「DAYS japan」7月号より抜粋
日本は世界で一国だけ「南極海」で、毎年、1000頭近いクジラを殺している。
そこは、国際社会が鯨類サンクチュアリ(商業捕鯨の永久禁止区域)と定め、「南極条約」でも生態系と環境を守ることが義務づけられた海域。
水産庁は「調査捕鯨」と呼ぶが、かつての商業捕鯨時代と同じ船団を組み、大型の加工母船で冷凍箱詰めにした鯨肉を国内流通させるやり方は、額面通り「科学調査」とは受けとめにくい。
5月末にアラスカのアンカレッジで開かれたIWC(国際捕鯨委員会)第59回総会は、改めて日本に、「調査捕鯨」の中止を求めた。
・・・科学調査なら、せめてクジラを殺さない方法で行うよう勧告したのだ。
原生林保護の分野でも、森を伐らずに残す経済価値が、伐る利益を上回る事実に目が向けられてきたように、
クジラを殺して鯨肉を売る利益より、クジラを守ってホエールウォッチングなどの「非致死的(殺さない)利用」を行ったほうが、経済価値が高いことを多くの国民が理解し始めた。
もちろん、商業捕鯨モラトリアムの影響を受けた国内沿岸捕鯨従事者の悩みは理解できる。しかし、その救済を目指すなら、
「調査捕鯨」の実施主体である財団法人日本鯨類研究所が年間事業総額7億3000万円の75%近くも「広報」に費やしている偏りを見直すべきだし・・・
http://www.icrwhale.org/01-F.htm >>517つづき
片方でIWCの科学委員会が不要だとする「調査捕鯨」を続け、
絶滅に瀕したナガスクジラやザトウクジラ(来季から捕獲予定)を含む
年間1000頭ものクジラを殺して、数千トンの鯨肉在庫を抱えながら、もう片方で「日本人にも原住民生存捕鯨を認めろ」と言うに等しい要求をするには無理がある。
IWC総会でも露骨だったが、政府が国内マスコミを囲い込んで「南極海の不都合な真実」を伝えさせず、公海での捕鯨に反対する69%の国内世論
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20060616_html を押さえ込もうとする報道統制は哀しい。(ってか危険なんですが? この点。)
今年2月、南極海で二度目の火災を起こして死者を出した、捕鯨母船・日進丸に対するグリーンピースの救難協力(注5 の注釈アリ)を水産庁が会議中に「反捕鯨の宣伝」と歪曲したことは論外で、IWC事務局を通じて強く抗議・反論した。