【劇速】新型アコードを語る9【早速リコール】

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媒体名: AMS 3/2003
タイトル: H-Erlebnis ( ホンダ 体験)

ミドルクラス車ニュー・アコード 2.4づくりにより、二輪で有名になったホンダが
難しい四輪製造分野でも益々磨きをかけていることを示している。

ラジエーターグリルの H の文字が大きくなった。 Honda の H である。
ホンダの名前を聞けばすぐに思い浮かべる二輪には H のエンブレムは使われていない。
何年も前から四輪専用にリザーブされている。四輪は1960年代末に(ヨーロッパでの販売が)
始められたが、どちらかと言えばスタートは貧弱であった。見栄えのするS800と並び、
N360、N600 が四輪市場に地歩を固めるため上市されたが、結果はかんばしくなかった。

ずっと昔の話だ。だから、目下ニュー・アコードに関心のある読者も、リーフスプリングを装備し、
唸りを上げて走っていた2シリンダーエンジンのことは知るまい。ドイツ市場に初めて出た
モデルの話だ。アコードはずっとミドルクラス車としてコンセプトされ、18年前から市場に
根を下ろしている。前回、前々回のモデルは英国で生産されたが、今回のアコードは
日本原産モデルで、設計された所で生産された車を好むユーザーをほっとさせている。

販売台数が大幅に減退したため(ドイツでの2002年1月〜12月の販売台数:4000台強。1999年: 9330台)
旧モデルでは提供できなくなっていた魅力を形状面でも創出するたにニューアコード・デザインを
担当したのも日本人デザイナーであった。

橘 邦彦氏が「エモーショナルデザイン」を創出したが、これは「成功の鍵」をなすからである。
だが、ホンダの言う程には「心を揺さぶるような」ラインではない。奇抜なアイデアが
デザイン化されている現在にあっては、全長 4.67m のアコードはどちらかというと
愚直(bieder)なモデルで、流行の照明ユニットを装備したリアエンドは不格好な(plump)感じすら
与える。またバンパー下側にエプロンを取り付けたフロントエンドも統制のとれない印象を与える。
よりによってこの車のCw-数値がたった 0.26とこのクラスの最高数値であるとは信じられない程である。
ホンダは、特に剛性の強いボディーを開発するだけでなく、 細部に至るまで遮音、触感を
完璧化することに多大な努力を払った。アコードは良好に加工されたプラスチックを使用した
典型的日本車のコックピット・ムードとは無縁で、ドアを閉めるのも、スイッチを動かすのも、
アクセルペダルを踏むことすら、楽しい車だ。

ボディー・フォームも美しいと感じる人には、非の打ち所のない車と言ってよかろう。

喜ばしいことにホンダは技術革新意欲が旺盛なだけでなく、車の伝統的な価値のケヤーにも
努めている。計器類はその好例である。イグニション・スイッチを入れると、赤い棒状の
ライトがついて、魅力的な全体印象を与え、また非常に読み取りやすい。操作器具にも
奇抜な実験は行わず、なるほどライトのスイッチはステアリングドロップアームに
取り付けられているが、その他の操作器具はすべてあるべき位置に取り付けられている。

シートそのものも-------成形が完璧なので-------非常に良い。ドライバーのシートポジションも
非の打ち所がない。小物入れも十分にあり、空間の経済的利用に関しても、-------ホイルベースは
旧モデルと同じなのに-------後部スペースが多少大きくなった。

脚スペースも十分で、頭上スペースもデザインの犠牲にされず、459Lというトランクルーム容量も
立派だ。

ホンダは既に獲得している信頼性のイメージに感触、視覚面での質感を追加することに努力した。
装備内容にもハイレベルをめざす努力が見られ、本誌がテストしたSバージョン(2.4Lエンジン搭載)には、
パワーウインド、クルースコントロール、2-ゾーン自動エアコンがCD-プレーヤー、ライフスタイル
(6個)付ラジオ同様標準装備されている。
これに反し、エンジン仕様は 4シリンダーのみで、排気量の一番大きな190PS/2.4Lバージョンも
同様である。2.5Lに近い排気量なので、大抵の競合メーカーが6シリンダーエンジンをオファーしている。
静粛性だけでなく、ステータスを約束しているためだ。だがホンダはエンジンづくりで独自の道を歩み、
可変カム軸を装備した新たなVTEC-ジェネレーションではプレミアムクラス車なみの排気量にも
かかわらず、4シリンダーエンジン搭載を決定した。

このエンジンの特徴はシリンダーの数だけでなく、223Nmというたっぷりした最大トルクにもある。
稼働洗練性を改善するため2個のバランスシャフトを装備したが、-------これは何十年も前に
ホンダが二輪用2-シリンダーエンジンづくりで集めた経験の一つで、ストロークが99mmと非常に長い。

