるなり、銃声でも聞こえればきっと飛び出してくるだろう…)
飛び出した時が桑田の最後だ
(どうせ賭けをするなら大物二人相手に限るしな…)
小者相手にわざわざあれこれ考え、罠を張るのも馬鹿らしい
(…さて…やるか…)
決断したら即行動するのみだ。まずは斎藤から仕留めよう、斎藤を仕留めるのは
楽であろう、あとは桑田に注意さえすれば桑田も上手く仕留められる…
河原は薄く笑うと実行すべく斎藤達の居る茂みに近づくのであった
481 :
:01/10/23 22:24 ID:3jLBRtiM
>>480 どどどどどどどどど、どうなるんですかっ!?マジで心臓バクバクいってんですが
あぼーん
あぼーん
あぼーん
485 :
ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/10/23 22:37 ID:us7kOSWH
>>482-484は活字の読めないドキュソ。
>>480 とうとう河原を殺してしまうのか?確かに他の奴とキャラ被ってるから河原あたりをそろそろ殺した方が良いと思ってた。
486 :
:01/10/23 22:48 ID:nZHWz9aZ
>>480 か、河原登場ー!!とうとう斎藤タンと対決!?
…しかし大丈夫なのか…斎藤タンは…
あぼーん
488 :
:01/10/23 23:57 ID:ULLmDuOv
489 :
:01/10/24 00:17 ID:Ai9O94Lx
490 :
:01/10/24 01:18 ID:GHTnJIj7
>>489 そういえば…雅樹兄さん…殺し合いの横でのんきに寝てるしね(w
そんな兄さんにも萌えだけど河原とはやりあうのかな?
しかし本当、桑田の効率いいなぁ…
491 :
:01/10/24 01:52 ID:RouRCe3U
黒 河原純一(15) 高橋由伸(24) 清原和博(5) 三沢興一(旧31)
灰 入来祐作(20) 桑田真澄(18)
白 川相昌弘(6) 二岡智宏(7) 松井秀喜(55) 清水隆行(35) 堀田一郎(44) 斎藤雅樹(11) 平松一宏(25)
492 :
:01/10/24 02:08 ID:XLlJaAGR
>>491 それ、悪人度??だったら桑田も黒だよ。ああでも斎藤雅のストーキング
してるとこから黒ではないかもなぁ
斎藤雅は白を通り越して透明状態だな(w てか平松は無事なのか?
493 :
:01/10/24 03:03 ID:Y9mR7tKX
そういや堀田って出てきたっけ?
494 :
:01/10/24 07:35 ID:LpomcnyJ
>>493 堀田と宮崎は走って逃げようとして
青い稲妻(元)コーチに追いかけられているという
図式をきぼん(w
495 :
:01/10/24 08:46 ID:/6rOqVV8
>>494 宮崎はヨシノブに殺されてなかったか?
佐々木と一緒のところで?
496 :
:01/10/24 10:39 ID:GS7+hQ0E
497 :
:01/10/24 17:25 ID:imbXIcKU
>496はヨシノブに騙されて殺されるタイプだな(w
あいつの涙なんて信じちゃダメだYO!
498 :
:01/10/24 18:35 ID:ORMM/07m
前方に、ごくかすかながら灯りが見えた。
ひとり小さく頷いて、三沢は頭上に照る、真ん丸い月を見上げた。
月がこれほど明るくなければあの誰かも、小なりとはいえ火を使いはしなかったろう。
こんな馬鹿げたゲームに叩き込まれて、いまさら運のあるなしもないが、
それでもまだ完全に見放されてはいないのだ、そう思う。
まかり間違っても気付かれることのないように、少し大袈裟なほどの距離を置いた。
三沢はじっと目を凝らし、灯のそばにいる人影が誰だか確かめた。
あの輪郭は、間違いない――斎藤雅樹だ。大当たりだった。
つまりあの灯に蛾が集まってくるわけだ。飛んで火に入る夏の虫。
その虫を食べる蝙蝠たらんというのが三沢の目論見だった。
それらしく、灯りの輪のぎりぎり外へ伏せることにする。
蝙蝠ならぬ身のこととて、斎藤には背を向けざるを得ない。
灯の明るさに目を慣らしては、いざ虫が寄ってきたときにそれが見えないからだ。
三沢はそこそこ太い木を背にして腰を下ろし、ひとつ息をついた。
そして、果てなく広がっているようでもあり、
それでいてほんの鼻先で閉じているようでもある闇へ目を向ける。
いつ誰が出てきてもおかしくはない。
このゲームも、巨人という球団の内包する闇からそんなふうにして
立ち現われたのかもしれない、三沢はそう思った。
出くわしたのはただ単に間が悪かっただけかもしれない。
生き延びたらきっとそう思えるのだろうな、とも。
――生き延びたら。
ではない、生き残る。そのためにこうして汚れているのだ。
三沢は血を吸ってごわつくユニホームへ触れた。
これにはじめて袖を通したときの昂揚は忘れられないはずなのにうまく思い出せない。
次は白と臙脂を身に纏って登った神宮のマウンドを思い出そうとしてそれにも失敗した。それならあの、春浅い甲子園の歓喜はどうか――
不意に風が向きを変えた。
三沢のもとに、わずかの間に嗅ぎ慣れてしまった臭いを届け、現実に立ち戻らせる。
まだ新しい血の臭いだ。誰やら知らず、すでに火に飛び込んでしまった蛾がいるらしい。あの灯は確かに虫たちを誘うのだ。
それにしても、あの斎藤がチームメイトを手に掛けるとは三沢には少々意外だった。
いや――こんな時だ、誰が何をしてもおかしくはない。
もしかすると、端からそのつもりで火を灯しているのかもしれなかった。
誘き寄せて、狩るために。
だとしたら、寄ってきた誰かを首尾よく仕留めても、
その途端後ろから斎藤にドカンとやられることもあり得る。
口元を引き締めながら、三沢は右手のベレッタM92Fを見下ろした。
拳銃は火薬の爆発で弾丸を飛ばすというその原理上どうしても音が立つ、
よほどうまくやらないと斎藤に気取られるおそれがあった。
あるいは、銃以外の武器を主力に考えておくべきかもしれない。
いずれにせよ、次にぶつかる相手は先刻の真木ほど甘くはないだろう。
――そこだけは覚悟しておかなくちゃな。
胸中に呟いて三沢は闇を睨みつけた。
499 :
日シリTV観戦中:01/10/24 19:09 ID:1QzbFYcO
>>498 あれ?河原死んだの?
下がりすぎなのでついでにあげ
500 :
:01/10/24 21:46 ID:VMBHxWY3
いや、歯茎。
501 :
496:01/10/24 21:52 ID:n7qoG+rs
>>497 あー。そうかなー、騙されるかー。
原作では宮崎と由伸部分て悲しいほど由伸に当たる女の子が素直になるとこなんで
あの涙は本物だとオモーテタよ
502 :
:01/10/24 22:01 ID:cPoH+yox
>>500 歯茎殺したの桑田だよ。斎藤はまだ誰も殺してないはず…
そういえば巨人日記スレ見たけど桑田の息子の名前も真樹とかいて
「まさき」というらしいね。桑田……
いつの間にか保存サイトが更新されていてビクーリしました
保存屋助手さん、お疲れさまです
深夜、紫煙が漂うある部屋の中で一つの作業が行われていた。
「う〜し、アップしたぞ〜。確認してくれ〜」
気怠い男の声が響くと、別の男はその声に応じ、目の前のディスプレイに移っているHPを更新させる。すると、そこには先程までは無かったファイル、三沢.mpgが追加されていた。それを開くと、緊張感のないナレーションが流れ出す。
・・・前略、三沢興一で〜す。近鉄に移って、ようやく念願の優勝を遂げたと思ったら〜、あれれ〜 なんだかこんなゲームに放り込まれてしまいましたトホホ〜 よく分からないけど、とにかく頑張るぞ〜 え〜い・・・
疲労を刻んだ顔で、男はそれを聞いていたが、軽く頷くと
「OKっす〜、問題なく開けます〜」
と声を上げた。
「んじゃ終了だ、お疲れ〜 一杯いくか?」
「いや〜、さすがにもう寝たいッスよ〜しかしこんな突貫工事はこれきりにして貰いたいッスね〜」
そう、その仕事は突然だった。以前作った巨人の選手と同じ要領で即刻これらの選手のファイルを作れ。
そう言い渡されたのはもう日が沈もうかという頃だった。
幸いにも、途中で作る必要の無くなった物が幾つかあったせいでどうにかなったのではあるが。
「ま〜そう言うなよ、その分手当弾むらしいから」
「つーか、それ無しじゃこんなのやってられないっすよ、とにかく先に失礼します〜」
そう言って退室した男を見送ると、一人残された男は煙草をくわえた。
やってられないか・・・・ 確かに、こんな悪趣味な仕事、特別手当を貰わねばやってられねぇや。
男は自嘲した。数年前、まだ何も知らなかった頃にもこの仕事をやらされた事があった。
しかし、今回の仕事量は前回のそれを遥かに上回る。最早外部の人間となった選手のものまで追加でやらされる始末だ。
・・・追加、ってあたりがいかにもあの監督らしいよな。まぁいいさ。俺が始めたゲームじゃないし。
それより明日も早い。少しでも寝ておかないとな・・・
男は頭を振って立ち上がると、部屋の電気を消し廊下へと消えていった。
明かりが消え、闇に包まれた部屋で、ディスプレイだけが光っていた。
その中に映る三沢の顔は、笑みを浮かべていた。
>>502 長男は真樹(まさき)、次男は将司(まさし)←こっちは藤田元司元監督から貰った名前らしい。
ついでだが嫁の名前は真紀(まき)。統一取れた家庭だな。
ここの話に出てくる桑田、ダーティ一辺倒でも潔癖一辺倒でもなくて(・∀・)イイ!!
今後の展開、期待してます職人さん。
ひょっとして河原と三沢両方から狙われてるんだろうか…
505 :
494:01/10/24 23:04 ID:+uQXFK18
うあ〜ホントだ、
ありがとー!
>>495-496 「青い稲妻がものすごい速さで追って来る恐怖」を思いついただけで
相手は誰でもよいんだけどね(w
「…!今のは…」
ふいに聞こえた茂みが揺れるような音に斎藤は顔を上げる。…桑田を見るがどうやら熟睡して
いるのかまったく動く気配がなかった。桑田を起こす前に風のせいかもしれない、とりあえず
あたりの様子を見ようと桑田の様子も分かる程度の付近に斎藤は息を潜めて茂みをかき分けた
「…!」
茂みをかき分けたその先に遺体が転がっているのを発見すると思わず息を飲む。草が生い茂る
草むら中の為、草に埋もれたその遺体が誰なのか分からないが、死後からかなりの時間が経過
した状態である
「…誰だ…?」
ちょうど背番号が草に隠れて見えないうえに顔も向こう向きな為、ここからは誰かは分から
なかった。だが5歩程歩めば誰なのかを把握できるし、桑田の様子も伺える場所だ。冥福を
祈ろうと斎藤は茂みの中に足を踏み入れた。その途端、斎藤の足に太めのロープが引っ掛
かったかと思うとガチャン、と嫌な金属音が響く
「…っ!」
斎藤の足首は重い鉄枷がしっかりとからみついていた
「くそっ…」
トラップだと気がついた斎藤は舌打ちする。いったいこんな巧妙なトラップをどうやって、
そして誰が仕掛けたのだと頭を掻く
「…予想通りあっさりと引っ掛かりましたね。」
「河原っ!」
薄い笑いを浮かべながら後方からやって来た河原は、呆れたように肩を竦める
「アンタのことだからこうしてノコノコと死体に近づくと思ったんでね…ちょっと罠を
張らせてもらいましたよ」
河原はよいしょと、おとり用の遺体を斎藤の方に向けた。それは南の遺体であった
「思わぬとこでコイツもまた役にたったな…」
「南かっ!…お前が…」
「そう、ちょうどこの付近でね。…思い出したんですよ、確か西端の方でコイツを
殺したっけなって…そこで思いついたんです、コイツをおとりに使えばアンタは
引っ掛かるんじゃないかって…桑田さんはまだ寝てるみたいだしね」
ふいに河原は先程桑田が上原を殺した場面を思い出す
(雑草らしいしょーもない死に方だったなぁ)
桑田を尊敬してるなどと言いながら何も分かってないんだからと笑いをかみ
殺しながら毒死する上原を陰から眺めていたっけなと
(ここで斎藤さんを殺せば銃声音で桑田さんもやってくる…)
さすがにこの至近距離なら目を覚ますだろう、そして斎藤を探すべく注意
深く動いたとしても一歩この場所に踏み込んだ次点で桑田を撃ち殺せば
さすがの桑田もマシンガンを所持してるとはいえどうしようもない。
二人殺せて薬も奪える…この絶好のシナリオ
(まずは予想通り上手くいったな。)
河原の思惑通り仲間の遺体に仏心を起こした斎藤は見事にトラップに引っ掛
かったのだった。草むらに足下が埋もれた斎藤はここからはよく見えないが
間違いなく罠に引っ掛かっている
507 :
:01/10/24 23:42 ID:J/JEKnjN
「…南同様一発で殺してあげますよ。」
「…お前の目的は俺の持つ薬品だろう?…なら持って行きたいだけ持っていくといい…」
銃口を向けられながら答える斎藤に河原は肩を竦める
「…それは命乞いですか?薬はやるから命だけは助けてくれという。」
「…そうだ…俺は死ぬわけにはいかないんだ…」
「俺はあなたの事、嫌いじゃないですけどね…ま、だからといって、見逃すわけにはいきません。」
河原は冷たい口調ですげなく答える
「…頼むから…俺を見逃して欲しい……」
「言ったでしょ?下手に来られても見逃す気なんて無いですよ。」
「…頼む…」
「…まあ、二度も死ぬのは可哀相ですがね…」
河原は冷たい面を変えないままであったが実際にさあ殺そうという場面になった今、足を止める。
やはり斎藤を仕留めるのはあまり気が進まない。だが、それでも殺すことには変わりがないが。
この状況で斎藤が桑田に助けを求める声を上げてくれた方が先に駆けつけた桑田を仕留められる
ぶん、そっちの方がよかったが、どうやら斎藤にはその気は無いらしい。ならばさっさと仕留め
てしまおうと河原はいよいよ斎藤に狙いを定める
「…どうしても…駄目…なんだな…」
じっと斎藤は河原を見つめて最後の頼みだというようにつぶやくが、河原の表情は変わらない
「アンタもしつこいですね……じゃあね、斎藤さん……」
せめて楽に死なせてやろうと河原は斎藤の額に的を絞ると引き金に指を引っかける
そして銃声が辺りに大きく木霊した
「…あ…」
思わず河原はポカンと口を空ける。まだ自分は引き金を引いていない筈である、なのになぜ
銃声が…と思った瞬間に酷い激痛が腹部を襲った
「なっ…」
血を流しているのは斎藤ではなく自分であった。すでにユニフォームの下腹部が真っ赤に
染まる程に血は噴き出し、意識は霞みかける。そしてぼやけてきた視界には右手にしっかり
と銃を構えた斎藤がじっと自分を見つめる姿があった
「そんな…馬鹿な…アンタは武器を持っていない…はず…」
あの時、確かにデイバックの中には武器は入ってなかった。そしてあの戦いの時、斎藤は
銃を所持していなかった。なのに何故今、斎藤は右手に銃を隠し持っていたのか…
(桑田さんが渡したというのか…)
それだけは考えられなかった。あの桑田がいくら斎藤相手でも己の武器を渡すなどという
自殺行為を行うとはとても思えなかったからだ。だが、目の前の斎藤は銃を握っている
508 :
:01/10/24 23:45 ID:J/JEKnjN
(…甘…かった…)
そこまで桑田にまだ情が残っていたとは
「……」
斎藤はじっと河原を見据えたままであった。表情一つ変えずにただ己のしたことを受け入れるという
ような静かな瞳のままであった
「…くそっ…こんな…」
草むらのせいで斎藤の手元が見えなかったとかいう理由ではない、斎藤は武器を持っていない…
そんな確信に頼りすぎていた自分のミスを今更責めても遅いと河原は地面に膝を付く
「…河原」
桑田から貰った銃は念の為に尻ポケットに忍ばせておいた。普通ならば直ぐに分かる事だが河原は
自分が武器を所持していないと信じ込んでいる…そう分かった時点で斎藤はここで戦うならば自分
が勝つと確信していた。故にあえて命乞いをしたのだ。ここで命乞いすることでもし河原が自分を
見逃してくれれば…殺さなくてすむのだからと。だが河原がそれでも意志を変えないのなら
…今の自分には河原を殺す以外の選択はなかった
「こんなとこで…死ぬ…のか…俺は…」
信じたく無い、と河原は声を漏らすがいよいよ本格的に意識が消え始める。そしてこの意識が完全
に消えた時…それが死だと河原はあがくように震える手で斎藤に銃口を向けるが、やがてボトリと
銃を落とす
「…これが…」
俺の最後なのかと、由伸や清原のような血に飢えた獣化した者でもなければ、桑田のような理論者
でもない、一番仲間を殺めるなど出来そうにもない斎藤によって結局終りをもたらされる運命
だったのかと河原は声を漏らす
(…馬鹿みたいだな…)
こんなに情けない終焉だというのに心の何処かでは斎藤に終りを突きつけられる方でまだマシ
だったと思っているのだろうか…アッサリと終焉を認めてしまうということはそういう事なのか
「俺…は…」
生き残って何がしたかったのだろうかと、ただ死が怖いだけだったのか…分からなかった。
目的が分からないまま必死に生き残ろうとしていた自分に苦笑するように口の端を上げると、
とうとう河原は草むらに崩れ落ち息をひきとった
「……河原」
斎藤は首を振る。とうとう仲間を殺めてしまった…だがこのゲームに再び参加した時から
決めていたことであった
「どんな事をしても…平松だけは助けるんだ…」
平松の保身だけではない、自分の為でもある。自分の考え無しの行動のせいで自害して
しまった平松…彼の命だけは守らねばこのまま生きていても自分というものが崩壊してしまう
今の斎藤にとっては平松の命は仲間全員よりも重いのだ。だがそんな感慨に耽る時間もないと
この枷を外さねばならないと拳銃をあてがう。拳銃で危険だが狙いをしっかり定めれば外せる
筈である。引きがねを引こうとした時、視界がふいに暗くなり、斎藤は顔を上げた
509 :
:01/10/24 23:49 ID:J/JEKnjN
「真澄っ…お前いつ起きたんだっ?」
「最初の銃声音の時からね。けど今は俺が睡眠を取る番、動くのはアンタの仕事だから起きなかった
だけですよ。かと思えば下らない罠に引っ掛かるし…まあでもなんとか仕留めたみたいですね。」
寝たふりをして一部始終、斎藤と河原の様子を探っていた桑田はため息をつく
「…アンタも馬鹿ですね…こんなしょうもない罠に引っ掛かって…」
桑田は河原のデイバックを探りながら分からない程度に斎藤を見る。真っ青な面を呆然とさせたまま
銃を握りしめ、座り込んだままであった
(…仕方なかったんですよ)
あえて寝たふりをして斎藤を助けなかったのには理由があった。斎藤は本当に優しすぎる人間だ、
平松の事があるとはいえこのままではその身が危ない。斎藤のこれからを考えれば彼自身にその手を
汚させるしかなかった
(こうでもしないと…アンタって人はぼんやりしてますからね。)
だが一旦、不本意とはいえ仲間を殺めてしまえば後は大丈夫であろう、そして斎藤が優しく気弱で
ありながらもイザというときには非常に冷静で肝が据わっている人間なのも知っていた。河原ごとき
に殺される男ではない、もし殺されるようならそれまでの人間だったんだ、と桑田はあえて斎藤に
河原とサシで戦わせることにしたのだった。桑田の中にはまったく不安は無かった。イザというとき
の斎藤の強さはよく知っているからだった
「こういう手合の人間は鍵というものは鞄の奥底にしまっておくタイプですよ。…ほら、あった。」
桑田は鍵を見つけると素早く斎藤の枷を外す
「…そんなことより命乞いをするのは最低だ…出来れば河原を殺したくなかったからでしょ?見逃し
てくれれば…なんて思ったんでしょう?…どんな理由であれ命乞いだなんて…そんなことする前に
いくらでも殺せたでしょう…」
斎藤は無言のままだった
(…決心したことじゃないか…今更…)
今更仲間だった者を殺してしまったことを悔やんでも許されるわけでもなんでもない、今まで自分が
培ってきた物も、その優しいと気弱が混同した性根をも捨てると誓ったではないかと…仲間殺しなど
という本来ならばとても耐えられない事でも行うと誓ったのだ
(…もう戻れはしないんだ…)
だが、こうして仲間を本当に殺してしまったことで斎藤の中の何かは砕けた
「…悪かったな。…けど俺はもう大丈夫だ。…」
「まったく…やっとその気になったんですか。」
仲間を殺めてしまったことでやっと斎藤はこのゲームには邪魔でしかない脆さというものを
封印したらしい
「とにかく…俺はもう寝ますよ。こんな事で睡眠時間を削られちゃたまったもんじゃない。」
「悪かった…」
「一応、敵から守ってくれた事になりますしね。安心して寝られますよ。」
もう今の斎藤なら躊躇う事なく敵を仕留めてくれるだろう。桑田は本気で睡眠体制に入る
(…そうだ…平松を助けるまではどんな事をしても生き残らなきゃいけないんだ…)
斎藤はじっと炎を見据えたまま注意深く辺りを警戒する。今やるべきことは睡眠を取る桑田を
万が一の敵から守ること…それだけなんだと、河原を殺めた瞬間、何かが弾けてしまった自分は
仲間を殺めてしまった事を懺悔する余裕も権利もないのだから
498の三沢編の直後…のつもりですが…(既に死んでいるのは上原だと
思うので)もし河原の方でありましたら498の直前…ということに
成り行き任せですみません。
>>498 三沢編、毎回どきどきしながら見ていますがついにここまできたか!と
続きが楽しみです
真木が倒れ、三沢が去って行く姿を震えながら見つめていた人物がいた。
酒井純也だった。
酒井は蒼褪めながら、真木に近付いた。
首筋からまだ生々しく血が溢れ出ている。
「ま・・き、さん」
酒井は震える口をなんとか動かした。
信じられなかった。
酒井はずっと茂みの中に隠れて息を潜めていたのだが、真木の姿を確認した時、
声をかけようと思っていた。
だが、それより先に声をかけたのが三沢だったため、酒井はじっと待っていた。
どうして三沢が参加しているのかが分からなかったからだ。
ふたりの話し声は、充分、酒井の耳にも届く範囲だった。
酒井は細心の注意を計らい、ふたりを見守った。
酒井にも武器と呼べるようなものはなかったし、何より、恐怖の方が大きかった。
ふたりが助け合うのかと思えるような会話が聞こえ、息を飲んで見つめていると、
ふと、31の背中がだぶって見えた。
三沢は三沢でいい先輩であったし、真木は真木で、移籍したばかりにもかかわらず、
自分を含め後輩の面倒を良く見てくれていた。
このふたりと共に行動させてもらえないか、と考えたその矢先だった。
「背番号31が二人いたらおかしいじゃないか」
そう三沢が呟き、右手にアイスピックを光らせたのは。
瞬間的に、酒井は目を背けていた。
三沢が殺すところも、真木が殺されるところも見たくはなかった。
512 :
511:01/10/25 00:56 ID:m3ht/eQi
↑若手好きなんで書いてみたけど、
ナシならナシでいいです。スミマセン。
513 :
:01/10/25 01:05 ID:g7vNL0mP
>>512 アリで(・∀・)イイ!若手編どんどん書いてどんどん殺しちゃってクレ!
514 :
:01/10/25 01:16 ID:D2DBMLuN
>>503 ナニゲに不気味です。
この名も無き男の詮索は、敢えてしない方がいいんだ…よね?
選手の写真?をクリックすると入場曲やナレーションが聞こえるって…(w
515 :
:01/10/25 01:28 ID:2wqxsO8R
>>506 とうとう河原が!!待っていたような来て欲しくなかったような
結果だなぁ・・・桑田あいかわらず・・・ハアハア
ついにここも禁止エリアか・・・
佐藤宏志は観念したようにデイパックを肩に掛け、立ち上がった。
ゲーム開始直後、切り立った山の斜面にぽっかり開いた窪みを発見した時、佐藤は狂喜乱舞した。
足元を滑らさないよう注意しながら斜面を降り覗き込むと、思ったより広い窪みで
大柄な佐藤でも楽々と隠れることが出来そうだった。
ここなら大丈夫!絶対見つからない!!誰もこんな所まで探さないはずだ!
最期まで隠れていられたら、そしたら、そうしたら―
そして実際、今まで誰にも発見される事なくずっと同じ場所に隠れていたのだが、
この安住の地は次の禁止エリアの中にある。離れるしかなかった。
佐藤は崖を這い登ろうとしたが、ずるずると滑り落ちるばかりで埒があかない。
ここ数日、支給の水とパンしか食べておらず体力が落ちている上に、
狭い場所でじっとしていたので、足腰が萎えてしまっていたのだ。
何度も滑り落ちながらもなんとか地上に到達し、地面にうつぶせに倒れこんだ。
ダメだ、危険だ。みんなやる気なんだから、しっかりしないとやられる。
息苦しく咳き込みながらも、慌ててデイパックの中から武器を取り出す。
早く、どこか、隠れられる場所を探さないと――
佐藤は唯一の武器の菜切り包丁を握り締め、這うように移動を始めた。
昨日から体が熱っぽく、意識も朦朧としてきたが、ひたすら進む。
なにか大きな影が前方に現れた。熊ではない。
「き、き、き、清原さん!!」佐藤は大声を上げた。
清原はさっと振り返りイングラムを構えた。が、なぜか引き金はひかなかった。
佐藤の右手の包丁にちらりと目をやり、あきれたように口を開いた。
「おまえ、誰や?」
うわー!!清原さんが喋った。俺に話し掛けてきた。マジかよー。
清原さんと面と向かって話したの初めてだよ。うひょー。
「佐藤、佐藤宏志です」元気良く答えた。「あ、ピッチャーです」と、付け足した。
清原さんが二軍にいた時でも、遠巻きに見てるだけで話せなかった。
練習後、サインが欲しくて清原さんの後を追ったけど、結局声がかけられず
走り去ってくフェラーリをただ見送るばかりだったよなー。
その清原さんと、俺は、今、話している。感激だ。やったぜ、俺。
さっきまでの恐怖や不安はどこかに消えうせ、言い様のない幸福感に包まれていた。
ぱらららららという音が遠く耳に響き、幸福感に包まれたまま、佐藤はその生涯を終えた。
佐藤の喉元に向けてもう一度引き金を引いてから、清原は足を前に進めた。
死してもなお清原を凝視している佐藤の右手から包丁を奪い取り、陽にかざしてみる。
ぎらぎらと鈍い光を放つ菜切り包丁は、キュウリを切るのに丁度よさそうだ。
清原は包丁を振り上げ、ごつごつした地面に突き立てた。
銀色の薄い刃がぶるんぶるんと波打つのを眺めながら、清原は言った。
「ええ包丁や、なぁ佐藤」
517 :
:01/10/25 02:12 ID:ZmkqB/6X
>>516 清原タンハァハァ……………
原作者が降臨したのかとオモタ、文体似過ぎ!
この清原とあの桑田が激突したら逝っちまいそうだ
518 :
:01/10/25 02:12 ID:epFxCqLe
>>516 佐藤って奴、結局殺されたけどなんか後味のいい話だな。
519 :
:01/10/25 02:23 ID:3UDAkdWR
>>506 斎藤タンが初めて殺しを…初殺人が河原ってのもなんかイイ!
