日産の102万台リコールは2001年のリコール時と同じ車,同じ個所で発生[2003/11/08]
日産自動車が2003年10月31日に発表した25車種102万5702台のリコールは,
同社が2001年11月23日にリコールしたときと同じ部品が原因であることが
判明した。このときは11車種30万2548台が対象となり,同社は不具合のある
部品を良品と交換した。ところが,今回のリコールでは同じ車台番号の
製品が再び対象になっている。改良した部品にもかかわらず,再び同じような
不具合が発生したことで,同社の生産管理体制が厳しく追及されることに
なりそうだ。
不具合が発生した部品は,カムやクランクの回転角を計測するセンサ。
エンジンの近くに設置するため,基板上のはんだが熱で変形し,回路が短絡
することがあるという。走行中にエンジンが停止するといったクレームが
寄せられていた。この不具合は前回のリコール時とほとんど同じだ
(下記の国土交通省発表の資料参照)。
このリコールに関連する自動車メーカーの従業員は「不具合のあった部品は
確かに交換している」ことを強調した上で「素早い対応を優先した結果,
代替部品の性能検査などを怠っていたのではないか」と推測した。
加えて,今回のリコールは2002年11月23日に最初の不具合が発生し,
報告されていたにもかかわらず,対象車には2003年5月28日に生産した
「スカイライン」27台も入っており,部品や生産の管理体制が機能していない
のではという疑問を抱かせる。こうした件について日産自動車は「特に
コメントはない」という。
なお,国土交通省が発表した資料から「基準不適合状態にあると認める構造,
装置又は性能の状況及びその原因」は以下の通り。
2003年10月31日のリコール
原動機の回転センサ内部の樹脂材充填が不適切なものがあるため、原動機の
熱等により基板部の半田が変形し、回路がショートして正常な信号が発信
されないことがあります。そのため、原動機が始動できなくなる、または
走行中に原動機が停止し再始動できなくなるおそれがあります。
2001年11月23日のリコール
原動機において、カム角センサ及びクランク角センサ内部の半田付けに不良の
ものがあるため、そのままの状態で使用を続けると、当該センサ内部で
ショートして正常な信号が発信されず、エンジンの回転が不安定になることが
あり、最悪の場合、走行中に原動機が停止し、再始動ができなくなるおそれが
あります。