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元・TVの音屋:
現役引退して久しいが、ふと現役時代を思い返すとどこのENGクルーもみんな同じ機材
だったと思い出します。416にシグマのミキサー、インタビューマイクはSM63、ワイヤレス
はラムサ、ソニー、TSPのいずれか。そしてバカの一つ覚えじゃないけどなんでもかんでも
416で収録。単なるバックノイズ程度ならカメラにつているマイクで十分なのにわざわざ
416を使っている。まあ業界内の流行もありますから、どうしても同じになってしまうんですね。
その流行や噂を真に受けた上司(技術系じゃない人)っていやでした。
ある祭りの取材でのことですが、その祭りは華僑の人達の祭りで爆竹、太鼓、鐘など
音圧の大きなものが多く416よりもダイナミック系のほうがよいと判断してサンケンの
インタビュー用(MS7Cだったと思う)をブームの先につけて録りました。
結果、歪みもなく無指向性が効を奏してかなりいい感じで録れてました。プレビューに
立ち会った上司も上出来と誉めてくれました。しかしその上司にインタビュー用マイク
を使ったとタネあかしをしたら激怒されました。上司曰く、「なんで416を使わないんだ!
そんな2-3万円のサンケンよりも416の方が高価なんだから416のほうがいい音が録れる
に決まっているだろう、ボケ!」と散々言われました。結果いい音が録れたら何でもアリ、
と私は思ってます。今もENGクルーを見かけるとふとこのようなことを思い出します。