【劇速】新型アコードを語る9【早速リコール】

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アコード 2.4 vs BMW 325i

媒体名: AUTO 3/2003
タイトル: Duell der Fahrmaschinen (走行マシンの決闘)

「走る楽しさ」はBMWのスローガンなのに、ニュー・ホンダアコードが臆面もなくBMWの
縄張りに入って密猟を開始した。

やっかいな話だ。
ホンダは-------先取りして言っておくと------- ニュー・アコードという魅力的な車をつくり、
特にタイプ S は将来のオーナーに多大の走る喜びを約束している。

にもかかわらず、一見して(他車の)デザインを大いに盗作したと非難されるべき車でもある。
外観はマツダ(フロント)、アルファ(リア)、BMW(サイドウインドライン)のスタイルがミックスされ、
加えて外部バックミラーに一体化されたウインカー(メルセデス)や分厚いクローム・ドア把手(アルファ)
といった若干のディテールをくすね、最新のホンダ・ミドルクラス車の出来上がり-------となった。
このアコードの内面的品質がデザイン上の不安定さを埋め合わせられるか、BMW 325i と比較して
解明してみる。

出力192PSの3シリーズはほぼ非の打ち所のない車だからだ。最高の走行性能、素晴らしいシャシー、
魅力的でダイナミックなデザイン-------はその最善の証明である。
またBMWは、ホンダ同様に、二輪でも四輪でも本物の走行マシンづくりに熟知しているメーカーである。
出力 190PSのアコード 2.4 タイプ S は3シリーズに匹敵するモデルであろうか?
いずれにせよアコードの室内はほぼ非の打ち所がない。機能的で、装備も豊富である。すべてが
論理的にきれいに配置され、タッチスクリーン(オプション)を使ったエアコン、ラジオの操作も
模範的だ。加えて、インテリアの加工品質も良く、個々のコンポーネントもきれいにインパネに
嵌合している。その間に配置されたカーボン・イミテーション及び分厚く握りやすいハンドルが
スポーティーなアクセントを添えている。素材はBMWほど高級感はなく、デザインも周知の日本的
ルーチンワークに近いが、それでも3シリーズのもつオールラウンドな快適性を多少とも感じさせる。

325i では、特にラジオ、クルースコントロール用リモコン装置を装備した皮巻きハンドル(オプション)
及びオーダーメイドのようなシートポジションがスポーティーな雰囲気に貢献している。3シリーズは
手袋のようにぴったりした車である。だがアコード・ドライバーに比べ3シリーズ・ドライバーの
スペースはずっと少ない。

これは後部座席乗員についても当てはまる。特に肩及び頭上スペースが窮屈で、加えてホイールハウスが
ドア開口部に張り出しているため乗り降りがしにくい。この面ではBMWはスペースを何cmか大きくする
必要がある。同様に真似て欲しいのが、ずっと広く開閉できるアコードのフロントドアだ。非常に大きく
首が振れるだけではなく、ストッパーポジションが3 カ所用意されていて非常に便利である。

同様に快適で、成形の良いシートと上下、前後に調整出来るステアリングコラムとの組合せもホンダの
良い点だ。このため、ドライバーは身長の大小に関係なく、リラックスしたシートポジションが得られる。
だが、トランクルームはずっと不便で、積載重量と大きさそのものは良かったが、積載端面が高く、
内側パネルの加工が凡庸で、部分的にはそれがなく、ポジティブな印象を曇らせた。トランクスルーも
同様で、せいぜいスキーザックに毛の生えた程度である。
この点ではBMWの方がベターだ。3シリーズには-------アコードのように貧弱なリボンではなく-------
折りたたみ出来るリアシートベンチのロック解除用にまともな握りが装備され、トランクルームカバーは
ガス充填式スプリングディバイスでサポートされ、内側パネルもアコードよりうまくフィットしている。
品質欠点ではないが、醜いとしか言いようがないのが3シリーズ・トランクルームの板金部で、
エンジンルーム同様に基礎塗装のままだ。

しかし、他の品質でそれを相殺出来なければ325i とは言えない。絹にように柔らかで、強力な 6シリンダー
エンジン、第一級のステアリング、安定したシャシーがこの車を保証付きでカーブ疾走の出来る
オールラウンドカーにしている。しかも、セッティングは-------車輪がハードに回転することを
除けば-------かなり快適である。

またどんなに荒っぽい走り方をしても、3シリーズは安定性を失うことがない。それでもBMWが万一
不安定になった場合には、車体安定機構 DSC III が機能を発揮する。これは同様に標準装備されている
ホンダのVSAについても言えるが、アコード・ボディーの上部構造はローリング傾向が強く、加えて
短い間隔の路面凹凸の上を走ると回転がスムーズでなくなる。

加えて、アコードはBMWの印象的な発進挙動とはかけ離れており、急発進すると前輪にホッピングが出、
ダイナミックな疾走は後輪駆動車の特技であることを明白に示している。しかし、アコードの4シリンダー
エンジンは既に低回転領域でも出力展開、強力なトルク展開で好感がもて、車重の軽いアコードは4速及び
5速の追越加速ではBMWを凌駕した。ギアレシオの長い 6速になってアコードのパワーが衰え、-------
空力はベターなのに------- 最高速で多少劣った。これに反し、ダイレクトで、動きの軽いステアリングは
良好で、駆動の影響がほとんど感じられない。これに正確なシフトが加わり、BMWに比べて、より正確かつ
軽快にストップポジションに止まる。また高速時にも騒音レベルが快適に低く、風切音はほとんど
感じられない。
加えて、この4シリンダーは活性があり、通常この構造では典型的に発生する唸りも出ない。
にもかかわらず、BMW 6シリンダーエンジンの洗練性及び快適な響きをともなう推力にはホンダ・エンジンは
対抗できない。3シリーズエンジンのデメリット: 高価なスーパープラスガソリンを必要とし、しかも
燃費がホンダより悪い。

