【PEUGEOT】 2 0 6 【欧州コンパクト】
媒体名: AutoZeitung 2/2003
タイトル: Kleine Freunde ( 小さな友達)
スモールカーがいつでも小さく、退屈な車である必要は全くない。
プジョー 206、ミニ・ワン,ホンダ・ジャズは単に多面的で、使い勝手がよいだけでなく、
気のきいた外観がエモーションを呼び起こす車でもある。
スモールカーには常に若さがあり、多少ふざけたような所、子供時代の本能を
呼び起こすような何物かがある。時にはエモーショナルな結びつきが強くなり、
車に-------ペットのように-------名前をつけるケースさえ出ている。
メルセデスS-クラス では考えられないことだ。プジョー206、ミニ・ワン、
ホンダ・ジャズも、若者、特に女性顧客に受けている可愛い車である。
ボディー: あらゆる要件にマッチ
スペース及び日常適性に関して言えば、ジャズが最善のカードを持っている。
5ドア・バージョンとしてのみ販売されているこの日本車はほぼ完全なファミリーカーと言える。
フロントのスペースオファーがたっぷりしているだけでなく、特に後部座席で自由に身体を
動かせるので、競合モデルに比べ明確に優位に立った。ジャズの膝スペース、脚スペース、
シート幅及び奥行きは非常にたっぷりしているので、チャイルド・シートに座った子供が
脚をばたつかせても大丈夫である。トランクルーム容量も380Lと、ゴルフ(330L)より大きい。
改善の必要があるのは安全性装備の項目だけで、車体安定装置及びサイドエアバックも
後部座席第3ヘッドレストも供給出来ない。
これに比べるとミニのオファーの方がずっと豊富だ。フォッグライト、キセノンライト、
ヘッドエアバック、ESPを問わず、ミニ・ワンはオプションでほぼすべての用品を
オファーしている。スペースオファーに関しては、ミニはその名の通りで、
フロントシートに関しては苦情の理由はあまりないが、その後ろの空間は日常の要件に
ほとんど対応出来ない。リアシートは窮屈で、平均10cmという脚スペースは幼児にも
受忍出来ず、それゆえ Isofix-チャイルド・シート(30ユーロ)に金を投じる必要もない。
トランクルームはその名に値せず、容量はたった150Lでスマート同様に貧弱である。
プジョーのトランクルーム容量はミニより100L弱大きいが、それでも206 はスペースの
奇跡と呼べるような車ではない。後部座席スペースオファー、周辺視界、分離して
折りたためるリアシートはこのクラスの平均レベルにとどまっている。これに反し、
フロントスペースはホンダ同様にたっぷりしている。ドアに取り付けられた大きな
肘かけ、ずっと下側まで伸びたウインドがコンパクトクラスカー・レベルの
スペース感を演出している。残念なのは、安全性装備が完璧でないことで、ESPのような
車体安定機構も後部サイドエアバックも206 には供給出来ない。
快適性: どのスモールカーにも独自の性格
樽で大西洋を横断しようという人が豪華船の快適性を期待するのは無理である。
スモールカーにも似たようなことが言える。ホンダにもミニにも、プジョーにも完璧な
シートポジションを見つけることは出来なかった。共通した難点は、ハンドル傾斜角は
調整できるが、ハンドルを軸方向に調整出来ないことである。特に長距離走行の場合、
折り曲げた脚と伸ばした腕のアンバランスな関係が疲労のモトになる。それでもミニの
シートは比較車中最善で、サポートも一番良かった。トレンディーにデザインされた
コックピットの真ん中にはスープ皿のように大きなタコメーターが配置されて目を奪い、
見栄えも良いが、読み取るにはいつでも頭を回転させなければならないので、神経を
逆撫でする。
ミニはエンジニアの遮音性問題をうまく解決し、ホンダ、プジョーと異なり、走行音及び
エンジン音も僅かであった。またホイルベースが短く、引き締まったセットにもかかわらず、
スプリングの吸収性も良好である。
プジョーも同様に快適だが、ミニほど静かではない。標準装備スポーツシートの外観は良いが、
クッションによる背中のサポートが肩甲骨の下側で終わっている。206のコックピットは
ミニほどシックではないが、ずっと人間工学特性を考えて設計され、スイッチ、ノブ、
レバー、小物入れがしかるべき位置に配置されている。
ホンダのインテリアも好感がもて、計器類がすっきり配置され、すぐに人の心をとらえる。
プジョー及びミニのスポーティーに低いフロアと違い、ジャズではドライバーも乗員も
約15cm高いポジションに座り、ミニバンに乗ったような印象を受け、交通状況も
(他のモデルより)良好に俯瞰できる。残念なのは、平たく、幅の広いシートに必要な
サイドサポートが欠けていることである。ジャズのスプリング快適性は最近シャシーを
