http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20020618k0000m040180000c.html 川辺川ダム:川堤防の流下能力、国交省主張覆す内部文書を発見
川辺川ダム建設を巡り球磨川の治水上最も重要とされる熊本県八代市の萩原堤防は、
国土交通省九州地方整備局(九地整)が主張する流量より1割以上多く流せるとする内部文書が見つかった。
九地整は同堤防の流下能力を毎秒6900立方メートルと説明。20年に1度それ以上の水が流れて堤防が破れ、
大災害が起きるとして川辺川ダムの治水効果を強調してきた。同堤防の流下能力が1割以上高ければ、
ダムの効果は格段に小さくなる。
文書は96年作成の「球磨川河道水位検討業務報告書」。球磨川の流下能力を200メートルごとに計算した
一覧表には、 萩原地区で最も流下能力の低い所でも毎秒7706立方メートルと記されている。
九地整の工藤啓・河川調査官は「川辺川ダム見直しの動きに伴って最近精査し直した結果、報告書時点では
足りていると見ていた萩原堤防の断面積不足が判明し、流下能力を(6900立方メートルに)下方修正した」
と弁明する。
しかし九地整は以前から一貫して萩原の流下能力は毎秒7000立方メートルないと言っており、
弁明は過去の説明と食い違う。また仮に断面積不足が事実でも、精査しなければ分からぬ程度の不足を補えば、
流下能力を1割以上高められることになる。
(19日から新総合面で連載企画「再考川辺川ダム」を掲載)
[毎日新聞6月18日] ( 2002-06-18-03:01 )