Zen問答

このエントリーをはてなブックマークに追加
48バカは氏んでも名乗らない
昔、ある少年が町外れを歩いていると、道端にうんこが落ちていた。わたしをお食べ、うんこにそう言われるままに少年はうんこを口にした。
「苦いっ」 うんこの味は少年の口に苦すぎて、その場で思わず吐き捨てるのであった。

少年は成長すると共に、世の中の良いところも悪いところも、世間並に知るようになった。幼い日のうんこの味のことなど、すっかり忘れていた。

社会的に一応の成功を収め、家族にも恵まれた。そんな彼が自宅で寛いでいると、息子が持ちきれないぐらいのうんこを持ち帰ってきた。
そのうんこをどうしたんだ?と息子に問うと、町外れの道端で見つけたという。まさしくあの時のうんこだ。「父さんにひとつ食べさせてくれないか?」
息子は、食べてみたけど苦くて食べられないよ、と答えた。しかし、彼は懐かしさもあって、そのひとつをつまみ口にしてみた。

「あ、甘い!」 あの頃、苦かったはずのうんこの味は、成長した彼にとって、甘く感じるのであった。俺もうんこの味がわかる年になったのか。

そして彼はひとりで少年の頃の自分を懐かしんだ。