ハイブリッドカー総合スレッド part3

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424名無しさん@そうだドライブへ行こう
Der Spiegel 37/2005 (9月12日号)
タイトル: ハイブリッドをめぐる競争
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自動車の国・ドイツが激動の渦中にある:
日本メーカーがハイブリッドエンジンで成功を収めたことにより、ドイツメーカーが
ラジカルな路線変更を迫られている。IAAで、長年にわたりハイブリッドを軽視し、
拒否して来たメルセデス、VW、ポルシェすらこの低燃費コンセプトの採用を発表している。

メルセデスのニューS-クラスが今週、(第37週)フランクフルトIAAに初デビューする。
「上級クラスカー」の代名詞のようなモデルで、このニューモデルもメルセデスの
中心的特性をなす快適性及び安全性の尺度を提供する車になると言う。

にもかかわらず、この車には欠けているものがある。
この車にはエンジンが1機しか搭載されていない。もう1機足りないのである。
伝統的にドイツの技術的リーダーシップをデモンストレーションする場となっている
IAAが今年は(日本メーカーに)深く頭を下げる場に変じた。ドイツメーカーが
(ガソリンエンジンと電動モーターから構成されている)ハイブリッドコンセプトの
良さを認め、競合・日本メーカーの路線の正しさを認めたからだ。ホンダ、トヨタは
既に何年も前からハイブリッドカーをオファーしている。

ドイツメーカーの遅れが今や明瞭になった。日本メーカーが既にこの技術を
発売しているのに反し、ドイツメーカーではまだプロトタイプの段階だからだ:
VWコンツェルンはニューアウディ・オフロードカー Q7 をIAAに展示し、BMWは
ハイブリッド駆動付ショーカーを、メルセデスは同時に複数のハイブリッドコンセプトを
展示する。
ハイブリッドカー・オファーはドイツメーカーの役員会決定である。しかし、開発には
時間がかかるため、販売されるのは2〜3年先となる。
425名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/17(土) 01:47:24 ID:ksYOh4aG0
ドイツの技術陣があまりにも長い間ハイブリッドコンセプトの物理的優位性を
信じなかったためだ。ハイブリッドコンセプトでは制動エネルギーがバッテリーに
蓄電され、それが走行中に電動駆動力に転化されるため、ガソリンが節約出来る。
だが、どのくらい節約出来るのか?-------ということにつき、ドイツの技術陣は
長い間、懐疑的であった。メルセデス前社長フッバート氏はハイブリッドカーの
節約効果を「疑わしい」と言っていたし、VWピシェッツリーダー社長に至っては
(ハイブリッドは)「全くの破局」で、「物理に対する暴行」と侮蔑していた。
BMW開発責任者ゲッシェル氏も「ハイブリッドは視野を非常に狭めるだけの
マーケティング概念」だと今年1月に発言していた。

やっと目が開いたのは、日本製ハイブリッドカーが敬意に値する節約効果を現実に
あげていることが、誰の目にも明らかになってからである。専門誌のテスト(複数)で、
トヨタ・プリウス及びホンダ・シビックIMAといったハイブリッドコンパクトカーの
平均燃費が6リッター/100kmを上回ることがほとんどなく、同様の[出力の]ガソリンエンジン車の
燃費を明瞭に下回っている。またトヨタのハイブリッドオフロードカー・レクサス
RX400h は10リッター/100km以下の実走燃費を記録している。だからと言ってこの車重の
大きな車が低燃費カーに変身したわけではないが、ガソリンエンジン・モデルに比べ
ずっと燃費が良いことは明らかである。

また、モデルライン攻勢も積極的に展開されている: トヨタはIAAに(RX 400h同様)
市場熟成している上級クラス車レクサス GS 450h を展示する。6シリンダーエンジンと
電動モーターを組み合わせたこのハイブリッドエンジンの最大出力は340PS。これは
8シリンダーエンジンの最大出力に匹敵するが、燃費は4シリンダーを搭載した
スモールカーなみ-------という触れ込みである。
426名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/17(土) 01:48:18 ID:ksYOh4aG0
また、当面のハイライトとなるトップモデル LS 480 h (8シリンダー・ハイブリッド駆動)も
間もなく上市される。トヨタは今年、全世界で30万台のハイブリッドカーを販売する
計画だが、2010年までに販売台数を100万台に増大する。
日本メーカーのナンバーワン、世界で最も裕福な自動車メーカーであるトヨタには現在、
年間57億ユーロの研究予算があり、トヨタは非常に多岐にわたるハイブリッドシステムを
開発した。高度なバッテリー・キャパシティーのおかげで、車は短時間、電動駆動だけで
走行出来る。このフルハイブリッド機能による節約効果は通常のハイブリッドバージョンと
それほど違わないが、しかし突然エンジン音なしに走行し、幽霊の出る様な静寂さの中で
道路を滑走する経験をした多数のドライバーを感動させている。