手直ししたため目に見えて改善され、2002年2月のデビュー時のように凹凸路面上を
硬直して走ることはなくなった。
エンジン/ギア: どのスモールカーも燃費がよくなかった
通常の道路交通時には、プジョーエンジン(出力 109PS) の大きな出力の威力はほとんど
感じられないが、スポーティーな走り方をすると、プジョーは難なくホンダ、ミニを追い抜く。
但し5000回転/分以上の高回転に上げると、金属性のサウンドが伴う。206のエンジンは
低燃費とは無縁で、平均燃費 8.9L/100km(スーパー)は模範的な燃費数値とは言えない。
ギアも批判の対象となり、不正確にガイドされたシフトレバーは木製のしゃもじで
バターミルクを掻きまわしているような感じである。
ミニは90PS-ベースバージョンすらまずまずの出来で、1.6Lエンジンはクライスラーと
ローバーのジョイトベンチャーでつくられ、出力は(プジョーより)19PS少ないが、ほぼ
プジョー同様のトルクが出る。音響の上であまり目立たず、洗練性の良い稼働をするこの
4バルブエンジンは回転が上がると活性がなくなり、回転意欲も劣る。5速ギアは正確に
切り換え出来るが、シフト行程が長く、5速のギアレシオを非常に長くとってあるので、
好感がもてない。このため、ちょっとした上り坂でもミニは大きく失速する。その反面、
この節約シフトのお蔭で燃費は 7.7L/100km(スーパー)であった。
出力が83PSしかないホンダはエンジン/ギアの章ではほとんど得点出来なかった。
12.8秒という0 → 100km/h加速値、170km/hという最高速は出力を考慮すればまだ
アクセプト出来るが、8.5L/100kmという燃費は論外である。タンク容量が42Lと
小さいので、ジャズの行動半径はたった494kmである。だが、ギアレシオの短かい、
正確で・動きの軽いギアは明るい希望を抱かせる。
走行ダイナミクス: 「素直で律儀」から「スポーティーで危険」まで
誰も想像しなかった結果であった: よりによって出力の弱いホンダ・ジャズが走行挙動面で
尺度を提供する車となった。ジャズが好成績をあげた理由は特に制動距離が短かったためだ。
100km/h→0制動値がたった39.7m で、プジョー、ミニは4m後、すなわち車の長さの分だけ
遅れて止まった。加えてジャズは比較車中唯一ブレーキアシストを標準装備している。
こうした安全性リザーブは有益である。というのも限界領域に入るとジャズは予想外の
挙動をとるからだ。カーブでスピードを出し過ぎると、まず前輪が滑り、それから内側に
回転する。その時にチャージ交代をする(突然、アクセルペダルから足を離す)とこうした
反応が増幅され、スプリングがソフトにセットされているのでボディーがローリング傾向を出す。
ミニの走行挙動はオールラウンドに素直と言える。ホイルベースが短いにもかかわらず、危険な
チャージ交代反応は見られない。カーブに入りスピードを出し過ぎると、過剰な速度が減速するまで、
前輪が滑る。しかし、ステアリングが正確なので、感度の良いリスポンスが得られる。
走行挙動の章で最下位になったのが強力なエンジンを装備したプジョーであった。この
スポーティーなフランス車はカーブの多いカントリーロードやサーキットでは高速走行が
出来るが、走行安定性については、熟練を要する車で、突然の激しいチャージ交代反応や
癖のある操舵挙動のコントロールが必要となる。また、操舵角が大きいこと、部分的に
癖のあるブレーキがプジョーの減点項目となった。
環境保全/費用: 違いの大きい標準装備
これらのポテンシャルなセカンドカーないしサードカーは安い車ではない。
基礎価格はすべて同様のレベルだが、標準装備の規模が異なる。ジャズはパワーウインド、
エアコン、CD-ラジオが標準装備され、光っている。だが、プジョーも裸ではない。エアコンは
1050ユーロのオプションだが、その代わり防錆保証期間が長い。ミニは豊富な用品オファーをしているが、
すべてオプションである。3台のモデルをほぼ同一の装備レベルにした場合、ホンダとミニの
価格差は 2660ユーロとなる。ミニがこの装備面でのデメリットを相殺出来たのは、中古価格が高く、
維持費が安く、無制限のモビリティー保証をしているお蔭である。
【結論】(アンドレアス・シュライト)
4300kmを走り、45項目にわたり評価を行ったが、その結果は点数が接近し、勝者を決定するのが
困難であった。ミニが最高得点を得たが、スペースオファーが僅かなため、用途が限定されている。
ホンダはスペースが大きく、買い得な車だが、快適性、走行性能の章で弱点を示した。強力な
プジョーのスポーツ性は最高だが、維持費の面では敗者であった。
満点 Honda Mini Peugeot
ボディー/室内