桑田もなにげに良い奴だったり?
>>516 キヨ…カコイイ!佐藤も殺された中ではいい最後だったなぁ…
520 :
:01/10/25 03:18 ID:vXvpnTwn
>>516 佐藤…そんなんで有頂天になるなよ(w
「うひょー!」って台詞は佐藤が広島出身ってのと掛けた?
521 :
:01/10/25 08:11 ID:CTaJqE6W
がんがれage
522 :
::01/10/25 14:29 ID:hBO9k2xS
佐藤くん、かわいすぎる…!
うひょー!
523 :
:01/10/25 14:35 ID:NtVBZxtP
文章いっぱい増えたなーとおもてたら…
嘘っ!河原死んじゃったの!?しかも雅兄さんに…
佐藤タン、カワイイなー。死ぬには惜しいよ
525 :
:01/10/25 16:28 ID:LjCIZKKs
かわいいの意味が違うage
526 :
ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/10/25 16:42 ID:533Ylhtb
527 :
?:01/10/25 17:59 ID:wpp1KIB3
>>524
佐藤は笑顔がいいんですってば。
528 :
:01/10/25 18:28 ID:wFO6zVSt
以後構ってちゃんは放置sage。
>>516読んでたら入団したての李が清原見て挨拶した時「大阪弁使わんかい!」と一喝され
ちびったのを思い出した(w
529 :
:01/10/25 19:15 ID:8ZyGiK03
530 :
:01/10/25 19:22 ID:DeC1CVbQ
マターリいこうよ
531 :
:01/10/25 19:28 ID:nOpupMQR
63 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/10/23 22:19 ID:us7kOSWH
中日バトロワはクソつまらん、そもそもヘタクソ過ぎ。
それに比べて読売バトロワはクソ面白い、やはり作者のレベルの差。
532 :
:01/10/25 20:51 ID:l+8s09j8
524の真木が・・・
533 :
:01/10/25 22:36 ID:KHXlGKFT
ちょっと危ないような気がするので age
534 :
:01/10/25 22:41 ID:63OAPXgG
あげとこ。
535 :
:01/10/25 22:45 ID:r3rHf/5M
「読売巨人軍バトルロワイアル」は
今この瞬間から始まった…という設定なのだろうかと優勝の余韻にひたりながら思う
今ごろシゲヲが「Yはヤハウェ! Gはゴーダマ」と言いながら川上を赤バットでぶん殴ってると思うと…藁
536 :
:01/10/25 22:49 ID:meldIvnH
それ怖いなあ
三澤早く逃げろー
537 :
:01/10/25 23:22 ID:wv/Jg+ew
>>535 ・・・・ひいいい・・・・・(怖
鉄、弟を自分とこに引き取れ
538 :
:01/10/26 00:21 ID:WtCIwO4B
凄い勢いで下がってる・・・・
539 :
abe:01/10/26 01:03 ID:okuXeOYS
(・。。・)
540 :
:01/10/26 07:35 ID:Z6+JklXg
541 :
:01/10/26 10:39 ID:Q6hPX26l
age
542 :
:01/10/26 10:53 ID:B6s3BOQP
背後で響いた銃声に、三沢は姿勢を低く保ったまま振り返った。
斎藤は居場所をずらしたのか視界に人影はなく、ただ灯りが風に揺れていた。
付近を見渡したが、かなり丈の高い草が茂っていてろくに見えない。
三沢は思わずち、と舌打ちした。
多少は距離を置かないとまずいにしても、あまりに離れ過ぎだった。
ことが起きたときに即座に対処できないのでは斎藤に張り付いている意味もない。
すでに完全に出遅れたことは明らかだったが、
それでも三沢は音を立てぬよう細心の注意を払いつつ前進をはじめた。
確認しなくてはならない、誰が斎藤を襲ったのか、どういう結果が出たのか。
残っているのが斎藤ならいずれは詰めねばならない距離だ、
ことを収めてどうしても気の緩む今詰めておくのがいいに決まっている。
逆に斎藤が死んだのであればこのまま始末をつけてしまっても良かった。
斎藤の持っていた薬を狙う連中には、誰が斎藤を仕留めたか知る術がない、
薬を奪った奴は斎藤のような撒き餌の役目を果たさないのだから。
やがて人の声が三沢の耳に届いた。弱々しくて内容までは聞き取れなかったが。
続いて、これは斎藤とはっきりわかる声が
ひどく沈痛な色を湛えてチームメイトの名を呼んだ。
河原、と。
つまり、河原が仕掛けて返り討ちか。
(――あの人もな、詰めが甘いんだか運がないんだか……)
マウンドでも私生活でも、いいところでひっくりかえるような感じのことがあった。
そんなときは、身体が細いのもあってえらく痛々しく見えたものだ。
まあこれからは二度と、そういうこともないわけだが。
それはともかくもう少し寄っておこうか、と思ったところで
視界に大きな動きが見え、三沢はぎょっとして前進を止めた。
灯の近くに誰かが現れていた。
別にいきなり湧いて出たわけではない、横になっていたのが起き上がっただけだ。
理屈ではそうわかるのだが驚かされたことに変わりはない。
灯に照らし出された横顔は、三沢をさらに驚かせた。
543 :
:01/10/26 10:53 ID:B6s3BOQP
桑田真澄だった。
それが桑田だとわかった瞬間、三沢は思わず一段姿勢を低くし息を殺していた。
まさかこちらに気付いていようはずもないのだが。
(斎藤さんと桑田さんが一緒に……?)
もちろんこの状況だ、行動を共にしているということなのだろう。
斎藤に比べるまでもなく、桑田はどこか計り知れないところのある相手だ。
このゲームにおける怖い選手リストを作るとしたら、迷わず一桁順位に入れる。
ああして火を焚いて、敵をあえて誘き寄せるというのも
斎藤でなく桑田の発案なのだとしたら頷けた。
護衛はしてやるから囮になれ、悪い取引ではないはずだ、とでも持ちかけたのか。
(……やっぱり桑田さんは怖いな)
三沢は背筋を寒くしながらその姿を見つめた。
やはりこちらには気付いていないらしく、桑田は立ち上がり三沢に背を向ける。
桑田の背中が茂みを割って消えるのを見届けて、三沢は詰めていた息を吐いた。
(しかしまあ――結果オーライ、だったかな)
河原と斎藤の争いに乗じて行動を起こしていたなら、そこまでは順調と言えても、
ノーマークだった桑田にあっさりやられていたかもしれない。
斎藤から距離を取りすぎたこと、桑田の存在を見落としたこと。
単体ならどちらもミスだが二つ重なったことで帳消しになったわけだ。
こういうのを勝ち運があるというのかもしれなかった。
ならばそれを逃がさないためにはどうするべきか。
三沢は腕時計へ目を落とした。
あと1時間余りで6時。日の出はそれより少し前だろうか。
日が昇れば斎藤と桑田も動くだろう。仕掛けるならその前がいい。
ただし相手は二人だ、なにかきっかけが欲しかった。
それこそ誰か寄って来てくれれば文句なしなのだがそう都合良くはいくまい。
二人を引き離す手頃な手段を思いつけば試してみてもいいが、
咄嗟には出てくるものでもなかった。
ただ単に不意を打ったとしても、初撃で一人戦闘不能に追い込めれば
さほど問題はないような気はする。しかしリスクは大きすぎるか。
まあ、斎藤と桑田の動き出しは日の出というよりは放送が終わるのを待って、だろう。
それまでは様子見を決め込むことにして、三沢は再び座り込んだ。
そんなわけで「血の臭い」は歯茎でした。
桑田が見えてなかったので斎藤が頃したものと誤認していたのです。
……番長は来るんかなあ、来ないんかなあ……
545 :
:01/10/26 11:57 ID:Xma5+hCX
保存屋助手です。
>>544 あ、そうでしたか。498を思い切り河原絶命後に持ってきてしまいました。
修正しときます。いそいそ。
546 :
:01/10/26 13:30 ID:uaswsZiF
斎藤、桑田、三沢の三つ巴になるのかな…ドキドキ
547 :
:01/10/26 13:40 ID:S6J2Yvsh
保存屋助手、再びです。
何だか
>>544の職人さんの種明かし?がきっかけになったのか、
これまで少しずつ更新してたんですが、大きく編集加えました。
やはり、ある程度ストーリーがまとまったところで編集したほうが
適度にまとまり、適度にバラけて良いみたいだ。
真木の話も、無理なくうまく取り込めたと思う。よければチェックしてみてくれ
>>511 >>540 過去ログハケーン、お疲れ様。リンク張りなおす一手間が省けた。ありがとう。
入来祐作は目を開くと同時に激しく咳き込んだ。
頭が熱く、痛い。肺が必死で酸素を取り込もうとする。
(・・・生きている!?)
どういうことだ。
三澤と格闘し、確かに自分が持っていた銃を奪われ、その銃口が額へ押し当てられた
ことを憶えている。そこで入来の意識は途切れた。
極度の疲労状態と気管を圧迫された事に加えて、一瞬精神の糸が切れたことが心身の
限界を超えさせてしまったのだろうか。
(はは・・・・だらしのねぇ・・・)
入来は思わず自嘲した。なんとまあ、無様なことだ。
と、同時に、疑問が湧いてきた。
何故、三澤は自分を殺さなかったのだろうか、と。
まさか気絶した自分を死んだものと思いこんだ訳もあるまい。また、無防備になった
人間に温情をかける、というようにはとても見えなかった。
軽く首を振ったとき、視界に丁寧に置かれたボウガンと矢が目に入った。
(・・・・?)
自分が持っていた銃はない。三澤が持っていったのだろう。変わりにこのボウガンを
置いていったのか?
(何を考えている?)
三澤が凄まじい殺気を自分へ向けたのは、兄のことを出したときだ。
あの様子から見て、どうやら今回のゲームに関して言えば、三澤は兄とは会っていない
らしい。確かにあの放送では兄の名は無かったが・・・。
立場的に言えば、兄と三澤は似たような位置にいる。いや、恨みを買うなら兄の方がもっ
と恨まれるだろう。三澤よりも先に強制参加させられてもおかしくはない。何故、兄は
参加させられていないのか・・・。
答えは案外あっさり出た。
(古田さんか・・・)
球界随一の頭脳を持つと言われているあの男。あるいはあの男なら、このゲームのことを
知ってチームメイトを守ろうとするかも知れない。渡邊と裏取引の一つや二つやれそう
だ。
ならば自分へ三澤が殺気を向けた理由も判る。
立場は同じなのに、チームに守られた男と、守られなかった自分。
三澤が憎しみを兄へ向けるのも判る。
その憎い相手の弟で在る自分へ殺意を持つのも。
だが、何故生かしておいたのか。
(・・・!そうか・・・)
あの男は兄の参加を待っているのだ。その上で、自分を目の前で殺して兄に地獄を味わ
わせ、更に兄の命を奪うつもりで居るのだ。
入来は歯を食いしばった。
死に瀕した休息が、入来に奇妙な冷静さを取り戻させた。
この分ではスタート地点まで戻ったところで、あの狂人どもに遭遇できるとは限らない。
もし出来るならあの狂人たちを殺してしまうことが、自分にとって出来る最大のことでは
あろうが、冷静に考えればあいつらがふらふら外を歩いているわけもない。
ならば、別の方法だ。
このゲームをとっとと終わらせてしまうのだ。
どんな形ででもいい。ゲームオーバーを迎えさせ、延長出来ないようにする。
そうすれば兄は参加させられないで済む。兄を守ることが出来る。
兄が古田らの庇護下にある内に、このゲームを終わらせなければ。
それに、三澤を勝者にするわけには行かない。
ゲーム終了でも彼が生きて帰れば、必ず、兄を害しようとするに違いない。
入来はボウガンを手に立ち上がった。
もう体の感覚は平常に戻っているようだ。
(有り難く、使わせてもらうことにするぜ・・・)
もうしばらくすれば、あの胸の悪くなるような放送があるだろう。
その中に三澤の名がないようであれば。
入来は静かにボウガンを握りしめた。
549 :
:01/10/26 14:27 ID:XmUpWePp
うわー!!入来まで!三沢を追うということは桑田や雅樹兄さんとも
遭遇するのか??本当、血の海になりそうだ…
550 :
:01/10/26 15:36 ID:CdtrPDeM
どどどどどどうなっちゃうんだあああ。
きたいあげ。
551 :
:01/10/26 15:52 ID:1GLqLd9g
灯台編の続きは?
552 :
:01/10/26 19:53 ID:e/WkRCKa
入来と三沢と桑田と斎藤雅の4人がハチ合わせるのかな?
それぞれライターさんが違うみたいだから個々ライターさんに期待
553 :
:01/10/26 20:12 ID:d2i2n51l
ミナコ氏ね
554 :
:01/10/26 21:18 ID:K76IGeHJ
ピッチャー4人はすごいことになりそうでドキドキなんだからネ!
ところで阿波野コーチはどこへ・・・
あと由伸も最近見当たらないので若手ハンティングとかきぼん。
555 :
:01/10/27 02:12 ID:B6d1Cs6L
556 :
:01/10/27 02:14 ID:QFCGUTLV
灯台編が読みたい
>>555 おお!本当に作って下さったとは…こちらの鯖は即急に対処してくれたので
今は大丈夫です。本当にいつもありがとうございます>保存屋助手さん
558 :
ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/10/27 05:54 ID:jFMnv1Q6
若手2人が隠れてて片方が食料を探しにいってそれに毒を仕込んで
そいつが毒を仕込んだ食料を持って帰ってきたら後ろからもう片方のやつに殴り殺されて
殴り殺したほうの奴が殺されたやつの毒入り食料を食って二人とも結局死んじゃうって話いいと思わん?
誰か書いて・・・
559 :
:01/10/27 09:53 ID:wYY5Qjtg
ミナコ氏ね
560 :
近藤健太:01/10/27 09:55 ID:Ml2BnJMj
本物のバトルロワイヤルを昨日見ました。
561 :
ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/10/27 16:23 ID:TjSfREqF
下がりすぎage
562 :
支給品に関して:01/10/27 16:57 ID:M44Zybfa
阿部・・・拳銃(名称不明)
入来・・・自動拳銃(名称不明)
内薗・・・拳銃(名称不明)
江藤・・・ボウガン
大場・・・ヌンチャク
小田・・・包丁
小野・・・三味線糸
柏田・・・拳銃(名称不明)
川相・・・ショットガン
河原・・・拳銃(名称不明)
河本・・・拳銃(名称不明)
木村・・・拳銃(名称不明)
清原・・・イングラム
工藤・・・拳銃(名称不明)
後藤・・・拳銃(名称不明)
斎藤(宜)・・・二丁拳銃。多分ルガー
斎藤(雅)・・・?→薬品セット
佐々木・・・リボルバー拳銃(名称不明)
佐藤・・・包丁
清水・・・探知機
條辺・・・拳銃(名称不明)
563 :
支給品に関して:01/10/27 16:58 ID:M44Zybfa
高野・・・コルトガバメント
高橋(尚)・・・フォーク
高橋(由)・・・鎌
田畑・・・包丁
仁志・・・アイスピック
西山・・・鉈
根市・・・特殊警棒、特別付録(毒薬)
野村・・・防弾チョッキ
平松・・・ナイフ
福井・・・拳銃(名称不明)
松井・・・ナイフ
マルティネス・・・自動拳銃
南・・・ナイフ
宮崎・・・金属バット
メイ・・・短刀
元木・・・拳銃。(名称不明)
安原・・・ワルサーP99?
吉永・・・ナイフ
上原・・・デリンジャー
桑田・・・折り畳み傘、ナイフ
三沢・・・バール
こんだけしか分からん。誰か詳しくまとめてくれ。
564 :
:01/10/27 17:34 ID:Fa9AXoqt
>>562 桑田と安原の死球品、じゃなかった支給品がチョト違う
桑田・・・拳銃(チェコ製)、折り畳み傘
安原・・・ワルサーP99?、ナイフ
チェコ製の拳銃は斎藤(雅)、折り畳み傘は二岡の手に渡り
ナイフは桑田が安原のデイバックを探っててハケーン。
けど、今まで出てきた武器で一番さまよってるのはボウガンだな。
江豚→小野仁→三沢→入来。
565 :
:01/10/27 19:31 ID:rNewKkeI
>>565 ???下がりすぎてたから上げただけなのに何故氏ななきゃいかん?
567 :
:01/10/27 20:03 ID:j23uc8yG
>>566氏ね
今までの自分の書き込みを考えてみろ
ヤイコ関係抜きで
568 :
:01/10/27 20:16 ID:1aeDSpuq
ケンカはよそでやってけろ
570 :
:01/10/27 20:34 ID:ZhRaOQ0b
今現在の生き残り選手達の持ってる武器は分かっている限り…
清原…イングラム
由伸…カマとリボルバー拳銃?
松井…ナイフ
川相…ショットガン
二岡…傘
清水…探知器とナイフ?
斎藤雅…チェコ製拳銃、薬品セット
桑田…ワルサーP99とマシンガンとナイフ
三沢…拳銃とバール?
入来…ボウガン
なのかな?うろ覚えなんで断言できないが…
>562
真木→根性はちまき
元木→ワルサーPPK
阿部→S&Wチーフスペシャル
入来→ベレッタM92F
木村→シグ・ザウエルP230・9oショート
後藤→コルト・ハイウェイパトロールマン
佐々木→S&WM19・357マグナム
元木以下は原作通りならこの銃だよリストです。
ところで酒井の支給品がなんなんだか気になって仕方がないんだよね・・・
変な武器好きなんで。映画版番長のはりせんチョップマンセー。
李の側に座り込んだ上野と小野の少し後ろに根市は立ち尽くし、青ざめていた。(最もそれは他の4人も同じだった)
ああ、なんて――なんてことが――これは間違い、間違いなんだ――間違いなのに――
殺してしまった――殺して――友達なのに――守る為だったのに。
だって、そんな、李が飲むだなんて思わなかったんだ。
だいたいほんの一口じゃないか。こんな――こんな強力な物だったなんて――
俺はこんなつもりじゃ――俺が狙ったのは――
「これって――食中毒、じゃ・・ないよな・・・?」上野が震える声で言った。それを受けて山下が返す。
「おれ――さっき味見、した。何ともなかった――これって、こんなのって――」
呆然と黙り込んでいた小野が、山下の言葉を引き取った。「何かの毒・・・・?」
それが引き金だった。
全員(正確には根市を除く全員だが、4人はそんな事に気付きもしなかった)が顔を見合わせた。
そして――
がたっと音がした。川本が、李がテーブルの上に置いたウージーを手にして他のみんなに向けて構えていた。
根市を含めた4人が、反射的に李の死体の横や後ろに動いた。
川本が叫んだ。その目が丸く強張っていた。
「誰だ!誰だよ!誰が毒を入れた?俺達を殺そうとしたのは誰だよ?!」
「やめろ!」上野は叫び、その後ズボンの後ろに差した拳銃の方に手を動かしかけたが
踏みとどまって元の位置に戻した。「銃を下ろすんだ。これは何かの間違いだよ、川本」
川本は今にも銃をぶっ放しそうな勢いだった。どうにか落ち着かせようと、上野は穏やかな声音を出した。
「間違いなんかじゃない」しかし川本は首を振った。もうすっかり逆上していた。
「さっきの放送だともう残りは半分以下だっって言ってたじゃないか。
そろそろ見方のふりしてた奴が正体を現したっておかしくない頃だろ?」
そして小野を見やって言った。「料理してたの、あんただったよな」
小野がぶるぶる首を振った。「俺だけじゃない。山下だって――」
「俺そんな事しません!それなら川本だって根市だって、毒を入れる時間はあったじゃないか!」
それを聞いた小野が、川本に向き直った。「――そうだよ」陰うつな口調だった。
「そんな風にムキになるなんて、お前こそおかしいんじゃねえか?」
「小野!」上野が制したが、遅かった。川本が血相を変えていた。「何だって?」
小野も続けた。「大体、お前ずっと寝てなかったじゃないか。俺見たんだ。
夜中に目を覚ました時、お前が起きてたの。俺らが信用できないって事だろ?それって。何よりの証拠じゃないか?」
「小野!やめろってば!」上野がほとんど絶叫する感じでもう一度言った。「川本!銃を下ろせ!」
上野からも先程までの冷静さは消えていた。
「何だよ、リーダーぶってんじゃねえよ。みんなに毒を盛るの失敗したから、そうやってごまかしてんだろ!」
「川本――」上野は愕然と口を開けた。
根市は2、3歩後退し、ただ呆然としていた。一瞬の内に起こった事の成り行きに体が麻痺していた。しかし――
言わなければならない。真相を説明しなければ――
このままでは何か――何かめちゃくちゃな、とてもめちゃくちゃな事になってしまう。
その時、山下が動いた。流しに向かって右手の壁際、サイドボードへ。そこにはもう一つ、銃器が置いてあった。
ぱぱぱ、と撃発音が部屋に響いた。同時に、山下の背中にまとめて3つ穴が開いていた。
山下はそのままサイドボードにぶつかり、ずずっと滑ってそのまま床に転がった。
誰が確かめるまでもなく――絶命していた。
「川本!何するんだ!」上ずった声で上野が叫んだ。まだ煙を吐いているウージーを構えたまま
川本は上野を睨んだ。「わざわざ銃を取ろうとしたんだ。犯人だったからだ!」
「お前も銃を向けてるだろ!上野!撃てよ、こいつを!」
川本はそう叫んだ小野にちゃっ、と銃口を向けた。その顔はどす黒く変色し、今にも引き金を引きそうだった。
根市の眼に映る上野の顔は、何かの痛みに耐えている様だった。
そして次の一瞬には、その手がズボンの後ろのブローニングにかかっていた。
きっと上野は迷った挙句、川本の手か何かを狙おうとしたのだろう。すっ、と川本が銃口を上野に向けた。
再びぱぱぱ、という撃発音がして上野の体が後ろに吹っ飛んだ。ユニフォームの胸の辺りから血が吹き上げていた。
小野は一瞬だけ立ち尽くしたが、すぐに上野が落としたブローニングに走った。
川本がその体に向かって、再び引き金をひいた。ぱぱぱ、と小野の脇腹辺りから、ユニフォームの繊維と一緒に血が飛んだ。
それから川本は、机を挟んだ向こう側にいる根市に銃を向けた。
「お前は――お前は違うよな?」
根市はただぶるぶる震えていた。震えながら、川本の異常な顔を見つめていた。
その川本の左のこめかみにぱんっ、という音と共に穴が開いた。
川本は口を開き――左手を見た。穴から血がつ、と流れ落ちた。
根市もぎこちなくなった首を動かして、川本の視線を追った。
そこには、倒れた体勢から苦しそうに上半身をあげ、しかし右手にはしっかりとブローニングを構えている小野の姿があった。
川本のウージーがぱらららららと吠えた。意識して撃ったのか痙攣だったのかわからない。
ただ、その弾痕の列は見事に小野の体を貫通した。血の霧が舞い、小野の体が半回転しながら跳ねた。
その首は、あの首輪の上でちぎれかけていた。
ゆっくりと川本の体が前に倒れた。ちょうど李の死体に折り重なる様にどさっと突っ伏し、
それきりぴくりとも動かなかった。
今やただ一人、部屋に残された根市は、ただぶるぶると震えていた。
石の様に硬直した体がぶるぶると震え、その目は変わり果てた5人のチームメイトが倒れた床を眺め回していた。
何か、がしゃんという音が聞こえた時、松井はああ、どじな奴が昼ご飯の準備中に皿でも落としたんだな、
などと呑気な事を考えていた。
しかしそれに続いて、なにやら言い争う声が聞こえてきたので、がばっと身を起こした。
左脇腹と肩口にぎしっと痛みが落ちてきたが、無事な右手を使ってベッドから這い出した。
痛む体を引き摺り、なんとかドアの前に立つと、上野の叫び声が聞こえた気がした。
ドアノブに手をかけその扉を押してみたが、それは何かに阻まれて止まった。
上野は言った通り、鍵をかけていったようだ。松井は溜息をついて諦めてベッドに戻ろうとしたのだが、
その耳にぱぱぱ、というもはや聞きなれてしまった音が届いた。
松井の顔から血の気がひいた。襲撃か?いや、それにしては――ともかく、何かとんでもない事が
起こってるには違いない。
松井は傷付いた体で何とかバランスをとり、かつて清原に教えてもらった前蹴りの要領でドアに足を叩きつけた。
しかし、ドアは頑強にその蹴りを撥ね付け、松井はバランスを崩して床に尻餅をついた。
脇腹の傷がまた痛みを跳ね上げた。
だがそんな場合ではなかった。ぱぱぱ、という音が更に2度続いた。
松井は自分の寝ていたベッドの端を右手で掴むと、それをひきずって一端をドアに当てた。
そしてベッドの後ろに回りこんで、力一杯ドアに向かって叩きつけた。
めきっと音がして、扉がかしいだ。もう一回――
ぱん、という今度は単発の銃声が聞こえた。
ベッドが木製のドアにめり込み、半ばから折れ曲がったドアが廊下側へ開いた。
松井はドアから右手一本でベッドを強引に引き抜くと、床へ倒した。
ぱらららららというあのタイプライターの様な銃声が、開け放されたドアからはっきりと聞こえた。
松井が廊下へ出ると、その一番向こうの部屋の僅かに開いたドアから光が漏れ、それが薄暗い廊下に
冷たい感じの光の水溜りを作っているのが見えた。
ドアの前で折れた角材の一つを手にすると、松井はその部屋に向かった。
もう、なんの音もしなかった。一体何が起こったのか?誰かが襲撃してきたのか、それとも――
松井は慎重にそのドアに近づき、僅かな隙間から中を窺った。そして、見た。
その部屋の中央にあるテーブルを囲むように倒れ込んでいる、いくつかのユニフォーム姿。
その中で、松井に背を向けて立っているNEICHI43とある背中。
倒れている選手達の間に、何丁かの銃が転がっていた。床のそこここに飛び散った血の匂いが、つんと鼻をついた。
松井は驚愕に全身を硬直させていた。その何もかもが麻痺する感じは、あの、大場の死体を見た時と同じ様だった。
一体――何だ?何が起こったっていうんだ?上野が――待っててください――そう言った上野が、倒れている。
他にも4人、倒れている。死んで、いるのか?死んでしまったのか?
松井の目の前にいる根市は、銃を手にしていなかった。ただそこに、立ち尽くしていた。
松井は茫然としながら、ゆっくりドアノブをひき、部屋に入った。
それで根市がくるっとこちらを向き、松井を血走った目で凝視したかと思うと、床に転がった拳銃に飛びつきかけた。
同時に松井の呪縛も解けた。手にした角材をバックホームでもするかの様に、思い切り根市の目の前に向かって投げた。
おかげで体がぎしっと痛み、松井は顔を歪めた。角材は根市の眼前でばん、と床に当たって跳ね返った。
根市は両腕で顔を覆って、そのまま血がこびり付いた床に尻餅をついた。松井はその銃の方へ走った。
この訳が分からない状況で、根市が銃を手にしたら絶対ややこしい事になる。
根市はそれを見て「ひっ」と叫ぶと体を起こし、部屋の奥にあるもう一つの扉から逃げ出した。
かんかんかんと金属的な音が聞こえた。階段、か――?
