【高橋】権威の豚・陸連【切捨て】

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(続き)
■世論を意識した!?「路線変更」
 話を元に戻し、陸連理事会での動きだ。
 朝まで「高橋有利」だったムードは理事会で翻った。2番目の椅子には、前日に「涙の
復活劇を演じた土佐が浮上している。後で記すが、土佐が2番目に出てきたのは驚い
た。2番目は当然坂本で、3番目の椅子を土佐と高橋が争うというのが、もっぱらの見方
だったからだ。ところが、「土佐の復活劇」といったストーリー性はたった1日しか経過し
ていないので、国民の記憶には鮮明なはずだ。ここでニョキニョキ頭角を現すのが、
「感動を与えた土佐をはずして国民を敵に回しやしないか」、別の言い方をすれば
「どうすれば叩かれないか」といったネガティブな発想だ。そこには「アテネでメダルが
取れるのか」といった大切な論点を置き去りにしているように思えてならない。2番目に
土佐を選んだ理由を、澤木強化委員長は「選考レースで一番タイムが良かったから」
と簡単に片付けた。しかし、これには疑問符がつく。条件が違うレースを単純にタイムで
比較することがナンセンスであることはだれが考えても明らかだ。「土佐は落としたくな
い」という前日から肥大してきた力学が、予想外のプロセスを刻み始めた。
 そして仕上げは「今頃言うなよ」というようなタイミングでの選考基準の変更だ。
「変更」とは、3番目の椅子の決め方だ。前回のシドニー、前々回のアトランタと、
どちらかというと実績重視で3人目が選ばれていたのだから、「記録重視」としたのは
明らかに変更である。陸連にしてみれば「選考基準に『過去実績』などとは一言も
謳っていない」と言うだろう。だが、現実にそうしてきた歴史もあったわけだ。「3人目の
決め方」については今回まで「実績重視」でやって、次の北京大会へ向けての課題と
すべきだったという考え方もある。
■高橋の今後に期待すること
 終わってしまったことをとやかく言ってしまったが、高橋の今後にはある種の期待感を
持っている。今回の悔しさをバネに、次なる目標としてもう一度世界記録を狙って欲しい。
外野で言うのは簡単だが、それこそ大変なことだろう。しかし、会見で小出義雄監督は
「今でも2時間17分くらいなら出るでしょう」と自信たっぷりに言ってのけた。そこにあと
「2分縮めるための気力」を、時間をかけて醸造して欲しい。ただし、持ち前の「楽しく走る」
ことも忘れずに……。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/other/column/200403/0316sn_02.html