>>48つづき
まだまだ値段は庶民向けとは言い難い宇宙旅行だが、魅力はどこにあるのか。
米国移住後に通信分野の会社を設立し、財を築いたアンサリ氏は「漆黒の宇宙空間で青く輝く地球の貴重さを痛感した」という。
出身国のイランは核問題などをめぐって米国などと緊張が高まるが、
「宇宙でより多くの人が地球の大切さを確認できれば、紛争も減るのではないか」と話し、民間宇宙開発の“平和的効果”を訴える。
04年には、アンサリ氏の名が冠された民間有人宇宙船開発コンテストで、米国の飛行機デザイナー、バート・ルータン氏が設計した
「スペースシップワン」が初めて「宇宙空間」との境目とされる高度100キロに到達した。
同機を開発した米スケールド・コンポジッツ社(カリフォルニア州)は、リチャード・ブランソン氏の率いる英バージン・グループの一つ、
バージン・ギャラクティック社向けに宇宙往還機「VSSエンタープライズ」を開発中だ。
バージン社は、米南部ニューメキシコ州に建設される宇宙港を使って09年中に商用飛行を開始する計画だ。
またスペース社もシンガポールやアラブ首長国連邦に宇宙港建設を計画している。
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夢は広がる。しかし、2度の死亡事故を起こした米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトルの例もあるように、宇宙飛行には常に危険と隣り合わせの面もある。
アンサリ氏は「リスクは常にある。危険と、何が得られるかを比較して、自分で決断することだと思います」と話す。