松井は根市の消えた後をしばらく見つめていたが、はっと気付くと上野に駆け寄り、傍らに膝をついた。
上野のユニフォームの胸に、穴が開いているのがわかった。体の下に、血が、広がり始めていた。
その目は眠る様に穏やかに閉じられていて、僅かに開いた口からは――
もう、息はなかった。
「あ――」
松井はこのゲームが始まって以来、初めて自分の目に涙が溢れてくるのを感じた。
ほんの数分前に言葉を交わしたのに。
『待っててください』そう言って、出て行ったのに。
何分後かには、できたてのシチューを持って、戻ってくるはずだったのに。
『良かった、気が付いたんですね』
『松井さんにはやっぱりみんな、尊敬って言うか憧れって言うか、そういう物持ってるんですよ』
目の前の不思議に穏やかな顔が、そう言って笑った顔とだぶった。
松井は周りを見回した。確認するまでもなかった。
李景一の顔は変色し、口から血の泡がこぼれていた。うつ伏せに倒れた川本大輔の頭の下には
血だまりができている。山下浩宜は背中に数個穴が開いており、小野剛は首が――ちぎれかけていた。
全員が、既に息絶えていた。
なんて――なんてこった――
ここにいるのは、全員ルーキーなんだ。やっとプロになって、夢や希望に溢れていただろう。
これからじゃないか。これから知る事のできた、喜びや感動がたくさんたくさんあった筈だ。
やり残した事だって、いっぱいあっただろうに――
突然こんなクソゲームに放りこまれて、こんな所で、なんで死ななきゃいけなかったんだ。
なんでこいつらが、死ななきゃならないんだ。
松井の目からぼろぼろと涙がこぼれ落ち、上野のユニフォームの上で小さく弾けた。
「く――」松井は唇を引き結ぶと、先程根市が手を伸ばしたブローニングを拾い上げた。
そして根市が消えた部屋の突き当たりのドアへ歩いた。実際に体が傷ついている、という事以上に体が重かった。
銃を握った右手で目元を拭うと、ドアの向こうへ出た。そこはコンクリートが剥き出しになった、円筒状の空間だった。
灯台だ。これが灯台なのだ。中央に太い鉄製の柱があって、それをらせん階段が取り巻いている。
「根市!」松井は叫びながら階段を上り始めた。「何があったんだ、根市!」
階段の上、根市の姿は見えなかった。しかし――「うわあっ」という根市の声が聞こえた。
松井は眉を寄せ、その足を速めた。脇腹の傷がじくじくと痛み出していた。
再び出血が始まったのか、包帯が湿り始めた気が、する。
576 :
:01/10/27 21:04 ID:jWKVve3s
わー! 灯台変大詰め!!
のんきに原作めくって誰がどの銃だったか調べてる場合じゃなかったんだからネ!
577 :
:01/10/27 21:15 ID:KARmckoj
>>569ミナコ氏ね
63 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/10/23 22:19 ID:us7kOSWH
中日バトロワはクソつまらん、そもそもヘタクソ過ぎ。
それに比べて読売バトロワはクソ面白い、やはり作者のレベルの差。
732 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/10/27 05:41 ID:jFMnv1Q6
はっきり言って今のドラゴンズは何の魅力も無い。
578 :
:01/10/27 21:20 ID:VWfS6O0k
頼む。
ミナコはこのスレに書きこまないでくれ。荒れる。
ミナコが正しいか正しくないかは関係ない。
善意の気持ちがあるなら書きこまないでくれ。
スレを荒らさないためにも。
どうしても書きこみたいならば、そのコテハンをやめてくれ。
いいか、別にミナコが正しいとか正しくないとか言ってるんじゃないぞ。
とにかくもう書きこまないでくれ。荒れるから。
579 :
:01/10/27 22:14 ID:RmPyb8sO
580 :
:01/10/28 00:51 ID:bqL7hN7w
21 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/10/23 22:49 ID:us7kOSWH
セリーグで一番影の薄い球団。
581 :
:01/10/28 01:32 ID:rVakr+cI
灯台編…続きを考えると…ハアハア
あと桑田、斎藤、三沢、入来(?)の投手陣四つ巴も気になるんだからネ!
早くはちあわせないかな…
582 :
:01/10/28 01:50 ID:WxRhmhcw
すごい!!ホントに職人さんたち凄いです!!
583 :
:01/10/28 02:07 ID:vQ66X5Ma
age
「平松!やばっ!あれ見ろよ!」
三沢がギョッとするように声を上げる
あれ…?なんで三沢さんが…
近鉄に行ってしまった筈なのに…そして広がるのは多摩川のグランド…
「本当だっ!三沢さん!はやくとんぼ貸して下さい!」
平松は慌てて二軍で調整中であった三沢と一緒にとんぼを持ってグランドに出る
「さ、斎藤さん!ここは俺達が整備しますからっ!」
「いや、もうそろそろ終るからいいよ。向こうの方をやってくれ。」
かなり早めに来た自分達よりもさらに早く来ていた斎藤は既にとんぼかけを始めていたのであった。
同じく怪我で調整中とはいえあの斎藤にとんぼかけなどさせるなんて…平松と三沢は狼狽する
ように顔を見合わせるが平気な顔で本当に久しぶりなのであろう、慣れない手つきでとんぼかけを
する斎藤に一礼すると慌てて端の方に走って行く
「マズイよなー…斎藤さんより後にとんぼかけしちゃうなんて投手としてマズいよ。」
いつものようにのんびりした口調で少々わけのわからない事を言う三沢に平松も頷く
「本当、斎藤さんも後から堂々とやって来て欲しいですよね…」
大物として練習開始直前に悠々とやって来て欲しいと平松はため息をつく。斎藤としてはここで
練習する者としてとんぼかけをするのは当たり前だという考えなのだろうが自分達若手にして
みればその存在自体が重いものなのだからあくまで大物として君臨して欲しいのであった
「だよね。ほんと早く一軍に上がって欲しいね。あ、気を使うからという意味じゃないよ、
なんかさ…あれほどの人が俺達と同じ事をしているのって少し悲しくなるから…」
少し視線を落として三沢は言う。平松は三沢のこういう優しいところが好きであった。
自己主張が得意でない平松にとって三沢のような投手には珍しいのんびりした人間は
親しみやすいものでもあった
「三沢さんも人の事言ってる立場じゃないですよ。早く一軍に上がらないと…」
「そうだったね…でもそれはお前も一緒だろ?みんな頑張っているんだから早く俺達も
貢献しないとね。」
「ですね!さ、早くやっちゃって練習しましょう!」
平松は気合い入れるようにせっせととんぼかけに集中する。そしてふいに三沢の居る
方向を見るがそこには三沢の姿は無かった
「…三沢さん?」
そしてグランドの風景も霞んでいく…
585 :
:01/10/28 03:08 ID:IojYOdni
ズキンッ、という大きな痛みで平松はハッと目を見開く。どうやら麻酔が切れかかっているらしい
「つっ…」
傷口も開いているようだ。誰も居ない部屋で平松は眉をしかめる
(どうして三沢さんが出て来たんだろう…)
近鉄で今頃は優勝を満喫している三沢の夢をどうして見たのか…あの夢は二軍時のほんの一コマに
過ぎない。あのおっとりした優しい選手の夢を見たことに平松は少し安堵するように笑う
(よかったな…近鉄に行ってくれて…)
よもや三沢がこのゲームに参加する羽目になりヤル気になっているなど思いもよらない平松は、
あの優しい人が本当にここにいなくてよかったと思うのだった。そして斎藤も出てきた事を
思い出すと激しい罪悪感に襲われる
(まさか…あの時はこんなことになるなんて思いもよらなかった…)
とんぼかけ程度で恐れ多いと萎縮していたのが嘘のようである。それどころか今、斎藤は自分
の為に命を張ってるのだから…こんな若手選手の為に自害してしまった優しすぎる人が
この狂気のゲームの中に飛び込む羽目になったのだ
「斎藤さん…」
痛みに眉をしかめながら平松はつぶやく。斎藤の後を追って自害してしまった自分…
結果斎藤を追いつめてしまった、そして自分を追いつめたのもまた斎藤であった
「何が…悪かったんだろう…」
あのまま二人して息を引き取っていればずっと楽であっただろう。だが、それさえも
球団は許してくれなかった。そして自分を利用して斎藤をこんなゲームに再び参加
させた球団にドス黒い怒りを燃やす。傷はさらに開き、とうとう麻酔も殆ど切れて
しまった。気の遠くなりそうな痛みに襲われながらも平松はその瞳を燃やす
(…絶対に生きて…会わなきゃならない…)
ここに来る斎藤に会わなくてはいけない。絶対に彼は来る…疑いもなく平松は思う。
彼に一目会うためなら…この尋常でない痛みなんて越えてみせると
(会って…何て言おうかな…)
この体が動くものなら土下座でもしたいくらいだがそうはいかない。会ってどうし
ようか…そう想いを馳せようとするがいよいよ傷は音を立てるように痛みだし、
意識さえ霞んでいくが、こんな痛みなど何だ…己を奮い立たせながら平松は汗を
浮かべてただ痛みに耐えるしかなかない。栄養失調だけは避けようという意志なのか
点滴だけは付いているが傷の痛みには何の役にもたたない
「どうやら麻酔が切れたみたいだな。」
いつの間にそこに居たのだろうか、水野の声が聞こえる
「そんなに頑張っても無駄なのにな。斎藤は俺が殺す…アイツだけは俺が殺す。」
ただコーチの座を奪われるから、という理由だけではない水野の暗い殺気を平松は痛みで
眉をしかめながらも感じる
「俺はアイツより一年遅い入団だったが…昔っからアイツが嫌いだった。最初はどうしよ
うもないノーコン野郎だったのがサイド変更した瞬間に大成功、そこで天狗にでもなれば
可愛げがあるものを…正直何を目標に投げてるんだか分からん奴だった…」
いかにも斎藤を嫌う者などいるのか、という顔つきになる平松に水野は冷笑する
「お前等何も知らない若手はあんなに凄い投手なのにまったく鼻にかけるとこもなく、なんて
良く出来た人なんだろう、なんて思うんだろうがな…ただ天狗になるほどの自信もない気弱な
奴なだけだ。」
訥々と毒づく水野は平松に語る…というよりも独り言をつぶやくように宙を睨む
「アイツはがむしゃらになって何かを求める事さえ出来ない奴なのに…エースの座も実績も
記録も名誉も手に入れたどころか俺からコーチの座まで奪おうとする…これを許せるわけ
ないだろう?」
まだ手段を選ばず、自己顕示欲に溢れ、あがいて手に入れたのならよかった。だがいかにも
求めずして手に入れたような感じが余計に言い様のない暗い憎悪にさせる
「…俺はアイツを殺す。アイツはお前にたどり着く寸前で味わった事のない無念と嘆き、悲しみ
俺への憎悪で殺されるんだ、俺が血の海にしてやる…」
すでに激痛の為に意識が遠のきかかっている平松に水野は冷酷に笑う
「だから頑張っても無駄だ…そのまま生きるのを諦めればすぐに楽になるぞ?」
だが平松は微かに首を振ると絶対に諦めるものか、絶対に斎藤は来るとなおも痛みと戦うよう
に歯ぎしりする
(耐えるんだ…)
点滴は打たれている、あとは自分がこの激痛に負けずにいればまだ十分生きる事はできる…
敵はただ一つ…もう駄目だ、と思わない事だけだと平松はさらに歯を食いしばるのであった
586 :
:01/10/28 03:37 ID:eC1wCJh8
マジで久しぶりだよ!>平松
昔の三沢とのやりとりが泣けるね・・・
水野も卑怯キャラになること間違いなし!卑怯な手ぇ使って戦いそう
587 :
:01/10/28 03:55 ID:3lSGZFjq
結構悲しき嫉妬キャラクターかもだ、水野。
対雅兄ぃ→俺よりずっとすごい実績残してて、聖人ヅラしやがって!
対桑田→工房時代のトラウマ+プロ入ってからも技術的にも実績でもあっさり追い抜かれた
清原じゃないけどなんで同じ時代にこんな奴らが俺と同じ投手として出てきたんだ!と思ってたりして。
ところで雅兄ぃと水野が一年違いとははじめて知った
水野て甲子園のイメージ強くて結構若く思える。
588 :
:01/10/28 14:16 ID:OQtAKWuW
>>587 水野ってたしか斎藤よりいっこ下だったっけ?あんまそう見えないねぇ
つーか斎藤も年齢不詳に見える。昔から顔変わんないしね
斎藤と水野も殺し合いになるだろうねぇ…楽しみ
589 :
:01/10/28 14:21 ID:Kk/aDLrk
そろそろあげ
590 :
:01/10/28 17:14 ID:XThWv7+p
これはもしかして・・・
平松の枕辺で斎藤雅やら水野やら桑田やら清原やら三沢やら入来やら入り乱れてしまうのですか?
収拾つかないかそれじゃ・・・
591 :
:01/10/28 17:52 ID:Zrqp8r5i
そういえば、桑田は松井も見つけなきゃいけないんだよね。
592 :
591:01/10/28 17:57 ID:Zrqp8r5i
あ、桑田は二岡を助けたあとに斎藤を探しにいったんだっけ。
灯台編が過去の話だったのを忘れてた……。
593 :
:01/10/28 20:39 ID:4JMlTzNz
594 :
:01/10/28 20:54 ID:3Rv0ETqW
ミナコ氏ネ
595 :
:01/10/28 21:07 ID:E/Le6HSa
これからの対決どうなっちゃうんだろう。
平松VS水野VS斉藤(&桑田?)
三沢VS入来
それに清原、松井、二岡と川合…うーん楽しみだ。
596 :
:01/10/28 22:14 ID:5QKUoQ+X
ミナコ氏ね
597 :
:01/10/29 00:09 ID:3W18KKTn
平松の枕元でじゃなく朝の放送が終ったあとに入り乱れそう
斎藤(桑田?)VS三沢、三沢VS入来の後に斎藤(桑田?)VS水野
なのかな?楽しみー
どことなく夢の中にいるような感覚で、五十嵐は廊下を歩いていた。何なんだ一体。これは何の冗談なんだ?
狂乱する入来の顔が、古田の威圧する眼差しが、そしてガルベスの恐怖に歪む顔が、何度も脳裏をよぎっていた。
ついさっきまで、まるで想像もしなかった世界。けれど、その世界はこんなにも近かったのだ。「あ、五十嵐さん」
声に視線をあげると、向こうから藤井が歩いてくるところだった。その世界を藤井はまだ知らないのだな、などと五十嵐はぼんやり思った。
「あの、知ってます?今ここに意外な人が来てるんですよ」
藤井の言葉に、五十嵐は心臓を鷲掴みにされたような感触を覚えた。
ガルベスの事か?ガルベスの事なのか?そんな。そんな馬鹿な。
「え、ええ?一体、誰が、来ているんだ?」
狼狽していることをはっきり自覚しながら、五十嵐は藤井の顔を見つめた。
藤井の顔は至って普通だった。そこには翳りは一切見受けられない。・・・・ガルベスではないのか?
考えてみれば、藤井がガルベスの事を知ってもなお、いつもの様に声をかけてくるだろうか?それはあり得ないだろう。
「なんか凄いびっくりしてますねぇ。いや、俺も誰か聞いた時には驚いたんですけどね、それが何と」
「森のオッサンいうやないか」
声は不意に背後から聞こえた。驚いて稲葉が振り向くと、いつの間に来ていたのか、古田が背後に立っていた。
「あ、知ってたんですか、古田さん」
呑気な声で藤井が尋ねる。
「ああ、たった今内線で呼び出されたわ。なんや知らんが俺に用があるらしい。移籍してくれ言うかもしれんなぁ」
「ええ、そりゃ勘弁ですよ古田さん〜」
軽口を言う藤井の目は笑っていた。それは古田を信頼しているからなのだろう。
しかし五十嵐は知ってしまった。古田がいざというときどんな行動を取れるかを。
確かに、他に方法は無かったのだろう。けれど、何かが・・・・
「んじゃ、俺は行くわ。五十嵐、お前少し休んでおけよ」
軽く手を挙げて、古田は去っていった。五十嵐は割り切れない思いのまま、その背中を見送るしかなかった。
600 :
:01/10/29 02:06 ID:bmVUPO3W
600age
601 :
:01/10/29 02:09 ID:QczKN7tn
森までからんできたのか…どうなるんだろうねぇ
602 :
:01/10/29 02:11 ID:T7Vs4exp
も、森? 森!?
そういや堤にあやしげな封筒を渡されてたな・・・・・・
清原に賭けてるんだよね、森・・・
603 :
:01/10/29 02:17 ID:lIcKmJV7
本編もサイドも見逃せ無いな・・・
藤井もそれっぽいっす
604 :
:01/10/29 02:29 ID:eF3pvv/p
藤井が五十嵐に敬語使うのって変ではないん?
プロ入りが早い方がえらいからいいのか。
605 :
:01/10/29 02:48 ID:T7Vs4exp
>>598,
>>604 ちょうど「素朴な疑問スレ」でも「どっちが目上か」という疑問が出てたよ。
プロ入りの早い遅いや実績の有無、プロアマ問わず「年齢順」で敬語は使われるとか。
年上=それだけ野球をやってる年月が長い、という考え方からだそうだ。
小宮山や歯茎のように浪人した選手はよくわからんが、とにかく。
五十嵐は1979年(昭和54年)、藤井は1977年(昭和52年)生まれだから
藤井が五十嵐に敬語…は違ってるかなやはり。
606 :
Yu:01/10/29 04:11 ID:EEgHgF3D
話しは飛ぶが名著「巨人軍に葬られた男たち」(新潮文庫)を読むべし。巨人がもっと嫌いになる。
607 :
:01/10/29 08:20 ID:iqWkjnyL
608 :
:01/10/29 11:27 ID:hWblpnFE
森…どうなるんだー…!!
かなり期待あげ。
609 :
:01/10/29 12:05 ID:JqqXc5JG
>>607 もうミナコって人書き込んでないよ
いなくなってる後で延々と書き込まれてもここの人たちが困るだけじゃん
>>605 基本的に年齢で上下がきまると聞いた事がある
まあ実績によって個人間での上下もあるとおもうけど
場違いかと思うが元かぷの佐藤裕(今年自由契約)は巻き込まれないで済むのかな?
ホッとすると同時にちょっと残念
ドラロワでは紀藤もやられてたし
611 :
:01/10/29 15:26 ID:yt9fAf1W
>>605 歯茎は由伸と同じ歳だから「由伸」って呼び捨てにしてる。
二岡は年齢的には歯茎の方が1つ上だけど、同じ学年ということで「上原」って
呼び捨てにしてる。ちなみに二岡は由伸のことは「由伸さん」って言ってます。
612 :
:01/10/29 16:03 ID:5/ZlJQwF
中日前田がロッテ時代、
後から入団した河本に呼び捨てされ、前田は「河本さん」と呼んでる映像を見た。
やっぱ年令なんだろう。
(前田70年生まれ・88年入団、河本67年生まれ・91年入団)
613 :
:01/10/29 18:06 ID:OYz+tlUP
あれ?たしか村田真って斎藤より一つ年上の一年前入団なのに
斎藤にタメ口(さん付けはしてるけど)されてた気がする・・・
>>610 広島東洋カープバトルロワイヤルでもやってはどう?(w
結構面白そう。俺的には斎藤の役どころって大野っぽいな・・・と思う
なんとなくこの二人って似てない?
614 :
:01/10/29 18:22 ID:MTLMteji
>>613 阪神タイガースバトロワの方がやって欲しい、けど清原みたいなキャラが一人も居ないんだよね・・・・
615 :
:01/10/29 18:44 ID:eC9LOcsH
やって欲しい、じゃなくて自分で先鞭をつけなきゃ、ね
616 :
:01/10/29 18:46 ID:aP8rtZLp
>614
赤星とかどうよ?
617 :
:01/10/29 18:47 ID:aP8rtZLp
スマソ
sage忘れた。
618 :
:01/10/29 19:01 ID:MTLMteji
619 :
:01/10/29 19:32 ID:73HuFoa/
既に一部ここに入ってるけどヤクルトのバトロワも面白そうだね。
620 :
阿波野編・1:01/10/29 21:29 ID:j1bNoClN
長嶋の部屋を出た後、阿波野はエレベーターではなく、非常階段のドアを開けた。
薄暗い階段に、足音が1つ。
足下を確かめるかのように、一歩一歩降りていく。
首筋のあたりが、ぴりりと逆立っている。
まるでマウンドにいるみたいだ。
何がおかしかったわけでもないが、ふ、と口角を上げた。
一つ下のフロアに辿り着き、再び非常階段のドアを開ける。
オレンジがかった照明に照らされた廊下に、人影はない。
なるべく音を立てないようにドアを閉め、目的の部屋を目指した。
ドアの脇にあるチャイムを鳴らす。
「夜分に申し訳ありません。阿波野です」
部屋の主はその声を確かめると、重くドアを開けた。
「入れ」
「失礼します」
その部屋の主、原辰徳は心なしか憔悴した顔をしていた。
あまりにもおっとりとしている彼は、もしかするとこの球界の闇を初めて目の当たりにしたのかもしれない。
…何て恵まれていたことか。
阿波野の口の端が上がった。明らかに嘲笑の意味で。
「監督から話は聞いてる」
「お手数をお掛けします」
モニタに映し出された、現在の状況。今までの経過。そして、地図。
思いの外順調に死人の数が増えている。それだけ「やる気」になっているということか。
それも当然の話だろう。文字通り自分の命が懸かっているのだから。
差し出された湯飲みに手も付けず、阿波野はモニタに見入った。特に、地図に。
その様子を見て、原は失望したように溜息をついた。
「お前は…反対するかと思ったよ。こんなバカげたゲームに」
溜息とともに吐き出された言葉に、阿波野は右の眉を少し上げた。
そんなに付き合いがあるわけでもないのに、何がわかるっていうんだ?そう鼻で笑いたくなるのを、堪える。
「そうですか?」
「おかしいと思わないか?仲間が殺し合うなんて、おかしくないか?」
ああ、本当にこの人は、恵まれた環境にいたんだ。
それはもしかすると、不幸なことなのかもしれない。傷つき汚れて行く中で自分を守るための「耐性」を形成することが出来なかったのだから。
この人はこの先、生き抜いていけるんだろうか?
まあ、知ったことではないけれど。
そう、今はそんなことはどうでもいい。それよりもっと他に、することがある。
621 :
阿波野編・2:01/10/29 21:30 ID:j1bNoClN
阿波野はモニタから視線を上げ、すぐそばにいる原の瞳を真っ直ぐ見返した。
「おかしいとかおかしくないとか、関係ないでしょう」
「関係ないって……お前…!」
「この世界にいる以上逃れられないものなら、生き残る道を探るのみです」
原は目の前にいる男が、初めて見る人間のような気がした。
人当たりのいい笑顔を浮かべ、年を取っても何処か「好青年」という言葉を思い起こすような阿波野が、今目の前にいる人間と同じとは思えなかった。
酷薄なまでに冷たい瞳をした、この男が。
「じゃあ原さんはどうしてここにいるんですか?」
「え…」
「大方家族のことでも持ち出されたんでしょう?」
「…ああ」
原の声は、少し掠れていた。
「自分の大事なもののために動く。それでいいんじゃないんですか?」
そんなに暖房が効いているわけでもないのに、原はじっとりと汗をかきつつあった。無意識に、襟元を緩めようとする。
「お前が大事なのは、自分の命か?」
おかしい。何でこんなに声が上手く出ない?
真っ直ぐに見返してくる阿波野の視線に、押されている。原はそう感じた。
闇の深淵を見つめているようなその瞳の底に何があるのか、全くわからない。何も読みとれない。
だが、圧倒されている。何故?
「そう。俺が大事なのは『自分』です」
「…それが…本心か」
視線を逸らすことも適わず、原はがっくりと肩を落とした。
阿波野は目を細めて笑い、立ち上がった。
「お手間を取らせました。では、失礼致します」
一礼してドアの向こうに消えていく阿波野を見送り、原は目を閉じた。
だが、瞳を閉じても、冷酷な笑みを浮かべた阿波野の姿は消えてくれなかった。
悪魔は当たり前の顔をして隣にいる。
そういうものなのかもしれないと、やっと、思った。
「…ふう」
廊下に出た阿波野は、一つだけ溜息をついて、再び闇の中に消えていった。
622 :
若手編1:01/10/29 21:51 ID:f37oD4hT
「酒井、酒井なのか?」
左前方の茂みの影から、囁くような声が聞こえた。
「俺だ、加藤だよ」
再び、声が聞こえた。さっきより少し大きな声だ。
声の主が加藤健であることは、最初の呼びかけで見当が付いていた。
しかし、酒井純也は声が出ず、返事が出来なかった。
同い年で同期入団の加藤は、酒井にとって気心の知れた相手であった。
少し前ならば、ここで加藤に会えた事を心から喜んだかもしれない。
いや、今も喜んでいないわけじゃない。加藤の無事は嬉しい。でも―
加藤が俺を殺そうとするとは思えない。そんな奴じゃない。よくわかってる。
―でも、三沢さんもあんな人じゃなかった。おっとりした人だったのに…
あの恐怖が頭に蘇る。恐ろしかった。
真木の首筋からは赤い血が噴水のように噴き出していた。
地面にできた血溜まりはみるみる大きくなり、酒井のシューズの先を赤く濡らした。
酒井は小さく悲鳴をあげ駆け出していた。すべてが恐ろしかった。
あれから山中の茂みの中で、ひとりじっとしていたのだ。
酒井はやはり黙ったままだった。
沈黙に焦れたように加藤が姿を現し、話し掛けてきた。
「酒井、無事だったんだな。良かった。会えてうれしいよ」
加藤の素直な笑顔になんだか申し訳ない気がして、酒井はやっと口を開いた。
「ああ、そうだな、俺も―うれしいよ」
二人向かい合ったまま、話を続けた。加藤はこれまでどうしていたかを話した。
ジャイアンツ球場のベンチで話しているかのような和やかさだった。
加藤の構えるミットめがけてボールを投げ込む。それが当たり前の日常だった。
ついこの間の事なのに、酒井にはそれが遠い昔の思い出のように感じられた。
加藤も今まで酒井と同じくあまり動かず隠れていたらしい。
たいした武器を持たない場合、それが1番の安全策。酒井もそう思っていた。
酒井も三沢と真木の事はどうしても話せなかったが、正直に今までの事を加藤に話した。
623 :
若手編2:01/10/29 21:53 ID:f37oD4hT
「これって武器じゃないよな」加藤はデイパックを開け、支給の品を見せてくれた。
透明なケースの中にきれいに収められた図画工作用の彫刻刀セットだった。
これだったら俺の高枝切りバサミの方がマシだ!酒井は内心小躍りした。
デイパックの中からテレビショッピングでよく見る高枝切りバサミが出てきた時は
呆然としたが、試しに枝を切ってみたら宣伝通りの鋭い切れ味だった。
もし襲われても、これだったら勝てそうだ。よほど油断しない限り大丈夫。
そこまで考えて少し後ろめたい気分になり、酒井は加藤の顔色をちらっと窺った。
加藤は裏心のない様子で、「これからどうする、交代で休憩しようか」と言った。
そうだな と答えようとして、酒井はハッとした。
なんでわざわざ俺に彫刻刀セットを見せたんだろう?油断させるためなんじゃ…
―もしかして、ポケットに銃を隠し持ってるんじゃないのか?
頭の中で三沢と真木の映像がフラッシュバックする。赤い血が酒井に降りかかる。
酒井は手で自分の首筋を押さえた。頭がくらくらして息苦しい。
「酒井?どうしたんだ?」心配そうな声が聞こえた。
ぱん、ぱんと乾いた銃声がすぐ近くで鳴り響いた。
やっぱり銃を持ってたんだ!と酒井は一瞬思ったが、撃たれたのは自分ではない。
酒井の目の前で、加藤が前かがみに倒れこんでいた。何がなんだかわからない。
「大丈夫か!加藤!加藤!」抱えあげた加藤の背中には二つ穴が開いていた。
「…逃げろ、はや…く、逃…げ…」それだけ言って加藤の体から力が抜けた。
酒井が顔を上げると、そこにはリボルバーを構えた由伸が立っていた。
何時の間に、何時からいたんだ?高橋さんが加藤を?
