●05:子供の発達心理学 vol.27「一人っ子、年の離れた兄弟」
「一人っ子だとかわいそう。」「一人っ子はわがままで協調性にかける。」「兄弟がいて、もまれたほうがいい。」「年の離れた兄弟は一人っ子を二人作るようなもの。」
「年が離れていたら一緒に遊べないからかわいそう。」一人目の子どもが1歳になるころから、
お母さんたちのあいだでこのような言葉をよく耳にします。
どうやら理想の年齢差のナンバー1は2歳違いのようです。年子は何かと大変だし、3歳離れると入学時期が重なり経済的に大変だし、4歳離れるともう離れすぎ、ということのようです。
実際、何の根拠があってこのようなことが言われるようになったのでしょう?
このステレオタイプの意見に乗せられ、初めの子どもが1歳になったころから「あせる」親が多いようです。
なぜ一人っ子だとかわいそうなのでしょう。一人っ子だとわがままで協調性がないと誰が決めたのでしょう。小さいうちから兄弟にもまれて育つことがそんなに必要なのでしょうか。
一人っ子を二人作ったら何がまずいのでしょう。本当に年の離れた兄弟は一緒に遊べないものなのでしょうか。
またそうだとしても一緒に遊ぶのは友達ではいけないのでしょうか。
一人っ子、または年の離れた兄弟は、親の愛情と注目を一身に集めて育ちます。
子どもはたくさん愛されることによってほかの人を愛したり、思いやったりすることを学ぶのです。けんかをしたり、いろんな人間関係でもまれたりする機会は、長い人生のうち本人が望まなくても何度も出てきます。
また、そういう機会に出くわしたとき、小さいころから兄弟とけんかをし、もまれたことが経験となって人間関係を作るのが上手になるというわけではないのです。兄弟がいなくても、
兄弟との年が離れていても、親との関係で子どもは十分人との付き合い方、
思いやり、譲る気持ち、やさしさを学んでいくことができるのです。
(続き)
一人で寂しいかわいそうな一人っ子を作るのも、協調性のないわがままな一人っ子を作るのも、よい人間関係が作れ、
友達と楽しく遊べる子供を作るのも全て両親次第なのです。ゆったりとした気持ちで、できる限りの愛情を与えること、
時間をかけてゆっくり話をする時間を持つこと、ほかの友達と遊ぶ場を作ってあげること、といったことを積極的に実行することで、
年の近い兄弟を持つ子どもよりもっと豊かで、ゆとりのある、愛にあふれた生活ができるのです。「かわいそう」だと思うことが、
「かわいそうな子ども」を作るのです。甘えん坊になったりわがままになったりするのを恐れて、厳しく育てるのは逆効果です。
やさしくしてもらうことで、初めて人はやさしくすることの意味と大切さがわかるし、
どうやってやさしくすればいいかを知るのですから。