【次世代車日欧対決】ハイブリッドvsディーゼル

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過去から続く、欧州のディーゼル観の一例
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Frankfurter Rundschau 1999年01月23日
タイトル: Die Kraft, die aus dem Keller kommt (低回転領域のパワー)
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将来のスローガンは「回転数ではなくトルク」

かつては高性能とスポーツ性の代名詞となっていた高回転がいまでは時代後れに
なっている。というのも、「高回転 = 高燃費」という単純な等式は今でも通用する
真理だからだ。高燃費を避けるには、なるべく低い回転領域で大きなトラクションを
つくりあげなければならない。「回転数ではなくトルク」が最新の呪文である。

現在でも ― つい最近にもホンダがやっているように ― 1.6L-エンジンの最大出力が
やっと 7600 回転/min、最大トルクが 7000 回転/minという(アクセプトできないような)
高回転でしか達成できないような車をつくっているメーカーは、「未来の精神」を
理解しておらず、60年代の二輪メンタリティーの虜となっている。

これに反し、未来の傾向を代表する模範的な例が最近プレゼンテーションされた一連の
ディーゼルエンジン車で、現在、ガソリンエンジン開発者が 1000cc の排気量で
60〜70PS、約 100Nmのトルクを出せれば鼻高々なのに対し、これはディーゼル設計陣に
とっては冷笑の対象でしかない。同じ排気量をもつ最新のターボ・ディーゼルでは、
出力は同じくらいで、トルクが 20 〜30% ほど大きく、しかも最大トルクの出る
回転数レベルは( ガソリン・エンジンの) 半分である。
目下、尺度を提供しているエンジンがニュー BMW 320 d-ディーゼルで、2L の排気量で、
136 PS/ 280 Nm という誇り高い出力/トルクを出している。
これに対し BMW 318i に搭載されているガソリンエンジンは ― ハイテク・エンジンと
言ってよいエンジンなのに ―、出力はたった 118PS、トルクは 180Nm と「貧弱」である。

新しい 3 l-6シリンダー・ディーゼル( Common Rail-方式。出力: 185 PS) は 730d に
搭載され、たった 2000 回転/min で 410Nm というセンセーショナルなトルクを出している。
こうなると、ポルシェ 911 Carrera (排気量:3.1 l、350 Nm/4600 回転/min) すら年老いた
印象を与える。

伝統的なインジェクション方式を採用している 2.5 l- V6- TDI (110 kW /150PS。
アウディ A4/ A6/ A8 、VW パサートに搭載) ですら、最大トルクは310 Nmで、しかも
このトルクが 1500 回転/minという極端に低い回転数で出る。
すなわち、低回転領域で強烈なパワーが発揮され、多少なりともこれに対抗しようとすれば、
ガソリンエンジンでは極端に回転数を上げる必要がある。

それだけではない。 BMW 、メルセデス、アウディの 8-シリンダー・ディーゼルが完成すれば、
奇跡に近いことが起こる。今年中頃(他社に先駆け)上市される BMW 740d に搭載される 4L- V8-
ツインターボディーゼルのメイン・データ: 1800 回転/minで 170 kW (230PS)、約 560Nm が
得られ、EU-規格燃費は 10L /100km 未満。既に、同様に(トルクが 500Nmを越える)
パワー・エンジンがアウディ、メルセデスでもベンチテスト段階ないし実走テストが大いに
進んでいる段階にあると言う。
こうした強烈なダンプカーなみのトラクションをもつ車が同時に非常に清潔な車でもある。
すなわち、将来の厳しい排気規制(ユーロ 3/2000 年01月01日発効)を守り、ユーロ 4 (2005年以降)
も達成できる車である。燃費に関しては、つい最近まではおとぎ話とされていたような節約記録を
打ち立てられるようなエンジンである。こうしたパワー・ディーゼルは、メルセデス S-クラス、
BMW 7- シリーズ、アウディ A8 のようなノーブルな高級車にも搭載され、燃費は10L/100km未満、
控えめな走り方をすれば 9L/100kmで済むという。

10年前までには、車重 100kg あたりの燃費が 1L/100kmとされ、目下 0.7L/100km が良い数値と
見なされているが、未来のスーパー・ディーゼルエンジンは車重 100kg あたり 0.5L/100kmも
必要としない。しかもこの数値は排気量の大きな将来のエンジンにあてはまるだけでなく、
小さなエンジンでもこうした数値が達成でき、一部の(小型)エンジンの燃費はもっと低くなる。
例えば、目下 VW の1.2 l-3 シリンダー・TDI (44 kW /60 PS) が熟成中だが、このエンジンは
最近量産された(100% の 4シーター適性をもつ) スモールカー・ルポの特別環境適性バージョンに
搭載され、ルポを最初の「3L-カー」に変身させる。「正確に 2.99L/100km」というのが、
ピエヒ社長の発表した燃費数値である。

だが、 60 〜85 kW (80 〜115 PS) の出力をもつ現在の 4-シリンダー・ターボディーゼルでも
・・直接噴射方式の場合・・燃費はかなり良く、排気量 2L そこそこのTDI-エンジンを搭載した
ゴルフ、アストラ、(出来立ての) フォード Focus の燃費は 5〜6L/100km 程度である。
また VW ルポ、ポロ、オペル・コルサ、セアット Arosa、Ibiza では 4〜5L/100km の燃費が
頻繁に記録されている。同等のガソリンエンジンは ― 最新のバージョンでも ― 通常、
(ディーゼルに比べると) 2L/100km 燃費が増える。また主に市内、地域を走るだけに使えば、
燃費メリットはすぐに最高 30 % まで上昇する。
特に印象的な好例が VW -バス Carvelle である。これはニューファッション・バンの中でも
最も説得力のある車だが、この車に搭載されている
2.8 l- 6 シリンダー・ガソリンエンジン(103 kW /140PS/240Nm) の新ヨーロッパ走行モード・
燃費は 11.8L/100km(スーパー) である(日常走行ではこれをずっと上回ることが多い) 。

これに反し、同じ V W -バスに搭載されている 2.5 l-5-シリンダー TDI -ディーゼルの
最新高性能バージョン(111 kW /150PS/ 295 Nm) の同一テスト・モードでの燃費はたった
7.3L/100km であった。これは 4.5L/100kmないし 38% 少ない数値である。
このため、(この大型スペースカーに使われる) ディーゼル燃料中の炭素含有量が 13% 多いことを
考慮しても、(ガソリンエンジンに比べ) 炭酸ガスの発生は 25% 少ない。これは、ドイツ政府が
すでに何年も前に 2005年までのCO2 - 低減目標として掲げ、ドイツ自動車工業連盟が同じ規模で
承認した数値である。