「ふたりで話し込んでちゃダメだろ。交代で見張りしないと。何やってんの?」
そう言ってから、由伸はまたリボルバーの引き金を2度引いた。
酒井の右胸から血が噴き出したが、由伸はそれを気にとめる様子もなく
デイパックを二つ抱え茂みの中に消えていった。
――加藤、疑ってゴメン、俺、信じてやれなくて本当にゴメンな。
酒井は最期の力を振り絞って腕を伸ばし、加藤の背中に触れた。
加藤の体はまだ温かかった。
624 :
ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/10/29 22:14 ID:IlEz5GBl
625 :
_:01/10/29 22:24 ID:hMWga1ep
ついにカトケンが!(嬉)いい子ですね、彼は・・・。
>624
自分ですごい作品書いてから言ってください。
626 :
:01/10/29 22:28 ID:iHhTwqRs
>>609 何か文句ある??????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????
627 :
:01/10/29 22:34 ID:6OUI6Ep6
文句以前でしょ?
ミナコって人が書き込んだから鬼の首獲ったように「文句ある?」って、
ひょっとして得意になってるのかもしれないけど
ミナコも「ミナコ氏ね」もこのスレでは場違いなんだよ。
削除依頼こそ通ってないけどね
このスレの住人さんが我慢強いことにあぐらかいて
スレを罵倒したり無視したりしてる書き込みがみっともないし迷惑だってことわかんない?
なにもここで罵倒合戦やることない、他に君たちが書き込むのに相応しいスレはあるよ。
628 :
清原○博:01/10/29 22:41 ID:cmeCOYSw
マジレスカコワルイ
シカモアゲテルシ
ナイヨウカラシテサゲナイトタダノアオリダネ
ソレカタテニヨメルノ?(藁
629 :
:01/10/29 23:23 ID:2wtbk/WJ
630 :
:01/10/29 23:30 ID:UwoYX/S/
阿波野てクリーン(白?)なキャラと思ったらチョト黒だったのね
そら家族についてはケコーンした経緯が(以下略
カトケンがあぼーんされて、残った捕手は原俊介だけか…
631 :
:01/10/30 00:12 ID:LTPTfE+h
>622−623
なんか泣ける・・・加藤も酒井もいい奴だ。
そして由伸は容赦ないなー
ただじっと無機質な瞳で自分を見つめる清原が居た。これは夢なんだとハッキリ分かっているのに
覚めない夢…感情を押し殺す事などせず、いつも自分の思うままに動く彼を人は華があると言う
(感情を垂れ流しにしても褒め称えられる…ずっとそうだった)
別に自分は感情を押し殺してなどいない、ただコントロールしているだけでそれを辛いなどと
思った事は無い。そしてあの運命のドラフトの日に野球という熱を一気に砕かれてしまった清原の
姿…なのに彼は陰になるどころかますますその華を増していき、巨人に打ち勝った時に流した涙で
その華を不動のものにさせた
(なにをやってもコイツは絵にも華にもなる…)
それを嫉ましいと思ったことはない。この目の前に映る無機質な表情の清原を見ると無性に苛々
するのは嫉ましいと思うどころかなにをやってもサマになる姿こそ清原だ、と心のどこかで
思っていたのだと今初めて気がつく。そんな自分に苦笑するなり清原の姿は消えた。
そして代わりに映るのは斎藤の姿であった
『…俺。引退しようと思うんだ。』
この姿、この台詞は確か優勝を決めた去年の事であろう。怪我で一年棒に振った
斎藤が開口一番言った台詞であった
『完投出来なくなった先発なんてもう駄目だろう…それに今の俺の順位はせいぜい投手の中
では二十番目くらいの力に過ぎない。』
それを本気で言っているのかと目の前の斎藤に本気で腹を立てた。他人に腹を立てるなど
滅多に無い事であった。先発中継抑えと役割分担されているこの時代にあくまで完投に
こだわる斎藤らしい、また桑田にしてみれば下らない事この上ないその美学にも、投手の中
では二十番目程度の力なんだと簡単に言い切ってしまう自己への過小評価にも腹を立てた
(この人は自分に対して尊大すぎるんだ。)
良く言えば厳しいともいえるが自分に対してのレベル設定が高すぎるのだ、それが平成を
代表するエースたる所以なのだろうがそんなもんで簡単に200勝さえ諦めてしまうところも
歯がゆかった
(清原…斎藤さん…どっちも本当に面倒くさい存在だ…)
嫌でも自分の前に立ちはだかる清原、見たくもない自分の甘さを引きださせる斎藤、
どちらも邪魔で面倒な存在でしかないのにそれでも無視することができない
…そんな自分に苛立つ前、清原と斎藤の二人が同時に現れては消える…
633 :
:01/10/30 00:52 ID:ARBOQydq
「…真澄!なんだ、起きたのか…」
いきなり目を覚ますなり起き上がる桑田に斎藤は驚くように声をかける
「…もう二時間半経ったでしょう?」
やっと不愉快な夢から覚めたと桑田はつぶやく
「ああ…でも考えてみたんだけど、朝の放送を聞くまで待機した方がいいと思ってな。」
「だからそれまで寝かせておこう、と思ったんですね。」
斎藤らしいと桑田は小さく笑う。確かに朝の放送も聞かずに動くのは危険だと桑田も納得する
「朝の放送まであと一時間くらいでしょ?中途半端にまた寝ても余計辛いですからね。起きちゃいますよ。」
まだ辺りは暗いがあと一時間もすれば空は白やむであろう
「ああ…あと一時間は待機しておくか。」
夜明けが近いせいかやっと肉眼でも側に居る桑田を確認することができるようになった。斎藤は小さく燃える火を消すと桑田と共に朝の放送を待つ
「斎藤さん…最終的にはアンタにはどうしても戦わなきゃならない相手が居る。」
「…戦わなきゃいけない相手?」
いきなりつぶやいた桑田に斎藤は不思議そうに首を傾げる
「水野さんですよ。斎藤さんがコーチになったらあの人の立場が無いでしょう?彼はなんとしてもアンタを仕留める気でいるはずだ。」
「…そうか。」
そうだったと。斎藤は今更ながらに思う
「それに水野さんは昔っから俺が見る限り…斎藤さんを良く思ってないですからね。」
「そうだったのか?」
それは知らなかったと驚く斎藤にこれだから余計に憎たらしいのだろうと桑田は苦笑する
「生理的に斎藤さんのようなタイプが嫌いなんでしょう。」
普通ならかなり言いにくい事をアッサリ言う桑田に斎藤は困ったように頭を掻く
「あなたはあまり嫌われた事なんてないでしょうからね。俺みたいな奴でも素直に尊敬してましたし。」
本音であった。自分の長男に斎藤の名前を付けるくらいには尊敬していた
「本当かぁ?結構馬鹿にしてたんじゃないのか?」
「本当ですよ。真樹に斎藤さんの名前を付けたのも是非とも斎藤さんのような人物になってほしいと…」
「何言ってんだ。真面目な顔して嘘付くな。」
茶化すように言う桑田に斎藤はムクれるように答える。だが桑田はふいに真剣な顔つきに変わる
「ま、その尊敬する斎藤さんが水野さんごときに殺されちゃたまったもんじゃないですからね。せいぜい気をつけて下さいよ。」
チクリと進言する桑田に斎藤も神妙な顔つきに変わる
「…絶対に情けなどかけちゃいけませんよ。」
「…分かっている。」
「ならいいですけどね…いよいよ夜が明けるか…もうすぐ放送です。」
「ああ…ちょうど6時になるところだな。」
あの忌忌しい放送が流れる頃だと斎藤が舌打ちするなりスピーカーが大きく揺れ、小川の憎たらしいまでの軽快な声が聞こえてくるのであった
「…ゲーム再開…ですね。」
今日はどんな敵が来るのやら…桑田はそっとため息をつくのであった
今日最初から一気読みを始めて気がつけばこんな時間。
職人さん達の迫力ある文章の数々に5時間ハァハァしっぱなしです(w
感想を書こうとふと見てみれば桑田・斉藤編の最新版が・・・・ハァハァ
ここから前略三沢がどうかかってくるのかも楽しみです。
これからも頑張ってくだされ! >職人様&保存屋様
635 :
:01/10/30 02:04 ID:/YjB6pC5
>>643 おつかれさん(w 俺も前にやったよ
>>632-633 桑田の絶対に他には出さない葛藤みたいなのがいいなぁ
この後に三沢がどう出るのか・・・楽しみだ
636 :
:01/10/30 02:38 ID:kXAZyr25
三沢と岡島と小田(wは「桑田塾」の門下生なんだよね
三沢、ケコーンした最初の年にもケアンズ自主トレ参加してたのには驚いた
結婚したばかりだったからさすがに参加せんやろと思ったらあっさりケアンズ行ってるし
来年はどうなるか…
637 :
:01/10/30 02:53 ID:gVA3qT92
>>636 では師弟対決とか?・・・雅タンまたも知らぬ間に血の海状態か?
さすがに今回はそうもいきそうにないか。今日、入来に熱血指導
(なぜかピッチングでなく打撃の方を・・・)してたけどね>斎藤
638 :
堀田編1:01/10/30 03:26 ID:UxeM8Nie
「なんで…なんでだよ…」
小さな倉庫の片隅で、堀田一郎は震えていた。
ゲームがスタートして、すぐさま恰好の隠れ場所を見つけ、それからずっとここに居座っていたのだ。
なので、今まで誰とも会うこともなかったし、遠くで銃声が聞こえるだけで、身の危険に関わることなく済んでいた。
水も食料も節約しながら少しずつ摂っていたのだけれど、それももう底をつきそうになっていた。
ここに隠れてから、もう何度あの放送を聞いただろう。
そう。あの忌まわしい放送を。
なのに…なのに…なんであいつらは
まだ死んでないんだ!
堀田の身体は恐怖で震えているのではなく、怒りで小刻みに震えていた。
もちろんゲームが始まったときは、何よりも恐怖が勝っていた。自分の身体の100%を、恐怖が支配していた。
それが、あの放送を聞く度に、少しずつ怒りに近い感情へと変化していったのだ。
あの忌まわしい放送で、もう何人も同じチームの仲間の名前が読み上げられた。
しかし、読み上げられるのは投手と内野手の名前ばかり。
自分が切望する選手の名前は一向に読み上げられることもなく、その度に堀田は酷い脱力感と苛立ちに襲われた。
堀田が『放送で名前を読み上げられること』(即ち死を意味する)を切望する選手…「あいつら」とは、巨人のレギュラー外野手、松井秀喜・高橋由伸・清水隆行の三人のことだった。
639 :
堀田編2:01/10/30 03:26 ID:UxeM8Nie
あれだけの人数の選手が死んでいるというのに、外野手はちっとも減らないじゃないかっ!
あぁ…そういえば斉藤宜之は死んだな…。でも俺と同じ立場の…1.5軍(クソッ!誰だよこんなセンスのない呼び方考えたのはっ!)の選手がいなくなっても、ちっとも意味をなさない。
1軍の…レギュラーの選手でなければ。
自分の上をいく選手がいなくなって初めて自分がそのポジションにつくことができる。
だから、だから「あいつら」は邪魔だった。
誰か、やる気になってる奴が三人の内一人でも良い。殺してくれれば…
そうずっと願っていたのに、その願いは誰にも届くことはなかった。
できることなら自分の手は汚したくなかった。そりゃあ、殺られそうになったときは、自分の身を守るために銃も躊躇無くぶっ放すだろう。
でも、やはり自ら進んで殺しは…したくない。甘いだろうか。このクソゲームの中で、この考えは。
じゃあ、こうしよう。「あいつら」の内、誰かがこの倉庫にやってきたら…その時は躊躇なく撃つ!
俺が自らの手で仕留めてやろう。
あぁ、これこそまさに実力でポジションを奪い取るってやつだな。オーケイ。最高だ。
フラフラとネズミが掛かった時のことを考え、狙撃するのに最良のポイントを探る。そうしているうちに、ふとある考えが頭をよぎった。
あの清水隆行がまだ生きているのが意外だな…と思った。
外見は寡黙そうな…どこか近寄りがたい雰囲気を持っているのだが、口を開けば間が抜けたことをサラリと言う。いわゆる、天然ボケってやつで。
「うちのチームって自力V消滅したってホントかよ?」って言っているのを(しかも真剣な顔で)聞いたときには、流石に眩暈がした。シーズン中も新聞くらい読めよな。まったく。
そんな清水だったから、もうとっくに誰かに殺られていてもおかしくないのに。
でも、確かにまだ清水の名前は読み上げられていない。
そうか。おそらく、俺と同じようにどこか、誰にも見つからない所に潜んでいるんだな。きっと不運なあいつのことだ。支給された武器もしょーもないモノだったに違いない。
だとしたら、清水は動かない。いや、動けない。
来るとしたら…松井か由伸だ。
堀田はそう確信していた。
だがしかし、一番動きそうにない奴…清水隆行が、もうそこまで迫っていようとは、堀田はまだ知る由もなかった。
640 :
:01/10/30 04:24 ID:Enn3FVPO
>>638-639 ああっ、ついに!ですね
実際原作の琴弾のお茶の話はどうすんだ、と思ってたんでビクーリです
さすが職人さんだ…
641 :
:01/10/30 14:19 ID:gDZxG11D
小川光明のおはようございますの挨拶が島に流れたとき、ちょうど三沢は支給のパンを口に押し込み終えたところだった。はいはいおはようございます、とまだもぐもぐやりながら地図を広げ鉛筆を握る。
次なる禁止エリアのチェックを済ませ、三沢は口に残ったパン屑をボトルの水で飲み下した。畳む前にもう一度、地図を見直す。気兼ねなく行動できる範囲はいよいよ面積を減らし、まだ生きて動いている選手も両手両足の指で余裕を持って勘定できるほどになっていた。
(……そろそろ大詰めって感じかな)
無論そのつもりで早めに食べておいたわけだが。
三沢は立ち上がって、斎藤と桑田のほうを窺う。地図をしまって荷物をまとめて、と行動開始の様子が見て取れた。
地図からするとこの森は幾らも行かないうちに切れるはずだ。奥はすでに禁止エリアだからこれ以上入ることはあるまい。それなら開けたところへ出る前にケリをつける方が安全だろうと思えた。騒ぎに乗じたい連中がやってくるまで時間がかかる方が。
狙うならどっちだ? 三沢は斎藤と桑田を見比べた。そういえば槙原さんは影も形も見てないな、ふっとそう思った。
彼ら三本柱には同じ投手として――いや、同じだなんて括るにはレベルがというかむしろ次元が違った。羨望とか嫉妬するのも忘れるくらい器が違う。ともかく同じポジションにいるこのすごい人たちに、自分はただもう感嘆しているばかりが能だったものだ。
だが尊敬とか憧憬とか恩があるとかないとか、そういうことはみんなこの際なんらの意味を持たなかった。
そんな遥か彼方の世界の常識を振りかざしたってなんの甲斐があるわけでもない。ここの常識に従うならなすべきは決まっていた。
改めて三沢は斎藤と桑田を見つめ、どうしても斎藤より桑田の方へ意識を傾ける自分に気がついた。なんの意味も持たないはずの、ここでない場所の記憶がそうさせるのだ。
巨人の投手たる自分はいつも、あの背中を見ながら投げていた。その事実が、三沢に肚を決めさせた。
三沢は右手の銃を持ち上げ、撃鉄を上げた。弾丸はいっぱいの15発が込めてある。
腕を伸ばして構えると、見た目よりずっと重い。この状況で片手を空けておく意味もあんまりなさそうだし、と銃を握る右手に左手を添えた。
三沢は深く静かに息を吸い、狙う先、桑田の背中を凝視する。
(そういやはじめて撃つんだっけ、……当たるもんなのかなあ)
あれもはじめてだったボウガンは散々だった気がする、当たる当たらない以前の問題だったような。
だが、いまさらだった。そんな心配はここまで来て言うことでは絶対にない。当たるかどうかではない、当てる、のだ。なにしろ外せば死ぬのはこちらだ。
三沢はゆっくりと、引き金を引いた。
642 :
:01/10/30 14:26 ID:gDZxG11D
下がりすぎage
つーかよりによってこんなときにセイロク兄さん降臨だし
643 :
:01/10/30 15:23 ID:I6gx7Hqh
>>641 えええっ!引き金を引いたのかっ?!どうなる桑田っ?
644 :
:01/10/30 17:33 ID:0fzSLOlV
かなり続きが気になる!!
645 :
:01/10/30 17:59 ID:TEhiJMyj
トミコの?
646 :
:01/10/30 18:51 ID:HAuN1uOu
しむら〜!・・・・・・じゃねぇ、桑田〜!うしろ〜!!!
647 :
:01/10/30 19:35 ID://aKD8Gl
648 :
:01/10/30 20:13 ID:N/jyWGNY
今TBSで阿部慎之介が出てたぞ
649 :
:01/10/31 01:47 ID:7Xxq1rPq
久しぶりにきたら話が進んでて嬉しい!!
根市は息を切らせて灯台のてっぺんまで駆け上がった。
ベランダへと続くドアをこじ開け外へでると、高い場所のせいか
思ったよりも風が強く吹いていた。目の前の海から潮の匂いが届く。
ベランダを囲む手すりにそって右へと進む。
馬鹿だ、俺は。いくら焦っていたからといって、何で上にきてしまったんだろう。
梯子もなにも見当たらない。これじゃあ追いつかれてしまう。
その時根市の目に入ったのは、つい今の今まで自分が居た部屋がある建物の屋上だった。
仕方ない。あそこに飛び降りるしかない。
とにかく逃げなくてはならないのだ。捕まったら――殺される!
根市は鉄製の柵を乗り越え、ベランダのふちに立った。
しかし、足元に覗けた視界は、根市の頭をクラクラさせる事になった。
高い――これは――飛び降りるなんてできる訳がない。
本当ならそんな事ができる高さではないのだ。
正常な判断ができる状態の人間なら、まず飛び降り様だなんて思わないぐらいの高さはあった。
ただ、根市は松井への恐怖のせいで柵を乗り越えるまでにいたったが。
無理だ。それこそ死んでしまう。
とにかく戻ろう。もうなんとか松井と戦う方法を考えるしかない。もうそれしか――
手に力を込めて、柵を乗り越えようとした瞬間。一段と風が強く吹いた。
「うわあっ」途端、ぐらっと視界が揺れた。
脛がベランダのふちに当たったと思った時には、根市の体は空中に踊っていた。
なんとか反射的に両手を伸ばしたが、指がかろうじてふちに引っかかっているだけだった。
心臓が物凄い速さで脈をうっている。
もう、どう考えても手すりにすら手を伸ばすのは無理だった。ましてや体を引き上げるなんて――
全身が恐怖に震える。
だめだ――だめだ、こんな時に震えたりしたら・・・手が滑って――
「ひいいっ」
ずるっと右の小指がすべった。次いで薬指。もう後はずるずると全部の指が
ふちから離れた。そして左手も――
「ああああああああああああ」
絶叫と共に、体が落下するどこか夢の様な感覚が体を支配した。
死ぬっ――
しかし、がくっという衝撃が腕から肩へと突き上げ、その落下はほんの数十センチで止まった。
上方へ伸びた左腕を支点に、自分の体がぶらぶらと振り子の様に揺れている。
根市は顔をそっと上げた。そして、
柵の向こうから体を投げ出し、右手を伸ばして自分の右手を掴んでいる人物、松井秀喜がそこにいるのを見た。
「うわああああっ」
もちろん手を離されたら、死ぬ。だが、その手を掴んでいるのはあの松井なのだ。
なんで?何で俺を助けようとするんだ?自分が助かる為に俺を利用するつもりなのか?
それとも――ああ、そうか。俺を、自分の手で殺したいんだ!
「離せ!離せ!」
根市は叫んだ。もう、僅かにだが残っていた論理的な思考も吹き飛んでいた。
「あんたに殺されるくらいならここから落ちて死んだ方がましだ!離せよ!離せ!」
それを聞いた松井は表情を変える事無く「暴れるな!」と一喝した。それで根市がびくっと顔を上げた。気付いた。
松井の首の包帯が赤く染まっており、血が肩口から流れ出していることに。
その血が松井の腕を伝って、自分の左手まで届いていることに。
「くっ」松井の顔には脂汗が浮かび、その表情は苦痛に歪んでいる。
そうだ。松井は全身にあれだけの怪我をしているのだ。
右腕一本で自分の体重を支え、それを引き上げようとするなら、その傷は松井にめちゃくちゃな痛みを伝えるに違わなかった。
どう、して?どうしてそんな痛いのに、俺を助けようなんて――
根市の頭から、さっと風が吹いた様に黒い霧が姿を消した。
血染めのナタを握っていた松井の姿が消え、かつてのジャイアンツ球場、楽しげな表情の松井が戻ってきた。
チームやマスコミの人間と冗談を言い合っている時の笑顔。打撃練習中の真剣な眼差し。子供達に優しく接する場面。
ああ――。根市はようやく目の前の事態を正確に把握した。
――松井さんだ。松井さんが、俺を助けようとしてくれてる。
俺、なんで?なんでこの人の事殺さなきゃなんて思ってた?どうしてそんな風に――
松井さんは松井さんなのに。
思考が正常に戻ると同時に、自分のとった行動とそれが招いた結果が頭をよぎり、根市は改めて青ざめた。
俺、本当にどこかおかしくなっていたんだ。それで、そのせいで皆が――
根市の目から涙が溢れ出していた。それを見て、松井が怪訝な表情になるのがわかった。
「俺――俺なんです。あなたを、俺は殺そうとした!」
松井は自分の腕の先をちょっとびっくりした顔で見やった。
「おれ、あなたが西山さんを殺したと思って――それで、怖くて。すごく、怖くて。
だからあなたの食べ物に毒を入れようと――それを、それを李が食べちゃったんです。それでみんな――みんな――」
松井はそれで全て了解した。あの西山との格闘の末、その顔からナタを抜き出した場面を根市は見ていたのだ。
多分、あの後阿部や川相が現れた所は見ておらず、ただあの場面だけを。
もちろんあれは事故であったし、ナタを抜いたのだって武器が必要だと思ったからだ。
(自分に支給されたナイフと、二岡の武器とは言えないブーメランだけじゃ不安だったのだ)
けれど、根市の怯えきった心は松井を恐れない訳にいかなかった。
それで松井を殺そうと毒を盛り、間違えて李がそれを口にし――
誰が毒を盛ったのかと全員が疑心暗鬼になってしまったのだ。
そして毒を入れた張本人、根市だけが残った。
「もういい!」松井は叫んだ。「もういいからじっとしてろ!今引き上げてやる!」
松井は左手が使えない為柵を掴む事が出来ないので、体を捻り、右膝を体の下に引き付けて背筋に力が入るような姿勢をとった。
体は悲鳴をあげていたが、それでも諦める訳にいかなかった。
この選手だけでも助けなければ。もう人が死ぬのはたくさんだった。
松井は根市の手首を握った右手に力を込めた。しかし――
「だめ、だめです。」根市の顔が左右に振られた。「俺のせいで、みんな死んでしまった。みんな、死んで――」
根市の右手が松井の手をもぎ離すように動いた。せっかくしっかり掴んでいた手が緩み、松井は焦って更に力を込めようとしたのだが
あろうことか首から伝いおりた血が、その手の中でずるっとすべった。
松井の腕から、掛かっていた重さがふっと消失した。自分を見上げる根市の顔が遠ざかり――
ばたん、と音がして眼下の建物の下、仰向けに根市が倒れこんだ。
その大の字に伸びた体の首が、変な方向に曲がっている。頭の右上辺りからは、赤いしぶきが葉の形の様に伸びていた。
「あ――――」
松井は右腕をベランダに投げ出したまま、しばらくそれを見つめていた。
先程まで自分の腕の先にあった命が、目の前であっけなく散った。
人がこれほど壊れやすいものなのかと、頭のどこかで思う。
助けられなかった。もう少しだったのに、助けられなかった。これで6人全滅だ。全員、死んだ。
なんで?なんでなんだ?こいつらが死んで、俺だけが生き残って――
俺は、こいつらのおかげで今こうして生きているのに。
もし、自分がここに運び込まれなければ、6人はこんな目には遭わずにすんだ。
これじゃあまるきり死神じゃないか。俺は――
「っ・・・・・・」一度緩んでしまった涙腺は、またぼろぼろと涙を溢れさせた。
いくら室内だったとはいえ、あれだけの銃声が響いたのだ。
それを聞きつけた誰かがやってくるかもしれないとは思ったが、もはやどうでも良かった。
自分はこのまま殺されても構わない、それよりもう、あの時清原に殺されておけば良かったのだ。そうすれば――
ごめん、川相さん。俺、約束守れそうにな・・・
そこで思い出した。どこかで自分を待っている川相と二岡の事を。
待ってるだけなら良かった。川相は多分うまくやってくれる。彼がいる限り二岡も大丈夫だろう。しかし――
今二人は何も武器を持ってないじゃないか。『元の場所だ、松井!待ってるからな!』
あの時、川相は全ての銃器を自分に預けていった――(そしてその武器を、松井は逃げる途中にどこかへ放りだしてしまった)
もし銃を持った誰かに襲われでもしたら?――もしまた清原に出くわしたら?
松井はがばっと顔を上げた。泣いてる場合じゃない。早く二人の元へ帰らなければ。
こうしてるうちにも、何が起きてるかわかったもんじゃない。
松井は根市に心の中で謝ると、あの血生臭い部屋へと戻った。
部屋には3丁の銃が転がっていた。
ごめんな――ごめん。俺は、ここで死ぬわけにいかない。
本当にごめん。恨んでくれて構わない。でも俺は戻らなきゃ――
松井は再び溢れ様とする涙を、唇をかみ締めて堪えた。
自分のユニフォームを見つけ、それを着込む。そしてデイパックに予備の弾薬とブローニングを詰め込むと
ウージーを肩から吊り、Cz75をズボンの前に差した。
地図で確認する限り、『元の場所』と隣接するエリアならまだ禁止エリアに入っていない。
恐らく、二人はこの辺にいるはずだ。
松井はウージーの引き金に指をかけると、力強く立ち上がった。
653 :
:01/10/31 02:09 ID:8dZGC32z
>650−651
原作読んだのに、泣いた。
感謝。
田園調布の自宅の寝室で、その男はパソコンの画面に見入っていた。
長嶋茂雄・・・その存在はプロ野球の、そして日本の戦後とそのまま重なりあっている。
常に大衆の願いを一身に浴び、大衆の欲望を吸収して、もはや一つの肉体であることをやめてしまった彼は、
様々な政治的・文化的な勢力と連結しながら、得体のしれない怪物としての自分をもてあますかのようだ。
野球とは人生そのものだ。それが彼の持論だった。野球選手である彼がスーパースターになりえたという
事実が、そのことを証明している。そう、かつては確かにそうだったのだ。
だが今はその野球も、そこにあるドラマも、書き割りのようにしらじらしいものになってしまっている。
長嶋にはそれが物足りない、はがゆい、こんな退屈には耐えられない。2001年秋、思いは爆発した。
そこにはまさに掛け値無しのドラマがあった。ある者はおびえ、ある者は知恵をしぼり、ある者は味わった
ことのない快楽に我を失う。ドス黒い駆け引きがあったかと思えば、思いもよらぬ精神の輝きがきらめいて
消える。長嶋は楽しみ、満足していたのだ。ただ一点を除いて。
松井、松井は何をやってるんだ!こんな状況でも相変わらずの優等生か、くだらない・・・
あれだけの資質を持ちながら、いったい何を恐れているんだ。物足りない!物足りない!
