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愛知万博破綻への道:
愛知万博破綻への道2
愛知県や博覧会協会の当初計画とは以下のようなものであった。
焼き物で有名な瀬戸市南部には海上(かいしょ)地区がある。
ここは典型的な里山として都市近郊に残った貴重な山林である。
また、絶滅危惧種などが生息する場所でもある。
さらには、東海豪雨で下流が決壊した河川の源流域でもある。
この森を切り開いて万博会場を造成しようというものである。
もっとも、万博会場造成は隠れ蓑であり、万博閉幕後は住宅地を
造成し、その利益を期待するというものであった。
さらに計画発表前にこの周辺の土地の買い占めが行われていた。
さて、なんとか万博開催がBIE総会で愛知に決まった。
しかし、誘致運動が行われている段階から、赤字財政の愛知が
強引に開催に名乗りをあげたことや貴重な里山を破壊することに
反対する市民運動が続いていており、WWFなどからも懸念の
声明がでていた。
そんな時、海上の森周辺には環境アセスメントでは生息していない
オオタカが営巣・繁殖していることが判明した。
これが万博迷走の始まりだった。
万博開催ありきの前提で遮二無二走ってきた計画は一つがいの鳥
により、その計画の杜撰さや胡散臭さが暴露されてしまった。
ことの成り行きを危惧して来日したBIE使節団が
「愛知万博は地雷の上に乗っている。しかし、愛知県や博覧会協会は
そのことに全く気づいていない。これが最大の問題だ。」と発言した。
この発言は当初厳秘とされ闇に葬られようとしたが、新聞にすっぱ
抜かれ、愛知県当局と博覧会協会に追い打ちを掛けた。
慌てた愛知県と博覧会協会は計画の見直しを行い、住宅開発の断念、
会場を海上の森から隣接する運動公園である青少年公園に移すことに
なり、縮小せざるをえなくなった。