「傘その後」 詞:おもちゃん
やがて駅について彼女と別れなければならない時がやってきた。
傘から出た俺がしつこいくらいに「ありがとう」を繰り返すと
彼女は笑いながら「雨降ってたから当たり前だよ」と言った。
彼女が改札を通った後も俺はしばらく眺めていた。
最後の最後まで俺のせいで会話はぎこちなかった。
でも俺にとってはあまりにも新鮮な出来事だった。
しかしその女の子の名前は聞かなかったし、顔もなぜか忘れてしまい。
その女の子とはそれ以来、就職の内定した今でも会ったことがない。
それ以来別の女の子とも会話したことがない。
あの子はなんだったんだろう。
いつも通らない道を通った俺に神様がささやかなプレゼントをくれたんだろうか・・
入学当初で彼女も友達がおらずとにかく友達がほしかったのかもしれないな。
親切心で俺を傘に入れてくれただけなのにこんなことを考えるのは馬鹿げてるけど
やっぱりもてる人ならここで「お礼に・・」とか言って次回会う約束をとりつけるんだろうか。
でもあの時の女の子ありがとう。本当にうれしかった。