もっと深く憎み合って、もっと深く傷つけ合って、心も体もズタズタに切り裂かれて、その中から、自分も
知らない自分自身を見つけてみろ!自分自身の未来をつかみ取ってみろ!それが人生だ、それが野球だ!
もう良く出来た試作品のようなおまえは見たくない。自分の肉体を解き放て!その固い固いカラを破って、
体液にまみれた裸の自分をさらして、全身で世界の震えを感じ取るんだ。焼け付くような情熱に身を焦がし
てみろ!燃え上がり、沸き立つような一瞬を通過して、新しい自分になるんだ!おまえにはその力がある。
長嶋は早朝の青白い光の中で、物陰に身を潜めた獣のように苛立つ。
「問題は、川相か・・・」
655 :
:01/10/31 09:32 ID:hzTwYDdr
>>654 名作・灯台編の直後なだけに
長嶋が無茶苦茶ヒールに見える(w
川相タン、気になる・・・そして密かに松井に賭けてる野村も。
656 :
:01/10/31 09:54 ID:hqNL610b
仕事中に読んでてちょっと泣きそうになった…
657 :
:01/10/31 10:51 ID:AKKu1O0n
相変らず素晴らしい!!
658 :
650:01/10/31 13:09 ID:5WWK+tQj
>保存屋助手さん
すみませんが編集の際、訂正お願いします。
>>650 右手を伸ばして自分の右手を掴んでいる人物、
↓
右手を伸ばして自分の左手首を掴んでいる人物、
>>651 ばたん、と音がして眼下の建物の下、
↓
ばたん、と音がして眼下の建物の上、
お手数かけて申し訳ない。
しかもめちゃくちゃアホらしいミス・・・(鬱
659 :
:01/10/31 17:02 ID:Fs4uFFie
灯台編、お疲れでした。
やはりアレンジしても良さは失われてませんね。
あとは「彼」の動向とクライマックスが楽しみです。
660 :
:01/10/31 21:51 ID:T6hjp30K
561 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/10/27 16:23 ID:TjSfREqF
下がりすぎage
565 名前: 投稿日:01/10/27 19:31 ID:rNewKkeI
>>561氏ね氏ね氏ね
566 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/10/27 19:38 ID:p3d/tCPp
>>565 ???下がりすぎてたから上げただけなのに何故氏ななきゃいかん?
73 名前: 投稿日:01/10/31 20:09 ID:1m516FMy
age
74 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/10/31 20:13 ID:SJG3Aiir
>>73 クソスレ上げんな、死ね。
こんな虚ヲタのいる巨人氏ね!!!!!!!!!
虚バトロワもろともしね!!
消えろ
661 :
:01/10/31 23:47 ID:UtvZUKNj
保存屋助手です。
>>650 わかりました。次回更新時に訂正しとくんで、もう少し待っててくれ。
それにしてもご苦労様でした。原作でも映画でも熱の入ってたパートだったよね。
それから、激しく遅レスだが支給品について書き込んでくれた
>>562-563,564,570,571
なんとか次回更新時に支給品についてもうぷしたいんだが、
支給品不明の選手(W村田とか)はどうしたらいいかと考えてる。
単に「不明」とか無印とかでいいだろうか。
密かに五十音順に選手名を並べていた562-563は(・∀・)イイ!!
Gの選手名をフルネームで全部覚えそうだ…
時系列に照らすと、
最も進んでいる(と思われる)斎藤・桑田v.s.三沢と松井の回想時では半日違ってる…
古田のところに森がやってきてるのがその間ぐらいと思われる。
堀田はどのへんだろう…
662 :
:01/10/31 23:57 ID:78giDLw0
>>661 お疲れさまです。支給品うぷたのしみです。現在所持する武器とかも
あれば面白いかも…任せっきりでスマソ
663 :
::01/11/01 07:27 ID:XBQLCOuZ
AGE!
664 :
名無し:01/11/01 18:57 ID:1OcBHSJv
河原ファンです。
ココのブラック河原に萌え萌えでした!
いいな、あんな河原も…
皆様頑張って下さい!!
地図をしっかり確認し、斎藤はデイバックにしまい込むと桑田に振り返る
「真澄、ここから道路に…!」
振り返るなり背後の茂みから登り始めた日に反射したキラリと光る何かを発見する
「危ないっ!」
斎藤が桑田を突き飛ばし自分も地べたに転がった瞬間、激しい銃声音が響いた。弾丸は丁度桑田
の居た場所の背後の大木にめり込んだ。…明らかに誰かが自分達を狙っている…二人は視線を
合わせながらも地べたから動かない。立ち上がればまた狙撃される…二人は無言のまま表情を
強ばらせるがお互い、何を考えているのかは分かっていた。桑田と斎藤は反対方向に転がり
ながら逃げると、背後の茂みから桑田を狙ってまた銃声が響く。だが地べたに転がり移動する
ものを狙うのは容易なことではない、まったく見当違いの場所に弾丸はめり込む。その隙に
斎藤はデイバックを引き寄せると中の火炎瓶を取りだし、先ほど光った場所目掛けて投げ
つける。背後の茂みが勢いよく燃え広がると二人は今度はお互い右方に逃げ切る。燃え上がる
炎が邪魔をして姿の見えないスナイパーはこれで自分達を狙うのは不可能なはずだ
…そんな思惑通りもう銃声はしなかった。そして全速力でひたすら走る
「…もう来ないでしょうね。」
道路に出る寸前で桑田は足を止める。姿が見えないからこそこちらとしては不利ではあったが
こうして視界が開けた今、不利なのは向こうの方なのだから。斎藤も肩で息をしながら頷いた
「いったい誰が…」
「さあね。ただ残りの者は殆どがヤル気ですからね。ま、あんたとはここで別れた方が良さそ
うですね。二人で固まってるのは危険ですしね、どのみち朝が来たら別れるつもりでしたし。」
桑田は土を払いながら言う
「アンタもそろそろゴールが見えて来たんだ、急いだ方がいい。」
そう言いながらも桑田はデイバックを探り出す
「俺は朝食取ってから動きますよ。さっきの奴のせいで食べれませんでしたからね。」
パンを取りだす桑田に斎藤は呆れるように口を開く。たった今狙撃されたばかりだというのに
平気で物を食べようというのだから
「斎藤さんも食べた方がいいんじゃないですか?」
「…俺はいいよ。」
「朝を抜くのは一番体に良くないんですよ。」
こんな時にまで健康オタクぶりを発揮する桑田に斎藤は呆れるような感心するような視線を送る。
そんな時であった。堂々と茂みをかき分ける音がして二人は警戒の色を浮かべる。そして桑田は
マシンガン、斎藤はチェコ製の拳銃を掴む。そして茂みはガサガサと揺れ動き、人影が現れる
666 :
さねっちょ:01/11/01 22:45 ID:MRvbpICk
ミナコまたやってんのか
氏ねや
667 :
:01/11/01 22:46 ID:ygtkNEpx
「…ひっ!」
入ってくるなりその人影…十川は驚愕するように大きく後退する
「…手を上げろ…さもないと撃つ。」
静かな声で言う桑田に、十川は大きく首を振るとデイバックを目の前に投げつけ、手を上げる
「お、俺は誰とも争う気なんてないです!ましてや斎藤さんや桑田さんとなんて…」
「…ならなんでここに来た?」
「それは……」
目の前の桑田に怯えながら十川は答えようとする
「武器はこれだけです。ほら。」
十川は尻ポケットに差し込んだ二丁拳銃を手を上げたまま見せる。そんなのんきな十川に斎藤は
今までよく無事でいれたもんだと感心するように頷く
「真澄、十川は大丈夫だろう…」
「え?俺の名前を知ってるんですか?」
桑田に振り返る斎藤に十川は驚くように目を見開く
「そりゃあな。仲間なんだし…」
斎藤はこのノンビリとした十川に対してとっくに警戒心も失せたらしく銃を下に下げたまま答える。
十川は緊張と興奮で少々頬が紅潮した。目の前には二人の大投手がいるのだ。そしてその一人で
ある斎藤は自分のような二軍選手の名前を覚えていてくれていた…十川は嬉しそうに頭を掻いた
「それよりも…お前、大丈夫か?」
同情する斎藤を桑田は銃を十川に向けたまま呆れるように見遣る。河原を殺して少しは逞しくなっ
たかと思えばこれだ…と。そしてこんな妙に和んだ状況になど入る気もないと銃を向けつつ手持ち
無沙汰に十川のデイバックをいじりだす
「はい。でもなんか…不思議ですね。こんな状況でこうして斎藤さんと話しているというのも…。
普段じゃ考えられない事です。今までなるべく人に合わないように逃げて逃げまくったけど偶然
会ったのが斎藤さんでよかったです。」
心底から安堵するように答える十川に斎藤はどうすべきか考える。このお人よしそうな若者を
このまま一人にして良いのか…かといって連れていくわけにはいかない、かえって危険な目に
遇う可能性もある
「…十川…その…」
「斎藤さん。」
ふいに背後から声をかけられ、振り返る斎藤に桑田はパンを放り投げる
「それ、早く食べちゃってください。」
「だから俺はいいって…」
「いいから。この先またフルで動くんでしょう?何か腹に入れなきゃ持つ筈無いでしょ?」
厳しい口調の桑田に斎藤はそれもそうだ、と気が進まないまま押し込むようにパンを食べ始める。
桑田は斎藤がパンを食べ終ったのを確認するともう一つパンを取りだし十川に放り投げた
「君も食べるんだ。朝を抜くのは良くない。」
十川も食欲など無い様子であったが桑田に言われては逆らえないと黙々とパンを食べ始めた
「…!」
668 :
:01/11/01 22:51 ID:ygtkNEpx
だが、パンを半分ほどまで食べた時であった。十川は大きく目を見開くとポロリ、とパンを落とす
「十川?」
斎藤は不思議そうに首を傾げる。だが、十川が咽を抑えゴボリと大きく血を吐いたのを見ると驚愕
の表情に変わり崩れ落ちる十川を慌てて支える
「ぐっ…あ…」
「十川!?」
どう見ても毒を試飲した様子である。斎藤のユニフォームにまた大きく吐血する十川を地面に置く
と斎藤は薬を…と十川から背を向け己のデイバックに向おうとした。だが、十川は血まみれの手で
斎藤の背中を掴む
「さ…いとうさ…ん…」
自分でも何が起こったのかわからないのであろう、十川は2、3度首を振るとそのままゆっくりと
地面に倒れ落ちた
「十川?…おいっ!十川!」
斎藤は十川を抱き起こし体を揺するが十川は口の端から血を流してまま既に事切れていた。斎藤
はあまりに突然の出来事に暫し呆然としたままであったが、冷静になって考えるまでもなく桑田
に振り返った
「お前…」
随分と長いこと斎藤と過ごしたがこんなに鬼のような憤怒に燃える斎藤を見るのは初めてであっ
た。この間の斎藤宣之の時よりもずっと凄い形相で自分を睨む斎藤に桑田は肩を竦める
「そうです、十川にやったパンにアンタの所持する毒を使わせてもらいました。随分と即効性の
あるものですね。」
上原に使ったものとは違って…とまで言わずに桑田は不敵なまでに落ち着いたまま答える
「アンタもコイツも話に夢中でまったく気がつかなかったみたいですが…」
「…真澄。なんでだ…どうしてこんなことをした…」
低い、ゾッとするような押し殺した声で斎藤はつぶやく
「…コイツのデイバックを探ったんですがね…ほら。」
普通の者なら竦み上がってしまいそうな斎藤の声色も気にしないように桑田は小箱を差し出す
「…探知器ですよ。どうりで上手く逃げられていたはずだ。探知器を使えば楽に人など回避でき
ますからね。今までそうして逃げてきた…ということになるでしょう、彼の話を信じればね。」
どういうことだと怪訝そうな顔つきに変わる斎藤に桑田はため息をつく
「今まで逃げまくっていたならなぜここへ来たか?偶然なんて言ってましたが…あえてここへ
来たということにもなりませんか?コイツがさっき俺達を狙撃した奴かもしれないでしょう?」
「!そんな…分からないじゃないか!何の確信があって…」
「そう…一見好意的でしたしね。分からないですよ。さっき俺達を狙撃した奴だったかもしれ
ない、それとも本当に人恋しくなっただけなのか…ですが分からないもの、不確定なものには
躊躇無く仕留める…それがこのゲームです。」
相変らず何の表情もないまま答える桑田に斎藤はまるで見知らぬ者を見るような顔つきに変わ
るが、十川の遺体から二丁拳銃を取りだすと、弾倉を調べる。そしてやるせないように首を
振りながら弾丸をバラバラと地面に落とす…弾丸は一つも消費されていなかった。だが、桑田
はただ能面のような表情のまま肩を竦めるだけであった
「…俺達を狙撃した奴ではなかった、と言うことですか。…まあ、運が無かったんですね。」
「…!お前は…」
斎藤は痛々しい表情から再び激高の表情に変わるとクルリと桑田から背を向ける。そして桑田
の方を見ようともせずにスタスタと歩き始め、十川の遺体を担ぎながら何も言わずに桑田の前
から姿を消してしまった
「…怒りなれてない人が怒るとああやって怒りを表すのか。」
斎藤は滅多な事では怒らない、というよりもこのゲームが始まるまで怒った姿など見たことが
なかった。罵詈雑言をがなるわけでもなく、殴るわけでもなくまるでその存在に関心さえ無く
なったような態度…ある意味一番怖い態度に出るんだな、と桑田は苦笑した
「まあ、あの人のことだ。そこらへんでアイツの遺体でも丁重に葬っているんだろう。」
埋めるまでの時間は費やせないとしてせめて野ざらしは避けようと目立たぬ茂みに隠している
のだろう、後々斎藤に追いつけばいい、と桑田はたった今自分が名も知らない無実の仲間を
殺めた事をすっかり消し去りながら思うのであった
669 :
さねっちょ:01/11/01 22:52 ID:MRvbpICk
虚人支持のみな腰ね
非情な健康ヲタ桑田(・∀・)イイ!!
ここで別れてもまた斉藤をストーキングする気満々な桑田(・∀・)イイ!!
671 :
ミナコ☆ ◆OBykfjW6 :01/11/01 23:21 ID:hTga21dT
>>669 うるせぇ!アクセス規制が怖くて尾張もできないチキン野郎の分際で、(笑
672 :
:01/11/01 23:47 ID:qb/94WbO
十川カワイソウ・・・三沢のぬれぎぬをきせられたわけだね
桑田・・・健康ヲタで悪党でストーカー・・・カコヨスギ
セイロク兄さんってマジ切れするとこーゆー怒り方しそう
673 :
:01/11/02 00:05 ID:SQ5KvcIw
ミナコ、善意があるならこのスレッドに書きこむなってば
674 :
:01/11/02 00:24 ID:FUUkxX8C
保存屋助手です。
支給品をうぷ、一気読み+各章ごとを更新しました。
支給品で行方不明になってるものがわりとある。刃物・トホホ武器だけですが。
よろしければ今後作品を書く上で参考にしてみてください>職人の皆さん。
ざっと作ってみただけなんで不備等あったら指摘してください>皆さん。
と思ったら十川編が!
これからゆっくり読ませてもらいます。
675 :
:01/11/02 00:33 ID:aJapXxF5
十川も探知機持ってたの!?うひゃ!
シミーズ、今どこに…。
676 :
:01/11/02 00:43 ID:7by69RwU
>>674 お疲れさまです。さっそくいってみます
斎藤タンと桑田が決裂!?と思ったらさっそくストーキング!<桑田
>>675 ジミズといい十川といい良い人そうなのが探知器持ってるのもいいね
十川が持っていた二丁拳銃、
斉藤(宜)の遺体から分捕ってたりしないよな?
使ってなかったとはいえ桑田同様どっかひっかかる
678 :
:01/11/02 05:36 ID:1n48inhB
そういやこれから清水が堀田のとこに来るんだっけ・・・
久しぶりの登場だから楽しみだYO!
679 :
:01/11/02 10:36 ID:rUjCnU9N
>>677 あえて拳銃、じゃなく二丁拳銃って書いてたしね…
ま、死体から取るぶんにはいいけど…
桑田も斎藤雅と水野の最終対決(?)までストーキングしてそうだな
680 :
:01/11/02 12:18 ID:fYxLwdXa
保存屋助手さん、支給品すごいっす。保存サイトの充実ぶりにワラッてしまう・・・
なんかだんだん終わりに近付いてると思うとサミシー感じもするなぁ。職人さんガンバッテネ!
681 :
予告:01/11/02 12:52 ID:SQ5KvcIw
「なあ、原、さっきからそのパソコンで何をやっているんだ?」
鈴木尚広は先程から無言でリンゴのマークのノートパソコンをいじり続けている原俊介に痺れを切らし、
邪魔しては悪いなと思いつつもついに話し掛けた。
682 :
:01/11/02 13:20 ID:B8Msmmj3
>>680 話によってはまだ中盤ぽかったり終わりそうだったりするね。寂しいなぁ
>>681 予告って…!すごく気になるんだからネ!
683 :
:01/11/02 14:45 ID:uVloZX66
>>681 三村編登場なのか・・・
濃いキャラ残ってないのが痛かったり・・・
684 :
原俊介:01/11/02 15:04 ID:SQ5KvcIw
「なあ、原、さっきからそのパソコンで何をやっているんだ?」
鈴木尚広は先程からリンゴのマークのノートパソコンをいじり続けている原俊介に痺れを切らし、
邪魔しては悪いな、と思いつつもついに話し掛けた。
その半透明のリンゴのマークはi-Bookの証。
鈴木はパソコンには疎かったが、こればかりは趣味のショッピングの最中にVAIOと共に幾度となく見かけている。
だから、これがかなり上等のパソコンであることぐらいはわかった。
原は一心不乱にキーボードを叩き続けるかと思えば、急に考え込んだり、
「なるほど、こうか」「くそ、そこまでは甘くはないか……」などと呟いたりする。
鈴木は「変な奴が来ないか、見張っていてくれ」と原から渡されたベレッタを握ったまま放置プレイだ。
ちなみに鈴木が支給された武器は梵字が描かれた旗だった。おいおい、何だこりゃ。これで人を殺せって言うのか。
必殺シリーズの最低視聴率を記録した番組じゃあるまいし、馬鹿げている。首脳陣に必殺ファンでもいたのか、この球団には。
原は鈴木の問いに対し振り向きもせずに「まあ、ちょっと待っていてくれ――もう――少しだ」と答える。
原がもう少しキーボードを叩き続けると、ウィンドゥの中に"%"だの"#"だのが混じった英文が流れ始め、
原もそれに呼応してキーボードを打ち返す。
「よし」
原はつぶやくと、最後にデータをダウンロードするように指示し、手を止めた。
後はダウンロード終了を待つだけだ(もっとも、終わったらログを書き換えて証拠を消さなければならない)。
その後は、手に入れたデータをもとに作戦を練ることになる。
単にデータを書き換えるか、それとも独自のプログラムを組んで相手をより巧妙に騙すか。
後者の場合ちょっと手間ではあるが、まあ半日もあればなんとかなるだろう。
「原、説明してくれよ」
鈴木がもう一度言うと、原はニヤリと笑って、iBookから身体を離し立木に身を預ける。
我ながら少し興奮しているな、と思えたので気を落ちつかせるために一つ息をついた。
無理もない。さっき鈴木に「見張っていてくれ」と言った時点ではどう出るか確信が持てなかったのだが。
今は――勝ったも同然だ。
685 :
原俊介:01/11/02 15:05 ID:SQ5KvcIw
ゆっくり、口を開く。
「とにかく俺は、ここから逃げることを考えた」
鈴木が頷く。
「それでな」原は自分の首を指差す。原自身には見ることはできないが、
鈴木には、鈴木自身も首に巻かれている同じ鈍い銀色の首輪が見えているはずだ。
「本当はな、こいつを何とかして外したかった。これのおかげでこちらの位置があのクソ野郎どもにばれているわけだ。
つまり、今俺が、お前と一緒に居ることも。こいつのおかげで俺達は逃げようとしても簡単に捕捉されるし、
あるいは、中の爆弾に電波を送られて一発で殺されてしまう。……何とか外したかった」
原はそこで手を大きく開いた。肩を竦めて見せる。
「だけど、諦めた。中がどうなっているかわからない以上、いじりようがない。
きっと分解したら爆発するような仕組みぐらいにはなっているだろう。
多分、起爆用のコードが内側に張り巡らされているんだろう。そいつを切ったら」
「ドカンといく、のか?」
原は右手で鈴木を指差す。
「ご名答。そんなところだろう。そうなれば危ない橋は渡れない。
あるいは、首と首輪の間に鉄板をはさんで……とも思ったが、
まあ、多分、挟める程度の鉄板じゃ鉄板と一緒に首も身体と泣く泣くサヨナラだろうな」
鈴木がまた頷く。
「そこで俺はまた考えた。ならいっそのこと、俺達の捕捉、そして首輪の爆破用の電波を管轄する本部のコンピュータ、
あれだ、あれに一働きしてもらおうと。言ってる意味わかるか?」
そう、現代の野球は情報戦。そして原はキャッチャーだ。どのポジションよりも情報を溜めこんでおかなければならない。
その情報を効率良く扱うにはやはりコンピュータは必須。
というわけで原はより良い捕手であろうとするために、コンピュータの扱いには習熟していった。
最近ではクラッキングの技術もひとかどのものとなり、あの古田のデータベースにも侵入し、データを盗み取った事もある。
まあ、そんな努力は、首脳陣にはサッパリ伝わらなかったようだが。
鈴木は首を振る。
「うん、まあハッキングをしかけようと思ったんだ。
それで俺はパソコンを探した。接続のために必要な携帯電話は持ってるしな。
このクソゲームは私物の持ち込みは許可しているようで何よりだった。
その辺の民家の電話回線が使えるとは思えないからな。
まあ、こんなことなら自分のノートを持ってくれば良かったんだが、まあ仕方がない。
このiBookが見つかったから良いさ。後は電源だが、そのバッテリはそこらの車から外した。
電圧の調整はまあそもそもこのキャンプは海外で、
って連れてこられたんだからそれなりのコンバータは持ってきてある。簡単だ」
原の説明で鈴木は漸く地面に直接置かれたiBookと携帯電話が一体何をしているのか理解し始めたらしく、
小さく何度も頷いていたが、急に何か思いついたように口を挟んだ。
「ちょっと待ってくれ、俺も携帯をかけてみたんだが繋がらなかったぞ?」
原はニヤリと笑って「ちょっとお前の携帯貸してみろ」と言った。
鈴木が携帯を渡すと、原はまたニヤリと笑う。
「AUか、貧乏臭いなあお前。まあそんなことはどうでも良いや。
あのな、AUはどの国の電話会社だ? ここは、ハ・ワ・イ」
686 :
原俊介:01/11/02 15:05 ID:SQ5KvcIw
鈴木は「あっ、そうか」と納得しかけたが、すぐに立ち直って
「じゃあ、どうしてお前の携帯は繋がるんだよ? 質問に答えてないぞ?」
と切り返した。
「そりゃ、俺の携帯は特別だからな」と原は言うと、iBookに繋がったままの携帯を持ち上げて示した。
その携帯には「Irdium」と刻まれている。
「イリジウムだ。聞いたことないか? アメリカのイリジウム社がが1998年秋にスタートさせた衛星携帯電話サーヴィス。
66基のイリジウム衛星を利用して地球上のどこからでも通話が可能という夢のサーヴィスだ」
鈴木は目を見張った。
「凄いじゃないか! でもそんなのを良くあいつらは見逃してたね、普通警戒しそうなものだけど」
「それがだな」原は答える。「ラッキーだったんだよ、非常にラッキーだった」
原はイリジウムについて語りだした。
イリジウムのサーヴィスは夢のようなものだったが、加入者数が伸び悩み、投資を回収することができなかった。
1999年8月に破産申請、2000年3月にはサーヴィス終了。
日本では、旧DDIと京セラが資本参加し日本イリジウムを発足させ、
日本におけるサーヴィスの窓口となっていたが、アメリカイリジウム社の破産により、こちらも会社清算を余儀なくされた。
アメリカイリジウム社の倒産後、66基の衛星の破棄さえも検討されたのだが、
新たに発足したイリジウムサテライト社がアメリカイリジウム社の資産を買い取り、商業サービスの復活に向けて準備を進めていた。
そして今年、2001年3月には、世界各地の13社のサービスプロバイダーとの契約締結も済ませ、
サービス提供、販売、保守の窓口が用意された。
サービスプロバイダーは、アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、ロシアなどに点在しているのだ。
「イリジウムの復活は日本ではほとんど報道されなかった。何せこれは日本では電波法違反なんだからな」
原は手に持った携帯をブラブラさせながら話を続ける。
「日本の電波免許って言うのは携帯一個一個について出すんじゃなくて、携帯を扱う会社に一括して渡すんだ。キリがないからな。
ところが今日本にはイリジウムの窓口がない。日本イリジウムは今は清算会社で、無線局免許については無線局廃止届が、
第一種電気通信事業者免許には事業廃止届けが出ていて、一切免許がないのさ。だから、違法」
鈴木はうんうんと頷く。
「だから日本ではイリジウムの復活を知っている人間はほとんど居ない。あいつらが見逃していても何ら不思議はないさ。
そして復活してからはデータ通信サーヴィスもやるようになったんだ、イリジウムは。まさに天佑ってやつだ」
「それで?」鈴木は続きをうながす。
「あとは大した話じゃない。通常電話用、それもアメリカのモジュラ用のモデムと携帯電話を繋ぐのはちょっと骨が折れたがな。
何せ満足に道具があるわけでもないし。しかし、俺は何とかやったよ。
――それで、とにかく電話回線に入った。それから一旦俺の家のコンピュータにアクセスした。
クラック――ハッキングってのはな、普通のインタネットと違ってな、特殊なツール――プログラムが、
まあ暗号解読のソフトとかが要るんだ。そいつをまず取り寄せた。いや、俺が時流に逆らってマッカーで良かったよ。
家にあるのがマックだったからこいつで全く同じように扱える。
ああ、マックといってもマクドナルドじゃないぞ。マッキントッシュだ。」
原はiBookを軽く叩く。
687 :
原俊介:01/11/02 15:06 ID:SQ5KvcIw
「俺はかなり直感で動いていたんだ。
この栄光ある巨人軍の周りには金の亡者がいっぱいだからな。
きっと俺達のこのゲームも賭けの対象になってる、そう読んだんだ。
ところでインタネットと言ったら相場は何だと思う?」
鈴木は首を傾げて返事とした。
「リアルタイム更新だ。賭けの行方がどうなってるか皆知りたいだろ?
それを随時お知らせするにはインタネットは最適なんだ。
そこで随時インタネットでお知らせをするにはこちらからデータを送らなければならないだろ?
ということは本部の俺らを捕捉、もしくは生殺与奪の権を握っているコンピュータもまたネットに接続されてるってことだ。
ネットに接続されてるってことは、クラック――ハッキングを仕掛けるチャンスもまた、あるってことだ」
鈴木は感心して原の話に聞き入るばかりだ。もちろんその間にも周囲ヘの警戒は怠ってはいないのだが。
「で、だ。まずはyomiuri、もしくはgiantsの名が付くサーバをwebサーバだろうが何だろうが片っ端から当たった。
まあ普通の神経だったらそんな安易な名前はなあ、違法行為をやってるんだから避けるべきなんだろうが、
何せ栄光ある巨人軍の周りにはご老体ばっかりだろ?
老人と言えばコンピュータに弱いのが相場だ。わかりやすい名前にしてるんじゃないかって読んだんだが、これがビンゴ。
見事に俺らが賭けの対象になっていて随時リアルタイム更新!
