労災隠しと偽装請負が発覚したトヨタ自動車グループの部品会社「トヨタ車体
精工」(TSK、愛知県高浜市)が、派遣労働者を直接雇用に切り替える際、
内部告発した男性らに採用面接の機会を与えなかったことがわかった。
ほかの労働者は大半がTSKに採用されており、男性らは「告発を理由にした
不利益扱いだ」として近く愛知労働局に調査を要請する。
TSKの工場では3月、男性作業員(21)が全治4週間のけがをしたのに、
雇用主の人材サービス会社「大起」とTSKは労働安全衛生法に基づく報告を
怠っていた。
実態は労働者派遣なのに請負契約を装う「偽装請負」がTSKで行われてい
たことも判明し、愛知労働局が7月に改善を指導。TSKは大起との契約を8月
1日付で請負から派遣に切り替えた。
ところが、大起は同月下旬、「税金滞納で事業継続が難しくなった」として、
破産手続きに入ることを決定。一方、TSKは製品の生産に必要な人員を確保する
ため、大起が推薦する派遣労働者を契約社員として直接採用することにした。
両社は工場内で大起の労働者向けに説明会を開いたが、告発した男性と、
男性の同居人である女性労働者(20)の2人は参加を拒否された。
その後、2人は大起から解雇を通告され、賃金も一部未払いのままだ。(中略)
労災隠しの相談を受けて以来、2人を支援してきた労働組合は「法令違反を
申告したことを理由として、労働者に不利益な扱いをすることを禁じた
労働安全衛生法や公益通報者保護法に違反する疑いがある」と指摘。
大起の担当者とは連絡が取れない状態で、「使用者側の責任があいまいになる
偽装請負の問題が出た。TSKは大起に問題を押しつけ、責任を放棄している」
と批判する。
http://www.asahi.com/national/update/0918/TKY200609180211.html