研究者にはうれしい法人化効果だが、突然増えた新設備の維持管理費は、大学に重くのしかかる。
東京工業大学は昨年6月、有害物質を浴びた場合の緊急用シャワーなど、労働安全衛生法などが
求める設備を完備した新実験棟を建設したが、維持費は年間1000万円を超える見込みだ。
また計百種類以上の化学物質の濃度を、国家資格保持者が半年に一回測定することも義務づけ
られたが、費用は中規模校でも年間5000万円以上と見られる。ある研究者は「企業と違い、
たまにしか使わない試薬も多い。全種類を測定するのは非現実的」と戸惑う。
ノーベル化学賞受賞者の野依良治・理化学研究所理事長は「職場の安全や健康を確保するという
法の精神は尊重するが、必要以上に厳密に運用して、研究が阻害されてはならない」という。
また東工大の市村禎二郎教授は「負担に耐えきれず、化学研究室を減らす大学も出てくるのではないか」
と心配する。(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040726i307.htm