いやー、やっぱりおかしいよ。
「現時点で実証された答がない」からと言って、どうして
「未確認の仮説を既成事実化する」ことが正当化されるのか。
それを放置していると、社会全体が、詐欺や騙しに対する免疫力をどんどん失っていくわけで。
つまり、個人個人が何かを判断する時の拠所が「証拠」ではなくて「権威」やら「表面的な多数決」
になってしまうわけで。
薬害エイズも、ステロイド禍も、マンションの耐震偽装も、偽装ミンチも、
全部そうやって起こってるわけだ。
・・・「誰も疑わないからバレないだろう」と。
もちろん、仮説を流した人々(言いだしっぺも、それを広めた人も)が、
全員良心的な人々なら、根拠なしに信用して、あとで間違いだったということになっても
大した実害は出ないでしょう。
だけど、酸化コレステロール仮説の場合は、それを主張している人または組織は2つ、
つまり新潟大の安保徹氏と、吉岡事務所なんだけど、残念ながら、そのどちらも
仮説を営利目的に利用している。しかも激しく。
でも、脱ステの経験がある人が、自分の経験を人に伝える分には、
営利目的ではないからいいのではないか?
・・・それはもちろん、直接の詐欺行為ではないから、直接的な罪はないでしょう。
しかし、そもそも自分の体験を人に伝える時に、どうして怪しげな理論を持ち出してこなければ
ならないのでしょうか?
その人の体験談は、その人の責任の限りにおいて、「事実」であります。
それを疑う必要はない。(匿名掲示板だから。)
だから、体験談を人に理解してもらう時に、自分の体験をありのままに
語るのが、もっとも「正確」なのです。
逆に、何をどうしたって、それ以上に信憑性を持たせることもできないのです。
自分の体験談に、本当かどうかもわからない仮説をくっつけて語るのは、
信憑性をさらに増幅させたくてのことだと思いますが、本来のソース
(つまりその人の体験事実)が持っている信憑性というのは、ある量であって、
それをさらに増やす方法はありません。
むしろ、怪しい仮説をくっつけて語ることによって、体験談全体の信憑性は
くっつけた仮説の怪しさの分だけ減少してしまうんですよ。
たとえば、医者に話す時に、
「浸出液を出し切った方がなぜかその後の治りが早いんですよねー。
なぜかはわからないけど、私の経験上。」
と言うのと、
「皮下に溜まった酸化ステロイドを早く出させるために、
出来るだけ汁を出させた方がいいんですよ。」
と言うのとでは、間違いなく前者の方がちゃんと話を聞いてもらえます。
後者を語ると、医者は不信のまなざしを見せるでしょう。
これは、酸化コレステロールが目の敵にされてるからではなくて、ただ単純に、
「マユツバ」だから、なのです。
何度も念を押しますが、個人が自分の経験に基づいて、自分の次の行動を選択する
というのは、何の問題もないし、ごく自然なことなのです。
個人的経験を、客観的事実に摩り替えることが、「百害あって一利なし」なのです。
少なくとも、
(1) あとで間違っていたことが判明した時に、
それまでに掛かった時間とか労力とかお金とか忍耐が無駄になる
(2) 吟味する習慣のない人を狙った詐欺まがいの行為を通用させてしまう
(3) 個人の体験談の信憑性を却って損なう恐れがある
というような実害がある。