どうして、帖佐副会長は高橋を推さなかったのか。
帖佐副会長は小出監督に不満を募らせていたと証言する陸連関係者もいる。
帖佐副会長はシドニー五輪後の00年12月15日号の本誌のインタビューで「そもそも
陸上競技の世界にプロというものは存在しない」とプロ表明していた高橋と小出監督を
痛烈に批判。それに対し、小出監督は「プロ化がダメならマラソンをやめさせる」と応酬。
結果、強引に押し切り、恩師の面子を潰した経緯もある。つまり、その時の感情的しこり
が今回の結果につながった可能性も高いというのだ。
いずれにせよ、今年8月のアテネ五輪での結果によっては「やはり高橋を選ぶべき
だった」との議論が沸き起こることは必至。ソウル五輪女子マラソン代表だった
荒木久美氏はこう分析する。
「日本人女子で唯一、2時間20分を切った経験のある高橋さんの実力は桁違い。
残念ながら代表3選手とは格が違う。アテネではそこそこの走りを見せるだろうが
メダルとなるとどうか。少なくとも世界最強といわれるラドクリフ(英国)に勝って
金メダルを取れる可能性があったのは高橋さんしかいないと見ています」
スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏の指摘は手厳しい。
「そもそも代表は3人なのに選考レースが4つもあることが間違い。すべてテレビ局
からの放映権料目当ての陸連の“金権体質”が選考を歪めている。信じたくはないが、
これに個人的な感情や人事抗争などが加味された上での高橋落選だとしたら、
陸連はどうしようもないですね。誰の目にもはっきりとわかるように、そして選手も
納得するようにアメリカを見習って選考レースの一本化を実現するべきです」
ある陸連幹部によれば、昨年の東京国際の際、レースで遅れていく高橋の姿を見て、
名古屋の陸連関係者が、「これで名古屋が盛り上がる!」と大喜びしていたという。
そこには、強い選手を育成し、勝てる選手を五輪に送り出すという“本来の姿”は
どこにもない。
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