シリンダーヘッド内にはチェーン駆動のカム軸が使われ、レッドゾーンが開始するのは7000回転/分に
なってからである。シリンダー数の少ないことにより紙の上でもトルク展開、燃費面でのメリットが
出たが、現実走行ではそれ以外のメリットも加わる。アコード4-シリンダーエンジンはオールラウンドに
人を喜ばせてくれる一種の万能エンジンでで、響きのよい稼働音がこの1.5トンに近い車に威厳を与えている。
切り換えが非常に正確に出来る 6速ギアがそれを補完し、走行を楽しいものにしている。

単に走行性能が効果的だというだけでなく(例えば、0 → 100km/h加速値はたった7.8秒)、この
4シリンダーエンジンのアクセルペダルへの追従性は非常に素直だ。
第6速はこのエンジンの功績からして本来不要だが、しかし装備されているので、有効に
利用することも出来る。
エンジンの洗練性、回転性は素晴らしく、6000回転/分以上になってようやくこのロングストローク
エンジンの響きのよい音色がうるさい音に変わる。出力がたっぷりあり、また前軸にも
ダブルウィッシュボーンを装備した贅沢なシャシーも喜ばしい。本誌がテストしたバージョンには
VSAという名称の車体安定装置が装備され、無理な走り方をしても、それに粗っぽく抵抗して
制御を行うのではなく、節度をもった介入を行う。それ故、軽いアンダーステアが出るだけで、
走行安定性には非難の余地はない。また高速時の非常に安定した直進性も称賛に値し、これも
容易な走行に貢献している。

良好な制動距離数値及び最高のブレーキ耐久性がアクティブ安全性面での好成績を補完している。
この章で小さな欠点と思われたのは、パワステ付ステアリングの動きが多少硬く、中央ポジションでの
正確さが欠ける点くらいである。

ハンドリングは-------素晴らしいとは言えないまでも-------全体として良好であった。走行快適性は
風切音が少なく、全体としてスプリングのセッティングに成功していることが有利に作用している。
だが、引き締まったセッティングなので、特に比較的こきざみな路面凹凸上を走ると多少ショックが
感じられる。だが、車輪の回転快適性が良く、アウトバーンでの高速走行時の快適性が非常に良いため、
このニューアコードには(走行快適性の面で)欠点らしい欠点は見られなかった。こうした快適性
コンセプトによりアコードは本物の長距離走行用のツーリングカーとなり、この車に乗った人は
リラックスして非常に遠くまでドライブが出来る。

だが車が良いからといって、常に(それに相応した)販売成果があがるとは限らない。ドライバーは
プレミアムな車を渇望しているが、同時にブランドのもつ魅力にも飢えている。
ニューアコードはプレミアムな車だが、同時にそうとも言えない車でもある。
(クラウス・ヴェストルップ)
評価    ★★★★☆
ホンダ・ニューアコードは敬意に値するミドルクラス車で、エンジン・クオリティーと
走行特性の良さで説得力をもつ。

ボディー                   走行特性
【+】良好なスペースオファー        【+】非常に安定した旋回挙動
【+】高度な機能性               【+】安定した直進性
【+】良好な質感                【+】満足できるハンドリング
【-】 リア部分の視界が悪い        【-】ステアリングが中央ポジションで多少不正確

走行快適性                  安全性
【+】 良好なシート快適性          【+】 サイド/ヘッドエアバック
【+】 僅かな風切音              【+】非常に良好かつ耐久性の良いブレーキ
【+】 満足出来るスプリング快適性     【+】ESP標準装備
【-】 短い間隔の路面凹凸上を走ると弱点

駆動                     環境
【+】 非常に良い走行性能          【+】 Euro 4規制合格
【+】 良好な洗練性               【+】 良好な燃費費用
【+】 快適なエンジン音            【+】 3年保証
【+】 正確な6速ギア              【-】 掛金の高い自賠責クラス

【写真説明】
(41ページ)
●たった 0.26というCw-数値はこのクラスのトップである。
●パワーの印: リアを飾る鮮明な S の文字。
●ホンダも採用。外側バックミラーに格納されたウインカー。
●アルミホイールも標準装備。

(42ページ)
ニューアコードのホイルベースは旧モデルと同じである。外寸は
-------特に高さ、幅が-------増加。ニュー・アコードの全長は4.67m。

(45ページ)
●喜ばしいのは外観だけでない------- 大型4シリンダーエンジン。
●見た目もよく、使いやすい-------アコードのコックピット。