日産 仏ルノーのエゲツない“植民地支配”
http://gendai.net/contents.asp?c=031&id=18174 ゴーン流COO人事で浮き彫りに
日産自動車の次期最高執行責任者(COO)に志賀俊之常務執行役員(51)が昇格することが決まった。
一部マスコミは「日本人社長の誕生か!」と色めき立っていたが、フタを開ければ社長は
カルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO、50)がちゃっかり続投。
そのうえ「(志賀新COOは)私の後継者ではない」と断言するなど、渡仏中の留守番と言わんばかり。
「したたかな仏ルノーが、日本人に経営権を渡すはずはない」と、外資系自動車メーカー関係者は話す。
「ルノーの最大の収益源は今や本体の自動車事業ではなく、日産株の配当。
日産の業績がよほど悪化しない限り、経営を完全に掌握するはず」というのだ。
そもそも人選に疑問が残る。志賀常務は国産車メーカートップの登竜門である北米担当ではなく、中国事業の責任者。
しかもゴーン社長よりも年上だ。「日産の中国ビジネスは穴だらけ。
進出が遅い上に、提携先は商用車メーカー。部品調達の問題もクリアできていない。
だから彼の実績を評価したという昇格理由は不自然」と、ライバル会社の幹部も首をひねる。
「そこが、したたかなゴーン流。先行き不透明な中国担当なら、いつでもクビを切れる」と日産関係者はみる。
ゴーン社長は北米が儲かると判断するや北米担当役員をさっさと更迭、自らが担当した。
売り上げを伸ばしている北米担当が日本人であれば、彼が次期COOの最有力候補に浮上する。
好業績を引っさげてのCOOとなると、ゴーン社長といえどもおいそれとは追い出せない。
逆に、もし中国ビジネスがうまくいっても、自分よりも年長のCOOなら、若返りを理由にいつでも更迭できる。
「あえて志賀氏を社長や後継者にしなかったのも、不在がちになるゴーン社長から新COOへ社内の求心力が移るのを防ぐため。
ポスト・ゴーンは決まっていないとアナウンスすることで日本人役員を競わせ、団結させない効果もある」(前出の関係者)という。
ゴーン社長の「植民地支配」の手腕、恐るべしである。【井上学】