「あの……みるみるさんですか?」
「あ、はいそうです」
「どうも、初めまして。なんか、ホームページの印象と同じですね」
「あ、え、そう……ですか」
「知的で可愛いっていうか、なんか嬉しいです」
「ありがとうございます」
二人、いい雰囲気で横浜の中華街へと向かう。
「あの」
「はい」
「えっと、メールでの名前が番号になっているんですけど、ハンドルとかお持ち
になっているんですか?」
「ええ」
「どんなハンドルですか?」
「名無しさんアットマークそうだ選挙にいこう、です」
「え?」
「名無しさんアットマーク、このアットマークってのは小文字のaを丸でくくっ
たようなやつです。で、そうだ選挙にいこう。名無しさんアットマークそうだ選
挙にいこう、です。まあ、捨てハンですね」
「はあ……」
「みるみるさんは、なにか食べたいものありますか?」
「えー……と、そうですねぇ……名無しさんアットマークそうだ選挙にいこうさ
んはなんかありますか?」
「餃子きぼーん」
「……え?」
「餃子きぼーん」
「餃子きぼん、ですか? あの、どんな料理なんですか?」
「いや、料理の名前じゃなくて、餃子を食べたいっていうことです」
「はぁ……」
「あ、そうだ、チャーハソってどうよ?」
「え?」
「チャーハソってどうよ?」
「チャーハソってどうよって……いきなり言われても……ちょっと。チャーハソって知らないので……」
「僕があんまり美味しくないと思っている炒飯のことです」
「はぁ……そうなんですか……」
「チャーハソってどうよって……いきなり言われても……ちょっと。チャーハソって知らないので……」
「僕があんまり美味しくないと思っている炒飯のことです」
「はぁ……そうなんですか……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「age」
「え?」
「いや、チャーハソってどうよに対する答えが聞きたいもので」
「はぁ……いや、あんまり炒飯って好きじゃないんです、ごめんなさい」
「sage」
「……」
「もういいです、ってことです」
「……はぁ」
こうして、二人の時間は過ぎていくのであった……。