>>630 他に試薬使わないの?
ただ臭素使うだけなら、まずcyclohexeneのπ電子によってBr2の一方のBrが誘起されて部分正電荷を帯びる。
/\ δ+ δー
| ‖ Br―Br
\/
するとπ電子対がδ+Brにアタックしやすくなるのがわかると思う。
しかもπ電子対は裸だし、軌道も大きいから、このアタックはうまくいく。
すると
\ \
CーBr C+
| ←→ |
C+ CーBr
/ /
と共鳴するカチオンが生成するのがわかる。(ちなみにカチオンの生成はMarkovnikov則にしたがう)
ちょっと見慣れないかもしれないが、Brの軌道の大きさを考えれば、納得できると思う。
実際のカチオンは共鳴寄与体を足したような形で存在するはずであり、1Cー2CとBrが3員環を作り、正電荷を非局在化しているcyclicbromoniumionになっていると考えられる。
この時、1Cー2Cの軌道の(立体的に見た)片側はBrによって占められているため、カチオンの正電荷を中和しようと求核試薬(今は初めのヘテロリシスで生じたBrー)が近づくときにはBrがない側からしか近づけない。 Brー
↓
C―ーC
\+/
Br
こうして生成するcyclohexeneの2臭素化物はtrans体のみとなる。
本当は図とか使ったほうがわかるんだけど、無理だから、わかりにくくてすまん。