こうした駆動技術を単独で(後から)開発することは他のメーカーにとっては金が
かかり過ぎるようで、このためダイムラー・クライスラーはGMと協力体制を組み、
先週これにBMWが加わった。このパートナーシップの中心をなすのが(トヨタの
ギアに似た)フルハイブリッド駆動用のギアコンセプトで、初めはアメリカ市場向け
大型オフロードカー及びピックアップカーに装備する。

メルセデスはヨーロッパで、他のドイツメーカーと協力し、別の道を歩んでいる。これは
ずっと値段の安いコンセプトだが、だからと言って、他社より品質が劣るわけではない。
その模範になったのはトヨタではなくホンダである。

トヨタよりずっと規模の小さいホンダは伝統的に非常に技術志向の会社で、既に5回連続して
F 1ワールドチャンピオンの座を獲得(トヨタはまだ努力の甲斐なく、ワールドチャンピオンの
座は獲得していない)し、長年にわたり日本の技術革新の最先鋒と見なされていた。
427名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/17(土) 01:49:10 ID:ksYOh4aG0
しかしよりによってハイブリッドのテーマで今までホンダはほとんどその存在が認知されない
状態にあったが、これは同社のマーケティング・ミスに起因している。すなわちホンダの
マネージメントは《ハイブリッド》という言葉がスポーティーでないと解釈されるのを恐れ、
それらのモデルを《IMA》(Integrated Motor Assist)と名付けた。
ところが「ハイブリッド」は魔法の呪文となり、ホンダはアウトサイダーと化した。
しかしこれは不当な状況である。というのも、この知名度の低いシステムはずっと少ない
費用で[他のハイブリッドシステムと]ほぼ同様の成果をもたらしているからだ。

ホンダ開発陣は「マイルドな」ハイブリッドコンセプトを採用した。電動駆動だけでは
走行出来ないが、駆動ジオメトリー・コンセプトがずっとシンプルである。すなわち、
電動モーターは内燃エンジンとギアの中間にあるクラッチベルに一体化されているため、
高価な改造措置をしなくても、従来のパワートレーンにスペースがとれる。
スペースが狭いため、電動モーターの出力は-------例えばトヨタに比べ-------
ずっと小さいが、燃費低減効果はほとんど変わらない。専門誌の比較テストでは
ホンダ・シビックIMAの方が「奇蹟のモデル」トヨタ プリウスより若干の評価項目で
良い評価を受けた。ドイツの自動車メーカーも-------なるべく少ない費用で-----
こうした成果をあげることを狙っている。

ハイブリッドシステムをほとんどすべて自社開発し、生産している日本メーカーと異なり、
ドイツメーカーは核心となる技術を共通のシステムメーカーから買い取る計画である。
目下の所、既に具体的なオファーが出来る供給メーカー・グループは1社のみである。
ボッシュやジーメンスといった部品供給メーカーの大御所がこのテーマを眠り過ごしたのに反し、
ブレーキ及び電子系メーカーであるContinental Automotive Systems がギアメーカー
ZF と組んで、ドイツで唯一のハイブリッド(開発・製造)グループを形成。某ダイムラー・
クライスラー マネージャーの言葉を借りれば、「スケッチやパワーポイント・
プレゼンテーション以上のものを提供出来る」唯一のグループである。
428名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/17(土) 01:50:03 ID:ksYOh4aG0
コンチネンタルは既にフォードに(ハイブリッド駆動には不可欠な)電動油圧式ブレーキを
開発し、1年前からGMオフロードカーにベルリン工場製マイルド・ハイブリッドシステムを
供給している。コンチネンタルのハウプト社長はベルリンに「ドイツ製ハイブリッド
駆動開発センター」が誕生するとの見解をとっている。

その技術の中心はマイルドハイブリッドをフルハイブリッドに変身させることで、そのために
必要とされるのはガソリンエンジンを(必要な時に)電動モーターとの結合から切り離すための
クラッチだけである。そうすれば、(お客が益々「その価値を認識して来ている」)電動走行が
可能となる。但し、こうした電動走行がスムーズに出来る状態にはまだなっていない。
だからと言って、ハイブリッドカーづくりで何年も遅れをとっているドイツメーカーは
妥協的なコンセプトに終わりたくない。

