AACは、MP3よりはましな規格だが、それでも圧縮の瑕疵は多い。幸い、iPodには、「アップルロスレス」という、可逆符号化のモードがある。
完全にオリジナルの符号に戻るというのがフレコミだ。使ってみたところ、なかなか調子が良い。
もっともロスレスといっても、圧縮はしているわけで、完全に元の音ではないが、AACなどに頼るより、はるかに良い。
音質に関するもうひとつの一般原則に、変換や接続はなるべく省くことがある。変換すればするほど、音質は劣化する。
それはアナログ、デジタルを問わない。パソコンでのCD取り込み方法で、音質が劣ったのは、USB経由のドライブだ。
外部ドライブからUSBで信号が来るという状況では、変換が何回も行われており、内蔵のドライブに比べ、クオリティーは劣る。
ドライブでのCD取り込みも、特別に「2度だし法」で行う。まず1度再生してTOC信号を読んだタイミングで、イジェクト。
もう1度入れて再生する。一般に1回目での再生と2回目を比較すると、かなりの違いがある。
音がほぐれ、しなやかになり、パーッと視界が開け、見通しが良くなり、音の流れがナチュラルで流麗になる。
1回目だけ聴いていると、そんなものかという感じだが、2回目を聴くと1回目がいかに硬い音であったか、思い知れるのである。この効果には、サーボ電流が2回目の方が安定するという理屈が与えられる。
実は、この2度出し法は、ホームオーディオではものすごく音質向上できるやり方で、CDプレーヤーなどでそれを実演すると、みなまるで魔法に掛かったように、あっけにとられるのが常だ。ぜひ皆さんも家でやってみよう。
再生での注意はヘッドホン選び。間違っても付属のヘッドホンを使ってはダメ。音が良くない。私はオーディオテクニカのATH-EC7を愛用している。イコライザーはフラット以外は音が悪い。
さてここまでくると、超絶の高音質がiPodから再生される。私のU2iPodを聴いて、卒倒しない人はいない。