何時何分に栄光ある巨人軍の背番号何々の誰々が死亡! 死因は清原が射殺!
だの何だの書かれているwebページが見つかったさ。
今後の為にちょっとログを覗いておいたがアレだな、上原と清原と高野と高橋由伸が危険人物だな。
まあ上原と高野は死んだみたいだが」
鈴木は不快感に顔を歪めたが、原は構わず話を続けた。
「そこがまあリアルタイム更新されていたってことは、そこへデータを送っているサーバがここの本部ってことさ。
そこへ突っ込んだ。こっちは多少面倒だったんだが、動ける範囲で色々調べてたら、
寝ぼけたことに作業用のバックアップファイルを残していやがったんだな。こいつを頂いた。
細かいところは省くが、その中に一つ意味ありげな暗号文字があった。
その解析をさっきお前に会うまでこいつにやってもらっていたのさ。答えはこうだ」
原はiBookに手を伸ばし、通信状態はそのまま、別のメモファイルを開いて24ポイントの特大表示で鈴木に示した。
鈴木は覗きこむ。
688 :
原俊介:01/11/02 15:06 ID:SQ5KvcIw
“pretty-nagashima”
「プリティ長嶋……?」
「そう。あいつ気に入ってやがってたでやんのな。くだらねえ母音入れ替えで暗号にしてあったんだが。
まあとにかくこれがルートのパスワード。
――あとはやり放題。今やってたんだけどな。今、本部のコンピュータの中のデータをまるごと頂いているところだ。
俺はそいつをいじってお返しする。そうすれば俺達を縛り付けているこの首輪を無効にしておさらばさ。
やつらは本部の回りを禁止エリアで囲んで俺達がもう近づけないと安心しているようだが、俺達はそこを急襲できるって寸法さ。
そして、一旦あの本部を押さえれば他の連中――まあ高橋と清原は考えものだが――を助けることだってできないわけじゃない。
あるいはそれが無理でも、俺達がもう死んだことにして、二人でとっととここをおさらばすることはできる」
そこまで一気に喋って一呼吸置き、原はまたニヤリと笑った。「どうだ?」
もはや、鈴木は放心したような表情をしていた。「凄い」とだけ言った。
原もその素直な反応に満足してにこっと笑った。
ありがとう、鈴木。何にせよ、自分の能力を誰かに褒めてもらうのは嬉しいことだ。
特に、2軍でくすぶり続けた俺には。
「原――」
まだその放心したような顔のまま、鈴木が口を開いたので、原は眉を持ち上げた。
「何だ? 何かまだ聞きたいことでもあるか?」
「いや――」鈴木は首を振った「あの――あのさ」
「何だよ?」
鈴木は視線を落として、手にしているベレッタを少し眺め、それからまた顔を上げた。
「あの、――何で、お前は俺と一緒に行動してくれるんだ?」
原はニヤリと笑った。
「お前に害意がなさそうだったからさ。一人でこいつをいじくっているのも無用心だしな。
一人よりも二人の方が良い。それだけさ」
原はそこで一旦言葉を切ると、真剣な目で鈴木の目を覗きこんだ。
「俺はお前を信頼する。信頼したい。それで良いじゃないか。
このゲームは信頼できなくなったら負けだ、俺はそう思ってる」
「ありがとう」
その言葉にまた原の表情はおどけたものに変わる。
「水臭いな。仲間じゃないか。チームメイトじゃないか。
まあ、そのチームメイト同志で殺しあっている奴らもいるんだから、まあ無理もないか」
そして、ぴゅうと口笛を吹いた時に、その口笛以外にぶん、という音を原は聞いた。
原は眉根を寄せ、いささか慌てて腰を上げた。
なぜならその音はマッキントッシュ標準の警告音だったからだ。
原はまたiBookの前に膝を付き、その画面に見入った。そして目を見張った。
そこに出ているメッセージは、回線が切断され、ダウンロードが中断した旨を継げていた。
「――何でだ」
原の口から漏れた声は、うめきに近いものだったかもしれない。
慌てて、キーボードを操作する。
しかし、回復は叶わなかった。
電話回線自体は繋がっている。そりゃそうだ、あいつらがイリジウムに手を出せる筈がない。
しかしもうプログラム関連ヘのサーバの接続は全く出来なくなっていた。
ご丁寧にヨミウリオンラインにまで接続はできなくなっていた。
慌てて匿名プロクシをあさったが、それではヨミウリオンラインのニュース速報を見ることはできても、
肝心のプログラム関連のサーバには接続できなかった。
馬鹿な――。原は今は停止しているiBookの画面を呆然と眺めていた。
クラッキングを気付かれたわけがない、そもそも気付かれないようにやるからクラッキングなのだ。
そして、原には十分にその技術があった。
「原? どうしたんだ、原?」
鈴木が方の後ろから声を掛けたが、原は答えることができなかった。
689 :
:01/11/02 16:08 ID:xj0czKqF
>>684-688 おおっ!原作・三村のクラッキングシーンがここに来て見られるとは!
パスワードは原作より笑えたっす
ヨミウリオンラインのニュース速報等、妙にリアルでイイ!!
690 :
:01/11/02 16:15 ID:xj0czKqF
おっと書き忘れた。
>保存屋助手さん
佐藤の支給品その後の「殺害後清原に誉められる。」にワロタ
691 :
:01/11/02 19:05 ID:h/Iw6SHY
三村編は泣く泣くあきらめてたとこだったから嬉しいよ。
しかも素晴らしいアレンジだし。
クライマックス前にまだ楽しめそうだ。
ありがとう、職人さん。
692 :
:01/11/02 20:25 ID:AjETtZmM
>>684-688、神と呼ばせてください!
イリジウムの話…どこまでホントなんですか…すっごくもっともらしい!!
アレンジ上手すぎます。骨子だけが原作と同じで携帯からの接続法は原作と全然違う!!!
そうそう、ハワイ行ってで行方不明のハズ、最初の設定は置いといて(w
76 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:15 ID:/VwIa6s4
>>75 クソスレ上げんな、死ね。
77 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:16 ID:/VwIa6s4
>>76 俺も上げてしまった…鬱
76 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:15 ID:/VwIa6s4
>>75 クソスレ上げんな、死ね。
77 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:16 ID:/VwIa6s4
>>76 俺も上げてしまった…鬱
76 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:15 ID:/VwIa6s4
>>75 クソスレ上げんな、死ね。
77 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:16 ID:/VwIa6s4
>>76 俺も上げてしまった…鬱
76 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:15 ID:/VwIa6s4
>>75 クソスレ上げんな、死ね。
77 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:16 ID:/VwIa6s4
>>76 俺も上げてしまった…鬱
76 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:15 ID:/VwIa6s4
>>75 クソスレ上げんな、死ね。
77 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:16 ID:/VwIa6s4
>>76 俺も上げてしまった…鬱
76 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:15 ID:/VwIa6s4
>>75 クソスレ上げんな、死ね。
77 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:16 ID:/VwIa6s4
>>76 俺も上げてしまった…鬱
76 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:15 ID:/VwIa6s4
>>75 クソスレ上げんな、死ね。
77 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/02 19:16 ID:/VwIa6s4
>>76 俺も上げてしまった…鬱
700 :
700:01/11/02 21:52 ID:G2kNlJ7h
ミナコ?氏ねや
701 :
:01/11/02 21:55 ID:NtMyNTqy
ミナコお抱えの虚人サイテー
虚人はミナコがいるから糞になる(わら
702 :
:01/11/02 21:56 ID:i9WS54kk
ミナコ来んじゃねぇーよ!
703 :
:01/11/02 21:58 ID:SQ5KvcIw
ミナコ叩きは他所でやってくれないか……
704 :
:01/11/02 21:58 ID:rACr8XbU
逝け
弱小を馬鹿にするミナコ
なにチュニチに対抗意識もってんだろね(藁
705 :
:01/11/02 22:01 ID:rACr8XbU
文句があるならミナコに言え
阪神特に中日など馬鹿にして
むちゃくちゃな理由で擁護する虚人ヲタ
同じ虚人ヲタならミナコを何とかしろや(藁
707 :
:01/11/02 22:12 ID:XlS+atpW
∩
| |
| |
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| |
∧_∧ | | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ´Д`)// < 先生!美奈子のせいで糞スレと化しています!
/ / \______________
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.|| ||
708 :
:01/11/02 22:20 ID:fm/UusBk
あぼーん
710 :
氏ね:01/11/02 22:49 ID:bOzp0WGN
ミナコウンコー
711 :
:01/11/02 22:53 ID:UkA9aO7n
712 :
???:01/11/02 22:54 ID:sIzV2IS/
作家さんたち最高!
あぼーん
あぼーん
715 :
_:01/11/02 22:58 ID:521bgnab
仮性の奴はコンジローム(亀頭の裏のブツブツ)付いてる奴多い
あぼーん
あぼーん
718 :
:01/11/02 23:50 ID:ltjaFCfV
>>684-688 あまりの凄さに感動しちゃったよ・・・
これからも職人さん達がんばってください。
あと、削除依頼出しといた方がいいか?
719 :
:01/11/02 23:59 ID:Fwk5DmWS
>>693-717 月曜日の8時頃中央線に飛び込んでくんないかなー
遅刻できる 駅はどこでもいいよ!
720 :
:01/11/03 01:18 ID:oiBigkXM
>>718 削除依頼出した方がいいんじゃない?荒しとみなしてもらえば
>>693-717の奴(どうせ同一人物だろ)も書き込み出来なくなる
わけだしね
721 :
720:01/11/03 01:22 ID:oiBigkXM
追加ですが保存屋助手さん、所持品一覧すごいです。
俺も佐藤の武器の説明には笑いました。
ただちょっと思ったんですが斎藤雅って薬品とチェコ製拳銃の他に
火炎瓶持ってませんか?三沢(?)や上原目がけて投げていた気が
したので・・・
722 :
:01/11/03 01:33 ID:AGHCLV+q
保存屋助手さんいつもながら感心してしまいます!!
いつもいつもご苦労様です!!
723 :
:01/11/03 01:50 ID:Zd4Dfs+j
保存屋助手さん、所持品一覧めちゃくちゃ詳しくてびっくり
しました。いつもありがとうございます。
岡島の支給品は原作通りなら手榴弾2つだと思いますよー
それが清原の手に渡って、松井達に投げつけられたはずっす。
>>684-688 凄すぎ・・・
まじで神です!続きが楽しみだ。
724 :
:01/11/03 02:45 ID:5QQqL6ve
職人さんたちいつも素晴らしい作品をありがとうございます。
保存屋助手さんもいつもご苦労様です!!
725 :
:01/11/03 03:33 ID:a2HfKYCU
三沢はどうなったのかな?そして入来もすぐそこまで来てるのかな?
雅樹兄さんと桑田が喧嘩わかれしたけどまだ離れた場所にいるわけでも
ないみたいだし・・・(追いかける気満々だったしね>桑田)
>>684-688 凄っ!続き楽しみ!原作沿いもオリジナル版もどっちも悪魔のような
面白さだ・・・
726 :
:01/11/03 09:28 ID:l2TZwTi+
>684-688
ホント神ですね! すごい!
通信問題を軽々とクリアして・・・もしかして例の秘密アイテムも・・・ドキドキします。楽しみです。
セイロク兄さんの火炎瓶、「自作」って書いてあったような。
アルコールランプも自作してたよね・・・器用なセイロク兄さん萌え。
ところで三沢がパン食ってたの、桑田の教えなのかもと思うとなんだか複雑な気分に・・・
727 :
:01/11/03 09:59 ID:ZL6WKV2o
>>693-717 ホント神ですね! すごい!
通信問題を軽々とクリアして・・・もしかして例の
秘密アイテムも・・・ドキドキします。楽しみです。
>>693-717 凄っ!続き楽しみ!原作沿いもオリジナル版もどっちも悪魔のような
面白さだ・・・
いかにも疲れきった返事をし、江川は妻の顔も見ずに二階の書斎に向かった。
“いかにも疲れきった”どころではなく、江川は本当にくたびれていた。
原因は、ザ・サンデーの打ち合わせのせいである。
鬱陶しい徳光を追っ払ったはいいものの、優勝したわけでもないのに
ハワイで秋季キャンプを張っていたジャイアンツの選手が一軍・二軍ともに全員行方不明というのは
確かに大事件なのだった。
もっともそれとて、かの偉大なるミスタープロ野球勇退に加え、古田の頭脳が猛牛打線をねじ伏せた
日本シリーズの話題にかき消されていたが。
それはまったく、最初から予定されていたように、あまりにもスムーズに起こった一連の出来事だった。
―――――長嶋の“勇退”という名の辞任は、果たして「プログラム」発動のためのものだったのか。
長嶋が辞めたのは、本当に優勝を逃したため、だったのか。
だが、そんなことはもはや観客にはどうでもよいことだ。自分が賭けた選手がどこまで生き延びるか。
本命か。対抗か。それともダークホースがいるのか。
戦っているのが生身の人間であることなど問題ではない。
競馬だって、サラブレットがあのガラスのように繊細な四つの脚が骨折せんばかりに走ることに
金を賭ける。それと同じことだ。そして、賭けに勝てばもちろん嬉しいが、その過程をも楽しめてこそ、
真のギャンブラー。
・・・などと気取ってみたところで、毎週日曜日の朝に放映されるザ・サンデーについては、
江川らレギュラーやスタッフたちも頭の痛いところなのだ。秋季キャンプ中に消えた巨人の選手たちと
徳光の抜けた穴はあまりにも大きい。が、抜けた穴はさらに大きな漬物石で塞げばいいとばかり、
「偉大なる長嶋監督閣下」の、現役時代は言うに及ばず監督時代の(一部のファンやファン以外には
どうだっていい)パフォーマンスの映像を延々と流し続けることにし、それでも補えない時間は、
取ってつけたようにヤクルトスワローズの日本一を、そう言うのもおこがましいくらいささやかな特集を
組んで伝えることに決定した。
実はザ・サンデーで最も好評である石井浩郎と三澤興一のコーナーはあっさり中止となった
(これが決まったときに江川は何かしら感じるものがあったが、それは口に出さないでおいた。
なにしろ「プログラム」について知っているのは自分だけなので)。
自分は反王貞治派だったとはいえ、即長嶋派だというわけではない。
何が悲しくて徳光ばりに長嶋監督様のアリガタイお姿を拝見して万歳三唱しなければならないのだ。
江川も、そして毎回巨人に迎合するコメントを言うことを強いられるコメンテーターも眉を顰めたが、
氏家社長直々の「選手の失踪などという忌まわしい出来事は一切無視!日本国民の至宝たる
長嶋監督を誉めよ、称えよ」とのお達しである。これも仕事と割り切って、徳光に代わり司会を勤める
ことになった江川、アシスタントの松本・馬場の両女子アナ、そして間を持たせるために呼びまくった
ゲストコメンテーターは先ほど入念な打ち合わせを終え、こうして各自夜中に帰宅したのだった。
二階への階段を上がり、書斎の扉の前に立つと、中からくすくすと、抑えようとしても
抑えきれなかったらしい笑い声が漏れていた。
江川は顔をしかめ、勢いよくドアを開けた。
慌ててパソコンデスクにバン!と手をつく音。
娘の早(サキ)が、きまり悪そうにディスプレイの前に立ちはだかっている。
その肩越しにディスプレイを見ると、選手に胴上げされたヤクルトの若松監督がくるくると回転し、
そのまま宇宙へ飛んでいったかと思うと大気圏に突入した挙げ句小野にヘディングをゴールをきめられた画像がある。
思わずブフッと吹き出した父を、娘はじいっと媚びるような上目遣いでみつめた。
さすがにバツが悪くなり、わざとらしく咳払いをすると「こんな遅くまでバカな画像見てないで、
さっさと休みなさい」と早を追い払いにかかった。
ネットに耽溺して生活が崩壊する若者のありさまをニュースで見聞きしていた江川は、娘と息子が
自分専用のパソコンを持つことを許さなかったのだ。それでこうして、子どもたちは父のいない隙に
父のパソコンを共用している。別に自分のパソコンを使われることは構わなかったが、もう夜中の
一時近くだ。子どもが規則正しい生活を送るにはあまりにも遅い時間である。少なくとも、父である
江川にとっては。
「パパだって笑ってたじゃん、今」
言いながら、早はデスクに置いてあった写真を江川に差し出した。
「また頼まれちゃった。いいよね?」
「写真は肖像権が絡んでくるからだめだって言っただろう?そうでなくても最近ネットオークションで
売りに出されて問題になってるんだから」
「何回もそう言ったんだけど、どうしてもって言われちゃって・・・」
早が渡したのは、彼女の友人がジャイアンツ球場に選手の練習を見物に行ったときに撮った高橋由伸
(背番号24)の写真だった。これに由伸のサインをもらってきてくれ、というわけだ。もちろん、
友人の名前入りで。
家族、親類縁者から巨人選手のサインを頼まれることは珍しくなかった。時には自分のサインも
頼まれたりする。サインだけなら気軽に頼めるし、選手も気軽に応じてくれる。が、写真となると
江川の言ったとおり肖像権なども絡んで面倒なことになる。
過去に一緒に写真を撮ってやったファンが、その写真を写真誌に持ち込んで「不倫疑惑!」などと
吹聴したために騒ぎになった選手だっているのだ。
そして、女性ファンの多い高橋由伸の場合、おどろおどろしい確執がファンの間で生まれるらしい
(らしい、というのは娘から聞いただけだから江川には実感として無い。だから理解できない)。
自分がいかに高橋由伸の印象に残っているかを競っているのだとか。単なる「色紙にサイン」ではダメで、
写真や、頼まれてもいないのに作ったグッズに“自分宛てに”サインを貰ってほしいと、
早は執拗に頼まれている。
もはや人気はプロ野球選手というより芸能人並みだ。無理を承知で友人に頼まれてしまった娘も可哀相で、
所詮一人娘の父である江川はつい甘くなり「しょうがないな。あまり期待しないで待ってなさい」と、
できもしない約束をしてしまう。
そう―――――今はもう、本当にできなくなってしまうかもしれない約束を。
わあ、と華やいだ声をあげる娘に、強引に「お休み」と言うと、案外あっさりと部屋を出て行った。
よほど安心したのだろう。
相変わらずゴールポストに突き刺さっている若松監督の画像を閉じるに忍びす(どこでこんな画像
拾ってきたんだ、いったい!でも面白いからこのままにしておこう)、江川は気もそぞろに「プログラム」の
ギャンブルサイトへアクセスし、プログラム実行委員会から付与されたIDとパスワードを入力した。
データは「1分おきに更新」に設定してある。
―――――こいつは・・・
選手名簿の「上原浩治」「桑田真澄」の横に、それぞれ「交戦中」の文字が点滅している。
他に「交戦中」の選手はいない。
どうやら、賭けの対象になった二人が、なんとも都合よく対決してくれているようだ。
これだ。真っ向勝負ほど面白いものはない。
自動でリロードされる一分という間すらももどかしく、手動で更新し続ける。
真っ暗な部屋の中、ディスプレイの光だけが、瞬きも忘れて二人の選手の名を食い入るように見つめ、
マウスをクリックし続ける江川の顔を照らしている。
その形相は、名投手のものでも、冷静に説明を加える解説者のものでもなかった。
かつて人々から称賛を以って呼ばれた「怪物」そのものだった。命の奪い合いに魂を奪われる、
一人の「怪物」だ。
ブラウザがリロードしきれていないうちに、江川は何度もクリックし続けた。
カチッ、カチッ、カチ、カチ、カチ、カチ……………
やがて、「桑田真澄」の横の文字が消え、「上原浩治」の横に、目に痛いほど鮮やかな赤い「死亡」の
文字が輝いた。
江川には倦まず飽かずクリックしていたせいで長い時間が流れたように思われていたが、
実際はそうでもない、わずか5分間のできごとだった。
江川の顔に、不気味な笑顔が浮かぶ。
―――――ワイン仲間のよしみでこっちに賭けたんだ、儲けさせてもらわなくちゃな。
おもむろにプログラム実行委員会作成の専用メールソフトを立ち上げ、メールチェックをする。
これも今回特別に付与されたメールアドレス・
[email protected]に、新たなメールが配信されていた。
勝者の名前、レート、配当金などが記されたメールである。
配当金はWEB上から、これも今回プログラムの為だけに開設された各人の口座に支払われる。
二者択一の賭けだったからレートも低く、大変な儲けになったわけではないが、それでも勝ちは勝ちだ。
嬉しいことに変わりはない。
ディスプレイの隅で大気圏に突入する若松監督を眺めながら、江川はデスクに両肘をついて、手を組んだ。
―――――さて、と。次の勝負のしどころは・・・“KK対決”か。
このまま、清原に賭けつづけるか。それとも、桑田に乗り換えるか。
今ならまだ間に合う。
今なら、まだ。
江川は思案に暮れた。
げっ・・・最初から間違った。
「江川編・1」の冒頭に
「やれやれ。
ご飯温めよっか?とリビングから尋ねてきた姉さん女房に「喰ってきたからいいよ」と」
を追加して読んでください。回線切って(中略)逝ってくる
732 :
:01/11/03 12:20 ID:EU3Tt7q1
娘が2チャネラ…(・∀・)イイ!!
733 :
原俊介:01/11/03 13:28 ID:XDJ6MXTs
プログラムを管轄するサーバヘの接続が断たれてから数時間が経過した。
あれから、プログラムにクラッキングは掛けられなくても、
外部に情報を伝えて救助に来てもらえれば、と思ったが。
「くそッ!」
原は腹立ちを隠し切れず、地面を思いきり叩いた。
鈴木はびっくりして振り返る。原は口を開いた。
「ダメだ。クラッ――ハッキングは失敗した。理由はわからないが、感づかれたらしい」
鈴木はすっかり意気消沈したようだった。
「でもまだやつらはイリジウムに手は出せていないようだ。そりゃそうだ、衛星は大気圏外だし、
本社もアメリカ本土だ。手が出せるはずがない。
そこで、俺はこいつで助けを求めようとしたんだが」
原は鈴木にイリジウムの携帯を見せる。
「ああ」
「ダメだ。俺の実家にも、親戚にも、俺のパソコンにも繋がらない。回線は生きているのにだ。
多分、お前の実家も繋がらないだろう、かけてみな」
原はイリジウムの携帯電話機を鈴木に投げて寄越した。
鈴木は電話番号をプッシュすると、携帯を耳に当て、またプッシュし、耳に当てを数度繰り返していたが。
「ダメだ。ずっと話し中だ」
原は携帯を受け取ると苦々しげに言った。
「きっと向こうの電話回線の方に仕掛けをしやがったんだ。ご苦労なことだな。
でも警察の回線にまでちょっかいを出せるほど大胆じゃないだろうと思ってかけてみたんだが」
「繋がらなかった?」
「いや、繋がった。でもな、信じてはくれなかった。
それに信じてくれたところで日本の警察では……何もすることができない……」
原は苦渋に満ちた表情と言えば、これだ、と思わせるような表情をしていた。
「そうか……」
「ならばこれをせいぜいネット上で流布して、とも思ったんだが、こうだよ」
原はiBookを回転させて、モニタを鈴木に見せた。
734 :
原俊介:01/11/03 13:29 ID:XDJ6MXTs
【大事件】巨人キャンプ中テロに遭遇の実情【大事件】
1 :原俊介@本人◆HaraShun 投稿日:01/10/28 23:21 ID:stdio.h
巨人が秋季キャンプ中にテロに遭遇したそういう報道のされ方をしているようだが
本当は違う。
報道管制が掛かっているみたいだ。
実際には本当に強い選手こそ巨人にふさわしいとか訳のわからないことを言って
選手同士に殺し合いをさせているんだ。
もう、上原や、元木なんかも殺された。
警察に言っても信じてはくれない、何とかこの話を広めてくれ。
そうすれば今生きのこっているメンバーだけは助かるかも知れない。
俺らを助けてくれ!
2 :1を見ないでカキコ :01/10/31 22:23 ID:6/ryxI/O
2げっと_
3 :_ :01/10/31 22:29 ID:lf3Y1+V/
>>1 ソースは?
4 :名無しさん@お腹いっぱい。 :01/10/31 22:32 ID:i3eSP/EW
嘘でしょ?
5 :名無しさん@お腹いっぱい。 :01/10/31 22:34 ID:aA/3WWDE
感動した
6 :原俊介@本人◆HaraShun :01/10/31 22:35 ID:stdio.h
>>3 報道管制が掛かっていると言っただろう?
ソースなんかありはしないよ。
マスコミの報道だけを盲目的に信用するだけじゃなくて、ここはひとつ俺を信じて
web上にこの話を撒いてくれないか? それだけでもおそらくだいぶ違うんだから。
7 :_ :01/10/31 22:36 ID:lf3Y1+V/
>>6 ソースが無いんじゃ信用できないなあ(ワラ
8 : 投稿日:01/10/31 22:42 ID:3MgtAUl0
そもそも原俊介って誰だよ?
7 :キチガイ警報! :01/10/31 22:44 ID:sQnP68j+
http://www.yomiuri.co.jp/ 正しい情報はこちらで
735 :
原俊介:01/11/03 13:29 ID:XDJ6MXTs
10 :原俊介@本人◆HaraShun :01/10/31 22:49 ID:stdio.h
そんなに信用するのが嫌か?
ちょっと信用してあちこちに情報を流してくれれば人が助かるかもしれないってのに!
嘘をつくならもっと有名な選手の名を騙るよ!
11 :名無しさん@お腹いっぱい。 :01/11/01 23:05 ID:jsL0jBLz
∧ ∧ ┌─────────────
(´ー`) < シラネーヨ
\ < └───/|────────
\.\______//
\ /
∪∪ ̄∪∪
12 :名無しさん@お腹いっぱい。 :01/11/02 23:09 ID:MFmjSq2B
アンチ巨人でもこれはやり過ぎだろう。
冗談きついぞ
>>1 13 :名無しさん@お腹いっぱい。 :01/11/01 23:15 ID:js2Kooa
原俊介って誰かの外れ一位だったよね?
低脳のネタにしては渋い人選だ
14 :原俊介@本人◆HaraShun :01/10/31 23:21 ID:stdio.h
考えてもみろよ、どんなに酷いテロだって現地から全く情報が途絶するなんておかしいと思わないか?
アメリカのあのテロの時も現地から情報だけはちゃんと来ていただろう?
自分の頭で考えて判断してくれ……
15 :名無しさん@お腹いっぱい。 :01/10/31 23:26 ID:aA/3WWDE
俺の頭で考えて判断したところ
>>12はキチガイと出ました。
16 :キチガイ警報! :01/10/31 23:32 ID:sQnP68j+
http://www.yomiuri.co.jp/ 正しい情報はこちらで
17 :アンチ巨人 :01/10/31 23:39 ID:HWhVzYSW
まあ本当なら元木が死んだ事は嬉しい。
今夜は赤飯だ。
736 :
原俊介:01/11/03 13:30 ID:XDJ6MXTs
この後は訳のわからない言葉や罵詈雑言、記号を組み合わせて作った絵のようなものばかりで読むに耐えないものだった。
鈴木は顔を上げて原の顔を覗きこんだ。原は苦笑いする。
「誰もこんなこと信じてくれないんだよな。多分、信じてくれるのは血の繋がった人間ぐらいだろう。
そのことを見越して回線ヘの細工を最小限にしてやがるんだぜ、やつらは。
それで俺らが信用してもらえず落胆している様を笑って見ているのさ。なんて趣味だよ」
とまで言って、原ははたとあることに気付き、「それ」に気づいた時と同様、自分の首に巻かれた首輪に手をやった。
やつらが知った以上、自分は、即座にこの中の火薬を爆破され、殺されていてもおかしくなかったということだった。
多分、鈴木も一緒に。
おかげで、昼過ぎにとった支給されたパンと水は、ひときわまずく感じられた。
鈴木もすっかりしょげかえり朝から動こうとはしなかった。
だが――だがしかしだ。
俺をすぐに殺さなかったことを後悔させてやる。
原は右手を固く握り締めた。
737 :
:01/11/03 13:55 ID:KWnrqShR
733-736
し、死ぬほどオモロイ!!
