未消化のたんぱく質が、血液に侵入してくると、
それは栄養として役に立たないばかりか、免疫系に異物として認識されて、
抗原(免疫系によって排除する対象となるもの)となります。
しかし、通常、腸管免疫寛容システム(腸壁を通過して侵入したたんぱく質に
対するアレルギー反応を抑制する仕組み)が働くので、
すぐにアレルギー反応が起こるわけではありません。
しかし、免疫系によって抗体(身体に侵入してきた異物を中和、
無毒化するためにBリンパ球によって作られるもの)がつくられて、
中和された後、循環免疫複合体(略称CIC‘s)となって血液中を漂います。
これが、皮膚や粘膜に付着し、蓄積された後に炎症を引き起こすことがあります。
実は、これが、ほとんどのアレルギー疾患の素因ともなっているのです。
例えば、ある調査によると喘息患者の約80%に、消化液の分泌の異常がある事が
分かっています。だから皮膚科ではアトピーが治せないのです。
かといって内科に行けば、潰瘍やポリープなどの病変が見当たらなければ異常なし
で済まされてしまうのです。
また、未消化のたんぱく質が白血球によって処理された後にアテロームと
呼ばれる血管の付着物となって動脈硬化の要因にもなります。
腸内で悪玉菌がはびこり、未消化のたんぱく質や悪玉菌が作り出す毒素が
侵入しているような状態が起こると、それに対処するために全身のリンパ球や
白血球が消化管の周りを取り囲むように大動員される事が分かっています。
そのためにほかの領域では免疫系が手薄になってしまいますし、
消化のトラブルを処理するために体は莫大なエネルギーを消耗する事になります。
食事をした後に極端に眠くなるとか、ぐったりするとかの自覚症状がある場合には、
このような事が起こっている可能性があります。
更に近年、赤血球の状態を具体的に観察する技術(ライフ・ブラッド・アナリシス)
によって、消化に異常が起きているときに、アキャンソサイトと呼ばれる、
ギザギザのとげのある、異常な赤血球が増えるのが観察されています。
人間の血管のうち、もっとも細い毛細血管は、赤血球の直径よりも狭いのです。
ですが正常な赤血球は、柔軟性があるので、身をくねらせてそれを通り抜ける事が
出来ます。しかし、異常化した赤血球は、流れる事が出来ずにうっ血を作る事が
あります。例えば、長年、原因不明の関節炎で苦しんでいた人がいて、
その関節から血液を採取してみたら、そのアキャンソサイトが
ぎっしり詰まっていたという実例があります。