代理母Part2

このエントリーをはてなブックマークに追加
3名無しの心子知らず
61 名前:知らない人のために 2 投稿日:2001/05/19(土) 22:33
 借り腹問題も未解決

 日本産科婦人科学会会長の荒木勤・日本医科大教授の話 学会が
代理出産を認めないのは、生まれてくる子供の将来を考えるからだ。
現在の日本では、こうしたケースの親子関係についての法律も未整備で、
子供の将来の不安を最小限にするための取り組みがなされていない。
子供が欲しいというお母さんの気持ちは分かるが、倫理的に何をしても
いいわけではない。代理出産した女性などに対するカウンセリング制度も
なく、つわりや妊娠中毒症など「借り腹」のリスクの問題も未解決だ。
学会では今年8月、会員の医師ら50〜60人を対象に「生殖遺伝カウン
セラー」養成のための講習会を開く予定だが、現実が先行し、整備が
追いつかない状況だ。

 同情するが間違い

 旧厚生省の生殖医療に関する専門委員会委員長を務めた中谷瑾子
(きんこ)慶応大名誉教授(刑法)の話 今回のケースは専門委の
最終報告でも禁じられたもので、基本的に間違っている。子宮を
摘出された女性には同情するが、他人を出産の道具にすることは
許されず、一定の限界を設けることが必要だ。出生した子供の出自を
知る権利の保障なども問題となろう。その意味で担当医とは独立した
カウンセラーの関与が必要で、公平公正な第三者による公的機関が
個別に審査し、実施状況を公表すべきだ。ただ、今回はいったん
妹夫妻の子供として届け出た後で養子縁組をするという手続きを踏んで
おり、その点は評価できる。

 国は厳重処分を

 体外受精などの不妊治療に取り組むセントマザー産婦人科医院の
田中温(あつし)院長の話 この問題は旧厚生省の専門委員会で
2年間29回も討議を繰り返し、全員一致で禁止を決めた。
代理出産を求める声も十分検討した。もう医師が個人的見解を述べる
段階ではない。根津氏は事情を知ったうえでルールを破っており、
国は厳重に処分するなど早急に対応すべきだ。

 もう歯止めかからず

 JT生命誌研究館の中村桂子副館長 人間の誕生の技術は、一度実施
されると反対できない特殊性がある。誕生した人間の存在を否定でき
ないからだ。体外受精を認めた段階でルビコン川を渡っており、代理出産が
「生命倫理に反する」という言い方は意味がない。限られた中で生きる
ことを大切にする価値観の社会でなければ、こうした医療に歯止めはかか
らず、間もなくクローン人間も誕生するだろう。問われるのは医師の行為
ではなく、金で何でも手に入り、競争に勝つことが大事だとする、今の
社会の有り様だ。


[毎日新聞5月19日] ( 2001-05-19-14:51 )