738 :
修正:01/11/03 14:04 ID:XDJ6MXTs
15 :名無しさん@お腹いっぱい。 :01/10/31 23:26 ID:aA/3WWDE
俺の頭で考えて判断したところ
>>14はキチガイと出ました。
これが正しい
×
>>12 ○
>>14 です。しくった。
739 :
:01/11/03 14:05 ID:3H495x/v
>>728-730 今日テレで江川司会の好珍プレーやってて見てるこっちは半笑いだよ!
パパ頑張れ。実際頑張るのはサイン頼まれてる由伸だが。
>>733-736 危うく削除依頼出すとこだったよ(w
740 :
:01/11/03 19:59 ID:2YUqwyvM
江川編も原編もかなーり面白かったヨ
ゲスト出演?の若松にもワラタ!
741 :
:01/11/03 20:03 ID:tYEz+n/n
311 名前:ミナコ☆ ◆OBykfjW6 投稿日:01/11/03 19:59 ID:ud0JCfy2
>>738 お前ウザー
742 :
:01/11/03 22:18 ID:P5TZ9EnR
江川編、原編イイ!凄いなー!
743 :
:01/11/04 00:33 ID:YHlksbAN
原編書いてる人は神だね。
この人の宗教なら俺、信者になれるよ。
744 :
:01/11/04 00:40 ID:YHlksbAN
【大事件】巨人キャンプ中テロに遭遇の実情【大事件】
このスレ立てたい。
それも速報板に。
745 :
:01/11/04 00:48 ID:8vTYRfB2
ここの職人さん達は本当に神だよね。こんなに楽しみにしてるスレって
初めてだよ。職人の皆さん、続き期待してます
746 :
:01/11/04 01:21 ID:P9qrCk4g
このスレのお陰でG選手をフルネームで言えるようになった。
保守sage。
748 :
予告編〜阿波野と鹿取:01/11/04 13:07 ID:iy1c8/Eq
闇が、深い。
この暗闇の向こうに何があるのか。何を、得るのか。
行く手に人の気配を感じて、阿波野は歩みを止めた。
ゆらり、と闇が動いた。
影の中から姿を現したのは、鹿取義隆だった。
「よう」
いつもと変わらず、飄々とした風である。
阿波野は会釈だけして横を通り過ぎようとした。が、それを鹿取が引き留めた。
「いい芝居だったなあ、阿波野」
半身通り過ぎたところで、阿波野はゆっくり振り返った。ことさら、ゆっくりと。
「外に出ようや」
鹿取は振り返りもせず、歩き出した。阿波野がついてこないとは微塵も思っていないかのように。そしてその通り、一瞬の逡巡の後、阿波野はその後に続いた。
749 :
:01/11/04 14:26 ID:1d9ZqS61
>>748 阿波野はやっぱり白やったんか?
森からの刺客と踏んでんだけど違うんだろうか。
保存屋さんはいつ寝てるんだろう…もう更新されてるよ(w
750 :
原俊介:01/11/04 17:43 ID:POV4+Zih
一つ懸念はあるが……とにかく作戦は立った。
決行はできるだけ早いほうが良いだろう。
原は立ちあがると、膝を抱えて視線をぼんやり地面に落としていた鈴木を呼んだ。
鈴木は振り返った。その目が輝いている。
「何か思いついたの?」と訊いて来た。
その時、その鈴木の何が気に障ったのか良くわからない。口調だったのか、
言葉自体だったのか、とにかく、原の心のどこかで、一瞬、何だよそりゃ、という声がした。
俺が脱出方法について頭をひねっている間じゅう、
お前はそこでぼんやり座ってりゃいいってわけなのか?
お前はファスト・フードを買いに来た客で、俺はその店員か?
ちくしょう、だったら一緒にポテトもお召し上がりになったらどうだ。
――しかし、原はその声を押さえつけた。
鈴木の眼の下には明らかにくまができていた。疲労しているのだ。
そしてその顔を見てさらに原はある事に気づいてぎょっとした。
今、鈴木にちょっとでも腹を立てたということ自体、自分もまた疲れていることの証拠なのだ。
勿論、助かる見こみがほとんどないこんな状況じゃ、
神経が参らない方がおかしいかも知れないが。
だめだ。
気を付けなければならない。そうでないと、
――これがいつもの試合なら負けて悔しがるだけのところだが――
このゲームでは当然の帰結として、死ぬことになる。
原は気を取り直そうとして首を振った。
「どうした?」
鈴木が訊き、原は顔を上げて、ニヤリと笑って見せた。
「いや、何でもない。それより、ちょっと地図を検討するぞ、いいか?」
鈴木が原の方に身体を寄せた。
「あ」原は声を上げた。「虫が這ってるぞ、お前。首のとこ!」
鈴木がそれで、びくっと首に手を持ち上げた。
原は「俺が見てやる」とそれを制し、鈴木に近づいた。
鈴木の首筋に――実は別のものに、目をこらした。
「あ、逃げた」
原は言い、鈴木の後ろに回りこみ、さらに目をこらした。
「原。取れた? 原?」
鈴木がそう言うのを聞きながらも、原はさらに仔細に観察を続けた。
それから、鈴木の首筋をさっと手で払った。
存在しない虫をスパイクの底で踏みつけ、それを摘み上げ(たフリをして)、
茂みの奥へと放った(フリをした)。
「取れたぞ」と言った。鈴木の前に戻りながら「ムカデの小さいやつだな」と付け加えた。
鈴木が苦笑いしながら「あまりいい気はしないな」と首筋をこすりながら、
それが放り捨てられた(フリをした)方へ目をやって、顔をしかめた。
原はニヤリと笑うと、「さあ、地図だ」と声を掛けた。
751 :
原俊介:01/11/04 17:44 ID:POV4+Zih
鈴木がそれで地図を覗きこみ――その地図が裏返しになっていることに気がついて、怪訝な顔をした。
原は立てた人差し指をちょっと振って制すると、
GIANTSの文字がプリントされたボールペンを地図の裏面に走らせた。
"盗聴されていると思う"
鈴木が顔を引きつらせた。
「マジか?」と尋ねる。
原は慌ててその鈴木の口に手を伸ばす。鈴木は目を丸く見開いたまま頷いて了解の旨を伝えた。
原はその手を離すと「ああ、マジだ。あの虫には毒はない、俺は結構詳しいんだぞ?」と言いつつボールペンを走らせた。
"俺達は地図をみている。疑われるようなことを口にするな"
「いいか、それで、クラッキングが失敗した以上、これ以上打つ手はない」
カモフラージュのために原は言い、続けて書く。
"だから、やつらは俺がお前に説明するのを聞いて、サーバに何か細工をしたんだ。
俺が甘かった。やつらは、俺達の用に反抗しようって奴を想定していたはずだ。
だったら、てっとりばやい予防策は盗聴、当然だ"
鈴木も揃いのGIANTSプリントのボールペンをポケットから出し、
原が書いたすぐ下に文字を書きつける。
"こんな広い島にか?"
「だから、とにかく誰かを探そう。俺達二人じゃ何もできない。それで――」
原は言いながら、自分の首につけられた首輪を指で指し示した。鈴木が頷く。
"今、お前の首輪を調べた。カメラまで内蔵してあるようには見えない。盗聴器だけだ。
それと、その辺にカメラが仕掛けられている様子もない。
気になるのは人工衛星ぐらいだが、
まあここなら木に覆われて俺達が何をしているかまではわからないはずだ"
鈴木がまた目を丸くして頭上を見上げると、梢が二人をブルーの空から遮断していた。
752 :
原俊介:01/11/04 17:46 ID:POV4+Zih
鈴木はそれから、はたと気がついたように顔を強張らせた。震える手でボールペンを走らせる。
"ハッキング、俺に話したから失敗した訳か"
原は鈴木にニヤリと笑って見せた。
"それは全くその通りだが、気にするな。俺の不注意だ。やつらが気づいた時点で俺達、
この首輪を吹っ飛ばされていたかも知れない。やつらの仏心で俺達は生きてるってわけだ"
鈴木がそれで首輪の巻かれた首筋に再び手を上げ、ぎょっとした表情を見せた。
それから、暫く原の顔を眺めると、ぎゅっと唇を結び、頷いた。原も頷き返す。
「大体みんなどこに隠れていそうかなんだが――」
"だから、これからの俺のプランをここに書く。俺は適当な事を喋るから、適当に合わせてくれ"
鈴木は頷くと「だが、信用出来る奴なんてそんなにいるもんかね」と言った。
原はは満足げに頷いた。鈴木も笑みを返す。
「そうだな、でも松井さんとか斎藤雅樹さんなら大丈夫じゃないか。何とか会いたい」
"先に一つ断っておく。ハッキングが巧く行っていたら他の連中をも助けられたかもしれないが、
今はもう、俺達は自分が逃げることを考えるしかない。いいな?"
鈴木はちょっと考えて、書いた。
"斉藤さんも探さないのか?"
サイトウのサイの字が間違っていたが、まあそんな事はどうでも良い。
第一正しい字は自分にもかけないし、正しく書いたところで時間の無駄だ。
"そうだ。辛いところだが今の俺達にはもうそんな余裕はない。いいか?"
鈴木は唇を噛み締めて頷いた。
原は頷き返す。
"ただ、俺の考えていることが巧く行けば、このゲームは一時停止を余儀なくされる。
そうなれば、他の奴らにも逃げ出すチャンスはできるかも知れない"
「みんな、俺達みたいに山中に隠れていると思うか? 家の中に隠れるとか……」
「さあ――」
原は次に書くことを考えていたが、先に鈴木が書いた。
"考えている事?"
原は頷き、GIANTSプリントのボールペンを握り直した。
"実は俺は、あの失敗からこれまで、あることが起きるのをずっと待っている"
そこまで書いて顔を上げた。鈴木は首を傾げている。続けて書きつける。
"このゲームの中止のアナウンスをだ。今も待っている"
鈴木がちょっと驚いた顔で、また首をひねった。
原はさらにボールペンを走らせる。
"おまえに色々話す前、本部のコンピュータに入った時に、俺は何よりまず、
そこに入っている全ファイルのバックアップを探したんだ。それと、ファイル検査ソフト。
それはすぐに見つかった。それで、データを落とす前に、その二つにウィルスを仕掛けたんだ。
保険としてな"
753 :
原俊介:01/11/04 17:47 ID:POV4+Zih
鈴木が"ウィルス?"と声を出さずに口を動かした。原は頷く。
"つまり、やつらが何かトラブルが起きたと判断して、ファイルを検査するか、
それともバックアップからファイルを回復した時にだ、
ウィルスが本部のコンピュータシステムに入りこむようにしたのさ。
もしそれをやったら、もう無茶苦茶なことになってゲームの続行は不可能になるだろう"
鈴木が感心したように何度も頷いた。
"動き出したら全部のデータをぶっ壊して、『野球場へ連れてって』だけをエンドレスで演奏する。
メジャーアレルギーのあの連中、気が狂うぞ"
二人でひとしきり笑いを堪えるのに苦労すると、続きを書く。
"とにかく、さっきの俺のハッキングがばれて、やつらがそのファイル回復をやらないかと思ったんだ。
そうしたらもう、ゲームは中断せざるをえない。ところが、そうはなっていない。
つまり、やつらは小手先だけのチェックで済ませたってわけだ。
まあ、実際俺は本体のファイルには全く手を出していないしな"
「シラミ潰しに探してみるか」
「――だが、危ないんじゃないか?」
「ああ、そうだが、まあこちらには銃があるし――」
"それで、だ。俺の作戦ってのはそのファイル回復を奴らにやらせることだ。
そうすればウィルスが作動する"
原はiBookを引き寄せ、さっきまで眺めていた文書を鈴木に見せた。
データのダウンロードは中断されたが、それまでに手に入れたデータのうち、
原が一番重要だと判断したデータだ。その横書きのプレーンテキストには、
左側に00、0から97までの数字が、ところどころ飛び飛びに並んでいる。
その右にはランダムに見える16桁の番号が並んでいる。
各行とも、その二つを半角のカンマが区切っていた。
ファイル自体の名前は"kourakuen-giantsprogram2001"というもの。
754 :
原俊介:01/11/04 17:47 ID:POV4+Zih
"これは何だ?"鈴木が書いた。
原は頷いた。"俺はこれが、それぞれの首輪を管理するための暗証だと睨んでいる"
鈴木が、ああ、というように大きく頷いた。
そう、即ち、左側の数字の00は後藤、0は川中だ。
もう、二人とも、この世には居ないのだが。
"思うんだが、要するに、携帯電話と同じシステムなんだろう。
それぞれの首輪の番号があって、同じに暗証番号がある。
爆破をする時にも、この番号を使う。つまり"
原は手を止めて、鈴木の顔を見た。続ける。
"データが、とりわけこの番号がウィルスにやられたら、俺達はもう、
首輪を吹っ飛ばされる心配をしないで済む。ウィルスは一度活性化したらガンガン感染するから、
フロッピーや何かで予備を取っておいたとしても無駄だ。
紙に手で書きとめられていたらちょっと厄介だが、それでもシステム自体は破壊される。
時間稼ぎぐらいにはなるはずだ"
「目星を付けた所に石つぶての雨でも降らせて、誰か逃げ出して来るか確かめるってのはどうだ?」
「待て、まだ生き残ってる連中にはそんなに無害な連中はそういないんじゃないか?
石つぶてを投げて鉛弾が返ってくるんじゃ、割にあわないぞ」
「ふむ」
"どうやってそう仕向ける?"
原は頷き、自分もまた字を書いた。
"本部を出るとき、首脳陣の連中がいた部屋を見たか?"
鈴木は頷いた。
"あそこにコンピュータがあった。覚えてるか?"
鈴木は首を振った。"そんな余裕はなかった"
原は軽く笑った。
"俺は連中にガンつけがてらに良く見ておいた。
デスクトップがずらっと並び、大型サーバらしきものも一つ、置いてあった。
それに、ユニフォームを着ていないやつがいた。ありゃきっとコンピュータの技術者だ。
つまり、間違いなくこのゲームを動かしているコンピュータはあそこにある。
だから俺達としては、本部を攻撃してデータに少しでも損傷があったと思わせればいいんだ。
いや、きちんと材料さえ揃えば、コンピュータ自体をふっとばすこともできるはず"
755 :
原俊介:01/11/04 17:48 ID:POV4+Zih
原は鈴木の顔を見て、また続きを書く。
"本部にハンドメイドの爆弾をぶつける。それから俺達は、海上へ逃走する"
鈴木が、今度こそ目を見開いた。"ばくだん?"と口を動かす。
原はニヤリと笑った。
「先に武器になるものを探しておいた方が良いかもしれないな。
お前だって、そんな旗じゃなあ。必殺仕事人でもない限り戦えないだろう?」
「残念ながら俺は必殺仕事人じゃないしなあ」
"俺が欲しいのはガソリンだ。給油所がいくつかあったが、それはもうダメだ。
この島にも何台か車はあるだろ。ガソリンは入ってるかどうか知れないが、
とにかく探す。最悪、軽油だ。それに、肥料"
鈴木が眉を寄せた。
"肥料? バック・トゥ・ザ・フューチャーじゃあるまいし"
こんな非常事態によくもまあくだらないことを思いつくやつだ。
この分ならこいつはまだ大丈夫だな。
"硝酸アンモニウム。これとガソリンを混ぜると「硝安油材爆弾」別名ANFO爆弾ってのができる。
1995年4月のオクラホマシティーの連邦ビル爆破テロにも使われたやつだ。
結構まともな爆弾だぜ?
しかも、混ぜる比率を変えれば爆発した後有毒ガスが発生するオマケ付きだ"
原はポケットから、真鍮色の円筒を出し、鈴木に示した。
"この中に雷管――起爆装置が入っている。何で俺がそんな物を持っているかは、
ややこしいから省く。しかし、とにかくある"
鈴木は怪訝な顔をしていたが、ペンを取り、書いた。
"だが、どうやってぶつける? 近づけないぞ?
木ででかいパチンコのようなものでも作るのか?"
ははあ、なるほど。原は笑んだ。
"悪い手じゃないが、それじゃ狙いがイマイチだ。
何発も撃てるならいいが、起爆装置はこの一個だけだ"
原は再び真鍮色の円筒を見せた。
"ロープと滑車だ"
鈴木はまだ首を傾げている。
"要するにな、ロープフェイだ。確かに本部のエリアにはもう近づけない。
しかしこちらの山側と、本部をはさんだ向こうの平地側はまだ大丈夫だ"
原は一度地図を表の方へひっくり返し、鈴木に見せた。また裏返す。
"山から平地ヘ、違うな、平地側から山側へロープを張る。多分300メートル以上は要るな。
それで、ロープをぴんと張ったら、山の上から滑車を付けた爆弾を滑らせるのさ。
本部の上にきたところで、ロープを切る。ちょっとした報復爆撃だ"
鈴木がまたしても感心したように、何度も頷いていた。
756 :
原俊介:01/11/04 17:49 ID:POV4+Zih
「昼間のうちに動いた方が探しやすいかも知れないな」
「ああ、そうだな。誰かを探すよりは簡単だろうし」
"作業のためにも、その方が良い。
滑車はどこかの井戸で見かけた。ガソリンは車から集める。
問題は肥料とロープだ。そんなに長いロープが、果たしてあるか"
少しの間沈黙が落ちたが、鈴木がすぐに、いそいそと書いた。
"だが、それしかないんだろ? やろうぜ"
原は頷き、続けた。
「うまく行けば、あのボケ老人や首脳陣の連中のほとんどをやっつけられるかも知れない。
しかし、とにかく、さっき書いたとおりだ。データに傷がついたと思わせるだけで十分。
そしたら"
自分の首輪を指差す。
"これでやられることはなくなる"
"その後に海へ逃げるのか?"
原は頷いた。
"今日は満月だから、潮流は早い。巧くいけば隣の島まで20分かそこらさ"
鈴木はうんうんと頷くと
"見張りの船はどうする"
と書いた。原はそれに頷く。
"もちろん、見張り用の船なんだから発見される危険はある。
しかし連中はコンピュータに頼り切っているだろう。
油断しているさ。見張りの船が東西南北に1隻ずつの計4隻というのも手薄だしな。
仮に、やつらが人工衛星を押さえているとしてもだ、夜になればそんなもの。
役に立ちはしないさ。そして、首輪を吹っ飛ばされることもない。
ということは、俺達に逃げるチャンスができる"
"だが、それでも難しくないか?"
"一つ考えがある"
原は、今度はデイパックに手を突っ込み、小型のトランシーバーを掴み出した。
これもまた、民家で拾った物だ。
"これをいじって少し出力を上げてみようと思う。そんなに手間は掛からないはずだ。
それで海上に出たらいい加減なところで海難救助を求めるんだ。
釣り舟が転覆したとか、何とか"
"なるほど、それで近くの船に助けてもらうわけか"
原は首を振った。
"違う、それぐらいのことなら読まれる。だから、嘘の位置を言うんだ。
俺達が逃げるとは反対の地点を"
鈴木はかくかくと頷いた。
"凄いな、原は"
とまで書いた。そこで、原はニヤリと笑いながら書いた。
"それでも安心できないぞ、ハワイ近海には最近サメが出るって言うからな"
鈴木は目を丸くした。
"ハワイにはサメが出ないって言うじゃないか"
原はニヤリと笑う。
"以前はな。最近は出るんだよ。まあでもそれも対処法を知っておけば大丈夫だ。
そんなに長い距離を泳ぐことにもならんだろう。
サメが近づいてきたら十分に引き付けて鼻面にパンチだ。
サメは一回しかアタックしないという習性があるからこれを決めれば安心だ。
まあ、そんなに出没回数も多くないし大丈夫だろ"
"おどかしやがって"
二人は声を立てずに笑った。
757 :
原俊介:01/11/04 17:49 ID:POV4+Zih
「よし、じゃあ」時計を見る。4時を回っていた。
「5分後に行動開始だ」
「ああ」
普段あまり字を書かないので、原は疲れて鉛筆を放り出した。
地図の裏面に、まるきりパソコン通信のログファイルの用に大量の字が並んでいた
(本当は、ボールペンで字を書くぐらいならばキーボードの方が良い。
鈴木がキーボードを叩けるのならば、iBookを使えたのだが)
しかし、もう一度ボールペンを握って、書き足した。
"あまり良い計画とは言えない。無事に脱出できる可能性は低い。
しかし、他には思いつかない"
肩をすくめて、鈴木の顔を見る。
鈴木がちょっと笑って書いた。
"やるしかないさ"
758 :
:01/11/04 18:16 ID:QhrJL9tF
>>750-757 うぉおおぉぉおおおお!!!
凄い!凄すぎる!!!!
あなたは神だ!神様ぁぁあああ!!!!!
759 :
:01/11/04 18:33 ID:2dupop5Z
原編は原作に沿いつつオリジナル要素も多いよね
どうなっちゃうんだろう…阿波野と鹿取が接触したり
三沢も桑田襲撃失敗してみたり斎藤と桑田は決裂したり
キヨと由伸もどうしてるんだかで色々気になります
各職人さん、頑張ってください
760 :
:01/11/04 20:08 ID:POwo50fq
保存屋さんいつもごくろうさまです!
一番の職人さんだあ。
そして私は入来がどうなったか気になるのであった…。
お兄ちゃんも弟も。
761 :
:01/11/04 21:02 ID:9NVZY1nj
由伸 現在地=不明 行動=若手を数名殺した直後?
清原 現在地=わりと斎藤、桑田等の付近に居る
行動=佐藤を殺した直後?
斎藤 現在地=西端 行動=桑田と決裂直後、十川の遺体を葬る最中?
桑田 現在地=西端 行動=斎藤をストーキング予定?
三沢 現在地=西端 行動=桑田狙撃失敗後、まだ付近に潜伏中?
入来 現在地=不明(もしかしたら西端?) 行動=三沢を追跡中?
川相松井二岡 現在地=不明 行動=やっと合流した直後?
清水 現在地=不明 行動=そろそろ堀田と出会いそう?
原鈴木 現在地=不明 行動=脱出計画中?
なのかな?覚えている限り。もうちょっと詳しく調べてみよう
>>760 入来弟がどうなったか気になるね。三沢もどうなったのかな?
762 :
_:01/11/04 21:21 ID:3e6i0/et
原作知っててもドキドキしますね。職人さん、保存屋助手さん頑張ってください!
松井は、灯台での出来事の全てを語り終え、そして最後に
「ひどかった」
それだけ言って、口をつぐんだ。二岡が蒼白になって目を潤ませていた。川相は眉を寄せ、口をきつく引き締めていた。そして
「上野が人数をかき集めたのが災いしたな」
とだけ言った。
松井は敢えてその言葉を聞き流し、
「これを」
と言いつつ肩からウージーを外して川相に渡し、
「二岡はこっちを使ってくれ」
と、無機質な言葉遣いに徹しながら(そうでないと泣いてしまいそうだったので)Cz75を手渡した。
そして、自分にはデイバッグからブローニングを取り出した。それを掴んだ時に、何故か上野の穏やかな笑顔が脳裏をよぎった。
「川相さん・・・人を信じるというのは、難しいですね・・・」
川相はそれを聞くと少し遠い目をして、そして頷いて言った。
「そうだな、本当に難しい。しかしまぁ、良かったよ。お前が生きていてくれて」
松井はそれを聞くと、少し動きを止め、無言で頷いた。駄目だった。やはり、涙は堪えられなかった。
764 :
:01/11/05 00:00 ID:0dSDxbx6
うーん、感動!!
765 :
:01/11/05 01:59 ID:PkgVnjMc
いったんあげます
766 :
\:01/11/05 12:06 ID:fPtu/sEQ
age
767 :
:01/11/05 20:12 ID:N+o5ld9X
kitaiageage
768 :
斎藤編:01/11/05 21:06 ID:paCqQidw
十川の遺体に草を被せながら斎藤はじっと突っ立ったままであった。また一人の若手が消え、消した
のは桑田であった。先程は怒りに目がくらみ桑田の顔さえ見たくないと何も言わずに去ってしまった
が、冷静に考えればこのゲームの中を生きる、という意味では桑田の意見の方が正しいのは分かって
いることであった。敵か味方かどちらか分からない場合は敵として扱え…まったくその通りであった。
そうでなければ生き残れない、分かってはいるが分かりたくない、やるせない怒りというものが
燻ったままだった
『村田さんは心中ですよ』
突然、斎藤は村田真一の事を思いだす。昨夜、村田は誰に殺されたんだ、と聞いた時に桑田は一言
そう答えた。ゲーム開始時、斎藤は村田の死の放送を聞いた次点で自分ももう消えても良いと思った
のかもしれない。女房役である盟友…だが最後に彼を裏切ってしまったのは自分だったかもしれない
…ずっとそう思っていた。そんな村田が死に、自分が生きているのはおかしな話だ、自分も先のある
若者のために消えて良いだろうとあの時決意した。その結果、結局こうして自分のせいでより過酷な
状況に追い込んでしまった平松の為に再び参戦することになるとは…
(阿部が入団した時…)
真っ先に阿部と組んだのは自分であった。新人ゆえに組むのを渋っていた投手陣を見かねて率先して
組んだのであったが、それは村田をもう使わないと宣言するようなものであった。分かってはいたが
それでも真っ先に阿部と組んだのであった。村田の選手生命はもう短い、そして阿部はこれからの
選手…投手としてでなく、村田の盟友としてでもなく、野球人として阿部を選ばねばならない、
そんな意志で斎藤は阿部を選んだのだった。盟友である村田を真っ先に外した自分…いつの間にか
涙を流していたことに気がつくと斎藤は慌てて拭う
「…何やってんだ。」
何を今更泣いているのか。こんなゲームに参加させられた時も、長年愛してきた球団の非道さを
思い知らされた時も、仲間を殺してしまった時も泣いたりしなかった。元々そんなに泣いたりする
タチでもない自分は随分と弱っているんだなと改めて実感した
(…昔っから何も変わっちゃいないんだな。)
陸上選手であった親に可愛がられて育ったが、お前は気が弱いといつも叱咤もされていた。目立つ
のが大嫌いで学芸会では進んで木の役をやるような子供であったし、人を負かすということも大嫌
いで運動会の時、一番でゴール寸前まで行ったのに後から来る競争相手を待ってしまったような
子供であった。そんな自分を心配してか無理やり入れられたリトルリーグも嫌々参加していた。
それが結果的に今の自分にたどり着いたのだが、そのことさえ今でも奇跡にさえ感じる。巨人に
入団するときも嫌でしょうがなかった。あの荒木大輔の外れ一位入団であったがよりによって
なんで自分を指名したんだと、巨人という嫌でも注目を浴びる球団でだけはやりたくなかったの
にと思ったものであった
(それが運良くここまできたんだから…)
世の中分からないものだ、その分からない世の中でもさらに現実とはかけ離れた現実が今である。
そして可哀相な若手に同情したり、盟友だった者の事を考えたりする時間さえ今という現実には
無いのだ…やっと斎藤は顔を上げると時計を見る。予定よりも数分多くこの場に留まってしまっ
た、急がなくてはいけないと頭を切り替える
(休めた事だし…ここからは休み無しで一気に行こう。)
もうゴールは直ぐそこである、だが何事もなくゴールできるとは思えない。きっと目的地寸前
には水野がいるに違いない…漠然ながらもそう予測をたてると余計急がねばならないと斎藤は
一歩進もうとするが険しい顔つきに変わると、何の変哲もない茂みに向かって銃口を向ける
「誰だ!そこに居るのは分かっている…出てこい!」
たった今、この場に来たのだろう、今まで人の気配はまったくなかったのだから。斎藤は剣呑
な顔つきのまま銃口を向け、茂みを睨み付ける
「…俺ですよ。」
茂みをかき分け足を踏みだしてきたのは入来であった
769 :
:01/11/05 21:15 ID:PkgVnjMc
悪い、句点くらいしっかり打ってくれ。
読んでて気持ち悪い。
770 :
:01/11/05 21:15 ID:ZHfgHnOg
入来久しぶりに登場!