最も野心的コンセプトの開発を行っているのがメルセデスで、ニューS-クラスを世界初の
量産ディーゼル・ハイブリッドカーにしようと計画している-------燃料節約の面からは
最も魅力的な組合せである。

既に電動モーターのアシストがない状態でもディーゼルカーは(ガソリンエンジンを
使った)ハイブリッドカーより燃費が良い。それ故、ヨーロッパの自動車メーカーは
1990年代にディーゼル技術に固執し、呪うべき排気論議に巻き込まれ、そこから
全面的には抜け出せない状況になっている。微塵論議は微粒子フィルターが全面的に
導入されれば、すぐに終わるであろう。そうすればディーゼルに反対する論拠は
Nox排出量が大きいことだけとなる-------メルセデスはまさにこの点に攻勢をしかけた。
429名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/17(土) 01:51:02 ID:ksYOh4aG0
S-クラスのディーゼル・ハイブリッドには尿素インジェクション装置付触媒を追加装備する。
これは既にトラックに使われている技術で、Noxの排出を80%強低減出来、ほぼガソリン
エンジンのレベルに落とせる。またユーザーが尿素を補充する必要もない。トランクルーム
床下に取り付けられた30リッタータンクでインスペクションインターバルがカバー出来るからだ。
この原理は社内では「決定打」と賞賛されている。

だがこれは高価な技術でもある。高価な排気洗浄機構を装備しているため、このディーゼル・
ハイブリッドは最も金のかかる乗用車用駆動コンセプトになっている。
但し、燃費は一番良い。車重の重いこの上級クラス車の平均燃費は8リッター/100kmを大きく
下回ると発表されているが、これは現在のゴルフに匹敵する燃費だ。

VWはハイブリッド技術をめぐる競争の中で極端に長い間眠っていたメーカーで、今年になって
VWブランド責任者となったベルンハルト氏が最高のプライオリティーをもつテーマに指定し、
目下コンセプト論争が展開されている。ベルンハルト氏は非常に燃費の良いモデルの開発を行い、
迅速に(ゴルフの兄弟モデル)ジェッタをハイブリッドカーにしたい考えである。また同じ技術を
コンパクトバンTouranにも装備したい。このためVWは上海同済大学と協力し開発プロジェクトを
発足したが、特に遅れのひどいバッテリー技術の開発を促進することがその狙いである。

これに反し(VWの子会社)アウディの社長ヴィンターコルン氏は上級セグメントから始め、
強力なパワーモデルを電動チューニングしたい考えだ。これにはダイムラー・
クライスラーがGMと共同開発したハイブリッドプラットフォームを使うのが一番早い。
先週、BMWもこのプロジェクトに参加することを表明したので、このアイデアに対する
アウディ社長の共鳴度は目に見えて増大した。しかしVW側はよりシンプルなパラレル・
ハイブリッド方式を支持している。
430名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/17(土) 01:52:00 ID:ksYOh4aG0
この方式はポルシェ社長ヴィーデキント氏のお気に入りコンセプトで、同氏は既に
数カ月前にハイブリッドコンセプト支持を公表している。カイエンのような(ディーゼル
エンジンを搭載出来ない)オフロードカーはハイブリッド駆動を使った場合のみ、将来性の
あるレベルに燃費が下げられる。だが、ポルシェは企業規模が小さいため自社製システムを
独自に開発するリソースがない。迅速かつシンプルなシステムは、カイエンのベースを
製造しているパートナーVWとの協力によってのみ可能というのが同氏の考えだ。本当は、
ヴィーデキント社長はVWを出し抜いてトヨタと直接、協力体制を組むつもりだったが、
既に昨年秋に交渉が決裂し、プロジェクトは御破算になった。トヨタの技術が
カイエンにマッチしなかったからだ。

ヴィーデキント社長が既にハイブリッドの夢を見ていた時に、VWは他の問題-------
例えばスーパースポーツカーBugatti Veryonの問題-------と取り組んでいた。
この16シリンダーエンジンの部品供給に問題が生じた: 従来の燃料ポンプでは
この1001PSエンジンをフル稼働する時に十分な燃料が供給出来ないからだ。今では
この車に世界最強のガソリンポンプが取り付けられているが-------このエンジンの
仕事はあまり拍手喝采を受けていないようである。
(クリスチアン・ヴュスト)□