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新生児科医10年目:
私が数年前に経験した信じられないような本当の話を聞かせてあげましょう。
私は当時、ある小さな都道府県の県庁所在地にある病院に勤務していました。
当時その病院は県内で唯一の認可されたNICUを持つ病院で、県内全域から
病的新生児が集まってきていました。
ある日、病院から車で30分ほど離れた小さな市で開業している内科の先生から
電話が入りました。
『もしもし、実はちょっと用事があって市内のA助産院に行ってきたんだけど、
なんとそこに3日前に生まれた33週の未熟児がいたんだけど、それってヤバイよね。』
私は耳を疑った。(ウソだろ、いくらA助産院といえどもそんな事は・・・)
私は確認のために助産院に電話をしてみた。
私『○×先生から聞いたんだけど、今そこに33週の未熟児がいるって、本当?』
婆『あらっ、先生。さすが早耳ね。いるわよ。今母親と同じ布団に寝ていて、
おっぱいをくわえてるわよ。1800gしかなかったけどとっても元気よ。
ガハハハハ。』
私『・・・・・・・・・・・・』
私『・・・・あのお〜、未熟児なのでうちの病院で預かった方がよろしいかと。』
婆『何言ってるのよ、元気だって言ってるじゃない。大丈夫よ。』
私『だ・か・ら』、『あ・の・ね』
そんなやり取りが小一時間続き、私は決心しました。
よし、こっちで勝手に救急車を依頼して、子供を連れてこよう。
私は救急車に乗って、助産院に直行しました。
助産院に着いてみると、
婆『あらっ、何しに来たの?救急車なんか乗って。』
私『子供を預かりに来ました!』
婆『大丈夫よ。元気なんだから。ほら、見てごらんよ。』
私は奥の座敷に案内されました。
そこには、1枚の布団に母親が横たわり、その脇で小さな未熟児が寝かされていました。
ただただ絶句でした。
渡す渡さないの問答の後、最終的には婆が折れて、病院に連れていく事になりました。
ところが、母親が婆にしっかり洗脳されていたらしく、
入院した初日から、『明日かあさってには帰れるんでしょ。』と言ってくる始末。
呆れはてました。
幸い児はその後合併症なく、退院していきましたが、
退院の時に母親が、『あの産婆さんのおかげで、無事ここまで大きくなれました。』
だって。私は完全に切れてしまい、思いっきり言ってやりました。
『いいえ、運が良かっただけです。あのまま放っておいたら、とんでもない
事になったかもしれません。本来、助産院という場所は異常産を扱っては
いけないと法律で定められています。切迫徴候がみられた時点で病院に
紹介をしなければなりません。あの人(婆)は義務を怠っていたんです。』
あとは野となれ・・という心境で、吐き出された言葉でした。
しかし一度洗脳された頭は修復が困難なようで、今でもその親は婆を教祖のように
崇め奉っています。
信じられないかもしれませんが、実話です。