スペースオファー(前) 100 60 48 56
スペースオファー(後) 100 45 20 33
周辺視界 100 65 66 60
操作/機能 100 79 78 75
トランクルーム容量 100 53 18 33
シートアレンジ 70 45 20 35
積載重量 50 29 17 33
安全性装備 150 45 78 50
品質/加工 100/100 132 155 127
小計 553 500 502
走行快適性
シート快適性(前) 150 69 82 75
シート快適性(後) 100 40 31 38
人間工学特性 150 92 80 95
室内騒音 50 25 24 21
騒音印象 100 32 45 35
空調 50 30 27 30
スプリング(無積載) 200 100 112 105
スプリング(積載) 200 69 75 70
小計 475 476 469
エンジン/ギア
加速 200 117 126 149
追越加速 150 86 93 112
最高速 200 40 55 66
ギアレシオ/シフト 100 75 70 65
稼動洗練性 100 53 58 50
行動半径 50 15 22 18
燃費 200 155 163 151
小計 541 587 611
走行ダイナミクス
スラーロム 100 63 63 62
ハンドリング 150 61 63 71
ステアリング 100 52 65 55
直進性 50 35 40 35
ブレーキ強弱調整 50 33 37 33
制動距離(冷) 150 103 64 64
制動距離(暖) 150 92 71 84
トラクション 50 22 20 25
走行安定性 150 85 115 70
回転半径 50 37 35 37
小計 583 573 536
環境/費用
エミション数値 100 81 84 87
エミションクラス 100 100 100 100
通過騒音 100 45 35 35
基礎価格 250 239 235 236
本誌標準装備 100 86 87 91
中古価格 100 48 56 37
整備 50 51 47 51
保険 50 41 43 37
税金 50 49 48 48
燃料 50 37 39 36
保証 50 25 30 25
小計 802 804 782
Honda Mini Peugeot
総計 2936 2940 2901
順位 2 1 3
【写真説明】
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ホンダ・ジャズ
●チャージ交代反応: 限界領域ではまずアンダーステア、続いてオーバーステア傾向が出るので、
熟練が要求される。
●たっぷりしたスペース: ジャズのトランクルーム容量は380Lである。
DVD-ナビゲーション・システムは2455ユーロのオプションである。
●シート:幅は広いが、サイドサポートが弱い。 シート・クッションが全体として柔らか過ぎる。
加えて、シートカバーの明るい部分とダーク部分を繋ぐ縫い目が長距離走行時に気障りになる。
シート高さ調整用のホイールは多大な力を要求する。
ミニ・ワン
● 引き締まったセットだが、快適: ミニ・ワンのシートには高度な長距離走行適性があり、
サイドサポートも良い。これに反し、背もたれ調整用のメカは動きが鈍く、あちこち
いじりまわさなければならない。
● 大口 を叩くが、内容がない。(開口部は大きいが、積載容量は小さい)。アタッシュケースを
一つ積むと、トランクルームの半分が占領。ファショナブル: レトロルックのコックピット・
●テンのように敏捷: ミニ・ワンが良くコントロール出来る状態でスラーロムテスト区間の
パイロンゲートを通過。
プジョー 206
● 走行中、注意! 限界領域では206 の尻が勝手に振れる。
●スペースオファー: プジョーのトランクルームには十分なスペースがある。
すっきりと区分けされた室内は初めて乗った人もすぐに慣れる。
●外形のはっきりしたシート: 206 のシートはスポーティーな第一印象を与えるが、背もたれの
上部はサポートが弱い。ドアの幅が広く、大きく開けられるため、後部座席への乗り降りは
難なく出来る。
872 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:03/01/20 21:10 ID:354nb+iR
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3つの特性
●良好: 5ドア・ジャズはレバーでシートを前後にスライド出来る。
●シック: ミニのドアパネルはほとんど小物入れとして使えないが、目の保養にはなる。
●ひどい仕事: プジョー 206 の煩雑な背もたれ調整機構。