771 :
2:01/11/05 21:15 ID:paCqQidw
入来は一応の形で斎藤にボウガンを向けたまま歩み寄る
「俺に敵意はありません。あなたならなおさらです。それよりも…三沢を知りませんか?」
「三沢?ああ…あいつも参加させられたんだよな。…酷い話だ。」
三沢の豹変など知るはずもない斎藤は気の毒そうに答える
「斎藤さん…三沢は以前の三沢じゃない。ここへ来て…恨みのあまり変わってしまった。」
「…そうか。無理ないな。」
まだ気の毒そうにつぶやく斎藤に入来は顔を上げる
「だけど今はアイツは俺の一番の敵だ!アイツが狙っているのは俺だ!俺を殺す事で兄貴に復讐しよ
うとしている!それに万が一生き残っても兄貴を殺す気でいるんだ!」
叫ぶ入来に斎藤は目を見開く。大抵の意味は分かった。同じ球団から出された身なのに入来兄は多分
ヤクルトが守ってくれているのであろう、一向に参戦する気配が無いのに三沢はこうしてこのゲーム
に放り込まれたのだから。やり場の無い怒りと絶望を向けるのは入来兄とこの弟しかいないのだろう
「…三沢はここらへんに居るのか?」
「ええ…方角からしてここあたりだと。」
斎藤はじっと考え込む。…先ほど自分達を狙った見えない敵は三沢ではないかと。豹変した彼なら
考えられる。そして冷徹に背後から茂みを利用してあの桑田を狙ったほどの度胸と狡猾さ…確かに
もう自分の知っている三沢でないかもしれない
(…あんな優しい奴でも…変わってしまうのか。)
あれほど優しい気性の者が冷徹な者へと変貌するにはどれほどの絶望が必要だったのか…そう考え
ると思わず身震いがした。そしてじっと入来を観察する
「ところでお前の兄貴というのはあの近鉄から来た奴だっけ?役立たずだとここに売られてさらに
クビになっちまったような奴だったな。」
「…斎藤さん?」
まるで棒読みで台詞を読むような斎藤の言葉に入来は目を見開く。怒り、というより驚いたからだ。
あの斎藤が他人を見下す発言をしたのが信じられなかった
「…どのみち来季は使い物になりっこないのにな。ヤクルトもよくそんなモンを庇うもんだ。」
「…アンタ…何言ってるんですか…」
この状況のせいでおかしくなってしまったのだろうか…斎藤でなければ怒り狂うところであった
「他球団をたらい回しにされた選手なんて所詮三流なんだ。三流は何年も活躍できやしない。」
「…止めて下さい。いくらあなたでも…」
さすがに入来の中に怒りが涌いてくる。斎藤ほどの大投手からしてみれば自分達兄弟など同じ投手
とさえ思えないかもしれない、何年もトップに君臨した者にとってはほんの一瞬輝けた投手にしか
見えないかもしれない。…だからといって許せる言葉ではなかった
「球団から要らないと言われたら潔く引退するもんだ。それをみじめにテストを受けてまで縋り
付く…か…そこまでして続けるものか?」
「止めて下さい…頼むから…皆が皆あなたのような投手じゃないんだ!兄貴とあなたは違う!」
瞳を伏せたまま、表情を見せずに台本を読むような斎藤の様子などすっかり見えない入来は叫ぶ
「当たり前だ。今年初めて二桁勝利したようなお前の兄貴と俺を一緒にするな。不愉快だ。」
「止めろ!それ以上兄貴を侮辱するなら本気で撃つぞ!」
772 :
_:01/11/05 21:16 ID:7cO1kRb8
ついに入来さんが・・・。続きが気になる!
773 :
3:01/11/05 21:16 ID:paCqQidw
入来は怒号しながら斎藤にボウガンを突きつけた。斎藤はやはり、とため息を付き入来を睨む
「…撃ってみろ。そんなどこを狙ってんだか分からない手元じゃ俺に当たらないぞ。撃ってみろ
その瞬間お前の命は無い。」
「…!!」
入来は弾かれるように目を見開くと、斎藤を凝視する。あやうい手元の自分と真っすぐに自分の
額に焦点を合わす斎藤の銃口…どちらが命を落とすか嫌でも理解できる
「…兄貴の為に三沢を殺すというなら仕方ない、俺には何も言う権利は無いからな。…けどそん
なんじゃ返り討ちに逢うのがオチだ。…お前はピッチングでもそうだったからな…頭に血が登っ
たらそこでお終い…もはやここでは試合も殺しも一緒みたいなもんだ…」
「…斎藤さん。」
冷水をぶっかけられたように入来はボウガンを下げた。今まで怒りで頭に血が上っていたのが嘘
のように落ち着いていくとうな垂れた。先程、命拾いして充分冷静になったはずなのにこれだ…
と自己嫌悪する。…うな垂れたままの入来に斎藤は小さく笑う
「俺の棒読み台詞くらい直ぐ気がつけよ。」
確かに棒読みだったと入来は苦笑する。冷静になった今思い起こせば学芸会以下の棒読みだった
「…すみません。」
斎藤は相手を思いやる人間な分、相手が何を言われたら傷つくか…が良く分かるのだろうし、
敏感なのだろう、そういう気性の者が不本意とはいえ他人を罵倒するのは嫌なものであっただ
ろうと入来は反省を込めて謝罪する。
「いや…俺も嫌な事を言って悪かった。」
「そんなこと…けどやっぱりみっともないですか?一度要らないと言われたのに新天地に頼っ
てテスト入団するのは…」
正直、入来は兄のそんな姿を見るのが辛かった。自分に野球を教えてくれた兄のあの姿…
とても辛かったのを思いだす
「そんなことはない。その球団で必要無いと言われても必要とする他球団が無いとは限らない
しな。…ただ俺は…投手生活が長いと下らないプライドもあるんだな、最初からいた球団に
要らないと言われる日が来る前に自分から決断して引退したかったのかもしれない。」
長年エースとして君臨した者にとってはそれが当たり前なのだろう…そう思う入来の横を斎藤
は通り過ぎる
「…それに比べてお前の兄さんは立派だよ。最後の最後になるまで諦めない…だから今がある
んだろう。」
入来は頷く。自分達はどん底を見てきた者だ、だからあがくだけあがくことができる、そして
投手として長年頂点に立った斎藤はあがく必要の無い、エースとしてのプライドを選ぶ者…
それだけの差なのだと
「もう俺は行く。お前も立派な兄さんのために…死ぬんじゃないぞ。」
「斎藤さん…」
入来は一礼しながら斎藤を見送った。斎藤がコーチになりたいがためにゲームに参戦したと
は思えない、何か大きな理由があるのだろう、無事でいてほしいと顔を上げると気合いを
入れるように頬を叩く
「…よし。」
もう大丈夫だ。斎藤のお陰で冷静さを取り戻しそれを不動のものとさせた。そして立派な
兄のため、という誇りも手に入れたんだと拳を握る
「三沢…」
その兄のため絶対に仕留めねばならぬ者…三沢の姿を追い求めるべくその場を後にした
斎藤は地図を広げながら走り続けた。この先にある筈のトンネルを抜ければやっと
目的地…平松の居る建物にたどり着く。…やっと助ける事が出来るのだ。
(もう少しだから…)
頼むから無事でいてくれと斎藤はさらに加速する。そして前方にうっすらとトン
ネルらしき膨らみが見えると小さく頷き、トンネル目がけてひた走る
「…!なっ…」
だが、ハッキリとトンネルが見えるなり斎藤は絶句して立ち止まった。ただ
くぐり抜けるだけだと思っていたトンネルが予想さえしなかった状況になって
いたからであった
774 :
:01/11/05 22:33 ID:Hy9uijaa
入来、いよいよ三沢と対決??
村田真への回想にちと泣けた。序盤で殺すには惜しい人だったかも
雅樹兄さん編もいよいよクライマックス?って思いきや、いきなり
トンネルが・・・どーなってんだ?そしてストーカー桑田は?
いろいろ気になるYO!
775 :
:01/11/05 22:33 ID:PNkm7I2R
入来!!
まー兄はどうなってしまうんだろーう。どきどき。
776 :
:01/11/05 23:07 ID:CVOndBfY
久しぶりの入来登場にドキドキ!!
777 :
:01/11/06 00:03 ID:4f4EoEZa
三沢〜!早く出てきてくれー!早く入来と対決してほしい
セイロクさんもそろそろ水野とやりあうかな・・・
つーかトンネルになんかしたのって水野か?
778 :
:01/11/06 00:19 ID:UpgjOX5Y
>>769 はミナコ。
それにしてもすごいスレだね。
2ch上にあるすべてのスレをひっくるめてもトップなんじゃないかな?
巨人ファンになりそうだ。
>>778 769は俺じゃありません。
阿波野編どした!?
780 :
:01/11/06 00:35 ID:VLOf4g9W
巨人ファンじゃないのにフルネーム覚えちゃったよ。
殺された選手達が試合に出てきたら応援しそうな自分がいる。
781 :
:01/11/06 01:44 ID:GCGwDV4H
セイロク兄さんのキッツイ言葉にハアハア
善人からヒールに変貌してもカコイイだろーな
でもやっぱりセイロク兄さんは良い人じゃないとね
三沢編の職人さん、三沢VS入来、期待大です。頑張ってください
782 :
:01/11/06 06:19 ID:WRhrAgZb
783 :
:01/11/06 07:23 ID:NMFVrI1r
>782
反応するなって。放置&削除依頼でいいじゃん
それかジサクジエン?
784 :
_:01/11/06 12:48 ID:QrNlvZ77
ageとく
785 :
_:01/11/06 13:54 ID:QrNlvZ77
age
786 :
:01/11/06 22:39 ID:9MpSphmY
保守age
787 :
:01/11/06 22:47 ID:Zq0Jf2VK
ミナコ氏ねsage
788 :
:01/11/07 02:15 ID:3jbCgaOy
保存屋助手です。
更新作業はまだですが、編集するうちに大まかながらわかってきた最近の時の流れを書いておきます。
何時にどうしたと書かれていないものの情景描写、話の前後関係でわかるものをピックアップしてみた。
今後作品を物されるに当たっての参考までに>職人の皆さん。
いかん、こうしてまとめているうちに編集上おかしいもんが出てきた(w
話によっては「各章ごと」に移動が出るかもです。
佐藤が幸福なまま清原にあぼーんされる(昼)
↓
三沢と入来が出会う(夕方ごろ?)
ガルベスの首が文字通り吹っ飛ぶ(夕方ごろ?)
松井生還。灯台の惨劇を回想(夕方から夜。夕立あり)
↓
森が古田の元を訪れる。入来兄、薬で緊縛状態(夜)
↓
三沢が真木をあぼーん←酒井が見ている(日が暮れてから)
ソンミン、鹿取の細工で爆死(夜?)
斉藤(宜)と谷、清原に襲われ、斎藤(雅)に薬を貰うも谷が再び清原に襲われあぼーん。
斉藤(宜)、桑田に撃たれた傷が致命傷となりしぼーん(夜9時から10時ぐらい?)
原と阿波野対談もこのあたりか?
高橋(由)が酒井と加藤をあぼーん(たぶん夜?)
↓
斎藤(雅)と桑田、交代で休息を取ることにする。
桑田が上原をあぼーん。江川が多少儲ける(深夜1時ごろ?)
↑の様子を三沢が見ている。(同時刻。満月。雨はもうやんでいる)
斎藤(雅)が河原をあぼーん(深夜4時ごろ?)
↓
桑田が十川をあぼーん。斎藤怒る(夜明け。6時過ぎか)
↓
斎藤(雅)、十川を埋葬。入来と出会う(7時から9時の間ぐらい?)
斎藤(雅)、トンネルを抜けるとそこは・・・(午前10時ぐらい?)
↓
原俊介、クラッキング失敗。鈴木とともに不味い朝食をとる。(朝)
↓
原俊介、盗聴に気づく。計画練り直し(午後4時)
というわけで、現在一番行動が進んでいる?のは原俊介&鈴木のコンビと思われる。
堀田と清水がどのあたりになるのかが不明。
789 :
:01/11/07 04:18 ID:q4Hlawrh
保守age
790 :
:01/11/07 09:48 ID:AClPgHCH
>>788 凄い!よく考えてみたらそんな感じかも!
なんとなくセイロクさんが一番行動進んでると思ってたけど…なるほど
原&鈴木コンビだね
791 :
:01/11/07 17:12 ID:1OYyKVyR
>>788 そこまで綿密に調べてくれるとは素晴らしいです!!
792 :
:01/11/07 20:04 ID:1+yIk0Xk
位置が不安 age
793 :
:01/11/08 01:47 ID:9WVH+/Wl
794 :
:01/11/08 07:18 ID:SwlPpIXJ
ちょっと不安な位置age
795 :
三沢編:01/11/08 09:40 ID:hQpePEai
陽炎越しに向こうを透かし見る努力を一応してみて、
やはり少々無理があることを確認し、三沢は深く長い溜息をついた。
複雑な視線を手元のベレッタへ落とす。
(……やっぱり素人射撃じゃこんなもんか……)
自覚はあるのでじっくり狙ったのだがそれが仇になったか、
直前で気付かれたようにも見えたが――
どちらにせよ残ったものは大魚を逸したという結果だけだった。
二発目はろくに定められもしないままともかく撃ってもちろんあさってのほうへ。
それ以上の追撃を待たず、斎藤の投じた反撃の火炎瓶が眼前に叩きつけられた。
実際火炎瓶は拳銃よりずっと気の利いた武器だった、野球選手、特に投手にとっては。
幸い怪我こそしなかったものの、火は三沢の視界と行く手を遮って燃え上がった。
迂回はもちろんできるが、その先はどうにもよろしくない。
少なくとも斎藤は銃を持っている、森を出るところを狙い撃ちにされる恐れがあった。
それで三沢は桑田なり斎藤なりを追うことを断念し、炎に背を向けた。
その場に留まっているのはどう考えても愚策だったからだ。
先刻撃ったその銃声がどこまで聞こえるものなのか見当もつかないし、
仮に誰の耳にも届かなかったとしても、煙はかなりの範囲から見えるだろう。
それを目当てに寄ってくるような剣呑極まる連中と、
当たりもしない拳銃でやりあう趣味はない――
と考えながら刻む足取りが次第に調子を落とした。
それでどうなる、この先どうする?
勝者になれるのはただ一人であるというそのルールが覆ることは決してないだろう。
こちらの射撃の精度に不安があるにしても、やってくるのが難敵であるにしても、
生きて帰るつもりなら――遅かれ早かれぶつかることになるのだ。
そもそも先刻桑田を狙ったのもまさにそれゆえではなかったか。
思考がそこへ至るに及んで、三沢の足は完全に止まっていた。
肩越しに顧みると、炎はすっかり勢いを弱めている。森林火災の心配は要らなそうだ。
(誰か来るとしたら……どっちだ?)
三沢は周囲を見渡した。もと来たほうは可能性としては薄い、
見落としたのでない限りいるとしてもそれなりの距離があるはずだ。
北は禁止エリアだからそちらもないだろう。西か南かだが――
桑田と斎藤は西へ向かったのだ、誰か来たなら彼らと遭遇していそうなものだ。
が、その場合当然起こるであろう銃声やらの騒動の気配はなかった。
ならば、南か。ただ待つのも芸がない、と来客を出迎えるための一歩を踏み出して、
しかし三沢はそこで再び立ち止まった。
誰も来ていないかもしれない。その可能性に思い至ったからだ。
だとしたら。貴重な時間を、みすみす浪費するだけに終わるのだ。
(……かもしれない尽くしじゃ、身動き取れないけどな)
失笑とともに軽く肩を竦め、それから真顔に戻って三沢は改めて西の方を見やった。
仮に誰も近付いていないにしても、桑田と斎藤がいることだけは確かだ。
森を出るときだけ待ち伏せに気をつければ、追いつけないとも限らない。
方向を定め、もはやペースを落とすことなく三沢は移動を再開した
796 :
三沢編2:01/11/08 09:41 ID:hQpePEai
(……誰か、いるのか?)
人の気配を感じて、三沢は足を止めた。頭を少し低くして、藪越しに目を凝らす。
誰かいるのは確かなようだが、まだ少々距離がある、誰だかまでは視認しかねた。
が、まあ誰であれあまり関係はない。何を持っているかは問題になるかもしれないが。
できれば問題にしないで済む方向で処理したいな、と三沢は銃を持ち上げた。
一発で仕留められさえすれば相手が何を持っていようが差し障りはないのだ。
と、人影が動いて、藪が揺れる。
その姿が確認できた瞬間、左肩がちりっと痛んだ気がした。
――入来祐作だ。
反射的に引き金を絞りかけて思いとどまり、三沢はことさらゆっくりと深呼吸をした。
銃を握る右手を下ろす。ついでに引き金から指を外した。
(……まだだ。まだ、早い)
いま殺してしまっては勿体ない。まだこれから、入来智が来るかもしれないのに――
この期に及んで本気でそんなことを信じているわけではないが、
だが、完全に否定されるまでは考慮に入れておいてもいいはずだった。
殺せるときに殺せる奴を殺しておく、入来をその例外に数えたとしても。
それでもなお逸る気持ちを抑えようと三沢は半歩後ろへ下がった。
そのささやかな動作はさして意味もないはずだったのだが――
踏みつけられた枯れ枝が三沢の足の下でぱきん、と思いの外大きな音を立てた。
入来が弾かれたようにこちらへ顔とボウガンを向ける。
「――三沢」
驚いたように目を見開いた入来の機先を制して、三沢は口を開いた。
「今あなたとやりあうつもりはないです。お互い生き延びたいんだし、
しなくて済む揉めごとは勘弁してください」
昨日を踏まえたらこの言い草はないやな、と自分でも思ったが、
煙に巻くなら勢いが肝心だ。休む間もなく言葉を継ぐ。
「……運があったらまた会いましょう。それじゃ」
言い捨てて背を向けようとしたが、
「待て!」
その声に、三沢は思わず入来の顔を見た。目が合った。
入来はボウガンを構えたままで、意外なほど静かな、
けれど底には怒気を孕んだ声で三沢に問う。
「……生き延びて……そのあとお前どうするつもりだ?」
それは無視して背を向けた。わざわざ聞くのはわかっているからだろうに、
と思ったが口に出すほど軽率ではない。激発されても面倒だ。
そのまま三沢は歩き出す。一見不用心な振る舞いだがそれなりの配慮はしている。
「やる気」になっているのでないなら、背中から射つことには抵抗があるはずだった。
「待て、三沢!」
入来が叫んだが、それも聞き流す。
(なんだかこれじゃ、別れ話のこじれたカップルみたいだよな)
場違いにもそんなことをふと思い、三沢はかすかに唇の端を上げた。
同時に、風を切る音が聴こえ、視界の隅をなにかが追い越してゆく。
傍らの木が、枝もろとも幹を揺らした。幾枚か、ひらひらと葉が舞う。
三沢はそちらを見、すっと目を細めた。
厚ぼったい樹皮を割って、黄色い羽根をつけた矢が突き立っている。
――つまり、どうあっても生かして帰すつもりはないということか。
その判断はまったくもって正しかった。だが遂行の手段は下の下だ。
三沢としては極端な話、ふたりきりになってから24時間を待つ気持ちがあった。
実際そうなるかは怪しいが、それでも可能な限りは引っ張るつもりでいたのだが。
だが――もういい。
ベレッタの引き金に人差し指を掛けながら、三沢は入来のほうへ向き直った。
「手伝いますよ、――今すぐ死にたいんなら」
797 :
:01/11/08 12:40 ID:MDTvdhRS
とうとう三沢VS入来がっ!どうなるんだー!
気になって仕方がないんだからネ!
798 :
:01/11/08 16:34 ID:KdoEC8nR
気になる〜!!職人さん続き楽しみにしてます!!
799 :
:01/11/08 20:31 ID:fXqaHJO3
入来と三沢・・・どっちが勝っても負けてもおかしくない感じでイイ!
しかし確かに火炎瓶って投手にしてみれば最高の武器だね
あと手榴弾(岡島が所持してたんだっけ?)
800 :
:01/11/08 22:01 ID:SE/B1dv6
今度こそ仕留めちゃうのかな?>三沢
下がってるんでage
801 :
:01/11/08 22:52 ID:QYyVOrx1
続き楽しみにしてます。
802 :
:01/11/08 22:55 ID:cChEIVvG
入来(弟)が死んだら、入来(兄)はどうなってしまうんだろう・・・
803 :
:01/11/08 23:48 ID:S6Zjepeu
そろそろ新スレに移行したほうがいいのかな?
804 :
:01/11/08 23:56 ID:fFDNaGx2
>>803 そうかもしれない。ちと重くなってきたかな?
805 :
:01/11/09 12:56 ID:QCZr/BOq
浮上
806 :
:01/11/10 00:24 ID:1rZRGDWR
age
807 :
:01/11/10 05:01 ID:woRbJYy2
あの〜、レスがストップしてるのは
新スレ立てるの面倒だから?(^^;
保存屋さんみたいに上手なあおり文章書けないけど
私でよければ新スレ立てますが?
死んだ人等のパターンはこのスレのを生かせばいい…ですよね?
808 :
807:01/11/10 05:06 ID:woRbJYy2
こんな時間に起きてる人いるのかしら(汗
もう暫く起きてるので良ければご意見を…
809 :
:01/11/10 05:17 ID:d+393IIf
保存家助手さんに立ててもらいたいのかな?
漏れは面倒くさいというより、遠慮してしまうというか・・・凄すぎて
つか多分立てれない・・・
なんなら
>>1の文章そのまま使ってもいいかと思います
スレ立てるには絶好?の時間では
810 :
:01/11/10 05:18 ID:d+393IIf
保存屋助手さんでした・・・ウツダ
811 :
807:01/11/10 05:29 ID:woRbJYy2
あ、早速お返事が。
それでは立ててきますね。
私も頑張ったんですけど
「選手の行く末は?満月だけが知っている」なんてトホホな言葉しか浮かんでこないので
やっぱり保存屋さんの
>>1の文章をほぼコピーしますね。
いえ、「自ら命を絶った」斎藤(雅)が甦ってしまったので…
もう暫くお待ちを。一旦調整の為ageます。
812 :
807:01/11/10 05:35 ID:JxLquCVC
「スレッド立てすぎです。。。」だそうです(泣
813 :
:01/11/10 07:23 ID:ZPO+m352
生存or死亡のリスト更新しないとネ。>新スレ
>>1
814 :
807:01/11/10 10:20 ID:na3uI0b1
【第六回読売巨人軍プログラム進行状況 前スレ現在】
*死者(死因は保存サイトにあります)
槙原寛己(17)、大場豊千(63)、江藤智(33)、柏田貴史(49)、村田真一(9)
村田善則(12)、元木大介(2)、條辺剛(57)、アルモンテ(61)、西山一宇(26)
阿部慎之助(10)、岡島秀樹(28)、三浦貴(39)、河本育之(27)、メイ(42)、マルティネス(48)
木村龍治(41)、福井敬治(53)、吉永幸一郎(23)、川中基嗣(0)、小田幸平(46)
小野仁(13)、進藤実(64)、高橋尚成(36)、永池恭男(32)、内薗直樹(45)、後藤孝志(00)
仁志敏久(8)、田畑一也(22)、南真一郎(50)、鄭ミン台(51)、鄭ミン哲(30)
工藤公康(47)、高野忍(66)、野村空生(95)、玉峰伸典(旧60)、佐々木明義(54)
宮崎一彰(88)、安原政俊(94)、谷浩弥(38)、斉藤宜之(37)、趙成ミン(21)
上原浩治(19)、真木将樹(31)、河原純一(15)、佐藤宏志(40)、李景一(69)
山下浩宜(65)、上野裕平(29)、小野剛(59)、川本大輔(92)、加藤健(56)
酒井純也(97)、根市寛貴(43)、十川孝富(52)
*生存者(「&」は協力関係です)
入来祐作(20)
川相昌弘(6)&二岡智宏(7)&松井秀喜(55)
高橋由伸(24)
清原和博(5)
清水隆行(35)
堀田一郎(44)
斎藤雅樹(11)&桑田真澄(18)
平松一宏(25)
三沢興一(旧31)
原俊介(62)&鈴木尚広(68)
以下未登場
山田真介(58)
田中健太郎(91)
吉村将生(93)
残り17人
*最近の動き
佐藤が幸福なまま清原にあぼーんされる(昼)
↓
三沢と入来が出会う(夕方ごろ?)
ガルベスの首が文字通り吹っ飛ぶ(夕方ごろ?)
松井生還。灯台の惨劇を回想(夕方から夜。夕立あり)
↓
森が古田の元を訪れる。入来兄、薬で緊縛状態(夜)
↓
三沢が真木をあぼーん←酒井が見ている(日が暮れてから)
ソンミン、鹿取の細工で爆死(夜?)
斉藤(宜)と谷、清原に襲われ、斎藤(雅)に薬を貰うも谷が再び清原に襲われあぼーん。
斉藤(宜)、桑田に撃たれた傷が致命傷となりしぼーん(夜9時から10時ぐらい?)
原と阿波野対談もこのあたりか?
高橋(由)が酒井と加藤をあぼーん(たぶん夜?)
↓
斎藤(雅)と桑田、交代で休息を取ることにする。
桑田が上原をあぼーん。江川が多少儲ける(深夜1時ごろ?)
↑の様子を三沢が見ている。(同時刻。満月。雨はもうやんでいる)
斎藤(雅)が河原をあぼーん(深夜4時ごろ?)
↓
桑田が十川をあぼーん。斎藤怒る(夜明け。6時過ぎか)
↓
斎藤(雅)、十川を埋葬。入来と出会う(7時から9時の間ぐらい?)
斎藤(雅)、トンネルを抜けるとそこは・・・(午前10時ぐらい?)
↓
原俊介、クラッキング失敗。鈴木とともに不味い朝食をとる。(朝)
↓
原俊介、盗聴に気づく。計画練り直し(午後4時)
817 :
:01/11/10 13:16 ID:xdlRikM1
807さん、まとめてくれてありがとう。
せっかくだから新スレ立てたいんだけど、俺もつい最近、某スレの950
踏んで立ててしまったんで、立てることが出来ないんですよね…
他人任せで済みませんがどなたかお願いします。
818 :
:01/11/10 13:53 ID:4Yssa18t
819 :
:01/11/10 14:29 ID:PBN4hPsk
820 :
:01/11/10 14:33 ID:4Yssa18t
>>819 スマソ&サンクス。
ちょっと待っててくれ。
822 :
:01/11/11 02:27 ID:qa18L1Y7
823 :
大沢ルール監督:01/11/13 23:35 ID:PQKqrzMg
友達に紹介したら大絶賛。みなさん頑張ってねー。
824 :
:01/11/14 21:26 ID:Mp8PagJX
>サイズが496KBを超えています。512KBを超えると表示できなくなるよ。
こんな注意書き、初めて見たな〜
それだけ良スレってことだね♪
825 :
:01/11/15 11:47 ID:43wQVGbG
826 :
: