【ソロアルバム】AKINO from bless4【発売決定】
DVD6巻ブックレット菅野よう子インタビューから抜粋
----最初の企画の第一印象からお願いします
菅野:準備期間をきちんととっていて、ていねいに作られているという印象でした。
河森監督が「この作品はインドだ」とおっしゃるんですよ。インドを旅行していると
妙に小さな赤ん坊がいたり、すごい臭いがしたり、ワンワン虫がとんできたり、
今度はお金持ちの偉い着飾った人が通ったり。自分は立っているだけなのに、
目の前に次々と信じられないようなことが起きる・・・・・・。次来る展開に予想が
つかないし、予想することがバカらしく感じられてしまうような体験。
----作品に通じるところがありますね
菅野:そうそう(笑)。初めての打ち合わせは、脚本の方が第12〜13話を作ってらしたころで、
河森さんが盛り上がってたんです。
「中学生のとき出したラブレターを、お母さんに暴かれたり新しい彼氏に見つかったりして、
すっごく恥ずかしい気分になるみたいに、琥珀の中のラブレターを”開けないでくれ!”って
攻撃しちゃうんだよ〜!」って(笑)
神話なのに動機はすごく庶民的・・・・・・ということなんですね。
「こりゃおもしろいや」と思って、すぐさまそのとき脚本に書いてあった「一万二千年」などの
言葉を拾って歌詞にして、そのまま自然体で主題歌を作りました(笑)。
アポロとシルヴィアたち主人公も若いので、歌い手は、絶対にティーンエイジャーでなければ、
と思っていました。AKINOちゃんは15歳。この年齢特有の純情が、世界観ととても合っていた。
アメリカ育ちなので、英語なのか日本語なのか、言葉を響きで唄うところも魅力的なんです。
乾いているというか。重めの日本語歌詞を歌ってもらうと、お話を読んでいるみたいに
ピュアで可愛いんですね。
----河森監督からは、音楽に何か注文はありましたか?
菅野:具体的な注文はいつも特にないんです。神話とロボットを真っ正面からやりたいということを
言われたと思います。ギリシャの神様のような、肉体的でバイタリティがある感じ。作品って、
私が曲を作る前に<音楽>を最初から持っているので、絵の方が「こうしてくれ」と言ってくるん
ですよね。河森さんの場合特に、言葉を飾らない丸出しな人ですからわかりやすい(笑)。
曲の使われ方も愛情と工夫があって、こちらの意図以上に使っていただけました。
「これ以上サービスすることは金輪際ないでしょう」という限界までやったので、満足感、
達成感がすごくあります。
----主題歌がふたつあるのは?
菅野:初期の主題歌は神話神話してるんですが、オンエアが始まって、ロボットがガシャンガシャン
という男の子っぽい部分も見えてきたので、そちらのバランスも取るために「合体というイメージで
唄を作ろう」と私から言い出しました。
----音楽の使われ方で印象的なところはありますか?
菅野:いっぱいありますよ。主題歌を戦闘シーンで何度も使ってくれたのは、自分では今まで
考えたこともなかったので新鮮でした。オペラみたいな曲もありますが、ワルシャワの人たちは
言葉をものすごく大事に考えるので、「これは何のことを唄ってるんだ?」って皆さんから
聞かれたんです。冷や汗もので説明していましたが(笑)、唄い手の真剣さを見ながら録音して
きたものだったので、画面の方の真剣さとマッチしたときは感慨深かったですね。