前西武・山本歩 トライアウト不合格なら化学者転身!?

このエントリーをはてなブックマークに追加
1あるケミストさん
戦力外となった選手らを対象にした今オフ2回目の12球団合同トライアウト
が25日、神宮球場で行われた。投手11人、野手5人の計16選手がシート
打撃形式のテストを実施。西武を自由契約となった山本歩投手(26)は、
オファーがなかった場合、母校である関学大理工学部の大学院に進学し、化学
者としての道を歩む意向を明かした。

 わずかな可能性にかけて右腕を振り続けた。打者5人と対戦するシート打撃。
山本は最速141キロの直球とシンカーで最初の3人を打ち取ると、前横浜の
斉藤と前オリックスの古木に連続安打を浴びたところで交代。「三振を取れな
かったのは残念だけど、やるべきことはやれた」と満足そうな表情を浮かべた。

 ある決意を胸に秘めて臨んだマウンドだった。「もし(オファーが)何も来
なければ、大学の研究室に帰って勉強する」。準硬式野球部出身という異色の
経歴を持つサイドスロー右腕は、関学大では理工学部化学科に籍を置き、有機
化学を専攻。大学院進学が内定していたが、05年ドラフト5巡目で西武から
まさかの指名。「訳が分からなかった」と戸惑いながらも、研究職に就く夢を
捨てて、プロの世界に飛び込んだ。

 しかし、現実は甘くなかった。2年目の07年4月21日、オリックス戦で
1回を3者連続三振に抑える最高のデビューを飾ったが、右ひじを痛めた08
年は登板機会なしのまま終了。オフの手術とリハビリを経て臨んだ今季も出場
機会は訪れず、10月に戦力外を通告された。
2あるケミストさん
 チームメートから「博士」の愛称で親しまれた26歳は「ひじも万全だし、
今はとにかく結果を待ちたい」と現役続行をアピールしたが、視察したロッテ
の松本チーフスカウトが「枠の問題があるから難しい。うちもほぼ補強は完了
している」と語ったように、各球団とも来季の編成は最終段階。現状は限りな
く厳しい。

 「松中さんや小久保さんとか、いつもテレビで見ていたバッターと対戦でき
たのが一番の思い出」と4年間のプロ生活を振り返った山本。奇跡を信じてオ
ファーを待つが、ボールを試験管に持ち替える覚悟はできている。

 ◆山本 歩(やまもと・あゆむ)1983年7月28日、兵庫・尼崎市生ま
れ。26歳。三田学園高から関学大理工学部化学科に入学し、準硬式野球部に
入部。4年時に全日本大学準硬式野球選手権で優勝し、全日本メンバー入り。
05年大学・社会人ドラフト5巡目で西武入団。07年4月21日のオリック
ス戦で初登板。通算5試合登板、0勝0敗、防御率2・84。178センチ、
77キロ。右投右打。