その代わり、BMWの維持費はホンダより安い。それはアコードの保険クラスが高価で、中古価格が
安いためである。しかし、新車価格がずっと安いので差が再び縮まる。
またBMWをタイプSと同じ装備にして比較した場合には、価格差は8000ユーロと莫大なものとなる。
これではBMWファンですら考え込んでしまうだろう。(ヤン・ホルン)
【本誌の判定】       BMW 325i       ホンダ・アコード 2.4 Type S
スペース/快適性      gut(良)(2)           gut(良)(2)
スポーティーな走行性能にもかかわらず、両モデルとも快適なセッティングで、BMWの方が
多少バランスがとれている。比較的長距離を走る場合には、ホンダの方がスペースオファーが
大きく好感がもてる。また後部座席乗員にもアコードの方が快適。

ハンドリング       gut(良)(2)          befriedigend(可)(3) 
両モデルとも操作は簡単。アコードの方が多少視界性が劣る。また回転半径も大きい。
アコードではバンパー保護用バーがオプション。また、エンジンボンネット、トランクルームカバーの
ブロック機構も最善とは言えない。

走る楽しさ        sehr gut (優)(1)        gut(良)(2)    
どうしても後輪駆動でなければならないという人でなければ、ホンダに乗っても十分に走る楽しみを
堪能できる。急発進時に軽いトラクションの欠如が認められる以外には、アコードは非の打ち所がない。
BMWはステアリング、シャシー、エンジンの全項目で光っていた。

安全性           gut(良)(2)           gut(良)(2)
電子式走行/制動アシストが両モデルとも標準装備。BMWでは後部座席三点ベルト及びエアバック
(リアシート)がオプションなので減点。だが、BMWは制動距離が短かく、この分を相殺。

費用            befriedigend(可)(3)      gut(良)(2) 
新車価格がずっと安く、しかも標準装備が豊富なので、この項目ではアコードが明白な勝者となった。
だが、維持費が高く、中古価格が安いので、長期的には多少状況が変化する。
走る楽しさが決定打。新車価格を除きBMWが勝利したが、これはBMWの方がよりベターな車だからだ。
クオリティーがより高く、走行挙動もより敏捷で、走行性能も最高なので、325 i は要件の高度な
ドライバーにとり第一オプションだ。

だがアコードも僅かな差でBMWに迫っている。というのも、節約を考え、あまりブランドイメージを
重視しないドライバーには、アコードの方が勝者だからだ。特に2.4-タイプSバージョンは走る楽しさ、
ツーリング適性、日常適性がバランスのとれた形でミックスした魅力あるモデルである。また
室内スペースも広いので、家族適性もBMWよりベターである。

【写真説明】
(63ページ)
四輪、二輪ともスポーツモデルをつくっているメーカーは、BMWとホンダだけである。
写真は左からBMW R1100S、325 I、ホンダVFR、アコード 2.4タイプS。

(64ページ) BMW
●高価------- ナビゲーション・システム(モニター付)は自動エアコンとパッケージにしてのみ販売。
●推薦出来る------- ラジオ及びクルースコントロール用リモコン装置付ハンドル。
●工場装備------- 16インチアルミホイール。この星状スポーク・デザインは250ユーロのオプション。
●1150ユーロのオプション-------電動シート調整機構。
●便利------- 後部座席背もたれの固定解除機構。

●BMWの走行マシン
BMWは80年前から二輪づくりを始め、昨年だけで約10万台の二輪を販売した。
F1にも1982年以来出場し、前シーズン、最強のエンジンを誇っていた。
BMW R1100S------- 98PS、ボクサーエンジン搭載。最高速は200km/h以上。
BMW-ウイリアムス-F1カー------- 900PS、10シリンダーV-エンジン搭載。
(65ページ)アコード
●簡単------- タッチスクリーンで操作出来るナビゲーション・システム。
●頑丈------- クロームメッキされたドア把手。
●標準装備------- ハンドルに操作器具をつけたクルースコントロール。
●標準装備------- 16インチアルミホイール。他のサイズはない。
●スマートでない------- 安っぽいリボン、貧弱な内側パネル。

●ホンダ製走行マシン
ホンダは二輪づくりから開始。1947年から二輪づくりを行い、現在、世界中に年間610万台の
バイクを販売。F 1には1984年以降出場。目下、ホンダはエンジンを供給。
ホンダ BAR-------ジョーダンにエンジンを供給。
ホンダ VFR ------- 109PS、4シリンダーVエンジン搭載。最高速:244km/h。

(66ページ)
一手生産------- BMWもホンダも、四輪、二輪を生産し、最も成功を収めているメーカーである。
●強力でたっぷりしたサウンド。トラクションの強いBMW 6シリンダーエンジン。
 エンジンルーム内の無塗装の板金部は頂けない。

(67ページ)
●活性があり、静か------- 高回転志向のホンダ4シリンダーエンジン。
 2個のバランスシャフトを使い、耳障りな唸りを抑えている。
●僅かな差で二位-------費用と理性を考えるとアコードが勝者。